(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
釣糸への取り付けに適合された圧着可能コネクタを備える釣具アイテムであって、前記圧着可能コネクタは、一端に開口を有する細長の空洞を画定する壁部を備え、前記空洞は開口を通して釣糸の一部を受容するよう適合され、前記壁部は、前記空洞内に挿入された釣糸の一部に向かって非弾性的に圧縮されて内部にある前記糸の一部を固定するよう適合されており、
前記開口の領域内のコネクタにより前記糸に加えられた横力を分配するよう適合された力分配要素をさらに備え、前記力分配要素は、前記コネクタの壁部の外側に位置して外向きに拡大した端断面を備えるブッシュを備えており、当該ブッシュが前記空洞の開口に表れた前記壁部の端を完全にまたは部分的に覆って延在する段部を備えることにより、前記力分配要素は、前記開口に表れた前記壁部の端上に半径を備えていることを特徴とする釣具アイテム。
前記釣具アイテムは釣針であり、前記壁部は前記釣針のシャンクを含み、前記開口は前記壁部の一方の端に位置し、前記シャンクの他方の端から屈曲部が延在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の釣具アイテム。
前記シャンク及び前記屈曲部の一方はスピゴットを含み、前記シャンク及び前記屈曲部の他方はスピゴット受容部を含み、前記屈曲部は、前記スピゴットを前記スピゴット受容部に挿入することにより前記シャンクに固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の釣具アイテム。
2個の圧着可能コネクタを備え、前記2個の圧着可能コネクタは、それらの間での相対的回転を可能にする少なくとも一つの要素により連結されていることを特徴とする、請求項9に記載の釣具アイテム。
【背景技術】
【0002】
人類は漁獲を開始した時から、釣糸に釣針を取り付ける方法を考慮しなければならなかった。数多くの異なる方法が用いられてきたが、最も一般的には釣針に釣糸を通す目部を設ける方法が用いられている。その後、釣糸に結び目を作って針を糸に固定する。他の方法には、単純に釣針のシャンク上に釣糸を巻きつける方法も含まれる。釣針のシャンクは端を斜めにしていてもよく、していなくともよい。これら後者の技術を用いて釣糸に針を取り付ける方法は相当の熟練、経験および知識を要し、そうでなければ針は釣糸から抜け落ちる恐れがある。
【0003】
針を釣糸に取り付けるために結び目を用いることには、多くの難関がある。第一に、釣糸に結び目を作るという行為は釣糸の強度を低下させる。故に、釣り人は本人が行う釣りの種類に適した強さの釣糸を使用していると考えるかもしれないが、結び目を釣糸に作ることで糸の強度が50%低下した場合(これは結び目の作り方が不完全だった場合、珍しいことではない)、当人の釣糸では強度が低すぎるという可能性がある。釣り人が釣糸に、例えばスイベルの両端などに、複数の結び目を作った場合、当人の仕掛けは複数の弱点を含むかもしれない。第二に、魚を捕えるという観点から、釣糸はできるだけ目立たないこと、すなわちできるだけ細いことが望ましい。しかしながら、限られた長さの釣糸を効果的に結ぶためには、釣糸はある程度の太さでなければならない。
【0004】
また、釣糸には結び目が作られることが予測されるので、釣糸は延伸加工を受けて強度を増すが、ある点を超えた延伸加工は、釣糸の直線強度を引き続き増大させるものの、釣糸の結び目の強度を低下させるという点において、釣糸の製造に妥協を生じる。
【0005】
結び目を施す方法に関して多くの提案がされてきた。これらは一般的にはカラーを含み、このカラーには釣糸が通され、次に釣糸を釣針の目部またはスイベルを貫通させて、再びカラーを通し、その後釣糸上でカラーを圧着して、これにより釣具アイテムを定位置に保持する。
【0006】
この種の装置は以下に参照する公開特許公報に例示されている。
【0007】
米国特許第1156152号には、扁平端部を備えた波状シャンクを有する釣針が記載されている。アルミニウム管は、クランプとしてシャンクに締結される。糸はクランプにより締結されるが、この糸は、クランプから抜け落ちるのを防ぐため、一端に結び目を有する。
【0008】
米国特許出願公開第2003/0182844号は、糸を針に通し、それを結ばねばならないという問題を解決することを課題とし、固定チューブと固定アームを有する釣針について記載している。糸は固定アームの下方でシャンクに巻き付けられ、固定チューブが固定アーム上を滑動して、固定アームが糸を所定の位置に保持するように、これを押す。
【0009】
米国特許出願公開第2007/0227059号には、金属製外側部材と圧着可能材料製の内側部材とを備える圧着可能なカラーが説明されている。使用上、糸はカラーを貫通し、釣針またはスイベル等の釣具アイテムの目部を貫通し、再びカラーを貫通しており、この状態でカラーを圧着するが、この圧着作用により、圧着可能材料上に力がかかり、圧着可能材料の間の摩擦力が釣具アイテムを釣糸上に保持するに十分となる。
【発明の概要】
【0011】
しかしながら、上述の装置はどれも、釣針やスイベル等に影響を与える公知の問題を克服していない。多くの釣り人は、針やスイベル等の目部に糸を通すことが大変難しいと思っている。この作業には高度な正確性が要求され、例えば、視力の弱い釣り人にとって、また、沖合での釣りや釣り船が波で傾いている場合には、とりわけ困難を伴う。針について考慮すると、一方の手の指で針を保持しながら、他方の手の指で釣糸を保持することが必要である。天候が寒冷な場合、針の目部に糸を通すことは非常に難しい。釣り人は恐らく手袋を装着しており、したがって、手袋をしながら針および糸を保持するか、または手袋を脱ぐかをしなければならず、後者の場合、釣り人の手指は急速に冷えることから、釣針と糸のしかるべき扱いができない。さらに、釣糸を釣針または他の釣具アイテムに正しく固定するためには、結び目に関する相当な知識も必要となる。
【0012】
したがって、釣糸を釣具アイテムに取り付ける代替的手段を提供することが望まれる。
【0013】
また、釣糸を釣具アイテムに取り付けるこのような代替的手段を含む釣針を提供することがさらに望まれる。
【0014】
また、釣糸を釣具アイテムに取り付けるこのような代替的手段を含むスイベルを提供することがさらに望まれる。
【0015】
同一または異なる直径の2つの釣糸を相互に接続するためのコネクタを提供することがさらに望まれる。
【0016】
本発明の第一の側面によれば、釣糸への取り付けに適合された圧着可能コネクタを備える釣具アイテムあって、前記圧着可能コネクタは、一端に開口を有する細長の空洞を画定する壁部を備え、前記空洞は開口を通して釣糸の一部を受容するよう適合され、前記壁部は、前記空洞内に挿入された釣糸の一部に向かって非弾性的に圧着されて内部にある前記糸の一部を固定するよう適合されていることを特徴とする釣具アイテムが提供される。
