(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のエキスパンダ(110)からの流体流を受ける第2のエキスパンダ(120)の完全性に対して、第1の速度値を下限とし且つ第2の速度値を上限とする不安全な速度領域を通る遷移時間を、前記第2のエキスパンダ(120)の速度に自動的にバイアスをかけることによって制御する方法(1200)であって、
(a)前記第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域内にあり、(b)前記第2のエキスパンダの現在速度が増加しておりかつ前記第1の速度値より小さいか、または減少しておりかつ前記第2の速度値より小さいときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度より小さくなるように前記第2のエキスパンダの前記速度を設定するステップ(S1210)と、
(a)前記第1のエキスパンダの前記現在速度が前記バイアス適用領域内にあり、(c)前記第2のエキスパンダの前記現在速度が増加しておりかつ前記第1の速度値より大きいか、または減少しておりかつ前記第2の速度値より大きいときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度より大きくなるように前記第2のエキスパンダの前記速度を設定するステップ(S1220)と、
を含む、方法。
前記第1のエキスパンダの前記現在速度が前記バイアス適用領域の外にあるときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度に等しくなるように前記第2のエキスパンダの前記速度を設定するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
前記第2のエキスパンダの前記現在速度が、前記第2のエキスパンダの前記完全性に対して不安全な前記速度領域の中に、所定の時間間隔より長く存在するときに、警報信号を送出するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
前記第2のエキスパンダの前記速度が前記第1のエキスパンダの前記現在速度より小さくなるように設定されたときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度と前記第2のエキスパンダに対して設定された前記速度との間の差である負のバイアスが、(i)前記第1のエキスパンダの前記現在速度と(ii)前記バイアス適用領域内の最小速度値との間の差に比例する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
前記第2のエキスパンダの前記速度が前記第1のエキスパンダの前記現在速度より大きくなるように設定されたときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度と前記第2のエキスパンダに対して設定された前記速度との間の差である正のバイアスが、(i)前記バイアス適用領域内の最大速度値と(ii)前記第1のエキスパンダの前記現在速度との間の差に比例する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
前記第2のエキスパンダの前記速度が、複数のバイアス適用領域ならびに対応する前記第1の速度値および前記第2の速度値の対に対して、前記第1のエキスパンダの前記現在速度と異なるように自動的に設定される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
第1のエキスパンダ(110)からの流体流を受ける第2のエキスパンダ(120)の完全性に対して、第1の速度値を下限とし且つ第2の速度値を上限とする不安全な速度領域を通る遷移時間を、前記第2のエキスパンダ(120)の速度に自動的にバイアスをかけることによって制御する、制御器(1000)であって、
前記第1のエキスパンダ(110)の現在速度についての情報を受け、
前記第1のエキスパンダから出力された流体流を受ける第2のエキスパンダ(120)に対する設定速度を出力するように構成されたインターフェース(1010)と、
前記インターフェースに接続され、
(a)前記第1のエキスパンダの前記現在速度がバイアス適用領域内にあり、(b)前記第2のエキスパンダの現在速度が、増加しておりかつ前記第1の速度値より小さいか、または減少しておりかつ前記第2の速度値より小さいときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度より小さくなるように、ならびに
(a)前記第1のエキスパンダの前記現在速度が前記バイアス適用領域内にあり、(c)前記第2のエキスパンダの前記現在速度が、増加しておりかつ前記第1の速度値より大きいか、または減少しておりかつ前記第2の速度値より大きいときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度より大きくなるように、
前記第2のエキスパンダの前記設定速度を確定するように構成された処理ユニット(1020)と、
を備える、制御器(1000)。
前記第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域が、前記第1の速度値と前記第2の速度値との間にあり、前記処理ユニットが前記インターフェースを介して前記第2のエキスパンダの前記現在速度を受けるか、または前記第2のエキスパンダの前記現在速度は以前の第2のエキスパンダの設定速度のうちの最新のものである、請求項9記載の制御器。
前記処理ユニットが、前記第1のエキスパンダの前記現在速度が前記バイアス適用領域の外にあるときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度に等しくなるように前記第2のエキスパンダの前記設定速度を確定するようにさらに構成される、請求項9または10に記載の制御器。
前記処理ユニットが、前記第2のエキスパンダの現在速度が前記第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な前記速度領域内に所定の時間間隔より長く留まるときに、警報を発生するようにさらに構成される、請求項9から11のいずれかに記載の制御器。
前記処理ユニットが、前記第2のエキスパンダの前記設定速度が前記第1のエキスパンダの前記現在速度より小さくなるように設定されるときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度と前記設定速度との間の差が前記第1のエキスパンダの前記現在速度と前記バイアス適用領域内の最低速度値との間の差に比例するように、前記第2のエキスパンダの前記設定速度を確定するようにさらに構成される、請求項9から12のいずれかに記載の制御器。
第1のエキスパンダ(110)からの流体流を受ける第2のエキスパンダ(120)の完全性に対して、第1の速度値を下限とし且つ第2の速度値を上限とする不安全な速度領域を通る遷移時間を、前記第2のエキスパンダ(120)の速度に自動的にバイアスをかけることによって制御するために、前記第1のエキスパンダ(110)の現在速度を含む第1のエキスパンダの速度信号を、前記第1のエキスパンダからの流体流を受ける第2のエキスパンダ(120)の設定速度を含む第2のエキスパンダの速度信号に変換するための電子部品で作製された装置(1100)であって、
前記第2のエキスパンダの速度信号を発生するように構成され、
前記第1のエキスパンダの速度信号からバイアス値信号を加えるように構成された加算/減算回路(1132)と、
前記第1のエキスパンダの速度信号を前記加算/減算回路に前送するように構成された第1の経路(1130)と、
負のバイアス信号を発生するように構成された第2の経路(1134)と、
正のバイアス信号を発生するように構成された第3の経路(1135)と、
前記第2の経路および前記第3の経路の出力に接続され、バイアススイッチ信号にしたがって前記第2の経路または前記第3の経路を前記加算/減算回路に接続するように構成されたスイッチ(1138)と、
を含む、信号発生ブロック(1110)と、
前記信号発生ブロック(1110)に接続され、
仮に前記第2のエキスパンダ(120)の現在速度が前記第1の速度値より小さいならば前記第2の経路(1134)からのバイアス信号を接続するように指示し、
仮に前記第2のエキスパンダ(120)の前記現在速度が前記第2の速度値より大きいならば前記第3の経路(1135)からのバイアス信号を接続し、
仮に前記第2のエキスパンダ(120)の前記現在速度が前記第1の速度値より大きくかつ前記第2の速度値より小さく、且つ前記第2のエキスパンダの前記現在速度が増加しているならば、前記第3の経路(1135)からのバイアス信号を接続するように指示し、
仮に前記第2のエキスパンダ(120)の前記現在速度が前記第1の速度値より大きくかつ前記第2の速度値より小さく、且つ前記第2のエキスパンダの前記現在速度が減少しているならば、前記第2の経路(1134)からのバイアス信号を接続するように指示する
前記バイアススイッチ信号を発生するように構成されたバイアススイッチ信号発生ブロック(1120)と、
を備え、
前記第1のエキスパンダの前記現在速度がバイアス適用領域の外にあるときに、前記第2の経路(1134)および前記第3の経路(1135)がゼロ信号を発生する、
装置。
プロセッサで実行されるときに、第2のエキスパンダ(120)の完全性に対して、第1の速度値を下限とし且つ第2の速度値を上限とする不安全な速度領域を通る遷移時間を、第1のエキスパンダ(110)から出力された流体流を受ける前記第2のエキスパンダ(120)の速度に自動的にバイアスをかけることによって制御する方法(1200)をコンピュータに実施させる、実行可能なコードを記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記方法が、
