(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981653
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】無菌条件下の植物の大規模成長のためのバイオリアクタ容器
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20160818BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
C12M1/00 D
A01G7/00 601Z
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-526012(P2015-526012)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公表番号】特表2015-525570(P2015-525570A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】IN2013000478
(87)【国際公開番号】WO2014024211
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年2月26日
(31)【優先権主張番号】2445/DEL/2012
(32)【優先日】2012年8月6日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】508176500
【氏名又は名称】カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】タクール ラジェシュ
(72)【発明者】
【氏名】スード アニル
(72)【発明者】
【氏名】アフージャ パラムヴィール シン
【審査官】
福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−044813(JP,A)
【文献】
特開平02−124038(JP,A)
【文献】
特開平02−142463(JP,A)
【文献】
特開平11−125055(JP,A)
【文献】
「S-1504M」,昭和科学株式会社,製品情報,ステンレスタンク,2005,[検索日:2015年12月17日],URL,http://www.showa-science.co.jp/product/laboratory_teishitudo.html
【文献】
エース技研,ステンレスタンク,[検索日:2015年12月17日],URL,http://www.ace-giken.co.jp/product/tank/details/at_s.html
【文献】
MGT LIQUID & PROCESS SYSTEMS,[検索日:2015年12月17日],URL,http://www.mgt.co.il/pdf/MGT_general.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌条件下で植物又は組織を成長させるための装置(8)であって、
蓋(1)と、
基部区画(2)と、
前記蓋(1)と前記基部区画(2)とを接続し、ロッキング機構(3)が備えられた連結機構(4)と、
を含み、
前記連結機構は、ロック位置からアンロック位置まで移動可能であり、かつ逆も同様であり、
前記ロック位置で、前記ロッキング機構は、前記基部区画に対して当接閉鎖関係に前記蓋を保持し、
前記連結機構には、該連結機構の前記アンロック位置で前記基部区画に対して上昇懸架位置まで前記蓋を自動的に持ち上げ、それによって該基部区画に到達して所望の操作を行うアクセスルートを与えるための手段が設けられる、
ことを特徴とする装置(8)。
【請求項2】
前記蓋は、少なくとも1つの栄養培地供給チャネル(6)と任意的に装置内の雲霧/霧雨/強制換気を可能にする少なくとも1つの雲霧器(7)とを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基部区画(2)は、上昇位置での栄養流入ポート(10)と該栄養流入ポートの下に位置する複数の植物又は種を受け入れる基部ユニット(13)とを含み、
前記基部ユニットは、保持トレイ(14)と該保持トレイ(14)に取りつけられたハンドルとを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記連結機構は、
第1の端部と第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の部材(40)であって、該第1の部材の該第1の端部が、傾斜角度で前記基部区画(2)の外側面に接続された前記第1の部材(40)と、
上端と底端とを有する少なくとも1つの第2の部材(43)であって、該第2の部材の該底端が、垂直角度で前記第1の部材の前記第2の端部にピボット式に接続された前記第2の部材(43)と、
上端と底端とを有する少なくとも1つの第3の部材(46)であって、該第3の部材の該底端が、前記第2の部材の前記底端にピボット式に接続され、該第3の部材の該上端が、前記蓋の外側面に接続された前記第3の部材(46)と、
上端と底端とを有する少なくとも1つの第4の部材(49)であって、該第4の部材の該底端が、前記第2の部材の前記上端にピボット式に接続され、該第4の部材の該上端が、前記蓋の外側面に接続された前記第4の部材(49)と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記蓋を上方に自動的に持ち上げるための前記手段は、少なくとも2つのバネを含み、第1のバネ(18)が、前記第1、第2、及び第3の部材間のピボット式接続部に位置決めされ、第2のバネ(54)が、該第2及び前記第4の部材間のピボット式接続部に位置決めされることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
バイオリアクタ容器であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記蓋は、汚染物質が装置の中に入らないようにするためのクッションとして作用する非吸収性パッド(5)の湾曲ベルトを封入する逆U字形張り出し部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記非吸収性パッド(5)は、綿パッドであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記基部区画は、前記保持トレイよりも低い高さに第1の排水ポート(10)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記基部区画(2)は、第1の排水ポート(10)よりも高い高さに第2の排水ポート(12)を有し、該第2の排水ポートは、前記保持トレイよりも高い高さにあることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記基部ユニットが、予め決められた位置に前記保持トレイを位置付けるための支持構造を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記基部ユニットの床が、水平軸線に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置(8)と、
栄養物質を供給するために前記装置に接続されたタンク(19)であって、
前記栄養物質を収容する本体(58)と、
前記本体の上に位置決めされた密封ガスケット(23)が備えられ、複数の締結デバイスによって前記本体に締結された蓋(22)と、
空気圧縮/解放と液体培地のための入口/出口とを提供するために前記蓋上に位置決めされた複数の密封ダイヤフラム弁(20、21、22、23)と、
