特許第5981885号(P5981885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981885
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】イモ蜜組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/10 20160101AFI20160818BHJP
   C12P 19/22 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A23L19/10
   C12P19/22
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-125099(P2013-125099)
(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公開番号】特開2015-16(P2015-16A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2014年10月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511251249
【氏名又は名称】加賀谷 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100070530
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 泰之
(72)【発明者】
【氏名】山川 理
(72)【発明者】
【氏名】吉元 誠
(72)【発明者】
【氏名】別府 大和
【審査官】 鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−275949(JP,A)
【文献】 特開平10−117745(JP,A)
【文献】 特開平10−117746(JP,A)
【文献】 特開平10−117747(JP,A)
【文献】 特開平10−215835(JP,A)
【文献】 特開平11−332502(JP,A)
【文献】 特開2006−325574(JP,A)
【文献】 特開平06−062881(JP,A)
【文献】 特開2004−248673(JP,A)
【文献】 小野真知子、外4名,甘しょの調理開発に関する研究(第3報) : ジュースへの利用について,名古屋女子大学紀要 家政・自然編,1995年 3月 5日,Vol.41,p.93-100
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/10
C12P 19/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FROSTI/FSTA/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サツマイモに加水、加熱処理を行って得たサツマイモ由来の加工品に、サツマイモの絞り汁若しくはサツマイモパウダーから得られたβ―アミラーゼを糖化用の酵素として利用し、30〜60分間、60〜75℃で加熱処理しながら糖化処理を実行し、得られた液状物を加圧搾汁した後、加熱濃縮する事を特徴とするイモ蜜組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イモ蜜及びイモ蜜の製造方法に関するものであり、特に詳しくは、サツマイモから得られた麦芽などの雑味や麦芽臭がなく色、風味、匂い等の官能特性に優れ、保存期間が長く設定できる栄養学的な機能性を向上した高級感のある健康補助食品としてのイモ蜜及びイモ蜜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来に於けるサツマイモからイモ蜜を製造する方法としては、例えば、南薩摩半島の頴娃・知覧地域において、よもぎ餅に付けるイモ蜜としてこれまで、限定的に季節の嗜好品として製造され、「芋飴」という名称で、当該地区で主に販売されていた。
係る「芋飴」と称される従来からのサツマイモを主原料とするイモ蜜製品は、使用される原料芋の品種が当該地域で栽培されているサツマイモ品種、例えば、コガネセンガンやシロユタカ等に限定されており、又当該イモ蜜製品の製造方法は、一般的に、サツマイモに、麦芽と水飴を加える方法が取られていた。
係る従来のイモ蜜の製造方法の一般的な例を説明するならば、第1の工程としては、先ず、サツマイモを煮るかあるいは蒸した後、加水してスラリー状の液状にする。
