(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
屋根上にソーラーパネル等の面状物品を設置固定できる支持固定金具であって、長尺状の縦枠部材(10)と、この縦枠部材(10)の長手方向に移動可能で、縦枠部材(10)の適宜位置で固定される中間固定部材(20)と、この中間固定部材(20)に固定される押え部材(30)とからなり、中間固定部材(20)を縦枠部材(10)の適宜位置で固定し、押え部材(30)によって面状物品の縁部を固定することができる面状物品の支持固定金具であって、
縦枠部材(10)の上面側部分(11)が、横断面チャンネル形状を有してその上面長手方向に溝条部(12)を有するものからなり、
この縦枠部材(10)の下方側部分は当該屋根上でその流れ方向に固定され、
中間固定部材(20)は、この横断面チャンネル形状の内部で、長手方向に移動可能な基礎部(21)と、この基礎部(21)の上面から上方に延長する螺子棒(25)と螺着して固定される上方固定部(23)とから成り、
この上方固定部(23)の上端部から上方に延長する螺子棒に前記押え部材(30)が螺着されることによりソーラーパネル等の面状物品の縁部を固定でき、
前記中間固定部材(20)の上方固定部(23b)の上下方向長さを長く形成し、この上方固定部(23b)の上端部には上方に延長する螺子棒(23s)を設けて、この螺子棒(23s)に押え部材(30)を螺着することができ、この上方固定部(23b)の上端部には段部(23d)を形成して前記面状物品の縁部を載置することができ、
これら中間固定部材(20)の少なくとも2つを略平行に配列された縦枠部材(10, 10)の一方の側に配置することにより、面状物品を縦枠部材(10, 10)に対して斜めに傾斜させた状態に設置固定することができることを特徴とする面状物品の支持固定金具。
前記中間固定部材の上方固定部(23c)を更に下方に位置する基礎固定部(26)とその上方に位置する上部固定部(28)とから形成し、この上部固定部(28)が基礎固定部(26)に対して上下方向に往復移動可能に形成することにより、中間固定部材の高さを高低自在に調整でき、面状物品の設置傾斜角度を異ならせることができることを特徴とする請求項1に記載の面状物品の支持固定金具。
基礎固定部(26)が、上方開口の略コ字形状を有して上方に延長する2つの延長腕部(26u, 26u)を有し、上部固定部(28)が、下方開口の略コ字形状を有して下方に延長する2つの脚部(28k, 28k)を有し、これらの延長腕部(26u, 26u)と脚部(28k, 28k)とは相互に上下に往復摺動可能に形成し、延長腕部(26u, 26u)又は脚部(28k, 28k)に複数の螺子穴を、脚部(28k, 28k)又は延長腕部(26u, 26u)のそれぞれの対応する部位には長条穴部を形成し、前記螺子穴を選択して螺子により螺着することにより中間固定部材の高さ調整ができることを特徴とする請求項2に記載の面状物品の支持固定金具。
前記縦枠部材(10, 10)と略直交するようにこの縦枠部材(10, 10)の上に横枠部材(16, 16)を設置固定し、この横枠部材(16, 16)に前記中間固定部材を固定できるようにし、これにより面状物品を横枠部材(16, 16)に支持固定することができるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の面状物品の支持固定金具。
屋根上にソーラーパネル等の面状物品を設置固定できる支持固定方法であって、長尺状の縦枠部材(10)と、この縦枠部材(10)の長手方向に移動可能で、縦枠部材(10)の適宜位置で固定される中間固定部材(20)と、この中間固定部材(20)に固定される押え部材(30)とを使用し、中間固定部材(20)を略平行に配列された縦枠部材(10)の適宜位置で固定し、押え部材(30)で前記面状物品の縁部を固定する面状物品の支持固定方法であって、
縦枠部材(10)として、その上面側部分(11)が、横断面チャンネル形状を有してその上面長手方向に溝条部(12)を有し、その下方側部分は当該屋根上でその流れ方向に固定されるものを使用し、
中間固定部材(20)として、この横断面チャンネル形状の内部で、長手方向に移動可能な基礎部(21)と、この基礎部(21)に螺着されて固定される上方固定部(23)とから成るものを使用し、
この上方固定部(23)の上端部から上方に延長する螺子棒に押え部材(30)を螺着してソーラーパネル等の面状物品の縁部を固定することにより面状物品を支持固定することができ、
前記中間固定部材(20)の上方固定部(23b)の上下方向長さを長く形成し、この中間固定部材(20)の少なくとも2つを略平行に配列された縦枠部材(10, 10)の一方の側に配置することにより、面状物品を縦枠部材(10, 10)に対して斜めに傾斜させた状態に設置固定することができる面状物品の支持固定方法。
前記中間固定部材の上方固定部(23c)を下方に位置する基礎固定部(26)とその上方に位置する上部固定部(28)とから形成し、この上部固定部(28)が基礎固定部(26)に対して上下方向に往復移動可能に形成することにより、中間固定部材の高さを高低自在に調整できることを特徴とする請求項5に記載の面状物品の支持固定方法。
