特許第5981633号(P5981633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981633
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   G01R15/20 A
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-251031(P2015-251031)
(22)【出願日】2015年12月24日
(62)【分割の表示】特願2012-271928(P2012-271928)の分割
【原出願日】2004年3月29日
(65)【公開番号】特開2016-65882(P2016-65882A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2015年12月28日
(31)【優先権主張番号】10/649,450
(32)【優先日】2003年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーグ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディッキンソン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ギャグノン,ジェイ
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−174486(JP,A)
【文献】 特表2002−516396(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/038452(WO,A1)
【文献】 米国特許第06356068(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界センサ(10)であって、該磁界センサ(10)は、
夫々X軸(30)及びY軸(32)により画定されるX−Y平面に平行なように対向して配置された第1及び第2の面(16a、16b)を有する基板(16)であって、該基板(16)の前記第1の面(16a)上に配置されたボンディングパッド(20a−20c)を有する前記基板(16)と、
前記基板(16)の第1の面(16a)上に配置された磁界検知素子(18)であって、該磁界検知素子(18)はX軸(30)に平行なX方向に所定の幅寸法を有する前記磁界検知素子(18)と、
リードフレーム(12)と、を具備し、該リードフレーム(12)は、
複数の第1のリード(12a−12d)及び複数の第2のリード(12e−12h)の各々が、Y軸(32)に平行な個別のリード長さを有する、前記複数の第1のリード(12a−12d)及び複数の第2のリード(12e−12h)と、
前記リードフレーム(12)内の開口部に隣接した狭い幅寸法(w1)の狭窄形状電流導体部分(14)を具備する電流導体であって、前記狭窄形状電流導体部分(14)は、前記複数の第1のリード(12a−12d)の2つのリード(12a、12b)を、該複数の第1のリード(12a−12d)の他の2つのリード(12c、12d)に接続し、前記基板(16)が前記リードフレーム(12)上に、該リードフレーム(12)の近傍の基板(16)の第1の面(16a)と該リードフレーム(12)から遠位の該基板(16)の第2の面(16b)とがフリップチップ配列になるよう配置され、且つ前記狭窄形状電流導体部分(14)が前記磁界検知素子(18)の近傍に配置された、前記導電流導体とを備え、
該磁界センサ(10)は、更に、
前記基板(16)の第1の面(16a)のボンディングパッド(20a−20c)と前記リードフレーム(12)の複数の第2のリード(12e−12h)との間に接続された複数のワイヤボンディング結合線(22a−22c)であって、前記基板(16)と前記リードフレーム(12)の前記複数の第1のリード(12a−12d)との間には電気的結合部が存在しない、前記複数のワイヤボンディング結合線(22a−22c)と、
前記基板(16)の前記第1の面(16a)と前記狭窄形状電流導体部分(14)との間に配置された絶縁体(24)であって、該絶縁体(24)は前記狭窄形状電流導体部分(14)を前記基板(16)に対して絶縁する前記絶縁体(24)とを具備し、
前記狭窄形状電流導体部分(14)は前記X軸(30)に平行なX方向よりも前記Y軸(32)に平行なY方向に狭くなっており、前記狭窄形状電流導体部分(14)は、前記X軸(30)に平行な方向に流れる電流(26)を導通させることが可能で有り、
前記磁界検知素子(18)は前記狭窄形状電流導体部分(14)のX方向に且つ前記リードフレーム(12)の前記開口部内に前記幅寸法(w1)の中心に隣接して配置されたホール効果素子(18)を具備し、該ホール効果素子(18)は前記狭窄形状電流導体部分(14)からY方向に離間して配置され、
前記磁界検知素子(18)は前記狭窄形状電流導体部分(14)に隣接した位置であって、且つ前記狭窄形状電流導体部分(14)を通って流れる電流(26)により発生された磁界に応答するような位置に配置され、
前記狭窄形状電流導体部分(14)のX方向の前記幅寸法(w1)が、前記磁界検知素子(18)のX方向の幅寸法より大きく、
前記狭窄形状電流導体部分(14)のX方向の前記幅寸法(w1)が、前記磁界検知素子(18)のX方向の幅寸法より大きいことにより、前記磁界検知素子(18)の位置において、前記狭窄形状電流導体部分(14)のX方向の前記幅寸法(w1)のX方向に沿った均一な磁束密度を生ずる、磁界センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の磁界センサにおいて、前記磁界検知素子(18)の近傍に配置された磁束集中器(182)を更に備える、磁界センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁界センサにおいて、前記基板(16)の第2の面(16b)上に配置された磁束集中層(184)を更に備える、磁界センサ。
