(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検知手段は、当該端末の通信に係る電波の状況、当該端末において通信に用いられる機能部の動作状況、及び当該端末が備えるメモリにおける使用可能な容量のうちの少なくともいずれかに基づいて、前記サービスに対してアクセスできなかったことが、当該端末の状況に起因するか否かを判定する、
請求項3に記載のユーザ特定システム。
前記送信手段は、前記検知手段により前記事象が検知されてから所定時間経過後、又は、当該端末における前記サービスに対するアクセスに係るアプリケーションの再起動時に、前記識別情報及び前記タイムスタンプを送信する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のユーザ特定システム。
前記特定手段は、当該サーバの状況に起因して発生した前記アクセス不可期間の発生履歴を含む履歴情報を参照して、前記端末による前記アクセスが前記アクセス不可期間に行われか否かを判定する、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のユーザ特定システム。
前記特定手段は、前記端末から受信した複数の前記タイムスタンプに示される時刻の分布に基づいてアクセス不可時間を推定し、推定されたアクセス不可時間に基づいて、前記端末による前記アクセスが前記アクセス不可期間に行われたか否かを判定する、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のユーザ特定システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子商取引やゲーム等のサービスを提供するためのサーバは、例えば、サービスを提供するサイトに対するログインといった処理によりユーザを特定する。しかしながら、サービスを提供するサーバが、メンテナンスや不具合の発生等の原因により停止している期間にはログイン処理を実行することができないので、サーバが停止している期間にサーバへのアクセスを行おうとしたユーザを特定することができなかった。
【0005】
そこで本発明は、サービスを提供するサーバが停止している期間に当該サーバに対してアクセスを行ったユーザを特定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一形態に係るユーザ特定システムは、ユーザの端末と、端末と通信可能なサーバとを含むユーザ特定システムであって、端末は、サーバにより提供されるサービスに対してアクセスできなかったという事象を検知する検知手段と、事象が検知された場合に、サービスに対してアクセスできなかった時を示すタイムスタンプを記録する記録手段と、記録手段により記録されたタイムスタンプ及び当該端末のユーザをサーバにおいて識別可能な識別情報をサーバに送信する送信手段と、サーバが提供するサービスに対するアクセスの受付が不可能であったアクセス不可期間に当該端末によりアクセスを行ったユーザとして特定された旨を示す特定情報を受信する特定情報受信手段と、を備え、サーバは、送信手段から送信された識別情報及びタイムスタンプを受信する受信手段と、受信手段により受信されたタイムスタンプに係る端末によるアクセスが、アクセス不可期間に行われたアクセスである場合に、受信手段により受信された識別情報により識別されるユーザを特定する特定手段と、特定手段により特定されたユーザのアカウントに、特定情報を通知する通知手段と、を備える。
【0007】
本発明の一形態に係るユーザ特定方法は、ユーザの端末と、端末と通信可能なサーバとを含むユーザ特定システムにおけるユーザ特定方法であって、端末が、サーバにより提供されるサービスに対してアクセスできなかったという事象を検知する検知ステップと、端末が、事象が検知された場合に、サービスに対してアクセスできなかった時を示すタイムスタンプを記録する記録ステップと、端末が、記録ステップにおいて記録されたタイムスタンプ及び当該端末のユーザをサーバにおいて識別可能な識別情報をサーバに送信する送信ステップと、サーバが、送信ステップにおいて送信された識別情報及びタイムスタンプを受信する受信ステップと、サーバが、受信ステップにおいて受信されたタイムスタンプに係る端末によるアクセスが、当該サーバが提供するサービスに対するアクセスの受付が不可能であったアクセス不可期間に行われたアクセスである場合に、受信ステップにおいて受信された識別情報により識別されるユーザを特定する特定ステップと、サーバが、特定ステップにおいて特定されたユーザのアカウントに、アクセス不可期間に当該端末によりアクセスを行ったユーザとして特定された旨を示す特定情報を通知する通知ステップと、前記端末を含むいずれかの端末のうちのアカウントが紐付けられた端末が、特定情報を受信する特定情報受信ステップと、を有する。
