(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981558
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】流体分注組立体
(51)【国際特許分類】
B65D 47/24 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
B65D47/24
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-538760(P2014-538760)
(86)(22)【出願日】2011年10月26日
(65)【公表番号】特表2014-534134(P2014-534134A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2011057844
(87)【国際公開番号】WO2013062537
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2014年10月16日
(31)【優先権主張番号】13/280,985
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514107129
【氏名又は名称】デイビッド エス.スミス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DAVID S.SMITH AMERICA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ、ジェームズ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ブレルジェ、ローレン エル.
(72)【発明者】
【氏名】マーハー、マイケル
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−195202(JP,A)
【文献】
特開2003−226347(JP,A)
【文献】
特開2011−057250(JP,A)
【文献】
特開2004−042982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/24
B65D 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉形状及び流体流通形状を有する流体分注バルブ組立体であって、
流体分注ポート及びベント開口を形成するハウジングと、
前記流体分注ポートの少なくとも一部を超えて前記ハウジングから延出するレバーと、
前記流体分注バルブ組立体が前記密閉形状にあるとき前記ベント開口を覆うシールタブ、及びドーム部を含む弾性変形可能な弾性部材と、
基礎部、前記基礎部から延出する脚部、及び前記基礎部から延出するシールアームを含み、少なくとも自身の一部が前記流体分注ポートを通じて延出するシールと、を備え、
前記弾性変形可能な弾性部材の少なくとも一部及び前記脚部の少なくとも一部が前記レバーに接触する流体分注バルブ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記レバーは、前記ハウジングに旋回可能に連結される流体分注バルブ組立体。
【請求項3】
請求項1に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記弾性部材は、保持キャッチを備える流体分注バルブ組立体。
【請求項4】
請求項1に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記ハウジングは前記弾性部材の少なくとも一部が通過して延出する穴を形成する流体分注バルブ組立体。
【請求項5】
請求項1に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記ハウジングは、チャンネルを備え、
前記シールは、滑り可能に前記チャンネル内に配置されるガイドを備える流体分注バルブ組立体。
【請求項6】
請求項5に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記ハウジングは、前記流体分注ポートの両側に、相対する関係で対面するように配置される2つのチャンネルを備える流体分注バルブ組立体。
【請求項7】
請求項6に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記シールは2つのガイドを備え、
前記各ガイドは滑り可能に前記2つのチャンネルの一つ内に配置される流体分注バルブ組立体。
【請求項8】
請求項7に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記レバーに接触する前記脚部の一部は、円弧に移動するように形成され、前記ガイドは直線的に移動するように形成される流体分注バルブ組立体。
【請求項9】
