特許第5981639号(P5981639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5981639移動積荷取り扱い装置用の流体圧制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981639
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】移動積荷取り扱い装置用の流体圧制御システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/16 20060101AFI20160818BHJP
   F15B 9/16 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F15B11/16 B
   F15B9/16
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-506984(P2015-506984)
(86)(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公表番号】特表2015-514946(P2015-514946A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】US2013025052
(87)【国際公開番号】WO2013158199
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年12月4日
(31)【優先権主張番号】13/451,320
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592229487
【氏名又は名称】カスケード コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CASCADE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッケーナン・パット・エス
(72)【発明者】
【氏名】ナグレ・グレゴリ・エー
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第95/11189(WO,A1)
【文献】 特開平6−159323(JP,A)
【文献】 特開平5−294263(JP,A)
【文献】 実開昭55−176292(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/16
F15B 11/22
F15B 9/16
F15B 9/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の流体圧アクチュエーターを流れる作動流体のそれぞれの流れを調整して、前記両アクチュエーターがそれぞれの積荷係合部材を同時に動かすことを可能にする流体圧制御システムであって、
(a)バルブ制御器を含み、前記作動流体のそれぞれの流れを調整して、前記流体圧アクチュエーターの動きを個別に制御するように自動的に作動する電気制御された流体圧バルブ組み立て体と、
(b)前記制御器が前記両流体圧アクチュエーター間の動きの差を感知できるようして、その差に応じた信号を発生するように作動するセンサー組み立て体とからなり、
(c)前記制御器が前記アクチュエーターのそれぞれの動きを感知するように作動し、そして、前記電気制御された流体圧バルブ組み立て体が前記制御器によって感知された前記各動きに応じて前記各アクチュエーターの動きを制御し、
(d)前記電気制御された流体圧バルブ組み立て体が自動的に前記信号と前記両流体圧アクチュエーターのそれぞれの各動きに応じて作動可能であり、前記動きの大きな一方のアクチュエーターの最大の動きを制御して前記差を減少するも、他方の流体圧アクチュエーターの前記最大の動きよりも大きな動きを同時に許容する流体圧制御システム。
【請求項2】
前記差が前記両アクチュエーターのそれぞれの移動可能な位置の間の差であることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項3】
前記差が前記両アクチュエーターのそれぞれの移動可能な位置を隔てる予め決められた所望の距離と前記アクチュエーターのそれぞれの移動可能な位置を隔てる実際の距離の間の差であることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項4】
前記差が前記両アクチュエーターのそれぞれの移動速度の間の差であることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項5】