【0008】
本発明の一形態に係るユーザ特定プログラムは、ユーザの端末と、端末と通信可能なサーバとを含むユーザ特定システムにおける端末としてコンピュータを機能させるユーザ特定プログラムであって、コンピュータに、サーバにより提供されるサービスに対してアクセスできなかったという事象を検知する検知機能と、事象が検知された場合に、サービスに対してアクセスできなかった時を示すタイムスタンプを記録する記録機能と、記録機能により記録されたタイムスタンプ及び当該端末のユーザをサーバにおいて識別可能な識別情報をサーバに送信する送信機能と、タイムスタンプに係るアクセスが、サーバが提供するサービスに対するアクセスの受付が不可能であったアクセス不可期間に行われたアクセスであって、該アクセスを当該端末により行ったユーザとして、サーバにおいて特定された旨を示す特定情報を該サーバから受信する特定情報受信機能と、を実現させる。
【0009】
上記の形態によれば、端末がサーバにより提供されるサービスに対してアクセスできなかった場合に、その時を示すタイムスタンプが記録され、後にユーザを識別可能な識別情報と共にサーバに送信される。サーバにおいて、当該アクセスがアクセス不可期間に行われたものであることがタイムスタンプに基づき判定できるので、タイムスタンプと共に送信された識別情報により、アクセス不可期間にアクセスを試みたユーザを特定することが可能となる。
【0010】
別の形態に係るユーザ特定システムでは、検知手段は、事象を検出した場合に、サービスに対してアクセスできなかったことが、当該端末の状況に起因するか否かを判定し、記録手段は、検知手段により事象が検知され、且つ、事象が当該端末の状況に起因しないと判定された場合に、タイムスタンプを記録することとしてもよい。
【0011】
上記形態によれば、サービスに対するアクセスができなかったことが端末の状況に起因しない場合にのみ、タイムスタンプの記録が行われるので、端末側の状況に起因してアクセスができなかった場合には、サーバへのタイムスタンプ及び識別情報の送信並びにサーバにおけるユーザの特定が実施されない。従って、サーバにおけるユーザの特定処理が、端末のユーザの意図により不正に実施されることが防止されると共に、サーバにおける処理負荷が軽減される。
【0012】
さらに別の形態に係るユーザ特定システムでは、検知手段は、当該端末の通信に係る電波の状況、当該端末において通信に用いられる機能部の動作状況、及び当該端末が備えるメモリにおける使用可能な容量のうちの少なくともいずれかに基づいて、サービスに対してアクセスできなかったことが、当該端末の状況に起因するか否かを判定することとしてもよい。
【0013】
上記形態によれば、サービスに対するアクセスができなかったことが端末の状況に起因するものであるか否かが適切に判定される。
【0014】
さらに別の形態に係るユーザ特定システムでは、送信手段は、検知手段により事象が検知されてから所定時間経過後、又は、当該端末におけるサービスに対するアクセスに係るアプリケーションの再起動時に、識別情報及びタイムスタンプを送信することとしてもよい。
【0015】
上記形態によれば、サーバがアクセスの受付不可能な状況が終了し、端末とサーバとの通信ができる可能性が高いときに、端末からサーバへのタイムスタンプ及び識別情報の送信が実施されるので、端末がサービスへのアクセスができなかった旨の情報を確実にサーバに通知できる。
【0016】
さらに別の形態に係るユーザ特定システムでは、識別情報は、当該端末のユーザを識別するユーザ識別情報、又は、当該端末を識別する機器識別情報であることとしてもよい。
【0017】
上記形態によれば、ユーザ識別情報がサーバに送信されるので、サーバにおいてユーザを確実に特定できる。また、サーバにおいて機器識別情報とユーザとの関連付けに関する情報を有していれば、機器識別情報に基づいてユーザの特定を実施できる。
【0018】
