【実施例】
【0019】
図1に示すように、ロータリー式竪型型締装置10は、固定盤11と、型締め時に固定盤11で支えられるターンテーブル12と、このターンテーブル12の回転中心を貫通すると共に固定盤11を貫通するセンタータイバー13と、ターンテーブル12外にて固定盤11を貫通するサイドタイバー14と、このサイドタイバー14の上部及びセンタータイバー13の上部に渡した可動盤15と、回転中心に設けられる冷媒供給・回収機構20とを備えている。
【0020】
ターンテーブル12には複数の下型16、17が載せられる。可動盤15には上型18が取付けられる。タイバー13、14を移動して可動盤15を下げると、一方の下型16に上型18が重なる。この状態で型締め、射出が行われる。非型締め時にはターンテーブル12は僅かに固定盤11から浮き上がる。この状態でターンテーブル12を回して、上型18の下に他方の下型17を臨ませる。
【0021】
冷媒供給・回収機構20と下型16、17は給液ホース21、21及び排液ホース22、22で結ばれており、下型16、17が所望の温度に保たれる。
【0022】
冷媒供給・回収機構20の構造を、
図2に基づいて説明する。
図2に示すように、冷媒供給・回収機構20は、非回転部材であってセンタータイバー13を囲う固定側筒部材23と、ターンテーブル12と共に回される回転部材であって固定側筒部材を囲う可動側筒部材24と、この可動側筒部材24と固定側筒部材23との間に配置され冷媒の漏れを防止する複数本のシールリング25とを備えている。
【0023】
加えて、固定側筒部材23の上面に予備のシールリング25を収納するスペアシールリング保管部26が設けられている。スペアシールリング保管部26は、例えば、固定側筒部材23の上面にビス止めされ予備のシールリング25を嵌めることができる保管筒27と、この保管筒27に嵌められている予備のシールリング25を囲って保護するカバー28とからなる。
好ましくは、カバー28は透明な樹脂で構成する。カバー28を外すことなく、予備のシールリング25の有無を目視できるからである。
【0024】
固定側筒部材23は、固定盤(
図1、符号11)から延びる延長部31に機械的に連結されるため、非回転部材となる。
一方、可動側筒部材24は、アタッチメント32にアングル33及びボルト34、35で締結され、このアタッチメント32がボルト36でターンテーブル12に締結されるため、ターンテーブル12と共に回転する。
【0025】
冷媒供給・回収機構20の構造は複雑であるため、切断部位を変えた3つの断面図で構造の補足説明を行う。
図3(a)に示すように、固定側筒部材23は、内部に冷媒を導入する冷媒導入路38を備えている。この冷媒導入路38の出口は、固定側筒部材23の外周の設けられている第1環状溝39に繋がっている。可動側筒部材24には、給液ホース(
図1、符号21)の基部をねじ込む給液口41が設けられている。第1環状溝39は第1シールリング25A(添え字Aは、第1を示す。)と第2シールリング25B(添え字Bは、第2を示す。)とで挟まれている。これらの第1・第2シールリング25A、25Bは、固定側筒部材23に嵌め込まれる。
【0026】
図3(b)に示すように、固定側筒部材23には、温められた冷媒を集める第2環状溝42が外周に設けられ、温められた冷媒を排出する冷媒排出路43が内部に設けられている。可動側筒部材24には、排液ホース(
図1、符号22)の先端をねじ込む排液口44が設けられている。第2環状溝42は第2シールリング25Bと第3シールリング25C(添え字Cは、第3を示す。)とで挟まれている。この第3シールリング25Cは、固定側筒部材23に嵌め込まれる。
【0027】
図3(c)に示すように、第1環状溝39の外側(第2環状溝42から離れる側)に第3環状溝45が設けられ、この第3環状溝45は第1シールリング25Aと第4シールリング25Dで挟まれ、同様に、第2環状溝42の外側(第1環状溝39から離れる側)に第4環状溝46が設けられ、この第4環状溝46は第3シールリング25Cと第5シールリング25Eで挟まれている。これらの第3・第4環状溝45、46からドレーン排出路47が延びている。