前記縦枠部材(10, 10)と略直交するようにこの縦枠部材(10, 10)の上に横枠部材(16, 16)を設置固定し、この横枠部材(16, 16)に前記中間固定部材を固定できるようにし、これにより面状物品を横枠部材(16, 16)に支持固定することができるようにしたことを特徴とする請求項5又は6に記載の面状物品の支持固定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の固定金具においては、ソーラーパネル等を支持するに際して、その支点となる支持部は、特許文献1における金具では、その金具本体のそれ自体が支点となり、ソーラーパネル等の面状物品をその複数の金具本体の部位で支持することとなる。
他方、特許文献2における固定金具においても、その支持点は、第一挟持部材と第二挟持部材が折板屋根のはぜ部で支持されることとなり、前記特許文献1と同じ一点支持となる。
このように、従来の固定金具においては、ソーラーパネル等の面状物品を支持するに際して、固定金具の折板屋根上の取付位置での点による支持となり、屋根部に及ぼす荷重を考慮すると、屋根の痛みの防止及び屋根の撓みの軽減という観点から改善すべき点が残されていた。
【0008】
そこで本願出願人は、上記課題を解決するために鋭意研究し、従来の固定金具の点による支持を改良してより広い、線による支持或いは面による支持を実現することをその第一の課題とし、特願2011−30106号として、取り分け、はぜ継ぎ折板屋根用の固定金具及び固定方法を提案した。
本発明においては、上記先願発明がはぜ継ぎ折板屋根用のものであるのに対して、より幅広く各種形態の屋根又は壁面に適用できるものを提案することを課題とする。
また、本発明においては、屋根の流れ方向(棟側から軒側へ向かう方向。以下同じである。)の面が必ずしも南向きに向いていないこと、又は、屋根の傾斜が少ない又はフラットなもの等を考慮して、面状物品がより太陽光の照射を良好に受けることができるようにすることをその課題とする。
更に、上記先願と同様に、面状物品の設置及び支持に際して、サイズの異なる面状物品に対しても容易に対応でき、その固定位置を柔軟に変更できる固定金具を提供すること、面状物品を並列する際に、隣接する面状物品同士をも適切に、より相応しく固定できることも本発明の課題である。
勿論、取付容易化、設置作業の省力化にも寄与することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、折板屋根及び波形スレート屋根等の各種形状の屋根上又は壁面にソーラーパネル等の面状物品を設置固定できる支持固定金具であって、長尺状の縦枠部材と、この縦枠部材の長手方向に移動可能で、縦枠部材の適宜位置で固定される中間固定部材と、この中間固定部材に固定される押え部材とからなり、中間固定部材を縦枠部材の適宜位置で固定し、押え部材によって面状物品の縁部を固定することができる面状物品の支持固定金具であって、縦枠部材の上面側部分が、横断面チャンネル形状を有してその上面長手方向に溝条部を有するものからなり、中間固定部材は、この横断面チャンネル形状の内部で、長手方向に移動可能な基礎部と、この基礎部の上面から上方に延長する螺子棒と螺着して固定される上方固定部とから成り、この上方固定部に前記押え部材が螺着されることによりソーラーパネル等の面状物品の縁部を固定できることを特徴とする面状物品の支持固定金具である。
【0010】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記上方固定部が固定される前記基礎部の螺子棒が上方固定部の更に上方に延長し、前記押え部材がこの螺子棒に螺着されることを特徴とする面状物品の支持固定金具である。
【0011】
本発明の第3のものは、上記第1の発明において、前記中間固定部材の上方固定部の上下方向長さを長く形成し、この上方固定部の上端部には上方に延長する螺子棒を設けて、この螺子棒に押え部材を螺着することができ、この中間固定部材の少なくとも2つを略平行に配列された縦枠部材の一方の側に配置することにより、面状物品を縦枠部材に対して斜めに傾斜させた状態に設置固定することができることを特徴とする面状物品の支持固定金具である。
【0012】
本発明の第4のものは、上記第3の発明において、前記中間固定部材の上方固定部を更に下方に位置する基礎固定部とその上方に位置する上部固定部とから形成し、この上部固定部が基礎固定部に対して上下方向に往復移動可能に形成することにより、中間固定部材の高さを高低自在に調整でき、屋根上面状物品の設置傾斜角度を異ならせることができることを特徴とする面状物品の支持固定金具である。
【0013】
本発明の第5のものは、上記第4の発明において、基礎固定部が、上方開口の略コ字形状を有して上方に延長する2つの延長腕部を有し、上部固定部が、下方開口の略コ字形状を有して下方に延長する2つの脚部を有し、こられの延長腕部と脚部とは相互に上下に往復摺動可能に形成し、延長腕部又は脚部に複数の螺子穴を、脚部又は延長腕部のそれぞれの対応する部位には長条穴部を形成し、前記螺子穴を選択して螺子により螺着することにより中間固定部材の高さ調整ができることを特徴とする面状物品の支持固定金である。
【0014】
本発明の第6のものは、上記第1乃至第5の発明のそれぞれにおいて、前記縦枠部材と略直交するようにこの縦枠部材の上に横枠部材を設置固定し、この横枠部材に前記中間固定部材を固定できるようにし、これにより面状物品を横枠部材に支持固定することができるようにしたことを特徴とする面状物品の支持固定金具である。
【0015】