(a)前記第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域内にあり、(b)前記第2のエキスパンダの現在速度が増加しておりかつ前記第1の速度値より小さいか、または減少しておりかつ前記第2の速度値より小さいときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度より小さくなるように前記第2のエキスパンダの前記速度を設定するステップ(S1210)と、
(a)前記第1のエキスパンダの前記現在速度が前記バイアス適用領域内にあり、(c)前記第2のエキスパンダの前記現在速度が増加しておりかつ前記第1の速度値より大きいか、または減少しておりかつ前記第2の速度値より大きいときに、前記第1のエキスパンダの前記現在速度より大きくなるように前記第2のエキスパンダの前記速度を設定するステップ(S1220)と、
を含む、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例示的実施形態の以下の説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同じまたは同様の要素を識別する。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。そうではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。以下の実施形態は、簡明にするため、エキスパンダのうちの一方の完全性に対して不安全な速度領域を通る遷移時間が、第1のエキスパンダによって出力された流体流を受ける第2のエキスパンダの速度に自動的にバイアスすることによって低減される、2エキスパンダシステムにおいて使用される方法および装置の専門用語および構造に関して説明される。しかし、次に説明される実施形態は、これらのシステムに限定されず、エキスパンダの望ましくない速度領域を避ける必要がある他のシステムに適用されてよい。
【0019】
本明細書を通して、「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、一実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態の中に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して種々の場所における「一実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」という句の出現は、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切なやり方で結合されてよい。
【0020】
図2は、一実施形態による2エキスパンダ組立体100の概略図である。
図2は、第1のエキスパンダ110と、第2のエキスパンダ120と、第1のエキスパンダ110の羽根車122と、第2のエキスパンダ120の羽根車124と、流れの方向130と、調整器に入力された速度値にしたがって第2のエキスパンダ120の速度を設定する調整器140と、第1のエキスパンダ110の現在速度についての情報を供給するセンサ150とを示す。
【0021】
一実施形態によれば、
図2の2エキスパンダシステム100は、第1のエキスパンダ110と調整器140との間に搭載された制御器160をさらに含む。しかし、制御器160は、他の場所に搭載されてもよい。調整器140が制御器160を含むように改変されてよく、または調整器140のプロセッサが制御器160の機能を実施するように構成されてよいことは、当業者には同様に理解されよう。
【0022】
図2の制御器160は、第1のエキスパンダ110の現在速度に関する情報を、例えば速度センサ150から受け、速度値を調整器140に供給する。調整器140は、第2のエキスパンダ120の速度を、制御器160から受けた速度値に等しくなるように設定する。言い換えれば、
図1に示す従来のシステム1におけるものと同じ調整器が使用されてよいが、調整器40が第1のエキスパンダ10の現在速度を受ける従来のシステムとは対照的に、
図2のシステム100の調整器140は、制御器160から速度値を受ける。この速度値は、以下に説明するように、第1のエキスパンダ110の現在速度と同じであってよく、または同じでなくてよい。
【0023】
図3は、一実施形態による、第1のエキスパンダの完全性に対して不安全な、望ましくない速度付近の速度領域を通る遷移時間を、第1のエキスパンダによって出力された流体流を受ける第2のエキスパンダの速度に自動的にバイアスすることによって低減する方法の流れ図である。第1のエキスパンダおよび第2のエキスパンダの速度をガス流量の関数として表す
図4のグラフは、
図3における方法を説明するために、次に使用される。
【0024】
回転毎分(rpm)単位など、いくつかの回転速度単位で表現される速度値が、
図4のグラフのy軸上に示される。4つの代表的な速度値が、y軸に沿って記され、ラベル付けされ、これらの速度は、以下の関係、SPEED_LL<SPEED_L<SPEED_H<SPEED_HHを満足する。第1のエキスパンダの望ましくない速度(UNDESIRABLE SPEED)は、SPEED_LとSPEED_Hとの間の望ましくない速度領域に含まれる値である。望ましくない領域は、製造者によって特定されてよく、または試験および経験に基づいて予め定められてよい。
【0025】
第1のエキスパンダの現在速度が、SPEED_LLとSPEED_HHとの間のバイアス適用領域内にあるとき、第2のエキスパンダの速度は、バイアスされるように、すなわち、第1のエキスパンダの現在速度と異なるように設定される。第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域の外にあるとき、第2のエキスパンダの速度は、第1のエキスパンダの現在速度に等しくなるように設定される。
【0026】
望ましくない領域を特定することに加えて、エキスパンダの製造者らは、通常、その間にエキスパンダが望ましくない領域内の速度で動作することを許容される最大の時間間隔である、最大時間(MAX_TIME)を特定する。また、エキスパンダの製造者らは、通常、エキスパンダ(例えば、第2のエキスパンダ)に対して、速度変化の最大許容速度(SPEED_RATE)を特定する。
【0027】
また、(仮に2エキスパンダシステムが同じ製造者によってまとめて提供されるならば)製造者または(仮に2エキスパンダシステムがユーザによって組み立てられるならば)プロセス技術者が、第1および第2のエキスパンダの速度間の最大許容速度差(SPEED_DIFF)を確定する。すなわち、2エキスパンダシステム(例えば、
図2の100)では、第1のエキスパンダの速度と第2のエキスパンダの速度との間の差の絶対値は、正常運転条件に対して、最大のSPEED_DIFFより小さくなければならない。この最大許容速度差(SPEED_DIFF)の制約に適合することなど、システムを運転可能にするために、最大許容速度差(SPEED_DIFF)は、SPEED_H−SPEED_Lより大きくなければならない。
【0028】
図4のグラフのy軸上にラベル付けされた代表的速度値に対応する絶対値は、個々のシステムによって決まる。上で識別された速度値に対する値の例示的な1セットは、SPEED_LL=16600rpm、SPEED_L=17600rpm、UNDESIRABLE SPEED=18000rpm、SPEED_H=18400rpm、およびSPEED_HH=19400rpmである。
【0029】
エキスパンダを通るガス流量が、
図4のグラフのx軸上に表される。
図4では、エキスパンダの速度は、ガス流量に対して一次従属性を有する。しかし、一次従属性は、エキスパンダの速度のガス流量に対する相関関数の例示的な1つの表示にすぎない。相関関数は、他の関数的従属性を有してよいが、全体的に、ガス流量が増加するとエキスパンダの速度は増加し、ガス流量が減少するとエキスパンダの速度は減少する。
【0030】
システムが運転を開始する(すなわち、ガスが、エキスパンダを通って流れ始める)ときに、
図3のS300で、エキスパンダの速度が正(すなわち、0rpmより大)になる。低いガス流量において、エキスパンダの速度がバイアス適用領域より小さい間、ステップS305で、第2のエキスパンダの速度(Ref_B)が、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)に等しくなるように、(例えば、
図2の制御器160から受けた信号に基づいて調整器140によって)設定される。第1のエキスパンダの現在速度は、
図2のSv1 150などの速度センサから
図2の制御器160によって受けられてよい。しかし、第1のエキスパンダの現在速度についての情報は、制御パネル、推定、計算、などの他の情報源から受けられてよい。
【0031】
第1のエキスパンダ(例えば、
図2の110)の現在速度が、バイアス適用領域の外(すなわち、SPEED_LLより小またはSPEED_HHより大)にある限り、第2のエキスパンダ(例えば、
図2の120)の速度は、第1のエキスパンダの現在速度と同じになるように(例えば、
図2の制御器160から受けた値に基づいて調整器140によって)設定され、その状況は、
図4の区間410および411に対応する。
【0032】
仮に、
図3のステップS310で、第1のエキスパンダの現在速度をSPEED_LLと比較すると、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_LLより小さいならば(すなわち、S310からNOに分岐)、ステップS305で、第2のエキスパンダの速度(Ref_B)が、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)に等しくなるように設定される。
【0033】