【請求項4】
請求項1に記載の磁界センサにおいて、磁束集中器(182)を更に備え、該磁束集中器(182)は、前記基板(16)の第1の面(16a)の近傍であって且つ前記基板(16)の第2の面(16b)の遠位であって、且つ前記ホール効果素子(18)の近傍であって且つ前記狭窄形状電流路の近傍の位置に配置される、磁界センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の磁界センサにおいて、
前記基板(16)の第2の面(16b)上に配置された磁束集中層(184)と、
前記基板(16)の第1の面(16a)の近傍に且つ前記基板(16)の第2の面(16b)の遠位であって、且つ前記ホール効果素子(18)の近傍であって且つ前記狭窄形状電流路の近傍の位置に配置された磁束集中器(182)とを具備する、磁界センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の磁界センサにおいて、前記ホール効果素子(18)は1個のみ設けられている、磁界センサ。
【請求項7】
請求項1に記載の磁界センサにおいて、
前記複数の第1のリード(12a−12d)の各々及び複数の第2のリード(12e−12h)の各々は前記基板(16)の第1及び第2の主対向面(16a、16b)に直交するZ方向に曲がった部分を有し、前記複数の第1のリード(12a−12d)は前記複数の第2のリード(12e−12h)とは反対の方向を向いている、磁界センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の磁界センサにおいて、前記リードフレーム(12)の開口部はT字形状である、磁界センサ。
【請求項9】
請求項1に記載の磁界センサにおいて、前記絶縁体(24)は樹脂材料により形成される、磁界センサ。
【請求項10】
請求項9に記載の磁界センサにおいて、前記絶縁体(24)は、前記基板(16)及び前記リードフレーム(12)間に千ボルトを超える絶縁をもたらす、磁界センサ。
【請求項11】
請求項1に記載の磁界センサにおいて、前記絶縁体(24)は下充填材料により形成される、磁界センサ。
【請求項12】
請求項11に記載の磁界センサにおいて、前記絶縁体(24)は、前記基板(16)及びリードフレーム(12)間に千ボルトを超える絶縁をもたらす、磁界センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電流センサに関し、より詳細には、集積回路パッケージ内の小型電流
センサに関する。
【背景技術】
【0002】
当業界で周知のように、従来の電流センサの1つのタイプは、導体に近接する磁界変換
器(magnetic field transducer)(例えば、ホール効果変換
器又は磁気抵抗型変換器)を使用している。磁界変換器は、導体を流れる電流によって誘
導された磁界に比例する大きさの出力信号を生成する。
【0003】
いくつかの典型的なホール効果電流センサは、ギャップ付き環状(トロイド)磁束集中
器を含んでおり、環状ギャップ内にホール効果素子が置かれている。ホール効果素子及び
環状体は、プリント回路基板上に実装可能なハウジング内に組み込まれる。使用に際して
は、電線など別の導体が環状体の中心を通る。このような素子は、高さの点でも回路基板
面積の点でも大きくなってしまう傾向がある。
【0004】
他のホール効果電流センサは、誘電体材料、例えば回路基板上に実装されるホール効果
素子を含んでいる。このような電流センサの1つが、欧州特許出願公開第0867725
号に記載されている。さらに他のホール効果電流センサは、欧州特許出願公開第1111
693号に記載されているように、基板、例えばシリコン基板上に実装されるホール効果
素子を含んでいる。
【0005】
感度及び直線性を含む様々なパラメータが、電流センサの性能を特徴づける。感度は、
検知電流に応答したホール効果変換器からの出力電圧の変化の大きさに関係する。直線性
は、ホール効果変換器からの出力電圧が検知電流に正比例して変化する度合いに関係する

【特許文献1】欧州特許出願公開第0867725号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1111693号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電流センサの感度は、様々な要素に関係する。1つの重要な要素は、導体の近傍で発生
しホール効果素子によって検知される磁界の磁束密度である。このため、ある電流センサ
は、磁束集中器(flux concentrator)を使用している。もう1つの重
要な要素は、特に磁束集中器が使用されない電流センサの場合の、ホール効果素子と導体
との間の物理的分離である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、集積回路の電流センサは、導体部分を形成するように結合された少な
くとも2つのリードを有するリードフレームと、1又は複数の磁界変換器が配置される第
1の面を有する基板とを含み、第1の面が導体部分に近接し、第2の面が導体部分から遠
位にある。特定の一実施形態では、この基板は、導体部分の上方に基板の第1の面があり
この第1の面の上方に基板の第2の面があるように配置される。この特定の実施形態では
、基板は、集積回路内で従来の向きとは逆の向きに置かれる。