【0017】
釣具アイテムは釣針、スイベル、糸コネクタ、または、釣糸に取り付け可能であり仕掛けを形成する同様の釣り用アイテムを備えてもよいことは理解されるであろう。
【0018】
ここに言う「釣糸」とは、モノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントまたはその派生物、ブレイド、ワイヤおよびフルオロカーボンの一つ以上の、またはその化学組成を含むものとする。このリストはより広範囲になり得るが、「釣糸」という用語は、釣り人と魚との間をつなぐ材料を示すよう選択されている。
【0019】
好ましくは、コネクタは釣糸の一部に向かって所定の距離だけ圧着される。さらに好ましくは、前記コネクタは所定の量だけ圧着され、釣糸に係合し、且つ釣糸の完全性を損なうことなくこれを所定の量だけ圧着する。コネクタ内に固定された釣糸の一部の断面は圧着の際に変化する可能性があるが、断面積は引き続き変化しないことが好ましい。これにより、コネクタと釣糸の圧着が増加して釣糸とコネクタ壁部の間の摩擦力が増加する一方、釣糸の引張強度は損なわれることなく、引き続き一定で保持されることが確実となる。
【0020】
好ましくは、細長空洞はその各端に開口を有する。これにより、釣糸の端部がコネクタを貫通し、前記コネクタから所望の距離だけ延在することが可能となる。したがって、コネクタを釣糸の端部に取り付けてもよく、または、糸の端部がコネクタからの所望の距離だけ延在してもよい。望ましくは、これもまた、複数のコネクタが一本の釣糸に取り付けられるのを可能とするので、これらは仕掛けの製造およびマルチ連結ターミナル釣具の準備にとって理想的となる。このことは、分割リングを特徴とするルアーを取り付けるのに小型ソリッドアイが適しているので、ルアー釣りをする者にとって特に望ましい。前記空洞の各端に開口部を有するので、釣具アイテムが釣針である、または釣針を含む場合に、釣糸が釣針のシャンクの後方を横断することも可能となり、「ヘア」が作られる。さらに、単一のコネクタに2個以上の釣針を接続してもよい。
【0021】
代替的には、空洞の一端が閉止されており、糸の端部を空洞の開口端の中へ挿入可能としてもよい。これにより、釣具アイテムを糸の軸方向に整列させ、釣具アイテムの大きさを最低限に維持することも可能となる。アイテムは細長の形状を維持することができ、これは例えば藻に絡まる恐れを低減することから望ましい。既知の装置の場合のように、糸の端部を、コネクタの空洞に貫通させ、例えば釣針の目部を貫通させ、再び空洞内に戻して、糸の2つの部分を一緒に圧着する必要性が回避される。このように回避しなければ、糸の2つの部分の間での逆に作用する摩擦効果および不整合という望ましくない結果を生む可能性がある。
【0022】
好ましくは、圧着可能コネクタは実質的に管状である。ここで言う管状とは、未圧着の状態で、断面が連続的および/または不連続的であり、かつ、円形等の任意の形状の断面を有するように形成されたチューブを含むと解釈すべきである。例えば、壁部が不連続的な断面を有するチューブは、チューブの壁部の端同士が一致、ほぼ一致、または重複する。好ましくは、コネクタは断面が円形である。これにより、コネクタは細長形状となり、海藻や糸、または同様のものこれに絡まるなどの恐れを最低限にし、かつ、釣具アイテムが、不必要な乱流を引き起こすことなく、水中および空中で高い性能を示すことが確実とする。好ましくは、空洞は、これに挿入される釣糸の直径に応じた寸法の内径を有する。さらに好ましくは、空洞の直径は、糸の直径よりわずかに大きく、これにより容易な挿入を可能しつつ、壁部の圧着に先立ち、これらの間の動きが最低限となるのを可能にする。
【0023】
好適には、空洞の壁部の少なくとも内面は目部に対して実質的に滑面、すなわち、圧着された構成において、糸を十分に保持するために、刻目等は必須ではない。特に、このような刻目等によって、釣糸が点力および完全性の喪失を受けやすくなるためである。
【0024】
好適には、圧着可能コネクタの壁部は金属製である。好ましくはコネクタの壁部は鉄であり、より好ましくはコネクタの壁部はステンレス鋼である。好適には、鉄は焼き戻しまたは焼きなましされ、一貫して非弾性的に圧着されてコネクタ内の釣糸に固定されるように、十分に柔軟で且つ均一であることを確実にする。
【0025】
好適には、釣具アイテムは、開口の領域内のコネクタにより糸に加えられた横力を分配するよう適合された力分配要素をさらに備える。この要素はコネクタの壁部から釣糸を保護し、とりわけ、鋭利である可能性があり、特に非軸方向の引張荷重を受けた際に釣糸の完全性を損なう可能性のある開口の領域内で釣糸を保護する。
【0026】
好適には力分配要素は開口に表れた壁部の端上または端の位置に半径を有する。コネクタ内の釣糸の整列を確保するのに必須ではないが、力分配要素は、例えば軟質の熱可塑性プラスチック、ゴムまたは金属等の、弾性的に圧縮可能な材料からなるブッシュを備えることができる。ブッシュは、空洞の開口に表れた壁部の端を完全にまたは部分的に覆って延在する端部を備えていてもよく、これにより釣糸を保護する。好適には、ブッシュは壁部の内側または外側に位置することができる。ブッシュの一部は空洞の開口の端を越えて延在してもよい。代替的に、ブッシュは必須ではなく、開口に表れた壁部の端は、例えばスエージ加工で、好適に成形されて、壁部の端を円形とし、非軸方向の引張荷重から釣糸を保護することができる。
【0027】
釣具アイテムは釣針であり、壁部は釣針のシャンクを含み、開口は壁部の一方の端に位置し、シャンクの他方の端から屈曲部が延在する。さらに、シャンク及び屈曲部の一方はスピゴットを含み、シャンク及び屈曲部の他方はスピゴット受容部を含み、屈曲部はスピゴットをスピゴット受容部に挿入することによりシャンクに固定されている。スピゴット及びスピゴット受容部は、スピゴットとスピゴット受容部との間の相対運動を制限するよう構成された対応形状要素を含むことができる。例えば、スピゴットとスピゴット受容部は断面が六角形であり、これにより相互に対応して係合する。好ましくは、スピゴットとスピゴット受容部は断面が円形である。
【0028】
代替的に、圧着可能コネクタが2個の開口端を有する場合、一端は釣針のシャンク、あるいは同様の釣具の細長部分を覆って係合され、釣針に確実に取り付けられ、それのシャンク部分を形成するよう適合される。次いで釣糸の端がコネクタの他の開口端の内部へ挿入され、釣糸を釣針に固定するためにコネクタを圧着することができる。コネクタを釣針に取り付けるための好適な手段は、締りばめを有するシャンク上にコネクタを機械的に押圧することによる。従来の釣針を、目部を無くし、圧着可能コネクタが取り付けられることとなる自由端を有するシャンクを形成することにより、改変可能である。好適には、軟鋼コネクタは硬化鋼針よりも、より可鍛性であり、例えば、硬化鋼針のシャンク上にコネクタが確実に押圧されることを可能にする。