前記差が前記アクチュエーターのそれぞれの移動速度のそれぞれの時間変化率の間の差であることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項6】
前記両流体圧アクチュエーターの前記動きが互いに反対方向であることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項7】
前記両流体圧アクチュエーターの前記動きが共に共通の方向であることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項8】
前記両流体圧アクチュエーターの前記動きが共に共通の方向であり、前記両アクチュエーターがそれぞれの移動可能な位置を有して該共通の方向に沿ってある距離だけ離れていることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項9】
前記制御器が前記両アクチュエーターのそれぞれの移動可能な位置を感知するように作動可能であり、前記電気制御された流体圧バルブ組み立て体が前記制御器によって感知されたそれぞれの移動可能な位置に応じて前記両アクチュエーターのそれぞれの最大の動き制限を制御するように作動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項10】
前記制御器が前記差と予め決められた前記差の最小限度を比較するように作動可能であり、前記差が前記予め決められた最小限度未満であった場合前記差の減少を停止することを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項11】
前記制御器が前記予め決められた最小限度を変えるように調節可能であることを特徴とする、請求項10に記載の流体圧制御システム。
【請求項12】
前記電気制御された流体圧バルブ組み立て体が自動的に前記信号に応じて作動可能であり、実質的に前記差に比例して前記一方のアクチュエーターを流れる作動流体のそれぞれ流れを変動して減少することにより前記差を減少するが、前記一方のアクチュエーターを流れる作動流体の減少の結果他方のアクチュエーターを流れる作動流体のそれぞれの流れの増加を同時に可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項13】
前記制御器が前記差と予め決められた前記差の最小限度を比較するように作動可能であり、前記差が前記予め決められた最小限度未満であった場合前記流体圧バルブ組み立て体が前記差の減少を停止することを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項14】
前記電気制御された流体圧バルブ組み立て体が自動的に前記信号に応じて作動可能であり、実質的に前記差に比例して前記一方のアクチュエーターを流れる作動流体のそれぞれ流れを変動して減少することにより前記差を減少して、前記両流体圧アクチュエーターのそれぞれの異なる速度を同じ速度になるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項15】
前記流体圧バルブ組み立て体が非同期速度を同時に引き起こすことで前記両アクチュエーターの同期されたそれぞれの位置を達成するように作動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項16】
更に、前記一のアクチュエーターを流れる作動流体のそれぞれの流れを、前記他のアクチュエーターを流れる作動流体のそれぞれの流れを同時に逆転することなく、選択的に逆転する逆転バルブを有し、前記電気制御された流体圧バルブ組み立て体が自動的に前記信号に応じて作動可能であり、前記一のアクチュエーターを流れる作動流体のそれぞれの流れを可変に調整して前記作動流体のそれぞれの流れが逆転バルブによって逆転される場合と前記作動流体のそれぞれの流れが逆転バルブによって逆転されない場合の両方の場合に前記差を減少することを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【請求項17】
