(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の前記発電入力装置を少なくとも1つ備え、前記操作部材が操作された時に前記発電用コイルから得られる起電力によって駆動される信号処理回路と送信回路と、を有していることを特徴とする電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る発電入力装置100を添付の図面を参照に説明する。
図1は、第1実施形態の発電入力装置100の外観を示す図で、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【0031】
本発明の第1実施形態に係る発電入力装置100は、
図1(a)及び
図1(b)に示す様に、ケース2の上面にスペーサ4を載置し、さらにその上面に上カバー1が載置された、略直方状の外形で、上カバー1に突出する操作部材3の操作ノブ部3aがスライド操作されると発電する。
【0032】
次に、第1実施形態の発電入力装置100の部品構成を、
図2及び
図3を参照に、説明する。
図2は発電入力装置100の構成を示す分解斜視図である。また、
図3は回動体17の構成を示す、回動体17の分解斜視図である。
【0033】
ケース2は発電入力装置100のベースとなる部品で、成形材等で上面が開放した略箱状に形成され、内側に回動体収容部2aとコイル収容部2bを有する。また、回動体収容部2aの側壁側には、後述する回動体17の回動軸8aを回動可能に支持する回動軸受け部2cを有する。
【0034】
操作部材3は略板状に形成され、上面の一部が突出し、操作ノブ部3aとなる。また操作ノブ部3aの下面側は略矩形状に窪んだ回動体駆動穴3b(
図5参照)が設けられている。
【0035】
スペーサ4は略板状で、操作部材3の操作ノブ部3aと略対向する部分に駆動開口部4aを有する。
【0036】
上カバー1は略板状に形成され、上面には操作ノブ部3aが挿通される操作開口部1aが設けられ、上面の両短辺側には、ケース2と係合される腕部がそれぞれ下方に突出して設けられている。また、下面には操作部材3を摺動可能に支持する窪み部が設けられている。
【0037】
磁路形成部材18はセンタヨーク10とバックヨーク11よりなり、センタヨーク10及びバックヨーク11は、それぞれ軟鉄等の軟磁性の磁性材料で形成されている。
【0038】
センタヨーク10は平坦な略板状をしており、バックヨーク11は板状の素材が略C字状に形成されている。センタヨーク10の短辺側の一方の端面と、バックヨーク11の短辺側の一方の端面が、互いに空間を隔てて対向し、それぞれ第1対向端面18a及び第2対向端面18bとなる。
【0039】
発電用コイル9は糸巻き状のボビン9bにコイルが巻回され、コイルの端部はボビン9bに埋設された接続端子9cに接続されている。ボビン9bの中央にはセンタヨーク10が挿入される開口部が設けられており、コイルは開口部を周回する様に巻回されている。
【0040】
回動体17は磁石ホルダ8と、磁石5(
図3参照),第1磁化板6及び第2磁化板7で構成される。
【0041】
次に、
図3を参照して、構成部品を説明する。
【0042】
磁石ホルダ8は成形材等の非磁性材で形成され、中央に略矩形に開口した収容部8cを有する略板状の本体部8dと、本体部8dの2辺から上方に突出する2つの腕部を有し、2つの腕部の先端側が係合軸8bにより連結されている。また、腕部が突出する2つの辺側の端面の略中央には、外方に突出する略円柱状の回動軸8aがそれぞれ設けられている。
【0043】
磁石5はネオジム磁石等の永久磁石材料で磁石ホルダ8の収容部8cの内寸と略同一寸法の略矩形の板状に形成される。着磁方向Mzdは板状の主面の一方側である第1磁極面5aと、主面の他方側である第2磁極面5bをつなぐ方向で、第1磁極面5aと第2磁極面5bの距離、すなわち磁石5の厚さはセンタヨーク10の第1対向端面18a及びバックヨーク11の第2対向端面18bの高さと少なくとも同等、またはそれ以上とされている。
【0044】
第1磁化板6及び第2磁化板7は軟磁性体で略板状に形成され、回動軸8aの軸方向と平行となる端面は、第1磁化板6及び第2磁化板7が回動体17に組み込まれた時、端面の断面形状が回動軸8aを中心とした部分円弧となる様な形状とされている。
【0045】
磁石ホルダ8の収容部8cには磁石5が収容され、磁石5の第1磁極面5aに第1磁化板6が、第2磁極面5bに第2磁化板7が、それぞれ吸着され、磁石5が第1磁化板6と第2磁化板7の間に積層された構造となっている。これにより磁石5の磁束は軟磁性体の第1磁化板6及び第2磁化板7を通過し、第1磁化板6が磁石5の一方の磁極となり第2磁化板7が磁石5の他方の磁極となる。また、また、磁石5の外径寸法は磁石ホルダ8の収容部8cの内寸と略同一としてあるので、回動軸8aを中心として回動体17を回動させると、磁石5の厚さ方向及び幅方向の略中央が磁石5の回動中心となり、磁石5の回動中心と回動軸8の中心軸は一致し、第1磁化板6と第2磁化板7は回動中心をはさみ軸対称な姿勢位置となる。
【0046】
次に、
図4を参照に、磁路形成部材18への発電用コイル9の組み込み状態を説明する。
図4は発電用コイル9を磁路形成部材18に組み込み、センタヨーク10及びバックヨーク11の長手方向の中央を通る面で切断した場合の斜視図である。
【0047】
センタヨーク10はボビン9bの中央の開口部に挿入され、センタヨーク10の第1対向端面18a及びセンタヨーク10の他方側の端面18cが、ボビン9bの両端面からそれぞれ突出する。
【0048】
バックヨーク11は、センタヨーク10の他方側の端面18c側の下面にバックヨーク11の他方側の端面18dが当接する様に組み立てられ、センタヨーク10の第1対向端面18aとバックヨーク11の第2対向端面18bが空間を隔てて対向する。
【0049】
次に、
図5を参照して、第1実施形態の発電入力装置100の組み立て構造を説明する。
図5は、回動体17が、第1姿勢と第2姿勢の中間位置で、第1磁化板6、および第2磁化板7が、第1対向端面18aと第2対向端面18bの対向方向と平行である時の、発電入力装置100の
図1のA−A断面図である。なお、以下、第1磁化板6、および第2磁化板7が、第1対向端面18aと第2対向端面18bの対向方向と平行となる回動体17の位置を中立姿勢と記述する。
【0050】
バックヨーク11はケース2の底面側に取り付けられ、発電用コイル9はボビン9bにセンタヨーク10が挿入された状態で、ケース2のコイル収容部2bに収容される。これによりセンタヨーク10の第1対向端面18aとバックヨーク11の第2対向端面18bがケース2の回動体収容部2aの内壁に露出して対向する。
【0051】
ケース2の回動体収容部2aには回動体17の一部が収容され、回動体17の回動軸8a(
図2参照)がケース2の回動軸受け部2c(
図2参照)に回動自在に支持される事により、回動体17は回動体収容部2aにて回動可能となる。ケース2の回動体収容部2aの内壁にはセンタヨーク10の第1対向端面18aとバックヨーク11の第2対向端面18bが対向して露出しており、回動体17の回動軸8aがケース2の回動軸受け部2cに支持されると、第1対向端面18aと第2対向端面18bの対向方向と回動軸8aは直交する。
【0052】