液体培地を前記タンクに供給するための液体培地供給ポート(32)を含むタンクと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記タンクは、タンクの内側からの内容物の完全な排水を保証する出口を更に含むことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、無菌条件下の植物の大規模成長のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の背景技術の説明は、本発明を理解するのに有用であると考えられる情報を含む。本明細書に提供する情報のいずれかが従来技術であり又は現在主張する発明に関連していること、又は具体的に又は示唆的に参照するいずれかの文献が従来技術であることを認めるものではない。
【0003】
植物組織培養は、現在、多数の遺伝的に同一な植物の生成のための証明された技術であるが、様々な商業的に重要な植物に対するその広く行きわたる用途は、コストを追加する以下のファクタにより一般的に制限されている。
・高労働投入量
・反復二次培養の必要性
・試験管内環境の制御不良
・試験管内増殖速度の制限
・土壌への移植時の胚の低い生存率をもたらす異常な解剖学的発達
・植物を畑に定着させることができる前の労働集約的ハードニング(hardening)段階
・汚染による損失
・−高圧蒸気滅菌、照明、及び空調中の電力消費、
−培地調製に使用する寒天及び糖
に対して被る高コスト。
【0004】
すなわち、最小労働投入量で植物の大規模なミクロ増殖を達成するために十分かつ信頼できる代替手段を開発しなければならない。ミクロ増殖工程の部分的な自動化は、最も経済的に実行可能な選択肢として役立つ可能性がある。液体培養システムは、それらの自動化における容易性を考慮すると必須である。システム自動化は、従来の手順の自動化ではなく、独立して最適化された工程に基づいてもたらすことができると考えられる。
【0005】
バイオリアクタは、従来、細菌醗酵に又は植物細胞からの大規模な2次代謝産物の生成に使用されてきた。しかし、体細胞胚形成/ミクロ増殖にそれを使用する努力は、予想される程度まで成功することができなかった。高速インペラからの剪断力及び気泡通気リアクタにおける気泡形成が大部分のトラブルの原因であった(Heyerdahl他,1995)。生物学的及び物理的パラメータの間の相互作用を明らかにするために多くの研究が行われてきた。植物組織培養のためのバイオリアクタを使用する自動化システムの開発のための様々な指針は、近年時折精査されている(Aitken Christie他,1995、Liu他,2003、Levin他,1997、Takayama及びAkita,1998、Ziv他,1998、Ziv,2000)。外植のタイプ、増殖(器官形成又は胚形成)のモード、並びに発達のステージの各々の生理学的及び生化学的要件に応じて、異なる手法が自動化に対して辿られている(Aitken−Christie,1995)。様々なタイプの液内培養バイオリアクタは、液体培地(根又は形質転換「毛」根、若芽、及び胚)における器質化組織の集中培養により、又は未分化単一細胞及び凝集培養から有用な2次代謝産物の発生に対して設計されてきた(Paek他,2001)。これらの一部は、エアリフト及び気泡塔タイプのバイオリアクタ、バルーンタイプの気泡バイオリアクタ、撹拌槽バイオリアクタ、及び干満タイプのバイオリアクタを含む。微生物系を模倣する植物細胞の懸濁培養は、2次代謝産物バイオリアクタ作動のための主要ルート及び主要商業ルートを構成する。これらのタイプのバイオリアクタは、4つの主要な用途:(i)バイオマスの生成(
図2.1)、(ii)2次代謝産物の生成、(iii)酵素の生成、及び(iv)外から追加された代謝産物(これらは、経路内の前駆体である場合がある)の生体内変換を有する(Leathers他,1994)。Thalictrum minus及びCoptis japonicaからのベルベリンとLithospermum erythrorhizonからのシコニンとの生成は、商業化されたバイオリアクタベースの2次代謝産物生成システムの2つの主要な例である(Aitken−Christie,1995)。Fujita他(1982)は、750リットルの発酵槽の中でLithospermum erythrorhizon細胞懸濁培養の工業化を報告した。植物細胞培養は、75,000リットルのバイオリアクタまでは工業的に達成されている(Azechi他,1983、Rittershaus他,1989)。大量増殖に貢献するバイオリアクタは、液体懸濁液中の細胞、体細胞胚、又は器官形成球芽(例えば、小球根、球茎、根粒、微小塊茎、又は若芽房)の培養のためのシステムを含む(Leathers他,1994)。バルーンタイプの気泡バイオリアクタは、バイオマス生成のために開発されたものである(Son他,1999a,1999b)。これらの殆どにおいて、従来の発酵槽のインペラは排除されており、撹拌及び曝気の両方は、これらの基部に設置された空気分散装置によってもたらされる。容器の形状も、頻繁に気泡形状及びV字形状のような形状に変化している。若芽及び発芽房の増殖に対するエアリフト及び気泡塔バイオリアクタの適応化は、拡張に対して実行可能な手段を提供している(Akita他,1994)。
【0006】
いくつかの植物は、バイオリアクタにおける液内培養中で確実に成長するが、多くの植物はそのように成長することはできない。更に、このようにして得られる胚の生存は、異常生体構造により非常に低く、従って、珠芽がそれ自体気泡及び塊茎のような貯蔵器官でない限り、個別のハードニング段階が常に必要である(Akita及びTakayama,1988、Akita他,1994、Lim他,1998b、Seon他,2000、Son他,1999b、Takahashi他,1992、Yu他,2000)。若芽は、液体培地と直接に接触して成長する時に過水状態を生じやすいので、Ziv及び共同研究者(Ziv,1990、Ziv,1991a、Ziv及びAriel,1991)は、成長抑制剤を使用して生成のバイオリアクタ増殖段階中に葉組織の発達を最小にした。原基様組織の3Kg生体重(FW)を接種したStevia rebaudianaの若芽に使用される500L曝気バイオリアクタは、格別な高収率(160g/l)及び土壌中の若芽のその後の回復をもたらしている。
【0007】
非液浸培養に対するバイオリアクタの開発への進出も行われている。膜ラフト又は寒天固体培地の代わりに植物性材料を保持するための代わりの支持構造が備えられた容器が開発されている(Leathers他,1994)。液体栄養培地は、細かいミストの形態で適用することができるか又は外植体の一時的浸漬を一時的にもたらすのに充填することができるかのいずれかである。非液浸培養タイプのバイオリアクタは、主としてミクロ増殖及び毛根培養のためのものである。ミストの形態の栄養培地の用途は、剪断損傷が最小限であるので、胚の培養に対して最も有用であると報告されており、ミスト液滴の高い表面積は、高いガス交換をもたらす。それは、培養組織を取り囲む領域において栄養素及びガスの拡散を改善するのに潜在的利点を有する(Correl及びWeathers,1998、Correl及びWeathers,2000、Kim他,2001、Kim他,2002、Kim他,2003、Liu他,2003、Weathers及びGiles,1988)。スプレー霧雨システムを有するミストリアクタの早期の報告のうちの1つは、Weathers及びGiles(1988)によるものであった。
【0008】