その後、第2の工程として、当該液状体に麦芽(β―アミラーゼ)を添加して約50℃〜60℃で保温し、約1時間の糖化処理を行う。
次いで、第3の工程として、当該糖化処理後の、液状物を加圧搾汁(絞り工程)して(イモ蜜の原料が得られる。
次いで、第4の工程として、この原料を2乃至3時間程加熱濃縮してイモ蜜が完成する。
処で、上記した方法により製造されたイモ蜜は、サツマイモに麦芽や水飴を加える方法が用いられているため、最終製品の当該イモ蜜には、麦芽による雑味や麦芽臭が残ってしまい、当該イモ蜜そのものの味や風味の品質を低下させる原因となっている。
更に、上記した従来のイモ蜜の製造技術に於いては、糖化処理工程に於いて麦芽が使用されている為、麦芽由来の酵素の活性を維持する目的で、糖化工程の温度を60℃以下に設定する必要性がある。その結果、糖化過程や搾汁過程においてはカビやバクテリア等腐敗の原因となる雑菌が繁殖しやすく、当該イモ蜜製品に於ける腐敗の発生防止策が不徹底な場合、当該イモ蜜製品の品質管理上及び保存性が不十分となるなどの問題が発生する。
その他に、本発明に関連する特許文献としては、特許第4570067号公報(特許文献1)が見られるが、上記特許文献は、β―アミラーゼの製造方法に関して開示されており、その一例としてサツマイモからβ―アミラーゼを製造する方法が示されてはいるものの、上記β―アミラーゼを使用してサツマイモからイモ蜜を製造する方法に関しては、開示も示唆もみられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4570067号公報、
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、上記した従来技術の欠陥を改良し、すべてサツマイモを原料とするイモ蜜であって、麦芽による雑味や麦芽臭がなく、透明性に優れ、更に、従来の糖化処理温度よりも高い温度で、かつ短時間で糖化処理を行う為、作業工程の短縮や製造コストの削減が図れるとともに、カビやバクテリアなどの腐敗を生じる雑菌の混入が起こらないので、賞味期間や保存期間が長く設定でき、また、原料となるサツマイモの持つ栄養学的な機能性を重視した高級感のある健康補助食品としてのイモ蜜を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した様な目的を達成するため、基本的には、以下に示す様な技術構成を採用するものである。
【0006】
即ち、本発明に係る第1の態様としては、基本的には、サツマイモに加水、加熱処理を行って得たサツマイモ由来の加工品に、サツマイモの絞り汁若しくは芋パウダーから得られたβ―アミラーゼを糖化用の酵素として添加し、30〜60分間、60〜75℃で加熱処理しながら糖化処理を実行し、得られた液状物を加圧搾汁した後、加熱濃縮する事を特徴とするイモ蜜組成物の製造方法である。
つまり、本発明に於いては、特に、本来サツマイモに含まれるでんぷん糖化酵素を使用して糖化する事に特徴がある。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した技術構成を採用することによって、麦芽を用いた従来技術の欠陥を改良し、サツマイモを原料とするイモ蜜であって、麦芽による雑味や麦芽臭がなく、透明性や食感に優れ、更に、従来の糖化処理温度よりも高い温度で短時間の糖化処理を行う為、作業工程が短縮できるとともに、雑菌の混入がないので、賞味期間や保存期間が長く設定でき、原料となるサツマイモが持つ栄養学的な機能性を重視した高級感のある健康補助食品としてのイモ蜜及びイモ蜜の製造方法を提供する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係るイモ蜜と従来の方法で製造されたイモ蜜との透明性を比較した実験結果を示す図である。
図2図2は、本発明に係るβ―アミラーゼの酵素の耐熱性と麦芽の酵素の耐熱性とを比較した実験結果を示す図である。
図3図3は、本発明に係るβ―アミラーゼの酵素活性と反応時間との関係を麦芽の酵素活性と反応時間との関係と比較した実験結果を示す図である。
図4図4は、本発明に係るβ―アミラーゼの酵素活性と反応温度との関係を比較した実験結果を示す図である。
図5図5は、本発明に係るイモ蜜と従来の方法で製造されたイモ蜜との品質特性に関する官能試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明に係るサツマイモから得られるイモ蜜の製造方法の一具体例の構成を詳細に説明する。