より高いガス流量において、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がSPEED_LLより大きくなるとき(すなわち、S310からYESに分岐)、S320で、第2のエキスパンダの速度(Ref_B)が、第1のエキスパンダの現在速度より大きい値に設定される。具体的には、第2のエキスパンダの速度が、Ref_B=Exp_A+(Exp_A−SPEED_LL)×GAINになるように設定され、ここで、GAINは所定の正の値である。(Exp_A−SPEED_LL)×GAINの量は、第2のエキスパンダの速度に適用される正のバイアスである。したがって、正のバイアスは、第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域の下限(すなわち、SPEED_LL)との間の差に比例する。他の用途では、正のバイアスは、異なるやり方で確定されてよい。一般に、正のバイアスは、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)、バイアス適用領域の最小値(SPEED_LL)、望ましくない速度領域の最小値(SPEED_L)、利得、その他の関数、例えば、f(Exp_A、SPEED_LL、SPEED_L、GAIN)、であってよい。
【0034】
GAINは、最大許容速度差(SPEED_DIFF)と差SPEED_H−SPEED_Lとの比になるように、予め定められてよい。例示的なGAINの値は2である。
【0035】
S320で、第2のエキスパンダの速度がバイアスされると、制御器(例えば、
図2の160)は、第2のエキスパンダの速度の現在の変化速度が、第2のエキスパンダに対する速度の最大変化速度(SPEED_RATE)より小さくなるような速度値を出力するように構成される。第2のエキスパンダに対する速度の最大変化速度(SPEED_RATE)は、例えば20rpm/sと50rpm/sとの間、例えば40rpm/sの値であってよい。したがって、たとえガス流量が速い速度で増加するとしても、第2のエキスパンダの速度は、速度の最大許容変化速度(SPEED_RATE)の制約に適合する時間内に徐々に増加するように設定される。
【0036】
第2のエキスパンダの正にバイアスされた速度によって、システムにまたがる圧力降下の分布は、バイアスが適用されなかったときの状態に比べて変化するが、圧力降下の合計は実質的に同じままである。したがって、所与のガス流量に対する第1のエキスパンダの現在速度は、仮にその所与のガス流量における第2のエキスパンダの速度にバイアスが適用されなかったならば第1のエキスパンダが有したであろう現在速度の値より小さくなる。
【0037】
S330で、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)をSPEED_Lと比較すると、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_Lより小であり(すなわち、S330からNOに分岐)、かつS310で、第1のエキスパンダの現在速度をSPEED_LLと比較すると、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_LLより大である限り、第2のエキスパンダの速度(Ref_B)は、正のバイアスを含むように(すなわち、正にバイアスされるように)設定される。
【0038】
第2のエキスパンダの速度が正にバイアスされるときの、流量の関数としての第2のエキスパンダの速度は、
図4の区間420に対応し、この状況における第1のエキスパンダの現在速度は、
図4の区間421に対応する。正のバイアスを(区間420で示すように)第2のエキスパンダの速度に適用することによって、第1のエキスパンダの現在速度は、(区間421で示すように)SPEED_Lより小さいままであり、したがって、望ましくない速度領域の外のままであることに留意されたい。
【0039】
仮に、S330で、第1のエキスパンダの現在速度をSPEED_Lと比較すると、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_Lより大きいならば(すなわち、S330からYESに分岐)、ステップS340で、制御器160は、第1のエキスパンダの現在速度より小さい速度値を調整器140に伝達し、かつS345で遅延のために待機する。具体的には、S340で、第2のエキスパンダの速度が、Ref_B=Exp_A+(Exp_A−SPEED_HH)×GAINとなるように設定される。負のバイアス(Exp_A−SPEED_HH)×GAINは負の量であり、それゆえ、Ref_Bは、Exp_Aより小さくなるように設定される。
【0040】
第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることへの遷移は、速度の最大変化速度に関する制約を守りながら実施されうる。すなわち、速度の変化速度は、変化速度の最大値(SPEED_RATE)より小さく保持されうる。最大変化速度に関する制約を守りながら遷移することでは、第2のエキスパンダの速度に対する新しい目標値に到達する前の中間ステップが必要となる。それゆえ、S345で遅延が守られる。この遅延を守ることによって、システムは、第2のエキスパンダの速度を異なるやり方で設定することを考慮する前に、目標ステータス(例えば、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_Hより大きい、
図4の区間441)に到達する。
【0041】
第1および第2のエキスパンダの速度がガス流量と相関性があることを考慮すると、この遷移は、ガス流量がTRANSITION FLOW値を超えるときに発生する。このTRANSITION FLOW値は、2エキスパンダシステムに対して、計算によるかまたは実験によるかのいずれかで確定されてよい。TRANSITION FLOW値は、時間とともに変わりうるガスの組成およびエキスパンダの効率に従属してよい。TRANSITION FLOW値は、第2のエキスパンダの速度が正にバイアスされるように設定されているときに、第1のエキスパンダの現在速度が望ましくない速度領域の下限SPEED_Lに等しくなる流量値であるので、ガス流量を直接測定する必要はない。次いで、仮に第2のエキスパンダの速度が、負にバイアスされて設定されるならば、たとえガス流量がTRANSITION FLOW値に保持されても、第1のエキスパンダの速度は、望ましくない速度領域の上限SPEED_Hまで増加するであろう。
【0042】
第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることへのこの遷移は、2エキスパンダシステムにまたがる圧力降下の分布を変えることができ、そのことが、
図4の区間441で、第1のエキスパンダの現在速度をSPEED_H以上の値に変化させることを確定する。したがって、変化が完了すると、第1のエキスパンダの現在速度は、望ましくない速度領域の外にあるはずである。S345で守られる遅延は、システムが遷移を完了することを可能にする。
【0043】
いくつかの実施形態では、仮に、S345での遅延の後、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_Hより小さいならば、たとえガス流量がTRANSITION FLOW値以上であっても、警報信号が(例えば、
図2の制御器160によって)発せられてよい。
【0044】
第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることへの遷移は、ガス流量の増加と同時に起こりうるので、遷移中の第1のエキスパンダの現在速度が、
図4の破線の円弧431として示され、第2のエキスパンダの速度が
図4の破線の円弧430として示される。
【0045】
S350での比較によって、第1のエキスパンダの現在速度が、SPEED_Hより大きいままである(すなわち、S350からYESに分岐)が、S360での比較によって、SPEED_HHより小さい(すなわち、S360からNOに分岐)限り、第2のエキスパンダの速度は、ステップS355で負のバイアスを有するように、すなわち、Ref_B=Exp_A+(Exp_A−SPEED_HH)×GAINに設定される。
【0046】
この状況における流量の関数としての第2のエキスパンダの速度が、
図4の区間440に対応し、この状況における第1のエキスパンダの現在速度が、
図4の区間441に対応する。負のバイアスを(区間440で示されるように)第2のエキスパンダの速度に適用することによって、第1のエキスパンダの現在速度は(
図4の区間441で示されるように)SPEED_Hより大きいままであり、したがって、望ましくない速度領域の外のままであることに留意されたい。
【0047】
S360での比較によって、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_HHより大きいとき(すなわち、S360からYESに分岐)、第2のエキスパンダの速度は、S365で、第1のエキスパンダの現在速度に等しくなるように設定される。
【0048】
仮に、S350での比較によって、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_Hより小さいならば(すなわち、S350からNOに分岐)、第2のエキスパンダの速度は、もはや負にバイアスされず、第2のエキスパンダの速度は、S370で再び正にバイアスされる(Ref_B=Exp_A+(Exp_A−SPEED_LL)×GAIN)。第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることと負にバイアスすることとの間でシステムが往復反転することを避けるために、第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることから負にバイアスすることへの遷移、および第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることから正にバイアスすることへの遷移は、仮に2つのエキスパンダに対する流量の速度従属性が、それぞれの遷移速度領域内で線形であるとみなされるならば、実質的に同じTRANSITION FLOW値において発生する。
【0049】
