特許第5981488号(P5981488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981488
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】含水系貼付剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20160818BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A61K31/192
   A61K9/70 405
   A61K47/34
   A61P29/00
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-116589(P2014-116589)
(22)【出願日】2014年6月5日
(62)【分割の表示】特願2012-554786(P2012-554786)の分割
【原出願日】2012年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-156499(P2014-156499A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2014年6月5日
【審判番号】不服2015-4045(P2015-4045/J1)
【審判請求日】2015年3月2日
(31)【優先権主張番号】特願2011-12406(P2011-12406)
(32)【優先日】2011年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174622
【氏名又は名称】ニプロパッチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】川村 尚久
【合議体】
【審判長】 服部 智
【審判官】 松澤 優子
【審判官】 前田 佳与子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第96/11022(WO,A1)
【文献】 特開平8−165251(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/75324(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/31318(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/102242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00, A61K 9/00, A61K 47/00
REGISTRY/CAPLUS/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMedPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、この支持体上に位置する粘着剤層と、を備える含水系貼付剤であって、
前記粘着剤層は、ロキソプロフェン、その薬理学的に許容される塩又は溶媒和物からなる有効成分と、非イオン性界面活性剤と、水と、を含有し、
前記非イオン性界面活性剤は、HLB値が6.0以上9.5以下であり、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(酸化エチレン付加モル数が5モル)、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(酸化エチレン付加モル数が2モル)からなる群より選ばれる1種以上である、含水系貼付剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水系貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬物の経口投与、注射による静脈投与等に代わり、経皮投与のため、粘着剤に有効成分を配合した粘着剤層が支持体上に位置する貼付剤がさかんに開発されている。貼付剤は、皮膚に貼付してから剥がすまでの間、長時間に亘って略一定量の有効成分を経皮吸収させることができる点で有用である。
【0003】
一方、貼付剤の粘着剤層には、有効成分の他にも、粘着剤を始めとする種々の成分が含まれており、これにより、貼付剤中の有効成分は経時的に劣化しやすく、その安定性を向上することが重要である。
【0004】
貼付剤には、水を含有する含水系貼付剤(パップ剤)、及び非水系貼付剤(テープ剤、プラスター剤等)の二つのタイプがある。このうち、非水系貼付剤については、2−メルカプトベンズイミダゾール等の抗酸化剤を用いることで、有効成分の安定性を向上しうることが示唆されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−79980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、含水系貼付剤では、粘着剤層に更に水が含まれていることから、非水系貼付剤とは異なる観点からの有効成分の安定性向上が必要と考えられる。また、有効成分の分解は、その有効成分によって異なるため、安定性向上に必要な対策も有効成分ごとに検討する必要がある。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、ロキソプロフェン等の所定の環状ケトン構造を有する有効成分(薬物)の安定性に優れた含水系貼付剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、所定の環状ケトン構造を有する有効成分の水系での反応性(分解性)が、非イオン性界面活性剤によって抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
(1) 支持体と、この支持体上に位置する粘着剤層と、を備える含水系貼付剤であって、
前記粘着剤層は、一般式1で示される化合物、その薬理学的に許容される塩又は溶媒和物からなる有効成分と、非イオン性界面活性剤と、水と、を含有する含水系貼付剤。
【化1】
・・・・・・一般式1
(式中、nは0、1、又は2であり、Rは有機基である。)
【0010】
(2) 前記化合物は、ロキソプロフェンである(1)記載の含水系貼付剤。
【0011】
(3) 前記非イオン性界面活性剤は、6.0以上9.5以下のHLB値を有する(1)又は(2)記載の含水系貼付剤。
【0012】
(4) 前記非イオン性界面活性剤は、酸化エチレン付加型であり、酸化エチレン付加モル数が5モル以下である(1)から(3)いずれか記載の含水系貼付剤。
【0013】
(5) 前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(酸化エチレン付加モル数が5モル)、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(酸化エチレン付加モル数が2モル)からなる群より選ばれる1種以上である(4)記載の含水系貼付剤。