【0008】
この特定の配置では、電流センサには、1又は複数の磁界変換器が導体部分に近接する
位置に設けられ、その結果、電流センサの感度が向上する。さらに、電流センサは、小型
の集積回路パッケージ内に設けられる。
【0009】
本発明の他の態様によれば、集積回路を製造する方法は、少なくとも2つが1つの導体
部分を形成するように互いに結合された複数のリードを有するリードフレームを形成する
こと、及び導体部分が所定の形状の断面になるようにエッチングすることを含む。特定の
一実施形態では、この所定の形状はT字形である。他の実施形態では、この所定の形状は
、リードフレームの大部分の厚みよりも薄い最小寸法の矩形である。
【0010】
この特定の配置では、導体部分は、その表面の上方での磁束密度がより集中するように
形成されている。したがって、導体近傍に実装された磁界変換器は、より強い磁界を受け
、その結果、電流センサの感度が向上する。
【0011】
本発明の前述の特徴ならびに本発明自体は、添付図面の以下の詳細な説明からより完全
に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照すると、本発明による例示的な電流センサ10は、複数のリード12a〜1
2hを有するリードフレーム12を含む。リード12a及び12bは、電流路すなわち幅
がw1の狭窄部分を有する導体14を形成するようにリード12c及び12dに結合され
ている。電流センサ10は、第1の面16a及び反対側の第2の面16bを有する基板1
6も含む。基板16は、磁界変換器18を有し、磁界変換器18は、ある実施形態では、
第1の面16a内に拡散によって作り込まれるか、又は第1の面16a上に配置されるホ
ール効果素子18とすることができる。基板16は、半導体材料、例えばシリコンから構
成することができ、他の実施形態では、基板16は、絶縁材料から構成することができる
【0013】
基板16は、リードフレーム12の上方に配置され、したがって、第1の面16aが導
体部分14に近接し、第2の面16bが導体部分14から遠位にあり、より具体的には、
ホール効果素子18が導体部分14に近接している。図示の実施形態では、基板16は、
基板が集積回路パッケージ内に取り付けられる従来の向きとは逆の向きになっている(す
なわち、第1の面16aは下方を向いている)。
【0014】
基板16は、第1の面16a上にボンディングパッド20a〜20cを有し、ボンディ
ングパッド20a〜20cに結合線22a〜22cが結合されている。さらに、結合線2
2a〜22cは、リードフレーム12のリード12e、12f、12hに結合されている
【0015】
絶縁体24は、基板16をリードフレーム12から分離するものである。絶縁体24は
、様々な方法で設けることができる。例えば、一実施形態では、絶縁体24の第1の部分
は、基板16の第1の面16a上に直接堆積される厚みが4μmのBCB樹脂層を含む。
絶縁体24の第2の部分は、リードフレーム12上に堆積されるStaychip(商標
)のNUF−2071E型の下充填材料(Cookson Electronics E
quipment社、ニュージャージー州)の層を含む。このような配置は、基板16と
リードフレーム12との間に千ボルトを超える絶縁をもたらす。
【0016】
導体部分14は、電流が流れる全経路の一部にすぎないことが理解されよう。例えば、
矢印26で示す方向の電流が、この場合は電気的に並列結合されて示してあるリード12
c、12d中に入り、導体部分14を経由して、この場合も電気的に並列結合されて示し
てあるリード12a、12bから外へ流れる。
【0017】
この構成では、ホール効果素子18は、導体部分14を通過する矢印26で示す方向の
電流によって発生する磁界がホール効果素子18の最大応答軸とほぼ同じ方向になる、導
体部分14に近接しかつ導体部分14に相対する所定の位置に配置される。ホール効果素
子18は、この磁界に比例する電圧出力を生成し、したがって導体部分14を流れる電流
に比例する電圧出力を生成する。図示のホール効果素子18は、z軸34とほぼ同じ方向
の最大応答軸を有する。電流に応答して発生する磁界は、導体部分14の周りを循環する
ため、ホール効果素子18は、図のように導体部分14のすぐ横に(すなわち、y軸32
に沿ってわずかにずらして)配置され、そこで、磁界は、ほぼz軸34に沿った向きにな
る。この位置にすると、ホール効果素子18からの電圧出力がより大きくなり、したがっ
てホール効果素子18の感度が向上する。しかし、別の方向に合わせた最大応答軸を有す
るホール効果素子又は別タイプの磁界センサ例えば磁気抵抗素子は、導体部分14に相対
する別の位置に、例えば導体部分14の上に(z軸34に沿った方向に)配置することが
できる。
【0018】
基板16の第1の面16a上には1つのホール効果素子18が示してあるが、図3及び
図5の実施形態に示すように複数のホール効果素子が使用され得ることが理解されよう。
また、追加の回路例えば増幅器を、第1の面16a及び/又は第2の面16b内に拡散に
よって作り込む、又はその面上に配置する、あるいはその面で支持することもできる。こ
のタイプの例示的な回路が図4に示してある。
【0019】
図1の実施形態では、ホール効果素子18と導体14との間の近接は、第2の面よりも
導体部分14により近接して位置する第1の基板面16a上にホール効果素子18を設け
ることによって実現される。他の実施形態では、この有利な近接は、図7及び図8に示す
ように、第2の基板面16b上にホール効果素子18を設けること、及び第2の面16b
とほぼ同じ面になるように導体部分14を形成することによって実現することができる。