第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることへのこの遷移の間、速度の変化速度は変化速度の最大値より小さいという制約は、守られうる。新しく適用された速度の正のバイアスは、2エキスパンダシステムにまたがる圧力降下の分布が変化することを確定する。第1のエキスパンダの現在速度は、SPEED_L以下の値に減少する。したがって、ひとたび第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることへの遷移が(速度の変化速度に関する制約による遅延を考慮に入れて)完了すれば、第1のエキスパンダの現在速度は、望ましくない速度領域の外にある。システムがこの状態に到達するのを可能にするために、S345で守られる遅延と同様に、S375で遅延が守られる。
図3のS345およびS375での遅延は、等しくてよく、または異なる値を有してよい。両遅延は、MAX_TIMEに等しくてよい。例示的な値は180秒であるが、他の値が使用されてよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、仮に、S345での遅延の後、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_Lより大きいならば、たとえガス流量がTRANSITION FLOW値以下であっても、警報信号が、(例えば、
図2の制御器160によって)発せられてよい。
【0051】
第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることへの遷移は、ガス流量の減少と同時に起こりうるので、遷移中の第1のエキスパンダの現在速度が、
図4の破線の円弧451として示され、第2のエキスパンダの速度が、
図4の破線の円弧450で示される。
【0052】
遷移の後、仮に、S330での比較によって、ガス流量が、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_Lより小さいままである(すなわち、S330からNOに分岐)ような量であり、かつS310での比較によって、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_LLより大きい(すなわち、S310からYESに分岐)ならば、第2のエキスパンダの速度は、S320で正のバイアスを有するように設定される、等々。
【0053】
図3に示し、
図4を参照して説明する方法によれば、第1のエキスパンダの現在速度は、ガス流量がTRANSITION FLOW値を通過するとき、速度の最大変化速度が許容する限り速やかに、望ましくない領域を通って変化する。それゆえ、第1のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域を通る遷移時間は、エキスパンダの速度が等しく、ガス流量が変化する速度にのみ相関性がある場合と比べて、低減される。
【0054】
一実施形態によれば、
図5に示すように、制御器500(例えば、
図2の160)は、インターフェース510および処理ユニット520を含む。制御器は、第1のエキスパンダ(例えば、
図2の110)がガスを第2のエキスパンダ(例えば、
図2の120)に出力し、第1および第2のエキスパンダのそれぞれが、2エキスパンダのシステムを通過するガス流量と相関性のある速度で回転する羽根車(例えば、
図2の122および124)を含む、2エキスパンダのシステム(例えば、
図2の100)に接続されてよい。
【0055】
インターフェース510は、第1のエキスパンダの現在速度についての情報を受け、第2のエキスパンダの設定速度を(例えば、
図2の調整器140に)出力するように構成されてよい。
【0056】
処理ユニット520は、インターフェース510に接続され、
図3および
図4を使用して上で説明したプロセスに基づいて第2のエキスパンダの設定速度を確定するように構成されてよい。処理ユニット520は、第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域(例えば、
図4に示すようにSPEED_LLとSPEED_HHとの間)内であり、かつ流体流量が所定の流量値(例えば、
図4のTRANSITION FLOW)より小さいときに、第2のエキスパンダの設定速度を、第1のエキスパンダの現在速度より大きくなるように確定してよい。この場合は、第2のエキスパンダの設定速度は、第1のエキスパンダの現在速度と正のバイアスとの和である。
【0057】
処理ユニット520は、流体流量が所定の値より大きく、かつ第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域内にあるときに、第2のエキスパンダの設定速度を、第1のエキスパンダの現在速度より小さくなるように確定してよい。したがって、この場合は、第2のエキスパンダの設定速度は、第1のエキスパンダの現在速度と負のバイアスとの間の差である。
【0058】
一実施形態では、処理ユニット520は、現在速度が第1の速度値に向かって増加し、到達するときに、流体流量が所定の流量値に向かって増加し、到達するかどうかを確定するために、現在速度を第1の速度値(例えば、
図4のSPEED_L)と比べるようにさらに構成されてよい。また、処理ユニット520は、現在速度が第2の速度値に向かって減少し、到達するときに、流体流量が所定の流量値に向かって減少し、到達するかどうかを確定するために、現在速度を第2の速度値(例えば、
図4のSPEED_H)と比べるようにさらに構成されてよい。第1のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域は、第1の速度値と第2の速度値との間であってよく、好ましくはバイアス適用領域内に含まれる。
【0059】
別の実施形態では、処理ユニット520は、第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域の外にあるときに、第2のエキスパンダの設定速度を、第1のエキスパンダの現在速度に等しくなるように確定するようにさらに構成されてよい。
【0060】
別の実施形態では、処理ユニット520は、第1のエキスパンダの現在速度が、第1のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域内に、所定の時間間隔より長く留まるときに、警報を発生するようにさらに構成されてよい。
【0061】
別の実施形態では、処理ユニット520は、流体流量が所定の流量値より小さいときに、設定速度と第1のエキスパンダの現在速度との間の差が、現在速度とバイアス適用領域内の最小速度値(例えば、
図4のSPEED_LL)との間の差に比例するように、第2のエキスパンダの設定速度を確定するように、さらに構成されてよい。
【0062】
別の実施形態では、処理ユニット520は、流体流量が所定の流量値より大きいときに、第1のエキスパンダの現在速度と第2のエキスパンダの設定速度との間の差が、バイアス適用領域内の最大速度値(例えば、
図4のSPEED_HH)と第1のエキスパンダの現在速度との間の差に比例するように、第2のエキスパンダの設定速度を確定するように、さらに構成されてよい。
【0063】
別の実施形態では、処理ユニット520は、速度の変化速度が所定の最大速度値より小さくなるように、第2のエキスパンダの設定速度を確定するように、さらに構成されてよい。
【0064】
別の実施形態では、処理ユニット520は、複数のバイアス適用領域および対応する流体流量の所定の流量値に対して、第2のエキスパンダの設定速度を確定するように、さらに構成されてよい。
【0065】
別の実施形態によれば、
図6は、
図3の方法を実施するように構成された電子装置600を示す図である。電子装置600は電子部品で作製され、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)を含む第1のエキスパンダの速度信号を、第2のエキスパンダに設定されるべき速度(Ref_B)を含む第2のエキスパンダの速度信号に変換することができる。
【0066】
電子装置600は、第2のエキスパンダの信号発生ブロック610およびバイアススイッチ信号発生ブロック620を含み、両ブロックは、第1のエキスパンダの速度信号(Exp_A)を受ける。
【0067】
第2のエキスパンダの信号発生ブロック610は、異なる機能を実施するための3つの経路に沿って整列された部品を含む。第1の経路630に沿った部品は、第1のエキスパンダの速度信号を加算回路632に前送するように構成される。第2の経路634に沿った部品は、第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域の下限(SPEED_LL)との間の差に比例する信号を発生するように構成される。第3の経路635に沿った部品は、バイアス適用領域の上限(SPEED_HH)と第1のエキスパンダの現在速度との間の差に比例する信号を発生するように構成される。
【0068】
第2の経路634および第3の経路635は、それぞれ、クランプ回路636および637を含む。クランプ回路636および637によって、仮に第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がバイアス適用領域の外にある(すなわち、SPEED_HHより大またはSPEED_LLより小)ならば、第2の経路634および第3の経路635から出力される信号は、それぞれ0.0の値を有する。また、クランプ回路636および637によって、第2の経路634および第3の経路635は、絶対値で最大許容速度差(SPEED_DIFF)より大きくない信号を出力する。したがって、第2の経路634で出力される正のバイアス量は、仮に第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域の下限(SPEED_LL)との間の差が0より大きいならば、その差に比例する正の値である(そうでない場合は、0が出力される)。また、正のバイアス量は、最大許容速度差(SPEED_DIFF)より小さくなるように制限される。
【0069】