請求項1に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記ハウジングは一対のフレアーグリップ部材を備える流体分注バルブ組立体。
【請求項10】
請求項1に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記レバーは前記シールに連結される流体分注バルブ組立体。
【請求項11】
密閉形状及び流体流通形状を有する流体分注バルブ組立体であって、
流体分注ポート及びベント開口を形成するハウジングと、
前記流体分注ポートの少なくとも一部を超えて前記ハウジングから延出するレバーと、
前記流体分注バルブ組立体が前記密閉形状にあるとき前記ベント開口を覆うシールタブ、及びドーム部を含む弾性変形可能な弾性部材と、
前記流体分注ポート内に配置されるシールと、を備え、
前記シールの少なくとも一部は、前記流体分注バルブ組立体が密閉形状にあるとき、前記シールタブに接触し、
前記ドーム部の少なくとも一部は前記レバーに接触する流体分注バルブ組立体。
【請求項12】
請求項11に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記シールは、基礎部、前記基礎部から延出する脚部、及び前記基礎部から延出するシールアームを備えた流体分注バルブ組立体。
【請求項13】
請求項12に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記シールアームの少なくとも一部は、前記流体分注バルブ組立体が密閉形状にあるとき、前記シールタブに接触する流体分注バルブ組立体。
【請求項14】
請求項11に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記レバーは前記シールに連結される流体分注バルブ組立体。
【請求項15】
請求項11に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記ハウジングは、少なくとも一つのチャンネルを備え、
前記シールは、少なくとも一つのガイドを備え、
前記ガイドは滑り可能に前記チャンネル内に配置される流体分注バルブ組立体。
【請求項16】
請求項11に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記弾性部材は、保持キャッチを備える流体分注バルブ組立体。
【請求項17】
請求項11に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記ハウジングは、
コルクシールと、
前記コルクシールの反対側に位置する保持リングと、を備える流体分注バルブ組立体。
【請求項18】
請求項11に記載の流体分注バルブ組立体において、
前記レバーは、前記弾性部材の前記ドーム部に係合するアクチュエータを備えた流体分注バルブ組立体。
【請求項19】
密閉形状及び流体流通形状を有する流体分注バルブ組立体であって、
前記流体分注バルブ組立体は、第1〜第3の構成要素から構成され、
前記第1の構成要素はハウジング及びレバーを備え、
前記第2の構成要素は弾性部材を備え、
前記弾性部材はドーム部を備え、
前記第3の構成要素はシールを備え、
前記レバーの少なくとも一部は前記ハウジングに対して移動可能であって、
前記ハウジングは、流体分注ポートを形成し、
前記レバーの少なくとも一部は前記弾性部材に接触し、
前記シールは、選択的に流体を分注するために前記流体分注ポート内を移動可能である流体分注バルブ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体分注のための装置及び方法、特に、セルフベンディング分注組立体及び生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、比較的に大きい容量のコンテナからの流体を分注させるための種々の押しボタン起動式分注バルブが当業界で知られている。この分注バルブ又はタップは、可撓性壁コンテナ(折り畳み可能な壁)とともに使用され、これにより、タップを通じた空のコンテナで圧力差が形成されないため、コンテナから排気される必要がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これとは対照的に、剛質コンテナを利用すると、ベント又はその他システムは、剛質コンテナの中身が分注されるとき、形成される圧力差がなくなるように提供されなければならない。しかし、そこには、低コスト、組立の容易化、信頼性、及び作業者が片手で操作可能なセルフベンディング分注バルブに対する課題が残る。さらに、そこには、意図しない分注を防止する自動シャットオフ機能を有する、異なる粘度の液体とともに使用可能な分注バルブに対する課題が残る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
全ての米国特許及び出願、並びに本出願で言及されたその他の発行された資料は、参照することにより完全に本明細書に組み込まれる。
