特許第5981819号(P5981819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981819
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/419 20060101AFI20160818BHJP
   G01N 27/409 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   G01N27/419 327F
   G01N27/419 327H
   G01N27/409 100
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-210738(P2012-210738)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2014-66559(P2014-66559A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大澤 敬正
(72)【発明者】
【氏名】都築 正雄
(72)【発明者】
【氏名】西尾 久治
(72)【発明者】
【氏名】米津 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】田島 朋裕
(72)【発明者】
【氏名】松岡 俊也
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−284950(JP,A)
【文献】 特開2002−243697(JP,A)
【文献】 特開2011−145267(JP,A)
【文献】 特開2009−186424(JP,A)
【文献】 特開2005−146900(JP,A)
【文献】 特開2000−009684(JP,A)
【文献】 特開平05−249063(JP,A)
【文献】 特開平10−084145(JP,A)
【文献】 特開平10−176577(JP,A)
【文献】 特開2007−321561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406−27/41
G01N 27/417−27/419
F02D 41/00−41/40
F02D 43/00−45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びるガスセンサ素子であり、固体電解質体及び該固体電解質体に配置された一対の電極を有して被測定ガス中の特定ガス成分を検出する検出部を自身の先端側に有すると共に、前記検出部を加熱するヒータ部を自身の先端側に有するガスセンサ素子と、
前記ガスセンサ素子の径方向周囲を取り囲み、該ガスセンサ素子を保持する主体金具と、
前記ガスセンサ素子の前記先端側を収容し、前記被測定ガスが流通するガス検出空間を形成する筒状のプロテクタ部と、
前記被測定ガスが流通し、前記ガス検出空間と別空間のガス圧力検出空間を形成するガス圧力検出室と、
前記ガス圧力検出室内に配置され、前記被測定ガスの圧力を検出する圧力センサと、
前記主体金具と前記ガス圧力検出室とを分離不能に一体化してなる筐体部と、
を備えるセンサであって、
前記プロテクタ部と前記ガス圧力検出室とが共に先端側に突出し、
前記ガス圧力検出室の後端側において、前記筐体部に一体化され、前記ガスセンサ素子及び前記圧力センサの制御回路を備えた回路収容室をさらに有するセンサ。
【請求項2】
前記ガス圧力検出空間と同一空間又は別空間に配置され、前記被測定ガスの温度を検出してなる温度センサを有し、前記筐体部は前記温度センサをも分離不能に一体化してなる請求項1記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出ガスの濃度を検出するガスセンサ素子を備えたセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関の吸気系統(例えば、吸気管や吸気マニホールド)や排気系統にガスセンサを取り付け、被検出ガス中の特定ガスの濃度をモニタして燃焼状態等を制御するガスセンサが知られている(特許文献1)。
【0003】
ところで、このようなガスセンサから出力される出力信号は、被検出ガスのガス圧に依存しており、濃度差がなくてもガス圧の変化により出力信号がばらつくことがあった。そこで、被測定ガスの濃度の検出を行うと同時に、ガス圧を検出するセンサが必要とされている。
【0004】
これに対し、被検出ガスの濃度と圧力を1つのセンサで同時に測定する技術が開発されている(特許文献2、3)。例えば、特許文献2記載のセンサは、Si基板上に金属酸化物半導体層とヒータリードとを配置して被検出ガスの濃度を検知すると共に、上記Si基板の別の位置に設けたダイアフラムにピエゾ抵抗素子を配置して被検出ガスの圧力を測定する。又、特許文献3記載のセンサは、固体電解質体及び該固体電解質体に配置された一対の電極からなるセルをヒータ部と積層した構成を備え、そのうち一方の電極を気体遮断部で覆っている。そして、気体遮断部に拡散抵抗の調整された小孔(気体拡散規制部)を開口し、被測定ガスの圧力に依存した拡散(クヌーセン拡散)を生じさせることで、酸素濃度及び圧力をパラメータとする電流値をセルにて測定する。ここで、大気のように酸素濃度が既知であれば、被測定ガスの圧力を得ることができる。又、上記小孔の径を、被測定気体の圧力に依存しない自由拡散状態となるように調整することで、限界電流式センサとして被測定ガスの酸素濃度をも測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−145267号公報