ケース2の上面側にはスペーサ4が載置され、スペーサ4の上面には操作部材3が載置され、さらにその上方に上カバー1が取り付けられる。このとき、操作部材3はスペーサ4の上面と上カバー1の下面の窪み部に摺動可能に支持される。また、回動体17の係合軸8bはスペーサ4の駆動開口部4aに挿通され、操作部材3の回動体駆動穴3bに挿入される。これにより、回動体17は操作部材3の摺動に伴い回動させられるが、係合軸8bが回動する方向の、回動体駆動穴3bの幅Wは係合軸8bの太さdより大きいので、回動体17は操作部材3の摺動に伴い回動させられるとともに、回動体駆動穴3bの幅Wの範囲で回動する事も可能となる。
【0053】
次に、
図5及び
図6を参照に、第1実施形態の発電入力装置100において、回動体17が回動した時の磁束FXの状況を説明する。
図6は回動体17が回動した時の磁束FXの状況を示す
図1のA−A位置の断面図で、(a)は回動体17が第1姿勢にある時、(b)は回動体17が第2姿勢にある時である。なお、
図6では磁束FXの流れを理解しやすくするため、断面のハッチングの記入を省略している。
【0054】
はじめに、
図5を参照して、回動体17が中立姿勢にある場合について説明する。
【0055】
磁石5の着磁方向Mzdは、
図3に示す様に、第1磁極面5aと第2磁極面5bが対向する方向であるので、第1磁化板6は一方の磁極となり、第2磁化板7は他方の磁極となる。また、第1磁化板6及び第2磁化板7は磁石ホルダ8の収容部8c(
図3参照)に収容された磁石5の第1磁極面5aと第2磁極面5bにそれぞれ吸着されているので、磁石5の高さ、すなわち磁石ホルダ8の本体部8dの高さ分だけ距離を隔てて対向している。
【0056】
回動体17が中立姿勢にある時は、センタヨーク10の第1対向端面18a及びバックヨーク11の第2対向端面18bには磁石ホルダ8の本体部8dの両端面がそれぞれ対向し、第1磁化板6及び第2磁化板7は、センタヨーク10に平行で、磁石ホルダ8の本体部8dの高さ分だけ距離を隔てた位置にある。
【0057】
磁石5は本体部8dの内側の収容部8c(
図3参照)に収容されており、磁石5の厚さは第1対向端面18a及び第2対向端面18bの高さと少なくとも同等、またはそれ以上であるので、磁石5からの磁束FXは直接センタヨーク10またはバックヨーク11に流れる事はできない。従って、例えば、
図5に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、磁束は第1磁化板6の一方の端面から出てセンタヨーク10の第1対向端面18a付近を通過して第2磁化板7の一方の端面に入ると共に、第1磁化板6の他方の端面からも出てバックヨーク11の第2対向端面18b付近を通過して第2磁化板7の他方の端面に入る。従って、磁束は第1磁化板6から出て、センタヨーク10の端部付近及びバックヨーク11の端部付近を通過して第2磁化板7に戻り、センタヨーク10とバックヨーク11からなる磁路形成部材中には磁束は流れない。
【0058】
また、中立姿勢では、第1磁化板6の一方の端面と第2磁化板7の一方の端面は、いずれもセンタヨーク10に磁気的に吸引され、第1磁化板6の他方の端面と第2磁化板の他方の端面は、いずれもバックヨーク11に磁気的に吸引される。この場合、もし、第1磁化板6の一方の端面がセンタヨーク10に吸引される吸引力と、第2磁化板7の一方の端面がセンタヨーク10に吸引される吸引力と、が等しく、第1磁化板6の他方の端面がバックヨーク11に吸引される吸引力と、第2磁化板7の他方の端面がバックヨーク11に吸引される吸引力と、が等しいと、回動体17は中立姿勢で停止する。
【0059】
しかしながら、これらの力が等しくなる事は困難で、特に、磁石5の厚さを第1対向端面18a及び第2対向端面18bの高さと同等、またはそれ以上としたので、第1磁化板6の一方の端面がセンタヨーク10に吸引される吸引力,第2磁化板7の一方の端面がセンタヨーク10に吸引される吸引力,第1磁化板6の他方の端面がバックヨーク11に吸引される吸引力、及び第2磁化板7の他方の端面がバックヨーク11に吸引される吸引力は全て、回動体17を回転させる様にはたらき、中立姿勢では回動体17は不安定となり、もし、センタヨーク10及びバックヨーク11が第1磁化板6の両方の端面及び第2磁化板7の両方の端面をそれぞれ吸引する吸引力のうちのいずれかが、他の吸引力より僅かにでも強いと、回動体17は吸引力の強い方向に回動し、これにより、僅かに強い吸引力がさらに強くなり、回動体17は、以下に記載する、第1姿勢または第2姿勢の位置まで回動する。
【0060】
次に、
図6を参照にして、回動体17が傾斜して停止する第1姿勢及び第2姿勢について説明する。
【0061】
第1姿勢では、
図6(a)に示す様に、隙間を介して第1磁化板6の一方側の端面がセンタヨーク10の第1対向端面18aに対向し、第2磁化板7の他方側の端面が隙間を介してバックヨーク11の第2対向端面18bに対向している。また、第2姿勢では、
図6(b)に示す様に、隙間を介して第1磁化板6の他方側の端面がバックヨーク11の第2対向端面18bに対向し、隙間を介して第2磁化板7の一方側の端面がセンタヨーク10の第1対向端面18aに対向している。
【0062】
第1姿勢では第1磁化板6の一方側の端面がセンタヨーク10の第1対向端面18aに対向し、第2磁化板7の他方側の端面がバックヨーク11の第2対向端面18bに対向しているので、例えば、
図6(a)に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、磁束FXは第1磁化板6の一方の端面から出てセンタヨーク10の第1対向端面18aに入り、センタヨーク10中を第1対向端面18aから他方の端面に向かう方向に流れ、のち、バックヨーク11の中を他方の端面から第2対向端面18bに向かう方向に流れ、バックヨーク11の第2対向端面18bから第2磁化板7の他方の端面に入る。
【0063】
これに対し、第2姿勢では第1磁化板6の他方側の端面がバックヨーク11の第2対向端面18bに対向し、第2磁化板7の一方側の端面がセンタヨーク10の第1対向端面18aに対向しているので、例えば、
図6(b)に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、磁束FXは第1磁化板6の他方の端面から出てバックヨーク11の第2対向端面18bに入り、バックヨーク11中を第2対向端面18bから他方の端面に向かう方向に流れ、のち、センタヨーク10の中を他方の端面から第1対向端面18aに向かう方向に流れ、センタヨーク10の第1対向端面18aから第2磁化板7の一方の端面に入る。
【0064】
従って、第1姿勢と第2姿勢ではセンタヨーク10とバックヨーク11からなる磁路形成部材18中を流れる磁束FXの向きが逆となる。
【0065】
なお、第1姿勢及び第2姿勢のいずれの場合でも、第1磁化板6及び第2磁化板7の磁束FXが通過しない側の端面は、センタヨーク10の第1対向端面18aまたはバックヨーク11の第2対向端面18bから磁石ホルダ8の本体部8dの高さ分だけ離れた位置にある為、上記の磁束FXの流れ方には影響を及ぼさない。
【0066】