【0014】
(6) 支持体と、この支持体上に位置する粘着剤層と、を備える含水系貼付剤について、
前記粘着剤層に、一般式1で示される化合物、その薬理学的に許容される塩又は溶媒和物からなる有効成分と、水とともに、非イオン性界面活性剤を配合することで、前記化合物が一般式2又は一般式3で示される化合物へと変化することを抑制する方法。
【化2】
・・・・・・一般式1
【化3】
・・・・・・一般式2
【化4】
・・・・・・一般式3
(一般式1〜3中、nは0、1、又は2であり、Rは有機基である。)
【0015】
(6) 支持体と、この支持体上に位置する粘着剤層と、を備える含水系貼付剤について、
前記粘着剤層に、一般式1で示される化合物、その薬理学的に許容される塩又は溶媒和物からなる有効成分と、水とともに配合され、前記化合物が一般式2又は一般式3で示される化合物へと変化することを抑制するために用いられ、
非イオン性界面活性剤からなる製剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定の環状ケトン構造を有する有効成分の水系での反応性が、非イオン性界面活性剤によって抑制されるため、含水系貼付剤におけるロキソプロフェン等の所定の環状ケトン構造を有する有効成分の安定性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明を限定する趣旨ではない。
【0018】
本発明に係る貼付剤は、支持体と、この支持体上に位置する粘着剤層とを備え、この粘着剤層は、一般式1で示される化合物、その薬理学的に許容される塩又は溶媒和物からなる有効成分と、非イオン性界面活性剤と、水と、を少なくとも含有する。
【0019】
[粘着剤層]
非イオン性界面活性剤は、従来、水系貼付剤における界面活性剤として使用されてきたが、薬物安定剤として有用であることは想定されなかった。本発明者は、驚くべきことに、非イオン性界面活性剤が水系貼付剤において所定の環状ケトン構造を有する有効成分の反応性(分解性)を抑制することを発見した。具体的に、HLB値が6.0以上9.5以下であり、かつ/又は酸化エチレン付加型であり、酸化エチレン付加モル数が5モル以下である非イオン性界面活性剤は、水系貼付剤において、一般式1に示される化合物が、一般式2又は3で示される化合物へと変化することを抑制する。なお、当該反応は、有効成分のエステル化(特にメントール等とのエステル体の生成)とは全く異なる(詳細は、Journal of Chromatography A、2008年、1208、p.164−174参照)。
【0020】
一般式1から一般式2への変化は、ケトンの炭素と、そのα位の炭素との間の結合が開裂することで生じ、一般式1から一般式3への変化は、α位の炭素がヒドロキシル化されることで生じる。いずれの反応にも、環式構造の炭素数及びRは寄与しないと考えられるため、nは0、1、又は2のいずれかであってよく、Rは任意の有機基であってよい。なお、本発明における有効成分の安定性は、一般式1の化合物から生成される一般式2及び3の化合物の総和が低減することを指し、好ましくは一般式2及び3の化合物の双方の生成量が低減することを指すが、少なくとも一方の生成量が低減すればよい。
【0021】
従って、一般式1で示される化合物は、特に限定されず、ロキソプロフェン等であってよい。また、薬理学的に許容される塩は、上記化合物及び/又はその溶媒和物の塩であり、特に限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等の1種又は2種以上であってよい。また、溶媒和物は、上記化合物及び/又はその薬理学的に許容される塩の溶媒和物であり、特に限定されないが、一般的には水和物である。なお、有効成分(薬物)は、塩、遊離体、溶媒和物(例えば水和物)、非溶媒和物(例えば非水和物)等の任意の形態で配合されてよい。
【0022】
具体的に、ロキソプロフェンは、次の化学式1に示されるナトリウム塩・二水和物の形態で配合されることが一般的であるが、特に限定されず、他の塩、遊離体、非水和物のいずれの形態で配合されてもよい。
【化5】
・・・・化学式1
【0023】
そして、非イオン性界面活性剤は、水系中において、以下の化学式2又は3に示される化合物の生成を抑制する。
【化6】
・・・・化学式2
【化7】
・・・・化学式3
【0024】
HLB値が6.0以上9.5以下である非イオン性界面活性剤は、特に限定されず、ステアリン酸グリセリル(モノグリセリド20%含有。HLB値7.0)、モノステアリン酸ポリグリセリル(HLB値9.0)、トリステアリン酸ポリグリセリル(HLB値9.5)、トリステアリン酸デカグリセリル(HLB値7.5)、トリオレイン酸ポリグリセリル(HLB値7.0)、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(酸化エチレン付加モル数5。HLB値9.5)、ヤシ油脂肪酸ソルビタン(HLB値8.6)、モノパルミチン酸ソルビタン(HLB値6.7)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(酸化エチレン付加モル数6。HLB値9.5)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(酸化エチレン付加モル数6。HLB値8.5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(酸化エチレン付加モル数5。HLB値6.0)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(酸化エチレン付加モル数10。HLB値6.5)、ポリオキシエチレンフィトステロール(酸化エチレン付加モル数5。HLB値9.5)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(酸化エチレン付加モル数2。HLB値9.5)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(酸化エチレン付加モル数2。HLB値8.0)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(酸化エチレン付加モル数4。HLB値9.0)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(酸化エチレン付加モル数2。HLB値7.5)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(酸化エチレン付加モル数5。HLB値7.0)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(酸化エチレン付加モル数1。酸化プロピレン付加モル数4。HLB値9.5)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(酸化エチレン付加モル数1。酸化プロピレン付加モル数8。HLB値9.5)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(酸化エチレン付加モル数6。HLB値8.5)等の1種又は2種以上であってよい。また、酸化エチレン付加型であり、酸化エチレン付加モル数が5モル以下であるものが好ましく、具体的には、リオキシエチレン硬化ヒマシ油(酸化エチレン付加モル数が5モル)、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(酸化エチレン付加モル数が2モル)の1種又は2種が好ましい。