【0020】
次に、図2を参照すると、グラフ50は、導体部分14を通過する10A程度の電流に
対する、ホール効果素子18(図1)の平面におけるx軸30(図1)及びy軸32(図
1)に沿ってホール素子18を横切るz軸34(図1)方向の磁束密度を示す。ホール効
果素子18の中心(図示せず)は、横座標52上の300μmに対応する。仮数54は、
磁束に対応する。
【0021】
磁束曲線56は、x軸30に沿った位置に対するz軸34の磁束の変化に対応する。磁
束曲線58は、y軸32に沿った位置に対するz軸34の磁束の変化に対応する。
磁束曲線56、58は、300μmに中心があるホール素子の近傍でほぼ平坦であると
特徴づけることができる。したがって、z軸34の方向の磁界に敏感なホール効果素子1
8の出力は、ホール効果素子18のx軸30及びy軸32に沿った位置に対して比較的鈍
感である。
【0022】
例示のホール効果素子18は、x軸30及びy軸32に沿った200μm程度の寸法で
あり、したがって、ホール効果素子18は、横座標52上の200μmから400μmの
範囲にある。ホール効果素子18の位置がx軸30又はy軸32に沿って50μm分変わ
っても、ホール効果素子によって検知される磁界はあまり変化しない。したがって、x軸
30及びy軸32におけるホール効果素子の位置は、電流センサ10(図1)の感度の影
響をあまり受けずに、製造上の位置公差によって異なることができる。
【0023】
ホール効果素子18のx方向30の寸法に相対する導体部分14のx方向30の幅w1(図1)は、ホール効果素子18のx方向30に沿った位置でz方向34の磁束密度の均一性に大きな影響を及ぼす。特に、ホール効果素子18のx方向30の幅v1(図1に比べて導体部分14が長いほど(すなわち、図1の幅w1が大きいほど)、曲線56のほぼ平坦な部分がより長くなる。
【0024】
幅w1(図1)は、電流センサ10(図1)の所望の感度と電流路14及びホール効果素子18の相対位置の製造ばらつきに起因する性能ばらつきの所望の低減とを含むがこれらに限定されない様々な要素に従って選択される。一般に、幅w1をホール効果素子18の幅v1に相当するように選択すると、電流センサ10の感度が最大になることが理解されよう。しかし、幅w1をホール効果素子18の幅v1よりも大きくなるように選択すると、ホール素子のx方向30の位置配置の製造公差に起因する性能ばらつきが最小になることも理解されよう。
【0025】
次に、図3を参照すると、本発明による他の例示的な電流センサ70は、複数のリード
72a〜72hを有するリードフレーム72と、幅がw2の導体部分74とを含む。電流
センサは、第1の面76a及び反対側の第2の面76bを有する基板76も含む。基板7
6は、第1の面76a内に拡散によって作り込まれるか、又は第1の面76a上に配置さ
れるあるいは第1の面76aよって支持される第1のホール効果素子78a及び第2のホ
ール効果素子78bを有する。基板76は、ホール効果素子78が導体部分74に近接す
るように、リードフレーム72上に配置される。図示の実施形態では、基板76は、基板
が集積回路パッケージ内に取り付けられる従来の向きとは逆の向きになっている(すなわ
ち、第1の面76aが下方を向いている)。絶縁体(図示せず)は、基板76をリードフ
レーム72から分離することができる。この絶縁体は、図1に示した絶縁体24と同一又
は類似のものとすることができる。
【0026】
この構成では、ホール効果素子78a、78bはどちらも、導体部分74を通過する矢
印86で示す方向の電流によって発生する磁界が、ホール効果素子78a、78bの最大
応答軸とほぼ同じ方向になるように、導体部分74に近接しかつ導体部分74に相対する
所定の位置に配置される。この場合、ホール効果素子78a、78bのそれぞれは、z軸
94と同じ方向の最大応答軸を有する。したがって、ホール効果素子78a、78bは、
図のように導体部分74の両側に(すなわち、y軸92に沿ってわずかにずらして)配置
され、そこで、磁界は、ほぼz軸94に沿った向きになる。一実施形態では、ホール効果
素子78a、78bは、導体部分74の周囲にほぼ等分だけ互いに逆方向に(y軸92に
沿って)ずらして置かれる。しかし、別の方向に合わせた最大応答軸を有するホール効果
素子又は別タイプの磁気センサ例えば磁気抵抗素子を、導体部分74に相対する他の位置
に、例えば導体部分74の上に(z軸34に沿った方向に)配置することができる。
【0027】
動作中、電流は、電気的に並列結合されたリード72c、72d中に入り、導体部分7
4を通り、同様に電気的に並列結合されたリード72a、72bから流出する。導体部分
74を流れる電流は、ホール効果素子78a、78bによって検知される磁界を発生させ
る。上述のように、ホール効果素子78a、78bは、電流によって発生する磁界が、ホ
ール効果素子78a、78bの最大応答軸とほぼ同じ方向になるように、導体部分74に
非常に近接しかつ導体部分74に相対する所定の位置にある。この配置によって、ホール
効果素子74からの電圧出力がより大きくなり、したがってホール効果素子74の感度が
向上する。
【0028】
第1のホール効果素子78a及び第2のホール効果素子78bが受ける磁界は、z軸9
4に沿って互いに反対方向を向いている。したがって、2つのホール効果素子78a、7
8bの出力は、それらが同じ向きに分極された場合に極性が逆になる。ホール効果素子7
8a、78bの一方からの出力が、例えば反転増幅器を用いて反転され、次いでホール効
果素子78a、78bの他方の出力と加算され、すなわち差分加算される場合、特定の利
点が実現される。
【0029】
最初の利点としては、2つのホール効果素子78a、78bの出力は、上述のように差