本発明の第7のものは、折板屋根及び波形スレート屋根等の各種形状の屋根上にソーラーパネル等の面状物品を設置固定できる支持固定方法であって、長尺状の縦枠部材と、この縦枠部材の長手方向に移動可能で、縦枠部材の適宜位置で固定される中間固定部材と、この中間固定部材に固定される押え部材とを使用し、中間固定部材を略平行に配列された縦枠部材の適宜位置で固定し、押え部材で前記面状物品の縁部を固定する面状物品の支持固定方法であって、縦枠部材として、その上面側部分が、横断面チャンネル形状を有してその上面長手方向に溝条部を有するものを使用し、中間固定部材として、この横断面チャンネル形状の内部で、長手方向に移動可能な基礎部と、この基礎部に螺着されて固定される上方固定部とから成るものを使用し、この上方固定部に押え部材を螺着してソーラーパネル等の面状物品の縁部を固定することにより面状物品を支持固定することができる面状物品の支持固定方法である。
【0016】
本発明の第8のものは、上記第7の発明において、前記中間固定部材の上方固定部の上下方向長さを長く形成し、この中間固定部材の少なくとも2つを縦枠部材の一方の側に配置することにより、面状物品を縦枠部材に対して斜めに傾斜させた状態に設置固定することができることを特徴とする面状物品の支持固定方法である。
【0017】
本発明の第9のものは、上記第8の発明において、前記中間固定部材の上方固定部を下方に位置する基礎固定部とその上方に位置する上部固定部とから形成し、この上部固定部が基礎固定部に対して上下方向に往復移動可能に形成することにより、中間固定部材の高さを高低自在に調整できることを特徴とする面状物品の支持固定方法である。
【0018】
本発明の第10のものは、上記第7乃至第9の何れかの発明において、前記縦枠部材と略直交するようにこの縦枠部材の上に横枠部材を設置固定し、この横枠部材に前記中間固定部材を固定できるようにし、これにより面状物品を横枠部材に支持固定することができるようにしたことを特徴とする面状物品の支持固定方法である。
【0019】
本発明の第11のものは、上記第7の発明において、前記屋根に代えて、各種壁材からなる壁面に前記縦枠部材を略平行に設置固定して面状物品を支持し固定することができることを特徴とする面状物品の支持固定方法である。
【0020】
本発明の第12のものは、上記第8又は第9の発明において、前記屋根に代えて、各種壁材からなる壁面に前記縦枠部材を略平行に設置固定し、前記中間固定部材の少なくとも2つを縦枠部材の一方の側に配置することにより、面状物品を縦枠部材に対して斜めに傾斜させた状態に設置固定することができることを特徴とする面状物品の支持固定方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1のものにおいては、固定金具の構成要素である縦枠部材の下方側部分の構造は、適宜設置する屋根の形態に適合するような形態に設計することができ、他方その上面側部分を横断面チャンネル形状のものを採用して、その上面長手方向に溝条部を有するものを使用している。
この縦枠部材によって、屋根上に設置される面状物品は、点での支持でなく、線上又は面上での支持となる。即ち、屋根部の痛みを防止し、その撓みも軽減することができ、屋根部の長寿命化に寄与することとなるのである。
【0022】
即ち、従来の金具であれば、例えば太陽光パネル(ソーラーパネル)を設置する際、局所的に支持されるため、屋根へのたわみや負担(痛み・ストレス(撓み)等…)が大きいことによる問題が残されていたが、本発明では、長尺状のレール状の縦枠部材を略平行に連続的に設置するため、負担が均等に掛かり、屋根への影響が大幅に軽減されるのである。同様にたわみに関しても同じである。
【0023】
また、中間固定部材は、縦枠部材上でその長手方向の何れの箇所にも固定することができ、設置される面状物品の異なるサイズに適宜対応させることが可能となる。
更に、面状物品の縁部を固定するに際して、中間固定部材を適宜位置に固定し、次に面状物品を縦枠部材に配置しつつ他方の側の中間固定部材を固定し、その後、押え部材を面状物品の縁部に当接して、その押え部材を中間固定部材の上方固定部に螺着することにより完了し、容易に固定することができることとなる。
【0024】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、中間固定部材の上方固定部と押え部材とを中間固定部材の基礎部に設けた螺子棒を利用して螺着可能に構成し、共に同時に固定できるようにしたものである。
これにより、その構造をより簡易なものとでき、省資源、省力化、施工容易化に寄与することとなる。
【0025】
本発明の第3のものにおいては、上記第1の発明の効果に加えて、中間固定部材の上方固定部の上下方向長さを長く形成し、この長さの長い中間固定部材の少なくとも2個を略平行に配列された縦枠部材の一方の側に(例えば、流れ方向の上方側に)配置することにより、面上物品を縦枠部材に対して斜めに傾斜した状態に設置固定することができる。
これにより、屋根部の傾斜が少ない場合又はフラットな場合に、面状物品の傾斜角度を屋根部の傾斜角度よりも大きくすることができ、これにより例えばソーラーパネルであれば、その太陽光の受光効率をより向上させることができることとなる。
壁面にソーラーパネルを設置する際は、例えば略平行に上下方向に配列された縦枠部材の下側にこの長さの長い中間固定部材を配置することにより受光効率を向上させることができる。
【0026】
