(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981567
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】電気液圧式サーボ弁
(51)【国際特許分類】
F15B 13/044 20060101AFI20160818BHJP
F16K 31/44 20060101ALI20160818BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
F15B13/044 C
F16K31/44 C
F16K31/04 Z
【請求項の数】34
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-556526(P2014-556526)
(86)(22)【出願日】2012年2月9日
(65)【公表番号】特表2015-511302(P2015-511302A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】US2012024547
(87)【国際公開番号】WO2013119240
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】501188177
【氏名又は名称】ムーグ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コップ、ジョン
【審査官】
加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−097200(JP,A)
【文献】
実開平02−029368(JP,U)
【文献】
仏国特許出願公開第02281533(FR,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第01409269(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 13/044
F16K 31/04
F16K 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気液圧式弁であって、
モータ軸線周りに配向された出力シャフトを備える回転式電気モータと、
弁シリンダに対して第1の位置から第2の位置に移動するよう構成され配置された弁駆動スプールを有する液圧式弁と、
前記出力シャフトと前記駆動スプールとの間の機械的リンケージであって、
前記出力シャフトに機械的に結合されたスリーブと、
前記モータ軸線に対して概ね垂直の方向に前記スリーブに対して摺動係合するように構成され配置されたポール・シャフトと、
ピボット継手によって前記ポール・シャフトに連結されたリンクと、
前記リンクに結合され、駆動軸線の周りを回転するように構成され配置された駆動シャフトであって、
前記スプールと係合し、前記スプールに力をかけるように構成され配置された端部分を有する、駆動シャフトと、
前記ポール・シャフトと前記スリーブとの間に付勢力をもたらすように構成され配置されたばねとを有し、
前記駆動軸線と前記かけられた力との間の距離を掛けた、前記モータ軸線と前記ピボット継手との間の距離が、前記駆動軸線と前記ピボット継手との間の距離より小さくなるように構成され配置される、機械的リンケージとを備え、
前記電気モータの回転が、前記駆動スプールを前記第1の位置から第2の位置に移動させる、電気液圧式弁。
【請求項2】
前記電気モータが、トルク・モータ、トロイダル・モータ、及びソリッド・ステート・アクチュエータからなる群から選択される、請求項1に記載の電気液圧式弁。
【請求項3】
前記第1の位置が閉位置であり、前記第2の位置が開位置である、請求項1に記載の電気液圧式弁。
【請求項4】
前記端部分がクイルである、請求項1に記載の電気液圧式弁。
【請求項5】
前記駆動シャフトが、軸受内で支持される、請求項1に記載の電気液圧式弁。
【請求項6】
前記ばねが、前記モータ軸線と前記ピボット継手との間の前記距離を減じるように前記ポール・シャフトを前記スリーブに対して強制移動させるように構成され配置される、請求項1に記載の電気液圧式弁。
【請求項7】
前記ばねが、前記駆動スプールが前記第1の位置にあるときに圧縮された状態になり、前記駆動スプールが前記第2の位置にあるときに圧縮された状態になるように構成され配置される、請求項6に記載の電気液圧式弁。
【請求項8】
前記ばねが、機械的リンケージ内のバックラッシュを低減するように構成され配置される、請求項1に記載の電気液圧式弁。
【請求項9】
前記電気液圧式弁が、前記駆動シャフトを前記リンクに結合する調整可能な止めねじを備える、請求項1に記載の電気液圧式弁。
【請求項10】
電気液圧式弁であって、
モータ軸線周りに配向された出力シャフトを備えるアクチュエータと、
基準部に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され配置された弁駆動スプールを備える液圧式弁と、
前記出力シャフトと前記駆動スプールとの間の機械的リンケージであって、
前記モータ出力シャフトに機械的に結合された第1のリンクと、
駆動軸線周りで前記基準部に対して回転可能であり、第1の機械的インターフェースにおいて前記第1のリンクに連結され、第2の機械的インターフェースにおいて前記スプールに機械的に結合された第2のリンクとを有し、
前記駆動軸線と前記第2の機械的インターフェースとの間の距離を掛けた、前記モータ軸線と前記第1の機械的インターフェースとの間の距離が、前記第1のインターフェースと前記駆動軸線との間の距離より小さくなるように構成され配置される、機械的リンケージとを備え、
前記アクチュエータの作動が、前記駆動スプールを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる、電気液圧式弁。
【請求項11】
前記アクチュエータが、トルク・モータ、トロイダル・モータ、ソリッド・ステート・アクチュエータ、及びMEMSマイクロ弁で制御される液圧式モータからなる群から選択される、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項12】
前記第1の位置が閉位置であり、前記第2の位置が開位置である、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項13】
前記第1のリンクが、摺動係合によって前記出力シャフトに機械的に結合される、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項14】
前記摺動係合が、前記モータ軸線に対して概ね垂直な方向にある、請求項13に記載の電気液圧式弁。
【請求項15】
前記第1のリンクが、スリーブによって前記出力シャフトに機械的に結合される、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項16】