【0029】
代替的に、前記釣具アイテムはスイベルであり、少なくとも一つの圧着可能コネクタと、このコネクタに対して回転可能な少なくとも一つの要素とを備えることができる。スイベルは、前記圧着可能コネクタの間での相対的回転を可能にする少なくとも一つの要素により連結されている2個の圧着可能コネクタを備えることができる。前記2個の圧着可能コネクタ間での相対的回転を可能にする前記少なくとも一つの要素はスイベル本体であってもよい。
【0030】
代替的に、前記釣具アイテムは糸コネクタであり、2つの開口端を有する圧着可能コネクタを備え、糸は個々の開口端内に挿入可能とすることができる。この糸コネクタはコネクタの一端から延在する第1空洞と、コネクタの他端から延在する第2空洞とをさらに備えることができる。第1および第2空洞は、異なる糸の端部が互いの干渉を受けずコネクタに個別に固定され、離間されることを可能にする。空洞は同軸であり、この内部に固定された糸は、使用にあたり荷重を受けた際に最大性能を示すよう、軸方向に整列している。糸は好適には分離しており、互いに重複または係合しておらず、これにより前記整列は一貫して達成され、これらの間の摩擦による悪影響を予防することを確実にする。好適には第一空洞は第1内径からなり、第2空洞は第2内径からなる。これにより、異なる大きさの2つの糸が整列状態で互いに連結されることが可能となる。
【0031】
代替的に、前記釣具アイテムはコネクタであって、更に前記釣具に他の釣具を取り付けるための取付要素を備えることができる。好適には、前記取付要素はコネクタの一端に配置されることができる。取付要素は、例えば、目部、クリップ、ワイヤ、ループ、リングおよびスナップシャックルのうちの一つとすることができる。
【0032】
本発明の更なる側面によれば、かかるコネクタと、釣針等の他の釣具アイテムとの組み合わせを提供する。
【0033】
本発明の更なる側面によれば、上述の釣具アイテムの圧着可能コネクタの壁部を釣糸の一部に圧着するよう適合されたツールを提供する。有利に、ツールは本発明の理念に基づき、釣糸の一部の釣具アイテムへの迅速、単純且つ一貫した取付けを可能にする。ツールは一対の顎部を備え、顎部が閉止した状態において、顎部の対向する面の間に間隙が存在するよう構成されている。閉止した状態における顎部の間の間隙は、その内部に挿入された糸にコネクタが圧着されたのち、糸/コネクタの性能にとって重要である。コネクタの過度な圧着は、糸の完全性を損なう可能性があり、コネクタの圧着不足は、コネクタ内の糸が抜け落ちる結果を招くことがある。間隙の寸法は釣具アイテムに取り付けられる糸の直径および/または糸の種類に応じて選択可能である。例えば、ツールは、間隙の寸法を選択的に調整する手段を備え、及び/または、顎部が閉止した状態において必要とされる間隙の寸法に応じて、一対の顎部を一群の顎部の中から選択してもよい。
【0034】
ツールは、釣糸の一部に向けて所定距離でコネクタを圧着することにより、高度な正確性と制御性をもってコネクタを糸上に固定するよう構成されている。コネクタは、望ましくは所定の量で圧着され、釣糸に係合し、その完全性を損なうことなく、釣糸を所定の量で圧縮する。重要な点として、コネクタに固定された釣糸の一部の断面は圧着の間に変化し得るが、その断面積は変わらずに保たれる。これにより、コネクタと糸の圧着の増加にしたがって、糸とコネクタ壁部との間の摩擦力は増加するが、糸の引張強度を損なわず、一貫した状態を保つことを確実にする。
【0035】
好ましくは、各顎部は、釣糸および/または釣具アイテムの直径に応じた寸法とされた、複数の異なる大きさの対応溝を備える。
【0036】
好適には、顎部の少なくとも一方は、圧着作業の前および作業中に、前記顎部に配置された釣具アイテムを把持するための把持手段を備えることができる。把持手段は把持部を画定することができ、把持部は、顎部の材料と比較して高い摩擦係数を有する異なる材料からなる。把持部はゴム製またはプラスチック材料製であってよい。
【0037】
好ましくは、ツールは各締め付け作業の間、締め付け力が正しく適用されることを確保する手段をさらに備える。これは全締め付け作業に一貫性を与える点で有利である。このような手段は可聴性または可視性であることができる。可聴性手段の一例は、ラチェット機構とすることができる。好適には、本発明に従う釣具アイテムの圧着可能コネクタに適用される締め付け力は選択的に制御されることができる。これは顎部が閉止した状態における顎部の間の間隙を選択的に調整することの代替手段または追加手段となり得る。
【0038】
ツールは、釣糸の端を釣具アイテムの圧着可能コネクタの空洞内に供給するための手段を備えることができる。これにより、寒冷な悪天候の状況下、及び/または釣り人が手袋を装着しており、このような作業が特に困難となる場合でも、糸が簡単且つ迅速な方法で本発明に従う釣具アイテムのコネクタに挿入されて固定されることが可能となる。釣針等の釣具アイテムは、ツール内及びツールの上に設けられた釣糸の端に手動で装着されることができる。第1操作において、糸の端はツールにより把持され、ツールの操作により釣針の圧着可能コネクタ内に送り込まれることができる。第2操作において、圧着可能コネクタはツールにより圧着され、糸上に釣針を固定する。
【0039】
ツールは、本発明に従う釣具アイテムを顎部に自動的に装填し、釣糸に取り付ける手段をさらに備えることができる。このような手段は、連続的なツール内への装填及び釣糸への取り付けのための、複数の釣具アイテムを収容するマガジンを含んでもよい。本発明に従う複数の同様の釣針等の釣具アイテムは、マガジン内への配置のために互いに付着していてもよく、隣接する釣針の間の付着は、釣針がツール内に自動的に装填される際に除去されるのが好適である。
【0040】
一群の取り外し可能で異なる大きさの顎部を用意し、締め付け固定される釣具アイテムに取り付けられる糸の直径および/または必要とされる圧着領域の長さに応じて、一対の顎部をかかる群より選択することができる。顎部が閉止した構造における所望の間隙の寸法に応じて、一対の顎部を選択することができる。望ましくは、異なる大きさの顎部のそれぞれの対は、釣り人の便宜のため、糸の大きさ/タイプに応じて、色分けおよび/または標識付与がなされている。色分けは糸、モノフィラメント等の糸のリールおよび/または釣具アイテムの色分けに対応することができる。代替的または追加的に、漁師が釣糸に応じて正しい溝または顎部の大きさを選択することを可能にするため、釣糸ゲージが設けられてもよい。
【0041】
