(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器を冷媒が順に循環するヒートポンプであって、凝縮器において冷媒と熱媒が熱交換することで熱媒を加熱するヒートポンプを備えるヒートポンプユニットと、
熱媒を蓄えるタンクを備えるタンクユニットと、
ヒートポンプとタンクの間で熱媒を循環させる熱媒循環経路であって、タンクの下部から凝縮器へ熱媒を送る熱媒循環往路と、凝縮器からタンクの上部へ熱媒を送る熱媒循環復路を備える熱媒循環経路と、
熱媒を加熱する補助熱源ユニットを備えるヒートポンプシステムであって、
外気温度を検出する外気温度検出手段と、
タンクユニットの内部の熱媒循環復路に設けられたヒータをさらに備えており、
熱媒の凍結を防ぐために、タンクとヒートポンプの間で熱媒を循環させながら加熱する凍結防止運転を実行可能であり、
凍結防止運転において、外気温度が高い場合に、ヒートポンプによって熱媒を加熱し、外気温度が低い場合に、ヒータによって熱媒を加熱する、ヒートポンプシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ヒートポンプによる熱媒の加熱はエネルギー効率が高いため、凍結防止のための熱媒の加熱もヒートポンプを駆動して行うことが好ましい。また、加熱源をヒートポンプしか持たないシステムにおいては、外気温度が低い状況でも、凍結防止運転のためだけではなく、タンクに蓄熱する必要がある場合、例えば給湯用のお湯を貯湯する必要がある場合には、ヒートポンプを駆動する必要がある。しかしながら、外気温度が低い状況でヒートポンプを駆動すると、ヒートポンプの冷媒と外気との間で熱交換を行う蒸発器に着霜してしまうおそれがある。蒸発器に着霜してしまうと、除霜運転に伴ってドレンが発生するため、ドレンの凍結を防止するための処置が別途必要となる。特に、加熱源をヒートポンプしか持たないシステムにおいては、除霜運転が必ず必要となるため、ドレンの凍結防止処置も必ず必要となる。このため、ヒートポンプの蒸発器には、可能な限り着霜させないことが好ましい。
【0005】
本明細書は、上記の課題を解決する技術を提供する。本明細書は、ヒートポンプで加熱した熱媒をタンクに蓄熱するヒートポンプシステムにおいて、凍結防止運転に起因してヒートポンプの蒸発器に着霜してしまう事態を防ぐことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示するヒートポンプシステムは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器を冷媒が順に循環するヒートポンプであって、凝縮器において冷媒と熱媒が熱交換することで熱媒を加熱するヒートポンプを備えるヒートポンプユニットと、熱媒を蓄えるタンクを備えるタンクユニットと、ヒートポンプとタンクの間で熱媒を循環させる熱媒循環経路
であって、タンクの下部から凝縮器へ熱媒を送る熱媒循環往路と、凝縮器からタンクの上部へ熱媒を送る熱媒循環復路を備える熱媒循環経路と、熱媒を加熱する補助熱源ユニットを備えている。そのヒートポンプシステムは、外気温度を検出する外気温度検出手段と、タンクユニットの内部の
熱媒循環復路に設けられたヒータをさらに備えている。そのヒートポンプシステムは、熱媒の凍結を防ぐために、タンクとヒートポンプの間で熱媒を循環させながら加熱する凍結防止運転を実行可能である。そのヒートポンプシステムは、凍結防止運転において、外気温度が高い場合に、ヒートポンプによって熱媒を加熱し、外気温度が低い場合に、ヒータによって熱媒を加熱する。
【0007】
上記のヒートポンプシステムでは、外気温度に応じて、凍結防止運転で用いる加熱手段を切り替える。外気温度が高い場合には、ヒートポンプによって熱媒を加熱することで、エネルギー効率を高めることができる。また、外気温度が低い場合には、ヒータによって熱媒を加熱し、ヒートポンプによる熱媒の加熱を行わないことで、ヒートポンプの蒸発器への着霜を防ぐことができる。上記のヒートポンプシステムによれば、凍結防止運転に起因してヒートポンプの蒸発器に着霜してしまう事態を防ぐことができる。なお、上記のヒートポンプシステムは、外気温度が低い場合にヒートポンプユニットの駆動を行わない構成とした場合でも、補助熱源ユニットを用いて熱媒を加熱し、例えば給湯用の湯をつくり供給することができるため、利便性を損なうことがない。補助熱源ユニットとしては、例えばガス熱源機や、ガスエンジンコージェネ、燃料電池、ヒータなど、駆動に伴って着霜しない加熱源であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0009】