本発明の範囲を限定することなく、本発明のクレーム化されたいくつかの実施形態の概要は下で述べる。本発明の要約された実施形態及び/又は本発明の実施形態の追加的な詳細は下記の発明を実施するための形態に記載される。
【0005】
明細書において、技術を簡潔に開示する要約は、米国特許法施行規則第1.72条を順守する目的のみのため提供される。この要約は、特許請求の範囲に影響を及ぼすものではない。
【0006】
いくつかの実施形態において、流体分注バルブ組立体は、流体分注ポート及びベント開口を形成するハウジングを備える。このバルブ組立体は、さらに、前記流体分注ポートの少なくとも一部を超えてハウジングから延出するレバー、弾性変形可能な弾性部材及びシールを備える。いくつかの実施形態において、シールは、基礎部、前記基礎部から延出する脚部、及び前記基礎部から延出するシールアームを備える。少なくともシールの一部が前記流体分注ポートを通過して延出する。さらに、いくつかの実施形態において、前記弾性変形可能な弾性部材の少なくとも一部及び脚部の少なくとも一部はレバーに接触する。
【0007】
いくつかの実施形態において、レバーは、旋回可能に、前記ハウジングに取り付けられる。
いくつかの実施形態において、バルブ組立体は、さらに、開形状及び密閉形状を有する。前記弾性部材は、さらに、シールタブを備える。いくつかの実施形態において、シールタブの少なくとも一部は、前記組立体が密閉形状にあるとき、ベント開口を覆うように形成される。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記弾性部材は、ドーム形状部及び保持キャッチを備える。
いくつかの実施形態において、前記ハウジングは、弾性部材の少なくとも一部が通過して延出する穴を形成する。
【0009】
いくつかの実施形態において、ハウジングは、チャンネル及び、ガイドを含むシールを備える。このガイドは、滑り可能に前記チャンネル内に配置される。
いくつかの実施形態において、ハウジングは、前記流体分注ポートの両側に、相対する関係で対面するように配置される2つのチャンネルを備える。
【0010】
いくつかの実施形態において、シールは2つのガイドを備え、各ガイドは滑り可能に2つのチャンネルの一つ内に配置される。
いくつかの実施形態において、前記レバーに接触する前記脚部の一部は、円弧状に移動するように形成され、前記ガイドは直線的に移動するように形成される。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記ハウジングは一対のフレアーグリップ部材を備える。
いくつかの実施形態において、前記レバーは前記シールに連結される。
【0012】
いくつかの実施形態において、流体分注バルブ組立体は密閉形状及び流体流通形状を有する。前記流体分注バルブ組立体は流体分注ポート及びベント開口を形成するハウジングを備える。さらに、前記流体分注バルブ組立体は、前記流体分注ポートの少なくとも一部を超えて前記ハウジングから延出するレバーと、弾性変形可能な弾性部材と、シールとを備える。前記弾性変形可能な弾性部材は、シールタブ及びドーム部を備える。前記シールタブは、前記バルブ組立体が前記密閉形状にあるとき前記ベント開口を覆うように形成される。いくつかの実施形態において、前記シールは流体分注ポート内に配置され、前記シールの少なくとも一部は、前記バルブ組立体が密閉形状にあるとき、前記シールタブに接触する。いくつかの実施形態において、前記弾性変形可能な弾性部材の少なくとも一部及び前記シールの少なくとも一部が前記レバーに接触する。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記シールは、基礎部、前記基礎部から延出する脚部、及び前記基礎部から延出するシールアームを備える。
いくつかの実施形態において、前記シールアームの少なくとも一部は、前記バルブ組立体が密閉形状にあるとき、前記シールタブに接触する。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記レバーは前記シールに連結される。
いくつかの実施形態において、前記ハウジングは、少なくとも一つのチャンネルを備え、前記シールは、少なくとも一つのガイドを備える。前記ガイドは滑り可能に前記チャンネル内に配置される。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記弾性部材は、保持キャッチを備える。
いくつかの実施形態において、前記ハウジングは、コルクシールと、前記コルクシールの反対側に位置する保持リングと、を備える。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記レバーは、前記弾性部材の前記ドーム部に係合するアクチュエータを備える。