即ち、本発明に係る当該サツマイモから得られるイモ蜜の製造方法は、上記した通り、基本的には、サツマイモに加水、加熱処理を行って得たサツマイモ由来の加工品に、サツマイモの絞り汁若しくは芋パウダーから得られたβ―アミラーゼを糖化用の酵素として添加し、30〜60分間、60〜75℃で保温しながら糖化を実行するイモ蜜組成物の製造方法である。
そして、本発明に於いて原料として使用される当該サツマイモは、その種類や形状が特に限定されるものではなく、現在知られている殆どのサツマイモを原料として使用する事が可能である。
又、当該原料のサツマイモに添加されるβ―アミラーゼもサツマイモに含まれるβ―アミラーゼであって、当該β―アミラーゼを抽出する為のサツマイモも、その種類や形状は特に限定されるものではなく、現在知られている殆どのサツマイモを使用する事が可能である。
【0010】
本願発明者等は、上記した従来の問題点を改良し、サツマイモを原料とするイモ蜜であって、麦芽による雑味や麦芽臭がなく、透明感や食感に優れ、更に、作業工程の短縮化を図ることで、賞味期間や保存期間が長く設定でき、栄養学的な機能性を重視した高級感のある健康補助食品としてのイモ蜜製造法を鋭意検討した結果、従来のイモ蜜の製造方法として、でんぷんを糖化させる為に一般的に採用されている麦芽或いは増量のための水飴の使用を中止すると共に、原材料となるサツマイモに、別途、サツマイモに含まれるβ―アミラーゼを糖化用の酵素として使用することにより、サツマイモからイモ蜜を製造する事が可能であるとの知見を知得したものである。
【0011】
本発明に於いては、更に、種々の実験及び検討の結果、サツマイモに加水、加熱処理を行って得たサツマイモ加工品に、サツマイモの絞り汁若しくは芋パウダーから得られたβ―アミラーゼを糖化用の酵素として添加する事により、糖化作用を促進でき、味も風味も向上すると言う事実を確認する事が出来たものであり、特には、当該サツマイモから得られた当該β―アミラーゼは、精製されていないβ―アミラーゼを使用する事が好ましく、従来から使用されている精製されたβ―アミラーゼの代わりに広く使用することが可能である。
【0012】
更に、本発明に於ける当該サツマイモからイモ蜜を製造する方法によると、従来のイモ蜜の製造方法に於いて、必ず使用されていた麦芽を使用する事がないので、糖化工程に於いては、60〜75℃と言う従来技術では、予想もしなかった、高温度下で糖化処理を行う事が可能となり、同時に、当該糖化処理時間も30分〜60分で完了する事が判明したので、従来方法に於ける糖化処理時間と比べると糖化処理に要する時間は短縮され、好ましい場合には、従来の処理時間の半分とする事が可能となり、経済的であると共に、イモ蜜製品中でのカビやバクテリヤなど腐敗を生じる雑菌の繁殖を抑えることが出来るので、当該イモ蜜製品そのものの味、風味が向上すると共に、賞味期間の延長や保存可能期間の延長も可能になるとの知見を得たものである。
【0013】
更に、本発明では、上記した通り、作業工程の短縮化による経済性の向上が期待できる他、糖化酵素用の原料芋として従来廃棄していたB品(クズ品)芋を活用する事も可能となると言う利点がある。
その他、本発明により、従来では、その多くが輸入に頼ってきた麦芽を使用せず地場産品のサツマイモ原材料のみでイモ蜜を製造する事が可能となるので、地場産業の活性化にも寄与する事が大きい。
【0014】
本発明に係る当該サツマイモからイモ蜜を製造する方法の一具体例を以下に示すが、本発明に係る当該方法は、係る具体例に特定されるものではない。
即ち、サツマイモを煮るか蒸すかの処理により加水状態で加熱処理をおこない(或いはサツマイモパウダーに加水したものでも良い)、係るサツマイモ由来の原料に、例えば、サツマイモ等から取り出したβ―アミラーゼを糖化用の酵素として添加し、30〜60分間、60〜75℃で加熱処理しながら糖化処理を実行するものである。
上記した通り、本発明では、麦芽は一切使用しない事が特徴である。
【0015】
そして、上記した本発明に於けるイモ蜜の製造方法により製造されたイモ蜜の組成成分を、DNA鑑定、液体クロマトグラフィー測定等を含めた詳細分析の結果、ブリックス値Zが65〜85%であり、更に、フラクトース、グルコース、スクロース、及びマルトース等の成分の含有率は、それぞれ0.5〜1.5%、0.5〜1.5%、25〜35%、及び65〜75%であるイモ蜜組成物である事が判明した。
上記したそれぞれの組成に関しては、DNA鑑定により、原材料の出所は明確に特定されると同時に、ブリックス値Zを初め、フラクトース、グルコース、スクロース、及びマルトース等の各成分の含有率は、液体クロマトグラフィ等の検査結果から容易に識別可能である。
【0016】