【特許文献2】特開平5−249063号公報
【特許文献3】特開2011−281214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2記載のセンサの場合、感ガス素子が配置されている共通のSi基板上に圧力センサ(ピエゾ抵抗素子)が配置されており、感ガス素子をヒータ部で加熱する際、Si基板が加熱されて被測定ガスの圧力測定値が不正確になるという問題がある。又、特許文献3記載のセンサの場合、固体電解質体を含むセルに接したヒータ部でセルを加熱しながら酸素濃度を測定するため、このセル部分で被測定ガスの圧力を測定する際、同様に圧力測定値が不正確になる。一方、ガスセンサと別体で圧力センサを配置した場合、ガスセンサ素子で被測定ガス中のガス濃度を測定する位置と、圧力センサで被測定ガスの圧力を測定する位置とが離れているために、ガス濃度を測定する位置での被測定ガスの圧力を正確に測定することが難しいという問題がある。
そこで、本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度と、被測定ガスの圧力とを1つのセンサで精度よく測定可能なセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のセンサは、軸線方向に延びるガスセンサ素子であり、固体電解質体及び該固体電解質体に配置された一対の電極を有して被測定ガス中の特定ガス成分を検出する検出部を自身の先端側に有すると共に、前記検出部を加熱するヒータ部を自身の先端側に有するガスセンサ素子と、前記ガスセンサ素子の径方向周囲を取り囲み、該ガスセンサ素子を保持する主体金具と、前記ガスセンサ素子の前記先端側を収容し、前記被測定ガスが流通するガス検出空間を形成する筒状のプロテクタ部と、前記被測定ガスが流通し、前記ガス検出空間と別空間のガス圧力検出空間を形成するガス圧力検出室と、前記ガス圧力検出室内に配置され、前記被測定ガスの圧力を検出する圧力センサと、前記主体金具と前記ガス圧力検出室とを分離不能に一体化してなる筐体部と、を備えるセンサであって、前記プロテクタ部と前記ガス圧力検出室とが共に先端側に突出し、前記ガス圧力検出室の後端側において、前記筐体部に一体化され、前記ガスセンサ素子及び前記圧力センサの制御回路を備えた回路収容室をさらに有する
このセンサによれば、プロテクタ部が形成するガス検出空間とガス圧力検出室が形成するガス圧力検出空間とが別空間になっているため、ガス検出空間内のガスセンサ素子がヒータ部で加熱されても、ガス圧力検出室の内部はガスセンサ素子の熱影響を受けず、被測定ガスの圧力を精度よく測定することができる。又、ガスセンサ素子を保持する主体金具と、圧力センサを備えたガス圧力検出室とを筐体部で1つのセンサとして一体に保持するので、ガスセンサ素子及び圧力センサの取付精度が向上すると共に、ガスセンサ素子で被測定ガス中のガス濃度を測定する位置と、圧力センサで被測定ガスの圧力を測定する位置とが近接し、ガス濃度を測定する位置での被測定ガスの圧力を正確に測定することができる。
【0008】
また、本発明のセンサよれば、制御回路により、センサ内で被測定ガス中のガス濃度の検出信号と被測定ガスの圧力の検出信号との処理を行うので、ガスセンサ素子及び圧力センサの検出信号を外部装置(ECU等)に出力した場合に比べ、外部装置の処理負担が少なくなる
又、ガスセンサ素子及び圧力センサの検出信号を、1つの制御回路内で処理するため、これらガスセンサ素子及び圧力センサの検出信号を別個に外部装置(ECU等)に出力した場合の信号の位相ズレを抑制することができ、ガス濃度と被測定ガスの圧力との測定精度がさらに向上する。


【0009】
さらに、本発明のセンサは、前記ガス圧力検出空間と同一空間又は別空間に配置され、前記被測定ガスの温度を検出してなる温度センサを有し、前記筐体部は前記温度センサをも分離不能に一体化してなるようにしてもよい。
このセンサによれば、ガスセンサ素子の熱影響を受けずに被測定ガスの温度を精度よく測定することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、被測定ガス中の特定ガス濃度と、被測定ガスの圧力とを1つのセンサで精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るセンサの構成を示す上面から見た斜視図である。
図2】センサの下面から見た斜視図である。
図3図1のA−A線に沿う断面図である。
図4図1のB−B線に沿う断面図である。
図5】ガスセンサ素子の分解斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るセンサの製造方法の一例を示す工程図である。
図7図6に続く工程図である。
図8図7に続く工程図である。
図9】第2の実施形態に係るセンサの構成を示す上面から見た斜視図である。
図10】センサの下面から見た斜視図である。
図11図9のC−C線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るセンサ200の上面(後端側)から見た斜視図、図2は、センサ200の下面(先端側)から見た斜視図、図3は、図1のA−A線に沿う断面図、図4は、図1のB−B線に沿う断面図、図5はガスセンサ素子10の分解斜視図である。又、図6図8は、センサ200の製造方法の一例を示す工程図である。
なお、ガスセンサ素子10の軸線O方向(1点鎖線で示す。)を上下方向として図示し、ガスセンサ素子10の後端部12側をガスセンサ素子10(及びガスセンサ)の後端側、その反対側にあるガスセンサ素子10の検出部11(図3参照)側をガスセンサ素子10(及びガスセンサ)の先端側、として説明する。又、軸線O方向に垂直な方向を適宜「径方向」と称する。