さらに別の形態に係るユーザ特定システムでは、特定手段は、当該サーバの状況に起因して発生したアクセス不可期間の発生履歴を含む履歴情報を参照して、端末によるアクセスがアクセス不可期間に行われか否かを判定することとしてもよい。
【0019】
上記形態によれば、サーバにおいて記憶されているアクセス不可期間の履歴情報を参照して、端末によるアクセスがアクセス不可期間に行われたものであるか否かが判定されるので、正確な判定の実施が可能となる。
【0020】
さらに別の形態に係るユーザ特定システムでは、特定手段は、端末から受信した複数のタイムスタンプに示される時刻の分布に基づいてアクセス不可時間を推定し、推定されたアクセス不可時間に基づいて、端末によるアクセスがアクセス不可期間に行われたか否かを判定することとしてもよい。
【0021】
上記形態によれば、端末から送信されたタイムスタンプに示される時刻の分布に基づきアクセス不可時間が推定されるので、サーバにおいてアクセス不可期間の履歴情報が蓄積されていない場合であっても、端末によるアクセスがアクセス不可期間に行われたものであるか否かの判定が可能となる。
【0022】
さらに別の形態に係るユーザ特定システムでは、送信手段は、端末において計時されている時刻であって、識別情報及びタイムスタンプの送信時を示す端末時刻情報を併せて送信し、特定手段は、受信手段により識別情報及びタイムスタンプを受信した時における、当該サーバにおいて計時されている時刻をサーバ時刻情報として取得し、端末時刻情報に示される時刻とサーバ時刻情報に示される時刻との差に基づいてタイムスタンプに示される時刻を補正することとしてもよい。
【0023】
上記形態によれば、端末から送信されたタイムスタンプの基礎となる、端末において計時されている時刻と、サーバにおいて計時されている時刻との差に基づいて、タイムスタンプに示される時刻が補正されるので、アクセス不可時間にアクセスしたユーザを正確に特定できる。
【0024】
さらに別の形態に係るユーザ特定システムでは、サーバは、特定手段により特定されたユーザに所定の特典を付与する特典付与手段を更に備えることとしてもよい。
【0025】
上記形態によれば、アクセス不可時間にサービスに対してアクセスしようとしたユーザにインセンティブを与えることができるので、サービスへの再度のアクセスをユーザに促すことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一側面によれば、サービスを提供するサーバが停止している期間に当該サーバに対してアクセスを行ったユーザを特定可能とすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るユーザ特定システムの装置構成を示す図である。
図1に示すように、ユーザ特定システム1は、ネットワークNを介して、複数の端末10及びサーバ30が通信可能に構成されている。
【0030】
ユーザ特定システムは、サーバ30により提供されるサービスに対して端末10がアクセスできなかった場合に、サーバ30において、端末10のユーザを特定可能とするシステムである。
【0031】
本実施形態におけるサーバ30は、ユーザに対してサービスを提供する、いわゆるサービスサーバである。即ち、サーバ30は、電子商取引等により商品を提供するサービスを提供したり、所望の情報を配信するサービスを提供したり、ゲームを提供したりするサーバである。
【0032】
端末10は、ユーザにより所持される装置であって、ネットワークNを介して、サーバ30が提供するサービスにアクセスする。端末10は、例えば高機能携帯電話機(スマートフォン)により構成されるが、端末10を構成する装置は限定されず、例えば携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末、据置型又は携帯型のパーソナルコンピュータでもよい。なお、
図1では、3台の端末10が示されているが、端末10の数はこれに限定されない。
【0033】
端末10は、例えば、サーバ30により提供されるサイトにアクセスすることにより、種々のサービスの提供を受けることができる。また、サービスの提供は、端末10のユーザを識別するユーザ識別情報を用いたログイン処理を経て、当該ユーザに対して行われる。また、端末10は、専用のアプリケーションにより、サーバ30が提供するサービスにアクセスすることとしてもよい。
【0034】
