【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、本発明は
、屠殺された家禽のオーブンで温めるだけの枝肉が供給コンベアによって運ばれ、前記供給コンベアは、無端走路と、前記走路に沿って移動されるとともに脚から吊り下げられた1つの枝肉を支持するように適合されている搬送器具とを備え、
個々の各枝肉に、
- 計量装置による個々の前記枝肉の重量の決定、
- 撮像装置による個々の前記枝肉の大きさの決定
のうちの少なくとも一方が行われ、
前記枝肉を各部に分割するために、第1の切断ラインと第2の切断ラインとが用いられ、
前記切断ラインの各々は、関連する切断ラインコンベアを備え、前記切断ラインコンベアは、無端走路と、前記走路に沿って移動されるとともに、各々が脚から吊り下げられた1つの枝肉を支持するように適合されている搬送器具とを備え、
前記切断ラインの各々は、前記走路に沿って配置された1つまたは複数の切断装置を備え、前記1つまたは複数の切断装置は、切断ラインコンベアの搬送器具によって支持された枝肉を各部に分割し、
第1の移送装置が、前記供給コンベアと前記第1の切断ラインコンベアとの間に配置され、枝肉を前記供給コンベアから前記第1の切断ラインコンベアへと移送し、
第2の移送装置が、前記供給コンベアと前記第2の切断ラインコンベアとの間に配置され、枝肉を前記供給コンベアから前記第2の切断ラインコンベアへと移送し、
前記計量装置および/または前記撮像装置によって行われた個々の各枝肉の前記決定に基づいて、前記供給コンベアによって運ばれた前記枝肉の各々を区分、すなわち、
- 小さい枝肉大きさ区分、
- 大きい枝肉大きさ区分
に分類するコンピュータによる生産制御システムが用いられ、
前記生産制御システムは、前記小さい枝肉大きさ区分の枝肉が、可能な最大限の度合いで、前記供給コンベアから前記第1の切断ラインコンベアへと移送されるように、前記第1の移送装置を制御し、
前記生産制御システムは、前記大きい枝肉大きさ区分の枝肉が、可能な最大限の度合いで、前記供給コンベアから前記第2の切断ラインコンベアへと移送されるように、前記第2の移送装置を制御する、屠殺された家禽を加工するための方法を提供し、その方法は、
コンピュータによる生産制御システムは、供給コンベアによって運ばれるとともに2つの切断ラインのうちの1つで加工されることになる枝肉の各々を、3つの区分、すなわち、
- 小さい枝肉大きさ区分、
- 大きい枝肉大きさ区分、
- 中間の枝肉大きさ区分
のうちの1つに分類し、
コンピュータによる生産制御システムは、第1の移送装置と第1の切断ラインコンベアとの組合せに関して、および、第2の移送装置と第2の切断ラインコンベアとの組合せに関して、小さい枝肉大きさ区分および大きい枝肉大きさ区分のそれぞれの枝肉を供給コンベアから受け入れる組合せの各々の能力を、リアルタイムで決定し、
生産制御システムは、第1の移送装置と第1の切断ラインコンベアとの組合せに関して、および、第2の移送装置と第2の切断ラインコンベアとの組合せに関して、小さい枝肉大きさ区分および大きい枝肉大きさ区分の枝肉が、可能な最大限の度合いで、それぞれの組合せに振り分けられた状況において、供給コンベアから枝肉を受け入れるそれぞれの残存能力を、リアルタイムで決定し、
生産制御システムは、組合せの各々の決定された残存能力に基づいて、中間の枝肉大きさ区分の枝肉が組合せに対して分配されるように、第1および第2の移送装置を制御する
ことを特徴とする。
【0014】
好ましい実施形態では、枝肉を上記の3つの区分のうちの1つにコンピュータにより分類することは、個々の各枝肉の重量に主としてまたは単独で基づいて行われる。ここで、生産制御システムは、第1の重量制限と、第1の重量制限より高い第2の重量制限とを利用することも考えられる。枝肉は以下のように区分される。
- 枝肉の重量が第1の重量制限を下回る場合は、小さい枝肉大きさ区分。
- 枝肉の重量が、第1の重量制限より高い第2の重量制限を上回る場合は、大きい枝肉大きさ区分。