【0013】
図1図2に示すように、センサ200は、ガスセンサ素子10(図1図2では、ガスセンサ素子10を収容する外側プロテクタ100のみ表示)と、ガスセンサ素子10を保持する主体金具50(図3参照)と、主体金具50を囲む金属製の外筒110と、外筒110に収容される本体部101、及び本体部101から径方向に延びるコネクタ部103を有する基体部105と、本体部101及びコネクタ部103に収容される絶縁体107と、本体部101を覆う金属カバー140と、外筒110の一部を覆う金属製のフランジ付ケーシング150と、を有する。
又、図2に示すように、本体部101の先端側には、外側プロテクタ100と径方向に離間して円筒状のガス圧力検出室101aが突出している。ガス圧力検出室101aの先端向き面から後端側に向かって、互いに径方向に離間しつつそれぞれ軸線O方向に延びる2つの内部空間(ガス圧力検出空間101p、及びガス温度検出空間101t)が形成されている。
そして、ガス圧力検出空間101pの内部には圧力センサ301(図4参照)が配置され、ガス温度検出空間101tの内部には温度センサ303(図4参照)が配置されている。ガス圧力検出室101aは本体部101と一体に形成され、外筒110の先端向き面の開口110h(図3図6(b)参照)からガス圧力検出室101aが先端側へ突出している。
又、図1に示すように、本体部101の後端側には、凹部をなす回路収容室101bが本体部101と一体に形成され、回路収容室101bの内部に制御回路305が収容されている。制御回路305は、ガスセンサ素子10、圧力センサ301及び温度センサ303の制御回路を実装してなる回路基板である。
なお、基体部105、外筒110、及び金属カバー140が特許請求の範囲の「筐体部」に相当する。そして、筐体部の一部をなす外筒110が基体部105(及びガス圧力検出室101a)を保持すると共に、主体金具50に接続されることで、外筒110(筐体部)が主体金具50とガス圧力検出室101aとを分離不能に一体化している。
【0014】
フランジ付ケーシング150は、基部157と、基部157の先端側に形成されて互いに径方向に離間するそれぞれ円筒状の第1筒体153及び第2筒体155と、基部157から径方向外側に延びる一対の半円状のフランジ部151と、を有している。各フランジ部151にはフランジ孔151hが1つ開口し、フランジ孔151hに挿通したネジ(図示せず)をセンサ200の取付け対象体(例えば、内燃機関の吸気系統)に設けたネジ孔にネジ止めすることで、センサ200を取付け対象に取り付けることができる。
又、第1筒体153及び第2筒体155は、それぞれ外側プロテクタ100及びガス圧力検出室101aに対応する位置に配置され、第1筒体153を主体金具50に接合した際(図8(f)参照)、第1筒体153から外側プロテクタ100がそれぞれ先端側に突出するようになっている。
なお、基部157には周方向に沿って凹溝157b(図3参照)が形成され、この凹溝にシール部材(Oリング)90が外嵌されている。従って、ガスセンサ200の取付け対象の開口にセンサ200を先端側から挿入して取り付けた際、シール部材90が取付け対象体の壁面で潰され、取付け対象体とフランジ付ケーシング150(基部157)との間をシールするようになっている。
【0015】
ここで、詳しくは図3で説明するが、素子アセンブリ130(図6(a)参照)は、ガスセンサ素子10、プロテクタ部(外側プロテクタ100及び内側プロテクタ102)、及び主体金具50を含む組立て体である。そして、素子アセンブリ130の後端側には、セパレータ40を含むセパレータアセンブリ120が固定されている(図6(a)参照)。
【0016】
基体部105は、本体部101、頸部102及びコネクタ部103を有し、これら本体部101、頸部102及びコネクタ部103は成形性のよい絶縁性の高分子材料(樹脂)、例えばナイロン(登録商標)により一体に形成されている。
本体部101は、セパレータアセンブリ120(図3図6参照)の周囲を覆うように略筒状に形成されて頸部102に繋がるリング部101cと、リング部101cから頸部102と反対側に延びて凹部をなす回路収容室101bとを一体に備えている。各フランジ部151の延びる方向に見て、回路収容室101bの長さはリング部101cの外径よりも大きく、回路収容室101bがリング部101cよりも各フランジ部151の方向に膨らんでいる。又、本体部101から略矩形状の頸部102を介して径方向外側に、略矩形状のコネクタ部103が延びている。コネクタ部103は、径方向外側に向く開口部104を有する雄コネクタであって、開口部104にて外部装置の相手コネクタ(この例では、雌コネクタ)を径方向に差抜可能になっている。
本体部101及びコネクタ部103の内部には絶縁体107が収容されている。そして、組み付け時に絶縁体107を開口部104から径方向に沿って本体部101及びコネクタ部103に挿入すると、絶縁体107のセパレータ40側の端部107aが本体部101の内面の突起101x(図3参照)に当接し、絶縁体107が位置決めされる。又、絶縁体107には複数本(この例では5本)のコネクタ端子60が保持されている。コネクタ端子60は軸線O方向に対して交差する方向(径方向)に延びてコネクタ部103の内外を挿通している。
又、各図では、簡便のため、コネクタ端子を1つのみ表示している。
【0017】