いくつかの実施形態において、流体分注バルブ組立体は密閉形状及び流体流通形状を有する。いくつかの実施形態において、前記流体分注バルブ組立体は、3つの構成要素から構成される。前記第1の構成要素はハウジング及びレバーを備え、前記第2の構成要素は弾性部材を備え、前記第3の構成要素はシールを備える。いくつかの実施形態において、前記レバーの少なくとも一部は前記ハウジングに対して移動可能である。前記ハウジングは、流体分注ポートを形成する。いくつかの実施形態において、前記レバーの少なくとも一部は前記弾性部材に接触し、前記シールの少なくとも一部は、前記レバーの少なくとも一部に接触する。前記シールは、選択的に流体を分注するために前記流体分注ポート内を移動可能である。
【0017】
いくつかの実施形態において、ハウジングはベント開口を形成し、弾性部材はシールタブを備える。いくつかの実施形態において、シールタブは、前記バルブ組立体が前記密閉形状にあるとき前記ベント開口を覆う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】バルブ組立体10の実施形態の前側斜視図を示す。
【
図2A】弾性部材16の実施形態の前側斜視図を示す。
【
図4A】密閉形状におけるバルブ組立体10の実施形態の断面図を示す。
【
図4B】流体流通形状における
図4Aのバルブ組立体10の断面図を示す。
【
図6A】保護キャップ82を備えたバルブ組立体10の前側斜視図を示す。
【
図6B】バルブ組立体10のない
図6Aの保護キャップ82の後側斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は多数の異なる形態にて具体化され得るが、ここでは特定の実施形態について説明する。本明細書は、本発明の実施例を示すが、開示される特定の実施形態に限定する意図はない。
【0020】
この開示の目的のため、図面中の同様の部材番号は、その他の方法で示されない限りは、同様の特徴点に関連する。
図1A〜
図1Cには、本明細書中ではバルブ組立体又は組立体と呼ぶ流体分注バルブ組立体10の実施形態が示される。いくつかの実施形態において、バルブ組立体10は、ハウジング12と、レバー14と、弾性部材16と、シール18と、を備える。
図1A〜
図1Cに示すように、ハウジング12は、モールド時の形状("as-molded" configuration)をなす。このモールド時の形状においては、レバー14はヒンジ28(以下で、より詳細に説明する)中心として折り畳まれていない。
【0021】
いくつかの実施形態において、ハウジング12は、円筒本体部20と、グリップ22とを備える。円筒本体部20は、例えば、水、ジュース、乳製品、食品用オイル及びスポーツドリンクのような消費可能液体を収容し得る流体コンテナ上の出口ポートに取り付くように形成される。無論、その他の種々の粘度の液体も考えられる。
【0022】
いくつかの実施形態において、グリップ22は、一対のフレアーグリップ部材24を備える。このフレアーグリップ部材24は、例えば、
図1Cにおいて明らかなように、それぞれのグリップ部材24と円筒本体部20の表面26の間に人さし指と中指を置くことによって、作業者が片手でバルブ組立体10を取り扱うことを可能とするように外形をなす。
【0023】
さらに、
図1A〜
図1Cを参照すると、レバー14は、ヒンジ28を介してハウジング12に対して旋回可能(hingedly)に連結されている。いくつかの実施形態において、レバー14及びハウジング12は、同一のモールド工程において形成され、ヒンジ28は、レバー14をハウジング12に接続する材料の厚さの減少した部分を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、レバー14は、さらに、リップ30及びアクチュエータ32を備える。アクチュエータ32は、例えば、
図4A及び
図4Bに示される組立体10が使用時の形状("as-used" configuration)にあるとき、弾性部材16に接触する。
【0025】
図2A〜
図2Cには、弾性部材16の実施形態が示される。弾性部材16は、本体部34及びシールタブ36を備える。シールタブ36は、好ましくは、タブヒンジ38を介して、本体部34に連結される。この方法において、いくつかの実施形態では、シールタブ36は、旋回可能に本体部34に取り付けられる。さらに、弾性部材16は、例えば、射出成形によるように1回のモールド工程にて形成され得る。その他の適切な製造技術が使用され得る。いくつかの実施形態において、弾性部材16は、例えば、Arnitel(登録商標)EM400のようなコポリエステルエラストマー、材料熱可塑性エラストマ(TPE)から形成される。いくつかの実施形態において、弾性部材16は、ショアDで25及び36間を全て含むデュロメータ硬さを有する。いくつかの実施形態において、弾性部材16はショアDで27のデュロメータ硬さを有するとともに、いくつかの実施形態において、ショアDで35のデュロメータ硬さを有する。追加的に、いくつかの実施形態において、弾性部材16はArnitel(登録商標)EL250から形成されている。また、弾性部材16は、Dynaflex(登録商標)TPE又はその他適切な材料で形成され得る。