第3の経路635で出力される負のバイアス量は、仮に第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域の上限(SPEED_HH)との間の差が0より小さいならば、その差に比例する負の値である(そうでない場合は、0が出力される)。また、負のバイアス量は、同様に、絶対値が最大許容速度差(SPEED_DIFF)より小さくなるように制限される。
【0070】
第2のエキスパンダの信号発生ブロック610は、バイアススイッチ信号発生ブロック620から受けたバイアススイッチ信号にしたがって、第1の経路634から受けた正のバイアス信号または第2の経路635から受けた負のバイアス信号の一方であるバイアス値信号を伝送するように構成されたスイッチ638をさらに含む。次いで、スイッチ638から出力されたバイアス値信号は、利得部品640において利得を乗ぜられる。次いで、利得部品640によって出力された乗ぜられたバイアス信号は、必要ならば、速度の現在の変化速度が第2のエキスパンダの設定速度の最大変化速度を超えないように、乗ぜられたバイアス信号を制限するフィルタ部品642に入力される。フィルタ642から出力された最終のバイアス信号が、加算回路632において第1のエキスパンダの速度信号に加えられ、次いで、信号Ref_Bとして、リンク633を介して第2のエキスパンダ120に供給される。
【0071】
バイアス信号発生ブロック620は、フリップフロップ回路654への入力を供給する、2つの経路650および652を含む。仮に第1のエキスパンダの現在速度が、第1のエキスパンダの完全性に対して不安全な望ましくない速度領域の下限(SPEED_L)より大きいならば、経路650が、フリップフロップ回路に「1」すなわち高の信号をもたらす。仮に第1のエキスパンダの現在速度が、第1のエキスパンダの完全性に対して不安全な望ましくない速度領域の上限(SPEED_H)より小さいならば、経路652が、フリップフロップ回路に「1」すなわち高の信号をもたらす。650および652の両経路が「1」すなわち高の信号をもたらすときは、第1のエキスパンダの現在速度は、正にバイアスされることと負にバイアスされることとの間を遷移中の、望ましくない領域の中にある。それゆえ、フリップフロップ回路654で出力されるバイアススイッチ信号の変化は発生しない。フリップフロップ回路654で出力されるバイアススイッチ信号は、バス655に沿ってスイッチ638に供給される。受けたバイアススイッチ信号に基づいて、仮に第1のエキスパンダの現在速度が望ましくない速度領域の下限(SPEED_L)より小さいままであることをバイアススイッチ信号が示すならば、スイッチ638は、第2の経路634を加算回路632に接続し、仮に第1のエキスパンダの現在速度が望ましくない速度領域の上限(SPEED_H)より大きいままであることをバイアススイッチ信号が示すならば、第3の経路635を加算回路632に接続する。第1のエキスパンダの現在速度が下限(SPEED_L)より大きくなると、フリップフロップ回路654で出力されるバイアススイッチ信号は、第3の経路635(負のバイアス)を接続するようにスイッチ638を確定し、第1のエキスパンダの現在速度が上限(SPEED_H)より小さくなると、フリップフロップ回路654で出力されるバイアススイッチ信号は、第2の経路634(正のバイアス)を接続するようにスイッチ638を確定する。フリップフロップ654の前に配置された2つのANDブロック657および659は、バイアスを正しい方向にスイッチングして、バイアス信号発生ブロック620のちらつきを避けることを確実にする。したがって、流量の実際の値を知る必要はない。
【0072】
また、バイアススイッチ信号発生ブロック620は、第1のエキスパンダの現在速度が、所定の時間間隔より長い間、望ましくない領域内の値を取るときに、警報を発する警報ブロック660を含む。遅延回路656および658は、それぞれ、
図3のステップS345およびS375の実施を確実にする。
【0073】
電子装置600は、
図3に示す方法を実施するように構成される。第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がバイアス適用領域の外にある(すなわち、SPEED_LLより小またはSPEED_HHより大)ときに、クランプ回路636および637によって、0信号が、加算回路632において第1のエキスパンダの速度信号に加えられる。第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がバイアス適用領域の中にある(すなわち、SPEED_LLより大およびSPEED_HHより小)ときに、正のバイアス信号または負のバイアス信号が、加算回路632において第1のエキスパンダの速度信号に加えられる。
【0074】
正のバイアス信号または負のバイアス信号が、加算回路632において第1のエキスパンダの速度信号に加えられるかどうかは、上で説明したやり方で、バイアススイッチ信号発生ブロック620から受けたバイアススイッチ信号によって決まる。第2のエキスパンダの速度信号は、加算回路632で出力される信号である。
【0075】
図7は、一実施形態による、第1のエキスパンダの望ましくない速度領域内の速度で第1のエキスパンダを運転する時間を低減するために、第1のエキスパンダで出力された流体流を受ける第2のエキスパンダの速度を自動的に設定する方法の流れ図である。
【0076】
方法700は、S710で、第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域内にあり、第1のエキスパンダの現在速度が増加しておりかつ第1の速度値より小さいか、または減少しておりかつ第2の速度値より小さいときに、第1のエキスパンダの現在速度より大きくなるように第2のエキスパンダの速度を設定するステップを含む。
【0077】
方法700は、S720で、第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域内にあり、第1のエキスパンダの現在速度が増加しておりかつ第1の速度値より大きいか、または減少しておりかつ第2の速度値より大きいときに、第1のエキスパンダの現在速度より小さくなるように第2のエキスパンダの速度を設定するステップをさらに含む。
【0078】
図8は、一実施形態による、第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域を通る遷移時間を、第1のエキスパンダによって出力された流体流を受ける第2のエキスパンダの速度に自動的にバイアスをかけることによって低減する方法の流れ図である。第1および第2のエキスパンダの速度をガス流量の関数として表す
図9のグラフは、
図8における方法を説明するために使用される。
図3の方法と
図8の方法との間の差は、第1の方法が、第1のエキスパンダの完全性に対して不安全な望ましくない速度付近の速度領域を通る遷移時間を低減することを狙いとする一方で、第2の方法は、第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な望ましくない速度付近の速度領域を通る遷移時間を低減することを狙いとすることである。
【0079】
回転毎分(rpm)単位など、いくつかの回転速度単位で表現される速度値が、
図9のグラフのy軸上に示される。4つの代表的な速度値がy軸に沿って記され、ラベル付けされ、これらの速度は、以下の関係、SPEED_LL<SPEED_L<SPEED_H<SPEED_HHを満足する。第2のエキスパンダの望ましくない速度(UNDESIRABLE SPEED)は、SPEED_LとSPEED_Hとの間の望ましくない速度領域内に含まれる値である。望ましくない速度領域は、製造者によって特定されてよく、または試験および経験に基づいて予め定められてよい。
【0080】
第1のエキスパンダの現在速度が、SPEED_LLとSPEED_HHとの間のバイアス適用領域内にあるとき、第2のエキスパンダの速度は、バイアスされるように、すなわち、第1のエキスパンダの現在速度と異なるように設定される。第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域の外にあるとき、第2のエキスパンダの速度は、第1のエキスパンダの現在速度に等しくなるように設定される。
【0081】
望ましくない領域を特定することに加えて、エキスパンダの製造者らは、通常、その間にエキスパンダが望ましくない領域内の速度で動作することを許容される最大の時間間隔である、望ましくない時間(MAX_TIME)を特定する。また、エキスパンダの製造者らは、通常、エキスパンダ(例えば、第1のエキスパンダ)に対して、速度変化の最大許容速度(SPEED_RATE)を特定する。
【0082】
速度の最大許容変化速度(SPEED_RATE)制約および望ましくない時間(MAX_TIME)制約の両方に適合することなど、システムを運転可能にするために、速度の最大許容変化速度(SPEED_RATE)は、(SPEED_H−SPEED_L)/MAX_TIMEより大きくなければならない。
【0083】
また、(仮に2エキスパンダシステムが同じ製造者によってまとめて提供されるならば)製造者または(仮に2エキスパンダシステムがユーザによって組み立てられるならば)プロセス技術者が、第1および第2のエキスパンダの速度間の最大許容速度差(SPEED_DIFF)を確定する。すなわち、2エキスパンダシステム(例えば、
図2の100)では、第1のエキスパンダの速度と第2のエキスパンダの速度との間の差の絶対値は、正常運転条件に対して、最大SPEED_DIFFより小さくなければならない。この最大許容速度差(SPEED_DIFF)の制約に適合することなど、システムを運転可能にするために、最大許容速度差(SPEED_DIFF)は、SPEED_H−SPEED_Lより大きくなければならない。
【0084】
エキスパンダを通るガス流量が、
図9のグラフのx軸上に表される。
図9では、エキスパンダの速度は、ガス流量に対して一次従属性を有する。しかし、一次従属性は、エキスパンダの速度のガス流量に対する相関関数の例示的な1つの表示にすぎない。相関関数は、他の関数的従属性を有してよいが、全体的に、ガス流量が増加するとエキスパンダの速度は増加し、ガス流量が減少するとエキスパンダの速度は減少する。