分加算されたとき、同一電流が存在する場合に、単一のホール効果素子からの電圧出力の
2倍の大きさの電圧出力になる。したがって、電流センサ70は、図1の電流センサ10
の感度の2倍の感度を有する。
【0030】
第2の利点としては、電流センサ70は、y軸92の方向でのホール効果素子78a、
78bの位置のばらつきに対して比較的鈍感である。これは、y軸92の方向に移動した
ときに、ホール効果素子78a、78bの一方からの電圧出力が増大する傾向があり、ホ
ール効果素子78a、78bの他方からの電圧出力が減少する傾向があるからである。し
たがって、2つの出力の差分加算値は、比較的一定している。
【0031】
リードフレーム72は、回路基板への表面実装に適した平坦リード72a〜72hを有
するように示してあるが、図1のリードフレーム12のような、曲がったリードを有する
リードフレームも使用され得ることが理解されよう。同様に、2つのホール効果素子78
a、78bが示してあるが、3つ以上又は1つのホール効果素子を使用することもできる
【0032】
図4を参照すると、図3に関連して説明する、差分信号加算の実行に適した加算回路1
00が、2つのホール効果素子102a、102bに結合されて示してある。ホール効果
素子102a、102bは、図3のホール効果素子78a、78bと同一又は類似のもの
とすることができる。この場合、ホール効果素子102a、102bのそれぞれが、ホー
ル効果素子102a、102b上にベクトルで示すように、他方のホール効果素子に対し
て90度回転して置かれる。したがって、ホール効果素子102a、102bは、互いに
逆向きの磁界112a、112bに応答して同一極性を有する出力電圧103a、103
bを生成する。出力電圧103aは、非反転構成で配置された増幅器104aに結合され
ており、出力電圧103bは、反転構成で配置された増幅器104bに結合されている。
したがって、増幅器出力電圧106a、106bは、磁界112a、112bに応答して
互いに逆の電圧向きとなる。増幅器出力電圧106a、106bは、差分加算すなわち出
力電圧106a、106bの差を生成するように、差動結合されている。したがって、出
力電圧106a、106bは、増幅器108の出力により大きな出力電圧110を生成す
るように差分加算される。
【0033】
加算回路100を、図3の電流センサ70内で使用することができ、その場合に、ホー
ル効果素子102a、102bは、ホール効果素子78a、78bに対応する。特定の一
実施形態では、加算回路100は、基板76の第1の面76a内に拡散によって作り込ま
れるか、又は基板76の第1の面76a上に配置される。他の実施形態では、加算回路1
00は、基板76の第2の面76b内に拡散によって作り込まれるか、又は基板76の第
2の面76b上に配置されるが、ホール効果素子78a、78bは、第1の面76a上に
置いたままでバイア(vias、バイアホール)などを介して他の回路部品に結合される。
【0034】
次に、図1と同じ要素には同じ参照番号で示してある図5を参照すると、他の例示的な
電流センサ120は、第1の面126a及び反対側の第2の面126bを有する基板12
6を含む。この場合、4つのホール効果素子128a〜128dが、基板126の第1の
面126a内に拡散によって作り込まれるか、又は基板126の第1の面126a上に配
置される。基板126は、図のように、第1のホール効果素子128a及び第2のホール
効果素子128bがy軸142に沿った導体部分14の片側にあり、第3及び第4のホー
ル効果素子128c、128dがy軸42に沿った導体部分14の反対側にあるように、
リードフレーム12に相対して位置する。一実施形態では、ホール効果素子128a、1
28bは、ホール効果素子128c、128dが導体部分14から(y軸142に沿って
)ずらす量と同じ量だけ導体部分14から(y軸142に沿って)反対側にずらして配置
される。
【0035】
この構成では、ホール効果素子128a〜128dは、導体部分14を通過する矢印8
6で示す方向の電流によって発生する磁界が、ホール効果素子128a〜128dの最大
応答軸とほぼ同じ方向になるように、導体部分14に近接しかつ導体部分14に相対する
所定の位置に配置される。この場合、ホール効果素子128a〜128dのそれぞれは、
z軸144と整合する最大応答軸を有する。図示の実施形態では、ホール効果素子128
a、128bは、図のように導体部分144のホール効果素子128c、128dとは反
対側に(すなわち、y軸142に沿ってわずかにずらして)配置され、そこで、磁界は、
ほぼz軸144に沿った向きになる。しかし、別の方向に合わせた最大応答軸を有するホ
ール効果素子、又は別タイプの磁気センサ、例えば磁気抵抗素子を、導体部分14に相対
する他の位置に、例えば導体部分14の上に(z軸144に沿った方向に)配置すること
ができる。第1のホール効果素子128a及び第2のホール効果素子128bがz軸14
4に沿った方向の磁界に曝され、第3のホール効果素子128c及び第4のホール効果素
子128dがz軸144に沿った逆方向の磁界に曝されることが理解されよう。
【0036】
4つのホール効果素子128a〜128dは、特定の利点を実現するために、当業者に
は理解されるように、加算回路として構成された電子回路に結合することができる。この
加算回路は、例えば図4の加算回路100を2つ含むことができる。一実施形態では、こ
の加算回路は、ホール効果素子128a〜128dの内の最初の2つを図4の加算回路1
00のような第1の加算回路と結合させ、ホール効果素子128a〜128dの内の後の
2つを加算回路100のような第2の加算回路と結合することができる。第1の加算回路