- 枝肉の重量が第1の重量制限と第2の重量制限との間の場合は、中間の大きさ区分。
【0015】
重量が、コンピュータによる制御システムによって行われる分類ルーチンにおける一次の要因で用いられ、かつ、各枝肉の撮像も行われる場合、制御システムは、撮像結果が分類ルーチンにおける二次の要因として用いられるように構成されてもよい。例えば、枝肉が第1の重量制限または第2の重量制限に近い重量である場合に、重量制限によって範囲が定められる2つの区分のどちらに枝肉が実際に分類されるかを決定するために、撮像結果が用いられてもよい。
【0016】
本発明は、オーブンで温めるだけの枝肉を2つの切断ラインで加工するため、および、オーブンで温めるだけの枝肉全体を3つの区分に区分けするために、中間の枝肉大きさ区分からの枝肉を吸収する切断ラインの残存能力に応じて、中間の枝肉大きさ区分の枝肉を2つの切断ラインのうちの一方に割り当てる自由度を備える制御システムを提供する。
【0017】
鶏の枝肉に関する実際の実施形態では、第1の重量制限と第2の重量制限との間での重量の差は、150から300グラムの間で選択され得る。また、一団の(推定された)割合が、第1の重量制限と第2の重量制限との間の重量、例えば、一団のうちの20%から40%の間の重量を有するように、2つの制限の間の重量の差が選択される方法の実施形態を考えることもできる。
【0018】
本発明の手法は、先行技術の2つの切断ラインを備えた設備での「2つの区分の手法」に関連して上記で説明した不十分な能力の問題を大幅に緩和する一方、同時に、工場の所有者に対して、第3の平行な切断ラインを設けることを省かせることができる。
【0019】
好ましいとされるのは、2つの切断ラインの切断装置が、小さい枝肉大きさ区分または大きい枝肉大きさ区分のそれぞれの枝肉とともに、中間の枝肉大きさ区分の枝肉を加工するように設定されることである。したがって、両ラインは、中間の枝肉大きさ区分からの枝肉を、許容可能な結果で加工するように設定される。
【0020】
好ましい実施形態では、コンピュータによる生産制御システムは、いくつかの選択肢が考えられる不十分能力ルーチンを、リアルタイムで提供する。
【0021】
実施形態では、コンピュータによる生産制御システムは、組合せの一方または両方に関して、小さい枝肉大きさ区分および大きい枝肉大きさ区分のそれぞれの枝肉を、供給コンベアから受け入れる能力が不十分である場合に、リアルタイムで操作者に対して操作者警告信号を提供する。
実施形態では、制御システムは、操作者が、第1の移送装置および第2の移送装置を介することなく、例えば、供給ラインに沿う排出ステーションにおいて枝肉を排出することによって、供給ラインから枝肉をリアルタイムで除去することができるように構成され、その場合には、例えば、枝肉は、切断ラインの加工のために、設備に後で再び導入させることができるように、回収される。
実施形態では、制御システムは、排出ステーションの存在/操作との組合せで、または、単独で、小さい枝肉大きさ区分または大きい枝肉大きさ区分の1つまたは複数の枝肉を3つの区分のうちの別の区分に再び振り分けるために、操作者が、コンピュータによる枝肉の区分の分類の再定義を制御できるように構成されてもよい。これは、枝肉が「不適切な切断ライン」で加工される可能性があるため、このような再定義から得られる家禽製品の品質の低下、肉の損失などを伴う可能性がある。しかしながら、本発明の方法は、2つの切断ラインに関する先行技術の「2つの区分の手法」と比較して、この状況の発生を著しく低下させる。
別の実施形態では、不十分能力ルーチンは、枝肉の元々の分類の再定義を制御するアルゴリズムを含み、その場合、この再定義は、例えば、再定義の提案の認可を要求するために、または、再定義が行われたことを単に示すものとして、操作者に信号で送られる。
また、コンピュータによる制御システムの他の不十分能力ルーチンも可能である。
【0022】
好ましい実施形態では、先行技術から公知のように、移送装置と切断ラインとの組合せの各々が、供給ラインから排出される1つまたは複数の枝肉を一時的に保管することができる緩衝部を備えることも考えられる。緩衝部の存在は、小さい大きさ区分および大きい大きさ区分のすべての枝肉が、適切な切断ラインへと実際に移送され得る可能性を高める。