図2は、ユーザ特定システム1を構成する端末10及びサーバ30の機能的構成を示すブロック図である。
【0035】
端末10は、検知部11(検知手段)、記録部12(記録手段)、送信部13(送信手段)及び特定情報受信部14(特定情報受信手段)を備える。また、端末10の各機能部は、アクセス情報記憶部21といった記憶手段にアクセス可能である。アクセス情報記憶部21は、端末10内に設けられることとしてもよいし、端末10からネットワークNを介してアクセス可能に構成されることとしてもよい。
【0036】
サーバ30は、受信部31(受信手段)、特定部32(特定手段)、通知部33(通知手段)及び特典付与部34(特典付与手段)を備える。なお、特典付与部34は、本実施形態において必須の構成ではない。
【0037】
また、端末10各機能部は、識別情報記憶部41及び履歴情報記憶部42といった記憶手段にアクセス可能である。識別情報記憶部41及び履歴情報記憶部42は、サーバ30内に設けられることとしてもよいし、サーバ30からネットワークNを介してアクセス可能に構成されることとしてもよい。
【0038】
図3は、ユーザ特定システム1の端末10のハードウェア構成図である。端末10は、物理的には、
図3に示すように、CPU101、RAM及びROMといったメモリにより構成される主記憶装置102、ハードディスク等で構成される補助記憶装置103、通信制御装置104などを含むコンピュータシステムとして構成されている。ユーザ特定システム1は、入力デバイスであるキーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置105及びディスプレイ等の出力装置106をさらに含むこととしてもよい。
【0039】
図2に示した各機能は、
図3に示すCPU101、主記憶装置102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信制御装置104等を動作させるとともに、主記憶装置102や補助記憶装置103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶装置102や補助記憶装置103内に格納される。なお、サーバ30も、端末10と同様に、
図3に示したような物理的構成を有するコンピュータとして構成される。
【0040】
再び
図2を参照して、端末10の機能部を説明する。検知部11は、サーバにより提供されるサービスに対してアクセスできなかったという事象を検知する部分である。具体的には、例えば、検知部11は、サーバ30が提供するサービスに対して端末10がアクセスを試みて、サーバ30による応答がなく一定時間が経過したときのタイムアウトの事象を、アクセスができなかった事象として検知してもよい。
【0041】
また、検知部11は、サービスに対するアクセスができなかったという事象を検出した場合に、サービスに対してアクセスできなかったことが、端末10の状況に起因するか否かを判定してもよい。具体的には、検知部11は、端末10の通信に係る電波の状況、端末10において通信に用いられる機能部の動作状況、及び端末10が備えるメモリにおける使用可能な容量のうちの少なくともいずれかに基づいて、サービスに対してアクセスできなかったことが、端末10の状況に起因するか否かを判定してもよい。
【0042】
例えば、端末10の通信に係る通信キャリアが提供する通信環境に何らかの不具合がある場合に、サーバ30が提供するサービスに対するアクセスが不可能となる。検知部11は、通信に係る電波の状況に基づいて、このようなアクセスが不可能な状態を検知する。
【0043】
また、検知部11は、例えば、端末10における通信モジュールに電源が投入されていなかった場合に、端末10の状況に起因してサービスにアクセスできなかったことを検知する。
【0044】
また、端末10が備えるメモリの空き容量が、サービスの提供に必要な量未満であった場合にも、サービスに対してアクセスができないような事象が発生する。かかる場合に、検知部11は、端末10の状況に起因してサービスにアクセスできなかったことを検知する。
【0045】
記録部12は、検知部11により、サービスに対してアクセスできなかったという事象が検知された場合に、アクセスできなかった時を示すタイムスタンプを記録する部分である。本実施形態では、記録部12は、サービスに対してアクセスできなかった時を示すタイムスタンプを、アクセス情報記憶部21にアクセス情報として記憶させる。