の出力は、他の増幅器を用いて第2の加算回路の出力と加算することができる。最初の利
点としては、前述の加算回路に結合された4つのホール効果素子128a〜128dは、
同一電流が存在する場合に、単一のホール効果素子、例えば図1のホール効果素子18か
らの電圧出力の4倍の大きさの電圧出力を生成する。したがって、電流センサ120は、
図1の電流センサ10の4倍の感度を有する。
【0037】
第2の利点としては、電流センサ120は、y軸142の方向のホール効果素子128
a〜128dの位置のばらつきに対して比較的鈍感である。これは、y軸142の方向に
移動したときに、4つのホール効果素子128a〜128dの2つからの電圧出力が増大
する傾向があり、4つのホール効果素子128a〜128dの他の2つからの電圧出力が
減少する傾向があるからである。したがって、加算回路として結合されるとき、回路出力
は、ホール効果素子のy軸の位置に対して比較的鈍感になる。
【0038】
図6を参照すると、本発明による例示的な電流センサ150は、複数のリード152a
〜152h及び導体部分154を有するリードフレーム152を含む。電流センサ150
は、第1の面166a及び反対側の第2の面166bを有する基板166も含む。基板1
66は、第1の面166a内に拡散によって作り込まれるか、又は第1の面166a上に
配置されるホール効果素子158を有する。基板166は、ホール効果素子158が導体
部分154に近接するように、リードフレーム152上に配置される。基板166は、基
板が集積回路パッケージ内に取り付けられる基板の従来の向きとは逆の向きになっている
(すなわち、第1の面166aが下方を向いている)。基板166は、この基板の第1の
面166a上にはんだボール160a〜160cを有するフリップチップである。はんだ
ボール160a〜160cは、図のようにリード152e〜152hに直接結合している
。絶縁体164は、基板166をリードフレーム152から分離する。絶縁体164は、
図1に示した絶縁体24と同一又は類似のものとすることができる。
【0039】
この構成では、ホール効果素子158は、導体部分154を通過する矢印168で示す
方向の電流によって発生する磁界が、ホール効果素子158の最大応答軸とほぼ同じ方向
になるように、導体部分154に近接しかつ導体部分154に相対する所定の位置に配置
される。ホール効果素子158は、z軸174と整合する最大応答軸を有する。したがっ
て、ホール効果素子158は、図のように導体部分14のすぐ横に(すなわち、y軸17
2に沿ってわずかにずれて)配置され、そこで、磁界は、ほぼz軸174に沿った向きに
なる。しかし、別の方向に合わせた最大応答軸を有するホール効果素子又は別タイプの磁
気センサ例えば磁気抵抗素子は、導体部分154に相対する別の位置に、例えば導体部分
154の上に(z軸174の方向に)配置されることができる。
【0040】
電流センサ150の動作は、上述の図1の電流センサ10の動作と同様である。ホール
効果素子158が導体部分154に近接すると、ホール効果素子158からの出力電圧は
より大きくなり、したがってホール効果素子158の感度が向上する。
【0041】
基板166の第1の面166a上には1つのホール効果素子158しか示されていない
が、複数のホール効果素子が本発明で使用され得ることが理解されよう。他の回路、例え
ば増幅器は、基板166の第1の面166a及び/又は第2の面166b内に拡散によっ
て作り込まれる、又はその面に結合される、あるいはその面で支持されることもできる。
【0042】
3個のはんだボール160a〜160cが示してあるが、基板166を安定させるため
のダミーはんだボールを含む任意の数のはんだボールを設けることができる。また、はん
だボール160a〜160cが示してあるが、金バンプ、共晶高鉛はんだバンプ、無鉛は
んだバンプ、金スタッドバンプ、高分子導電性バンプ、異方性導電ペースト及び導電膜を
含むがこれらに限定されない他の接続方法が使用されることもできる。
【0043】
次に、図6と同じ要素には同じ参照番号で示してある図6Aを参照すると、本発明によ
る例示的な電流センサ180は、磁束集中器182及び磁束集中層(flux conc
entrating layer)184を含む。磁束集中器182は、基板166の第
1の面166aに隣接しかつその下方にあるホール効果センサ158の近傍に位置する。
磁束集中層184は、基板166の第2の面166b上に(又は、それに隣接しかつ上方
に)配置される。
【0044】
動作中、磁束集中器182及び磁束集中層184はそれぞれ、導体部分154を通過す
る電流によって発生する磁束を集中させる傾向があり、それによって電流センサ180が
図6の電流センサ150よりも高い感度を有するようになる。
【0045】
磁束集中器182及び磁束集中層184はそれぞれ、フェライト、パーマロイ(商標)
及び鉄を含むがこれらに限定されない様々な材料で構成することができる。
磁束集中器182は、立方形で示してあるが、他の実施形態では、磁束集中器は、別の
形状、例えば多面体形状、楕円形状又は球形状を有することができる。磁束集中器182
も磁束集中層184も示してあるが、他の実施形態では、磁束集中器182及び磁束集中
層184の一方のみ設けられることもできる。また、磁束集中器182及び磁束集中層1
84は、1つの磁界変換器158と共に示してあるが、磁束集中器182及び磁束集中層
184は、複数の磁界変換器158を有する構成、例えば図1、3及び5に示した構成に
も適用できることが理解されよう。
【0046】
次に、図7を参照すると、本発明による他の例示的な電流センサ200は、複数のリー