【0023】
実施形態では、コンピュータによる制御システムは、中間の枝肉大きさ区分の枝肉を2つの切断ラインに対して分配するとき、それら中間の枝肉大きさ区分の枝肉を、何ら追加的に区別することなく、つまり、例えば、実際の重量を考慮するといったことなく、「すべて同じ」として処理することも考えられる。
本システムの代替の実施形態では、この中間の区分の枝肉の実際の枝肉重量は、小さい枝肉大きさの組合せ、または、大きい枝肉大きさの組合せのいずれかへの枝肉の移送における決定過程において、考慮される。
【0024】
実施形態では、3つの区分を定める第1の重量制限および第2の重量制限が、例えば、設備の運転の間の再計算による、「流動的な制限」となり得ることが考えられ、例えば、制限は、加工される新しい一団に対して再設定されるか、または、一団の加工の間に評価される(例えば、一団の代表的な標本群内で検出されたとおりに、重量配分に対する制限を調整する)。
【0025】
実施形態では、小さい枝肉大きさ区分は、枝肉の重量の上限として第1の重量制限Aを有するだけでなく、下限の重量制限も有する。したがって、制御システムは、実施形態では、例えば、非常に軽い枝肉が回収される排出ステーションにおいて、第1の移送装置および第2の移送装置ではなくて他の手段によって、供給コンベアから非常に軽い枝肉を排出するように適合される。
【0026】
実施形態では、大きい枝肉大きさ区分は、枝肉の重量の下限として第2の重量制限Bを有するだけでなく、上限の重量制限も有する。したがって、制御システムは、実施形態では、例えば、非常に重い枝肉が回収される排出ステーションにおいて、第1の移送装置および第2の移送装置ではなくて他の手段によって、供給コンベアから非常に重い枝肉を排出するように適合される。
【0027】
また、方法は、2つの切断ラインのいずれによっても加工されることがなく、例えば、供給ラインによって梱包ステーションまたは回収ステーションに送られることになるといった、別の方法で加工されることになる枝肉を表す別の重量範囲が、コンピュータによる制御システムによって定義されて用いられることも含み得る。例えば、非常に重たい枝肉は、それ自体にさらなる処理が行われることなく、全体がオーブンで温めるだけの枝肉として、回収されて梱包されることも考えられる。
【0028】
また、方法は、特定の枝肉が、例えば、枝肉に行われた初期の観察のためや、枝肉の異常な形状や破損部分のため(例えば、X線撮像によって確かめられる)など、「いずれの切断ラインによっても加工されない」として割り当てられることも含み得る。これらの個々に識別された枝肉は、供給コンベアによって専用の排出ステーションへと送られることも考えることができる。
【0029】
本発明の第1の態様は、運転時に、方法を実施するように適合された家禽加工設備にも関する。
【0030】
本発明の第2の態様は、家禽の切身を切り取るために、例えば前半分といった枝胸肉部が切身ラインで加工される、屠殺された家禽を加工するための方法に関する。
【0031】
オーブンで温めるだけの枝肉全体を各部に切断することについて上記で説明したように、各々がそれぞれの大きさの範囲の枝肉を取り扱うように設定された2つの切断ラインだけを利用することは、一般的であり、十分に受け入れられている。家禽の枝胸肉部を切身にするために、例えば、3つから6つの間の切身ラインといった、2つを超える切身ラインを利用することは公知である。したがって、各切身ラインは、それぞれの大きさ区分の枝胸肉部を取り扱うように設定される。切断と比較して、枝胸肉部をより多いが基本的にはより狭い区分に分類することは、切身加工においてより多くの最適な結果を得るためにそもそも行われる。一般的に、胸の切身は、最も好まれる家禽の肉として評価されている。各切身ラインが、この手法では、比較的小さい大きさ範囲として取り扱うだけであるため、各切身ラインに関する装置および関連する器具は、そのような大きさの範囲に対して最適化させることができる。