しかし、その作業は、様々な技術的問題により拡張段階までは辿らなかった。同じ年に、Fox(1988)は、噴霧器を栄養ミストの発生のための超音波変換器で置換したシステムを開発した。このシステムにおいて、細かい栄養ミストを生成する変換器は、栄養培地と直接に接触していた。変換器の寿命は、反復高圧蒸気滅菌によって低下し、多くの場合に、電気部品の故障のために実験が停止された。これらの問題の一部は、後でChatterjee他(1997)によって開発された「音響窓ミストリアクタ(AWMR)」で対処された。彼らは音響窓を製作し、最初に音響的に透明なエポキシ樹脂を使用して変換器から培地を分離し、後でそれを廉価なポリプロピレン容器で置換した。このシステムは、ミクロ増殖:カーネーション(Correl及びWeathers,2000、Correl他,2000)、並びに毛根培養(Woo他,1996)の両方に使用されていた。ミクロ増殖植物の順化は、試験管外の胚の良好な生存をもたらす相対湿度の段階的低下によってもたらすことができた。この技術を使用するバイオリアクタは、ウォーターフォード・エクイプメント・カンパニー(ニューヨーク州)によって開発された。ここでは、胚の初期成長は良好であったが、それは長くは続かず、外植体の面上の高濃度の残留塩のために最後は壊死が始まった(Chatterjee他,1997)。
【0009】
他方、スプレーの形態のミストの適用は、毒素を洗い流し、蒸発による高濃度の面上の塩の蓄積の可能性が少ないために有利であると考えられた(Ibaraki及びKurata,1991、Kurata他,1991)。AWMRは、Chun他(1998)によって修正され、2.5Lの容量の「改良型内側ループミストバイオリアクタ(MILMB)」が開発された。この装置において、同心通気管が主要培養容器の内側に設けられ、この主要培養容器は、早期のAWMRと比べてバイオリアクタ容積全体を通してミストのより均一な分布を容易にした。ある実験において、若芽は、上述したものと同じ問題による可能性が最も高い25日後に褐色になり始めた(Chun他,2003)。Woo他(1996)は、AWMRで毛根培養を実施し、撹拌槽及びフラスコ培養による結果と比較した。AWMRにおける乾燥重量含有量の増加は、撹拌槽バイオリアクタ中の12.9倍及びフラスコ中の21.4倍と比較してちょうど4.76倍であった。AWMRにおけるこの低成長速度は、恐らく空気担体方法の栄養供給制限によるものであった。その成功度が低いために、毛根培養に対するそのようなシステムの拡張の見込みは少ないと見られた。
【0010】
ミクロ増殖に使用する別のタイプのリアクタは、一時的浸漬及び強制換気のための特に光独立栄養培養に備えたチャンバである。Kubota及びKozai(1992)は、植物を生育するためのマルチセルトレイを格納した容器(2.6L容量)を使用した。最近、Heo及びKozai(1999)は、CO
2に富んだ強制換気のための更に大きい培養容器(13L容量)を使用する類似のシステムを開発した。このシステムにおいて、胚は、光独立栄養的に培養された。しかし、これらのより大きい培養容器の1つの欠点は、培養胚の成長が、培養ヘッドスペース内のCO
2及び他の環境ファクタの不均一な分布により一般的に異なることであった。
【0011】
同様に、Zobayed他(1999)は、CO
2に富んだ空気を均一に分配するために分配パイプを備えた改良型培養チャンバ(3.4L容量)を開発した。しかし、より大きい(20L)培養容器において、これらのパイプは、技術的問題によりCO
2に富んだ空気を均一に供給することはできなかった。Zobayed他(2000a)は、アクリルで作られたより大きい(20L)容器を備えた別の拡張型培養システムを開発した。空気の均一な分布を得るために、チャンバは、空気流を空気分配チャンバから培養容器ヘッドスペースに向ける上側及び下側チャンバ間のいくつかの垂直接続管を有する下側2mm高さの区画を有した。栄養溶液は、上側チャンバの中に供給され、植物は、一時的浸漬をもたらすためにプラグトレイに保持された。その設計は、下側区画の中に培地が流れることを可能にしなかった。排水は、重力に沿って行われた。
【0012】
RITA容器:更に別の簡単なシステムは、体細胞胚のような小さいサイズの外植体の効率的な培養を可能にするためにフランスのCIRAD Biotropによって開発された。システムは、空気供給及び出口のための2つのポートを有する小さいサイズの2チャンバ式主培養容器から構成される。サイズが小さいので、いくつかの容器をモジュール式アレイに接続することができ、汚染による損失も制限された。大きい利点は、連続浸漬システムと比べて窒息及び組織ガラス化の有意な低下をもたらす培養植物を単に一時的に浸すその機能であった。このシステムを使用して、増殖時間は、半分まで低減することができ、増殖率は増加し、生産コストは10分の1まで減少させることができた(Teisson他,1996)。
【0013】
植物組織培養の自動化における改革及び研究の量にもかかわらず、注意を要する様々な問題により現在商業的スケールで実際に使用されている自動化システムは殆どない(Aitken Christie他,1995及びChu,1994)。
【0014】
試験管内環境は、植物品質及び生産経済の両方に対して異なる目的を達成するために制御される。簡単な手段は、いくつかの場合に有効であることが証明されている。
【0015】
強制空気循環:典型的な停滞培養容器ヘッドスペース(高い相対湿度、好ましくないガス組成を有し、殆ど空気移動がない)は、修正容器クロージャ、殺菌加湿空気の強制導入、その他を使用して変更された。このようにして発生された胚は、試験管外の成長促進及び優れた生存機能を有した(Kozai,1991a、Kozai,1991b、Kozai他,1992、Kubota及びKozai,1992、Kozai,1991c、McClelland及びSmith,1990、Smith及びMcClelland,1991、Tanaka他,1992)。
【0016】
栄養培地の再利用:培地に追加した有機及び無機栄養素の一部だけが、培養物によって吸収され、糖を含む残りの栄養素は、殆ど全ての場合に培養後にゲル化剤と共に廃棄される。栄養素、支持材料、及びエネルギを再利用することは、将来の組織培養システムにおいて重要になるはずである(Kozai及びSmith,1994)。
【0017】
屈光性:容器中の物理的及び化学的環境が効率的な光合成に対して適正に制御されている限り、葉緑素培養物は、一般的に、比較的高い光合成機能を有し、これらは、多くの場合に、従属栄養又は光混合栄養条件下よりも光独立栄養条件下でより速く成長することができることは公知である(Pospisilova他,1992)。光独立栄養細胞は、従属栄養細胞とは異なり、よく発達した及び生理学的に活性な葉緑素を有することは公知である(Hazarika,2003)。試験管内環境の制御はまた、培地からの糖の排除を可能にする(Hahn及びPaek,2001、Kozai,1991a、Kozai,1991b、Kozai,1991c、Kozai他,1992、Kozai他,1996、Langford及びWainwright,1987)。以下は、光独立栄養ミクロ増殖の潜在的利点である(Fujiwara及びKozai,1994、Kozai及びSmith,1994)。
a)試験管内の葉緑素培養物の成長及び発達。
b)生理学的及び/又は形態学的障害が低減される。
c)比較的均一な成長及び発達。
d)発根及び順化のための手順が簡素化される。
e)成長調節物質及び他の有機物質の適用を最小にし、それによって突然変異及び表現型変異を低下させることができると考えられる。
f)汚染による試験管内の培養物の損失を低減することができる。
g)汚染の危険を低下させながらより大きい容器を使用することができる(Kozai,1991c)。
h)微生物汚染の低下により容器の環境制御が容易になる。
i)病原体が取り除かれている限り、容器内の無菌化の必要はない。
j)自動化、ロボット化、及びコンピュータ化がより容易になる。
【0018】
強制換気の導入、CO
2の上昇、及び培地から糖の排除(Kozai,1991a、Kozai,1991c)。
【0019】