ド202a〜202hを有するリードフレーム202を含む。電流センサ200は、第1
の面206a及び反対側の第2の面206bも含む。基板206は、第1の面206a内
に拡散によって作り込まれるか、又は第1の面206a上に配置されるホール効果素子2
08を有する。導体部分204aを有する導電性クリップ204は、リード202a〜2
02dに結合されている。導電性クリップ204の特徴は、図8に示してある。導電性ク
リップ204は、これが基板206の第1の面206aの上方へ覆って通るように曲げて
形成されていると言えば十分であろう。基板206は、ホール効果素子208が導体部分
204aに近接するように、リードフレーム202の上に配置される。図示の実施形態で
は、基板206は、第1の面206aが上方へ向けられた従来の取付け方向になっている
。基板206は、第1の面206a上にボンディングパッド212a〜212cを有し、
ボンディングパッド212a〜212cに結合線210a〜210cが結合されている。
さらに、結合線210a〜210cは、リード202e、202f、202hに結合され
ている。絶縁体214は基板206を導電性クリップ204から分離するように設けるこ
とができる。絶縁体214は、図1に示した絶縁体24と同一又は類似のものとすること
ができる。
【0047】
この構成では、ホール効果素子208は、導体部分204aに近接して配置され、導体
部分204aは、基板206の第1の面206aの上方へ覆うように通る。ホール効果素
子208は、導体部分204aを通過する矢印216で示す方向の電流によって発生する
磁界がホール効果素子208の最大応答軸とほぼ同じ方向になるように、導体部分204
aに相対する所定の位置に配置される。ホール効果素子208は、z軸224と整合する
最大応答軸を有する。図示の実施形態では、ホール効果素子208は、図のように導体部
分204aのすぐ横に(すなわち、y軸222に沿ってわずかにずらして)配置され、そ
こで、磁界は、ほぼz軸224に沿った向きになる。しかし、別の方向に合わせた最大応
答軸を有するホール効果素子又は別タイプの磁気センサ例えば磁気抵抗素子は、導体部分
204aに相対する別の位置に配置され、例えば、導体部分204aの上方又は下方に(
z軸224の方向に)これと基本的に合致する別の位置に配置されることができる。
【0048】
動作中、電流は、並列結合されたリード202c、202d中に入り、導電性クリップ
204を通り、同様に並列結合されたリード202a、202bから流出する。導体部分
204aを流れる電流は磁界を発生させ、この磁界は、ホール効果素子208によって検
知される。ホール効果素子208は、磁界に比例する電圧出力を生成し、したがって導体
部分204aを通過する電流に比例する電圧出力を生成する。上述のように、ホール効果
素子208は、この電流によって発生する磁界がホール効果素子208の最大応答軸とほ
ぼ同じ方向になる、導体部分204aに非常に近接しかつ導体部分204aに相対する所
定の位置にある。この位置にすると、ホール効果素子208からの電圧出力がより大きく
なり、したがって感度が向上する。
【0049】
基板206の第2の面206b上には1つのホール効果素子208しか示していないが
、複数のホール効果素子が使用され得ることが理解されよう。特に、2つのホール効果素
子を有する一実施形態は、図3の電流センサ70と類似のものとすることができ、4つの
ホール効果素子を有する一実施形態は、図5の電流センサ120と類似のものとすること
ができる。また、追加の回路例えば増幅器が、基板206の第1の面206a及び/又は
第2の面206b内に拡散によって作り込まれるか、又はその面に結合されることもでき
る。
【0050】
導電性クリップ204は、様々な方法で様々な材料から形成され得ることが理解されよ
う。特定の一実施形態では、導電性クリップ204は、例えば銅板から打ち抜いたもので
ある。他の実施形態では、導電性クリップ204は、はく例えば銅はくから形成される。
他の実施形態では、導電性クリップ204は、エッチングプロセスによって形成される。
導電性クリップ204により、導体部分204aをホール効果素子208に非常に近接さ
せながら、基板206を従来の取付け方向で使用できるようになる。
【0051】
導電性クリップ204は、当該導電性クリップを通過する電流の大きさに従って選択さ
れた厚みのものとすることができる。したがって、比較的高い電流を検知するようになさ
れた電流センサが望ましい場合、導電性チップ204は比較的厚くすることができ、比較
的低い電流を検知するようになされた電流センサが望ましい場合、導電性チップ204は
比較的薄くすることができる。他の実施形態では、比較的高い電流を検知するようになさ
れた電流センサが望ましい場合、複数の導電性クリップ204が、1つの導電性クリップ
204よりも厚い、したがってより大きな電流を伝えることが可能な有効厚みの増大をも
たらすように、他の導電性クリップと接触して積み重ねることができる。複数の導電性ク
リップ204を他の導電性クリップと接触して積み重ねると、1つの導電性クリップ20
4よりも厚い、したがってより大きな電流を伝えることが可能な有効厚みの増大をもたら
すことができる。
【0052】
図7の実施形態では、ホール効果素子208と導体部分204aとの間の近接は、第2
の面206bよりも導体部分204aにより近接して位置する第1の基板面206a上に
ホール効果素子208を設けることによって実現される。他の実施形態では、この有利な
近接は、第2の基板面206b上にホール効果素子208を設け、第2の面206bとほ
ぼ同じ面になるように導体部分204aを形成することによって実現される。
【0053】