図6(b)に示すように、外筒110は、セパレータアセンブリ120よりやや大径の前筒110aと、前筒110aの後端側に設けられ、前筒110aよりも拡径する後筒110eとを有し、さらに、前筒110aと後筒110eとを繋ぐように、径方向に平行に延びる段状の部分が、本体部101を載置するための受け部110bとなっている。ここで、前筒110aは、外筒110の中央位置より偏倚して配置されている。又、受け部110bの所定位置には、ガス圧力検出室101aを挿通させるための開口110hが設けられている。
そして、セパレータアセンブリ120の先端側が前筒110aに収容されると共に、セパレータアセンブリ120の後端側が前筒110aより後端に突出して後筒110e内に収容されるようになっている(図7(d)参照)。さらに、後筒110eとセパレータアセンブリ120の後端側との間の環状空間には、受け部110bに載置されるように、筒状の本体部101が嵌合され、本体部101がセパレータアセンブリ120の後端側(ひいては、ガスセンサ素子10の後端部)を取り囲むと共に、開口110hからガス圧力検出室101aを先端側へ突出させるようになっている(図7(e)参照)。
【0018】
図7(d)に示すように、セパレータアセンブリ120の後端には、セパレータ40の後端向き面が表出し、セパレータ40から後端側に接続端子(この例では5個)30が突出している(詳細は後述)。
なお、後筒110eから径方向外側に断面コ字状の延長部110cが延び、延長部110cの周縁が開放端部となっていると共に延長部110cの後端側が開いている。従って、基体部105を後筒110eに収容した際、本体部101が後筒110eに収容され、延長部110cに頸部102が収容されつつ、延長部110cの径方向外側にコネクタ部103が表出するようになっている。又、本体部101の後端側は後筒110eよりも後端側にはみ出すようになっている。
又、前筒110aの先端部は、主体金具50の拡径部57(図3参照)に外嵌されて両者が加締められるとともに溶接接合され、外筒110が主体金具50に固定されている(詳細は後述)。
【0019】
一方、図7(e)に示すように、後端側が閉じた有底筒状の金属カバー140が、本体部101の後端側を径方向外側から覆っている。金属カバー140は後筒110eよりやや外形が大きく、金属カバー140の側部140sは後筒110eの軸線O方向の長さよりも短い。そして、側部140sが後筒110eとともに径方向内側に加締められ、金属カバー140が外筒110に固定されると共に、後筒110e及び本体部101が金属カバー140で覆われる。
金属カバー140の径方向外側に断面コ字状の延長部140cが延び、延長部140cの周縁が開放端部となっていると共に延長部140cの先端側が開いている。又、延長部140cは延長部110cよりも大きくなっている。従って、延長部140cの向きを延長部110cに合わせ、金属カバー140を後端側から延長部110cに被せると、延長部140cが延長部110cを囲むと共に、延長部140cの径方向外側にコネクタ部103が表出するようになっている。
なお、本体部101の後端面に形成された環状溝にシール部材(Oリング)94が配置され、本体部101の後端向き面と金属カバー140の先端向き面との間を気密にシールしている。同様に、本体部101の先端面に形成された環状溝にシール部材(Oリング)92が配置され(図3参照)、本体部101の先端向き面と受け部110bの先端向き面との間を気密にシールしている。なお、シール部材92、94は、弾性力によって本体部101を外筒110と金属カバー140との間で安定して保持させる機能をも有する。
【0020】
次に、図3を用いて素子アセンブリ130及びセパレータアセンブリ120について説明する。素子アセンブリ130は、ガスセンサ素子10と、主体金具50とを有する。
ガスセンサ素子10は、図5に示すように、公知であるような軸線O方向に延びる略角柱状をなし、酸素濃度の検出を行う検出素子7と、その検出素子を早期活性化させるために加熱を行うヒータ部9とが互いに貼り合わされた積層体である。検出素子7はジルコニアを主体とする固体電解質体と白金を主体とする一対の電極とを中空の測定室が一部に形成された絶縁層を介して積層した構成をなしている。この検出素子7は、より具体的には、固体電解質体3cの両面に形成された一対の電極の一方3aを外部に晒すと共に、他方の電極3bを測定室6cに配置した酸素ポンプセル3と、固体電解質体5cの両面に形成された一対の電極の一方5aを測定室6cに配置すると共に、他方の電極5bをヒータ部9側に配置した酸素濃度測定セル5とを有してなり、酸素濃度測定セル5の出力電圧が所定の値になるように、酸素ポンプセル3の一対の電極3a、3b間に流す電流を制御することで、測定室6c内の酸素を汲み出したり、測定室6c内に外部から酸素を汲み入れたりする構成をなしている。
なお、酸素ポンプセル3のうち、一対の電極3a、3b、及び、固体電解質体3cのうちでこれら電極に挟まれる部位は、酸素濃度に応じた電流が流れる検出部11をなす。一方、ガスセンサ素子10の後端部12には、検出素子7からの出力を取り出すためや、ヒータ部9に電力を供給するための5つの電極パッド12a(図3ではそのうちの2つがガスセンサ素子10の第2面10b側に配置され、第1面10aに残りの3つが配置される。)が形成されている。
【0021】
ここで、電極3a及びそのリード部は絶縁層4で覆われ、絶縁層4に設けられた開口に多孔質の保護層4aが形成され、多孔質層4aの下側に電極3aが配置されている。又、固体電解質体3c、5cの間に絶縁層6が介装され、絶縁層6に設けられた矩形の開口が測定室6cを形成している。なお、測定室6cの周縁の一部(検出素子7の短手方向)は多孔質層6aとなっており、外部から測定室6cに出入するガスが拡散律速するようになっている。
一方、ヒータ部9は、発熱体9aを2つの絶縁層9b、9cで挟持して構成され、発熱体9aは、抵抗発熱する発熱体9a1と、発熱体9a1から延びる一対のヒータリード9aを含む。