適度な栽培面積の具備:容器/クロージャのサイズ及び形状は、植物成長をサポートするのに利用することができる成長空間の限界を決定する。それ以外に、植物に対して底面に何らかの支持体がある場合がある。McClelland及びSmith(1990)は、外植体が、より大きい容器の中で成長する時により高い密度の若芽培養物を定期的に生成することを示している。個々の若芽の品質は、有意に良好であり、多くの種における若芽の長さが高められ、個々の葉のサイズも、容器のサイズの増大と共に増大した。大きいサイズの容器で生成された微芽の発根能も、恐らく一部は彼らの仮説によりこれらの葉に存在する葉面積及び発根補助ファクタの強化によって実質的に改善された。強制換気と共に微生物汚染の危険を最小にした大きい培養容器内の光独立栄養培養は、従来のミクロ増殖システムと比較してほぼ50%だけ労働コストを低減することが予想される(Kozai他,1999)。すなわち、バイオリアクタシステムにおいて使用する時のより大きい容器は、その中で培養される胚の品質を促進することが予想される。しかし、Mackay及びKitto(1988)は、極端に大きい培養容器が、中間サイズの容器と比較して若芽長さを抑制することも見出した。従って、このパラメータは、増殖すべき様々な胚に対して標準化が必要な場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
すなわち、上記で詳述したような公知の従来技術の欠点を取り除く装置/バイオリアクタ容器の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
無菌条件下で植物又は組織を成長させるための装置を開示する。装置は、蓋及び基部区画から構成される。連結機構が、蓋及び基部区画を接続するために設けられる。連結機構には、ロッキング機構が設けられ、連結機構は、ロック位置からアンロック位置まで移動可能であり、逆も同様である。ロック位置では、ロッキング機構は、基部区画に対して当接閉鎖関係で蓋を保持する。アンロック位置では、連結機構には、基部区画に対して上昇懸架位置まで蓋を自動的に持ち上げ、それによって基部区画に到達して所望の操作を行うアクセスルートを与えるための手段が設けられる。
【0022】
一実施形態によると、蓋は、少なくとも1つの栄養培地供給チャネルと、任意的に装置内の雲霧/霧雨/強制換気を可能にする少なくとも1つの雲霧器とで構成される。
【0023】
別の実施形態によると、基部区画は、上昇位置での栄養流入ポートと、栄養流入ポートの下に位置する複数の植物又は種を受け入れる基部ユニットとで構成され、基部ユニットは、保持トレイと保持トレイに取りつけられたハンドルとを含む。
【0024】
更に別の実施形態によると、連結機構は、第1の端部と第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の部材から構成される。第1の部材の第1の端部は、傾斜角度で基部区画の外側面に接続される。上端と底端とを有する少なくとも1つの第2の部材が設けられている。第2の部材の底端は、垂直角度で第1の部材の第2の端部にピボット式に接続される。上端と底端とを有する少なくとも1つの第3の部材が設けられている。第3の部材の底端は、第2の部材の底端にピボット式に接続され、第3の部材の上端は、蓋の外側面に接続される。上端と底端とを有する少なくとも1つの第4の部材が設けられている。第4の部材の底端は、第2の部材の上端にピボット式に接続され、第4の部材の上端は、蓋の外側面に接続される。
【0025】
栄養物質を装置に供給するためのタンクを提供する。タンクは、栄養物質を収容する本体と、本体の上に位置決めされた密封ガスケットが備えられ、複数の締結デバイスによって本体に締結された蓋とで構成される。複数の密封ダイヤフラム弁が、空気圧縮/解放及び液体培地のための入口/出口を提供するために蓋上に位置決めされるように設けられ、液体培地供給ポートが、液体培地をタンクに供給するために設けられる。
【0026】
システムは、装置(上述したような)と栄養物質を供給するために装置に接続されたタンク(上述したような)とで構成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の例に従って液体培地中の及び40日後の異なる支持材料を用いたFWのパーセント増加の変動を示し、バーの上の異なる文字がP<5%での有意差を示し、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図2】本発明の例に従って40日後の様々な成長調節物質処理による葉の数のパーセント増加の変動を示し、バーの上の異なる文字がP<5%での有意差を示し、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図3】本発明の例に従って40日後の様々な成長調節物質処理による1球根当たりの根の数のパーセント増加の変動を示し、バーの上の異なる文字がP<5%での有意差を示し、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図4】本発明の例に従って40日後の様々な成長調節物質処理による小球根の数のファクトリアル・インクリーズ(factorial increase)の変動を示し、バーの上の異なる文字がP<5%での有意差を示し、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図5】本発明の例に従って40日後の様々な成長調節物質処理による葉緑素含有量(mg/g FW)の変動を示し、バーの上の異なる文字がP<5%での有意差を示し、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図6】本発明の例に従って40日後の様々な成長調節物質により上昇した胚の生存パーセントを示し、バーの上の異なる文字がP<5%での有意差を示し、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図7】本発明の例に従って40日後のTLA、FW、TBVのパーセント増加に対する培地pHの影響を示し、異なるpHに対する反応間の差がP<5%で有意ではなく、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図8】本発明の例に従って40日培養後の「総葉面積(TLA)」、「生体重(FW)」、球根の数(B#)、及び「総球根容積(TBV)」のパーセント増加時の霧雨(MIST)によるか又は一時的浸漬(TIS)による培地の適用効果を示し、バーの上の異なる文字がP<5%での有意差を示し、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図9】本発明の例に従って40日培養後の光混合栄養的又は独立栄養的に栽培した胚のTLA、FW、B#、及びTBVのパーセント増加の変動を示し、バーの上の異なる文字がP<5%での有意差を示し、平均値からの標準偏差も示す図である。
【
図10】本発明の実施形態により閉鎖位置で無菌条件下で植物又は組織を成長させるための装置の様々な図である。
【
図11】本発明の実施形態により開放位置で無菌条件下で植物又は組織を成長させるための装置の様々な図である。
【
図12】本発明の実施形態による装置の内部の概略図である。
【
図13】本発明の実施形態による3つの雲霧器の位置と共に雲霧チャネルの概略図である。
【
図14】本発明の実施形態による保持トレイの様々な図である。
【
図15】本発明の実施形態による装置の内部を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態によるタンクの正面及び上面図である。
【
図17】本発明の実施形態によるタンクの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の原理の理解を容易にする目的のために、ここで図面に示す実施形態を参照し、特定の言語を使用してそれを以下に説明する。それでも尚、それによって本発明の範囲を限定するものでないことが理解され、図示のシステムにおけるそのような代替手段及び更に別の修正、及び本明細書に示すような本発明の原理のそのような更に別の用途は、一般的に本発明が関係する当業者に想起されるように考えられている。