前記第1の機械的インターフェースが、ピボット継手を備える、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項17】
前記第1の機械的インターフェースが、ギア付きインターフェースを備える、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項18】
前記第2の機械的インターフェースが、前記第2のリンクに取り付けられ、前記駆動スプールと係合し、前記駆動スプールに力をかけるように構成され配置されたクイルを備える、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項19】
前記第2のリンクが、軸受によって前記基準部に結合される、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項20】
前記基準部が、サーボ弁ハウジングを備える、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項21】
前記スプールを前記第1の位置に向かって強制移動させるように構成され配置された付勢機構をさらに備える、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項22】
前記付勢機構が、ばねを備える、請求項21に記載の電気液圧式弁。
【請求項23】
前記ばねが、前記モータ軸線と前記第1の機械的インターフェースとの間の前記距離を減じるように前記第1のリンクを強制移動させるように構成され配置される、請求項22に記載の電気液圧式弁。
【請求項24】
前記ばねが、前記駆動スプールが前記第1の位置及び前記第2の位置にあるときに圧縮された状態になるように構成され配置される、請求項23に記載の電気液圧式弁。
【請求項25】
前記付勢機構が、前記機械的リンケージ内のバックラッシュを低減するように構成され配置される、請求項21に記載の電気液圧式弁。
【請求項26】
前記機械的リンケージが、前記第2のリンクと前記第2の機械的インターフェースとの間に構成され配置された駆動シャフトを備える、請求項10に記載の電気液圧式弁。
【請求項27】
前記電気液圧式弁が、前記駆動シャフトを前記第2のリンクに結合する調整可能な止めねじを備える、請求項26に記載の電気液圧式弁。
【請求項28】
モータ軸線周りに配向された出力シャフトを備えるアクチュエータと、
基準部に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され配置された弁駆動スプールを備える液圧式弁と、
前記出力シャフトと前記駆動スプールとの間の機械的リンケージと
を備える電気液圧式弁であって、
前記機械的リンケージは、
シャフト・スリーブによって前記モータ出力シャフトに機械的に結合されたシャフトを備える第1のリンクと、
前記シャフトと前記シャフト・スリーブとの間に作用する付勢機構と、
支点周りにレバーを形成するように構成され配置された第2のリンクであって、前記支点の一方側の第1のレバー・アームと、前記支点の反対側の第2のレバー・アームとを有する第2のリンクと
を備え、
前記第1のレバー・アームが、前記第1のリンクとの第1の機械的連結部を有し、前記第2のレバー・アームが、スプール接触インターフェースを有し、
前記第2のリンクが、前記支点周りにメカニカル・アドバンテージを提供するように構成され配置され、
前記アクチュエータの作動が、前記駆動スプールを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる、電気液圧式弁。
【請求項29】
前記第1のリンクが、ヘッド端部及びピボット端部を備え、前記第1の機械的連結部は、前記第1のリンクの前記ピボット端部と前記第1のレバー・アームとの間に浮遊式ピボット継手を備える、請求項28に記載の電気液圧式弁。
【請求項30】
前記付勢機構が、前記ポール・シャフト・ヘッド端部と前記シャフト・スリーブとの間に構成され配置されたばねをさらに備える、請求項29に記載の電気液圧式弁。
【請求項31】
前記ばねが、前記駆動スプールが前記第1の位置及び前記第2の位置にあるときに圧縮される、請求項30に記載の電気液圧式弁。
【請求項32】
前記第2のリンクが、軸受によって支持される、請求項28に記載の電気液圧式弁。
【請求項33】
前記支点が、ピボット継手を備える、請求項28に記載の電気液圧式弁。
【請求項34】
前記スプール接触インターフェースが、クイルを備える、請求項28に記載の電気液圧式弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に液圧式サーボ弁の分野に関し、より詳細には電気的に制御される液圧式サーボ弁に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くのサーボ弁の構成が、従来技術において知られている。表題「Servovalve Having a Trapezoidal Drive」の米国特許第6,199,588号は、電気モータを、付勢ばねに取り付けられた弁スプールにインターフェース連結するための台形形状の駆動要素を有するサーボ弁を開示している。
【0003】
表題「Motor/Spool Interface for Direct Drive Servovalve」の米国特許第6,000,678号は、弁部材をシャフトの回転によって往復運動させる係合部材を備えたモータシャフトを有する直接駆動のサーボ弁を対象としている。
【0004】
表題「Direct Drive Servovalve with Rotary Force Motor」の米国特許第4,742,322号は、限定された角度の回転力モータを有する直接駆動のサーボ弁を教示している。モータは、弁スプールとインターフェース連結するためのボールを備えた偏心アームを備えた出力シャフトを有する。
【0005】
表題「Direct Drive Valve and Force Motor Assembly Including Interchangeable Stator Assembly and Alignment System or Method」の米国特許第4,641,812号は、磁気ばねと、回転動作を線形動作に変換するための偏心器を備えた可撓性駆動シャフトとを有する直接駆動のサーボ弁を開示している。弁組立体は、液圧式弁の中立(null)を磁気ばねの中立に対して調整するための較正ナットを含む。
【0006】
表題「Differential Cylinder Pressure Gain Compensation for Single Stage Servovalve」の米国特許第4,951,549号は、モータ回転を液圧式四方スプール弁の変位に変換するためのボールねじ機構に連結された電気DCステッピング・モータを有するデジタル・サーボ弁を開示している。この組立体は、弁スプール結合ジャーナルに固定されたトーション・バーを含む。