前記電気制御された流体圧バルブ組み立て体が自動的に前記信号に応じて作動可能であり、前記両アクチュエーターのうちの選択されたいずれか一方を流れる作動流体のそれぞれ流れを可変に減少することにより前記差を減少するが、前記両流体圧アクチュエーターの他方のアクチュエーターを流れる作動流体のそれぞれが調整することなく同時に流れることを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフトトラック又は他の産業用車両に通常搭載される複数の積荷係合部材と流体圧作動して協働するための流体圧制御システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の積荷係合部材は、曲がった又は平面的な若しくはその他の形状の積荷表面のための積荷取り扱いフォークやクランプアームであり、異なるサイズの複数の積荷を同時に取り扱うためのスプリットクランプアームであり、層ピッカークランプアーム及びそれらの支持ブーム又はアップエンダー若しくは直線的又は回転式の流体圧アクチュエーターによって協働して動くがたびたび異なって動く他の複数の積荷係合部材である。複数の積荷係合部材のそれぞれの協働した動作の差異は、位置、速度、加速度、減速度及び/又は変数における一又はそれ以上の差異を含んでいる。そのような差異はときには想定内であるが、通常それらは想定外であり、協働する積荷係合部材の動きの連携がとれなくなってしまうこととなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような協働する移動積荷係合部材のそれぞれの動作は、各積荷係合部材を動かす個々の流体圧アクチュエーターの並列接続に流れる作動流体のそれぞれの流れを調節する流体圧バルブ組み立て体によって手動若しくは自動のいずれかによって従来制御されてきた。流体デバイダー/コンバイナーバルブは、個々の流体圧アクチュエーターへの及びそれからのそれぞれの流体の流れを自動的に配分するよう試みることによってそのような並列接続された流体圧アクチュエーターの協調のとれた同期運動を達成すべく通常使用されている。しかし、そのような流体デバイダー/コンバイナーバルブは、単に個々の流体圧アクチュエーターの近似的な動作をおおまかに制御できるだけであり、その結果、流体圧制御システムにおいてそれらが存在することによって、アクチュエーターの非常に正確な制御が妨げられ、蓄積されたエラーを生じさせる。他の従来のシステムにおいては、それぞれの位置をモニターしてそれぞれの流体圧制御バルブにフィードバックを提供することによって個々の流体圧アクチュエーターのそれぞれの同時運動における想定外の差異を自動的に訂正するようにして、個々の流体圧制御バルブを同時に可変調節するか、若しくは、訂正が完全になるまでバルブのうちの一つを完全に閉じて、それによって、各アクチュエーターがそれらの目的の動作を完遂することができるように速度を実質的に制限する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、本発明で使用される電気流体圧式の流体圧制御システムの一例を示す略図である。
図2図2は、本発明で使用される電気流体圧式の流体圧制御システムの別の例を示す略図である。
図3図3は、図1及び2のシステムと共に使用される論理フローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、別々に長手方向に延びた互いに対向する流体圧ピストン及びシリンダ組み立て体AとBの形式の一対の直線状の流体圧アクチュエーターの一例を示している。一般的に、互いに対向する流体圧ピストン及びシリンダ組み立て体は、リフトトラック積荷取り扱い車両には極一般的な配置である。それとは別に、流体圧アクチュエーターAとBは、積荷取り扱い用途に応じて、回転式の流体圧モーター式のものにもなりうる。
【0006】
本開示においてアクチュエーターAとBにとって適切なタイプのピストンとシリンダの組み立て体の例は、米国特許6834574号に示されているようなパーカー−ハンニフィン(Parker−Hannifin)ピストンとシリンダの組み立て体であり、その特許の開示事項は全体として引用によりここに組み込まれている。そのようなピストンとシリンダの組み立て体は、図1のセンサー11とセンサー13のような光学センサーを有するが、光学センサーは、15として略示されている、各ピストンロッド10と12の長さ方向に細かく目盛付けされた一意的に増加する位置目盛を判読することができる。前記米国特許6834574号に記載されているように、目盛15は、それぞれのセンサー11又は13がシリンダに対するピストンロッドの位置を判別させることを可能にする。また、ピストンロッドが進退するときのピストンロッドの変更した変位を判別させることも可能である。この目的のためには利用可能である別のタイプのセンサー組み立て体は、たとえば、磁気コード式のセンサー又は電位差計タイプのセンサーを含んでいる。
【0007】