【0032】
切断ラインの状況におけるように、工場運用者は、経済的に運用することを好む。実際、これは、切身ラインの組み合わされた能力が、供給コンベアの能力と等しいか、または、その能力を少しだけ上回ることを意味する。そうでなければ、空運転が非経済的な規模で発生することになる。
【0033】
本発明の第2の態様は、切断ラインと関連して説明された「2つの家禽の枝肉部加工ライン、3つの区分の手法」を、改良された切身方法を得るために、有利に用いることもできるという見識に基づいている。
【0034】
本発明の第2の態様は、
屠殺された家禽を加工するための方法であって、
屠殺された家禽の枝胸肉部が供給コンベアによって運ばれ、前記供給コンベアは、次々と流れてくる個々の枝胸肉部を連続的に順番で運び、
個々の各枝胸肉部に、
- 計量装置による個々の前記枝胸肉部の重量の決定、
- 撮像装置による個々の前記枝胸肉部の大きさの決定
のうちの少なくとも一方が行われ、
前記枝胸肉部を切身にするために、Nが2以上の整数であり、少なくとも第1の切身ラインおよび第2の切身ラインを備えるN列の切身ラインが用いられ、
前記切身ラインの各々は、関連する切身ラインコンベアを備え、前記切身ラインコンベアは、無端走路と、前記走路に沿って移動されるとともに、各々が1つの枝胸肉部を支持するように適合されている搬送器具とを備え、
前記切身ラインの各々は、前記走路に沿って配置された1つまたは複数の切身加工装置を備え、前記1つまたは複数の切身加工装置は、切身ラインコンベアの搬送器具によって支持された前記枝胸肉部に切身加工処理を行い、
設備はN個の移送装置を備え、前記移送装置の各々は、前記供給コンベアと前記切身ラインコンベアの各々との間に配置され、枝胸肉部を前記供給コンベアから前記切身ラインコンベアへと移送するようになっており、
前記計量装置および/または前記撮像装置によって行われた個々の各枝胸肉部の前記決定に基づいて、前記供給コンベアによって運ばれた前記枝胸肉部の各々を、第1の枝胸肉部大きさ区分および第2の枝胸肉部大きさ区分を少なくとも含みつつ各々が異なる大きさの枝胸肉部を収めるN個の区分のうちの1つの枝胸肉部大きさ区分に分類するコンピュータによる生産制御システムが用いられ、
前記生産制御システムは、前記枝胸肉部大きさ区分の各々における枝胸肉部が、可能な最大限の度合いで、前記供給コンベアからそれぞれの前記切身ラインコンベアへと移送されるように、前記移送装置の各々を制御する、
屠殺された家禽を加工するための方法において、
前記コンピュータによる生産制御システムは、各1対の隣接する前記枝胸肉部区分同士の間の中間の枝胸肉部大きさ区分を用い、
前記コンピュータによる生産制御システムは、前記供給コンベアによって運ばれるとともに、前記1対の隣接する胸肉部区分同士のうちの一方に各々が対応する2つの切身ラインのうちの一方によって加工されることになる前記枝胸肉部の各々を、3つの区分、すなわち、
- 前記第1の枝胸肉部大きさ区分、
- 前記第2の枝胸肉部大きさ区分、
- 中間の枝胸肉部大きさ区分
のうちの1つに分類し、
前記コンピュータによる生産制御システムは、前記第1の切身ラインコンベアと対応する前記第1の移送装置との組合せに関して、および、前記第2の切身ラインコンベアと対応する前記第2の移送装置との組合せに関して、前記第1の枝胸肉部の大きさ区分および前記第2の枝胸肉部の大きさ区分のそれぞれの枝胸肉部を前記供給コンベアから受け入れる前記組合せの各々の能力を、リアルタイムで決定し、
前記生産制御システムは、前記第1の移送装置と前記第1の切身ラインコンベアとの組合せに関して、および、前記第2の移送装置と前記第2の切身ラインコンベアとの組合せに関して、前記第1の枝胸肉部大きさ区分および前記第2の枝胸肉部大きさ区分の前記枝胸肉部が、可能な最大限の度合いで、それぞれの前記組合せに振り分けられた状況において、前記供給コンベアから枝胸肉部を受け入れるそれぞれの残存能力を、リアルタイムで決定し、