また、第1姿勢及び第2姿勢のいずれの場合でも、回動体17が回動し第1姿勢または第2姿勢となった時、第1磁化板6の端面または第2磁化板7の端面と、センタヨーク10の第1対向端面18aまたはバックヨーク11の第2対向端面18bが対向する対向面積が、いずれも極大となるので、第1磁化板6の端面及び第2磁化板7の端面と、センタヨーク10の第1対向端面18a及びバックヨーク11の第2対向端面18bとの間を流れる磁束FXは極大となり、第1磁化板6の端面及び第2磁化板7の端面と、センタヨーク10の第1対向端面18a及びバックヨーク11の第2対向端面18bとの磁気吸引力も極大となる。
【0067】
従って、回動体17が第1姿勢または第2姿勢になると、回動体17は第1姿勢または第2姿勢で安定する。また、回動体17が回動して第1姿勢または第2姿勢に近づくと、回動体17は第1姿勢または第2姿勢まで回動して停止する。
【0068】
なお、回動体17が第1姿勢または第2姿勢まで回動しても、第1磁化板6の端面及び第2磁化板7の端面は、センタヨーク10の第1対向端面18aまたはバックヨーク11の第2対向端面18bと、いずれも隙間を介して対向しており、第1磁化板6の端面及び第2磁化板7の端面は、センタヨーク10の第1対向端面18aまたはバックヨーク11の第2対向端面18bのいずれとも接触していない。
【0069】
また、回動体17が第1姿勢から第2姿勢まで往復回動する途中でも、第1磁化板6の端面及び第2磁化板7の端面は、センタヨーク10の第1対向端面18aまたはバックヨーク11の第2対向端面18bのいずれとも接触しない。これにより、回動体17が回動しても、回動体17と磁路形成部材18との接触や衝突による損耗や摩耗は発生しない。
【0070】
センタヨーク10は発電用コイル9のボビン9bの開口部に挿入されているので、発電用コイル9のコイルはセンタヨーク10を流れる磁束FXと直交する様に巻かれている事となり、センタヨーク10を流れる磁束FXの大きさや方向が変化すると、発電用コイル9には電磁誘導による起電力が発生する。
【0071】
なお、
図5及び
図6(a),(b)に記載した磁束FXを表す矢印は磁束の流れを概念的に表示したもので、詳細な磁束の分布を示すものではない。また、磁束の流れ方を理解しやすい様に、磁束を分断して矢印を付したが、実際の磁束は連続しており、途切れる事はない。
【0072】
次に、
図7及び
図8を参照にして、第1実施形態の発電入力装置100の操作部材3が操作された時の、回動体17の動きと発電用コイル9の発電作用を説明する。
図7及び
図8は操作部材3が操作された時の発電入力装置100の状態を示す、
図1のA−A位置の断面図である。
図7(a)は、操作部材3の操作ノブ部3aが発電用コイル9に近い位置にある時で、以降、操作部材3がこの位置にある状態を左側と記載する。
図7(b)は回動体17が操作部材3により中立姿勢となるまで回動された状態で、
図8(a)は回動体17が操作部材3により中立姿勢となるまで回動され、のち、回動体17が磁気吸引力Fmによりさらに回動した状態である。また、
図8(b)は操作部材3の操作ノブ部3aが発電用コイル9から遠い位置まで操作された時で、以降、操作部材3がこの位置にある状態を右側と記載する。なお、
図7及び
図8では、磁束の流れを記入する為、磁石5,第1磁化板6,第2磁化板7及び磁路形成部材18のそれぞれの断面へのハッチングを記入していない。
【0073】
操作部材3が左側にある時に、
図7(a)に示す様に、操作者が操作部材3を右方向D1に移動させようとすると、回動体17の係合軸8bは操作部材3の回動体駆動穴3bの一方の内壁に操作方向に押圧されるが、回動体17は前述の第1姿勢にあり、操作部材3を操作方向とは反対方向に移動させる方向の磁気吸引力Fmを受ける。この為、操作部材3が左側にある時に操作部材3が右方向D1に移動させられると、回動体17は操作部材3の回動体駆動穴3bの一方の内壁に当接しながら、第1姿勢から中立姿勢の方向に回動させられる。
【0074】
この時、例えば、
図7(a)に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、センタヨーク10中を流れる磁束FXはセンタヨーク10の第1対向端面18a側から一方の端面に向かう方向に流れる。また操作部材3の右方向D1への移動に伴い回動体17が中立姿勢の方向に回動すると、回動体17の第1磁化板6の一方の端面とセンタヨーク10の第1対向端面18aとの対向面積、及び第2磁化板7の他方の端面とバックヨーク11の第2対向端面18bとの対向面積が減少する為、センタヨーク10中を流れる磁束FXは減少する。これにより、発電用コイル9の中心を流れる磁束FXの量が変化するので、電磁誘導により発電用コイル9に起電力が発生する。
【0075】
操作部材3がさらに移動させられ、操作部材3により回動させられた回動体17が、
図7(b)に示す、中立姿勢の位置まで回動すると、磁束FXは第1磁化板6からセンタヨーク10,バックヨーク11の端部付近を通過して第2磁化板7に流れ、磁路形成部材18のセンタヨーク及びバックヨーク11には磁束FXは流れない。
【0076】
なお、中立姿勢では回動体17は不安定で、第1姿勢方向または第2姿勢方向のいずれの方向にも回動する可能性がある。しかしながら、操作部材3が左側から右方向D1に移動させられた場合、回動体17の係合軸8bが操作部材3の回動体駆動穴3bの一方の内壁に当接しているので、回動体17は
図7(a)に示す第1姿勢の方向には回動できない。これに対し、回動体17が第2姿勢の方向に回動する場合は、回動体駆動穴3bの幅Wは係合軸8bの太さdより大きいので操作部材3は回動体17が第2姿勢の方向に回動する事を規制せず、回動体17は回動体駆動穴3bの幅Wの範囲で第2姿勢の方向に回動する事が可能である。
【0077】
従って、回動体17が中立位置にあり、回動体17が、偶然、第2姿勢の方向に回動する様な磁気吸引力Fmを受けた場合、または、回動体17が第2姿勢の方向に中立位置を僅かに超えた場合には、回動体17は第2姿勢に向かう方向に回動し、
図8(a)に示す様に、回動体17の係合軸8bが回動体駆動穴3bの他方の内壁に当接して停止する。
【0078】
この時、回動体17は磁気吸引力Fmにより回動し、係合軸8bが回動体駆動穴3bの他方の内壁に当接するまで、回動体17は磁気吸引力Fmにより第2姿勢の方向に回動させられる。
【0079】
回動体17が磁気吸引力Fmにより回動する速さは、磁力により第1磁化板6がバックヨーク11に吸引される吸引力、及び第2磁化板7がセンタヨーク10に吸引される吸引力と、回動体17の質量等により決まるが、一般的に、操作部材3が操作される操作速度より速い速度で回転する。
【0080】
回動体17が中立姿勢にある時はセンタヨーク10及びバックヨーク11には磁束FXは流れないが、回動体17が回転し、係合軸8bが回動体駆動穴3bの他方の内壁に当接した状態では、回動体17は第2姿勢に近い位置まで回動しており、第2磁化板7の端面とセンタヨーク10の第1対向端面18aとが対向する対向面積、及び第1磁化板6の端面とバックヨーク11の第2対向端面18bとが対向する対向面積は極大に近い面積となっているので、磁路形成部材18中には極大値に近い量の磁束FXが流れる。
【0081】
回動体17が中立姿勢から係合軸8bが回動体駆動穴3bの他方の内壁に当接する位置まで磁気吸引力Fmにより回動する時、回動体17は速い速度で回動するので、磁路形成部材18中を流れる磁束FXの量はゼロから極大値に近い量まで短い時間で急増する。