【0007】
表題「Differential Cylinder Pressure Gain Compensation for Single Stage Servovalve」の米国特許第5,031,653号は、機械的フィードバックばねに取り付けられた単段の往復運動式弁スプールを開示している。弁スプールは、電気的に制御されるトルクモ・モータによって駆動される。
【0008】
表題「Motor−To−Spool Coupling for Rotary−To−Linear Direct Drive Valve」の米国特許第5,263,680号は、回転力を線形動作に変換するために電気モータと弁スプールとの間のカップリングを有する弁を開示している。モータは、平坦で弓状の表面を有する、整形された外方向に拡張可能なブッシングに密接に結合されたピンを備えたシャフトを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,199,588号
【特許文献2】米国特許第6,000,678号
【特許文献3】米国特許第4,742,322号
【特許文献4】米国特許第4,641,812号
【特許文献5】米国特許第4,951,549号
【特許文献6】米国特許第5,031,653号
【特許文献7】米国特許第5,263,680号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
限定的ではなく単なる例示の目的として、開示した実施例の対応する部品、部分又は表面に対して括弧付きで参照すると、本発明は、電気液圧式弁(210)であって、モータ軸線(230)周りに配向された出力シャフト(231)を有する回転式電気モータ(221)と、弁シリンダ(238)に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され配置された弁駆動スプール(224)を有する液圧式弁と、出力シャフト(231)と駆動スプール(224)との間の機械的リンケージ(222)であって、出力シャフト(231)に機械的に結合されたスリーブ(232)と、モータ軸線に対して概ね垂直の方向にスリーブに対して摺動係合するように構成され配置されたポール・シャフト(233)と、ピボット継手(234)によってポール・シャフトに連結されたリンク(235)と、リンクに結合され、駆動軸線(240)の周りを回転するように構成され配置された駆動シャフト(252)であって、スプールと係合し、これに力をかけるように構成され配置された端部分(237)を有する、駆動シャフト(252)と、ポール・シャフトとスリーブとの間に付勢力をもたらすように構成され配置されたばね(223)とを有し、駆動軸線とかけられた力との間の距離(R3)を掛けた、モータ軸線とピボット継手との間の距離(R1)が、駆動軸線とピボット継手との間の距離(R2)より小さくなるように構成され配置される、機械的リンケージ(222)とを備え、それにより、電気モータの回転が、駆動スプールを第1の位置から第2の位置に移動させる、電気液圧式弁(210)を提供する。
【0011】
電気モータは、トルク・モータ、トロイダル・モータ、又はソリッド・ステート・アクチュエータであり得る。第1の位置は閉位置であり、第2の位置は開位置であり得る。端部分はクイル(quill)であり得る。駆動シャフトは、軸受(236)内で保持され得る。ばねは、モータ軸線とピボット継手との間の距離を減じるようにポール・シャフトをスリーブに対して強制移動させるように構成され配置され得る。ばねは、駆動スプールが第1の位置にあるときに圧縮された状態になり、駆動スプールが第2の位置にあるときに圧縮状態になるように構成され配置され得る。ばねは、機械的リンケージ内のバックラッシュを低減するように構成され配置され得る。駆動シャフトは、圧縮係合によってリンクに結合させることができ、圧縮は、止めねじ(251)によって調整可能になり得る。
【0012】
別の態様では、電気液圧式弁であって、モータ軸線(230)周りに配向された出力シャフト(231)を有するアクチュエータ(221)と、基準部(220)に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され配置された弁駆動スプール(224)を有する液圧式弁と、出力シャフトと駆動スプールとの間の機械的リンケージであって、モータ出力シャフトに機械的に結合された(232)第1のリンク(233)と、駆動軸線(240)周りで基準部に対して回転可能であり、第1の機械的インターフェース(234)において第1のリンクに連結され、第2の機械的インターフェース(237)においてスプールに機械的に結合された第2のリンク(235)とを有し、駆動軸線と第2の機械的インターフェースとの間の距離(R3)を掛けた、モータ軸線と第1の機械的インターフェースとの間の距離(R1)が、第1のインターフェースと駆動軸線との間の距離(R2)より小さくなるように構成され配置される、機械的リンケージとを備え、この場合、アクチュエータの作動が、駆動スプールを第1の位置から第2の位置に移動させる、電気液圧式弁が提供される。
【0013】
アクチュエータは、トルク・モータ、トロイダル・モータ、ソリッド・ステート・モータ、又はMEMSマイクロ弁で制御される液圧モータであり得る。第1の位置は閉位置であり、第2の位置は開位置であり得る。第1のリンクは、摺動係合によってモータ出力シャフトに機械的に結合され得る。摺動係合は、モータ軸線に対して概ね垂直な方向であり得る。第1のリンクは、スリーブを介して出力シャフトに機械的に結合され得る。第1の機械的インターフェースは、ピボット継手を備えることができる。第1の機械的インターフェースは、ギア付きインターフェースを備えることができる。第2の機械的インターフェースは、第2のリンクに取り付けられ、駆動スプールと係合し、これに力をかけるように構成され配置されたクイルを備えることができる。第2のリンクは、軸受(236)を介して基準部に結合され得る。基準部は、サーボ弁ハウジングを備えることができる。電気液圧式弁は、さらに、スプールを第1の位置に向かって強制移動させるように構成され配置された付勢機構(223)を備えることができる。付勢機構はばねであり得る。ばねは、モータ軸線と第1の機械的インターフェースとの間の距離を減じるように第1のリンクを強制移動させるように構成され配置され得る。ばねは、駆動スプールが第1の位置及び第2の位置にあるときに圧縮された状態になるように構成され配置され得る。付勢機構は、機械的リンケージ内のバックラッシュを低減するように構成され配置され得る。機械的リンケージは、第2のリンクと第2の機械的インターフェースとの間に構成され配置された駆動シャフト(252)を備えることができる。駆動シャフトは、第2のリンク及び止めねじ(251)によって圧縮式に係合され得る。