【0022】
図3に戻り、ガスセンサ素子10の軸方向中央よりやや先端側には、有底筒状をなす金属製の金属カップ20が、自身の内部にガスセンサ素子10を挿通させ、検出部11を筒底の開口25から突出させた状態で配置されている。金属カップ20は主体金具50内にガスセンサ素子10を保持するための部材であり、筒底の先端側周縁部23は外周面にかけてテーパ状に形成されている。金属カップ20内には、アルミナ製のセラミックリング21と滑石粉末を圧縮して固めた滑石リング22とが、自身をガスセンサ素子10に挿通させた状態で収容されている。滑石リング22は金属カップ20内で押し潰されて細部に充填されており、これにより、ガスセンサ素子10が金属カップ20内で位置決めされて保持されている。
【0023】
金属カップ20と一体となったガスセンサ素子10は、その周囲を筒状の主体金具50に取り囲まれて保持されている。この主体金具50はSUS430等のステンレス鋼からなる。具体的には、主体金具50の内周には段部54が形成されており、この段部54に、ガスセンサ素子10を保持する金属カップ20の先端側周縁部23が係止されている。更に、主体金具50の内周には滑石リング26が、自身をガスセンサ素子10に挿通させた状態で、金属カップ20の後端側から装填されている。そして、滑石リング26を後端側から押さえるように、筒状のスリーブ27が主体金具50内に嵌め込まれている。スリーブ27の後端側外周には段状をなす肩部28が形成されており、その肩部28には、円環状の加締めパッキン29が配置されている。
【0024】
一方、主体金具50の外周後端側には、縮径された後端部59が形成され、後端部59より先端には径方向外側に段状に拡径する拡径部57が形成されている。さらに、拡径部57よりも先端側には、径大の径大部52、及び後述する外側プロテクタ100及び内側プロテクタ102が係合される先端係合部56が形成されている。他方、後端部59の後端側には、主体金具50内にガスセンサ素子10を加締め保持するための加締め部53が形成されている。
主体金具50の加締め部53が、加締めパッキン29を介してスリーブ27の肩部28を先端側に向けて押圧するように加締められている。加締め部53の形成によって、スリーブ27を介して押圧された滑石リング26は、主体金具50内で押し潰されて細部にわたって充填され、この滑石リング26と、金属カップ20内にあらかじめ装填された滑石リング22とによって、金属カップ20およびガスセンサ素子10が主体金具50内で位置決めされ、気密に保持される。
【0025】
一方、ガスセンサ素子10の検出部11の外周面は、多孔質状の保護層15により被覆され、検出部11のうち外部に晒される電極を吸気等による被毒や被水から保護している。そして、主体金具の先端係合部56には、外側プロテクタ100及び内側プロテクタ102が嵌められ、レーザ溶接によって固定され、内部に収容された検出部11を保護している。外側プロテクタ100にはガス導入孔115が形成されており、内側プロテクタ102には、ガス導入孔117が形成されている。よって、ガス中に含まれる水分や油分がガスセンサ素子10に付着することを抑制でき、ガスセンサ素子10にクラックや割れが生じることを抑制できる。また、ガス中に含まれる煤においてもガスセンサ素子10に付着することを抑制でき、センサ200の検出精度が低下する事を抑制できる。
なお、外側プロテクタ100及び内側プロテクタ102が、特許請求の範囲の「プロテクタ部」に相当する。又、内側プロテクタ102の内部空間が、被測定ガスが流通するガス検出空間102sを形成する。
【0026】
次に、セパレータアセンブリ120について説明する。セパレータアセンブリ120は、セパレータ40、金属内筒121、保持部材123および接続端子30を備え、主体金具50の後端側に配置されている。セパレータアセンブリ120は、軸線O方向の略中央部分において、径方向外側から径方向内側に向けて加締められることにより金属内筒121と保持部材123とを一体的に固定する加締め部125を有する。
セパレータ40は、絶縁性のセラミックス又は樹脂によって略円筒状に形成されており、径方向外側に突状に形成されている鍔部41を有している。又、セパレータ40の軸線O方向に貫通する挿通孔42の所定位置に、個々の接続端子30がそれぞれ挿通され、接続端子30が互いに接触せずに隔離した状態でセパレータ40内に収容されている。そして、この挿通孔42内にガスセンサ素子10の後端部12が挿入され、各接続端子30の先端部がガスセンサ素子10の各電極パッド12aにそれぞれ電気的に接続されている。
【0027】
なお、セパレータアセンブリ120の後端からセパレータ40の後端部が表出し、セパレータ40の後端向き面から後端側へ接続端子30の後端部(この例では5個)が突出している。
一方、コネクタ端子(この例では5本)60はそれぞれ離間しつつ絶縁体107に保持されている。コネクタ端子60は、径方向に延びて中央部分が絶縁体107に埋設されると共に、セパレータ40側で先端側へ向かってL字状に折り曲げられた先端部61を有する。一方、コネクタ端子60の他端は、コネクタ部103内で絶縁体107から径方向外側に突出し、雄型のコネクタが構成される。
そして、詳しくは図6で説明するが、セパレータアセンブリ120を組み付けた後筒110e内に、後端側から基体部105(の本体部101)を嵌合する(図7(d)参照)。このとき、先端部61はリング部101cの軸心の周囲にあって、セパレータ40の後端側に突出した接続端子30に対向する位置に配置される。
このため、基体部105を後筒110e内に嵌合すると、先端部61がセパレータ40の挿通孔42に挿入され、挿通孔42内の接続端子30とが電気的に接続される。