【0082】
発電用コイル9に発生する電磁誘導起電力は単位時間あたりの磁束FXの変化量に比例する為、磁石5による吸引力で回動体17が中立姿勢から係合軸8bが回動体駆動穴3bの他方の内壁に当接する位置まで回動する時、発電用コイル9は大きな起電力を発生する。
【0083】
回動体17の係合軸8bが回動体駆動穴3bの他方の内壁に当接する位置まで回動したのち、操作部材3をさらに右方向D1に移動させると、
図8(b)に示す様に、操作部材3は右側位置で停止し、回動体17も停止し第2姿勢となる。このとき、第2磁化板7の端面とセンタヨーク10の第1対向端面18aとが対向する対向面積、及び第1磁化板6の端面とバックヨーク11の第2対向端面18bとが対向する対向面積は極大となっており、磁路形成部材18中を流れる磁束FXの量も極大となる。これにより、磁路形成部材18が回動体17を吸引する吸引力は極大となり、回動体17は安定した状態で停止する。
【0084】
なお、以上の説明では動作を理解しやすくする為に、回動体17が磁気吸引力Fmにより回動して回動体駆動穴3bの内壁に当接して停止する位置、すなわち
図8(a)に示した回動体17の回動停止位置を、回動体17が第2姿勢となる位置のやや手前としたが、実用上は回動停止位置は第2姿勢のごく近傍でよく、回動停止位置を第2姿勢のごく近傍とした方がより大きな起電力が発生する。
【0085】
次に、操作部材3を右側から左方向D2に移動させる場合を、
図9及び
図10を参照して、説明する。操作部材3を右側から左方向D2に移動させる場合は、上記と逆方向の動作となる。
図9及び
図10は操作部材3が右側から左方向D2に移動させられた時の発電入力装置100の状態を示す
図1のA−A位置の断面図である。
図9(a)は、操作部材3が右側にある時で、
図9(b)は回動体17が操作部材3により中立姿勢となるまで回動された状態である。また、
図10(a)は回動体17が操作部材3により中立姿勢となるまで回動され、のち、回動体17が磁気吸引力Fmによりさらに回動した状態で、
図10(b)は操作部材3が左側まで操作された状態である。なお、
図9及び
図10では、磁束の流れを記入する為、磁石5,第1磁化板6,第2磁化板7及び磁路形成部材18のそれぞれの断面へのハッチングを記入していない。
【0086】
図9(a)に示す様に、操作部材3が右側にある時、回動体17は第2姿勢であり、例えば、
図9(a)に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、センタヨーク10中には第1対向端面18a側から一方の端面に向かう方向に極大の量の磁束FXが流れている。
【0087】
操作部材3が左方向D2に操作されると、回動体17は第2姿勢に戻る方向の磁気吸引力Fmを受けながら、係合軸8bが回動体駆動穴3bの他方の内壁に押されて中立姿勢方向に回動する。
【0088】
回動体17が、
図9(b)に示す、中立位置になるまで、回動体17の係合軸8bは回動体駆動穴3bの他方の内壁に当接しながら回動する。回動体17が第2姿勢から中立姿勢になるまで、磁路形成部材18中を流れる磁束FXは徐々に減少し、これにより発電用コイル9に起電力が発生する。
【0089】
回動体17が中立姿勢になると磁路形成部材18中には磁束FXは流れない。
【0090】
中立姿勢では回動体17は不安定で、第1姿勢方向または第2姿勢方向のいずれの方向にも回動する可能性がある。しかしながら、操作部材3が右側から左方向D2に移動させられた場合、回動体17の係合軸8bが操作部材3の回動体駆動穴3bの他方の内壁に当接しているので、回動体17は
図9(a)に示す第2姿勢の方向には回動できない。これに対し、回動体17が第1姿勢の方向に回動する場合は、回動体駆動穴3bの幅Wは係合軸8bの太さdより大きいので操作部材3は回動体17が第1姿勢の方向に回動する事を規制せず、回動体17は回動体駆動穴3bの幅Wの範囲で第1姿勢の方向に回動する事が可能である。
【0091】
回動体17が中立姿勢にある時に、偶然、第1姿勢の方向に回動する様な磁気吸引力Fmを受けた場合、または、回動体17が第1姿勢の方向に中立位置を僅かに超えた場合には、回動体17は第1姿勢に向かう方向に回動し、
図10(a)に示す様に、回動体17の係合軸8bが回動体駆動穴3bの一方の内壁に当接して停止し、磁路形成部材18中を流れる磁束FXの量は極大値に近い量まで増加する。
【0092】
このとき、回動体17は磁気吸引力により速い速度で回動するので、磁路形成部材18中を流れる磁束FXの量は、ゼロから極大値に近い量まで短い時間で急増し、発電用コイル9には大きな起電力が発生する。
【0093】
操作部材3をさらに左方向D2に移動させると、
図10(b)に示す様に、操作部材3は左側位置で停止し、回動体17は第1姿勢となり停止する。このとき、磁路形成部材18中を流れる磁束FXの量は極大となり、磁路形成部材18が回動体17を吸引する吸引力も極大となり、回動体17は安定した状態で停止する。
【0094】
上記の様に、本発明の第1実施形態による発電入力装置100は、磁性材料で形成された磁路形成部材18と、磁路形成部材18の一部であって空間を介して対向する第1対向端面18a及び第2対向端面18bと、磁路形成部材18に巻かれた発電用コイル9と、第1対向端面18aと第2対向端面18bが対向する空間内に位置して第1対向端面18aと第2対向端面18bとの対向方向と直交する回動軸8aを支点として回動する回動体17と、使用者により往復操作され、往復操作により回動体17を回動させる操作部材3と、を有している。
【0095】
回動体17は、互いに逆の磁極となる第1磁極面5aと第2磁極面5bを有する磁石5と、第1磁極面5aに固着された磁性材料製の第1磁化板6と、第2磁極面5bに固着された磁性材料製の第2磁化板7とを有し、回動体17は操作部材3によって、第1磁化板6の端面が第1対向端面18aに隙間を介して対向し且つ第2磁化板7の端面が第2対向端面18bに隙間を介して対向する第1姿勢と、第1磁化板6の端面が第2対向端面18bに隙間を介して対向し且つ第2磁化板7の端面が第1対向端面18aに隙間を介して対向する第2姿勢との間で往復回動させられる。
【0096】
操作部材3は、往復操作により回動体17を第1姿勢から第2姿勢に向かう方向に押圧し回動させる時、回動体17の係合軸8bの太さdより大きい幅Wの回動体駆動穴3bの内壁で係合軸8bを押すので、回動体17が第1姿勢から第2姿勢に向かう方向に回動する事を規制しない。
【0097】
これらにより、操作部材3により回動体17が第1姿勢から第2姿勢になる方向に回動させられる場合、回動体17が中立姿勢を通過した後は、回動体17の第1磁化板6の端面と磁路形成部材18の第2対向端面18bとの間の磁気吸引力、及び回動体17の第2磁化板7の端面と磁路形成部材18の第1対向端面18aとの間の磁気吸引力により、回動体17は第2姿勢に向かう方向の磁気吸引力Fmを受け、速い速度で第2姿勢に向かう方向に回動する。
【0098】
これにより、磁路形成部材18中を流れる磁束FXが急激に増加するので、電磁誘導により発電用コイル9に大きな起電力が発生する。
【0099】