また、上記のヒートポンプシステムによれば、
タンクユニットの内部の熱媒循環経路にヒータが設けられているので、ヒートポンプユニット内のサーミスタ(熱媒の温度を検出するサーミスタや、ヒートポンプの内部で循環する冷媒の温度を検出するサーミスタ)の検出値がヒータからの放熱の影響を受けることを防ぐことができる。
【0011】
一般に、ヒートポンプからタンクへ熱媒が戻る
熱媒循環復路よりも、タンクからヒートポンプへ熱媒を送る
熱媒循環往路の方が、熱媒が凍結する可能性が高い。そのため、凍結防止運転の要否の判断は、タンクからヒートポンプへ熱媒を送る
熱媒循環往路において検出された熱媒の温度に基づいて行われることが多い。上記のヒートポンプシステムによれば、ヒータがヒートポンプからタンクへ熱媒が戻る
熱媒循環復路に設けられているので、タンクからヒートポンプへ熱媒を送る
熱媒循環往路に設けられているサーミスタの検出値がヒータからの放熱の影響を受けることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書が開示するヒートポンプシステムによれば、凍結防止運転に起因してヒートポンプの蒸発器に着霜してしまう事態を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例)
図1は本実施例の給湯システム10の構成を示している。
図1に示すように、給湯システム10は、貯湯ユニット20と、HP熱源ユニット40と、ガス熱源ユニット50と、コントローラ11を備えている。
【0015】
HP熱源ユニット40は、圧縮機41と、凝縮器である第1熱交換器43と、膨張弁44と、蒸発器である第2熱交換器45を備えるヒートポンプ40aを備えている。ヒートポンプ40aでは、圧縮機41の吐出側と四方弁42と第1熱交換器43の冷媒流路43aと膨張弁44と第2熱交換器45と四方弁42と圧縮機41の吸入側が、冷媒配管46によって順に接続されており、冷媒がこの順に循環する。冷媒は、例えばR744(CO2冷媒)であってもよいし、R410A(HFC冷媒)であってもよい。第1熱交換器43は、冷媒流路43aと循環水流路43bとを備えている。第2熱交換器45の近傍にはファン45aが設置されている。第2熱交換器45は、ファン45aによって送られる外気と冷媒との間で熱交換を行う。冷媒配管46には、圧縮機41の吐出側と四方弁42との間と、膨張弁44と第2熱交換器45との間に、除霜経路47が接続されている。除霜経路47には、除霜弁47aが設けられている。
【0016】
第1熱交換器43の循環水流路43bの入口側には循環往路接続経路48が接続されており、出口側には循環復路接続経路49が接続されている。循環往路接続経路48には、入口側サーミスタ48aが設けられており、循環復路接続経路49には出口側サーミスタ49aが設けられている。入口側サーミスタ48aは、第1熱交換器43の循環水流路43bに流入する循環水の温度を検出し、出口側サーミスタ49aは、第1熱交換器43の循環水流路43bから流出する循環水の温度を検出する。なお実際には、各サーミスタ48a,49aは水温に応じた検出信号を出力し、この信号がコントローラ11に入力されることにより水温が検出される。以下においても、サーミスタやセンサが検出するという表現は、実際には、これらの検出信号がコントローラ11に入力されることにより温度や水の流量を検出することを意味する。
【0017】