図4は、アクセス情報記憶部21に記憶されたタイムスタンプの例を示す図である。
図4に示すように、アクセス情報記憶部21は、例えば、タイムスタンプ「20150511 19:39:05」を記憶している。
【0046】
記録部12は、サービスに対してアクセスできなかったという事象が検知された場合において、当該事象が端末10の状況に起因するものではないと検知部11により判定された場合にのみ、タイムスタンプを記録することとしてもよい。
【0047】
このようにタイムスタンプの記録が行われることにより、端末側の状況に起因してアクセスができなかった場合には、後述するサーバへのタイムスタンプ及び識別情報の送信並びにサーバにおけるユーザの特定が実施されない。従って、サーバ30における処理負荷が軽減される。
【0048】
また、サーバが不具合等により停止しているアクセス不可時間にサービスにアクセスしたユーザに対して特典が付与されるような運用が当該サービスにおいて実施されている場合に、端末の時計をアクセス不可時間に合わせるように操作した上で、故意に、自端末の状況の操作によりサービスにアクセスできない事象を発生させるような不正が行われることが考えられる。これに対して、端末10の状況に起因してサービスにアクセスできなかった場合にタイムスタンプの記録が行われないように制御されることにより、端末10のユーザの不正を防止できる。
【0049】
送信部13は、記録部12により記録されたタイムスタンプ及び当該端末10のユーザをサーバ30において識別可能な識別情報をサーバ30に送信する部分である。具体的には、記録部12によりタイムスタンプがアクセス情報として記録された場合に、送信部13は、当該タイムスタンプに係る事象が検知されてから所定時間経過後、又は、サービスにアクセスするためのアプリケーションの再起動時に、タイムスタンプ及び識別情報を含むアクセス情報を送信してもよい。また、送信部13は、当該サービスに対する再ログイン時に、アクセス情報を送信することとしてもよい。
【0050】
このように制御されることにより、サーバ30におけるアクセスの受付不可能な状況が終了し、端末10とサーバ30との通信ができる可能性が高いときに、端末10からサーバ30へのアクセス情報の送信が実施されるので、端末10がサービスへのアクセスができなかった旨の情報を確実にサーバ30に通知することが可能となる。
【0051】
なお、送信部13がサーバ30に送信する識別情報は、当該端末10のユーザを識別するユーザ識別情報、又は、当該端末10を識別する機器識別情報であってもよい。
【0052】
例えば、端末10において、サービスの提供をうけるためのログイン処理が既に行われている場合には、端末10には、当該サービスにおけるユーザ識別情報が入力されているはずである。この場合には、送信部13は、ユーザを直接的に特定可能なユーザ識別情報をサーバ30に送信する。
【0053】
一方、端末10がユーザ識別情報を取得していない場合には、端末10は、当該端末10を識別する機器識別情報をサーバ30に送信する。過去において、ユーザが端末10を介してサービスの提供を受けたことがある場合には、後述するように、サーバ30は、当該ユーザのユーザ識別情報と端末10の機器識別情報との関連付けを取得できる。従って、サーバ30は、機器識別情報に基づいてユーザを特定することができる。
【0054】
特定情報受信部14は、サーバ30が提供するサービスに対するアクセスの受付が不可能であったアクセス不可期間に当該端末10によりアクセスを行ったユーザとして特定された旨を示す特定情報を受信する部分である。なお、特定情報については後に詳述する。
【0055】
また、特定情報受信部14は、ユーザに対して特典が付与された旨の情報を更に受信することとしてもよい。
【0056】
次に、サーバ30の機能部を説明する。受信部31は、端末10の送信部13から送信されたアクセス情報(識別情報及びタイムスタンプ)を受信する部分である。
【0057】
特定部32は、受信部31により受信されたタイムスタンプに係る端末10によるアクセスが、サーバ30提供するサービスに対するアクセスの受付が不可能であったアクセス不可期間に行われたアクセスである場合に、受信部31により受信された識別情報により識別されるユーザを特定する部分である。
【0058】