また、同様にして、操作部材3により回動体17が第2姿勢から第1姿勢になる方向に回動させられる場合も、回動体17が中立姿勢を通過した後に、回動体17は磁気吸引力により速い速度で第1姿勢に向かう方向に回動し、この時、電磁誘導により発電用コイル9に大きな起電力が発生する。
【0100】
このとき、回動体17が中立姿勢から第1姿勢または第2姿勢の方向に磁気吸引力により回動する速度は操作部材3の移動速度には影響されないので、使用者が操作部材3を緩慢に操作した場合でも、発電用コイル9には大きな起電力が発生する。
【0101】
また、第1実施形態による発電入力装置100は、第1磁化板6及び第2磁化板7は磁石5に回動軸8aと直交する方向に重ねられている。
【0102】
第1磁化板6及び第2磁化板7は、第1姿勢では、第1磁化板6の一方の端面が第1対向端面18aに隙間を介して対向し、第1磁化板6の他方の端面は第2対向端面18bに対向せず、且つ第2磁化板7の他方の端面が第2対向端面18bに隙間を介して対向し、第2磁化板7の一方の端面は第1対向端面18aに対向しない様に構成されている。また、第2姿勢では、第1磁化板6の一方の端面は第1対向端面18aに対向せず、第1磁化板6の他方の端面が第2対向端面18bに隙間を介して対向し、且つ第2磁化板7の他方の端面は第2対向端面18bに対向せず、第2磁化板7の一方の端面が前記第1対向端面18aに隙間を介して対向する様に構成されている。
【0103】
これにより、第1実施形態による発電入力装置100では、回動軸8aと直交する方向に第1磁化板6及び第2磁化板7が磁石5に積層されているので、第1姿勢及び第2姿勢で、第1磁化板6の端面及び第2磁化板7の端面が、それぞれ、磁路形成部材18の第1対向端面18aまたは第2対向端面18bと選択的に対向する。
【0104】
従って、第1姿勢及び第2姿勢のいずれの姿勢でも、磁石5の磁束FXを効率良く磁路形成部材18に導く事ができ、かつ、磁路形成部材18中を流れる磁束FXの方向を第1姿勢と第2姿勢とで反対とできるので、例えば、磁気回路を開閉して磁路形成部材18中を通過する磁束を遮断する場合の2倍の磁束量の変化が得られる。従って、回動体17が第1姿勢と第2姿勢との間を往復回動する事により、発電用コイル9で効率良く発電する事が可能となる。
【0105】
また、回動体17の第1磁化板6の端面及び第2磁化板7の端面は、隙間を介して、それぞれ、磁路形成部材18の第1対向端面18aまたは第2対向端面18bと対向するので、回動体17が往復回動しても磁路形成部材18と接触する箇所がない。これにより、長期にわたり使用された場合でも損傷や摩耗が生じないので、長期信頼性の高い発電入力装置100とできる。
【0106】
また、第1実施形態による発電入力装置100では、1姿勢では第1磁化板6の端面が第1対向端面18aに隙間を介して磁気吸引され、且つ第2磁化板7の端面が第2対向端面18bに隙間を介して磁気吸引され、第2姿勢では第1磁化板6の端面が第2対向端面18bに隙間を介して磁気吸引され、且つ第2磁化板7の端面が第1対向端面18aに隙間を介して磁気吸引される構成とした。
【0107】
これにより、第1実施形態による発電入力装置100は、第1姿勢及び第2姿勢で、第1磁化板6の端面及び第2磁化板7の端面が、隙間を介して、それぞれ、磁路形成部材18の第1対向端面18aまたは第2対向端面18bに選択的に吸引されるので、吸引力により回動体17は第1姿勢または第2姿勢に支持される。これにより、操作部材3が右側または左側に支持されるので、安定した操作が可能となる。
【0108】
以上のように、本発明の第1実施形態に係る発電入力装置100を具体的に説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施する事が可能である。例えば次の様に変形して実施する事ができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0109】
(1)第1実施形態において、操作部材3は摺動する、としたが、回動軸を設けてトグル状に回転動作する構成としても良い。
【0110】
(2)第1実施形態においては、発電用コイル9のコイルは1つの場合を提示したが、コイルは1つでなくても良く、複数個に分割して設けても良い。
【0111】
(3)第1実施形態において、第1磁化板6及び第2磁化板7は板状としたが、磁束を端面に集中させる為に、最大平面部の中央に開口を設けても良い。
【0112】
(4)第1実施形態において、回動体17は第1磁化板6,磁石5,第2磁化板7が積層された構成としたが、第1磁化板6,磁石5,第2磁化板7が積層された形状の一体化された磁石としても良い。
【0113】
(4)第1実施形態における発電入力装置100に、操作部材3により開閉される独立したスイッチを追加しても良い。
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態に係る発電入力装置200を添付の図面を参照に説明する。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0114】
図11は、第2実施形態の発電入力装置200の外観を示す図で、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【0115】
本発明の第2実施形態に係る発電入力装置200は、
図11(a)及び
図11(b)に示す様に、ケース102の上面に上カバー101が載置された、一部が突出した略直方状の外形を有し、上カバー101に突出する操作部材103が押下操作、または押下操作された後に開放されると発電する。
【0116】
次に、第2実施形態の発電入力装置200の部品構成を、
図12を参照に、説明する。
図12は発電入力装置200の構成を示す分解斜視図である。
【0117】
ケース102は発電入力装置200のベースとなる部品で、成形材等で上面及び側面の一部が開放した略箱状に形成され、内側に回動体収容部102aとコイル収容部102bを有する。また、回動体収容部102aの側壁側には、後述する回動体117を回動可能に支持する回動軸受け部102cを有する。
【0118】
操作部材103は略棒状に形成され、上面の一部が突出し、操作ノブ部103aとなる。また操作ノブ部103aの下方には略矩形状の回動体駆動溝部103bが設けられている。
【0119】
上カバー101は下方が開口した略箱状に形成され、上面の一部は矩形に突出し、突出部の上面には操作ノブ部103aが挿通される操作ノブ挿通孔101aが設けられている。
【0120】
磁路形成部材118は軟鉄等の軟磁性の磁性材料で、磁路本体部118cの両端付近から2つの腕部118dが磁路本体部118cと直角方向に延出する、略C字状に形成されており、2つの腕部118dの先端部がそれぞれ、互いに空間を隔てて対向する第1対向端面118a及び第2対向端面118bとなる。
【0121】
発電用コイル9は2つのコイルよりなり、磁路形成部材118の2つの腕部118dにコイルがそれぞれ巻回されている。
【0122】
回動体117は、磁石ホルダ108と、第1磁化板6及び第2磁化板7で構成され、第1磁化板6と第2磁化板7の間に磁石5が設けられている。
【0123】
磁石ホルダ108は成形材等の非磁性材で形成され、本体部の2辺から上方に突出しさらに屈曲するする2つの腕部を有し、2つの腕部の先端側が係合軸108bにより連結されている。また、腕部が突出する2つの片の端面には、外方に突出する略円柱状の回動軸108aがそれぞれ設けられている。