次に、図7と同じ要素には同じ参照番号で示してある図8を参照すると、リード202
a〜202dに結合される前の導電性クリップ204が示してある。導電性クリップ20
4は、導体部分204、遷移領域204b、曲げ領域204c、及びボンディング領域2
04dを含む。ボンディング領域204dは、リード202a〜202dに結合される2
つの部分204e、204fを含む。遷移領域204bは、基板206と接触しないよう
に導体部分204aに比べて高くすることができる。
【0054】
ホール効果素子を本発明の実施形態に関連して示し説明してきたが、他のタイプの磁気
センサも使用され得ることが理解されよう。例えば、磁気抵抗素子が、ホール効果素子の
代わりに使用されることができる。しかし、従来の磁気抵抗素子は、従来のホール効果素
子の最大応答軸と垂直方向の最大応答軸とを有する。本明細書に記載のホール効果素子の
実施形態と同じ結果を得るために本発明の実施形態に従って1又は複数の磁気抵抗素子を
導体部分に相対する適切な位置に置く方法を、当業者なら理解するであろう。
【0055】
次に図9を参照すると、図3のリードフレーム72及び図6のリードフレーム152と
類似の形状を有するリードフレーム250が示してある。リードフレーム250は、リー
ドフレーム250の他の部分よりも薄くなっている複数の薄い部分252a〜252nを
有する。これらの薄い部分は、化学エッチング及びスタンピングを含むがこれらに限定さ
れない様々なプロセスによって形成されることができる。
【0056】
導体部分254は、面254aと、薄い部分252b〜252n以外の部分の厚みと同
じ又は同等とすることができる厚みt1とを有する。リードフレーム250のその他の部
分は、厚みt2を有する。特定の一実施形態では、通電部分254の厚みt1は、他の薄
い部分252b〜252nの厚みと同じであり、厚みt1は、厚みt2の約半分である。
一実施形態では、導体部分254は、基本的に矩形で厚みt1の断面を有する。
【0057】
導体部分254を通過するある電流が存在する場合、例えば図3の導体部分74よりも
薄くなっている導体部分254では、図3の導体部分74に同程度の電流が存在する場合
の面74aの近傍よりも、面254aの近傍でより高い電流密度になる。言い換えれば、
この電流は圧縮されて、普通ならより厚い導体部分を有する場合よりも面254aに近づ
く。その結果、電流によって発生する磁界は、面254aの近傍でより高い磁束密度にな
る。
【0058】
したがって、リードフレーム250が図3のリードフレーム72の代わりに使用される
とき、ホール効果素子78a、78bは、より大きな磁界を受け、より感度の高い電流セ
ンサをもたらす。
【0059】
薄い部分252b〜252n以外の部分は、他の利点を提供する。例えば、リードフレ
ーム250をモールドしてプラスチック囲繞体にするとき、他の薄い部分252b〜25
2nは、リードフレーム250をモールド体の中により頑強に固定する傾向がある。
【0060】
厚みt1は、導体部分254を通過する最大電流を含むがこれに限定されない様々な要
素に従って選択される。
同じ利点を実現するために、上記の薄い部分は、図3の実施形態以外の実施形態におい
て、前掲のリードフレーム以外のものにも適用され得ることが理解されよう。
【0061】
次に、図9Aを参照すると、図9の導体部分254を置き換えるのに適した代替導体部
分270は、図9の線9A−9Aに沿った横断面から見られるT字形断面を有している。
このT字形状は、面270a、第1の厚みt3及び第2の厚みt4を有する。厚みt3は
図9の厚みt1と同一又は同等とすることができ、厚みt4は、図9の厚みt2と同一
又は同等とすることができる。特定の一実施形態では、厚みt3は、厚みt4の約半分に
することができる。
【0062】
図9に関連して、上述と実質的に同じ理由で、導体部分270を通過する電流に応答し
て発生する磁界は、導体部分270が均一な厚みt4を有する場合よりも面270aの近
傍でより大きくなる。
【0063】
導体部分254(図9)及び導体部分270は、それぞれ矩形断面及びT字形断面を有
するように述べたが、上記利点を実現するために他の断面形状が提供され得ることを理解
されたい。
【0064】
本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、それらの概念を組み入れた他の実
施形態が使用され得ることが、今では当業者には明らかになるであろう。したがって、こ
れらの実施形態は、開示された実施形態に限定されるべきでなく、添付の特許請求の趣旨
及び範囲によってのみ限定されるべきであると思われる。本明細書に引用した全ての文献
は、それらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本発明による電流センサの等角図である。
図2図1の電流センサのホール効果素子を横切る位置と磁界の関係を示すグラフである。
図3】本発明による電流センサの他の実施形態の等角図である。
図4図3の電流センサの一部を形成する回路の概略図である。
図5】本発明による電流センサの他の実施形態の等角図である。
図6】本発明による電流センサの他の実施形態の等角図である。
図6A】本発明による電流センサの他の実施形態の等角図である。
図7】本発明による電流センサの他の実施形態の等角図である。
図8図7の電流センサのもう1つの等角図である。
図9】本発明の別の態様によるより薄い導体部分を有する他のリードフレームの等角図である。
図9A図9の導体部分の代替実施形態の断面図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図9
図9A