【0014】
別の態様では、電気液圧式弁であって、モータ軸線(230)周りに配向された出力シャフト(231)を有するアクチュエータ(221)と、基準部(220)に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成され配置された弁駆動スプール(224)を有する液圧式弁と、出力シャフトと駆動スプールとの間の機械的リンケージであって、モータ出力シャフトに機械的に結合された(232)第1のリンク(233)と、支点(240)周りにレバーを形成するように構成され配置された第2のリンク(235、252)であって、支点の一方側の第1のレバー・アームと、支点の反対側の第2のレバー・アームとを有し、第1のレバー・アームが、第1のリンクとの第1の機械的連結部(234)を有し、第2のレバー・アームが、スプール接触インターフェースを有し、第2のリンクは、支点周りにメカニカル・アドバンテージを提供するように構成され配置される、機械的リンケージとを備え、この場合、アクチュエータの作動が、駆動スプールを第1の位置から第2の位置に移動させる、電気液圧式弁が提供される。
【0015】
第1のリンクは、シャフト・スリーブを介して出力シャフトに機械的に結合されたポール・シャフトを備えることができる。第1のリンクは、ヘッド端部(239)及びピボット端部を備えることができ、第1の機械的連結部は、第1のリンクのピボット端部と第1のレバー・アームとの間に浮遊式ピボット継手を備えることができる。電気液圧式弁は、さらに、ポール・シャフト・ヘッド端部とシャフト・スリーブとの間に構成され配置されたばねを備えることができる。ばねは、駆動スプールが第1の位置及び第2の位置にあるときに圧縮され得る。第2のリンクは、軸受内に装着され得る。支点は、ピボット継手を備えることができる。スプール接触インターフェースは、クイルを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】サーボ弁システムの第1の全体的な実施例のオブジェクト図である。
【
図2】
図1に示すサーボ弁の第1の特有の実施例の斜視図である。
【
図6】
図5の線6−6に沿って全体的に切り取られた、中立構成にある、
図5に示すサーボ弁の縦方向断面図である。
【
図7】
図6の線7−7に沿って全体的に切り取られた、
図6に示すサーボ弁の水平断面図である。
【
図8】
図7の線8−8に沿って全体的に切り取られた、中立構成にある、
図7に示すサーボ弁の縦方向断面図である。
【
図9】中立構成にある、
図6に示すサーボ弁の上部の部分図である。
【
図10】
図7の線8−8に沿って全体的に切り取られた、作動形態にある、
図7に示すサーボ弁の縦方向断面図である。
【
図11】稼動構成にある、
図10に示すサーボ弁の上部の部分図である。
【
図12】サーボ弁の第2の特有の実施例の上部の部分図である。
【
図13】サーボ弁の第3の特有の実施例の上部の部分図である。
【
図14】
図9に示すシステムの自由物体図の機械的モデルを示す図である。
【
図15】
図11に示すシステムの自由物体図の機械的モデルを示す図である。
【
図16】電気アクチュエータ出力シャフトの回転の角度の関数として、第1の実施例における付勢機構によって発生したトルクを示すグラフである。
【
図17】アクチュエータ出力シャフトの回転の角度の関数として、アクチュエータによって提供される必要があるトルクを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
始めに、いくつかの図面にわたって一貫して、同様の参照番号は同じ構造要素、部分、又は表面を特定するよう意図され、そのような要素、部分、又は表面は、記述された明細書全体によってさらに記載し又は説明することができ、この詳述される説明は本明細書の不可欠な部分となることが、明確に理解されなければならない。別途示されない限り、図面は、本明細書と一緒に読まれること(たとえば網状陰影、部品の配置、割合、程度など)が意図されており、本発明の記述された説明全体の一部分になる考えられるものである。以下の説明に使用するとき、「水平」、「縦方向」、「左」、「右」、「上」、及び「下」という用語、並びにそれらの形容詞形及び副詞形の派生語(たとえば「水平に」、「右方向に」、「上方向に」など)は、特定の図面が読み手に面するときの図示された構造の配向を指すものにすぎない。同様に、「内方向に」及び「外方向に」という用語も通常、適宜、長手軸線又は回転軸線に対する表面の配向を指すものである。
【0018】
次に図、より具体的には
図1を参照すれば、本発明は、改良された電気液圧式弁システムを提供し、その第1の実施例が、210において全体的に示されている。
図1に示すように、弁システム210は、通常、より大きいサーボシステム100において使用され、サーボシステム100は、コントローラ212、液圧式ポンプ213、液圧アクチュエータ214、被駆動物体215、及び位置センサ216を全体的に含む。サーボシステム100は、弁システム210に命令して、アクチュエータ214に連結された液圧制御ポート228及び229を制御させることによって、被駆動物体215の位置を制御するように構成される。
【0019】
図示するように、弁システム210は、通常、電気アクチュエータ221、機械的リンケージ222、液圧弁224、及び付勢機構223を含む。電気液圧式弁210は、液圧供給ライン226及び液圧戻りライン225を介して液圧式ポンプ213に連結される。また、電気液圧式弁210は、制御ポート228及び制御ポート229を介して液圧式アクチュエータ214と連結する。
【0020】
コントローラ212は、サーボ命令217を電気液圧式弁210に与える。命令217は、所望の設定点に相関付けられる。設定点は、通常、被駆動物体215の所望の位置、又は被駆動物体215の移動の所望の速度である。液圧式弁210は、コントローラ212から受け取られた命令217に基づいて、液圧式ポンプ213から液圧式アクチュエータ214への液圧パワーを制御する。
【0021】
液圧式アクチュエータ214は、制御ポート228と制御ポート229との間に液圧力の相違が存在するときに物体215を機械的に駆動させるように配置される。物体215の位置は、位置センサ216によって検出され、センサ216の出力は、フィードバック218としてコントローラ212に提供される。フィードバック・ループがコントローラ212を介して実装され、それにより、コントローラ212は、受け取られたフィードバック218の大きさに応じて命令217を調整する。
【0022】
正常作動においては、コントローラ212は、アナログ電流の形態の命令217を回転式トルク・モータ221に能動的に提供する。トルク・モータ221は、電流217に概ね比例するトルクをその出力シャフト231上に発生させる。出力シャフト231上のトルクは、機械的リンケージ222によって、液圧式弁224上に作用する線形力に変換される。