【0085】
システムが運転を開始する(すなわち、ガスが、エキスパンダを通って流れ始める)ときに、
図8のS800で、エキスパンダの速度が正(すなわち、0rpmより大)になる。低いガス流量において、エキスパンダの速度がバイアス適用領域より小さい間、ステップS805で、第2のエキスパンダの速度(Ref_B)が、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)に等しくなるように、(例えば、
図2の制御器160から受けた信号に基づいて調整器140によって)設定される。第1のエキスパンダの現在速度は、
図2のSv1 150などの速度センサから
図2の制御器160によって受けられてよい。しかし、第1のエキスパンダの現在速度についての情報は、制御パネル、推定、計算、などの他の情報源から受けられてよい。
【0086】
第1のエキスパンダ(例えば、
図2の110)の現在速度が、バイアス適用領域の外(すなわち、SPEED_LLより小またはSPEED_HHより大)にある限り、第2のエキスパンダ(例えば、
図2の120)の速度は、第1のエキスパンダの現在速度と同じになるように、(例えば、制御器160から受けた値に基づいて調整器140によって)設定され、その状況は、
図9の区間910および911に対応する。
【0087】
仮に、
図8のステップS810で、第1のエキスパンダの現在速度をSPEED_LLと比較すると、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_LLより小さいならば(すなわち、S810からNOに分岐)、ステップS805で、第2のエキスパンダの速度(Ref_B)が、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)に等しくなるように設定される。
【0088】
より高いガス流量において、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がSPEED_LLより大きくなるとき(すなわち、S310からYESの分岐)、S820で、第2のエキスパンダの速度(Ref_B)が、第1のエキスパンダの現在速度より小さい値に設定される。具体的には、第2のエキスパンダの速度が、Ref_B=Exp_A−(Exp_A−SPEED_LL)×GAINに設定され、ここで、GAINは所定の正の値である。(Exp_A−SPEED_LL)×GAINの量は、第2のエキスパンダの速度に適用される負のバイアスである。したがって、負のバイアスは、第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域の下限(すなわち、SPEED_LL)との間の差に比例する。他の用途では、負のバイアスは、異なるやり方で確定されてよい。一般に、負のバイアスは、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)、バイアス適用領域の最小値(SPEED_LL)、望ましくない速度領域の最小値(SPEED_L)、利得、その他の関数、例えば、f(Exp_A、SPEED_LL、SPEED_L、GAIN)、であってよい。
【0089】
GAINは、差SPEED_H−SPEED_Lと最大許容速度差(SPEED_DIFF)との比を1から引いた値になるように予め定められてよい。例示的なGAINの値は0.7である。
【0090】
S820で、第2のエキスパンダの速度がバイアスされると、制御器(例えば、
図2の160)は、第2のエキスパンダの速度の現在変化速度の絶対値が、第2のエキスパンダの速度の最大変化速度(SPEED_RATE)より小さくなるような速度値を出力するように構成される。第2のエキスパンダに対する速度の最大変化速度(SPEED_RATE)は、例えば20rpm/sと50rpm/sとの間の値であってよい。したがって、たとえガス流量が速い速度で増加するとしても、第2のエキスパンダの速度は、速度の最大許容変化速度(SPEED_RATE)の制約に適合する時間内に徐々に減少するように設定される。
【0091】
第2のエキスパンダの負にバイアスされた速度によって、システムにまたがる圧力降下の分布は、バイアスが適用されなかったときの状態に比べて変化するが、圧力降下の合計は実質的に同じままである。したがって、所与のガス流量に対する第1のエキスパンダの現在速度は、仮にバイアスが、その所与のガス流量における第2のエキスパンダの速度に適用されなかったならば第1のエキスパンダが有したであろう現在速度の値より大きくなる。
【0092】
S830で、第2のエキスパンダの現在速度(Exp_B)をSPEED_Lと比較すると、第2のエキスパンダの速度がSPEED_Lより小であり(すなわち、S830からNOに分岐)、かつS810で、第1のエキスパンダの現在速度をSPEED_LLと比較すると、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_LLより大である限り、第2のエキスパンダの速度(Ref_B)は、負のバイアスを含むように(すなわち、負にバイアスされるように)設定される。第2のエキスパンダの現在速度は、センサで測定されてよく、または以前の第2のエキスパンダの設定速度(Ref_B)のうちの最新のものであるとみなしてよい。
【0093】
第2のエキスパンダの速度が負にバイアスされるときの、流量の関数としての第2のエキスパンダの速度は、
図9の区間920に対応し、この状況における第1のエキスパンダの現在速度は、
図9の区間921に対応する。負のバイアスを(区間920で示すように)第2のエキスパンダの速度に適用することによって、第2のエキスパンダの現在速度は、SPEED_Lより小さいままであり、したがって、望ましくない速度領域の外のままであることに留意されたい。
【0094】
仮に、S830で、第2のエキスパンダの現在速度をSPEED_Lと比較すると、第2のエキスパンダの速度がSPEED_Lより大きいならば(すなわち、S830からYESに分岐)、制御器160は、ステップS840で、SPEED_RATEより小さい速度の変化速度で増加して第1のエキスパンダの現在速度より大きくなる速度値を調整器140に伝達し、かつS845で遅延のために待機する。具体的には、第2のエキスパンダの速度が、Ref_B=Exp_A−(Exp_A−SPEED_HH)×GAINとなるように設定される。(Exp_A−SPEED_HH)×GAINの量は負の量であり、それゆえ、Ref_Bは、Exp_Aより大きくなるように設定される(すなわち、第2のエキスパンダの速度は正にバイアスされる)。
【0095】
第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることへの遷移は、速度の最大変化速度に関する制約を守りながら実施されうる。すなわち、第2のエキスパンダの速度の変化速度の絶対値は、変化速度の最大値(SPEED_RATE)より小さく保持されうる。
【0096】
第1および第2のエキスパンダの速度が、ガス流量と相関性があることを考慮すると、この遷移は、ガス流量がTRANSITION FLOW値を超えるときに発生する。このTRANSITION FLOW値は、2エキスパンダシステムに対する計算によるかまたは実験によるかのいずれかで確定されてよい。TRANSITION FLOW値は、時間とともに変わりうるガスの組成およびエキスパンダの効率に従属してよい。TRANSITION FLOW値は、第2のエキスパンダの速度が負にバイアスされるように設定されたときに、第2のエキスパンダの速度が望ましくない速度領域の下限SPEED_Lに等しくなる流量値であるので、ガス流量を直接測定する必要はない。次いで、仮に第2のエキスパンダの速度が、正にバイアスされて設定されるならば、たとえガス流量がTRANSITION FLOW値に保持されたとしても、第2のエキスパンダの速度は、望ましくない速度領域の上限SPEED_Hまで増加するであろう。
【0097】
第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることへのこの遷移は、2エキスパンダシステムにまたがる圧力降下の分布を変えることができ、そのことが、
図9の区間941で、第1のエキスパンダの現在速度を変化させることを確定する。変化が完了すると、
図9の区間940で、第2のエキスパンダの現在速度はSPEED_Hより大きくなり、それゆえ、望ましくない速度領域の外にある。S845で守られる遅延は、システムが遷移を完了することを可能にする。遅延は、第2のエキスパンダの望ましくない速度の間隔の幅を第2のエキスパンダの速度の最大許容変化速度で除した比:DELAY=(SPEED_H−SPEED_L)/SPEED_RATE、に等しくてよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、仮に、S845での遅延の後、第2のエキスパンダの速度がSPEED_Hより小さいならば、たとえガス流量がTRANSITION FLOW値以上であっても、警報信号が、(例えば、
図2の制御器160によって)発せられてよい。
【0099】
第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることへの遷移は、ガス流量の増加と同時に起こりうるので、遷移中の第1のエキスパンダの現在速度が、
図9の破線の円弧931として示され、第2のエキスパンダの速度が
図9の破線の円弧930として示される。
【0100】
S850での比較によって、第2のエキスパンダの現在速度(Exp_B)が、SPEED_Hより大きいままである(すなわち、S850からYESに分岐)が、S860での比較によって、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がSPEED_HHより小さい(すなわち、S860からNOに分岐)限り、第2のエキスパンダの速度は、ステップS855で正のバイアスを有するように、すなわち、Ref_B=Exp_A−(Exp_A−SPEED_HH)×GAINに設定される。
【0101】
この状況における流量の関数としての第2のエキスパンダの速度が、