【0028】
仮に、第1シールリング25Aが摩耗すると、第1環状溝39中の冷媒が外に漏れる心配がある。しかし、この漏れは、第3環状溝45で集められ、ドレーン排出路47を介して排出されるため、外部へ漏れる心配はない。同様に、第3シールリング25Cが摩耗すると、第2環状溝42中の冷媒が外に漏れる心配がある。この漏れは、第4環状溝46で集められ、ドレーン排出路47を介して排出される。
【0029】
外部漏洩の点に注目すると、第1〜第3シールリング25A〜25Cのシール性よりも、第4・第5シールリング25D、25Eのシール性がより重要となる。この点に着目した実施例を、変更例として後述する。
【0030】
図4に示すように、第1環状溝39から分岐するように、複数個(この例では2個。)の給液口41、41が設けられる。固定側筒部材23に対して可動側筒部材24が回転するが、第1環状溝39に冷媒が満たされているため、給液口41、41がどの方位にあっても冷媒の供給がなされる。
【0031】
図5に示すように、第2環状溝42に合流するように、複数個(この例では2個。)の排液口44、44が設けられる。固定側筒部材23に対して可動側筒部材24が回転するが、第2環状溝42に繋がっているため、排液口44、44がどの方位にあっても冷媒の集合がなされる。
【0032】
図6に示すように、可動側筒部材24は、締結部品としてのボルト48、48で締結されている分割筒である。ボルト48、48を緩めることで、2つに分割することができる。なお、分割面49、49に耐水性の液状パッキンを塗布することは望ましい。分割面49、49から冷媒がより漏れ難くなる。
【0033】
図7(a)に示すように、シールリングの交換に際して、先ず、可動側筒部材24を分割する。分割することで、シールリング25が露出する。
図7(b)に示すように、古いシールリング25を切って固定側筒部材23から外す。次に新しいシールリング25を固定側筒部材23に取付ける。
【0034】
すなわち、
図2において、可動側筒部材24を外し、予備のシールリング25を軸方向へ移動しつつ、固定側筒部材23に嵌めればよい。
図1にて、従来であれば、タイバー13、14から可動盤15を外す必要があるところ、本発明によれば、可動盤15を外すことなく、シールリングの交換が実施できる。
【0035】
次に、変更例を説明する。
図8にて、第1〜第3シールリング25A〜25Cに対して、第4・第5シールリング25D、25Eを別の種類とする。
図9に示すように、第1〜第3シールリング25A〜25Cは、円周上に1個の割れ目51を有する割り有りリングとした。割れ目51を広げることで、
図8に示す固定側筒部材23に容易に嵌めることができる。
【0036】
図10に示すように、第4シールリング25D及び第5シールリング25Eは割れ目を有していない割り無しリングとした。
図8にて、第1〜第3シールリング25A〜25Cは割れ目から漏れが発生する。しかし、第4シールリング25D及び第5シールリング25Eが割り無しリングであるため、外へ冷媒が漏れる心配はない。第1〜第3シールリング25A〜25Cが割り有りリングであるため、これらには格別に予備のシールリングを準備する必要はない。結果、スペアシールリング保管部26には、2個の予備シールリング25、25を準備することで足りる。
【0037】
尚、
図1では、スペアシールリング保管部26を冷媒供給・回収機構20の上面に設けたが、スペアシールリング保管部26は可動盤15の下面に設けてもよい。さらには、センタータイバー13から簡単な金具を延ばし、この金具に予備のシールリング25を保持させてもよい。よって、予備のシールリング25は、センタータイバー13に嵌めた状態で、冷媒供給・回収機構20と可動盤15との間であれば任意の位置に保管させることができる。