【0023】
液圧式弁224は、液圧式ポンプ213から液圧供給ライン226を受け入れ、液圧戻りライン225を液圧式ポンプ213に戻す。液圧式弁224は、制御ポート228及び制御ポート229に連結され、それにより、弁224の位置が変化するとき、制御ポート228と制御ポート229との間に差圧が生成される。この差圧は、液圧アクチュエータ214に物体215を駆動させる。
【0024】
付勢機構223は、弁224がほぼ等しい圧力を制御ポート228及び制御ポート229内に引き起こす位置、すなわち中立位置又は中立構成とも呼ばれる位置に向かって機械的リンケージ222を強制移動させる。
【0025】
図2は、第1の実施例の弁システム210の等角上面図である。
図4は、液圧供給ポート225、戻りポート226、制御ポート228、及び制御ポート229を示す、システム210の等角底面図である。
【0026】
図3は、弁システム210の分解等角図である。
図3に示すように、弁システム210は、その主要要素を、ハウジングの上側部分220及び本体227から形成される封止された空洞内に収容し、上側部分220及び本体227は、一緒にボルト留めされる。封止された空洞内に配置されるのは、電気アクチュエータ221、モータ出力シャフト231及び出力シャフト・スリーブ232、ポール・シャフト233及びばね223、駆動リンク235及びピン234、クイル駆動シャフト252及びクイル237、並びに弁スプール224である。
【0027】
電気アクチュエータ221は、軸線230周りで回転するように駆動された出力シャフト231を有する回転式トルク・モータである。しかし、回転式トルク・モータが示され説明されているが、トロイダル・モータ、ステッパ・モータ、誘導モータ、ハイブリッド・モータ、又は他の類似のアクチュエータなどの他のタイプのモータが、使用されてよいということが考えられる。
【0028】
モータ出力シャフト231は、出力シャフト・スリーブ232と同じ金属鋳造型から一緒に形成され、それにより、これらは単一の一体部材として一緒に移動する。或いは、出力シャフト231及び出力シャフト・スリーブ232は、別個の部片から形成し、互いに溶接することもできる。
【0029】
図3及び
図6に示すように、スリーブ232は、軸線244の周りに発生する略円筒状の管状部材であり、この軸線は、出力シャフト軸線230に対して概ね垂直に配向される。シャフト・スリーブ232は、ポール・シャフト233が中に配置される中空の円筒状の開口部232aを画定する。中空シリンダ232aの内径は、ポール・シャフト233を受け入れるようにサイズ設定され、それにより、スリーブ232及びポール・シャフト233は、最小限の公差で軸線244に沿って互いに摺動係合状態にある。
【0030】
ポール・シャフト233は、一方の端部にヘッド239を含む。付勢ばね223が、スリーブ232とポール・シャフト・ヘッド239との間に作用するように配置され、この2つを摺動軸線244に沿って強制的に離している。ピン継手開口部233aは、ポール・シャフト233のヘッド239とは他方の端部に位置する。ピボット継手ピン234は、駆動リンク235内の開口部235a内及びポール・シャフト233内の対応する継手開口部233a内に摺動式に嵌合して、ピボット継手を作り出す。ピン継手開口部233a、ピボット継手ピン234、及びリンク開口部235aは、浮遊式ピボット継手を形成するように構成される。この実施例では、ピン継手234はリストピンである。しかし、他の代替のピボット継手が使用されてよい。
【0031】
駆動リンク235は、第2の開口部235bを含み、この開口部内にはクイル駆動シャフト252が、
図6に示すように止めねじ251によって圧縮式に保持される。正常作動中、駆動リンク235及びクイル駆動シャフト252は、結合され、単一のユニットとして移動する。しかし、駆動リンク235をクイル駆動シャフト252に対して保持する止めねじ251は、較正中に所望に応じて緩められて駆動リンク235とクイル駆動シャフト252との間の相対的な回転及び縦方向位置を調整することができる。また、クイル駆動シャフト252は、ハウジング本体227との回転係合のための上側及び下側のジャーナル表面も有し、それにより、クイルシャフト252は、縦方向軸線240の周りを本体227に対して回転する。
【0032】
クイル237は、クイル駆動シャフト252の底端部上に位置する。クイル237は、弁スプール224と接触するための略球形状の外面を有する。弁スプール224は、従来の液圧式スプール弁である。クイル237は、クイルシャフト252の中央シャフト240に沿って配置されない。このオフセットの結果、クイル252が本体227に対して回転するとき、これは、軸線240の周りを円孤状に移動する。この実施例では、スプール224との接触要素はクイルであるが、それだけに限定されないが、駆動ノブ、ダイアモンド表面又は他の類似の力伝達要素を含む代替の接触要素が使用されてよい。
【0033】
弁スプール224は、弁本体227のシリンダ238内に摺動可能に係合するように構成され配置される。クイルシャフト252が回転するとき、クイル237は、弁スプール224をシリンダ238内で移動させる。弁スプール224は、いくつかの円筒状のランドa〜fを有し、これらのランドは、各ランド上の流体の液圧漏出を最小限に抑えるためにシリンダ238との緊密な径方向の公差を有するように構成される。
【0034】
トルク・モータ221が出力シャフト231を回転させると、出力シャフト・スリーブ232は、ポール・シャフト233も同様に回転させる。ポール・シャフト233が回転すると、これはピン継手234を押し、このピン継手は駆動リンク235を押す。それによって、駆動リンク235が回転させられる。クイルシャフト252は、駆動リンク235に剛結合され、したがって、駆動リンク235と一緒に回転する。クイルシャフト252が回転すると、これは、クイル237を移動させて弁スプール224に対して力をかけさせ、それによって弁スプール224をシリンダ238内で摺動させる。
【0035】
図5は、バルブがオフである第1の中立構成にある第1の実施例の弁システム210の上面図である。
図6は、
図5の線6−6に沿って切り取られた縦方向断面図であり、
図7は、
図6の線7−7に沿って切り取られた水平断面図である。
図6に示すように、電気モータ221は、ハウジング220及び弁本体227によって形成されたチャンバ内に配置される。電気モータは、回転軸線230を備えた回転式モータである。ステータ253及びロータ領域257は、いずれも回転軸線230の周りで概ね対称的である。ステータ253はハウジング220に結合され、コイルを含む。ロータ257は、回転軸線230の周りでステータ253に対して回転式に移動するように装着される。ロータ257は、その外側円周に沿った永久磁石領域254と、永久磁石領域254の径方向内側の鉄芯領域255と、中心に配置されたモータ出力シャフト231とを含む。モータ出力シャフト231は、環状軸受256a及び256bを介して弁本体227に回転式に結合される。モータ出力シャフト・スリーブ232は、出力シャフト231と同じ金属鋳造物から形成される。