前記生産制御システムは、前記中間の枝胸肉部大きさ区分の前記枝胸肉部が、前記組合せの各々の決定された前記残存能力に基づいて、前記組合せに対して分配されるように、前記第1および第2の移送装置を制御する方法を提供する。
【0035】
この方法では、屠殺された家禽の枝胸肉部が供給コンベアによって運ばれ、供給コンベアは、次々と流れてくる個々の枝胸肉部分を連続的に順番で運ぶ。
【0036】
供給コンベアは、枝胸肉部が連続的に順番で運ばれるベルトコンベアとして具体化することができると考えられ、好ましくは、1つの胸部が搬送の方向において隣の胸部から離間されている。別の設計では、供給コンベアは、個々の各胸部に対して、搬送器具または容器を備えてもよい。
【0037】
個々の各枝胸肉部に、
- 計量装置による個々の枝胸肉部の重量の決定、
- 撮像装置による個々の枝胸肉部の大きさの決定
のうちの少なくとも一方が行われると考えられる。
【0038】
枝胸肉部を切身にするために、Nが2以上の整数であり、少なくとも第1の切身ラインおよび第2の切身ラインを備えるN列の切身ラインが用いられる。各切身ラインは、それぞれの枝胸肉部大きさ区分に分類された枝肉部を加工するために、設定および使用される。
【0039】
例えば、2つの切身ラインの状況では、1つの切身ラインが比較的小さい大きさの胸部を処理するために設定され、他の切身ラインが比較的大きい大きさの胸部を処理するために設定されることが考えられる。
【0040】
切身ラインの各々は、関連する切身ラインコンベアを備え、切身ラインコンベアは、無端走路と、走路に沿って移動されるとともに、各々が1つの枝胸肉部を支持するように適合されている搬送器具とを備える。搬送器具は、例えば、胸部の体内空洞部内に導入される錐体もしくは心棒として、または、胸部が留め付けられる支持ブロックとして、具体化されてもよい。
【0041】
各切身ラインは、例えば、切断、掻爬、皮除去などの1つまたは複数のための器具を備えた1つまたは複数の切身加工装置を備え、それら切身加工装置は走路に沿って配置される。これら1つまたは複数の切身加工装置は、切身ラインコンベアの搬送器具によって支持された枝胸肉部に切身加工処理を行う。望ましい場合、公知のように、切身ラインは、主に手作業で切身処理を行うために人員を配置できる1つまたは複数の切身作業者ステーションを備えてもよい。
【0042】
切身ラインは、枝胸肉部から、内部切身および/または外部切身だけでなく、背肉および肩肉など、可能であれば切身と一体のままとされる1つまたは複数の他の肉部分を、枝胸肉部から除去するように構成されてもよい。
【0043】
望ましい場合、切身ラインは、例えば、翼または首を除去するために、一部分が切身ラインの搬送器具によって保持される枝胸肉部から切断されない切断処理を行う1つまたは複数の切断装置を備えてもよい。その例は、EP1917859に開示されている。
【0044】
設備はN個の移送装置を備え、移送装置の各々は、供給コンベアと切身ラインコンベアの各々との間に配置され、枝胸肉部を供給コンベアから切身ラインコンベアへと移送するようになっている。
【0045】
例えば、第1の移送装置は、供給コンベアと第1の切身ラインコンベアとの間に配置され、枝胸肉部を供給コンベアから第1の切身ラインコンベアへと移送する。第2の移送装置は、供給コンベアと第2の切身ラインコンベアとの間に配置され、枝肉を供給コンベアから第2の切身ラインコンベアへと移送する。
【0046】
これらの移送装置は、例えば、コンベアベルト、および、枝肉部を移送装置のコンベアベルトに置くために供給コンベアから枝肉部を排出する関連する排出装置としてそれぞれ具体化されてもよい。移送装置にコンベアベルトのある実施形態では、人員が枝胸肉部をベルトから拾い上げて切身ラインの搬送器具に置く実施形態が考えられる。移送装置は、代替で、枝胸肉部を、例えば、供給コンベアから直接的に、または、移送装置の一部を形成するコンベアから切身ラインの搬送器具へと自動で移送するように、具体化されてもよい。
【0047】