【0029】
上述の一般的説明及び以下の詳細説明は、本発明の例示及び説明であり、本発明を制限するように考えられていないことは当業者によって理解されるであろう。特許出願全体を通して、使用する従来の技術は添付の図面にあるものであり、同様の数字は、同様の構成要素を示している。
【0030】
本明細書全体を通して「実施形態」、「別の実施形態」、又は類似の言語への参照は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通して語句「実施形態において」、「別の実施形態において」、及び類似の言語は、必ずしもそうであるとは限らなないが全て同じ実施形態を意味する。
【0031】
用語「comprises」、「comprising」、又はいずれかの他のその変形は、段階のリストを含む工程又は方法が、これらの段階のみを含むことなく、そのような工程又は方法を明示的に列挙しないか又はそれに固有でない他の段階を含むことができるように非排他的な包含を網羅するように考えられている。同様に、「comprises...a」が先行する1つ又はそれよりも多くのデバイス又はサブシステム又は要素又は構造は、より多くの制約を受けることなく、他のデバイス又は他のサブシステム又は他の要素又は他の構造又は追加のデバイス又は追加のサブシステム又は追加の要素又は追加の構造を排除しない。
【0032】
別に定めない限り、本明細書に使用する全ての技術的及び科学的用語は、一般的に本発明の属する当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。本明細書によって提供する装置、システム、及び実施例は、例示に過ぎず、限定するように考えられていない。
【0033】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。
【0034】
無菌条件下の植物の大規模成長のための装置を本明細書に開示する。装置は、栄養培地、光、温度、湿度、及びpHの制御された条件下で多数の植物/組織を成長させるように構成される。装置は、長期間にわたっていくつかの植物/組織/器官を成長させるように更に構成される。更に、装置は、試験管外条件下でより良く生存するような影響を受ける試験管内で栽培した植物の予備ハードニングに対して構成される。
【0035】
図10及び
図11は、本発明の実施形態による装置8の異なる図である。装置は、蓋1、基部区画2、及び連結機構4から構成される。
【0036】
連結機構4は、蓋1及び基部区画2を接続するために設けられる。連結機構には、ロッキング機構3が設けられ、連結機構4は、ロック位置A(
図10に示す)からアンロック位置B(
図11に示す)まで移動可能であり、逆も同様である。ロック位置で、ロッキング機構は、蓋を基部区画2に対して当接閉鎖関係に保持する。アンロック位置で、連結機構4には、蓋を基部区画2に対して上昇懸架位置に自動的に持ち上げ、それによって基部区画に到達して所望の操作を行うアクセスルートを提供するための手段が備えられる。
【0037】
一実施形態によると、連結機構4に設けられた自動的に持ち上げる手段はバネであり、ロッキング機構3は、バネで構成されたフックラッチである。ロッキング機構は、蓋を基部区画2に対して当接閉鎖関係に保持し、所望の操作を行うために基部区画2に到達すべき時に保持を解除するように構成される。更に別の実施形態によると、ロッキング機構3のバネは、鋼で作られる。連結機構4は、第1の端部42及び第2の端部41を有する少なくとも1つの第1の部材40から構成される。第1の部材40の第1の端部42は、傾斜角度で基部区画2の外側面に接続される。上端44及び底端45を有する少なくとも1つの第2の部材43が設けられる。第2の部材43の底端45は、垂直角度で第1の部材40の第2の端部41にピボット式に接続され、第2の部材43の上端44は自由である。上端47及び底端48を有する少なくとも1つの第3の部材46が設けられる。第3の部材46の底端48は、第2の部材43の底端45にピボット式に接続され、第3の部材46の上端47は、蓋1の外側面に接続される。上端50及び底端51を有する少なくとも1つの第4の部材49が設けられる。第4の部材49の底端51は、第2の部材43の上端44にピボット式に接続され、第4の部材49の上端50は、蓋1の外側面に接続される。
【0038】
一実施形態によると、第3の部材46及び第4の部材49は、蓋1の外側面と接続された時に、アンロック位置Bにおいて蓋を効果的に持ち上げるために互いに平行であり、かつ距離を置くのがよい。
【0039】
別の実施形態によると、蓋を上方に自動的に持ち上げる手段は、少なくとも2つのバネを含み、第1のバネ18は、第1の部材40、第2の部材43、及び第3の部材46の間のピボット式接続部に位置決めされ、第2のバネ54は、第2の部材43と第4の部材49の間のピボット式接続部に位置決めされる。
【0040】
第1、第2、第3、及び第4の部材は、形状が矩形の平坦なバーである。連結機構4はまた、作動の容易さに影響を与えることなく蓋1及び基部区画2に有利に取りつけることができるあらゆる適切なサイズのものとすることができる。連結機構4は、十分な強度を与える適切な厚みのものとすることができる。
【0041】
連結機構4は、合金のようなあらゆる弾性材料で作られる。合金は、鋼、チタン、クロム、鉄、銅、及びこれらのあらゆる組合せから構成される群から選択することができる。図示の実施形態において、連結機構4は、鋼から構成される。
【0042】
第1の部材40は、第2の部材43及び第3の部材46に対して、そして第4の部材49は、第2の部材43に対して、当業技術で公知のネジ、ボルト、又はいずれかの他の接合機構によって接合される。
【0043】
更に別の実施形態によると、ロッキング機構3は、上端53及び底端52から構成される。底端52は、第1の部材40の面に接続され、底端52は、第1の部材40の面にボルト止めされることができ、それによって底端を第1の部材40に固定する。しかし、ロッキング機構3は、第1の部材40に堅く取りつけずに、横方向に自由に移動することができるのがよい。底端52は、第1の部材との接続のピボット部にあるバネ55で構成することができる。ロッキング機構3の上端53は、第3の部材46の面に接続され、上端53は、フック様構造として成形される。上端53は、上端53が金属ステープルによって受け入れられた時に基部区画2に対して当接閉鎖関係で蓋1を保持するように、第3の部材46の面上に位置決めされた金属ステープル又はリング(図示せず)によって受け入れられるように構成することができる。
【0044】
更に別の実施形態によると、装置は、
図10に示すように2組の連結機構から構成される。
【0045】
図12及び
図15は、本発明の実施形態による装置の蓋を示している。蓋1は、上部56と底部57から構成され、上部56は、面を有し、底面は、中空である。少なくとも1つの栄養培地供給チャネル6(
図13に示すような)を有する上部56には、少なくとも1つの雲霧器7が装着され、装置内で均一な雲霧/霧雨/強制換気を可能にしている。雲霧器7は、装置内に栄養培地をスプレーするように構成される。
【0046】
一実施形態によると、蓋1は、プラスチック材料で作られた逆U字形容器である。蓋1の直径は、栄養物質が基部区画から流れ出ないように基部区画2の直径と同じである。
【0047】
一実施形態によると、蓋1は、非吸収性パッド5の湾曲ベルトを封入する逆U字形張り出し部で更に構成され、汚染物質が装置の中に入らないようにするためのクッションとして作用する。一実施形態によると、非吸収性パッド5は、綿パッドである。
【0048】