具体的には、特定部32は、履歴情報記憶部42を参照して、端末10によるアクセスがアクセス不可期間に行われたか否かを判定してもよい。履歴情報記憶部42は、サーバ30の状況に起因して発生したアクセス不可期間の発生履歴を含む履歴情報を記憶している。
【0059】
図5は、履歴情報記憶部42に記憶されている履歴情報の例を示す図である。
図5に示すように、履歴情報記憶部42は、アクセス不可期間及びアクセスの受付が不可能となった事由を関連付けて記憶している。履歴情報を参照すると、例えば、サーバ30のメンテナンスのために、2015年5月11日の19時37分30秒から2015年5月11日の20時05分00秒までの間、アクセスが不可能であったことがわかる。従って、特定部32は、アクセス情報に含まれるタイムスタンプに示される日時が履歴情報におけるアクセス不可期間に該当する場合に、当該アクセス情報に係るアクセスがアクセス不可期間に行われたものであると判定する。
【0060】
また、特定部32は、アクセスがアクセス不可期間に行われたものであると判定した場合に、当該アクセス情報に含まれる識別情報により識別されるユーザを特定する。アクセス情報に含まれる識別情報がユーザ識別情報である場合には、特定部32は、そのユーザ識別情報により識別されるユーザを直接的に特定できる。一方、アクセス情報に含まれる識別情報が機器識別情報である場合には、特定部32は、識別情報記憶部41を参照してユーザを特定する。
【0061】
過去においてユーザが端末10を介してサービスに対するアクセスを行った場合に、サーバ30は、当該ユーザのユーザ識別情報及びと端末10の機器識別情報を取得できるので、識別情報記憶部41は、取得したユーザ識別情報と機器識別情報とを関連付けて記憶する。機器識別情報は、端末10に紐付けられた識別情報であって、例えば、MACアドレス、Advertising Identifier等であってもよい。
【0062】
図6は、識別情報記憶部41に記憶されている識別情報の例を示す図である。
図6に示すように、識別情報記憶部41は、ユーザ識別情報を機器識別情報に関連付けて記憶している。例えば、アクセス情報に含まれる機器識別情報が「T01」であった場合には、特定部32は、識別情報記憶部41を参照して、機器識別情報「T01」に関連付けられているユーザ識別情報「U01」を、当該アクセス情報に係る端末10のユーザのユーザ識別情報として取得し、取得したユーザ識別情報により識別されるユーザを特定する。
【0063】
また、特定部32は、複数の端末10から受信した複数のアクセス情報に含まれるタイムスタンプに示される時刻の分布に基づいてアクセス不可時間を推定し、推定されたアクセス不可時間に基づいて、端末10によるアクセスがアクセス不可期間に行われたか否かを判定してもよい。
図7を参照して、タイムスタンプの時刻の分布に基づくアクセス不可時間の推定について説明する。
【0064】
図7は、受信部31により受信された複数の端末10からのタイムスタンプに示される時刻の頻度を示す図である。サーバ30が提供するサービスに対するアクセスを行えない期間には、その期間にアクセスを試みたことを示すタイムスタンプを含むアクセス情報の受信が増加する傾向がある。そのような傾向に鑑みて、特定部32は、例えば、タイムスタンプに示される時刻の頻度が所定の閾値Th1を超えている期間R1をアクセス不可期間として推定してもよい。なお、閾値Th1は、アクセスの頻度の平均値を所定倍した値であってもよい。
【0065】
また、特定部32は、タイムスタンプに示される時刻の頻度が所定の閾値Th1を超えている期間R1の前後に所定時間を加えた期間R2をアクセス不可時間として推定することとしてもよい。また、特定部32は、所定の閾値Th1に所定の係数を乗じた、閾値Th1より小さな値Th2を閾値として、期間R2をアクセス不可時間とする推定を行うこととしてもよい。
【0066】
このように、端末10から送信されたタイムスタンプに示される時刻の分布に基づきアクセス不可時間を推定することにより、サーバ30においてアクセス不可期間の履歴情報が蓄積されていない場合であっても、端末10によるアクセスがアクセス不可期間に行われたものであるか否かの判定が可能となる。
【0067】