本発明の第4のものにおいては、上記第3の発明において、中間固定部材の上方固定部を更に下方に位置する基礎固定部とその上方に位置する上部固定部とから形成し、この上部固定部が基礎固定部に対して上下方向に往復移動可能に形成することにより、屋根上又は壁面に設置された面状物品の設置傾斜角度を異ならせることができるようにしたものである。
これにより、面状物品の傾斜角度を適宜調整することができ、例えば、屋根の傾斜角度に応じてきめ細かく面状物品の傾斜角度を設定して最も受光効率の良い傾斜角度で固定することができるのである。
【0027】
本発明の第5のものにおいては、上記第4の発明と同じ効果を有するものであるが、中間固定部材の基礎固定部と上部固定部の形態をより限定したものである。
即ち、基礎固定部が、上方開口の略コ字形状を有して上方に延長する2つの延長腕部を有し、上部固定部が、下方開口の略コ字形状を有して下方に延長する2つの脚部を有し、これらの延長腕部と脚部とは相互に上下に往復摺動可能に形成し、延長腕部又は脚部に複数の螺子穴を、脚部又は延長腕部のそれぞれの対応する部位には長条穴部を形成し、前記螺子穴の何れかを選択して螺子により螺着することにより中間固定部材の高さ調整を容易にできるようにしたものである。
【0028】
本発明の第6のものにおいては、上記第1乃至第5のそれぞれの発明において、縦枠部材に略直交する横枠部材を設け、この横枠部材に中間固定部材を往復動可能に固定できるようにしたものである。
これにより、ソーラーパネル等の面状物品を横枠部材上に設置固定することができ、屋根部表面との間隔をより広く取るばかりでなく、一方の側の中間固定部材の上方固定部としてより長さの長いもの、或いは高さ調整可能なものを使用することにより、ソーラーパネルの傾斜向きを横枠部材に対して傾斜させることができる、つまり、縦枠部材に対しては言わばひねりを加えた傾斜角度に設置固定することができることとなる。
【0029】
更に詳説すれば、建築物の屋根の流れ方向の表面は、常に南側を向いているとは限らず、例えば、その屋根の流れ方向表面が東側を向いている場合には、この横枠部材を縦枠部材の上に直交するように複数本設置して固定し、この横枠部材にソーラーパネルを設置するのであるが、その際に、一方の側の中間固定部材として長いものを使用し、或いは、高さ調整可能な中間固定部材を適宜高さに設定して固定することによって、このソーラーパネルを横枠部材に対して傾斜状態に設置固定することができ、それ故、太陽の位置する南側に向けてソーラーパネルの表面を設置固定することができることとなるのである。
【0030】
本発明の第7のものにおいては、上記発明の如き固定金具を用いて面状物品を屋根上に設置し固定する固定方法に関するものである。
この固定方法を用いることにより、その固定金具に係る縦枠部材が各種形態の屋根の例えば突条部に固定され、その上方で中間固定部材と押え部材とが支持されることとなり、屋根の突条部の全体が固定金具及び面状物品の荷重を支持することとなり、いわばその支持部分が線状の或いは帯状の支持面と成り、従来の固定金具の点による支持と異なり、屋根自体に及ぼす負荷が屋根の突条部等の全体に及ぶこととなり、極めて安心、安全な支持方法を実現できることとなり、屋根部の痛みの防止とその撓みの軽減化を図ることができ、屋根部の長寿命化に寄与することとなる。
【0031】
また、中間固定部材は、縦枠部材上でその長手方向の何れの箇所にも固定することができ、設置される面状物品のサイズに適宜対応させることが可能となり、異なるメーカーの物品であっても容易に固定できることとなる。
更に、面状物品の縁部を固定する手段としては、その最上部の押え部材と中間固定部材とを螺子等の締着手段による相互締め付けを採用しており、押え部材を面状物品の縁部に当接して、その押え部材を、縦枠部材に固定された中間固定部材に螺子等の締着手段により締着するだけで完了し、容易に固定することができる。
【0032】
本発明の第8のものにおいては、上記第3の発明と同様に、縦枠部材に固定される中間固定部材の上方固定部を長く形成したものを使用しているために、この中間固定部材の少なくとも2つを縦枠部材の一方の側に、例えば、流れ方向の上方側に配置することにより、面状物品を縦枠部材に対して斜めに傾斜させた状態に設置固定することができることとなる。
その効果は、上記第3の発明と同じである。
【0033】
本発明の第9のものにおいては、上記第4の発明と同様に、中間固定部材の上方固定部を更に下方に位置する基礎固定部とその上方に位置する上部固定部とから形成し、この上部固定部が基礎固定部に対して上下方向に往復移動可能に構成することにより、屋根上に設置する面状物品の設置傾斜角度を異ならせることができるものである。
その効果は、上記第4の発明と同じである。
【0034】
本発明の第10のものは、上記第6の発明と同様に、前記縦枠部材と略直交するようにこの縦枠部材の上に横枠部材を設置固定し、この横枠部材に前記中間固定部材を固定できるようにし、これにより面状物品を横枠部材に支持固定することができるようにした固定方法である。
その効果は、上記第6の発明と同じであって、面状物品の表面を所望の方向に設置することができることとなる。
【0035】
本発明の第11のものは、上記第7の発明に係る同様の構成部材を用いて、その支持固定金具をそのまま壁材に取り付けることも可能である旨を特定したものである。
本発明に係る支持固定方法は、同じ構成部材を用いて、例えば波形スレートから成る壁材にも取り付けて固定することができることを明確にしたものである。