【0036】
図6に示すように、ポール・シャフト233は、出力シャフト・スリーブ232内に同心円状に配置される。ポール・シャフト233は、軸線244に沿って出力シャフト・スリーブ232と左右に摺動係合するように構成され配置される。付勢ばね223は、ポール・シャフト233の外側円筒状表面に沿って同心円状に配置された、圧縮されたらせんコイルばねであり、ポール・シャフト・ヘッド239の左方向に向く縦方向環状表面と、出力シャフト・スリーブ232の右方向に向く縦方向環状表面との間に作用する。
【0037】
ポール・シャフト233及び駆動リンク235は、ピボット継手ピン234によって機械的に結合される。ピボット継手234は、その回転軸線が弁本体227に対して固定されないため、浮遊式ピボット継手と呼ばれる。ピボット継手ピン234は、モータ出力軸線230から距離R1だけ変位された中心線260を有する。駆動リンク235は、クイル駆動シャフト252を圧縮式に保持する止めねじ251を含む。クイル駆動シャフト252は、環状の上側及び下側の軸受236a及び236bによって支持され、これらの軸受は、クイル駆動シャフト252がクイル駆動シャフト軸線240の周りを弁本体227に対して回転することを可能にする。クイル駆動シャフト軸線240は、ピボット継手ピンの中心線260から水平距離R2だけ変位される。
【0038】
クイル237の中心線250は、クイル駆動シャフトの回転軸線240から距離R3だけ変位される。クイル237は、弁スプール224と接触する。弁スプール234は、軸線244に対して垂直の方向に弁本体227の弁シリンダ238内に摺動係合するように配置され配向される。
【0039】
図7は、モータ出力シャフト231の中心とピボット継手ピン234との間の距離R1を示す。また、ピボット継手ピン234と中央駆動シャフト252の中心との間の距離R2も示されている。ポール・シャフト233は、スリーブ232に対して軸線244に沿って左方向及び右方向に移動する。断面線8−8は、クイルの中心線250を通り抜ける。
【0040】
図8は、
図7の線8−8に沿って切り取られた弁システム210の縦方向断面である。
図8の縦方向断面は、クイル237の中心を通って切り取られていることに留意されたい。
図8に示す形態は、弁が閉鎖されている中立構成である。弁スプール224は、ランド241a、241b、241c、241d、241e、及び241fを含む。クイル237は、ランド241cの上側右面とランド241dの上側左面との間に水平に配置される。クイル237とランド241c及び241dとの間には、最小限の公差が維持され、又は全く維持されない。以下でさらに詳細に説明するように、クイル237は、クイルシャフトの回転によって移動させられるとき、ランド241c又はランド241dを押し付けて、弁スプール224をシリンダ238内で左又は右に移動させる。弁スプールのランド241c、241dとクイル237との間の摺動摩擦によって引き起こされる摩耗を最小限に抑えるために、クイル237は、ダイアモンドなどの硬質物質から作製され得る。
【0041】
図8の中立構成に示すように、液圧制御ポート228とシリンダ238との間の液圧流は、ランド241bによって遮られる。同様に、制御ポート299とシリンダ238との間の液圧流は、ランド241eによって遮られる。
【0042】
液圧供給ライン225は、
図8に示す左側液圧供給チャンバ225a及び右側液圧供給チャンバ226bと連通する。液圧供給チャンバ225a及び225bは、高圧状態にある。
図8に示す中立構成では、チャンバ226a内の高圧液圧流体は、スプール・ランド241aによって左方向に流れることが防止され、弁ランド241bによって右方向に流れることが防止される。同様に、チャンバ226b内の高圧液圧流体は、弁スプール241eによって左方向に及びスプール・ランド241fによって右方向に流れることが防止される。
【0043】
液圧戻りライン226は、左側液圧戻りチャンバ226a及び右側液圧戻りチャンバ226bと連通する。液圧戻りチャンバ226a及び226bは、低液圧力状態にある。
図8に示す中立構成では、液圧流体は、スプール・ランド241bによって左からチャンバ225a内に流れることが防止され、ランド241eによって右からチャンバ225b内に流れることが防止される。
【0044】
弁スプール224が、左又は右に移動されるとき、スプール・ランド241b及び241eは、制御ポート228及び229それぞれに沿ってもはや位置合わせされず、それにより、弁スプール224が移動される方向に応じて、高圧及び低圧のチャンバから制御ポート228及び229に、又は制御ポート228及び229から高圧及び低圧のチャンバに流体が流れることが可能になる。
【0045】
図9は、中立構成にある弁システムの部分的な上面図である。スプール弁224は、軸線282に沿って上下に摺動する。弁スプール224の下側端部は、中立構成にあるときに位置280において位置合わせされる。また、
図9に示すように、ポール・シャフト233、スリーブ232及び駆動リンク235は、中立位置にあるときに水平に(軸線282に対して垂直に)配向される。圧縮されたばね223はLの長さを有し、ポール・シャフト・ヘッド239とスリーブ232との間に拘束される。クイル237は、
図9のクイル駆動シャフト237によって図から隠されているが、クイル237を表す「影」が、
図9及び
図11内の237sにおいて示されている。
【0046】
出力シャフト231の中心とピボット継手ピン234の中心との間の距離は、R1である。ピボット継手ピン234の中心とクイル駆動シャフト252の回転軸線との間の距離は、R2である。クイル237(
図9には示さず)は、軸線282に沿って中心に置かれる。クイル駆動シャフト252の回転軸線とクイル237の中心との間の距離は、R3である。
【0047】
図10及び
図11は、システム要素が、対応する
図8及び
図9に示す中立構成から作動している稼動構成にある弁システム210を示している。
【0048】
図10及び
図11に示すように、クイル駆動シャフトは、角度θ2だけ時計周り方向に回転されている。
図10に示すように、クイル237及び弁スプール224の両方は、左方向に移動されている。
図11に示すように、クイル237及び弁スプール224の両方は、上方向に移動されている。
【0049】
図10に戻って参照すれば、クイル237の中心線は、クイルシャフトの回転軸線240と水平に位置合わせされた状態から水平変位の大きさxだけ位置250に移動されている。同様に、
図11を参照すると、スプール224の右側端部は、位置280から位置281へと上方向に、これもまた縦方向変位の大きさxだけ移動している。