【0124】
復帰ばね121はバネ用ステンレス鋼線等で形成された圧縮ばねで、操作部材103を上方に付勢する。
【0125】
次に、
図13を参照して、第2実施形態の発電入力装置200の組み立て構造を説明する。
図13は、回動体117が中立姿勢の位置にある時の、発電入力装置200の
図11のB−B断面図である。
【0126】
発電用コイル109が取り付けられた磁路形成部材118はケース102に取り付けられ、互いに空間を隔てて対向する第1対向端面118a及び第2対向端面118bが、ケース102の回動体収容部102aの内壁に露出する。
【0127】
ケース102の回動体収容部102aには回動体117が収容され、回動体117の回動軸108a(
図12参照)がケース102の回動軸受け部102c(
図12参照)に回動自在に支持される事により、回動体117は回動体収容部102aにて回動可能となる。ケース102の回動体収容部102aの内壁には磁路形成部材118の第1対向端面118aと第2対向端面118bが対向して露出しており、回動体117の回動軸108aがケース102の回動軸受け部102cに支持されると、第1対向端面118aと第2対向端面118bの対向方向と回動軸108aは直交する。
【0128】
ケース102の操作部材摺動溝部102dには操作部材103が摺動可能に収容され、操作部材103の下方には復帰ばね121が配置される。また、ケース102の上面には上カバー101が取り付けられ、上カバー101の操作ノブ挿通孔101a(
図12参照)には操作部材103の操作ノブ部103aが挿通される。このとき、回動体117の係合軸108bは操作部材103の回動体駆動溝部103bに挿入される。これにより、回動体117は操作部材103の摺動に伴い回動させられるが、係合軸108bが回動する方向の、回動体駆動溝部103bの幅Wは係合軸108bの太さdより大きいので、回動体117は操作部材103の摺動に伴い回動させられるとともに、回動体駆動溝部103bの幅Wの範囲で自由に回動する事も可能となる。なお、操作部材103の下方には復帰ばね121は操作部材103を上方に付勢し操作部材103を上方に摺動させようとするが、操作部材103の摺動に伴う回動体117の回動動作には何の影響も及ぼさない。
【0129】
次に、
図13及び
図14を参照に、第2実施形態の発電入力装置200において、回動体117が回動した時の磁束FXの状況を説明する。
図14は回動体117が回動した時の磁束FXの状況を示す、
図11のB−B位置の断面斜視図で、(a)は回動体117が第1姿勢にある時、(b)は回動体117が第2姿勢にある時である。なお、
図14では磁束FXの流れを理解しやすくするため、断面のハッチングの記入、及び磁路形成部材の周囲の部品の記載を省略している。
【0130】
まず、回動体117が中立姿勢である場合の磁束FXの状況を、
図13を参照に、説明する。
【0131】
例えば、
図13に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、回動体117が中立姿勢にあると、磁束FXは第1磁化板6の一方の端面から出て磁路形成部材118の第1対向端面118a付近を通過して第2磁化板7の一方の端面に入ると共に、第1磁化板6の他方の端面からも出て磁路形成部材118の第2対向端面118b付近を通過して第2磁化板7の他方の端面に入る。従って、磁束FXは第1磁化板6から出て、磁路形成部材118の端部付近を通過して第2磁化板7に戻り、磁路形成部材118の腕部118d(
図12参照)側、及び磁路本体部118c(
図12参照)側には磁束FXは流れない。
【0132】
次に、
図14を参照にして、回動体117が傾斜して停止する第1姿勢及び第2姿勢にある場合の、磁束FXについて説明する。
【0133】
第1姿勢では、
図14(a)に示す様に、隙間を介して第1磁化板6の一方側の端面が磁路形成部材118の第1対向端面118aに対向し、第2磁化板7の他方側の端面が隙間を介して磁路形成部材118の第2対向端面118bに対向している。また、第2姿勢では、
図14(b)に示す様に、隙間を介して第2磁化板7の一方側の端面が磁路形成部材118の第1対向端面118aに対向し、隙間を介して第1磁化板6の他方側の端面が磁路形成部材118の第2対向端面118bに対向している。
【0134】
第1姿勢では、例えば、
図14(a)に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、磁束FXは第1磁化板6の一方の端面から出て磁路形成部材118の第1対向端面18aに入り、磁路形成部材118中を第1対向端面118aから腕部118d,磁路本体部118c,腕部118dを経由して第2対向端面118bに流れ、第2対向端面118bから第2磁化板7の他方の端面に入る。
【0135】
また、第2姿勢では、例えば、
図14(b)に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、磁束FXは第1磁化板6の他方の端面から出て磁路形成部材118の第2対向端面118bに入り、磁路形成部材118中を第2対向端面118bから腕部118d,磁路本体部118c,腕部118dを経由して第1対向端面118aに流れ、第1対向端面118aから第2磁化板7の一方の端面に入る。
【0136】
従って、第1姿勢と第2姿勢では磁路形成部材118中を流れる磁束FXの向きが逆となる。
【0137】
なお、
図13及び
図14(a),(b)に記載した磁束FXを表す矢印は磁束の流れを概念的に表示したもので、詳細な磁束の分布を示すものではない。また、磁束の流れ方を理解しやすい様に、磁束を分断して矢印を付したが、実際の磁束は連続しており、途切れる事はない。
【0138】
次に、
図15及び
図16を参照にして、第2実施形態の発電入力装置200の操作部材103が押下操作された時の、回動体117の動きと発電用コイル109(
図12参照)の発電作用を説明する。
図15及び
図16は操作部材3が操作された時の発電入力装置200の状態を示す、
図11のB−B位置の断面図である。
図15(a)は、操作部材103が最も上方にある時で、以降、操作部材103がこの位置にある状態をOFF位置と記載する。
図15(b)は回動体117が操作部材103により中立姿勢となるまで回動された状態で、
図16(a)は回動体117が操作部材3により中立姿勢となるまで回動され、のち、回動体117が磁気吸引力Fmによりさらに回動した状態である。また、
図16(b)は操作部材103が最も下方まで操作された時で、以降、操作部材103がこの位置にある状態をON位置と記載する。なお、
図15及び
図16では、磁束の流れを記入する為、磁石5,第1磁化板6,第2磁化板7及び磁路形成部材118のそれぞれの断面へのハッチングを記入していない。
【0139】
操作部材103が押下操作されていない時、操作部材103は復帰ばね121により上方に移動させられ、操作部材103はOFF位置となる。操作部材103がOFF位置にある時に操作者が操作部材103を下方に押下しようとすると、