本発明の第12のものにおいても、その中間固定部材(長さの長いもの又は長さ調整可能なもの)の少なくとも2つを略平行に配列された縦枠部材の下方側に配置することにより、面状物品を傾斜状態に壁面に設置固定することができることとなるのである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態について図示したものであり、傾斜した折板屋根上にソーラーパネルを平置き設置する状態を図示しており、右下側が設置完了図、左上側が設置前の分解状態の説明図である。
【0038】
本発明に係る支持固定金具は、例えば、
図1に示した折板屋根R1の突条部Rtに、屋根の流れ方向Dに沿って設置固定される縦枠部材10と、この縦枠部材10の上端部をその長手方向に移動可能に配置固定される中間固定部20と、この中間固定部材20に固定される押え部材30とからなる。これらの構成要素は全て金属製である。
【0039】
それぞれの構成部材は次の
図2により詳説するが、縦枠部材10の上面側部分は、横断面チャンネル形状を有しており、その中央長手方向の全体に溝条部12が設けられている。
この縦枠部材10のチャンネル形状の内部に中間固定部材20の基礎部が配設され、基礎部の上面からは上方に延長する螺子棒25が設けられ、この螺子棒25に上方固定部が螺着される。
図1の左上側の中間固定部材20は、丁度この上方固定部が基礎部の螺子棒25に螺着され、固定されている状態を図示している。
【0040】
この螺子棒25には更に上方の押え部材30が螺着され、この押え部材30がソーラーパネル等の面状物品の縁部Sを上から押圧して固定できるのである。
尚、本発明の支持固定金具は、上記のような折板屋根ばかりでなく、はぜ付き折板屋根や波形スレート屋根等の上に設置して固定することができるものである。
【0041】
図2は、上記第1の実施形態に係る支持固定金具のそれぞれの構成要素を示しており、その(A)が傾斜屋根の流れ方向手前側の固定部を、その(B)が中間固定部を、その(C)が棟側の後方固定部を、その(D)が断面を示している。尚、この
図2においては、はぜ付き折板屋根に設置固定した状態を示している。
図3は、これら構成要素のそれぞれに関する分解説明図であり、その(A)が手前側の固定部、その(B)が中間固定部、その(C)が棟側の後方固定部のものである。
【0042】
以下、
図2及び
図3を利用してそれぞれの構成要素について説明する。
手前側の固定部と棟側の後方固定部の構成は同一であって対称であり、中間部の固定部は、押え部材のみその形態が異なる。
縦枠部材10は、はぜ付き折板屋根R2の外形形状に沿うような形態を有する左右対称のものを相互に接合して形成されており、その上面側部分11は、横断面チャンネル形状に形成され、その上面部中央の長手方向に溝条部12がその全体に渡り設けられている。
【0043】
この縦枠部材10には、はぜ付き折板屋根R2のはぜ部Rhに適合する形状に膨出部13を設けているが、この膨出部13の形態をそのままにして、はぜ部が設けられていない折板屋根にそのまま設置して固定することもできる。
この縦枠部材10の上面側部分11の内部に中間固定部材20の基礎部21が導入される。
この基礎部21の略中央部位には上方に延長して垂立する螺子棒25が設けられ、この螺子棒25に上方固定部23が螺着され、中間固定部材20が縦枠部材10の所望位置で固定されるのである。
【0044】
基礎部21は、上方が開口した横断面コ字形状を有しており(
図3(A)(C)参照)、その両側の上向き延長部21t、21tの上端縁が縦枠部材10の上面側部分11の上面部の内面と良好に当接する。
上方固定部23は、下端開口の横断面略コ字形状を有しており、その下端縁部には下方に延長する嵌合部22を有しており(
図3(A)(B)参照)、この嵌合部22が前記縦枠部材10の溝条部12に嵌まり込むように形成されている。
【0045】
これにより、基礎部21を縦枠部材10の上面側部分11内に導入し、適宜位置に配置し、この基礎部21から垂立する螺子棒25に上方固定部23が螺着され、固定される際に、上記嵌合部22が溝条部12内に嵌合してその固定が良好に行われる。
この上方固定部23が螺子棒25にワッシャ等を介してナットにより固定されると、この螺子棒25の先端部分は、上方固定部23の更に上方に延長した状態となる(
図1左上側分解図参照)。
【0046】
この上方に延長した螺子棒25に今度は押え部材30が螺着されることとなる。
即ち、押え部材30は、手前側固定部(
図2(A)及び
図3(A)参照)と後方固定部(
図2(C)及び
図3(C)参照)とは対称形に形成されており、直方体において底面部とソーラーパネルの縁部Sに接合する側面部が無い(欠けた)形状を有し、その上面部のソーラーパネル側に延長する鍔部30tが形成された形態を有するものからなる。
そして、その上面部略中央部には螺子挿通穴が形成され、前記螺子棒25がその螺子挿通穴に挿通されてナットにより螺着されることにより、この押え部材30は、ソーラーパネルの縁部Sを前記鍔部30tが押圧して固定することができるのである。
図2(A)(C)と
図3(A)(C)からよく解る通り、これら手前側固定部と後方固定部の構成は押え部材のみ対称で、その他の構成は同一である。
【0047】
図2(B)及び
図3(B)に示した中間固定部の位置においては、隣接したソーラーパネル2つのそれぞれの縁部S、Sを同時に固定するためのものであり、縦枠部材10は言うに及ばず、中間固定部材20の構成も同一であり、ただ押え部材30の形態のみ異なる。