図9の区間940に対応し、この状況における第1のエキスパンダの現在速度が、
図9の区間941に対応する。正のバイアスを(区間940で示されるように)第2のエキスパンダの速度に適用することによって、第2のエキスパンダの速度は(
図9の区間940で示されるように)SPEED_Hより大きいままであり、したがって、望ましくない速度領域の外のままであることに留意されたい。
【0102】
S860での比較によって、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_HHより大きいとき(すなわち、S860からYESに分岐)、第2のエキスパンダの速度は、S865で、第1のエキスパンダの現在速度に等しくなるように設定される。
【0103】
仮に、S850での比較によって、第2のエキスパンダの速度がSPEED_Hより小さいならば(すなわち、S850からNOに分岐)、第2のエキスパンダの速度は、もはや正にバイアスされず、第2のエキスパンダの速度は、S870で再び負に(Ref_B=Exp_A−(Exp_A−SPEED_LL)×GAIN)バイアスされる。第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることと負にバイアスすることとの間でシステムが往復反転することを避けるために、第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることから負にバイアスすることへの遷移、および第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることから正にバイアスすることへの遷移は、仮に2つのエキスパンダに対する流量の速度従属性が、それぞれの遷移速度領域内で線形であるとみなされるならば、実質的に同じTRANSITION FLOW値において発生する。
【0104】
第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることへのこの遷移の間、速度の変化速度の絶対値は変化速度の最大値より小さいという制約は、守られうる。新しく適用された速度の負のバイアスは、2エキスパンダシステムにまたがる圧力降下の分布が変化することを確定する。第1のエキスパンダの現在速度は増加する。ひとたび第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることへの遷移が(速度の変化速度に関する制約による遅延を考慮に入れて)完了すれば、第2のエキスパンダの速度は、望ましくない速度領域の外にある。システムがこの状態に到達するのを可能にするために、S845で守られる遅延と同様に、S875で遅延が守られる。
図8のS845およびS875での遅延は、等しくてよく、または異なる値を有してよい。遅延は、MAX_TIMEに等しくてよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、仮に、S845での遅延の後、第2のエキスパンダの速度がSPEED_Hより小さいならば、たとえガス流量がTRANSITION FLOW値以下であっても、警報信号が、(例えば、
図2の制御器160によって)発せられてよい。
【0106】
第2のエキスパンダの速度を正にバイアスすることから第2のエキスパンダの速度を負にバイアスすることへの遷移は、ガス流量の減少と同時に起こりうるので、遷移中の第1のエキスパンダの現在速度が、
図9の破線の円弧951として示され、第2のエキスパンダの速度が、
図9の破線の円弧950で示される。
【0107】
遷移の後、仮にS830での比較によって、ガス流量が、第2のエキスパンダの速度がSPEED_Lより小さいままである(すなわち、S830からNOに分岐)ような量であり、かつS810での比較によって、第1のエキスパンダの現在速度がSPEED_LLより大きい(すなわち、S810からYESに分岐)ならば、第2のエキスパンダの速度は、S820で負のバイアスを有するように設定される、等々。
【0108】
図8に示し、
図9を参照して説明する方法によれば、第2のエキスパンダの速度は、ガス流量がTRANSITION FLOW値を通過するとき、速度の最大変化速度が許容する限り速やかに望ましくない領域を通って変化する。それゆえ、第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域を通る遷移時間は、エキスパンダの速度が等しく、ガス流量が変化する速度にのみ相関性がある場合と比べて、低減される。
【0109】
一実施形態によれば、
図10に示すように、制御器1000(例えば、
図2の160)は、インターフェース1010および処理ユニット1020を含む。制御器は、第1のエキスパンダ(例えば、
図2の110)がガスを第2のエキスパンダ(例えば、
図2の120)に出力し、第1および第2のエキスパンダのそれぞれが、2エキスパンダのシステムを通過するガス流量と相関性のある速度で回転する羽根車(例えば、
図2の122および124)を含む、2エキスパンダのシステム(例えば、
図2の100)に接続されてよい。
【0110】
インターフェース1010は、第1のエキスパンダの現在速度についての情報を受け、第2のエキスパンダの設定速度を(例えば、
図2の調整器140に)出力するように構成されてよい。一実施形態では、インターフェースはまた、第2のエキスパンダの現在速度についての情報を受けてよい。しかし、第2のエキスパンダの現在速度は、以前の第2のエキスパンダの設定速度のうちの最新のものであるとみなしてよい。
【0111】
処理ユニット1020は、インターフェース1010に接続され、
図8および
図9を使用して上で説明したプロセスに基づいて第2のエキスパンダの設定速度を確定するように構成されてよい。処理ユニット1020は、第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域(例えば、
図9に示すようにSPEED_LLとSPEED_HHとの間)内であり、かつ流体流量が所定の流量値(例えば、
図9のTRANSITION FLOW)より小さいときに、第2のエキスパンダの設定速度を、第1のエキスパンダの現在速度より小さくなるように確定してよい。この場合は、第2のエキスパンダの設定速度は、第1のエキスパンダの現在速度と負のバイアス量との差である。
【0112】
処理ユニット1020は、流体流量が所定の値より大きく、かつ第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域内にあるときに、第2のエキスパンダの設定速度を、第1のエキスパンダの現在速度より大きくなるように確定してよい。したがって、この場合は、第2のエキスパンダの設定速度は、第1のエキスパンダの現在速度と正のバイアス量との間の和である
一実施形態では、処理ユニット1020は、速度が第1の速度値に向かって増加し、到達するときに、流体流量が所定の流量値に向かって増加し、到達するかどうかを確定するために、第2のエキスパンダの速度を第1の速度値(例えば、
図9のSPEED_L)と比べるようにさらに構成されてよい。また、処理ユニット1020は、速度が第2の速度値に向かって減少し、到達するときに、流体流量が所定の流量値に向かって減少し、到達するかどうかを確定するために、第2のエキスパンダの速度を第2の速度値(例えば、
図9のSPEED_H)と比べるようにさらに構成されてよい。第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域は、第1の速度値と第2の速度値との間であってよい。
【0113】
別の実施形態では、処理ユニット1020は、第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域の外にあるときに、第2のエキスパンダの設定速度を、第1のエキスパンダの現在速度に等しくなるように確定するようにさらに構成されてよい。
【0114】
別の実施形態では、処理ユニット1020は、第2のエキスパンダの速度が、第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域内に、所定の時間間隔より長く留まるときに、警報を発生するようにさらに構成されてよい。
【0115】
別の実施形態では、処理ユニット1020は、流体流量が所定の流量値より小さいときに、第2のエキスパンダの設定速度と第1のエキスパンダの現在速度との間の差の絶対値を、第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域内の最小速度値(例えば、
図9のSPEED_LL)との間の差に比例するように、第2のエキスパンダの設定速度を確定するように、さらに構成されてよい。
【0116】
別の実施形態では、処理ユニット1020は、流体流量が所定の流量値より大きいときに、第1のエキスパンダの現在速度と第2のエキスパンダのために設定された速度との間の差の絶対値が、バイアス適用領域内の最大速度値(例えば、
図9のSPEED_HH)と第1のエキスパンダの現在速度との間の差に比例するように、第2のエキスパンダの設定速度を確定するように、さらに構成されてよい。
【0117】
別の実施形態では、処理ユニット1020は、第2のエキスパンダの速度を変化させる速度の絶対値が所定の最大速度値より小さくなるように、第2のエキスパンダの設定速度を確定するように、さらに構成されてよい。
【0118】
別の実施形態では、処理ユニット1020は、複数のバイアス適用領域および対応する流体流量の所定の流量値に対して、第2のエキスパンダの設定速度を確定するように、さらに構成されてよい。
【0119】
別の実施形態によれば、
図11は、
図8の方法を実施するように構成された電子装置1100を示す図である。電子装置は電子部品で作製され、第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)を含む第1のエキスパンダの速度信号および第2のエキスパンダの現在速度(Exp_B)を、第2のエキスパンダの設定速度(Ref_B)を含む第2のエキスパンダの速度信号に変換することができる。
【0120】