顎部の一方または双方は、締め綱目部を含むことができる。ツールはさらに糸切断のための手段を含むことができる。
【0042】
もちろん、圧着ツールは、手持ち式ツールに限定されるものではなく、例えば地面や釣船のデッキ等に搭載された一片の装置であってもよい。このような装置は、電気または空気圧により作動されることができ、また、完全に自動化され、効率的であり、生産性や一貫性を著しく向上し、操作訓練を最低限しか必要とせず、廃棄物を低減させる装置を提供することができる。
【0043】
本発明の他の側面によれば、釣糸の一部に本発明に従う釣具アイテムを取り付ける方法であって、
i)釣糸の一部を、釣具アイテムの空洞内に挿入するステップと、
ii)圧着可能壁部を圧着して、釣具アイテムを釣糸に固定するステップとを含む方法が提供される。
【0044】
この方法は、本発明によれば、さらに他の釣具アイテムをコネクタの取付要素に取り付けるステップを含むことができる。
【0045】
本発明のさらなる側面によれば、上述したツールを用いて釣糸に本発明に従う釣具アイテムを取り付ける方法であって、
i)少なくとも一つの釣具アイテムをツールの顎部の間に挿入するステップと、
ii)顎部を閉止位置に向かって移動させて、顎部の間で釣具アイテムを保持するステップと、
iii)釣糸を圧着可能コネクタの空洞内に挿入するステップと、
iv)顎部を閉止位置に向かってさらに移動させて、釣具アイテムが釣糸に固定されるよう、コネクタの圧着可能壁部を圧着するステップと、
v)ツールから釣具及び釣糸を分離するステップとを備える方法が提供される。
【0046】
好ましくは、少なくとも一つの釣具アイテムは、顎部の一方の内部に配置され、顎部の他方は釣具アイテムに向かって移動される。
【0047】
上記の方法において、好ましくは、コネクタは釣糸の一部に向かって規定の距離に圧着される。さらに好ましくは、前記コネクタは釣糸に係合するよう規定の量に圧着され、かつ、釣糸はその完全性を損なうことなく既定の量に圧着される。コネクタ内に固定された釣糸の一部の断面は圧着の際に変化する可能性があるが、断面積は引き続き変化しないことが重要である。これにより、コネクタと釣糸の圧着が増加して釣糸とコネクタ壁部の間の摩擦力が増加するものの、釣糸の引張強度は損なわれることなく、引き続き一定で保持されることが確実となる。
【0048】
好適には、上記の方法の一つまたは双方は、空洞内で釣糸に付着するための接着剤を提供するステップを備えてもよい。適当な接着剤はシアノアクリレート糊または二液型エポキシ樹脂とすることができる。しかしながら、本発明の主な利点は、以下に説明するとおり、結び目より強く、かつ、釣糸と同等の強度を示す、結び目を作らずに釣具アイテムを釣糸に接着剤の補助なしで接続する方法である。
【0049】
本発明の更なる側面によれば、釣具アイテム及び本発明に従うツールを備える部品のキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図2】糸を挿入した、圧着されていないチューブを示す。
【
図4】止め結びを有する糸を挿入した、圧着されたチューブを示す。
【
図5】止め具を有する糸を挿入した、圧着されたチューブを示す。
【
図6】止め具を有する糸を挿入した、圧着されたチューブを示す。
【
図9a】内部ブッシュを有するチューブを説明する図である。
【
図9b】外部ブッシュを有するチューブを説明する図である。
【
図10a】本発明に従う糸とデバイスを備える釣具の強度をテストする手順を説明する図である。
【
図10b】本発明に従う糸とデバイスを備える釣具の強度をテストする手順を説明する図である。
【
図10c】本発明に従う糸とデバイスを備える釣具の強度をテストする手順を説明する図である。
【
図10d】本発明に従う糸とデバイスを備える釣具の強度をテストする手順を説明する図である。
【
図10e】本発明に従う糸とデバイスを備える釣具の強度をテストする手順を説明する図である。
【
図10f】本発明に従う糸とデバイスを備える釣具の強度をテストする手順を説明する図である。
【
図10g】本発明に従う糸とデバイスを備える釣具の強度をテストする手順を説明する図である。
【
図12】本発明に従うスイベルの一実施形態の概略図である。
【
図13】本発明に従うスイベルの第2の実施形態の概略図である。
【
図14】本発明に従うスイベルの第3の実施形態の概略図である。
【
図14b】本発明に従うスイベルの第4の実施形態の概略図である。
【
図14c】本発明に従うスイベルの第5の実施形態の概略図である。
【
図15】本発明に従うスイベルの第6の実施形態の概略図である。
【
図16】本発明に従うコネクタの一実施形態の概略図である。
【
図17】本発明に従うコネクタの第2の実施形態の概略図である。
【
図17b】本発明に従うコネクタの第3の実施形態の概略図である。
【
図18】直径の同じ糸を連結するよう構成された、本発明に従う糸コネクタの概略図である。
【
図19】直径の異なる糸を連結するよう構成された、本発明に従う糸コネクタの概略図である。
【
図20b】スイベル本体を含む、本発明に従う糸コネクタの概略図である。
【
図21】本発明に従う釣具アイテムの変形可能部分を圧着するためのソールの概略図である。
【
図22】本発明に従う釣針の屈曲部の概略図である。
【
図23】本発明に従う釣針のシャンク部の概略図である。
【
図24】本発明に従う釣針のスペーサーの概略図である。
【
図25】本発明に従う釣針に挿入する糸の一部の概略図である。
【
図26】釣糸の一部に取り付けられる、本発明に従う組み立てられた釣針の概略図である。
【
図27】本発明の第2の実施形態に従う釣針の概略正面断面図である。
【
図28】糸を挿入した、
図27に示す釣針の概略正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施態様を、例示のみを目的として説明する。
【0052】
図22〜26を参照し、本発明に従う釣針が図示されている。釣針30は、複数の部品、すなわち、
図22に示す屈曲部20、
図23に示す管状シャンク24、ならびに管状シャンク24の内部に挿入可能なブッシュ27を備える。糸28の端はブッシュ27内に挿入され、管状シャンク24を圧着することにより糸に固定される。
【0053】
管状シャンク24はステンレス鋼であり、ブッシュ27はプラスチック材料で形成されている。しかし、ブッシュ27はブレイド等の特定の種類の糸に対してアルミニウム等の金属材料であっても良いことが分かっている。なぜならば、このような材料はスチール鋼よりも摩擦係数が高く、望ましいことには、ブレイド等の特殊用途の釣糸に対し、より高いレベルの把持を提供するからである。
【0054】