更に別の実施形態によると、上昇位置にある蓋1は、操作が妨げられないように最低20cmの垂直間隙プラス10cmの水平変位を可能にする。
【0049】
更に別の実施形態によると、蓋の高さは、基部区画の高さ(10cm)よりも高い(21cm)。
【0050】
更に別の実施形態によると、供給チャネルは、
図12に開示する3つの雲霧器から構成される。
【0051】
更に別の実施形態によると、装置の面の裏面及びその下に装着された雲霧器の高さは、装置の内側のミストの均一分布のために20cmである。3つの雲霧器は、チャンバの内側縦方向に10cm、12.5cm、及び12.5cmの距離でチャネルの各々に置かれる。
【0052】
更に別の実施形態によると、2つの供給チャネルは、蓋の裏面の3つの雲霧器の各々を両側に6.7cmの間隙を残して16.75cm離したままの状態で蓋に位置決めされる。
【0053】
更に別の実施形態によると、雲霧器は、好ましくは、透明なポリカーボネートシートを使用して製作され、シートの厚みは、2.2mmから4.0mmの範囲にある。
【0054】
更に別の実施形態によると、栄養培地の適用のための圧力は、22から28psiの範囲にある。
【0055】
図12及び
図14は、本発明の実施形態による基部区画を示している。基部区画2は、基部区画2上の上昇位置での栄養流入ポート10で構成され、植物又は種の一時的/連続的浸漬のために液体培地の充填を可能にする。基部区画2は、栄養流入ポート10の下の複数の植物又は種を受け入れるように基部ユニット13を有し、基部ユニット13は、保持トレイ14と保持トレイ14を取り外すためのハンドル17とで構成される。
【0056】
更に別の実施形態によると、保持トレイ14は、高圧蒸気滅菌可能かつNetlon材料メッシュで作られる。
【0057】
更に別の実施形態によると、保持トレイ14には、セルを作るためのポリメチルペンテン(TPX(登録商標))の透明なシートで作られた交差板が設けられ、そこで植物/組織は、直立位置で生育することができる。
【0058】
更に別の実施形態によると、保持トレイ14の好ましい寸法は、長さ14cm、幅10.5cm、及び高さ3cmである。
【0059】
更に別の実施形態によると、装置は、
図14に示すように8つまでの保持トレイを保持することができる。
【0060】
更に別の実施形態によると、装置の基部の床は、ある角度で傾斜され、下側の排水ポートを通して完全排水を可能にする。
【0061】
更に別の実施形態によると、ロッキング機構は、基部ユニットの床の傾斜に相補的な高さを有する高圧蒸気滅菌可能な耐食性材料、好ましくは、UV安定化ポリカーボネートから作られ、全ての保持トレイが、簡単な培地充填中に外植物の均一な浸漬を可能にするために水平に一定のレベルにあることを保証する。
【0062】
基部区画は、保持トレイ14よりも低い高さにある第1の排水ポート10で構成され、液体栄養の排水を可能にする。基部区画2は、第1の排水ポート10及び保持トレイ14よりも高い高さにある第2の排水ポート12で更に構成され、実験要件に従って植物の下側部分の十分な浸水を保証する。一実施形態によると、基部ユニット13は、予め決められた位置に保持トレイ14を位置付けるための支持構造を含む。基部ユニット13の床は、ある角度で作られ、第1の排水ポート10を通して完全排水を可能にする。床の角度は、水平軸線に対して傾斜している。
【0063】
更に別の実施形態によると、基部区画2は、プラスチックで作られた矩形ボックスである。
【0064】
更に別の実施形態によると、基部ユニット13の床は、複数の外植物保持トレイ14を受け入れる十分な空間を有し、成長すべき植物/器官/組織を保持するためのセルを作るために高圧蒸気滅菌中に高い温度及び圧力に耐えることができる交差板16が備えられた。
【0065】
更に別の実施形態によると、基部ユニット13には、トレイを取り扱いかつ保持するのを容易にするためにストーク(stalk)のようなハンドル17が備えられた。
【0066】
更に別の実施形態によると、無菌培養物は、外植物保持トレイに無菌的に接種される。装置は、そのロックを解除することによって層流空気流の内側に開放される。
【0067】
一実施形態によると、装置8は、バイオリアクタ容器である。
【0068】
別の実施形態によると、装置8は、蒸気殺菌中に高い温度及び圧力に耐えることができるあらゆる非腐食性の透明な成形可能材料、好ましくは、ポリカーボネート及び類似の材料で作られる。
【0069】
更に別の実施形態によると、装置の高さ、幅、及び深さは、それぞれ28cm×45cm×30cmである。
【0070】
図16及び
図17は、本発明の一実施形態におけるタンクを示している。タンク19は、栄養物質を収容する本体58から構成され、装置に栄養物質を供給するように構成される。蓋28は、本体58の上に位置決めされた密封ガスケット23で密封され、複数の締結デバイスによって本体58に締結されるように設けられる。一実施形態によると、締結デバイスは、スイングスクリュー29である。複数の密封ダイヤフラム弁20、21、22、及び23は、蓋上に位置決めされるように設けられる。ダイヤフラム弁20、23は、空気圧縮/解放のために設けられ、ダイヤフラム弁21、22は、液体培地の入口/出口のために設けられる。液体培地供給ポート32は、タンク19への液体培地の供給を保証するために設けられる。
【0071】
一実施形態によると、タンク19は、一方の容器から他方の容器に栄養物質を移送するためのパイプ又はホース又はいずれかの他の手段を使用して装置8に接続される。
【0072】
別の実施形態によると、タンク19は、タンク19の内側から内容物を完全に排水することを保証する出口24で更に構成される。
【0073】
更に別の実施形態によると、タンク19は、非腐食性ステンレス鋼金属で作られ、蒸気殺菌を可能にし、作動中の加圧に耐える。
【0074】
更に別の実施形態によると、タンク19の容量は、栄養培地の20リットルと、霧雨のために及び同じく適切な空気ポンプを使用して装置を換気するために使用される圧縮空気のための10リットルとの30リットルとして最適化される。
【0075】
更に別の実施形態によると、貯蔵タンク19の蓋28は、あらゆる漏れを回避するためにスイングスクリュー又はナット及びボルトによって本体に固定される。
【0076】
更に別の実施形態によると、貯蔵タンク19の蓋28には、ネオプレン又はシリコーンゴムで作られたガスケットの高圧蒸気滅菌可能なリングが備えられる。
【0077】
一実施形態によると、タンク19は、三脚スタンド29の上に位置決めされる。
【0078】
更に別の実施形態によると、タンク19には、あらゆる汚染物質をモニタするためにあらゆる適切な外部光源による照明に対して蓋28とタンク19の垂直壁とに各1つの2つの気密ガラス窓26、27が設けられている。
【0079】
更に別の実施形態によると、装置8は、殺菌栄養培地/強制殺菌空気の供給を調節するためにタンク、配管、ポンプ、弁、フィルタ、流量計、消毒装置のシステムに無菌的に接続される。
【0080】
更に別の実施形態によると、外部照明は、培養ベンチ上の装置に対し、そこに装着されたライトを通じて与えられる。この設定は、長期間にわたる実験計画に適切な栄養培地/強制空気を供給することによって作動させることができる。実験の終了/望ましい成長の達成後に、装置は、無菌的にシステムの残りから取り除かれ、無菌的に培養植物材料を取り除くために殺菌層流空気流に開放され、洗浄され、培養の次のサイクルに対して準備することができる。
【0081】
更に別の実施形態によると、1つ又はそれよりも多くの装置は、タンクと平行に接続される。
【0082】
システムを開示する。システムは、上に開示するような装置8と、上に開示するような栄養物質を供給するために装置8に接続されたタンク19とで構成される。システムは、無菌条件下で植物又は組織を成長させるための装置8が、栄養物質を装置に供給するための貯蔵タンク19に接続される全体的な環境を提供する。