【0026】
図2Bに示されるように、いくつかの実施形態において、タブヒンジ38は、本体部34及びシールタブ36間に亘って薄くされた材料厚さtの領域である。この材料厚さtは、
図2Bに示されるように、断面において壁に直交する方向で計測される。
【0027】
さらに、本体部34は、ドーム部40及び保持キャッチ42を備える。ドーム部40は、
図4A及び
図4Bにおいて詳細に示すように、アクチュエータ32によって圧力が加えられたとき、弾性変形可能であってスプリングとして機能する。特に
図2Bに関して、いくつかの実施形態において、保持キャッチ42は、とげのような突出部又は断面で計測される厚くされた材料厚さを備える。保持キャッチ42に隣接して凹部44が形成される。
【0028】
図4A及び
図4Bに示されるように、弾性部材16は、保持キャッチ42を介してハウジング12内に保持される。ハウジング12の一部は、弾性部材16を特定位置に保持するために凹部44の中に嵌合される。
【0029】
最終的に、
図2Bに示すように、弾性部材16は、厚くされた材料厚さを有する補強領域46を備える。補強領域46は、接触するアクチュエータ32(
図1A)のための強さ増加エリアを提供する。そして、
図2A及び
図2Cに示されるように、弾性部材16は、カットアウト47を備える。このカットアウト47は、
図1B、
図4A及び
図4Bに示すように、流体分注ポート48の周りに適応する。
【0030】
図3A〜
図3Cには、シール18の実施形態が示されている。このシール18は、基礎部50と、この基礎部50から延出する脚部52と、この基礎部50から延出するシールアーム54と、を備える。いくつかの実施形態において、基礎部50は、
図4Aに詳細に示されるように、ハウジング12及びシール18間に液密シールを形成するように、流体分注ポート48に適合するシール表面56を備える。追加的に、いくつかの実施形態において、基礎部50は、少なくとも一つのガイド58を備える。いくつかの実施形態において、例えば、
図3A及び
図3Cに示されるように、シールは、基礎部50の反対側に互いに位置する2つのガイド58を備える。
図1Bに戻って、ガイド58は、滑り可能にハウジング12上のチャンネル60内に配置される。この方法において、シール18は、密閉形状(
図4A)から流体流通形状(
図4B)に、若しくはその反対に移動する。このシール18は、複数のチャンネル60(
図1B)に沿って延出し、流体分注ポート48とともに適切なシール表面56の位置を保証する。
【0031】
いくつかの実施形態において、脚部52はラッチ62を備える。このラッチ62は、レバー14(
図1A)上のキーパー64に係合する。キーパー64は、ハウジング12及びシール18の組み立てを容易とするために、嵌合によりラッチ62を保持する。さらに、レバー14及びシール18は、レバー14が押されたとき、シール18がチャンネル60(
図1B)に沿って移動し、流体がバルブ組立体10の外に流れることを許可するように、キーパー64及びラッチ62(
図1A)を通じて連結される。特に、いくつかの実施形態において、レバー14が脚部52を押圧するにつれて、シール18がチャンネル60に沿って移動し、チャンネル60はシール18の位置がずれることを抑制する。追加的に、いくつかの実施形態において、脚部52は、シール18がチャンネル60に沿って移動するのにつれて弾性的に変形する。この観点において、キーパー64は、ヒンジ28の周りの円弧に沿って移動することが理解される。従って、脚部52のラッチ62は、キーパー64が描く円弧に沿って移動する。それにも関わらず、ガイド58(
図1A)はチャンネル60に沿って移動し、それによって、シール18の基礎部50がハウジング12に対して非円弧、すなわち直線形の態様で移動することを保証する。これによって、次々に、流体分注ポート48(
図4B)の流出量の比率の上昇が促進される。いくつかの実施形態において、脚部52が弾性的に変形可能であるため、シール18の基礎部50がチャンネル60に沿って直線的に移動すると同時にラッチ62はキーパー64とともに円弧に沿って移動する。
【0032】
さらに、
図3A〜
図3Cを参照すると、いくつかの実施形態において、シールアーム54は凸状で上方向に延出する。いくつかの実施形態において、シール18は、シールアーム54及び基礎部50間に延出するガセット66を備える。このガセット66は、付加的にシールアーム54を補強する。追加的に、シールアーム54は端部68を有する。いくつかの実施形態において、端部68は、シールアーム54に対して角度付けられている。この方法において、端部68は、例えば、
図4Aに示されるように、弾性部材16のシールタブ36に接触する。
【0033】
いくつかの実施形態において、例えば、
図4Aに示されるように、シール18が密閉形状にあるとき、端部68は、シールタブ36を密閉形状に維持するためシールタブ36上に力を加える。いくつかの実施形態において、シールアーム54は、バルブ組立体10が密閉形状にあるときシールタブ36に圧力を加えるために、弾性的に変形可能であって、かつスプリングとして機能する。