この実施態様においては、ブッシュ27は、糸28の軸と釣針のシャンク24の軸が整列していない状態で糸に力が加えられた場合に、釣糸28を保護するためにも使用される。釣りの最中、糸の、シャンク内部に挿入された部分を除き、釣糸の軸線が釣針のシャンクの軸線に対して垂直に位置するのは珍しいことではない。従って、このような状況において、糸に大きな点荷重をかけ、完全性を損なうこととなり得るような、鋭利な縁に糸が位置しないことが重要である。
【0055】
特に
図22を参照し、屈曲部20は、一般には金属である材料の湾曲部の一端に先端部22を含み、本例では断面が実質的に円形であるが、任意の適当な形状とすることのできるスピゴット23を他端に含む。スピゴット23は、対応した形状とされた管状シャンク24と係合し、それらの間に締りばめを形成する。溶接または突き合わせ接合等の任意の適当な接合技術を用いて、スピゴットを管状シャンクに取り付けることができる。管状シャンク24は、一般には硬化鋼である針よりも軟らかく、かつ可鍛性である、焼きなました軟鋼等の、圧着可能な非弾性材料から形成される。あるいは、既存の針の目部を無くし、管状シャンクを、締りばめおよび/または他の適当な接合技術により、既存のシャンク部に押し付け、本発明に従う針を得ることもできる。
【0056】
図1〜3を参照し、釣具アイテムの変形可能部を形成するのに適したチューブが図示されている。
図3において、チューブは変形した状態で示されており、チューブの薄くなって変形した部分は、糸の完全性を損なうことなく糸の外面にチューブの壁部を圧着することにより、チューブを糸に取り付けている。変形した部分は任意の形状を取ることができるが、糸の完全性を損なうことなく糸を圧縮する上で、断面が円形であるか、
図7に示すように、少なくとも2つの平坦な辺を有することが好ましい。
【0057】
図4において、糸2は、止め結び2aを結ぶことにより形成されたストッパを含む。ストッパを加える目的は、糸に加わる力が、チューブ1の壁部1bを糸に押し付ける力を上回った場合に、補助的な止めを設けるためであり、このような場合には、チューブの端部1cが止め結び2aに係合するまで、糸はチューブ1を通して引っ張られるであろう。
【0058】
図5において、ストッパ2bは、糸2を溶かすことにより形成される。ストッパ2bは、ストッパ2aと同様に機能する。
【0059】
図6において、ストッパは、
図4および5に示したものとは異なる方法で形成される。
図6において、チューブ1の圧着可能部分1bは、糸2が圧縮され、圧縮されていない部分1d内の糸2の部分の直径が、チューブ1の圧着された部分1bにより圧縮された糸の断面よりも大きくなる程度に、圧着される。このような構成により、結び目を作ったり、糸の端を溶かしたりする必要がないという利点が得られる。しかし、糸を圧縮しすぎると、糸の機械的特定に悪影響を与えるおそれがあり、チューブを不十分に圧着すると、糸がチューブ内で滑るおそれがある。
【0060】
図7a〜7eは、部分1bを圧着できる他の方法を示す。
【0061】
図7aにおいて、部分1bは、全体が均一に圧着されている。部分1bは、その長さに沿って糸2を締め付ける。
【0062】
図7bにおいて、圧着部1bは、異なる3点1eで圧着されており、点1eにおいて糸2は把持されている。
【0063】
図7cにおいて、圧着部1bは、異なる5点で圧着されており、これらは、チューブの一方の側の3点1fと、他方の側の2点1gとであり、点1gは点1fの間に位置する。これにより、チューブ1の圧着部1b内の糸が、ジグザク経路を通ることとなり、糸2とチューブ1との間の摩擦が増加する。
【0064】
図7dにおいて、チューブの何れかの端部で、チューブの壁部に互いに直交する力を加えることにより、チューブ1を圧着する。チューブ1の端部1hを、端部1iよりも圧着してもよい。
【0065】
図7eにおいて、チューブ壁の対向する2つの側面に力を加えることにより、チューブ1を未圧着状態(破線で示す)から圧着状態に圧着して、チューブに2つの平坦部5、6を形成し、これによって、内部にある糸2を規定の距離で圧縮して、糸2の断面積を確保し、かつ、引張性能を不変に保ちつつも、糸2の断面形状を変化させる。
【0066】
図8および9は、糸2に横力が加えられた結果生ずる損傷から糸を保護する手段を示す。
図8において、チューブ1の壁部1aの端部1jは円形である。これは、スエージ加工により達成することができる。端部1jを円形にする目的は、チューブの長手軸線に一致していない糸2に力が加わった場合に、糸2の完全性を損なうおそれのある点荷重を回避することにある。
【0067】
図9aにおいて、内部ブッシュ3がチューブ1に挿入されている。ブッシュ3はプラスチック材料製である。糸2がチューブ1の長手軸線に一致していない力を受けた際に、ブッシュは点3aの周りで屈曲し、ブッシュがなければ糸2に加わるであろう点荷重を広い範囲に分配する。
【0068】
図9bにおいて、チューブ1の内部にブッシュを設ける代わりに、ブッシュ4をチューブ1の外部に装着する。ブッシュ4は拡大した端断面4aを備え、横力が糸に加わった場合に糸が端断面に係合する。端断面4aは、荷重を糸の広い範囲に分配し、糸の損傷の恐れを低減するよう機能する。
【0069】
ブッシュ4は、チューブ1の端部に当接する段部4bと、チューブを包囲する部分4cとを含む。
【0070】
図11〜20は釣具アイテムを示す。
図11は、従来技術のスイベルの例である。
図12〜20は、本発明に従う釣具アイテムを示す。
【0071】
図12は、スイベル本体5bの一端に接続されたループ5aと、スイベル本体の他端に接続されたコネクタ5cとを備えるスイベル5を示す。
【0072】
図13は、スイベル本体6に接続された圧着可能コネクタ6aおよび6bを備えるスイベル6を示す。
【0073】
図14は、コネクタ7bと、これに対して回転するように装着されたループ7aを備えるスイベルを示す。もちろん、ループ7aは、ワイヤ、ループ、リング、クリップ、スナップシャックル、または、例えば
図17bに示されたものと同様の形状のいわゆる「クイックリンク」の形状を取ることができる。クリップまたはループ7aは、スイベルが1つ以上の他の釣具アイテムに固定され、かつ、取り外し可能に取り付けられることを可能とする固定手段を備えることができる。あるいは、
図14bに示すように、クリップ7bを、スイベル7eのループ7dに取り付けられるように構成してもよく、このスイベルは、本発明に従って釣糸を受ける圧着可能コネクタ7fを含む。さらなる実施態様において、
図14cに示すように、公知のスイベル(
図11に示す)の一端をクリップ7cに取り付け、他端を、圧着可能コネクタ7iを有するコネクタ(
図16または17に示すコネクタと同様)のループまたはクリップ7hに取り付けることができる。
【0074】
図15は、シャフト8cの回りで互いに対して回転可能な圧着可能コネクタ8a、8bを備えるスイベル8を示す。