図15(a)に示す様に、回動体117の係合軸108bは操作部材103の回動体駆動溝部103bの上方の内壁に押下方向D3に押圧されるが、回動体117は第1姿勢にあり、第1磁化板6の一方側の端面が磁路形成部材118の第1対向端面118aと隙間を介して対向し、第2磁化板7の他方側の端面が磁路形成部材118の第2対向端面118bと隙間を介して対向しており、回動体117は操作部材103を上方に移動させる方向の磁気吸引力Fmを受ける。この為、操作部材103がOFF位置にある時に操作部材103が押下されると、回動体117は操作部材103の回動体駆動溝部103bの上方の内壁に当接しながら、第1姿勢から中立姿勢の方向に回動させられる。
【0140】
この時、例えば、
図15(a)に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、磁路形成部材118中を流れる磁束FXは第1対向端面118a側から磁路本体部118c(
図12参照)を経由して第2対向端面118b側に向かう方向に流れる。また操作部材103の下方への押下操作に伴い回動体117が中立姿勢の方向に回動すると、回動体117の第1磁化板6の一方の端面と磁路形成部材118の第1対向端面118aとの対向面積、及び第2磁化板7の他方の端面と磁路形成部材118の第2対向端面118bとの対向面積が減少する為、磁路形成部材118中を流れる磁束FXも減少する。これにより、磁路形成部材118に巻回された発電用コイル109(
図12参照)の中心を流れる磁束FXの量が変化するので、電磁誘導により発電用コイル109に起電力が発生する。
【0141】
操作部材103が押下操作され、操作部材103により回動させられた回動体117が、
図15(b)に示す、中立姿勢の位置まで回動すると、磁束FXは第1磁化板6から磁路形成部材118の第1対向端面118a付近及び第2対向端面118b付近を通過して第2磁化板7に流れ、磁路形成部材118の磁路本体部118c(
図12参照)には磁束FXは流れない。
【0142】
なお、中立姿勢では回動体117は第1姿勢方向または第2姿勢方向のいずれの方向にも回動する可能性がある。しかしながら、操作部材103が下方に押下操作された場合、回動体117の係合軸108bが操作部材103の回動体駆動溝部103bの上方の内壁に当接しているので、回動体117は
図15(a)に示す第1姿勢の方向には回動できない。これに対し、回動体117が第2姿勢の方向に回動する場合は、回動体駆動溝部103bの幅Wは係合軸108bの太さdより大きいので操作部材103は回動体117が第2姿勢の方向に回動する事を規制せず、回動体117は回動体駆動溝部103bの幅Wの範囲で第2姿勢の方向に回転する事が可能である。
【0143】
従って、回動体117が中立位置にあり、回動体117が、偶然、第2姿勢の方向に回動する様な磁気吸引力Fmを受けた場合、または、回動体117が第2姿勢の方向に中立位置を僅かに超えた場合には、回動体117は第2姿勢に向かう方向に回動し、
図16(a)に示す様に、回動体117の係合軸108bが回動体駆動溝部103bの下方の内壁に当接して停止する。
【0144】
この時、回動体117は磁気吸引力Fmにより回動し、係合軸108bが回動体駆動溝部103bの下方の内壁に当接するまで、回動体117は第2姿勢の方向に回動させられる。
【0145】
回動体117が磁気吸引力Fmにより回動する速さは、磁力により第1磁化板6が第2対向端面118bに吸引される吸引力、及び第2磁化板7が第1対向端面118aに吸引される吸引力と、回動体117の質量等により決まるが、一般的に、操作部材103が押下操作される操作速度より速い速度で回転する。
【0146】
回動体117が中立姿勢にある時は磁路形成部材118の磁路本体部118c(
図12参照)には磁束FXは流れないが、回動体117が回転し、係合軸108bが回動体駆動溝部103bの下方の内壁に当接した状態では、回動体117は第2姿勢に近い位置まで回動しており、第1磁化板6の端面と磁路形成部材118の第2対向端面118bとが対向する対向面積、及び第2磁化板7の端面と磁路形成部材118の第1対向端面118aとが対向する対向面積は極大に近い面積となっているので、磁路形成部材118の磁路本体部118cには極大値に近い量の磁束FXが流れる。
【0147】
回動体117が中立姿勢から係合軸108bが回動体駆動溝部103bの下方の内壁に当接する位置まで磁気吸引力Fmにより回動する時、回動体117は速い速度で回動するので、磁路形成部材118中を流れる磁束FXの量はゼロから極大値に近い量まで短い時間で急増する。
【0148】
発電用コイル109(
図12参照)に発生する電磁誘導起電力は単位時間あたりの磁束FXの変化量に比例する為、磁石5による吸引力で回動体117が中立姿勢から係合軸108bが回動体駆動溝部103bの下方の内壁に当接する位置まで回動する時、発電用コイル109は大きな起電力を発生する。
【0149】
回動体117の係合軸108bが回動体駆動溝部103bの下方の内壁に当接する位置まで回動したのち、操作部材103がさらに押下され下方に移動すると、
図16(b)に示す様に、操作部材103はON位置で停止し、回動体117も停止し第2姿勢となる。このとき、第1磁化板6の端面と磁路形成部材118の第2対向端面118bとが対向する対向面積、及び第2磁化板7の端面と磁路形成部材118の第1対向端面118aとが対向する対向面積は極大となっており、磁路形成部材118の磁路本体部118c(
図12参照)を流れる磁束FXの量も極大となる。これにより、磁路形成部材118が回動体117を吸引する吸引力は極大となり、回動体117は安定した状態で停止する。
【0150】
なお、以上の説明では動作を理解しやすくする為に、回動体117が磁気吸引力Fmにより回動して回動体駆動溝部103bの下壁に当接して停止する位置、すなわち
図16(a)に示した回動体117の回動停止位置を、回動体117が第2姿勢となる位置のやや手前としたが、実用上は回動体停止位置は第2姿勢のごく近傍でよく、回動体停止位置を第2姿勢のごく近傍とした方がより大きな起電力が発生する。
【0151】
次に、操作部材103が押下操作された後に開放された場合を、
図17及び
図18を参照して、説明する。
【0152】
図17及び
図18は操作部材103が押下操作された後に開放された時の発電入力装置200の状態を示す、
図11のB−B位置の断面図である。
図17(a)は、操作部材103がON位置にある時で、
図17(b)は操作部材103の押下操作が開放され操作部材3が上方に移動して回転体が中立姿勢となるまで回動された状態である。また、
図18(a)は回動体117が操作部材103により中立姿勢となるまで回動され、のち、回動体117が磁気吸引力Fmによりさらに回動した状態で、
図18(b)は操作部材103がOFF位置まで移動した状態である。なお、
図17及び
図18では、磁束の流れを記入する為、磁石5,第1磁化板6,第2磁化板7及び磁路形成部材118のそれぞれの断面へのハッチングを記入していない。
【0153】
図17(a)に示す様に、操作部材103がON位置にある時、回動体117は第2姿勢にあり、例えば、
図17(a)に示す様に、第1磁化板6がN極であり第2磁化板7がS極である場合、磁路形成部材118中には第2対向端面118bから磁路本体部118c(
図12参照)を経由して第1対向端面118aに向かう方向に極大の量の磁束FXが流れている。
【0154】