【0034】
いくつかの実施形態において、シール18及びシールタブ36は、一時的に密接な関係となってハウジング12とともに密閉してシールする必要があることが理解される。特に、シール18及びシールタブ36はほぼ同時にシールする必要がある。そのために、いくつかの実施形態において、シールアーム54は漏れを防止及びシール18及びシールタブ36間が閉じるタイミングの変化のための寛容性を提供するため可塑性材料から形成される。
【0035】
いくつかの実施形態において、シール18は、例えば、Dow(登録商標)DMDA−8409 NT7の高密度ポリエチレン(HDPE)から形成される。いくつかの実施形態において、シールはショアD硬さ59を有する材料から形成される。その他の適切な材料は使用され得る。いくつかの実施形態において、ハウジング12は、例えば、Flint Hills Resources(登録商標)polypropylene AP5520-HAのポリプロピレンから形成される。
【0036】
いくつかの実施形態において、ハウジングは、ロックウェル硬さ100の材料から形成される。当業者によって理解されるように、その他、同一の硬さ又は異なるその他の硬さを備える適切な材料も使用され得る。さらに、いくつかの実施形態において、ハウジング12は、シール18よりもより多様な材料から形成される。特に、いくつかの実施形態において、シール18は、ハウジング12の材料に比べてより軟らかく、及び/又はより柔軟性の高い材料を含む。このシール18をより軟らかい材料で形成することによって、シール18がハウジング12の外形に接触する位置まで弾性変形可能となる。例えば、シール18のシール表面56は流体分注ポート48の隣接表面に付勢する密閉シールを提供するように変形される。
【0037】
図4Aに戻ると、同図には、密閉形状にあるバルブ組立体10の断面が示されている。開示する目的のため、ヒンジ14上のキーパー64は断面図で示されている。
図4Aに示されるように、いくつかの実施形態において、ハウジング12は、本明細書では貫通孔と称する穴86を形成する。いくつかの実施形態において、弾性部材16の一部は、貫通孔86を貫通して延出する。この方法において、弾性部材16は、単一の材料から形成され得るとともに、ハウジング12の内部にシールタブ36が配置される間、レバー14とともに相互に作用するスプリングとして機能する。密閉形状において、シール18のシール表面56は、流体がバルブ組立体10から流出することを防止するように、流体分注ポート48の隣接表面に適合する。さらに、シールタブ36はベント開口70を覆う。
【0038】
いくつかの実施形態において、バルブ組立体10が密閉形状にあるとき、弾性部材16は部分的に変形する。それによって、弾性部材16は、アクチュエータ32を介してレバー14を外方向に押す。次に、キーパー64は、流体分注ポート48及び隣接シール表面56間の流体の確実なシール性を維持するためにシール18を引っ張る。追加的に、いくつかの実施形態において、シールアーム54はシールタブ36に圧力を加える。
【0039】
図4Bに戻って、力Fがレバー14に加えられたとき、レバー14は、作業者の親指によって、シール18を内方向に押圧する。これにより、ガイド58及びチャンネル60(
図1B)によって案内されつつ、徐々にシール18を内方向に移動させる。それによって、流体は、矢印72で示されるように、流体分注ポート48からの流出が可能となる。その間に、コンテナ内の圧力と均一にするために、流体がコンテナから流出するにつれて、空気は、ベント開口70を通じて、コンテナ内に流入することが可能となる。シールタブ36は、シールアーム54が内方向にコンテナに向かって移動することで、閉じられていたベント開口70から離間することが可能となる。空気のコンテナ中への流入は矢印74で示されている。
【0040】
いくつかの実施形態において、シールタブ36は、レバー14が内方向に押圧された後に即座に開かない。シールタブ36の裏面への流体圧力によって、当初、シールタブ36が閉じた状態に保たれる。これによって、流体分注ポート48を通じた液体の突入を防止する。外気とコンテナ内との圧力差が十分となると、シールタブ36が開くとともに、空気がコンテナ内に流れることが可能となる。
【0041】
作業者がコンテナから流出する流体を停止させたい場合、作業者は、単にレバー14への力Fの印加を停止すればよい。力Fが印加されなくなった後に、弾性部材16はアクチュエータ32を押圧し、シール18はキーパー64及びラッチ62を介して外方向に引っ張られる。そして、バルブ組立体は、レバー14が解放されたとき、
図4Aに示されるような密閉形状に戻る。
【0042】
前述を考慮し、
図1Aに戻ると、いくつかの実施形態において、ハウジング12は、さらに、流体分注ポート48を囲む包部76を備える。この包部76は流体分注ポート48から流出する流体のための流れ経路を提供し、かつ汚染物質を流体分注ポート48から遠ざけることを補助する。