【0075】
図16は、一端に目部を有する圧着可能コネクタ9aを備えるコネクタ9を示す。
【0076】
図17は、一端から延びるクリップ10bを有する圧着可能コネクタ10を備えるコネクタ10を示す。釣人は、かかるクリップを用いて、例えばスイベルを取り付けることができる。もちろん、クリップ10bは、ワイヤ、ループ、リング、クリップ、スナップシャックル、または、例えば
図17bに示されたものと同様の形状のいわゆる「クイックリンク」の形状を取ることができ、クイックリンクは、主糸の端部にしっかりと取り付けられ、仕掛けの迅速な交換を可能とする。
【0077】
図18〜20は、2つの分離した糸を同軸かつ離間した状態で相互に接続する糸コネクタを示す。
【0078】
図18の糸コネクタ11は、両端から糸2、2’が挿入される圧着可能コネクタを備える。圧着可能コネクタは、糸2、2’に圧着され、同軸かつ離間した状態で2つの糸を相互に接続する。
【0079】
図19および20は、直径の異なる2つの糸を相互に接続するよう構成された糸コネクタ12を示す。コネクタ12は、それぞれが直径の異なる糸を受けるように構成された2つの糸受け部12b、12cを含む圧着可能コネクタ12aを備える。糸2が部分12bに挿入され、部分12bが圧着されて、コネクタ12を糸2に固定する。糸2’が部分12cに挿入され、圧着されて、糸2’をコネクタ12に固定し、かつ、2つの糸を相互に結合する。さらなる実施態様において、部分12b、12cは、
図20bに示すように、スイベル13に回転可能に連結することができる。部分12b、12は、寸法の小さな糸または寸法の異なる糸を、
図18および19に示すコネクタに同様にして受け入れるように適合させることができる。
【0080】
図21は、圧着可能コネクタの圧着に使用するのに適した圧着ツール15を示す。ツール15は、望ましくは、比較的強固な圧着可能コネクタを糸に向けて圧着して固定するという機械的な利点をユーザに提供する。ツール15は、本発明の圧着可能コネクタを所望の制御された方法で圧着するよう適合された一対の顎部16を含む。例えば、顎部を、
図7a〜7eに示された方法の何れか一つで圧着可能コネクタを圧着するよう構成することができる。ツール15は、本発明に従う針、コネクタまたはスイベル等の少なくとも1つの釣具アイテムの圧着可能コネクタを、単一の締結動作で圧着するよう適合される。例えば、単一の針を単一の操作で糸に締結し、または、2つ以上の同一または異なる釣具アイテムを単一の締結操作で異なる糸に締結することができる。
【0081】
ツール15の好適な実施態様を
図21aおよび21bに示す。一対の顎部16のそれぞれが、糸および/または釣具アイテムの直径に応じた寸法にされた、異なる寸法の対応する溝18を複数有する。溝18は、各顎部の長手軸線を交差する方向に向けられている。各溝18は、釣人の便宜のために、色分けされる。
【0082】
ツールの顎部16閉じた場合に、規定の寸法の間隙が顎部の間に存在すると有利である。これにより、ツールが圧着可能コネクタ過度に圧着し、糸の完全性を損なうことが防止される。この間隙寸法は、釣具アイテムに取り付けられる糸の直径および/または種類に応じて選択される。必要な間隙寸法は、圧着されるチューブおよび糸の直径に直接比例することがわかっている。顎部16は取り外し可能であり、締結される釣具アイテムに接続される糸の直径に応じて、寸法の異なる顎部を選択し、ツールに係合させることができる。閉止した状態における単一対の顎部の間隙寸法は、構成の異なる顎部の選択された対により決まる間隙寸法に代えて、調整可能である。顎部が閉じた状態での規定の間隙寸法の選択は、規定の締結力を選択とは反対に、より好ましいやり方である。なぜならば、加えられる力とは無関係に顎部が閉じた際に、顎部がそれ以上互いに近づけないようにされているので、コネクタとその中の糸とに対する過荷重と、それによる過度の圧着との恐れが防止されるからである。
【0083】
ツールの顎部の好適な実施態様を
図21cおよび21dに示す。顎部70、71はそれぞれ、ループコネクタ等の、本発明に従って圧着される釣具アイテムを係合するための締結部72、73と、各顎部をツールに取り付けるための取り付け部74、75を備える。第1の顎部70の締結部72は、締結部から第2の顎部71に向けて延在する2つの離間して平行な壁部76、77を備える。各壁部76、77は、それぞれが本発明に従う釣具アイテムを受け入れるよう適合された、複数の均等に離間した対応するスロットまたは溝78、79を備える。図示のように、釣具アイテムの一端は第1の壁部76の溝に係合し、他端は第2の壁部77の対応する溝に係合しているので、釣具アイテムは顎部を実質的に横切るように配置される。各溝は、釣具アイテムの圧着可能コネクタ81に合わせた寸法とされた湾曲基部を備える。
【0084】
顎部は、硬化鋼等の金属材料製とすることが好ましい。しかし、第1の壁部76および/または第2の壁部77の一部80を、ゴムまたはプラスチック等の、摩擦係数が比較的高い材料から形成し、釣具アイテムが第1の顎部に配置された際の掴みやすさを付与することができる。これにより、釣具アイテムが顎部内で圧着されるより前に、釣具アイテムが第1の顎部から滑り出ないことを確実にする。
【0085】
第1の壁部76内の溝78の上方開放縁は湾曲しており、ここに釣具アイテムが挿入されるのを案内する補助となる。溝78は、釣具アイテムの圧着可能コネクタ81と相補的に成形されており、第1の顎部に受け入れられた際にコネクタを指示する。第2の壁部の溝79の外縁は、内方に向けて先細りとなっており、各溝79の外縁の回りに漏斗状部91を画定する。各漏斗状部91は、釣糸の端部が圧着可能コネクタ81に挿入されるのを案内する補助となる。このことは、例えば、釣糸の端を針の目部に通すことが特に困難な場合、特に手袋を装着している場合に、視力の弱いユーザや、寒冷な天候下でツールを使用するような悪条件での作業に、特に望ましい。
【0086】
第1および第2の壁部76、77の上面82は実質的に平坦であり、第2の顎部71の締結部73の実質的に平坦な対応面83に嵌合する。第2の顎部72の締結部73の突出部分84は、締結面82、83が閉止位置で嵌合している場合に、突出部分84と第1の顎部との間に間隙を存在させて、ツールが圧着可能コネクタ81を過度に圧着して糸の完全性を損なうことがないような寸法とされる。この間隙寸法は、釣具アイテムに取り付けられる糸の直径に応じて、選択的に調整可能である。
【0087】
再度、
図21aおよび21bを参照し、顎部16をハンドル部17に対して傾斜させ、ツールの使用を容易にする。ツール15は、右利きおよび左利きの釣人が使用するのに適したグリップを有する。
【0088】