貯湯ユニット20は、貯湯槽21と混合器24とを備えている。貯湯槽21の底部には、貯湯槽21に水道水を給水する給水経路22が接続されている。給水経路22の水道水入口22aの近傍には、減圧弁23が設けられている。減圧弁23は、給水経路22への給水圧力を調整する。給水経路22の減圧弁23より下流側には、混合器24の混合給水経路26が接続されている。混合給水経路26には、給水制御弁26aと、給水流量センサ26bと、給水サーミスタ26cが設けられている。給水制御弁26aは、混合給水経路26を流れる水道水の流量を調整する。給水流量センサ26bと給水サーミスタ26cは、混合給水経路26を流れる水道水の流量及び温度を検出する。貯湯槽21内の温水が減少したり、給水制御弁26aが開いたりすると、減圧弁23の下流側圧力が低下する。減圧弁23は、下流側圧力が低下すると開き、その圧力を所定の調圧値に維持しようとする。このため、貯湯槽21内の温水が減少したり、混合器24の給水制御弁26aが開いたりすると、これらに水道水が給水される。
【0018】
給水経路22において、混合給水経路26の接続部よりも下流側には、排水経路31が接続されている。排水経路31の途中には、排水弁32が設けられている。排水弁32は手動で開閉することができる。排水弁32を開くと、貯湯槽21内の水が排水経路31を通じて外部に排水される。
【0019】
貯湯槽21の底部には、循環往路33の一端が接続されており、貯湯槽21の上部には、循環復路34の一端が接続されている。循環往路33の他端は、HP熱源ユニット40の循環往路接続経路48に接続されており、循環復路34の他端は、循環復路接続経路49に接続されている。循環往路33には、往路サーミスタ36と循環ポンプ37とが設けられている。往路サーミスタ36は、貯湯槽21から循環往路33に流出した水の温度を検出する。循環ポンプ37が駆動すると、貯湯槽21の下部から循環往路33に水が吸出され、この水が第1熱交換器43の循環水流路43bを流れて、循環復路34を通じて貯湯槽21の上部に戻される。このようにして、貯湯槽21とヒートポンプ40aとの間の循環経路が構成されている。
【0020】
タンクユニット20の内部の循環復路34には、電気式の凍結防止ヒータ34aが設けられている。循環復路34の途中には、圧力開放経路38が接続されており、圧力開放経路38には、リリーフ弁38aが設けられている。リリーフ弁38aの開弁圧力は、減圧弁23の調圧値よりも僅かに大きく設定されている。減圧弁23の調圧が不能になった場合には、リリーフ弁38aが開き、貯湯槽21内の圧力が耐圧可能な圧力を超えるのを防止する。貯湯槽21では、その上端から所定量(例えば30リットル)の箇所に上部サーミスタ39が取り付けられている。上部サーミスタ39は、貯湯槽21上部の水温を検出する。なお、貯湯ユニット20には、外気温度を検出する外気温サーミスタ35も設けられている。
【0021】
貯湯槽21の上部には、混合器24の温水経路25が接続されている。温水経路25には、温水制御弁25aと、温水流量センサ25bと、温水サーミスタ25cが設けられている。温水制御弁25aは、貯湯槽21から温水経路25へ流れる水の流量を調整する。温水流量センサ25bは、貯湯槽21から温水経路25へ流れる水の流量を検出する。温水サーミスタ25cは、温水経路25を流れる水の温度を検出する。温水経路25と混合給水経路26とは合流して第1混合経路27に接続されている。第1混合経路27には、第1混合経路27を流れる混合水の温度を検出する混合サーミスタ27aが設けられている。
【0022】
貯湯ユニット20は、第1給湯経路29を備えている。第1給湯経路29には、給湯サーミスタ29aが設けられている。第1給湯経路29の先端には、給湯栓60が接続されている。給湯栓60は、浴室、洗面所、台所等に配置されている(
図1では、これら複数の給湯栓60を1つで代表している)。第1混合経路27の途中と第1給湯経路29の途中は、給湯バイパス経路28によって接続されている。給湯バイパス経路28には、バイパス制御弁28aが設けられている。バイパス制御弁28aを開いた状態では、第1混合経路27を流れた混合水が給湯バイパス経路28へ流れ、バイパス制御弁28aを閉じた状態では、第1混合経路27を流れた混合水が、後記するガス熱源ユニット50の第2混合経路51へ流れる。
【0023】