センサー11と13は、好適には、信号入力を時間基準のマイクロプロセッサーベースの制御器14に転送し、該制御器が流体圧アクチュエーターAとBのそれぞれの運動における差異を感知することを可能にするが、この差異には各ピストンロッド11と12の直線的な位置の差やそれらの移動変位の差や移動方向の差ばかりでなく、(時間に対する感知した変位の一次導関数としての)各ピストンロッドの速度の差や(時間に対する感知した変位の二次導関数としての)各ピストンロッドの加速度又は減速度の差も含まれている。直線運動よりもむしろ流体圧アクチュエーターの回転運動が必要な場合、回転部品と共に同じ基本的な原理が用いられる。
【0008】
図1の流体圧回路は、好適には、図示しない、リフトトラックの油受け16とポンプ18から導管22と3つの位置のフロー及び方向制御バルブ24を介して加圧された流体圧流体をリリーフバルブ20によって制限された圧力の下で受け取る。バルブ24は、好適には、比例流量制御式のものであり、手動で、若しくは、制御器14に応じて比例式の電気リニアアクチュエータ24aによって、可変式に調節されうる。ポンプ18は、また、導管26を介して他のリフトトラック流体圧部品と図示しないそれらの個々の制御弁に給油する。導管28は、すべての流体圧部品から出る流体を油受け16に戻す。
【0009】
アクチュエーターAとBのシリンダからピストンロッド10と12の双方を同時に反対方向に延出するために、バルブ24のスプールが図1の上方向に移動してポンプ18から導管30と並存する導管32と34に加圧下で流体を提供して、それぞれの流体圧アクチュエーターAとBのピストン端部に給油する。ピストンロッドが延びたとき、流体圧アクチュエーターAとBのロッド端部から同時に流体がそれぞれ導管36と38と通常開いているバルブ40と42を介して、そして、その後、バルブ24と導管28を介して油受け16に排出される。
【0010】
反対に、図1においてバルブ24のスプールを下方向に移動することで、ポンプ18からそれぞれ導管36と38とバルブ40と42を介して2つのアクチュエーターAとBのそれぞれのロッド端部に加圧された流体を送ることによって両ピストンは同時に後退するが、流体は同時にそれらのピストン端部からそれぞれの導管32と34及びバルブ24と導管28を介して油受け16に排出される。
【0011】
別途任意のものとしては、図1の流体回路が改変されて図1に点線で示された例示の追加の手動若しくは電気制御のバルブ44を含むこともある。この任意の追加のバルブ44は、2つのスプール位置を有しアクチュエーターBの運動方向のみに影響する。上側のスプール位置は上記と同じ方法でアクチュエーターAとBへの及びアクチュエーターAとBからの作動流体の流れを維持して2つのピストンロッド10と12が同時に反対方向に動くこととなる。しかし、バルブ44の下側のスプール位置は(アクチュエーターAではなく)アクチュエーターBへの及びアクチュエーターBからの流れの方向を逆にし、ピストンロッド10と12は双方共に、反対方向よりむしろ、共通の方向に同時に逆に移動されることとなる。この後者のオプションの可能性は、側方に移動する動きや、共通の移動方向に沿って一対の積荷係合部材間でのオフセット分離と共に一対の積荷係合部材が同時に同じ方向に移動する必要がある場合に有効である。対向するピストンとシリンダ組み立て体によって動力を加えられる決められた分離と共に側方に移動する運動が必要である場合、バルブ44のように流体並列配置においてアクチュエーターAとBを離すよりも、流体直列配置にアクチュエーターAとBを配設したより複雑な流体バルブ回路は、リフトトラック積荷取り扱い器において長い間好適であった。これは、側方移動する両シリンダが共通の方向に移動して図1のような対向している場合、単純な流体的な並列配置が一方の側方移動シリンダのピストン端と他方のシリンダのロッド端に加圧された流体を同時に向かわせるからである。そのような2つの端部が容積に関して異なり、それによって、側方移動中において並列接続され互いに対向している両シリンダの速度において自動的に差異が生じる傾向となる。しかし、この場合においては、以下に説明する図1の電気流体回路の自動運動連携機能のために、バルブ44によって提供されたより単純な並列配置は十分である。
【0012】
開運動又は閉運動若しくは側方移動運動が含まれているか否かにかかわらず、流体圧アクチュエーターAとBを流れる作動流体のそれぞれの流れの間の図1の流体並列接続は、非均等な反対方向の力によるそれぞれの運動における差異や摩擦抵抗や流路流体抵抗などに起因する数多くの想定外の方法において通常2つのピストンロッド10と12のそれぞれの運動が非連携的になる傾向ある。このような差異は、結果的に、アクチュエーターAとBのピストンロッドの絶対的又は相対的な位置、速度、加速度及び/又は減速度において相当な連携不足となりうる。
【0013】