【0028】
金属内筒121の先端部121aは、主体金具50の後端部59を覆った状態で後端部59に加締められるとともに、溶接接合により固定されている。一方、金属内筒121の後端部121eは径方向内側に屈曲されて鍔部41に係合している。また、金属内筒121の内側には、セパレータ40及び保持部材123が配設され、保持部材123の後端向き面が鍔部41に係合している。保持部材123は、金属製の筒状部材であり、屈曲状に形成されている後端部の弾性力によってセパレータ40を径方向内側に付勢するとともに、鍔部41を後端側に付勢する。又、保持部材123は、金属内筒121の外側から金属内筒121とともに径方向内側に向けて加締められて加締め部125が形成され、金属内筒121に固定される。
セパレータ40は、主体金具50及び金属内筒121に直接固定されておらず、金属内筒121と保持部材123によって金属内筒121内に保持固定されている。このように構成することにより、センサ200に対する振動や衝撃によってセパレータ40が振動したり、ずれたりすることによる接続端子30とコネクタ端子60との接触不良が抑制される。
【0029】
図4に示すように、本実施形態では、ガス圧力検出室101aの内部に、互いに径方向に離間したガス圧力検出空間101p、及びガス温度検出空間101tが形成されている。これらのガス圧力検出空間101p及びガス温度検出空間101tは、プロテクタ部(内側プロテクタ102)と離間しており、プロテクタ部が形成するガス検出空間100sと別空間になっている。なお、図3図4に示すように、ガス圧力検出空間101p及びガス温度検出空間101tの後端側は、回路収容室101bに連通している。
ガス圧力検出空間101pの内部には圧力センサ301が配置されている。ここで、圧力センサ301がガス圧力検出室101a内に配置されているとは、圧力センサ301の全体がガス圧力検出室101aの内部に存在する必要はなく、図4のように、圧力センサ301のセンサ部301aがガス圧力検出室101aに面して(露出)していればよい。又、図3図4のように、ガス圧力検出室101aの後端側を圧力センサ301の一の面(この例では先端向き面)で閉塞し、圧力センサ301の当該一の面がガス圧力検出室101aの内面の一部(後端向き面)を形成してもよい。
一方、ガス温度検出空間101tの内部の先端側に温度センサ303が配置されている。なお、温度センサ303は、ガスセンサ素子10の検出部11に近い部分の温度を反映するよう、検出部11に近い位置(先端側)へ配置するのが好ましい。又、圧力センサ301としては、例えば、ダイヤフラムを用いて半導体ピエゾ素子を用いることができる。温度センサ303としては、例えば、サーミスタを用いることができる。又、ガス圧力検出空間101pとガス温度検出空間101tとが1つの空間で兼用されていてもよい。
【0030】
以上のように、本実施形態のセンサによれば、筐体部の一部をなす外筒110が基体部105と一体のガス圧力検出室101aを保持すると共に、主体金具50に接続されることで、外筒110(筐体部)が主体金具50とガス圧力検出室101aとを分離不能に一体化している。そして、プロテクタ部が形成するガス検出空間100sとガス圧力検出室101aが形成するガス圧力検出空間101pとが別空間になっている。
このため、ガス検出空間100s内のガスセンサ素子10がヒータ部で加熱されても、ガス圧力検出室101aの内部はガスセンサ素子10の熱影響を受けず、被測定ガスの圧力を精度よく測定することができる。又、ガスセンサ素子10を保持する主体金具50と、圧力センサ301を備えたガス圧力検出室101aとを筐体部で1つのセンサとして一体に保持するので、ガスセンサ素子10及び圧力センサ301の取付精度が向上すると共に、ガスセンサ素子10で被測定ガス中のガス濃度を測定する位置と、圧力センサ301で被測定ガスの圧力を測定する位置とが近接し、ガス濃度を測定する位置での被測定ガスの圧力を正確に測定することができる。
さらに、ガスセンサ素子10及び圧力センサ301の制御回路305を筐体部内に収容し、制御回路305により、センサ200内で被測定ガス中のガス濃度の検出信号と被測定ガスの圧力の検出信号との処理を行うようにすれば、ガスセンサ素子10及び圧力センサ301の検出信号を外部装置(ECU等)に出力した場合に比べ、外部装置の処理負担が少なくなる。
又、ガスセンサ素子10及び圧力センサ301の検出信号を、1つの制御回路305内で処理するため、これらガスセンサ素子10及び圧力センサ301の検出信号を別個に外部装置(ECU等)に出力した場合の信号の位相ズレを抑制することができ、ガス濃度と被測定ガスの圧力との測定精度がさらに向上する。
さらに、ガス圧力検出空間101pと同一空間又は別空間に温度センサ303を配置した場合には、ガスセンサ素子10の熱影響を受けずに被測定ガスの温度を精度よく測定することができる。
【0031】
次に、図6図8を参照し、本発明の第1の実施形態に係るセンサ200の製造方法の一例について説明する。
まず、素子アセンブリ130を公知の手法により作成する。又、上述のように、セパレータ40の挿通孔42に接続端子30を挿通して保持し、このセパレータ40と保持部材123とを金属内筒121内に収容する。そして、金属内筒121の軸線O方向の略中央部分において、径方向外側から加締め、金属内筒121内に保持部材123を固定すると共に、セパレータ40を保持したセパレータアセンブリ120を作成する。