【0025】
非イオン性界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、有効成分の配合量に対し、10〜500質量%であることが好ましい。非イオン性界面活性剤の配合量は、一般的には、粘着剤層に対し3.0質量%以下の範囲から選ばれてよい。
【0026】
非イオン性界面活性剤によって、有効成分の安定性が相当に向上するため、安定性を目的とした他成分の配合量は小さくてよく、又は配合しなくてもよい。具体的に、粘着剤層には、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、及びピロ亜硫酸塩からなる群より選ばれる1種以上を配合してもよいが、その配合量は有効成分の配合量に対し、1質量%以下であってよい。
【0027】
亜硫酸塩は、亜硫酸水素のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩等であってよく、亜硫酸水素塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等であってよく、ピロ亜硫酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等、具体的には亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムであってよい。
【0028】
本発明に係る含水系貼付剤における粘着剤層は、水を含有する。水の配合量は、特に限定されないが、粘着剤層に対し、30〜70質量%程度であってよい。
【0029】
粘着剤層は、上記成分の他に、必要に応じてポリアクリル酸及び/又はその塩等の賦形剤、界面活性剤、架橋剤、架橋コントロール剤、粘着増強剤、保湿剤、薬物の溶解助剤、pH調節剤、清涼化剤、水溶性高分子化合物、無機粉体、酸化防止剤、防腐剤、色素等の任意成分を含んでよい。
【0030】
ポリアクリル酸及び/又はその塩としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物「NP−800(商品名)」及び「NP−700(商品名)」(昭和電工社製)等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて含まれてよい。
【0031】
非イオン性界面活性剤に加え、一般の界面活性剤を配合してもよい。かかる界面活性剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルサルフェート塩、2−エチルヘキシルアルキル硫酸エステルナトリウム塩、ノルマルドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤が添加されてもよい。
【0032】
架橋剤としては、多価金属塩が挙げられ、その中でもアルミニウム化合物が好ましい。アルミニウム化合物としては、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、水酸化アルミニウムのような水酸化物、あるいは塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウムのような無機酸又は有機酸の塩、アルミニウム明ばんのような複塩、アルミン酸ナトリウムのようなアルミン酸塩、無機性アルミニウム錯塩及び有機性アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。これらのアルミニウム化合物は水溶性であっても、難溶性であってもよい。
【0033】
また、架橋剤として水酸化アルミニウムゲルを用いてもよいが、この場合にはpHが4.5以上6.0以下であることが好ましい。pHが6.0を超えると、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムが溶出しにくく、粘着剤の架橋反応が不充分で保型性が悪化しやすい。これに対し、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートを用いる場合、粘着剤層のpHは6.0超であってよい。
【0034】
なお、pHはpH調整剤を用いて設定することができ、かかるpH調整剤としては、酒石酸、リン酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて含まれてよいが、酒石酸が好ましい。
【0035】
粘着増強剤としては、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、ポリブテン、エステルガム、テルペン樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。その配合量は、粘着剤層に対し1質量%以上30質量%以下であってよく、好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
【0036】
架橋コントロール剤としては、エデト酸ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)、クエン酸等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて含まれてよいが、エデト酸ナトリウムが好ましい。
【0037】
保湿剤としては、濃グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、流動パラフィン、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、キシリトール等の多価アルコール等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて含まれてよいが、中でも、濃グリセリンが好ましい。なお、グリセリンの配合量は、製造コストやブリーディングの生じやすさ等を考慮して適宜設定されてよい。
【0038】
薬物の溶解助剤としては、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン誘導体、ハッカ油、1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて含まれてよい。