【0050】
図10に示す稼動構成では、スプール・ランド241b及び241eは、もはや制御ポート228及び229をそれぞれ覆っていない。左側液圧供給チャンバ225aと制御ポート228との間には空隙が形成され、この空隙は、液圧流体が供給チャンバ225aから制御ポート228に流れることを可能にする。同様に、右側液圧戻りチャンバ226bと制御ポート229との間に空隙が形成されており、この空隙は、液圧流体が制御ポート229から液圧戻りチャンバ226bに流れることを可能にする。
【0051】
図11に示すように、出力シャフト231は、角度θ1だけ反時計周り方向に回転されている。スリーブ232及びポール・シャフト233もまた、角度θ1だけ反時計周り方向に回転されている。ポール・シャフト233は、量dLだけスリーブ232に対して(
図11に示すように左方向及び右方向に)摺動している。これに対応して、ピボット継手ピン234の中心と出力シャフト231の中心との間の距離は、R1からR1’まで、低減量dLだけ減じている。
【0052】
図11に示すように、駆動シャフト235及び結合されたクイル駆動シャフト252は、クイルシャフトの回転軸線240の周りで角度θ2だけ時計周り方向に回転している(クイルシャフトの回転軸線240に関しては
図10を参照)。クイル237の影は、237sから237s’まで移動している。スプール224の底端部は、位置280から位置281まで、これもまた縦方向変位の大きさXだけ移動している。
【0053】
出力シャフト231と弁スプール224との間の機械的リンケージは、単一の自由度のリンケージである。三角方程式を使用して、出力シャフトの回転θ1とスプール弁の線形変位Xとの間の関数関係を見出すことができる。同様に、付勢ばね223の長さにおける変更dLもまた、θ1の関数として表すことができる。
【0054】
図11を観察することから、圧縮されたばね223の長さは、弁システム210が
図8及び
図9に示す中立構成にあるときに最大であることが明確になるはずである。中立構成から作動形態においてばね223をより短い長さL’に圧縮するためにはエネルギーを費やさなければならないため、システム内にばね223以外のいかなる駆動トルク又は外部力も存在しない場合、弁システム210は、ばね223によって中立構成に必然的に駆動されることになる。
【0055】
以下の章では、弁システム210の作動が説明され、このとき弁システムは、
図8及び
図9に示す中立構成から
図10及び
図11に示す作動形態に作動している。
【0056】
弁システム210が中立構成にある機械的モデルを示す
図14を参照すれば、電気モータ221が出力シャフト231に反時計周り方向のトルクT1をかけるとき、機械的リンケージ222は、トルクT1をスプール224にかけられる上方向力F3に転換する。等価のシステムが
図14に示される。出力シャフト231の中心の左にあるポール・シャフト233の部分が、「リンク1」によって表される。駆動リンク235及びクイル駆動シャフト252は、これらが一緒に結合され「リンク2」として表されるため、事実上単一の剛性部材を形成する。支点が、クイル駆動シャフト252の中心と一致するように配置される。リンク1及びリンク2は、ピン234に対応する接点を介して相互作用する。
【0057】
電気モータ221は、トルクT1をリンク1上にかける。リンク1は、下方向の力をリンク2上にかけ、このリンク2は、上方向力F1に反作用せざるを得ない。リンク1上に作用するモーメントを取り消すことにより、:
T1−F1×R1=0
F1=T1/R1
がもたらされる。
リンク2は、レバーとして作用して、上方向力F2をスプール224上にかける。リンク2上のモーメントを取り消すことにより、:
F2×R3−F1×R2=0
F2=F1×R2/R3
がもたらされる。
上記の2つの方程式を組み合わせることにより、:
F2=(T1/R1)×R2/R3
F2=T1×R2/R1/R3
がもたらされる。
したがって、機械的リンケージ222のメカニカル・アドバンテージは、R1、R2、及びR3によって影響を受ける。このメカニカル・アドバンテージは、R2を増大させることによって、又はR1若しくはR3を低減させることによって増大させることができる。R2>(R1×R3)である場合はいつでも、機械的リンケージ222のメカニカル・アドバンテージは、1より大きくなる。
【0058】
まとめると、出力シャフト軸線230に支点を備えたレバーとして作用するポール・シャフト233は、そのトルクをピン継手234上に作用する力を介して伝達する。ピン継手234は、この下方向力を駆動リンク235に伝達する。駆動リンク235もまた、クイル駆動シャフト軸線240周りの中心に支点備えたレバーとして作用する。ピン継手234と軸線240との間の長さR2は、駆動リンク235の第1のレバー・アームとして作用し、軸線240と接触要素237との間の長さR3は、駆動リンク235の第2のレバー・アームとして作用する。駆動リンク235にかけられた力は、接触要素237によってかけられる上方向力として弁スプール224に伝達される。
【0059】
中立構成では、ピン234は、ポール・シャフト233上に作用するばね233によって右方向に引っ張られている。ピン234上のこの力は完全に水平であり、中立構成におけるトルク算出には影響を与えないため、上記算出に関しては無視される。しかし、圧縮された付勢ばね223により、水平力が機械的リンケージ222のすべての継手にわたって維持され、この水平力はバックラッシュを低減するように作用することに留意されなければならない。たとえば、スリーブ232及び出力シャフト231は、ばね223によって左方向に押される。反作用力が、弁本体227内の軸受によってシャフト231上にかけられる。ピボット継手234は、ポール・シャフト233によって右方向に、及び駆動リンク235内の反作用力によって左方向に引っ張られる。クイルシャフト252を保持する軸受もまた、駆動リンク235によってクイルシャフト252を引っ張る右方向力に反作用する。これらの継手は予め張力がかけられる、又は予め圧縮されているため、出力シャフト231が電気モータ221によって作動しているとき、大きなバックラッシュを示さない。
【0060】
上記の方程式は、弁システム210が中立構成にあるときのみのシステムを完全に説明している。出力シャフト231が回転すると、方程式は調整されなければならない。加えて、出力シャフト231が回転すると、トルク上のばね233の効果を考慮に入れ始めなければならない。
【0061】
図11に示すように、トルク・モータ221は、出力シャフト231を角度θ1だけ反時計周り方向に駆動させている。出力シャフト・スリーブ232は、出力シャフト231と一緒に回転される。スリーブ232は、ポール・シャフト233に回転トルクをかける。ポール・シャフト233が反時計周り方向に回転されると、ピボット継手ピン234は押し下げられる。しかし、ピン234とクイル駆動シャフト252の中心との間の距離は、固定値R2に拘束されているため、ピン234は、ポール・シャフト233がこれを押し下げるときに左方向に移動しなければならない。換言すれば、ピン234が下方向に移動すると、駆動リンク235はピン234を左方向に引っ張る。