次に、図6(a)に示すように、素子アセンブリ130の後端に、セパレータアセンブリ120を先端部側から挿入し、セパレータ40の挿通孔42内にガスセンサ素子10の後端部12を挿入する。これにより、各接続端子30の先端部(図示せず)がガスセンサ素子10の各電極パッド12aにそれぞれ電気的に接続される。又、金属内筒121の先端部121aが主体金具50の後端部59の外側に嵌合され、後端部59と拡径部57の間の段部に先端部121aが当接して位置決めされる。そして、この状態で先端部121aを径方向外側から加締めると共に溶接し、セパレータアセンブリ120を主体金具50、すなわち素子アセンブリ130に固定する。
次に、図6(b)に示すように、セパレータアセンブリ120に、外筒110を先端部側から挿入すると、セパレータアセンブリ120の先端側が前筒110aに収容されると共に、前筒110aの先端部が主体金具50の拡径部57の外側に嵌合され、拡径部57と径大部52との間の段部に前筒110aの先端部が当接して位置決めされる。そして、この状態で前筒110aの先端部を径方向外側から加締めると共に溶接し、外筒110を主体金具50に固定する。
【0032】
次に、図6(c)に示すように、コネクタ端子60を保持した絶縁体107を、開口部104から径方向に沿ってコネクタ部103に挿入すると、絶縁体107の端部107aが本体部101の内面の突起101xに当接して絶縁体107が位置決めされる。このとき、絶縁体107の端部107a側に位置するコネクタ端子60の先端部61が、リング部101cの軸心の周囲に配設される。又、回路収容室101bの後端側から圧力センサ301を挿入し、ガス圧力検出室101aの後端側を圧力センサ301の先端向き面で閉塞するように圧力センサ301を取り付ける。これにより、圧力センサ301の先端向き面がガス圧力検出室101aの内面の一部(後端向き面)を形成すると共に、圧力センサ301のセンサ部301aがガス圧力検出室101aに露出するようになる。さらに、圧力センサ301の上から制御回路305を回路収容室101bに設置する。又、図示はしないが、ガス温度検出空間101tの内部に先端側から温度センサ303を取り付ける。
【0033】
そして、図7(d)に示すように、外筒110(の後筒110e)に、基体部105を先端部側から挿入し、シール部材92を介して受け部110bに基体部105(本体部101)を載置する。これにより、このセパレータ40の後端側に突出した各接続端子30に、対応するコネクタ端子60の先端部61が嵌合され、接続端子30とコネクタ端子60とを溶接せずに電気的に接続することができる。
又、外筒110の開口110hからガス圧力検出室101aを先端側へ挿通する。
【0034】
次に、図7(e)に示すように、外筒110(の後筒110e)に、金属カバー140をその先端部側の開口部からシール部材94を介して外嵌する。
そして、図8(f)に示すように、金属カバー140と後筒110eとの重なり部分を径方向内側に向かって加締め、金属カバー140を外筒110に固定すると共に、本体部101を外筒110(の受け部110b)と金属カバー140とで挟持する。このようにして、後筒110e及び本体部101が金属カバー140で覆われる。
次に、素子アセンブリ130に、フランジ付ケーシング150を後端側から外嵌すると、フランジ付ケーシング150の第1筒体153の先端に設けられて径方向内側に延びる平坦部153aが、主体金具50の径大部52と先端係合部56の間の段部に当接して位置決めされる。そして、この状態で第1筒体153を径大部52付近で径方向外側から加締めて溶接し、フランジ付ケーシング150を主体金具50、すなわち素子アセンブリ130に固定する。
なお、第2筒体155の内面にてガス圧力検出室101aがぶれないように保持される。
さらに、図8(g)に示すように、凹溝157bにシール部材(Oリング)90を外嵌し、センサ200が完成する。
【0035】
なお、センサ200の取付け対象体としては、種々の内燃機関が挙げられ、特に自動車等の車両の内燃機関の吸気系統が挙げられる。ここで、吸気系統とは、吸気取り入れ口から内燃機関の吸気ポートまでの間の吸気通路であり、例えば、吸気管、及び吸気管から分岐して内燃機関の吸気ポートに接続される吸気マニホールドが挙げられる。又、吸気は、新気(排気を含まない新鮮な空気)の他、排気の一部が吸気系統へ還流(再循環)されて新気と混合された混合ガスを含む。
又、上記実施形態のガスセンサ素子10は、いわゆる全領域空燃比センサであるが、空燃比センサの他、酸素センサ(λセンサ)、NOxセンサを用いることができる。
なお、吸気側の特定ガス濃度を検出して内燃機関を制御した場合、排気側にセンサを設けて排気中の特定ガス濃度を検出する場合に比べ、内燃機関を精度よく制御できる。これは、排気中の特定ガス濃度に応じた制御がフィードバック制御であるのに対し、吸気側の特定ガス濃度に応じた制御は、燃焼前に対応ができるからである。
【0036】
次に、図9図11を参照して、本発明の第2の実施形態に係るセンサ400の構成について説明する。センサ400は、第1の実施形態におけるガス圧力検出室101aをガス圧力検出室201aに変え、それに伴って外筒110を外筒210に変え、フランジ付ケーシング150をフランジ付ケーシング250に変えたこと以外は、第1の実施形態と同一であるので、第1の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図9は、センサ400の上面から見た斜視図、図10は、センサ400の下面から見た斜視図、図11は、図10のC−C線に沿う断面図である。
【0037】
図9図10に示すように、センサ400において、ガス圧力検出室201aは本体部101と一体に形成され、本体部101から径方向に沿ってコネクタ部103と反対側に延びている。そして、ガス圧力検出室201aの先端からコネクタ部103側に向かって、内部空間をなすガス圧力検出空間201pが形成され、ガス圧力検出空間201pの内部には圧力センサ301が配置されている(図11参照)。なお、センサ400においては、ガス温度検出空間は形成されておらず、温度センサを備えていない。