なお、端末10の送信部13から、端末10において計時されている時刻であって、アクセス情報の送信時を示す端末時刻情報がアクセス情報に併せて送信された場合には、特定部32は、受信部31によりアクセス情報を受信した時における、サーバ30において計時されている時刻をサーバ時刻情報として取得し、端末時刻情報に示される時刻とサーバ時刻情報に示される時刻との差に基づいてアクセス情報に含まれるタイムスタンプに示される時刻を補正することとしてもよい。
【0068】
アクセス情報に含まれるタイムスタンプは、端末10において計時されている時刻に基づいて取得されるので、サーバ30の計時と端末10の計時との間に誤差がある場合には、アクセス情報に係るアクセスがアクセス不可期間に行われたものであるか否かを正確に判定することができない。従って、サーバ時刻情報及び端末時刻情報に基づきタイムスタンプに示される時刻を補正することにより、正確な判定が可能となる。
【0069】
通知部33は、特定部32により特定されたユーザのアカウントに、特定情報を通知する部分である。特定情報は、サーバ30が提供するサービスに対するアクセスの受付が不可能であったアクセス不可期間に当該端末10によりアクセスを行ったユーザとして特定された旨を示す情報である。具体的には、通知部33は、ユーザが端末10において自分のアカウントによりサービスにログインしている場合には、通知部33は当該端末10に特定情報を通知する。また、特定情報はアカウントに対して通知されるので、ユーザが、サービスに対するアクセスを試行した端末10以外の他の端末において、自分のアカウントによりサービスにログインしている場合には、特定情報は他の端末に通知されることとなる。即ち、特定情報が送信される端末は、サービスに対するアクセスを試行したり、アクセス情報を送信したりした端末には限定されない。
【0070】
特典付与部34は、特定手段により特定されたユーザに所定の特典を付与する部分である。サーバ30により提供されるサービスが、例えば、電子商取引サイトによる商品等の提供のサービスである場合には、特典付与部34は、商品等の購入にもちいることが可能なクーポンをユーザに付与する。特典の付与は、例えば、当該ユーザの属性等を管理しているデータにおいて、当該ユーザの情報に特典に関する情報を対応付けて記憶させること等により実現される。
【0071】
また、特典付与部34は、特典を付与するユーザの数を所定数に限定することとしてもよい。また、特典付与部34は、特典を付与するユーザを、アクセス不可期間の始期から所定時間内にアクセスをしようとしたユーザに限定することとしてもよい。このように特典を付与するユーザを限定することにより、例えば、サーバ30の不具合等によりサービスに対するアクセスが不可能となっているという情報を得て、特典を得ることを目的としてサービスにアクセスしたユーザを、特典付与の対象から排除することができる。
【0072】
次に、
図8を参照して、本実施形態のユーザ特定システム1の動作について説明する。
図8は、ユーザ特定システム1において実施されるユーザ特定方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0073】
まず、端末10は、サーバ30により提供されるサービスへのアクセスを試みる(S1)。続くステップS2において、検知部11は、サービスに対してアクセスできたか否かを判定する(S2)。ステップS1におけるアクセスの試行がアクセス不可期間Rに該当する場合には、アクセスをすることができない。サービスに対してアクセスできたと判定された場合には、処理は終了する。一方、サービスに対してアクセスできたと判定されなかった場合には、処理はステップS3に進む。
【0074】
ステップS3において、記録部12は、ステップS1におけるアクセスを実施した時を示すタイムスタンプを記録する(S3)。なお、特定部32は、サービスに対してアクセスできなかったという事象が端末10の状況に起因するものではないと判定された場合にのみ、タイムスタンプを記録することとしてもよい。
【0075】
ステップ3においてタイムスタンプが記録された後に、当該タイムスタンプに係る事象が検知されてから所定時間経過後、又は、サービスにアクセスするためのアプリケーションの再起動時に(S4)、送信部13は、タイムスタンプ及び識別情報を含むアクセス情報をサーバ30に送信する(S5)。
【0076】