【0062】
ピン234を左方向に移動させるためには、このピンは、ポール・シャフト233も同様に左方向に引っ張らなければならず、それによってポール・シャフト233をスリーブ233内で下方向及び左方向に摺動させる。ポール・シャフト233がスリーブ232内で摺動すると、ばね223は、長さL’になるようにさらにもっと圧縮される。ばね223の圧縮力は、上方向及び右方向にピン234を引っ張る。
【0063】
図15は、
図11のシステムの機械的モデルを示している。リンク1は、角度θ1だけ反時計周りに回転されている。リンク1の長さは、ポール・シャフト233がスリーブ232内で摺動した長さdLだけ増大している。リンク2は、ピボット継手234がリンク1の回転によって下方向に引っ張られたときにθ2だけ時計周り方向に回転されている。
【0064】
リンク2は、Fsとして示される、ポール・シャフト233上に作用するばね力に反作用しなければならない。力Fsによってリンク2上に生み出されたモーメントを取り消すために、垂直の反応力Frもまた、リンク1上にリンク2によってかけられなければならない。この反応力Frは、リンク1上に復元トルクを生み出す。これは、事実上、付勢ばね223からの力が、いかにして、出力シャフト231を中立構成まで駆動する復元トルクを出力シャフト231上に引き起こすかを示している。
図16は、弁システム210内で使用される所与のばね定数に対して、出力シャフト角度の関数として出力シャフト231にかけられる、実例となるばねトルクを示している。
【0065】
スプール224にかけられた力F2を算出するとき、所与の回転角度θ1に対して電気モータ231によってかけられたトルクからばねトルクが減算されなければならない。
【0066】
また、
図15に示すように、メカニカル・アドバンテージの算出の方程式が調整されなければならないことが分かり得る。ばね力を考慮に入れることなく(Fs=0)リンケージのメカニカル・アドバンテージを分析することが、最も容易である。
【0067】
電気モータ231が、平衡状態において、トルクT1をリンク1にかける場合、このトルクは、リンク2によってかけられた力Frによって反作用されなければならない。Frがリンク2と作り出す角度は、θ3である。Frはリンク1に対して垂直であるため、:
θ3=180−θ1−θ2−90
θ3=90−θ1−θ2
が与えられる。
リンク1に対するモーメント平衡の方程式は、:
T1−Fr×(R1+dL)=0
Fr=T1/(R1+dL)
をもたらす。
したがってリンク2に対するモーメント均衡の方程式は、:
Fr×sin(θ3)−F2×sin(θ2)=0
Fr×sin(90−θ1−θ2)−F2×sin(θ2)=0
Fr×sin(90−θ1−θ2)=F2×sin(θ2)
F2=Fr×sin(90−θ1−θ2)/sin(θ2)
をもたらす。
Frを代入することにより、:
F2=T1/(R1+dL)/sin(90−θ1−θ2)/sin(θ2)
がもたらされる。
また、正弦の法則により、:
sin(θ2)/(R1+dL)=sin(θ1)/R2=sin(180−θ1−θ2)/(R1+R2)
がもたらされる。
【0068】
この連立方程式を解き、その結果を所与のばね定数に対してプロットすると、
図16になり、この図は、ばね223によって生成されたトルクを、出力シャフト231の回転角度θ1の関数としてグラフで示している。グラフに示すように、トルクは、出力シャフト角度が0であるときのみ、又は換言すれば、弁が中立位置にあるときにゼロである。任意の他の弁位置では、ばね223は、出力シャフト231にトルクを与えて、弁を中立位置まで強制移動させる。
【0069】
摩擦係数及び液圧式弁におけるベルヌーイ力の効果を付加すると、
図17に示す実例となるグラフになる。
【0070】
開示した電気液圧式弁は、結果としていくつかの驚くべき利点をもたらした。開示した電気液圧式弁は、現在の液圧式弁より小さく、軽量であり、高速である。現在の液圧式弁は通常、大きな液圧力を小さい力で制御するために多段の液圧段を使用する。これらの追加の液圧段の各々が、弁全体にかなりの重量を付加する。さらに、追加の液圧段は、弁の全体的な液圧漏出を増大させる。開示した電気液圧式弁は、単一段の液圧弁部分のみを有する。追加の液圧段は必要でないため、開示した電気液圧式弁は、より小さく軽量である。加えて、開示した弁は1つだけの液圧段を有するため、現在利用可能な多段の液圧弁より漏出は小さい。
【0071】
また、従来の電気液圧式弁は、弁スプールを移動させるのに必要な力を生成するために非常に大きな電気アクチュエータを使用しなければならず、又は代替的には、かなりのバックラッシュを伴う機械的構造体を使用しなければならないが、開示した電気液圧式弁は、比較的小さい電気アクチュエータしか必要ではなく、その理由は、その機械的リンケージが、弁スプールを駆動する上で多大なメカニカル・アドバンテージを提供するためである。
【0072】
加えて、開示した電気液圧式弁は、最小限のバックラッシュしか生み出さない独自の機械的リンケージを備える。この機械的リンケージはギアを含まず、また、ばねからの一定の構造的付勢下にあるため、機械的リンケージは、ほとんどバックラッシュを被らない。
【0073】
さらに、開示した電気液圧式弁は、その付勢機構の設計により、固有のフィードバック機構及び耐バックラッシュ機構という利点を有する。
【0074】
開示した電気液圧式弁のさまざまな代替の実施例が可能である。たとえば、
図12は、電気アクチュエータが、液圧増幅段を制御する電子的に制御されたMEMS(マイクロ電気機械システム)弁391である、電気液圧式弁の第2の実施例310を示している。MEMS弁391は、液圧供給ライン395及び液圧戻りライン396を受け入れる。液圧流は、第1のマイクロ液圧式アクチュエータ392及び第2の液圧式マイクロアクチュエータ393に対して制御される。マイクロアクチュエータ392及び393は、出力シャフト331上に装着された駆動アーム394に連結された出力を有する。
【0075】
図13内において310で示すさらに別の代替策では、電気アクチュエータは、ソリッド・ステート・アクチュエータ421である。アクチュエータ421がスリーブ432を時計周り方向及び反時計周り方向の両方に移動させることができるようにするために、予荷重ばね498がソリッド・ステート・アクチュエータ421の反対側に装着される。
【0076】
したがって、電気液圧式弁の現在好ましい形態が図示され説明され、いくつかの改変形態が論じられてきたが、さまざまな追加の変更が、本発明の範囲から逸脱することなく加えられてよいことを当業者は容易に理解するであろう。