【0083】
実施例
以下の実施例は、一例として示されており、従って、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【0084】
実験作業のための外植物は、アジアユリ(Lilium longiflorum変種ポリアンナ)の無菌培養物から取られた。培養物は、BA(1.25mg/l)、IBA(2mg/l)、NAA(0.5mg/l)、蔗糖(3%、w/v)、及び寒天(0.8%、w/v)が補充されたMurashige及びSkoog(MS/1962)培地上に維持され、pHは、高圧蒸気滅菌前に5.8に調節された。培養物は、24h明/暗サイクルにおいて涼しい、白色、蛍光ランプから70±5umolm
-2s
-1の光合成光子流束密度(PPFD)で培養された。バイオリアクタ、液体培地の最適MS塩強度、及び安定性に対する標準化、植物及びこれらのより良好な生存の望ましい特徴を改善するこれらの潜在力に対するパクロブトラゾール(PBZ)及びアンシミドール(ANC)のような成長抑制剤の役割、培地のpH、次亜塩素酸ナトリウムのような殺菌剤、植物保存混合物(米国のウイスコンシン大学の農業学校からのPPM)、オーレオマイシン、カルベニシリン、セフォタキシム、カナマイシン、ナリジクス酸、ペニシリン、スポリデックス、及びストレプトマイシンのような抗生物質の効果は、0〜500mg/lに至る濃度で使用された。Lilium胚の各房のサイズに応じて、12(大きい)から63(小さい)外植物は、1つの保持トレイに置くことができ、全部で8つのトレイは、各バイオリアクタに適合することができた。
【0085】
無菌条件下の大規模なLiliumを成長させるためのバイオリアクタの適合性、ミスト下のこれらの成長機能、並びに適正なバイオリアクタへの培地エントリの制御だけによる基端部における一時的浸漬は、単一設定において平行に接続された2つのバイオリアクタを使用することによって研究された。1つのバイオリアクタにおいて、栄養培地は、1日に4回ミストの形態で10秒間付加された。それに対して、第2のバイオリアクタにおいて、培地は、胚の下端が部分的に浸水されるまで、単にバイオリアクタのトラフに充填することによって1日に4回適用された。いずれの場合にも、培地は直ちに排水された。その後、成長パラメータが測定され、総葉面積(TLA)、生体重(FW)、球根の数(B#)、及び総球根容積(TBV)のパーセント増加が計算された。成長パラメータの測定に対して、外植物保持トレイからの9つの胚は、無作為に選択された。3つのそのようなトレイは、3つの複製として処理され、データは、完全無作為化法(CRDの1ファクタ)を使用して解析された。更に、乾燥重量対FW比、バイオマスの単位重量当たりに発生する小球根の数、気孔下の葉面積のパーセント、葉緑素含有量、澱粉含有量、ワックス含有量、及び光合成機能に関するデータも計算された。
【0086】
更に、その経済的活力を見出すために、かつ蔗糖にかかる費用が培地の主要成分を構成するので、実験はまた、次に、具体的に作り出されたハードニング設備における試験管外生存及び成長に対して評価されたLilium胚の光合成成長機能を試験するために行われた。3%(w/v)蔗糖が補充された液体培地又は40日までいずれの炭水化物もないものに曝された時の胚の成長の比較が研究され、上述したような成長パラメータが計算された。
【0087】
(実施例1)
培地中のあらゆる支持システムは、事例の各々において胚のFWのパーセント増加をモニタすることによって推測されたような成長速度の有意な低下をもたらした。FW増加は、液体培地端単独に対して約301%、寒天固体培地に対して186%、支持体としての綿に対して112%、支持体としてのガラスビーズに対して78%、及び砂に対して38%であった。従って、Lilium胚の成長は、支持材料を必要とせずに液体培地において最良であることを容易に推定することができた(
図1)。
【0088】
(実施例2)
1つの胚当たりの葉の数のパーセント増加は、BA0.5mg/lを有する培地で成長した胚において最大(90%)であった(
図2)。それは、低濃度(PBZ0.5及び1.0mg/l、ANC0.5、1.0及び2.5mg/l、BA0.5mg/lに加えてPBZ0.5mg/l)における成長抑制剤の適用によって僅かに影響を受けたに過ぎないが、対照培地及び様々な濃度でBA単独の培地で成長した胚のものと比べてこれらの濃度(PBZ2.5及び5.0mg/l、ANC5.0mg/l、0.5mg/lを超える全ての濃度でBAに加えてPBZ)の増加と共に急激に減少した。従って、成長抑制剤は、試験管内で葉形成に対する少しの悪影響の兆候もなく低濃度(0.5及び1.0mg/l)に使用することができることを示している。
【0089】
(実施例3)
成長抑制剤による胚の処理は、対照培地又は試験した全ての濃度でBA単独が補充された培地上で栽培した胚と比べて、1小球根当たりの根の数を有意に向上させた。根は、外形成長を示し、低濃度の成長抑制剤(0.5mg/l、1.0mg/l)で正常のままであったが、これらは、より高い用量(2.5mg/l及び5mg/l)を使用した時に丈夫になり、僅かに膨張した。最良の根の誘発は、1.0mg/l(
図3)のPBZ及び1.0mg/lのANCに応じて識別された。
【0090】
(実施例4)
小球根の数のファクトリアル・インクリーズ(factorial increase)、すなわち、増殖の程度は、サイトカイニンBA又は成長抑制剤PBZ又はANCのいずれかの存在によって促進された。しかし、より高濃度のBA及びPBZ(2.5又は5mg/l各々)において、増殖に対する抑制効果を観察した(
図4)。PBZ(0.5mg/l)で処理した胚において、最大増加、すなわち、2.31倍があり、続いてPBZ(1mg/l)で処理したものに対しては2.27倍であった。これは、成長抑制剤をLilium増殖のために低濃度(0.5mg/l、1.0mg/l)に使用して、小球根形成をもたらすことができたことを示唆している。
【0091】
(実施例5)
葉緑素含有量は、より高濃度(2.5及び5mg/l)よりも低濃度(0.5及び1.0mg/l)における成長抑制剤の存在下で胚を培養した時に有意な増加を示した(
図5)。様々な濃度でBA単独の培地に培養した胚の葉緑素含有量は、対照の胚の含有量よりも更に低く、より高い葉緑素含有量の胚を生成するためにはこれらが不適切であることを示している。結果は、成長抑制剤の適用がこれらの葉においてより高い葉緑素含有量の植物の生成に適切であったことを示し、これは、試験管外移送時に自家栄養を達成するのに重要である。
【0092】
(実施例6)
試験管外移送40日で、成長抑制剤(0.5〜2.5mg/l)によるインビトロ処理前の植物は、より良好な生存及び良好な成長を示す(
図6)。試験管外生存は、より高濃度(2.5又は5.0mg/l)のBA及びPBZの存在下で培養された胚に対してかなり減少した。最大生存パーセント(100%)が、PBZ(1.0mg/l)の培地上で栽培した胚に対して観察された。従って、PBZ(1mg/l)処理単独は、試験管外移送時よりも良好な適応性及び最高の生存を示す良好な品質の胚の生成に対して最良であることが見出された。
【0093】
(実施例7)
培地のpHは、より酸性のサンプル、つまり3.5、4、4.5、5、5.5において高圧蒸気滅菌した後で殆ど不変のままであったが、より高い初期pH値は減少した(
図7)。初期pH6及び6.5の培地は、それぞれ5.5及び5.9まで下がった。接種後に、開始pHに関係なく、2〜4日内に培地の最終pHは、約4.7で安定化し、培養40日後に記録したように胚に対する少しの悪影響もなくそのままであり続けた。更に、培地の初期pHに関係なく、様々な成長パラメータの間に有意な変動はなかった。
【0094】
(実施例8)
様々な濃度で微生物の成長を制御するのに次亜塩化ナトリウム(NaOCl)の有効性を研究し、かつ植物における耐性を研究するために2つの実験が行われた。以下の結果が観察された。