本発明の第2の態様では、計量装置および/または撮像装置によって行われた個々の各枝胸肉部の決定に基づいて、供給コンベアによって運ばれた枝胸肉部の各々を、第1の枝胸肉部大きさ区分および第2の枝胸肉部大きさ区分を少なくとも含みつつ各々が異なる大きさの枝胸肉部を収めるN個の区分のうちの1つの枝胸肉部大きさ区分に分類するコンピュータによる生産制御が用いられる。
【0048】
生産制御システムは、枝胸肉部大きさ区分の各々における枝胸肉部が、可能な最大限の度合いで、供給コンベアからそれぞれの切身ラインコンベアへと移送されるように、移送装置の各々を制御する。
【0049】
コンピュータによる生産制御システムは、各1対の隣接する枝胸肉部区分同士の間の中間の枝胸肉部大きさ区分を用いる。
【0050】
コンピュータによる生産制御システムは、供給コンベアによって運ばれるとともに、1対の隣接する胸肉部区分のうちの一方に各々が対応する2つの切身ラインのうちの一方によって加工されることになる枝胸肉部の各々を、3つの区分、すなわち、
- 第1の枝胸肉部大きさ区分、
- 第2の枝胸肉部大きさ区分、
- 中間の枝胸肉部大きさ区分
のうちの1つに分類する。
【0051】
コンピュータによる生産制御システムは、第1の切身ラインコンベアと対応する第1の移送装置との組合せに関して、および、第2の切身ラインコンベアと対応する第2の移送装置との組合せに関して、第1の枝胸肉部の大きさ区分および第2の枝胸肉部の大きさ区分のそれぞれの枝胸肉部を供給コンベアから受け入れる組合せの各々の能力を、リアルタイムで決定する。
【0052】
生産制御システムは、第1の移送装置と第1の切身ラインコンベアとの組合せに関して、および、第2の移送装置と第2の切身ラインコンベアとの組合せに関して、第1の枝胸肉部大きさ区分および第2の枝胸肉部大きさ区分の枝胸肉部が、可能な最大限の度合いで、それぞれの組合せに振り分けられた状況において、供給コンベアから枝胸肉部を受け入れるそれぞれの残存能力を、リアルタイムで決定する。
【0053】
生産制御システムは、中間の枝胸肉部大きさ区分の枝胸肉部が、組合せの各々の決定された残存能力に基づいて、組合せに対して分配されるように、第1および第2の移送装置を制御する。
【0054】
当業者は、2つ以上の切身ラインと、N個の区分のうちの1つ、または、1つまたは複数の中間区分のうちの1つに切身にされることになる枝胸肉部を分類するコンピュータによる制御システムとを備えたこの方法は、切断ラインを備えた方法に関連して上記で説明したように、生産量の向上と、操作者の労力の低減と、限定的な投資および運用コストとの同じ利点をもたらすことを理解することであろう。
【0055】
好ましい実施形態では、枝肉を第1の区分もしくは第2の区分、または中間の区分へとコンピュータにより分類することは、個々の各枝肉の重量に主としてまたは単独で基づいて行われる。ここで、生産制御システムは、第1の重量制限と、第1の重量制限より高い第2の重量制限とを利用することも考えられる。そして、枝肉は以下のように区分される。
- 枝肉の重量が第1の重量制限を下回る場合は、第1の枝肉大きさ区分。
- 枝肉の重量が、第1の重量制限より高い第2の重量制限を上回る場合は、第2の枝肉大きさ区分。
- 枝肉の重量が第1の重量制限と第2の重量制限との間の場合は、中間の大きさ区分。
【0056】
本発明の第2の態様では、重量が、コンピュータによる制御システムによって行われる分類ルーチンにおける一次の要因で用いられ、かつ、各枝胸肉部の撮像も行われる場合、制御システムは、撮像結果が分類ルーチンにおける二次の要因として用いられるように構成されてもよい。例えば、枝胸肉部が第1の重量制限または第2の重量制限に近い重量である場合、重量制限によって範囲が定められる2つの区分のどちらに枝胸肉部が実際に分類されるかを決定するために、撮像結果が用いられてもよい。
【0057】
本発明の手法は、先行技術の2つの切断ラインを備えた設備での「2つの区分の手法」に関連して上記で説明した不十分な能力の問題の頻繁な発生を大幅に回避する。この問題は、N列の切身ラインを備えた工場においても起こる。
【0058】