ガス熱源ユニット50は、バーナ熱交換器52とバーナ53等を備えている。バーナ熱交換器52には、第2混合経路51を介して、貯湯ユニット20の第1混合経路27からの混合水が流入する。第2混合経路51には、入水サーミスタ51aと給湯流量センサ51bと水量サーボ51cとが設けられている。入水サーミスタ51aと給湯流量センサ51bは、それぞれ第2混合経路51を流れる水の温度及び流量を検出する。水量サーボ51cは、第2混合経路51を流れる水の流量を調整する。ガス燃焼式のバーナ53は、バーナ熱交換器52を加熱する。バーナ熱交換器52で加熱された水は、第2給湯経路54を介して、貯湯ユニット20の第1給湯経路29に流れ込む。第2給湯経路54には、バーナ熱交換器52の出口近傍に、缶体サーミスタ55が設けられており、その下流側に出湯サーミスタ56が設けられている。第2混合経路51における水量サーボ51cの下流側と、第2給湯経路54の缶体サーミスタ55と出湯サーミスタ56との間には、熱源機バイパス経路57が接続されている。第2混合経路51と熱源機バイパス経路57との接続部には、熱源機バイパス制御弁58が設けられている。熱源機バイパス制御弁58の開度を調整することによって、第2混合経路51を流れる水の一部が熱源機バイパス経路57に流れ、その水の流量が調整される。
【0024】
コントローラ11は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには各種の運転プログラムが格納されている。RAMには、コントローラ11に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。詳細には、RAMには、上記した各種のサーミスタ25c,26c,27a,29a,35,36,39,48a,49a,51a,55,56及び流量センサ25b,26b,51bの検出信号が入力され、これらの情報が一時的に記憶される。コントローラ11では、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて、貯湯ユニット20、HP熱源ユニット40およびガス熱源ユニット50の各種機器に対して駆動信号を出力する。また、コントローラ11には、リモコン13が接続されている。リモコン13には、給湯システム10を操作するためのスイッチ16、給湯システム10の動作状態を表示する液晶表示器17等が設けられており、リモコン13で設定された情報がコントローラ11に入力される。
【0025】
(蓄熱運転)
給湯システム10では、ヒートポンプ40aによって貯湯槽21の水を加熱して高温の温水とし、この温水を貯湯槽21に貯湯する蓄熱運転を実行可能である。
【0026】
蓄熱運転では、HP熱源ユニット40において、圧縮機41を駆動する。圧縮機41で圧縮された冷媒が、第1熱交換器43の冷媒流路43aを流れる際に循環水流路43bを流れる循環水を加熱する。冷媒流路43aから流出した冷媒は、膨張弁44で膨張して冷却され、第2熱交換器45を流れる際に外気から吸熱して昇温する。昇温した冷媒が圧縮機41に流入して再び圧縮されることによってさらに昇温する。
【0027】
貯湯ユニット20では、循環ポンプ37が作動し、貯湯槽21内の水が貯湯槽21の底部から循環往路33に吸出される。循環往路33に吸出された水は、HP熱源ユニット40の第1熱交換器43の循環水流路43bを通過する際に加熱されて温度上昇する。温度上昇した温水は、循環復路34を流れて貯湯槽21の上部に戻される。この循環が行われることによって、貯湯槽21では、低温層の上部に高温層が積層した温度成層が形成される。貯湯槽21に高温の温水が戻され続けると、高温層の厚さ(深さ)は次第に大きくなり、最大限に蓄熱された状態では、貯湯槽21の全体に高温の温水が貯まった状態になる。貯湯槽21に温度成層が形成されていると、貯湯槽21に最大限に蓄熱が行われていなくても、貯湯槽21の上部に接続されている温水経路25に高温の温水を送り出すことが可能となる。
【0028】
(給湯運転)
給湯運転では、混合器24で給湯設定温度に調整された混合水を給湯バイパス経路28を通じて給湯栓60から給湯する第1給湯運転と、混合器24で給湯設定温度よりも低い温度に調整された混合水をガス熱源ユニット50で加熱して給湯栓60から給湯する第2給湯運転のいずれかを実行する。