ツール15はラチェット機構19を含み、これによって、閉止状態での顎部の間の間隙寸法を選択的に調整可能とし、かつ、締結操作の度に正しい締結力が適用されることを保証できる。代替的または付加的に、ラチェット機構19を、コネクタおよび糸に加えられる締結力を調整するよう適合させてもよい。
【0089】
ツール15の利点の一つは、釣人が圧着可能コネクタ内に釣糸を挿入することを試みている間に、釣具アイテムをツール内に保持することができるという点である。手持ち式ツールのような大きな物体を保持するのは、針のような小さな釣具アイテムを保持するのよりも、はるかに容易である。
【0090】
まず、ハンドル部17を相互に動かして、顎部を閉止位置に動かし、これらの間に本発明に従う釣具アイテムを保持する。本発明に従う釣具アイテムの圧着可能コネクタ内に糸を挿入した後、操作者がハンドル部17をさらに相互に動かし、顎部16を閉止位置に動かして、釣具アイテムの圧着可能コネクタを圧着し、かつ、非弾性的に変形させ、糸の完全性を損なうことなく、圧着可能コネクタを内部の糸にしっかりと取り付ける。ラチェット機構19は、締結操作中に、十分は締結力が糸とコネクタに加わることを保証する。ハンドル部17を互いに対してさらに動かすと、ラチェット機構19が解放され、顎部16が開いて、糸にしっかりと取り付けられた釣具アイテムが解放される。
【0091】
図27および28は、本発明に従う糸の他の実施態様を示しており、針40は、実質的に中実とすることのできる屈曲部41と、中空のシャンク43とを含む単一の要素からなる。屈曲部41の一端には先端42があり、他端からはシャンク43が延在する。使用時には、釣人は糸44を中空シャンク43に挿入し、糸44が完全に挿入されると、糸が把持され、針が糸に固定されるように、シャンク43の壁部を圧着する。
【0092】
ここで
図29を参照し、目部51と、釣糸53を受け入れるように適合された圧着可能チューブ5を有するコネクタ50が図示されている。図から分かるように、コネクタ50は、選択56と目部57を備える釣り針55に取り付けられる。針55のコネクタ50および57の目部51は相互に連結しており、図示の実施態様では、これら2つの部品は製造中に組み立てられる。しかし、目部51、57の一方を、
図30に示す実施態様のような方法で形成してもよく、これによれば、目部51、57の一方または両方を、部品を作るワイヤを、間隙68を残すように曲げることにより形成し、他方の部品の目部が間隙68を通って挿入され、目部が相互に連結する。次いで、適当なツールで目部を締め付けて間隙68を閉止する。針55およびコネクタ50を予め組み立てて販売してもよく、別々に販売してもよい。
【0093】
ここで
図30および31を参照し、コネクタ65は、圧着可能チューブ61、目部63の壁を貫いて延びる孔62を含む。目部63を、例えばレーザー溶接等の適当な手段でチューブ61に取り付けることができる。この構成の利点は、糸64が孔62を貫通し、針65を越えて延び(
図31の糸64の部分64aを参照)、針65を越えて延びる糸の量を釣人の要求に応じて調整できるという点である。したがって、コネクタは、糸の端部に、または、所望により糸の端部から離して、取り付けることができる。これにより、複数のコネクタを単一の糸に取り付けることができ、仕掛けの製造と複数連結端子釣具の構成に適したものとなるという点でも望ましく、これは、小さな中実の目部が分割リングを有するルアーを取り付けるのに好適であることから、ルアー釣人にとって特に望ましい。チューブ61は、「ヘア」を作ることができるように、糸が針シャンクの背部を横断することも可能にする。さらに、2つ以上の針を単一のコネクタに接続することができる。コネクタの目部63は、図に示したような実質的に円形とする他、細長形状とすることもできる。細長形状は、海藻および/またはゴミを集める恐れを低減する。このようにしていないと、海藻および/またはゴミを除去するために糸を巻き取る必要があり、これは、釣り時間の望ましくない中断を招く。もちろん、目部63は、例えば、ワイヤ、リング、クリップ、スナップシャックル、または、いわゆる「クイックリンク」の形状を取ることもできる。
【0094】
針は、一般に、何度かの熱処理を受けるが、これによって、その材料が糸への圧着に不適当なものとなり得る。コネクタを、分離しているが、連結される部品として作ることで、コネクタの材料特性を、糸への圧着に最も適当となるように選択することができる。また、糸の種類の相違は、糸の強度の相違となり、また、異なる製造者からの糸は直径が異なる。コネクタを別部品として製造することにより、針の工程を変える必要なしに、直径の異なる孔を設けることができる。また、針の物理的要求は、コネクタの規格で対処する必要がないので、より安価な材料から、コストのかからない方法でコネクタを製造することも可能となる。
【0095】
図30から分かるように、針およびコネクタの一方(
図30の実施形態の場合には針)の目部は、ワイヤの一部を曲げることで形成される。目部66は、端部67を針の隣接部から若干離間させ、間隙68を残すように形成される。したがって、針66を、コネクタ60とは別のアイテムとして製造し、販売することができる。針をコネクタに取り付けるには、釣人は、コネクタ60の目部を間隙68に通し、目部66が形成されるワイヤを適当なツールで締め付けて、間隙を閉じる。このようにして、釣人はコネクタ60を広範な針に使うことができる。もちろん、コネクタの目部が間隙を有することもでき、この場合には、針を
図30に示すように構成してもよく、このように構成しなくてもよい。
【0096】
もちろん、コネクタ60は、
図11に示す公知のスイベル、または、例えば
図12および14に示す本発明に従うスイベル等の、針以外の、目部を有する他の釣具アイテムと共に用いることができる。さらに、コネクタ60を、例えば
図16および17に示すような他のコネクタと接続することができる。コネクタ16、17、60を、圧着可能コネクタ9a、10a、61内の糸の直径および/または長さを適宜に収容するような寸法とすることができる。同一または異なる寸法のコネクタを、上述のようにして相互に接続することができる。
【実施例】
【0097】
本発明の目的の一つは、結び目よりも接続の強い、釣具アイテムを糸に取り付ける手段を提供することである。これを達成するために、多数の機械的試験を行った。
【0098】
試験1 結び目に対する圧着した糸を比較するための引張試験
外径が1.59mm,内径が1.19mm、壁が0.2mm、長さが15mmであるの1本の冷間引き抜きステンレス鋼管を次のようにして準備した。
i)鮮紅色になるまで約10秒間加熱した後、水中で急冷した。これを3回繰り返した。
ii)Preston Refle Powerline(商品名)として流通している、直径0.26mmのナイロン釣糸1本を管に通した。