【0043】
図1Bを参照すると、いくつかの実施形態において、ハウジング12は、さらに、コルクシール78及び保持リング80を備える。このコルクシール78及び保持リング80は、バルブ組立体10を適切な境界面を有するコンテナに取り付け可能であり、例えば、当業者によって理解されるような、円筒カラーが特定の位置に嵌合され、かつコルクシール78及び保持リング80を通じて保持される。また、このバルブ組立体10は、その他の適切な方法を通じてコンテナに取り付け可能であって、例えばねじ、締まり嵌め、超音波溶接又は接着剤の方法を利用してもよい。その他の適切な選択肢は、当業者によって理解されるものである。
【0044】
図5に戻って、同図には、使用時及び密閉形状のバルブ組立体10が示されている。レバー14は、
図1Aのモールド時の形状からヒンジ28周りで折り畳まれている。さらに、
図4Aの断面図に示されるように、ラッチ62は、キーパー64を取り付けるために嵌合される。作業者は、その者の親指をレバー14に、人差し指及び中指のそれぞれをフレアーグリップ部材24の外面に置くことでバルブ組立体を操作できる。
【0045】
図6Aは、レバー14(同図では見えない)及びハウジング12の表面26(同図では見えない)を覆う保護キャップ82を備えたバルブ組立体10を示す。いくつかの実施形態において、このキャップ82は、バルブ組立体10の使用前に取り外される取り外し可能開封ストリップ84を有する。開封ストリップ84は不正操作の証拠を示す。
【0046】
このキャップ82は、例えばバルブ組立体10の輸送中、バルブ組立体10のコンテナへの取り付け中又は保管中に使用され得る。このキャップ82は、バルブ組立体10の使用前に接触する汚染物質又は破片に対する保護を促す。追加的に、
図6Bに示されるように、このキャップ82は、さらに、複数のリブ90を備える。
【0047】
このリブ90はこのキャップ82を補強し、例えば、輸送又は保管の間に、複数のバルブ組立体10が有する複数の保護キャップ82はその上に積み重ねることが可能である。いくつかの実施形態において、バルブ組立体10は、別々に製造され、かつ一体となるように組み立てられる3つの構成要素から構成される。特に、いくつかの実施形態においては、バルブ組立体10は、ハウジング12及びレバー14を備える第1の構成要素と、弾性部材16を備える第2の構成要素と、シール18を備える第3の構成要素とから構成される。いくつかの実施形態において、これら3つの構成要素は、独立した射出成形工程で形成され、その後にバルブ組立体10内に組み付けられる。いくつかの実施形態においては、保護キャップ82は、別の独立した射出成形工程で形成される。バルブ組立体10内への第1〜第3の構成要素の組み立ての後、それにキャップ82が付加される。
【0048】
前述に加えて、いくつかの実施形態は、バルブ組立体10及びコンテナ、例えば、剛質コンテナの結合を対象とする。いくつかの実施形態において、バルブ組立体10は可撓性コンテナ又はパッケージとともに使用され得る。
【0049】
米国特許出願第12/839860号明細書(2010年7月20日出願)「分注組立体(Dispenser Assembly)」は、参照することにより本明細書に組み入れられる。
上記開示は、実例であって、網羅的でないものとする。本明細書は、多数の変形例及び代替案を当業者に提案する。これら全ての代替案及び変形例は、各請求項の範囲内に含まれるものと意図し、この各請求項における「から構成され」は、「備える」、「含む」の意味であって限定されない。当業者は、その他の等価物がここに開示される具体的な実施形態であると認識し得て、この等価物は、各請求項に包含されるものである。
【0050】
さらに、その他の可能性のある従属項の特徴点の組み合わせを有するその他の実施形態に適用されるよう認識されるように、従属項で特定される特徴は、本発明の範囲内で互いに他の方法に結合され得る。例えば、特許請求の範囲の目的のため、仮にいわゆるマルチクレーム形式が司法によって許容されるなら各従属項は、従属項において引用された全ての前提を所有する前述の請求項からいわゆるマルチクレーム形式として選択的に記載されていると理解されるべきである。(例えば、請求項1に直接的に従属する各請求項は、前述の全ての請求項に従属すると選択的に理解されるべきである。)
マルチクレーム形式が制限されている管轄権においては、下記の各従属項は一の請求項のみに従属する請求項の形式として選択的に記載されていると理解されるべきである。一の請求項のみに従属する請求項の形式は、この従属する請求項より下に記載された特定の請求項以外で先行の所有する請求項から従属を形成する。
【0051】
これは、好ましい本明細書及び本発明の代替実施形態を完成させる。当業者は、その他の等価物が本明細書に記載された具体的な実施形態であると認識し得て、この等価物は、本明細書に添付される特許請求の範囲内とされる。