【0029】
貯湯槽21の上部サーミスタ39の検出水温が、リモコン13で設定されている給湯設定温度よりも高い第1基準温度(例えば給湯設定温度+5℃)以上である場合には、第1給湯運転が行われる。第1給湯運転では、コントローラ11がバイパス制御弁28aを開状態とし、水量サーボ51cを全閉状態とする。コントローラ11は、混合サーミスタ27aで検出される水温が給湯設定温度となるように、温水制御弁25aの開度と給水制御弁26aの開度を調整する。給湯設定温度に調整された混合水は、第1混合経路27を流れた後に、給湯バイパス経路28及び第1給湯経路29を通じて給湯栓60から給湯される。
【0030】
一方、上部サーミスタ39の検出水温が第1基準温度未満である場合には、第2給湯運転が行われる。第2給湯運転では、コントローラ11が、バイパス制御弁28aを全閉状態とし、水量サーボ51cを所定開度に設定する。コントローラ11は、混合サーミスタ27aで検出される水温が給湯設定温度よりも低い第2基準温度(例えば給湯設定温度−5℃)となるように、温水制御弁25aの開度と給水制御弁26aの開度を調整する。第2基準温度に調整された混合水は、第1混合経路27を流れ、ガス熱源ユニット50の第2混合経路51を流れてバーナ熱交換器52に流入し、バーナ53により加熱される。バーナ53の加熱能力は、バーナ熱交換器52の出口に設けられている缶体サーミスタ55で検出される水温が60℃以上となるように制御される。これにより、配管に結露水が発生することを抑制することができる。第2混合経路51を流れる混合水の一部が熱源機バイパス経路57を通じて第2給湯経路54に流入し、バーナ熱交換器52からの60℃以上の水と熱源機バイパス経路57からの第2基準温度の水とが混合されて、給湯設定温度の水が第1給湯経路29に送られる。このようにして、給湯設定温度に調温された水が、第1給湯経路29を通じて給湯栓60から給湯される。これにより、第1給湯運転中に貯湯槽21に貯湯しておいた温水を消費しつくした場合にも、給湯設定温度に調温された温水を給湯し続けることができる。
【0031】
(除霜運転)
冬季などの外気温が低い状態でヒートポンプ40aを駆動すると、第2熱交換器45に着霜してしまうことがある。第2熱交換器45に着霜してしまうと、外気との間の熱交換効率が低下して、ヒートポンプ40aでの循環水の加熱能力が低下してしまう。そこで、本実施例の給湯システム10では、第2熱交換器45に着霜した場合に、第2熱交換器45から除霜する除霜運転を実行可能である。除霜運転では、HP熱源ユニット40において、除霜弁47aを開いた状態で圧縮機41を駆動する。これによって、
図1の破線矢印に示すように、圧縮機41から吐出した高温の冷媒は、除霜経路47を通じて第2熱交換器45に流れて、圧縮機41に戻るように循環する。高温の冷媒が第2熱交換器45を流れることで、第2熱交換器45から除霜することができる。
【0032】
(凍結防止運転)
冬季などの外気温が低い状態で、蓄熱運転を行わないまま長時間が経過すると、第1熱交換器43の循環水流路43bや、循環往路33、循環往路接続経路48、循環復路接続経路49、循環復路34の内部に循環水が滞留し、これらの配管の内部で循環水が凍結してしまうことがある。循環水が凍結してしまうと、凍結した循環水が溶融するまで、蓄熱運転を実行できなくなってしまう。そこで、本実施例の給湯システム10では、外気温度が低く、循環水の温度が低下した場合に、循環水の凍結を防止する凍結防止運転を実行可能である。以下では
図2を参照しながら、給湯システム10が行う凍結防止運転について説明する。
【0033】
ステップS202では、循環水の温度が所定温度(例えば10℃)を下回るか否かを判断する。なお、以下の説明において、循環水の温度とは、往路サーミスタ36で検出される循環往路33内の循環水の温度と、入口側サーミスタ48aで検出される循環往路接続経路48内の循環水の温度のうち、低い方の温度を意味する。循環水の温度が所定温度以上の場合(ステップS202でNOの場合)、処理はステップS202へ戻る。循環水の温度が所定温度を下回ると(ステップS202でYESとなると)、処理はステップS204へ進む。