電子装置1100は、第2のエキスパンダの信号発生ブロック1110およびバイアススイッチ信号発生ブロック1120を含む。第2のエキスパンダの信号発生ブロック1110は、第1のエキスパンダの速度信号(Exp_A)を受け、バイアススイッチ信号発生ブロック1120は、第2のエキスパンダの現在速度(Exp_B)を受ける。第2のエキスパンダの現在速度は、センサで測定されてよく、または以前の第2のエキスパンダの設定速度のうちの最新のものであるとみなしてよい。
【0121】
第2のエキスパンダの信号発生ブロック1110は、異なる機能を実施するための3つの経路に沿って整列された部品を含む。第1の経路1130に沿って整列された部品は、第1のエキスパンダの速度信号を加算/減算回路1132に前送するように構成される。第2の経路1134に沿って整列された部品は、第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域の下限(SPEED_LL)との間の差に比例する信号を発生するように構成される。第3の経路1135に沿って整列された部品は、バイアス適用領域の上限(SPEED_HH)と第1のエキスパンダの現在速度との間の差に比例する信号を発生するように構成される。
【0122】
第2の経路1134および第3の経路1135は、それぞれ、クランプ回路1136および1137を含む。クランプ回路1136および1137によって、仮に第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がバイアス適用領域の外にある(すなわち、SPEED_HHより大またはSPEED_LLより小)ならば、第2の経路1134および第3の経路1135から出力される信号は、それぞれ、0.0の値を有する。また、クランプ回路1136および1137によって、第2の経路1134および第3の経路1135は、絶対値で最大許容速度差(SPEED_DIFF)より大きくない信号を出力する。したがって、第2の経路1134で出力される負のバイアス量は、仮に第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域の下限(SPEED_LL)との間の差が0より大きいならば、その差に比例する正の値である(そうでない場合は、0が出力される)。また、負のバイアス量は、最大許容速度差(SPEED_DIFF)より小さい絶対値などに制限される。
【0123】
第3の経路1135で出力される正のバイアス量は、仮に第1のエキスパンダの現在速度とバイアス適用領域の上限(SPEED_HH)との間の差が0より小さいならば、その差に比例する負の値であり(そうでない場合は、0が出力される)、その差の絶対値は、最大許容速度差(SPEED_DIFF)より小さい。
【0124】
第2のエキスパンダの信号発生ブロック1110は、バイアススイッチ信号発生ブロック1120から受けたバイアススイッチ信号にしたがって、第1の経路1134からまたは第2の経路1135から受けた1つの信号であるバイアス値信号を伝送するように構成されたスイッチ1138をさらに含む。次いで、スイッチ1138から出力されたバイアス値信号は、利得部品1140において利得を乗ぜられる。次いで、利得部品1140によって出力された乗ぜられたバイアス信号は、第2のエキスパンダの速度の現在の変化速度が第2のエキスパンダの設定速度の最大変化速度を超えないように、拡縮されたバイアス信号を制限するフィルタ部品1142に入力される。フィルタ1142から出力された最終のバイアス信号が、加算/減算回路1132において第1のエキスパンダの速度信号から減じられ、次いで、信号Ref_Bとして、リンク1133を介して第2のエキスパンダ120に供給される。
【0125】
バイアス信号発生ブロック1120は、フリップフロップ回路1154への入力を供給する、2つの経路1150および1152を含む。仮に第2のエキスパンダの現在速度が、第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な望ましくない速度領域の下限(SPEED_L)より大きいならば、経路1150が、フリップフロップ回路1154に「1」すなわち高の信号をもたらす。仮に第2のエキスパンダの現在速度が、第2のエキスパンダの完全性に対して不安全な望ましくない速度領域の上限(SPEED_H)より小さいならば、経路1152が、フリップフロップ回路1154に「1」すなわち高の信号をもたらす。1150および1152の両経路が「1」すなわち高の信号をもたらすときは、第2のエキスパンダの現在速度は、正にバイアスされることと負にバイアスされることとの間を遷移中の、望ましくない領域の中にある。それゆえ、フリップフロップ回路1154で出力されるバイアススイッチ信号の変化は発生しない。フリップフロップ回路1154で出力されるバイアススイッチ信号は、バス1155に沿ってスイッチ1138に供給される。受けたバイアススイッチ信号に基づいて、仮に第2のエキスパンダの現在速度が望ましくない速度領域の下限(SPEED_L)より小さいことをバイアススイッチ信号が示すならば、スイッチ1138は、第2の経路1134を加算/減算回路1132に接続し、仮に第2のエキスパンダの現在速度が望ましくない速度領域の上限(SPEED_H)より小さいことをバイアススイッチ信号が示すならば、第3の経路1135を加算回路1132に接続する。フリップフロップ1154の前に配置された2つのANDブロック1157および1159は、バイアスを正しい方向にスイッチングして、バイアス信号発生ブロック1120のちらつき(flickering)を避けることを確実にする。したがって、流量の実際の値を知る必要はない。
【0126】
また、バイアススイッチ信号発生ブロック1120は、第2のエキスパンダの現在速度が、所定の時間間隔より長い間、望ましくない領域内の値を取るときに、警報を発する警報ブロック1160を含む。遅延回路1156および1158は、それぞれ、
図8のステップS845およびS875の実施を確実にする。
【0127】
電子装置1100は、
図8に示す方法を実施するように構成される。第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がバイアス適用領域の外にある(すなわち、SPEED_LLより小またはSPEED_HHより大)ときに、クランプ回路1136および1137によって、0信号が、加算/減算回路1132において第1のエキスパンダの速度信号に加えられる。第1のエキスパンダの現在速度(Exp_A)がバイアス適用領域の中にある(すなわち、SPEED_LLより大およびSPEED_HHより小)ときに、正のバイアス信号または負のバイアス信号が、加算/減算回路1132において第1のエキスパンダの速度信号に加えられる。
【0128】
正のバイアス信号または負のバイアス信号が、加算/減算回路1132において第1のエキスパンダの速度信号に加えられるかどうかは、上で説明したやり方で、バイアススイッチ信号発生ブロック1120から受けたバイアススイッチ信号によって決まる。第2のエキスパンダの速度信号は、加算回路1132で出力される信号である。
【0129】
図12は、一実施形態による、第2のエキスパンダの望ましくない速度領域内の速度で第2のエキスパンダを運転する時間を低減するために、第1のエキスパンダで出力された流体流を受ける第2のエキスパンダの速度を自動的に設定する方法の流れ図である。
【0130】
方法1200は、S1210で、第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域内にあり、第2のエキスパンダの現在速度が増加しておりかつ第1の速度値より小さいか、または減少しておりかつ第2の速度値より小さいときに、第1のエキスパンダの現在速度より小さくなるように第2のエキスパンダの速度を設定するステップを含む。
【0131】
方法1200は、S1220で、第1のエキスパンダの現在速度がバイアス適用領域内にあり、第2のエキスパンダの現在速度が増加しておりかつ第1の速度値より大きいか、または減少しておりかつ第2の速度値より大きいときに、第1のエキスパンダの現在速度より大きくなるように第2のエキスパンダの速度を設定するステップをさらに含む。
【0132】
開示された例示的実施形態は、第1のエキスパンダの完全性に対して不安全な速度領域を通る遷移時間を、第1のエキスパンダで出力された流体流を受ける第2のエキスパンダの速度に自動的にバイアスをかけることによって低減する方法、制御器および装置を提供する。この説明は、本発明を限定することを意図するものでないことを理解されたい。その反対に、例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲内に含まれる代替形態、改変形態および等価形態を包含することを意図するものである。さらに、例示的実施形態の詳細な説明において、多数の具体的な詳細が、特許請求される発明の包括的な理解をもたらすために説明される。しかし、種々の実施形態が、そのような具体的な詳細がなくとも実施されうることは、当業者には理解されよう。
【0133】
上で説明した方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの組合せで実施されてよい。
【0134】
例示的な本実施形態の特徴および要素は、特定の組合せにおける実施形態において説明されているが、各特徴および各要素は、本実施形態の他の特徴および要素なしに単独で使用されてよく、または本明細書で開示された他の特徴および要素を伴うかもしくは伴わない種々の組合せの中で使用されてよい。
【0135】
この書面による説明は、任意の装置もしくはシステムを作製し使用すること、および任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、当業者が同等物を実施することを可能にするために開示された主題の例を使用する。特許性のある主題の範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、本特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。