即ち、この押え部材30は、平面視略矩形形状のプレート状体のものからなり、その両側にソーラーパネルの縁部Sを押圧し固定するための鍔部30t、30tがそれぞれ形成されている(
図3(B)参照)。
この押え部材30の略中央に設けられた螺子挿通穴に基礎部21から垂立する螺子棒25を挿通させ、螺着することにより、これらの鍔部30t、30tが隣接するソーラーパネルの縁部S、Sを固定することができることとなるのである。
【0048】
図4は、本発明の第2の実施形態を図示する説明図であって、波形スレート屋根上にソーラーパネル等の面状物品を傾斜させた状態に設置し固定することができるもので、右下側のものが設置完了状態のもの、左上側のものが設置前の分解状態を図示したものである。
前記第1実施形態においては、屋根の流れ方向に一定の傾斜角度がある場合の例であり、それ故、固定される面状物品は屋根の傾斜面に対して平置きしたが、この第2実施形態では、屋根部が平面の場合又はその傾斜角度が小さい場合に対処できるものである。
【0049】
その基本構成は、前記第1の実施形態と同様であって、波形スレート屋根R3の突条部に沿うように配設固定される縦枠部材10と、この縦枠部材10の長手方向に移動可能に配置固定される中間固定部材20と、この中間固定部材20に固定される押え部材30とから構成される。
【0050】
前記第1実施形態と異なる点は、縦枠部材10の構成と、棟側の後方固定部に配置される中間固定部材20の構成である。その他の構成部材は、前記第1実施形態と同じである。
先ず、縦枠部材10に関して、
図4においては、複数の基礎固定金具15を屋根上に固定し、この上に横断面チャンネル形状の縦枠部材10を配設固定した例を示している。
しかし、この基礎固定金具15をその長手方向に長く帯状に形成して、その上に縦枠部材10を固定し、又は一体的に形成することにより、縦枠部材10を帯状に屋根の突状部に接合して設置固定することができる。
【0051】
このような形態とすることにより、縦枠部材10の上面側部分11を横断面チャンネル形状に形成することができる。
このチャンネル形状の内部に中間固定部材20の基礎部が導入され、基礎部から垂立する螺子棒に上方固定部が固定される構成は、上記第1実施形態と同じである。
ここで、棟側の後方側固定部に設置固定される上方固定部23bの形態が上記実施形態と異なる。
【0052】
即ち、この上方固定部23bは、前記第1実施形態と異なり、その上下方向長さがそれよりも長いものを使用している。
そして、この上方固定部23bでは、その基端部で基礎部と螺着されて縦枠部材10と固定され、その上端部には、螺子棒23sが上方に延長するように設けられ、この螺子棒23sに押え部材30が螺着され、面状物品の縁部Sを固定することができる。
また、上方固定部23bの上端面には、面状物品の縁部Sを受けるための段部が形成されている。
このような構成により、面状物品は波形スレート屋根R3上で、縦枠部材10に対して斜めに傾斜した状態に設置され、固定される。
【0053】
図5は、上記第2実施形態に係る支持固定金具の分解説明図であって、折板屋根用のもので、その(A)が面状物品の手前側(軒側)の固定部を、その(B)が棟側の後方側の固定部を示している。
図5(A)に図示したものは、上記第1実施形態における軒側手前側の固定部と同一構成であるため、説明を省略する。
図5(B)に図示したものは、上記第1実施形態と異なり、その中間固定部材の構成が異なっている。
【0054】
即ち、縦枠部材10としては、折板屋根用の構成のものであるが、これを波形スレート屋根に適合するような形態にその下方部分を形成することができる。
この縦枠部材10の上面側部分11は、上記第1実施形態と同様にチャンネル形状に形成して、その上面中央長手方向に溝条部12が形成される。
この溝条部12内に中間固定部材20の基礎部21を導入する。
この基礎部21は、適宜長さを有する上方が開口した横断面コ字形状のものからなり、その中央部に2本螺子棒25、25が上方に垂立するように植設されている。
【0055】
中間固定部材20の上方固定部23bは、その上下方向長さを長く形成し、その基端部23kは横方向に延長されて、螺子挿通穴がその両端部に穿設され、前記基礎部21の螺子棒25が挿通できるように形成している。
これにより基礎部21の2本の螺子棒25、25を上方固定部23bの螺子挿通穴に挿通してナット等を螺着して固定することにより上方固定部23bが縦枠部材10に固定される。
【0056】
上方固定部23bの上端面には、面状物品の縁部Sを受けるための段部23dが形成され、更にその上端面には螺子棒23sが立設されている。
この螺子棒23sに押え部材30の螺子挿通穴を適合させてナット等により螺着することにより面状物品の縁部Sが固定されるのである。
押え部材30の構成は、上記実施形態1と同一である。
中間固定部材20の上下方向長さは、適宜長さに設定することができるが、面状物品が縦枠部材10に対して略10度乃至20度程度となるように設定すればよい。
【0057】
尚、屋根自体の傾斜もあるために、屋根の傾斜を含めると、面状物品の水平面に対する角度は、当然上記以上の角度となるが、屋根の傾斜を含めて面状物品の傾斜角度は略27度程度が望ましい。
しかしながら、この傾斜角度は、ソーラーパネルの設置条件の変更により、略27度以上又は略27度以下に設定することが可能であり、厳密には、建物が位置する緯度や諸条件(積雪等)により最適設置角度は異なるが、本発明に係る支持固定金具では、これらの諸条件に対応させることができ、後に説明する実施形態(