【0095】
実験A:汚染微生物を制御するのに有効性に基づく活性塩素の強度の影響。
0から80ppm:汚染微生物は9つのフラスコ全部で成長することができた。
150ppm:汚染なし。
300ppm:9つのフラスコのうちの1つのみが汚染された。
600及び1200ppm:汚染なし。
【0096】
この結果から、150ppmに等しいか又はそれを超える次亜塩化ナトリウムの濃度が、汚染微生物の成長及び増殖時に何らかの制御を有するために要求されると推測することができた。
【0097】
実験B:Lilium胚の成長時の活性塩素の強度の影響
広範な実験において、胚は、濃度範囲0(対照)、10、20、40、80、150ppmにおいてよく成長したが、これらの成長は、300ppm及びそれを超える濃度で悪影響を受けた。この結果に基づいて、狭い範囲の試みが、活性塩素濃度0(対照)、100、130、160、190、220、250、280、300ppmを用いて設計された。様々な成長パラメータの観察及び網羅的絶対及び差分指数の計算は、以下の表1に要約されている。
【0098】
様々な次亜塩素酸ナトリウム(活性塩素濃度)処理及び制御は、絶対指数により分類された。差分指数も、殆ど類似のパターンを示している。
【0099】
活性塩素濃度100ppm、130ppm、160ppmは、対照と比べて全く悪影響はなかったことが観察された。利用可能な活性塩素の濃度が190ppmを上回って増加したので、胚の成長は突然停止した。ここで上記2つの実験の結果からまとめると、約150ppmから200ppmの範囲の活性塩素濃度を使用して、Lilium胚の品質に悪影響を与えることなく汚染の危険を最小にすることができた。
【0101】
(実施例9)
バイオリアクタ栽培胚は、TLA及びFWの増加が365%及び419%であり、一方これらのTBVの増加は187%に過ぎなかった(表2)。更に、球根の澱粉及び乾燥重量含有量もより少なかった。試験管外移送時に、これらのより小さい可変サイズの代わりにジャー中の寒天固体培地で成長した胚は、1植物当たりのTLA及びその増加のパーセントの計算によって測定された時に、バイオリアクタの中で栽培した胚よりも早く蘇り始めた。バイオリアクタの中で栽培した胚の葉は、しなびて、新しい葉が発達するまで成長は低下した。
【0103】
(実施例10)
胚の最適成長のために培地の適用モードを標準化にするために、培地は、胚が底部で部分的に浸水されるまでミストの形態で適用されるか、又はバイオリアクタの桶の中に単純に満たされた。成長パラメータにおける変動に関するデータは、40日目に記録された。FWのパーセント増加においてのみ有意差が観察され、FWは、一時的浸漬培養におけるよりも霧雨において高かった。これとは別に、TLA、B#、TBVは霧雨においてより高いが、差は有意ではなかった。澱粉含有量、乾燥重量パーセント、及びワックス含有量のような他の成長パラメータは、霧雨下で培養したものよりも一時的浸漬培養によって栽培した胚において高かった(表3、
図8)。重要な決定的ファクタである増殖速度は、霧雨下で培養した胚に対して遥かに高かった(1房当たり1.11小球根)。ミスト内の胚の培養時のより高い増殖速度及びFWの増加の利点は、霧雨において利点を追加し(より少ない培地を必要とした時の短い作動サイクル)、比較的低い澱粉含有量、乾燥重量パーセント、及びワックス含有量による小さい欠点を補って余りあり、従って、ミスト下でのLilium胚の培養が、更に別の研究に対して選択された。
【0105】
(実施例11)
統計的には、光混合栄養的及び光独立栄養的に栽培した胚におけるTLA、FW、B#における差は有意でなく、これらは、光独立栄養的に栽培した培養においてより低かった(表4、
図9)。しかし、TBV及びこれらの澱粉含有量における差(表7)は有意であった。すなわち、蔗糖は、特に澱粉の形態の栄養素保存の蓄積に対して必須であったと推測された。
【0107】
ミクロ増殖は、商業的植物の高まる需要に見合う重要な手段であり、かさばる製品及びコスト低減の観点から改良点をもたらすようにたゆまぬ努力が行われている。これに関連して、大量の植物及び手段を取り扱って環境を精緻に制御する機能を有する具体的に設計された装置/バイオリアクタ容器の使用は、有意性を有する。装置は、底部での簡単な充填に加えてミストの形態の栄養培地の適用手段を設置された高圧蒸気滅菌可能な透明材料で作られる。装置の設計は、多数の外植物の有利な接種を容易にした。これに加えて、直列UV消毒ユニットが設置され、これは、再循環栄養培地において汚染物質に対する強力なチェックとして機能する。システムはまた、効率を高めるために多くのそのような装置を接続する利点を提供した。多数の成長パラメータが試験され、結果は、装置の中で培養した植物が、他の従来の装置の中で培養したものよりもうまくいっていることを示している。
【0108】
上述したような装置は、軽量、強力、及び防食性の透明なポリカーボネートプラスチック樹脂で作られ、特に植物成長に対してより良好な光利用性を保証する。装置の設計は、長期培養のための多数の外植物の収容に本質的に適している。装置の蓋のための支持アーム構造(連結機構4)の具備は、接種を行うために基部トラフに十分なアクセス性を提供し、同時に層流上の作業空間のあらゆる制約を回避する上昇位置に蓋を保持する。装置は、標準6フィート幅層流フードで便利に取り扱うことができる。異なる構成の下での外植物保持トレイは、異なるタイプの外植物である若芽/カルス(callus)を受け入れることができた。
【0109】
上述したような装置は、スプレーによる又は簡単な充填による液体栄養培地の適用に対して構成される。また、一時的浸漬を可能にする液体培地の完全な除去も、装置において可能である。装置の入口はまた、装置の内側に強制換気をもたらすために使用することができる。スプレー中の各時点で、胚は洗浄され、従って、毒性物質の蓄積はない。
【0110】
装置は、上述したように、特性が同一の植物/種、その他をそれらの成長条件下の均一性に起因して発生させる。バイオリアクタへの液体供給のための空気圧補助機構は、高流速及び高圧で液体を伝達することができ、この機構は、平行に接続された1つよりも多いバイオリアクタ(5つまで)において同時に霧雨を導入するための必須条件である。更に別の拡張のために、僅かな修正は、更に多くのバイオリアクタへの液体培地供給をサポートする可能性が高い。
【0111】
複数の装置は、工程の拡張のために同時に作動させることができる。装置は、栄養培地再利用が栄養素の最大利用をもたらすように更に構成される。装置は、制御された速度で強制換気の手段を提供する。これは、培養の早期段階中に簡単にガス交換をもたらす上で、及びハードニングのための個別の処理をなくすことができるように後期段階中に胚のハードニングを容易にするのに有用であった。
【0112】
装置は、蒸発による水の損失をモニタすることを可能にする培地供給タンク内の側管の具備を提供し、それは、追加のタンクを通した殺菌蒸留水の追加によって構成することができる。これは、栄養培地の集中を回避し、それによって一定の浸透圧を維持するのを補助した。
【0113】
利益、他の利点、及び問題に対する解決法を特定の実施形態に関して上述した。しかし、利益、利点、問題に対する解決法、及びいずれかの利益、利点、又は解決法を発生させてより顕著になる場合があるいずれの構成要素も、いずれか又は全ての特許請求の範囲の重要、必要、又は必須の特徴又は構成要素と解釈すべきではない。
【0114】
特定の言語を使用して開示を説明したが、そのために起こるあらゆる制限を意図するものではない。当業者には明らかなように、様々な作業修正は、本明細書で教示したような本発明の概念を達成するために装置に対して行うことができる。
【符号の説明】
【0115】
1 蓋
2 基部区画
3 ロッキング機構
8 無菌条件下で植物又は組織を成長させるための装置
10 栄養流入ポート