本発明の第1の態様に関連して説明したように、好ましい実施形態では、コンピュータによる生産制御システムは、前述と同じ選択肢が考えられる不十分能力ルーチンを、リアルタイムで提供する。
【0059】
好ましい実施形態では、先行技術から公知のように、移送装置と切身ラインとの組合せの各々は、供給ラインから排出される1つまたは複数の枝胸肉部を一時的に保管することができる緩衝部を備えることも考えられ、この緩衝部は、例えば、移送装置のベルトコンベアによって形成される。緩衝部の存在は、比較的小さい枝胸肉部大きさ区分および比較的大きい枝胸肉部大きさ区分のすべての枝胸肉部が、適切な切身ラインへと実際に移送され得る可能性を高める。
【0060】
実施形態では、まさに本発明の第1の態様において、コンピュータによる制御システムは、中間の枝胸肉部大きさ区分の枝胸肉部を、隣り合う枝肉部大きさ区分を取り扱う1対の切身ラインの2つの切身ラインに対して分配するとき、それら中間の枝胸肉部大きさ区分の枝胸肉部を、何ら追加的に区別することなく、つまり、例えば、実際の重量を考慮するといったことなく、「すべて同じ」として処理することも考えられる。
【0061】
本システムの代替の実施形態では、この中間の区分の枝胸肉部の実際の重量は、比較的小さい枝肉大きさの組合せ、または、比較的大きい枝肉大きさの組合せのいずれかへの枝胸肉部の移送における決定過程において、考慮される。
【0062】
本発明の第1の態様に関連して説明したように、実施形態では、3つの区分を定める第1の重量制限および第2の重量制限が、流動的な制限となり得ることが考えられる。
【0063】
また、方法は、特定の枝胸肉部が、例えば、枝肉に行われた初期の観察のためや、枝肉の異常な形状や破損部分のため(例えば、X線撮像によって確かめられる)など、「いずれの切身ラインによっても加工されない」として割り当てられることも含み得る。これらの個々に識別された枝胸肉部は、供給コンベアによって専用の排出ステーションへと送られることも考えることができる。
【0064】
家禽の切身ラインに関しては、供給コンベアと切身ラインのコンベアとの間で移送装置を省くことも公知となっている。したがって、枝胸肉部は、供給コンベアから切身ラインコンベアの搬送器具へと直接的に移動される。その例は、EP1498036に開示されている。
【0065】
そのため、本発明の第2の態様は
また、屠殺された家禽の枝胸肉部が供給コンベアによって運ばれ、前記供給コンベアは、無端走路と、前記走路に沿って移動されるとともに、各々が1つの枝胸肉部を支持するように適合されている搬送器具とを備え、例えば、前記枝胸肉部は、前記搬送器具からそれの脚によって吊り下げられたオーブンで温めるだけの枝肉から部分的に切り離され、
個々の各枝胸肉部に、
- 計量装置による個々の前記枝胸肉部の重量の決定、
- 撮像装置による個々の前記枝胸肉部の大きさの決定
のうちの少なくとも一方が行われ、
前記枝胸肉部を切身にするために、第1の切身ラインと第2の切身ラインとが用いられ、
前記切身ラインの各々は、関連する切身ラインコンベアを備え、前記切身ラインコンベアは、無端走路と、前記走路に沿って移動されるとともに、各々が1つの枝胸肉部を支持するように適合されている搬送器具とを備え、
前記切身ラインの各々は、前記走路に沿って配置された1つまたは複数の切身加工装置を備え、前記1つまたは複数の切身加工装置は、切身ラインコンベアの搬送器具によって支持された前記枝胸肉部に切身加工処理を行い、
前記第1の切身ラインおよび前記第2の切身ラインの各々の前記切身ラインコンベアは、前記供給コンベアの搬送器具からの枝胸肉部の移送を、前記切身ラインの搬送器具へと向かわせるように適合され、前記切身ラインコンベアの前記搬送器具の各々は、例えば、前記供給コンベアに対して受取位置および非受取位置に命令で選択的に移動可能であり、枝胸肉部が前記供給コンベアの搬送器具から前記切身ラインコンベアの搬送器具へと移送される場合には、前記受取位置へと移動され、