iii)次に、プライヤを用いて、糸を圧縮して捕捉するのに合理的な力で、管をナイロン糸に圧着する。管は全長にわたっては圧着されておらず、管の端部が糸に食い込むのを防ぐために、管のわずかの部分を未圧着のままにした。
iv)管から約200mm飛び出した糸を、半むち先差込み結び(half blood tucked knot)を用いて、糸を5周させて釣針に結びつけた。
v)管を万力に取り付け、万力を、管を保持するのには十分であるが、これを変形させない程度に締め付けた。
vi)プライヤを用いて針を把持し、糸の破損が起きるまで、管と一直線になるように、糸にゆっくりと手で荷重をかけた。
【0099】
なお、糸は結び目のところで破損したが、管の端部では無傷のままであった。
【0100】
試験1は、圧着を用いてチューブの中に釣糸を固定することは、糸を5周させた半むち先差込み結びを結ぶという一般に用いられている方法よりも強固であることを示している。
【0101】
これらの結果を補強するため、実直径が0.205mmのナイロン糸を、上述したような圧着チューブに取り付けるとともに、同種の糸を針に結びつけ、それぞれについて5回の引張試験を行った。下記の表1は、引張試験の結果であり、破断ひずみをポンドで表している。針に結びつけた糸に比べて、本発明に従うチューブに取り付けた糸を破断するのに必要な破断ひずみの方が高く、したがって、より強いことが分かる。
【0102】
【表1】
【0103】
試験2 圧着した糸に対する引張試験
外径が1.10mm,内径が0.685mm、壁厚が0.208mm、長さが15mmであるの1本のゲージ19の冷間引き抜きステンレス鋼管を次のようにして準備し、Mitchel Universe(商品名)の0.22mm、3,900kgのナイロン釣糸1本を把持した。この試験を
図10a〜10gに示す。
i)鮮紅色になるまで約10秒間加熱した後、水中で急冷した。これを3回繰り返した。
ii)糸の一端を管に挿入した(
図10b)。
iii)糸を管に引き通した(
図10c)。
iv)管を、糸の完全性を損なうことなく、全長の大部分にわたって所定の距離で圧着する一方、管の端部を未圧着のままにした(
図10d)。
v)糸を圧縮することなく、管を万力の顎部で拘束した(
図10e)。
vi)糸の他端を、直径24mmの木槌の軟質ゴムハンドルに約4周巻き付け、摩擦を与えるとともに、その領域での高い応力を防いだ(
図10f)。
vii)糸をゆっくりと引いて、破損させた(
図10g)。
【0104】
糸は管とハンドルの間で破損したが、無破損の糸が管から約40mmの長さで突出して残った。
【0105】
この試験から、直径0.23mmのナイロン釣糸を、外径が1.10、内径が0.685のステンレス鋼管に、結び目、強力液体接着剤および圧着を用いて、糸強度の100%に等しい保持強度で把持することが可能であることが分かった。このことは、この方法で釣具を糸に結合した場合には、得られる器具で最も弱い部分は糸であることを示している。
【0106】
寸法の異なる糸(直径0.19〜0.305mmのRefle Powerline(商品名)および直径0.47〜0.69mmのMustad Snood Mono Clear(商品名))とチューブとに対して、接着剤を用いずに、追加の試験を行った。
【0107】
1.外径1.1mm、壁厚0.208mmのチューブは、平均で14.72ポンド(65.48ニュートン)の力で破損した、試験した最大の糸(直径0.305mmのPreston Refle Powerline(商品名))の引張強度にほぼ等しい(96.29%)摩擦力を与えるのに十分な厚さであった。
【0108】
直径0.19〜0.305mmのRefle Powerline(商品名)を用いて試験を行った場合、外径1.1mmのチューブに対する最適な顎部間隙は、糸の直径に直線的に相関していることが分かった。顎部間隙の最も厳しい許容誤差は±0.015mmであることも分かった。
【0109】
直径0.19〜0.305mmのRefle Powerline(商品名)を用いて試験を行った場合、外径1.1mmのチューブに対する最小顎部/圧着部距離は6mmであることが分かった。
【0110】
2.外径1.3mm、壁厚0.305mmのチューブは、平均で42.3ポンド(188.2ニュートン)の力で破損した、直径0.575mm(30ポンド)のMustad Snood Mono(商品名)の引張強度にほぼ等しい(96.38%)摩擦力を与えるのに十分な厚さであった。
【0111】
直径0.47〜0.69mmのMustad Snood Mono Clear(商品名)を用いて試験を行った場合、外径1.3mmのチューブに対する最適な顎部間隙は、糸の直径に直線的に相関していることが分かった。顎部間隙の最も厳しい許容誤差は±0.02mmであることも分かった。
【0112】
15〜30ポンドのMustad Snood Mono(商品名)糸を用いて試験を行った場合、最小顎部/圧着部距離は、性能を維持するためには、10mmまで増加させる必要があることが分かった。
【0113】
糸とチューブを結合した前後に糸を水に入れることで、水の存在の影響を試験した。結合後14時間にわたり糸とチューブを水に浸した。糸の保持強度への悪影響はみられなかった。
【0114】
機械的試験のまとめ
チューブの壁厚は、チューブの初期内径および初期外径の関数である。チューブ内径は糸寸法により決まるので、最適な壁厚を得るためにチューブ外径を変更した。壁厚は、以下の要素により決まる。
・糸に張力を負荷する際に、圧着される領域のねじれに対抗するために必要な剛性。
・圧着領域の曲げに対抗する剛性。
・適当は圧着ツールを用いた圧着を可能にする柔軟性。
【0115】
圧着サイクルの完了時における顎部間の間隙は、糸/チューブの境界の性能における重要な要素である。理想的な操作条件下で、糸は、引張強度を損なうことのない最小限の寸法で圧縮されるであろう。糸は十分に柔軟であり、圧着中に断面積は減らないが、実質的に円形から扁平な丸形に形状が変わると考えられる。このことは、糸の引張強度は一定に維持されるが、糸が圧縮されるほど、糸とチューブの間の摩擦力が大きくなることを意味する。この関係は、糸の断面積が減り、引張強度も減るほどに糸が圧縮されるまでは、当てはまる。
【0116】
焼きなましされたステンレス鋼316は、錆に対する高い耐性、曲げ耐性、柔軟性および圧縮に対する優れた均一性により、用途に適合した材料として選択された。
【0117】
糸/チューブの境界において、荷重の加わる表面積の大きさは十分に大きく、糸材料せん断限界を超えることはない。糸の直径は予め決まっているので、糸/チューブの境界の面積は、顎部/圧着部距離を増やすことにより、増大される。
【0118】
本発明を用いるであろう環境の特性から、結合または圧着処理の間およびその後の両方において、チューブ内に存在する水の影響を試験する必要があった。