操作部材103は復帰ばね121により、回動体117が第1対向端面118a及び第2対向端面118bに吸着される吸着力より強い付勢力で上方に付勢されているので、操作部材103への押下操作が開放されると、操作部材103はON位置に留まる事なく、吸着力に打ち勝って直ちに上方に移動し、回動体117は第2姿勢に戻る方向の磁気吸引力Fmを受けながら、係合軸108bが回動体駆動溝部103bの下方の内壁に押されて中立姿勢方向に回動する。
【0155】
回動体117が、
図17(b)に示す、中立位置になるまで、回動体117の係合軸8bは回動体駆動溝部103bの下方の内壁に当接しながら回動する。回動体117が第2姿勢から中立姿勢になるまで、磁路形成部材118を流れる磁束FXは徐々に減少し、これにより発電用コイル109(
図12参照)に起電力が発生する。
【0156】
回動体117が中立姿勢になると磁路形成部材118中には磁束FXは流れない。
【0157】
回動体117が中立姿勢にある時に、偶然、第1姿勢の方向に回動する様な磁気吸引力Fmを受けた場合、または、回動体117が第1姿勢の方向に中立位置を僅かに超えた場合には、回動体117は第1姿勢に向かう方向に回動し、
図18(a)に示す様に、回動体117の係合軸108bが回動体駆動溝部103bの上方の内壁に当接して停止し、磁路形成部材118中を流れる磁束FXの量は極大値に近い量まで増加する。
【0158】
このとき、回動体117は磁気吸引力Fmにより速い速度で回動するので、磁路形成部材118中を流れる磁束FXの量は、ゼロから極大値に近い量まで短い時間で急増し、発電用コイル109(
図12参照)には大きな起電力が発生する。
【0159】
操作部材103の押下操作を完全に取り除くと、
図18(b)に示す様に、操作部材103はOFF位置で停止し、回動体117は第1姿勢となって停止する。このとき、磁路形成部材118中を流れる磁束FXの量は極大となり、磁路形成部材118が回動体117を吸引する吸引力も極大となり、回動体117は安定した状態で停止する。
【0160】
上記の様に、本発明の第2実施形態による発電入力装置200は、第2姿勢での磁気吸引の吸引力に打ち勝って、回動体117を第1姿勢に復帰させる復帰ばね121が設けられている。従って、操作部材103がON位置に押下操作され回動体117が第2姿勢となっても、押下操作を開放すると操作部材103は復帰ばね121により復帰させられるので、操作部材103がON位置に固定されず回動体117が第2姿勢にロックされない自動復帰型の発電入力装置200が構成できる。
【0161】
これにより多様な操作方法に対応できる種々の発電入力装置200を提供する事ができる。
【0162】
以上のように、本発明の第2実施形態に係る発電入力装置200を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施する事が可能である。例えば次の様に変形して実施する事ができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0163】
(1)第2実施形態において、操作部材103は押下操作により摺動する、としたが、回動軸を設けてトグル状に動作する構成としても良い。
【0164】
(2)第2実施形態において、発電用コイル109のコイルが2つの場合を提示したが、コイルは2つでなくても良く、1つでも3つ以上の複数個でも良い。
【0165】
(3)第2実施形態において組み込んだ復帰ばねは、前記の第1実施例に組み込んでも良い。この場合、ロック位置を持たない自動復帰型のスライド式発電入力装置が提供できる。
〔発電入力装置を用いた電子機器の実施形態〕
本発明による発電入力装置を用いた電子機器の実施形態を、
図19を参照して、以下に説明する。
図19は本実施形態に係る電子機器300の構成を示すブロック図である。
【0166】
本実施形態の電子機器300は、複数個の本発明による発電入力装置と、識別コード収容部242を有する信号処理回路240、及び送信回路250など、よりなる。
【0167】
信号処理回路240は発電入力装置が接続される複数の入力端子と、各入力端子に対し固有の値となる識別コードが収容された識別コード収容部242と、発電入力装置の出力を整流及び平滑し、信号処理回路240及び送信回路250に電力を供給する電源回路241を有している。
【0168】
全ての発電入力装置は信号処理回路240の入力端子に接続される。使用者が発電入力装置の操作部材を操作し、回動体が回動する事により発電入力装置が出力信号を出力すると、信号処理回路240は出力信号が検出された入力端子の位置から、操作された発電入力装置に対応した識別コードを識別コード収容部242から受け取り、検出された出力信号の極性から発電入力装置の操作方向、すなわちON操作かOFF操作かを判定し、識別コードと共に操作方向を表す信号を送信回路250に送る。
【0169】
送信回路250は信号処理回路240から受け取った識別コード及び操作方向を表す信号を無線にて送出する。
【0170】
送信回路が送出した無線信号は、図示しない制御装置にて受信され、制御装置は受信した信号から、操作された発電入力装置を識別すると共に操作方向を判定し、その判定結果に基づき、図示しない所定の機器等を制御する。
【0171】
上記の様に、本実施形態の電子機器300は、1つまたは複数個の本発明に係る発電入力装置と、操作部材が操作された時に発電用コイルから得られる起電力によって駆動される信号処理回路240と送信回路250と、を有する。
【0172】
従って、本実施形態の電子機器300は、使用者が緩やかに操作した場合でも大きな起電力が得られる発電入力装置100による起電力で、信号処理回路が駆動されるので、使用者の操作方法によらず、確実な動作が可能となる。
【0173】
また、本実施形態の電子機器300は、複数の入力端子に接続された1つまたは複数個の発電装置を識別できる識別コードを収容する、識別コード収容部242を有する。
【0174】
従って、信号処理回路の識別コード収容部242に発電装置を識別できる識別コードが収容されているので、送信回路250から送信する信号に、操作された発電入力装置の対応した識別コードを入れる事ができ、送信回路250からの信号を受信した制御装置は、どの発電装置が操作されたかを識別する事ができる。これにより、電子機器300に複数の発電装置が接続された場合や複数の電子機器300が同時に使用された場合などの、様々な使用状況に対応できる電子機器を提供する事ができる。
【0175】
以上のように、本発明の実施形態に係る電子機器300を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施する事が可能である。例えば次の様に変形して実施する事ができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0176】
(1)信号処理回路240には複数の発電入力装置が接続されるとしたが、信号処理回路240に接続される発電入力装置は1つでもよい。また、信号処理回路240に接続される発電入力装置が1つの場合は、信号処理回路を発電入力装置に組み込んでも良い。
【0177】
(2)送信回路250は無線にて信号を送出する、としたが、信号の送出方法は無線に限定される事はなく、赤外線や超音波等で信号を送出しても良い。