サーバ30において、受信部31は、ステップS5において端末10から送信されたアクセス情報(識別情報及びタイムスタンプ)を受信する(S11)。続いて、特定部32は、ステップS11において受信したタイムスタンプに示される時刻が、アクセス不可期間に該当するか否かを判定する(S12)。タイムスタンプに示される時刻が、アクセス不可期間に該当すると判定された場合には、処理はステップS13に進む。一方、タイムスタンプに示される時刻が、アクセス不可期間に該当すると判定されなかった場合には、処理は終了する。
【0077】
ステップS13において、特定部32は、ステップS11において受信部31により受信された識別情報により識別されるユーザを特定する(S13)。そして、通知部33は、ステップS13において特定部32により特定されたユーザのアカウントに、特定情報を通知する(S14)。本実施形態では、ユーザが自分のアカウントによりサービスへのログインをしている端末10に対して特定情報が通知される。特定情報は、サーバ30が提供するサービスに対するアクセスの受付が不可能であったアクセス不可期間に当該端末10によりアクセスを行ったユーザとして特定された旨を示す情報である。ステップS14において、特典付与部34は、特定部32により特定されたユーザに所定の特典を付与することとしてもよい。
【0078】
端末10において、特定情報受信部14は、サーバ30から送信された特定情報を受信する(S6)。なお、
図8に示す本実施形態に係るユーザ特定方法では、ステップS1におけるサービスへのアクセス、及びステップS5におけるタイムスタンプ等を含むアクセス情報の送信を行った端末が、ステップS6における特定情報の受信を行うこととしているが、ステップS6の受信処理は、ユーザのアカウントが紐付けられた他の端末により実施されることとしてもよい。ステップS6において、特定情報受信部14は、例えばクーポン等のデータ、ユーザに特典が付与された旨の情報等を更に受信することとしてもよい。
【0079】
次に、
図9を参照して、コンピュータをユーザ特定システム1における端末10として機能させるためのユーザ特定プログラムを説明する。ユーザ特定プログラムp1は、メインモジュールm10、検知モジュールm11、記録モジュールm12、送信モジュールm13及び特定情報受信モジュールm14を備える。
【0080】
メインモジュールm10は、商品特定処理を統括的に制御する部分である。検知モジュールm11、記録モジュールm12、送信モジュールm13及び特定情報受信モジュールm14を実行することにより実現される機能はそれぞれ、
図1に示されるユーザ特定システム1の検知部11、記録部12、送信部13及び特定情報受信部14の機能と同様である。
【0081】
ユーザ特定プログラムp1は、例えば、CD−ROMやDVD−ROMまたは半導体メモリ等の記憶媒体d1によって提供される。また、ユーザ特定プログラムp1は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0082】
以上説明した本実施形態のユーザ特定システム1、ユーザ特定方法及びユーザ特定プログラムp1によれば、端末10がサーバ30により提供されるサービスに対してアクセスできなかった場合に、その時を示すタイムスタンプが記録され、後にユーザを識別可能な識別情報と共にサーバ30に送信される。サーバ30において、当該アクセスがアクセス不可期間に行われたものであることがタイムスタンプに基づき判定できるので、タイムスタンプと共に送信された識別情報により、アクセス不可期間にアクセスを試みたユーザを特定することが可能となる。
【0083】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
ユーザ特定システムは、ユーザの端末とサーバとを含み、端末は、サーバにより提供されるサービスに対してアクセスできなかったという事象を検知する検知手段と、事象が検知された場合に、サービスに対してアクセスできなかった時を示すタイムスタンプを記録する記録手段と、タイムスタンプ及び端末のユーザを識別可能な識別情報をサーバに送信する送信手段と、サーバが提供するサービスに対するアクセスの受付が不可能であったアクセス不可期間に端末によりアクセスを行ったユーザとして特定された旨を示す特定情報を受信する特定情報受信手段と、を備え、サーバは、識別情報及びタイムスタンプを受信する受信手段と、タイムスタンプに係る端末によるアクセスが、アクセス不可期間に行われたアクセスである場合に、識別情報により識別されるユーザを特定する特定手段と、特定されたユーザの端末に特定情報を通知する通知手段と、を備える。