前記計量装置および/または前記撮像装置によって行われた個々の各枝胸肉部の前記決定に基づいて、前記供給コンベアによって運ばれた前記枝胸肉部の各々を、第1の枝胸肉部大きさ区分および第2の枝胸肉部大きさ区分を少なくとも含みつつ各々が異なる大きさの枝胸肉部を収めるN個の区分のうちの1つの枝胸肉部大きさ区分に分類するコンピュータによる生産制御システムが用いられ、
前記生産制御システムは、前記枝胸肉部大きさ区分の各々における枝胸肉部が、可能な最大限の度合いで、前記供給コンベアからそれぞれの前記切身ラインコンベアへと移送されるように、各移送を制御する、
屠殺された家禽を加工するための方法において、
前記コンピュータによる生産制御システムは、各1対の隣接する前記枝胸肉部区分同士の間の中間の枝胸肉部大きさ区分を用い、
前記コンピュータによる生産制御システムは、前記供給コンベアによって運ばれるとともに、前記1対の隣接する胸肉部区分のうちの一方に各々が対応する2つの切身ラインのうちの一方によって加工されることになる前記枝胸肉部の各々を、3つの区分、すなわち、
- 前記第1の枝胸肉部大きさ区分、
- 前記第2の枝胸肉部大きさ区分、
- 中間の枝胸肉部大きさ区分
のうちの1つに分類し、
前記コンピュータによる生産制御システムは、前記第1の切身ラインコンベアに関して、および、前記第2の切身ラインコンベアに関して、前記第1の枝胸肉部の大きさ区分および前記第2の枝胸肉部の大きさ区分のそれぞれの枝胸肉部を前記供給コンベアから受け入れる組合せの各々の能力を、リアルタイムで決定し、
前記生産制御システムは、前記第1の切身ラインコンベアに関して、および、前記第2の切身ラインコンベアに関して、前記第1の枝胸肉部大きさ区分および前記第2の枝胸肉部大きさ区分の前記枝胸肉部が、可能な最大限の度合いで、それぞれの前記組合せに振り分けられた状況において、前記供給コンベアから枝胸肉部を受け入れるそれぞれの残存能力を、リアルタイムで決定し、
前記生産制御システムは、前記中間の枝胸肉部大きさ区分の前記枝胸肉部が、前記第1の切身ラインおよび前記第2の切身ラインの各々の決定された前記残存能力に基づいて、前記第1の切身ラインおよび前記第2の切身ラインに対して分配されるように、前記移送を制御する方法を提供する。
【0066】
この方法では、屠殺された家禽の枝胸肉部が供給コンベアによって運ばれ、供給コンベアは、無端走路と、走路に沿って移動されるとともに、各々が1つの枝胸肉部を支持するように適合されている搬送器具とを備え、切身ラインの各々の切身ラインコンベアは、供給コンベアの搬送器具からの枝胸肉部の移送を、切身ラインの搬送器具へと向かわせるように適合される。
【0067】
この方法が本発明の第2の態様の別の変形に関連して説明したのと同じ利点を提供することは、当業者は理解することになる。
【0068】
例えば、欧州特許第1498036号に例示されるように、供給コンベアは、搬送器具からそれの脚によって吊り下げられたオーブンで温めるだけの枝肉から枝胸肉部が部分的に切り離された状況において、枝胸肉部を運ぶことができ、残りの連結部分は、移送が起こるときに破壊される。
【0069】
切身ラインコンベアの搬送器具は、コンベアの走路に対して様々に配置されている作動装置機構の命令で、選択的に移動可能であるかもしれず、また、搬送器具は、例えば、枝胸肉部の体内空洞部内に挿入可能な錐体または心棒を備える。例えば、錐体または心棒は、走路で導かれる搬送器具の基部に対して、例えば、水平軸および垂直軸といった、1つまたは複数の軸の周りに命令で回転可能である。
【0070】
切身ラインの選択的に移動可能な搬送器具を備えた実施形態では、各搬送器具が、供給コンベアに対して受取位置および非受取位置に、作動装置機構の命令で選択的に移動可能な他の搬送器具から独立しており、枝胸肉部が供給コンベアの搬送器具から切身ラインコンベアの搬送器具へと移送される場合には、受取位置へと移動されることが考えられる。これは、例えば、欧州特許第1498036号に示されている。
【0071】
本発明の第2の態様は、運転時に、方法を実施するように適合された家禽加工設備にも関する。
【0072】
本発明は、以下において、図面を参照しつつ説明される。