図7及び
図8)においては、傾斜角度を変更して設置させることができるのである。
【0058】
図6は、本発明の第3の実施形態を図示する説明図であって、面状物品を傾斜置きする点は上記第2実施形態と同じであるが、縦枠部材に更に横枠部材を付加したものである。
上記の実施形態においては、面状物品は、屋根の流れ方向の面に合致した方向、或いは、屋根の流れ方向の面に対して傾斜した状態に設置できるものである。
しかしながら、屋根の流れ方向の面が南向きに無い建物も非常に多く存在する。このように屋根の傾斜面が南向きでない場合、設置される面状物品の面を南向きに変更する必要も生じ、この要請に応えるものがこの第3実施形態である。
【0059】
この図では、屋根の形式は、波形スレート屋根R3を図示しているが、その他の各種折板屋根の上に設置固定する場合も同じである。
先ず、屋根R3の突条部に沿うように縦枠部材10を略平行に設定固定する。
縦枠部材10の構成は、上記第1又は第2実施形態と同様である。
そして、この第3実施形態では、この縦枠部材10に直交するように複数の横枠部材16を付加し、この横枠部材16に中間固定部材を固定できるようにしたものである。
【0060】
この
図6では、面状物品を傾斜状に設置固定できるものであり、上記第2実施形態の支持固定金具に横枠部材を付加した形態となっている。
従って、面状物品は横枠部材に対して傾斜状に設置固定されるために、屋根R3が例えば西向きであった場合に
図6の状態に横枠部材を配置して、この横枠部材の上に面状物品を固定することにより、面状物品の面は、南向きにすることが出来るのである。
【0061】
そこで、横枠部材16の構成であるが、この横枠部材として、横断面チャンネル形状のものを使用し、その上面中央の溝条部を上向きに縦枠部材に固定することにより、上記第2実施形態に係る中間固定部材及び押え部材をそのまま使用することができる。
図6においては、この横枠部材16として、横断面略コ字形状のものを使用し、この開口部を横向きに配置して固定したものである。
【0062】
この横断面略コ字形状の横枠部材16は、その開口部を横方向に向け、その上面部に螺子挿通穴を穿設しておくことにより、前記横断面チャンネル形状のものと同様に利用することが可能となる。
このように縦枠部材10に直交するように複数の横枠部材16を配設することにより、屋根面が南向きで無い場合であっても、面状物品を南向きに配設した状態に設置固定することができることとなるのである。
【0063】
図7は、本発明に係る中間固定部材の更に他の実施形態を図示するもので、その(A)が斜視説明図、その(B)が側面図である。
図8は、この実施形態の分解斜視説明図である。
この中間固定部材は、基礎部21と、上方固定部23cとから成り、この上方固定部23cは、更に下方に位置する基礎固定部26と、その上方に位置する上部固定部28とからなり、上部固定部28は、基礎固定部26に対して上下方向に往復動可能に形成したものである。
【0064】
即ち、基礎固定部26は、底面開口の略箱体形状を有し、その両側面部が上方に延長されて延長腕部26u、26uを有し、他方、上部固定部28は、下方開口の略コ字形状の形態を有して、両側に脚部28k、28kを有し、これら延長腕部26u、26uと脚部28k、28kが相互に摺動できるように構成されている。
更に詳しくは、延長腕部26u、26uには上下方向に螺子穴を複数列設し、脚部28k、28kの側には、長条穴部を形成し、これらを相互に対応する位置に形成して、螺子等により、適宜高さ位置に上部固定部28を固定することができる。
これら螺子穴と長条穴部は、延長腕部又は脚部の何れか一方に設ければよい。
【0065】
上部固定部28の上面には、面状物品の縁部Sを受ける段部23dを形成し、更にその上端面には螺子棒23sを立設している点は、上記第2実施形態と同じである。
また、基礎固定部26を縦枠部材又は横枠部材に固定するための基礎部21の形態も上記実施形態と同じである。
この実施形態に係る中間固定部材を使用することにより、面状物品の設置傾斜各角度を適宜変更して設置することができることとなるのである。
【0066】
本発明に係る支持固定金具の取付手順及び固定方法について、
図1、
図4及び
図6を用いて以下説明する。
適宜複数本の縦枠部材10を屋根の突条部に沿わせて(流れ方向に)取り付け、固定する。
固定された縦枠部材10、10の上面側部分11の適宜位置に中間固定部材20の基礎部21を導入し、この基礎部21に上方固定部23を螺着し固定する。
図1のように面状物品を平置きして並列させる際には、軒側の中間固定部材を固定した後、中間の固定部での中間固定部材20の固定は完全には行わずに、その位置を変更できるようにして、面状物品を縦枠部材10の上に載置して位置決め行った後に、基礎部21に上方固定部23を固定してその位置を決定する。
【0067】
更に、その上方に隣接する面状物品を縦枠部材に載置して、その後に、その面状物品の棟側の縁部の位置に中間固定部材20を位置決めし固定する。
これらの作業を面状物品の両側部分で行う。
最後に押え部材30をそれぞれの位置で中間固定部材20の上方固定部23に螺着することにより、並列する面状物品の縁部Sを順次固定することができる。
【0068】
面状物品を傾斜させた状態に設置する場合(
図4の場合)には、並列する面状物品の間で、両者を共に固定することは行わず、軒側の固定と棟側の固定の繰り返しとなる。