しかしながら、図1の例示のシステムにおいては、バルブ40と42と制御器14からなる電気的に制御された流体圧バルブ組み立て体が自動的に作動して、それぞれの流体圧アクチュエーターAとBを流れる作動流体の流れを調整して、そのような想定外の運動における差異を減少し、それによりアクチュエーターの正確な連携を達成する。バルブ40と42は、好適には、電気的に制御された可変流量制限バルブであり、制御器14の自動的な命令の下で、2つの流体圧アクチュエーターAとBの想定外の運動の差異の感知した大きさに実質的に比例して別々にかつ非同時に、必要に応じてアクチュエーターAとBを流れるそれぞれの流体の流れを制限的に可変減少する。可変流量制限バルブに代わって、バルブ40と42は、電気式に制御されたオン/オフバルブでも良く、好適には可変周波数において別々に非同時発生的に制御器14によってそれらのオンとオフの位置の間で至急にパルス化若しくはディザーされ、平均的なそれぞれの流体の流れを可変的に減少し、結果として可変流量制限バルブのそれと同じ流体制限となる。
【0014】
電気的に制御された流体駆動バルブ40と42は好適には流量制限型のものではあるが、更に別のものとして、それらは可変リリーフ型ものであっても良く、アクチュエーターAとBの一方又は他方を通って流れる流れを調整するように非同時発生的に作動されたときに、流体の流れから作動流体を可変にリリーフして(すなわち、引き抜いて)流れを減少し、バルブ24と導管28を介して油溜まり16に引き抜かれた流体を排出する。
【0015】
いずれにしても、バルブ40と42は、好適には、図1に示されたようなそれぞれの制御信号43と45によって制御器14の自動制御の下で作動する。流体圧アクチュエーターAとBが反対方向に動こうが、上記のように任意に同じ方向に動こうかに係わらず、バルブ40はアクチュエーターAを流れる導管36の流体の流れを可逆的に調整することができると共に、バルブ42は同様に、アクチュエーターBを流れる導管38の流体の流れを可逆的に調整することができる。このように、バルブ40は、アクチュエーターAの動きを可変制御し、そして、バルブ42は別個に且つ非同時にアクチュエーターBの動きを可変制御する。
【0016】
アクチュエーターAとアクチュエーターBを流れる作動流体のそれぞれの流れを調整するために制御器14によって行うバルブ40と42の制御のためのアルゴリズムの例が図3の単純化された論理フローチャート図の例に関連して説明される。図3に示す素早く繰り返される論理処理の始めにおいて、制御器は、ステップ48にて、センサー11と13からそれぞれアクチュエーターAとBのそれぞれの開始位置を感知する。また、ステップ49で、図1の各種の制御器入力46がオペレータ又は従来の自動化された倉庫制御システムが、アクチュエーターの運動方向やアクチュエーターの位置限度及び/又は相対的な位置やアクチュエーターの速度や加速度及び/又は減速度の限度や調節可能な最小エラー許容度及び/又は他の必要な変数のような想定されるパラメータを設定することを可能にする。次いで、たとえば、制御器が想像上の中心線について反対方向にピストンロッド10と12の同時発生的な動きをモニターするように設定されていることを想定して、アクチュエーターAのセンサー11は、制御器14が、ステップ50で、アクチュエーターAのピストンロッド10の位置変位の大きさが増えたか否かを感知できるようにする。増えている場合、制御器は両ピストンロッドが延びていて互いに離れて開いていると決定する。増えていない場合、それらは後退して互いに向かって閉じていると判断する。両ピストンロッドが開いている場合、ステップ52で、制御器はセンサー11で感知されたアクチュエーターAのピストンロッド10の位置変位の大きさがセンサー13で感知されたアクチュエーターBのピストンロッド12の同時発生された位置変位の大きさよりも大きいか否を決定する。大きい場合、制御器はピストンロッド12の延出運動の現在位置がピストンロッド10の延出運動の現在位置よりも立ち後れていると決定する。このような場合、制御器は、ステップ54で先行するアクチュエーターAのピストンロッド10についての前もってステップ49で入力された速度制限を設定するが、しかし、アクチュエーターBの遅れたピストンロッド12には速度制限を設定しない。ステップ56で、制御器は、ピストンロッド10と12の現在位置の差異の大きさを決定し、ステップ58で、制御器はそのような差が前もってステップ49で入力された調節可能な最小エラー許容度未満であるか否かを決定する。そうであれば、バルブ40は制御器14によってアクチュエーターAを流れる既存の流れを減少すべく作動されることはない。
【0017】