【0038】
フランジ付ケーシング250は、円筒状の第1筒体253を有すると共に、第1筒体253から径方向外側に延びる一対の半円状のフランジ部251を有している。各フランジ部251にはフランジ孔251hが1つ開口している。さらに、各フランジ部251と同一面上にあって、各フランジ部251の延びる方向と交差する方向に保護プレート250cが延びている。保護プレート250cのうち、各フランジ部251を結ぶ中心で、かつガス圧力検出室201aの延びる方向に沿って、断面が先端側へ膨出する半円状をなす膨出部250c1が延びている。第1筒体253は、第1の実施形態の第1筒体153と同様に外側プロテクタ100に対応する位置に配置され、第1筒体253を主体金具50に接合した際、第1筒体253から外側プロテクタ100が先端側に突出するようになっている。
なお、第1筒体253には周方向に沿って凹溝253b(図11参照)が形成され、この凹溝にシール部材(Oリング)90が外嵌されている。
【0039】
外筒210は、第1の実施形態の外筒110と略同一形状であるが、ガス圧力検出室201aが本体部101の先端向き面より先端側へ膨出しつつ径方向に延びていることから、ガス圧力検出室201aと干渉しないよう、外筒210の受け部(先端向き面)210bの中央からコネクタ部103と反対側へ延びると共に、後筒210eへ繋がるスリット210sが形成されている。又、スリット210sのスリット幅は、ガス圧力検出室201aの直径よりやや大きく設定されている。そして、図7(d)と同様に、外筒210の受け部210bに本体部101(基体部105)を載置すると、ガス圧力検出室201aがスリット210sから外筒210の外側に露出するようになっている。
そして、この状態で、図8(f)と同様に、素子アセンブリ130に、フランジ付ケーシング250を後端側から外嵌すると、保護プレート250cの膨出部250c1がガス圧力検出室201aの基部を覆い、ガス圧力検出室201aを保護するようになっている。なお、ガス圧力検出室201aの長手方向の先端側から半分程度の部分は膨出部250c1で覆われずに露出し、さらに圧力検出室201aの先端は、外筒210の後筒210eよりも径方向に突出している。
なお、図11に示すように、センサ400において、ガス圧力検出空間201pの基部の上面(後端側)が回路収容室101bに連通しており、この連通部を圧力センサ301の一の面(この例では先端向き面)で閉塞することで、圧力センサ301の当該一の面がガス圧力検出室201aの内面の一部(上面)を形成している。そして、圧力センサ301のセンサ部301aがガス圧力検出室201aに面して(露出)している。
【0040】
第2の実施形態においても、ガス圧力検出室201aの内部はガスセンサ素子10の熱影響を受けず、被測定ガスの圧力を精度よく測定することができる。又、主体金具50とガス圧力検出室201aとを筐体部で1つのセンサ400として一体に保持するので、ガスセンサ素子10及び圧力センサ301の取付精度が向上すると共に、センサ素子10で被測定ガス中のガス濃度を測定する位置と、圧力センサ301で被測定ガスの圧力を測定する位置とが近接し、ガス濃度を測定する位置での被測定ガスの圧力を正確に測定することができる。
【0041】
さらに、制御回路305により、センサ400内で被測定ガス中のガス濃度の検出信号と被測定ガスの圧力の検出信号との処理を行うようにすれば、ガスセンサ素子10及び圧力センサ301の検出信号を外部装置(ECU;電子制御ユニット)に出力した場合に比べ、外部装置の処理負担が少なくなる。
又、ガスセンサ素子10及び圧力センサ301の検出信号を、1つの制御回路305内で処理するため、これらガスセンサ素子10及び圧力センサ301の検出信号を別個に外部装置(ECU等)に出力した場合の信号の位相ズレを抑制することができ、ガス濃度と被測定ガスの圧力との測定精度がさらに向上する。
なお、第2の実施形態において、ガス圧力検出室201aは径方向(横)に向いており、ガス圧力検出室201aの先端に接続されたチューブ等の他端を、吸気管等の所定位置に設置することで、ガスセンサ素子10よりもやや遠い位置で圧力の測定を行う。
【0042】
なお、本発明は上記各実施の形態に限られず、各種の変形が可能なことは言うまでもない。本実施の形態のセンサは、酸素ポンプセル3と酸素濃度測定セル5とを備えた2セル式のセンサであるが、ヒータ部を有する限り、その他のタイプのセンサ(1セルタイプの酸素センサや3セルタイプのNOxセンサなど)に対し、本発明を適用してもよい。
又、ヒータをセンサ素子に積層した板状センサに限らず、筒状のセンサ素子の内部にヒータを挿入した筒型センサであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 ガスセンサ素子
11 検出部
50 主体金具
3c、5c 固体電解質体
3a、3b、5a、5b 一対の電極
9 ヒータ部
100、102 プロテクタ部
102s ガス検出空間
101a、201a ガス圧力検出室
101p、201p ガス圧力検出空間
101t ガス温度検出空間(別空間)
101b 回路収容室
105 基体部(筐体部)
110、210 外筒(筐体部)
140 金属カバー(筐体部)
200、400 センサ
301 圧力センサ
303 温度センサ
305 制御回路
O 軸線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11