【0034】
ステップS204では、外気温サーミスタ35で検出される外気温度が所定温度(例えば5℃)を下回るか否かを判断する。外気温度が所定温度以上の場合(ステップS204でNOの場合)、処理はステップS202へ戻る。外気温度が所定温度を下回ると(ステップS204でYESとなると)、処理はステップS206へ進む。
【0035】
ステップS206では、循環ポンプ37を駆動する。これによって、貯湯槽21の下部から循環水が吸い出されて、循環往路33、循環往路接続経路48、第1熱交換器43の循環水流路43b、循環復路接続経路49、循環復路34を順に経由して、貯湯槽21の上部に循環水が戻される。このような循環水の流動により、循環往路33、循環往路接続経路48、第1熱交換器43の循環水流路43b、循環復路接続経路49、循環復路34の内部の循環水が置換される。
【0036】
ステップS208では、循環水の温度(往路サーミスタ36で検出される循環往路33内の循環水の温度と、入口側サーミスタ48aで検出される循環往路接続経路48内の循環水の温度のうち、低い方の温度)が所定温度(例えば13℃)以上であるか否かを判断する。ステップS206で凍結防止運転を開始した時点で、貯湯槽21に余熱が残っている場合には、循環ポンプ37の駆動によって、循環往路33、循環往路接続経路48、第1熱交換器43の循環水流路43b、循環復路接続経路49、循環復路34の内部の循環水が、貯湯槽21からの暖かい循環水で置換される。この場合には、それ以上凍結防止運転を継続する必要がない。従って、ステップS208で循環水の温度が所定温度以上となると(YESとなると)、処理はステップS228へ進んで、循環ポンプ37を停止して、凍結防止運転を終了する。ステップS208で循環水の温度が所定温度に満たない場合(NOの場合)、処理はステップS210へ進む。
【0037】
ステップS210では、外気温度が所定温度(例えば6℃)以上であるか否かを判断する。ステップS206で凍結防止運転を開始した後に、循環水が凍結するおそれのない温度まで外気温度が上昇した場合には、それ以上凍結防止運転を継続する必要がない。従って、ステップS210で外気温度が所定温度以上となると(YESとなると)、処理はステップS228へ進んで、循環ポンプ37を停止して、凍結防止運転を終了する。ステップS210で外気温度が所定温度に満たない場合(NOの場合)、処理はステップS212へ進む。
【0038】
ステップS212では、ステップS206で循環ポンプ37を駆動してから所定時間(例えば30分)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過していない場合(ステップS212でNOの場合)、処理はステップS208へ戻る。所定時間が経過した場合(ステップS212でYESの場合)、処理はステップS214へ進む。ステップS212からステップS214へ進むのは、循環ポンプ37を駆動してから所定時間が経過するまで、循環水の温度が所定温度に満たない(すなわち、貯湯槽21に余熱が残っていない)場合で、かつ外気温度が上昇もしない場合である。このような場合に、本実施例の給湯システム10では、ステップS214以降の処理で、循環水を加熱する。
【0039】
ステップS214では、外気温度が所定温度(例えば−10℃)を下回るか否かを判断する。一般的に、ヒートポンプ40aによる循環水の加熱はエネルギー効率が高いため、凍結防止のための循環水の加熱もヒートポンプ40aを駆動して行うことが好ましい。しかしながら、外気温度が低い状況でヒートポンプ40aによる加熱を行うと、第2熱交換器45に着霜してしまうおそれがある。第2熱交換器45に着霜してしまうと、除霜運転に伴ってドレンが発生するため、ドレンの凍結を防止するための処置が別途必要となる。このため、第2熱交換器45には、可能な限り着霜させないことが好ましい。そこで、本実施例の給湯システム10では、凍結防止運転において循環水を加熱する際に、外気温度に応じて加熱手段を切り替える。
【0040】