一方、そのような大きさの差が最小エラー許容度以上である場合、制御器14はバルブ40を作動して、ロッドの延びている間にアクチュエーターAのロッド端から排出される流れを可変制限することによって、その差の大きさに関連して、アクチュエーターAを流れる流体を減少させ、アクチュエーターAの延出運動を遅らせ、それによって、先行するアクチュエーターAと遅れたアクチュエーターBの間の運動における位置の差を少なくする。しかしながら、バルブ42は、同時には作動せず、通常の解放状態に維持されたままである。したがって、バルブ40によってアクチュエーターAを流れる流れの制限に起因するポンプ18からの余分な加圧流体は、導管34を介して自動的にアクチュエーターBに分割され、立ち後れたアクチュエーターBの延出運動をスピードアップしより早くアクチュエーターAに追いつくこととなる。
【0018】
更に、先行するアクチュエーターAを流れる作動流体の流れを減少する(但し停止するわけではない)結果として2つの流体圧アクチュエーターAとBの間の運動における差を少なくすることによって、そして、先行するアクチュエーターAにのみ最大限の速度制限を維持し遅れたアクチュエーターBに対しては行わないことで、流体圧バルブ組み立て体は2つの流体圧アクチュエーターAとBの間の運動における想定外の差のより早急な訂正を実現するだけではなく、さもなければ訂正処理によって起きるであろうそれらの想定される運動を完全にする時の遅延を最小限にする。
【0019】
図3のステップ52での決定がアクチュエーターBであるよりもむしろアクチュエーターAが遅れたアクチュエーターである場合、同じ方法が行われるがバルブ42が図3に示す制限されるバルブである。
【0020】
アクチュエーターが共に閉じた方法で後退されている場合に関連する、図3の右手側の論理シーケンスはアクチュエーターが共に延びている場合に前記の各ステップに対応する。
【0021】
それとは別に、任意のバルブ44が逆流位置に移動した結果としてピストンロッド10と12の動きを共通の方向に制御する任意の状況において、その動作は、ピストンロッド10と12の共通の方向における想定内で予め設定された分離を除いて、遅れたアクチュエーターがピストンロッド10と12の共通の方向においてそれぞれの位置の大きさの比較によって同じように決定される場合には図3に示されたものと実質的に同じである。
【0022】
制御される運動における差異が速度や加速度や減速度などの位置以外のパラメータに関する場合、制御器14はそれらの差異を感知でき、バルブ40若しくは42を介する訂正が場合に応じて図3に例示されたのと実質的に同じやり方を用いてその差異を少なくするか又は無くすようにすることができる。
【0023】
上記各実施の形態は、それぞれのアクチュエーターAとBの非同期速度を生成して、該両アクチュエーターの想定した同期位置を以前可能であったものよりもより正確に且つより早急に達成する。反対に、そのような非同期速度を用いて、その運動において想定された所定の一又はそれ以上の差異を有するアクチュエーターAとBの想定された同期位置を達成することによって同様の利益を得たい場合、そのことは、図3のステップ49によって入力された予め設定された異なるパラメータを各アクチュエーターに対して供することによって成し遂げられる。たとえば、アクチュエーターAとBを開くか又は閉じて結果として従来の中心線より予め設定された距離だけ新しい中心線のいずれか一側において各ピストンロッドの位置を均等に離間するようにしたい場合、予め設定されたオフセット距離は一方のアクチュエーターの感知された変位に加えられ、そして、他方のアクチュエーターの感知された変位から減ぜられ、動くのに最大の距離を有するアクチュエーターが図3において立ち後れたアクチュエーターとして取り扱われる。たとえば、従来の予め設定された離間とは異なる予め設定される離間を有する新しい位置に共通の方向においてアクチュエーターを動かしたい場合に、同様なやり方が用いられる。一方のアクチュエーターのみを他方のアクチュエーターに対して再位置決めしたい場合にも同様なやり方が用いられる。
【0024】
図2は、電気的に制御される流体駆動バルブ40と42が電気的に制御される単独の3方向比例バルブ60に置き換えられたことを除いて、図1と実質的に同じである電気流体圧式の略図の例を示している。図1のバルブ40の機能はバルブ60のスプール位置60aによって行われ、そして、図1のバルブ42の機能はバルブ60のスプール位置60bによって行われる。両バルブ40と42が流れを同時に制限するようには作動しない好適な動作モードに関して、スプール位置60aと60bは、物理的に同期動作ができないようになっている。
【0025】
上記明細書において用いられた用語と表現は、非制限的な用語と表現としてここに用いられたものであり、そのような用語と表現の使用においては、ここに示され記載された特徴やその部分に均等するものを排除することを意図するものではない。本発明の範囲が以下の請求項によってのみ定義され更に限定されることが理解される。
図1
図2
図3