【0039】
清涼化剤としては、カンフル、チモールの他、l−メントール、dl−メントール、2−メチル−3−(l−メンチルオキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、5−メチル−2−(l−メチルエチル)−シクロヘキシル−2−ヒドロキシプロピオネート等のメントール誘導体等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて含まれてよい。
【0040】
水溶性高分子化合物としては、ゼラチン、カンテン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プロピレンカーボネート、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、無水マレイン酸共重合体、カラギーナン等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて含まれてよい。
【0041】
無機粉体としては、例えばカオリン、酸化亜鉛、酸化チタン、無水ケイ酸等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて含まれてよい。
【0042】
酸化防止剤としては、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸及び/又はその誘導体、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて含まれてよい。
【0043】
防腐剤としては、メチルパラベン、ブチルバラベン、プロピルパラベン、チモール等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて含まれてよい。
【0044】
色素としては、その種類は特に限定されず、法定色素ハンドブック記載の色素が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0045】
[支持体]
支持体は、従来から知られている貼付剤に用いられる織布、不織布、編布等の布帛、樹脂フィルム、紙及び、それらの積層体で構成されてよい。支持体の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート、レイヨン、綿、ポリウレタンからなる群から選ばれる1種又は2種以上であってよく、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。コストの面からは、ポリエチレンテレフタレートからなる不織布で構成された支持体が好ましく用いられる。また、樹脂フィルムを用いる場合には、白色、肌色等の塗料を印刷し又は練り込んで着色を施したり、文字等を記入したりした支持体を用いてもよく、粘着剤の投錨性を向上するために、ポリウレタン処理や、艶消し処理等を施した支持体を使用することもできる。
【0046】
[剥離ライナ]
本発明に係る貼付剤は、粘着剤層を被覆する剥離ライナを更に備えてもよい。かかる剥離ライナとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロリピレン等の樹脂フィルムが好ましく、シリコン等の剥離処理をしたもの、エンボス加工を施したものを用いてもよい。また、白色等の塗料を印刷し又は練り込んだものを剥離ライナとして用いることもできる。
【0047】
(調製方法)
本発明の貼付剤は、従来の方法で調製することができ、上記必須成分及び必要に応じて上記任意成分を適宜配合して公知の方法で均一になるまで練合し、貼付剤単位面積当りにおける粘着剤質量が0.03〜0.15g/cmになるように剥離ライナに展延した後、その粘着剤層の表面に更に支持体を積層し、次いで100mm×140mmの矩形状に裁断して調製することができる。また、支持体上に先に粘着剤を展延した後、剥離ライナをその上に積層することによって調製することもできる。
【0048】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明が実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0049】
[試験例1]
表1に示す各成分を一定時間に亘って撹拌し混合した後、剥離ライナ上に、貼付剤1枚当り(140mm×100mm)の粘着剤質量が約10gになるように均一に展延した。その後、粘着剤層の表面にポリエチレンテレフタレート製不織布を貼り合わせることで、貼付剤を調製した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1における界面活性剤を表2に示すものとし、貼付剤を調製した。各貼付剤を40℃又は60℃で放置した後、表面積10cmの断片を切り取り、、その質量を精密に量った。その後、剥離ライナフィルムを剥がし、50mLの遠沈管に入れ、そこにメタノールを添加し、30分間振盪して薬物を抽出した。抽出液を高速遠心分離し、ろ過処理した液を試料溶液として、HPLCにて、化学式1〜3、ロキソプロフェンのグリセロールエステル(「GE」という)、メントールエステル(「ME」という)の質量を測定した。この結果を表3に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
表2及び3に示されるように、全実施例で特に化学式3の生成が抑制され、中でも実施例8〜13では、化学式2及び3の双方の生成が更に抑制された。これにより、非イオン性界面活性剤が水系における化学式3の生成を抑制し、6.0以上9.5以下のHLB値を有する酸化エチレン付加型であり、酸化エチレン付加モル数が5モル以下である非界面活性剤は、化学式2及び3の双方の生成を更に抑制することが分かった。一方、ロキソプロフェンのエステル体の生成量は各貼付剤間で有意な差は確認できなかった。これにより、非イオン性界面活性剤は、水系での化学式1から化学式2及び3への変化を特異的に抑制することが分かった。
【0055】
実施例8及び市販品(ロキソニン(登録商標)パップ100mg:界面活性剤としてポリソルベート80を配合)の貼付剤を40℃及び60℃で1〜6ヶ月間に亘り放置し、粘着剤層(薬剤面)が貼付剤の作製直後からどの程度着色したのかを色差(ΔE)で評価した。その結果を表4に示す。色差(ΔE)は、粘着剤層表面の色度を色彩色差計(X−Rite Inc.製、Model SP64)により測定し、貼付剤作製直後と、40℃及び60℃にて1〜6ヶ月間放置後との間での色度の差を、下記の式で算出することにより得た。つまり、白−黒の程度をL−スケール、赤−緑の程度をa−スケール、青−黄の程度b−スケールでそれぞれ表す場合、色差は、各スケールの差の二乗和の平方根、ΔE(=((Δa)+(Δb)+(ΔL)1/2)で表される。
【0056】
【表4】
【0057】
表4に示されるように、時間の経過に伴う粘着剤層の着色が、市販品よりも実施例8において抑制されることが確認された。