そして、面状物品の棟側の縁部Sを支持固定する中間固定部材の上方固定部として、その上下長さの長いものを使用して施工する。
即ち、適宜複数本の縦枠部材10を屋根の突条部に沿わせて取り付け、固定する。
固定された縦枠部材10、10の上面側部分11の適宜位置に中間固定部材20の基礎部21を導入し、この基礎部21に上方固定部23を螺着し固定する。
【0069】
面状物品の棟側の縁部Sを固定するための中間固定部材20として長さの長い上方固定部23を使用して、基礎部21に固定することにより、面状物品は、棟側の高さを高く設定して傾斜状態に設置することができる。
即ち、面状物品の軒側の縁部Sは縦枠部材10の上に載置され、棟側の縁部Sは、中間固定部材20の長さの長い上方固定部23の上面部に設けられた段部に載置され、傾斜状に設置される。
最後に、押え部材30を中間固定部材20の上方固定部23の上端部に螺着して固定し、面状物品は縦枠部材10に傾斜状態に設置され固定される。
【0070】
図6においては、上記
図4に説明した形態に加えて、縦枠部材10に更に直交するように複数の横枠部材16、16を略平行に配設し固定し、面状物品を傾斜状に設置するものである。
その固定方法も、上記
図4で説明した手順で、縦枠部材10の設置固定後に横枠部材16を複数本更に設置した後、上記中間固定部材20及び押え部材30を利用して、横枠部材16、16に傾斜した状態に面状物品を設置し固定することができるのである。
【0071】
上記設置固定方法において、更に、
図7及び
図8に図示した中間固定部材の上方固定部材として上下高さ調整可能なものを使用することにより、即ち基礎固定部と上部固定部として摺動可能なものを使用することにより、面状物品の傾斜角度を所望の角度に設置し固定することができるものとなるのである。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、以下の通りその形態を種々設計変更することができる。
先ず、縦枠部材の下方側部分の形態は、種々の形態の屋根の突条部の形態に適合させて種々設定すればよく、その上面側部分の形状を横断面チャンネル形状に設定すればよい。
その際、縦枠部材の下方側部分は、その長手方向に延長して、屋根の突条部に沿うように帯状に形成することにより、面状物品の荷重を線又は面にて支持することができることとなる。
【0073】
中間固定部材の基礎部の形態も、上記実施形態では、上方開口の断面コ字形状のものを使用したが、縦枠部材の上面の溝条部の縁部が下方に折曲延長しているために、この基礎部は、単なるプレート状の板状体のものであってもよい。
上方固定部の下端縁部に設けた下向きの鍔部についても、これを設けずに実施することもできるが、この鍔部を設けることにより、この鍔部が縦枠部材の上面の溝条部に嵌合してより良好に中間固定部材が縦枠部材に合体固定され、施工も簡単且つ容易なものとなる。
【0074】
上記実施形態においては、基礎部の上面に設けた螺子棒も適宜長さの長いものを使用して、この螺子棒が押え部材にも螺着されるように構成したが、上方固定部の上面に別の螺子棒を設け、この螺子棒に押え部材を螺着する構成を採用してもよい。
上方固定部として長さの長いものを使用して、面状物品を傾斜させて設置する場合は、押え部材を螺着するための螺子棒は、上方固定部の上端面に設ける必要がある。勿論、この螺子棒は、別体のボルト・ナット等の締着具を使用することもできる。
【0075】
中間固定部材の上方固定部として、高さ調整可能な上記実施形態にあっては、その基礎固定部と上部固定部との構成も自由に設計変更することができ、要は相互に上下方向に移動可能な構成であればどのようなものであってもよい。
上下に摺動する距離についても適宜設定すればよく、固定される面状物品の傾斜角度を考慮して決定することができる。
【0076】
中間固定部の上方固定部又は上部固定部の上端面に設けた段部(面状物品の縁部を受ける受部)の平面部に滑り止め部材を設けるのも自由である。
押え部材の形態も種々設計変更することができ、上記実施形態のように、直方体形状で、その底面と面状物品の縁部と接合する面を無くした(欠いた)形態ではなく、単なる横断面L字型のアングル材を利用することもできる。
【0077】
最後に、本発明に係る金具は、そのままで、つまり同一構成要素により、波形スレート等からなる壁材に適用して設置し固定することも可能となる。
即ち、適宜角度を有する壁面又は鉛直壁面に対しても、縦枠部材を略平行に配列して、例えば、上下方向に略平行に設置固定し、この縦枠部材に中間固定部材を適宜位置に固定して、押え部材により面状物品を縦枠部材に沿わせて或いは傾斜状態に設置し、固定することが可能となるものである。
同様に、その支持固定方法においても、全く同一構成部材を用いて、壁面上にも面状物品を支持し、固定することができることとなるのである。
【0078】
以上、本発明は、各種形態の屋根上に点による支持でなく線又は面による支持を実現してソーラーパネル等の面状物品から受ける重量負荷を良好に分散でき、中間固定部材の取り付け位置は、縦枠部材の長手方向の任意の位置に変更して取付固定することができ、これにより異なるサイズの面上物品に適応してこれを取付固定でき、更に、面状物品を傾斜状態に設置し固定でき、その傾斜角度をも調整可能に設置固定することができ、尚且つ、横枠部材を利用することにより、面状物品の表面を種々の方向に変更して屋根上又は壁面に設置固定できる極めて著大な効果を発揮する支持固定金具及び支持固定方法を提供することができたものである。