ステップS214で外気温度が所定温度以上の場合(NOの場合)、処理はステップS216へ進む。ステップS216では、圧縮機41を駆動してヒートポンプ40aによる循環水の加熱を開始する。ステップS218では、循環水の温度(往路サーミスタ36で検出される循環往路33内の循環水の温度と、入口側サーミスタ48aで検出される循環往路接続経路48内の循環水の温度のうち、低い方の温度)が所定温度(例えば30℃)以上となるまで待機する。ステップS218で循環水の温度が所定温度以上となると(YESとなると)、ステップS220で圧縮機41を停止してヒートポンプ40aによる循環水の加熱を終了する。その後、処理はステップS228へ移行し、循環ポンプ37を停止して、凍結防止運転を終了する。
【0041】
ステップS214で外気温度が所定温度を超えている場合(NOの場合)、処理はステップS222へ進む。ステップS222では、凍結防止ヒータ34aをオンして、凍結防止ヒータ34aによる循環水の加熱を開始する。ステップS224では、外気温度が所定温度(例えば−8℃)以上となるまで待機する。ステップS224で外気温度が所定温度以上となると(YESとなると)、ステップS226で凍結防止ヒータ34aをオフして、凍結防止ヒータ34aによる循環水の加熱を終了する。その後、処理はステップS228へ移行し、循環ポンプ37を停止して、凍結防止運転を終了する。
【0042】
以上のように、本実施例の給湯システム10では、凍結防止運転を行う際に、外気温度が高い場合にはヒートポンプ40aによって循環水を加熱し、外気温度が低い場合には凍結防止ヒータ34aによって循環水を加熱する。このような構成とすることによって、凍結防止運転に起因してヒートポンプ40aの第2熱交換器45に着霜してしまう事態を防ぐことができる。
【0043】
上記の給湯システム10では、凍結防止ヒータ34aを、HP熱源ユニット40の内部ではなく、貯湯ユニット20の内部に設けている。このような構成とすることで、HP熱源ユニット40内のサーミスタ(循環水の温度を検出する入口側サーミスタ48a、出口側サーミスタ49aおよび冷媒の温度を検出する図示しないサーミスタ)の検出値が凍結防止ヒータ34aからの放熱の影響を受けることを防ぐことができる。
【0044】
なお、上記の給湯システム10では、凍結防止運転に限らず、蓄熱運転においても、外気温度が所定温度(例えば−10℃)を下回る場合には、ヒートポンプ40aによる循環水の加熱を行わないようにして、第2熱交換器45への着霜を防ぐ構成としてもよい。このような構成とした場合でも、上記の給湯システム10によれば、ガス熱源ユニット50を用いる第2給湯運転によって、給湯栓60に給湯設定温度の水を供給することができる。使用者の利便性を損なうことなく、ヒートポンプ40aの第2熱交換器45への着霜を防ぐことができる。
【0045】
上記の給湯システム10では、凍結防止ヒータ34aを、循環往路33ではなく、循環復路34に設けている。このような構成とすることで、往路サーミスタ36の検出値が凍結防止ヒータ34aからの放熱の影響を受けることを防ぐことができる。
【0046】
なお、
図3に示すように、凍結防止ヒータ34aをHP熱源ユニット40の内部の循環往路接続経路48に設ける構成とした場合でも、
図2のような凍結防止運転を行うことによって、凍結防止運転に起因してヒートポンプ40aの第2熱交換器45に着霜してしまう事態を防ぐことができる。
【0047】
上記の実施例では、ヒートポンプ40aと貯湯槽21の間で循環させる熱媒として、給湯で供給する水道水(上水)を使用する構成について説明した。これとは異なり、例えばヒートポンプ40aと貯湯槽21の間で循環させる熱媒として不凍液を使用し、給湯で供給する水道水(上水)と貯湯槽21に貯められた不凍液の間で熱交換する熱交換器を別途設けることで、貯湯槽21の蓄熱を給湯に利用する構成としてもよい。
【0048】
上記の実施例では、貯湯槽21に貯めた熱媒を給湯に利用する構成について説明した。これとは異なり、例えば貯湯槽21に貯めた熱媒を床暖房や浴室乾燥暖房機などの暖房に利用する構成としてもよい。あるいは、貯湯槽21に貯めた熱媒を給湯と暖房の両方に利用する構成としてもよい。
【0049】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。