次に、上記した本発明に係るイモ蜜の製造方法の一実施例を説明する。
即ち、原料として、「コガネセンガン」を160Kg使用し、これを約1時間蒸煮した後、75リットルの水を加水してドロドロのスラリー状にする。
その後、当該液状体に、「べにはるか」から得られたβ―アミラーゼを添加して、65℃で30分間加熱処理し、得られた溶解液を加圧して搾汁し、イモ蜜の原料が得られる。
次いで、このイモ蜜の原料を2時間程加熱濃縮してイモ蜜製品を得た。
この様にして得られた本発明に係るイモ蜜の組成成分を分析した結果は、ブリックス値Zが75%であり、更に、フラクトース、グルコース、スクロース、及びマルトースの成分の含有率は、それぞれ1%、1%、29%、及び69%である事が判明した。
【0017】
本発明者等は、鋭意実験を重ねて分析した結果、本発明に係るイモ蜜に於ける上記した特性値は、サツマイモの種類、当該サツマイモの収穫時期或いはそれらの貯蔵期間等によって、上記した変動範囲内で変動することが確認出来た。
また、本発明に於いては、原料となるサツマイモに関しては、上記実施例のサツマイモに限定されるものではなく、いわゆるサツマイモを使用することが可能であることは言うまでもなく、更に、本発明に於いて使用されるβ―アミラーゼも、「べにはるか」から得られたものに限定されるものではなく、いわゆるサツマイモに含まれるβ―アミラーゼも使用可能であることは言うまでもない。
【0018】
そして、本発明に於ける特徴的な技術構成としては、従来、イモ蜜としては、使用される事が無かった、ポリフェノールを多く含有する紫サツマイモ品種、或いはベータカロテンが多い品種を使用することも可能である。
更には、ポリフェノールやカロテンは、人体内に取り込まれた後、活性酸素を無毒化する抗酸化剤として機能することとなるので、当該製品は活性酸素による人体の老化、癌、糖尿病、高血圧等の疾患の発生を抑制する事が期待できる健康食品となる。
【0019】
更に、本発明に於いては、当該β―アミラーゼとして、従来技術に於いては、精製処理をおこなって純正な状態のものを使用する事が一般的であったのに対し、当該技術においては、粗製品のままのβ―アミラーゼを使用する事によって、簡便にかつ低コストでイモ蜜が得られる事も判明した。
そして、本発明に係る上記したイモ蜜を製造する方法に於いて得られたサツマイモから得られるイモ蜜は、すべてがサツマイモを原料として製造されたものであり、麦芽成分は一切含まれておらず、従って、麦芽による雑味や麦芽臭がなく、イモ蜜製品そのものの味や、風味が向上すると共に、賞味期間の延長や保存可能期間の延長も可能である。
【0020】
更には、本発明のイモ蜜は、図1に示す様に、透明性に優れていることから、ザラツキのない滑らかな食感等、高級感を醸し出している商品である。
即ち、図1は、本発明により得られたイモ蜜と従来の方法により麦芽を糖化酵素として使用して得られたイモ蜜の濁り状態を比較したものであり、それぞれのイモ蜜を透明管内に封入して、光の透過状態を外観写真で撮影して比較したものである。
図1から判る様に、従来の方法により麦芽を糖化酵素として使用して得られたイモ蜜では、沈殿物が大量に残っているため、それらが光の透過を妨げているのに対し、本発明により得られたイモ蜜は、沈殿する固形物の量が少ない為に、透明性が確保されるものである。
又、上記した通り、本発明に係る当該イモ蜜は、65〜75℃で糖化処理されたものであるから、当該イモ蜜の糖化過程でのカビやバクテリアなど腐敗を生じる雑菌の侵入や繁殖を防止し、且つ組成物の味、風味を向上させると同時に、保存性又は賞味期限を延長出来ると言う効果を奏するものである。
【0021】
一方、本発明に於いて、糖化酵素として麦芽の替わりにサツマイモに含まれるβ―アミラーゼを使用すると言う技術構成の着想原理としては、図2に示す様に、糖化酵素として麦芽を使用する場合には、当該糖化酵素の残存活性率が、60℃を超えると最大120%から急速に低下してグルコースの生成効果が劣化する為、糖化処理工程の加熱処理温度を60℃以下に設定する必要性が存在しており、その結果、雑菌の侵入や繁殖を防ぎきれず、従って、イモ蜜としての賞味期限、保存期間が短くなると言う問題があったが、本発明の様に、糖化酵素として麦芽の替わりに、サツマイモに含まれるβ―アミラーゼを使用した場合には、60℃を超えても、糖化酵素の残存活性率が依然として増加傾向にあり、当該糖化酵素の残存活性率が70℃で最大180%を示す事が明らかとなっており、更に、糖化処理工程の加熱処理温度が75℃となっても、麦芽を使用した場合に於ける、糖化処理工程の加熱処理温度が60℃で有る場合よりも高い残存活性率を維持することが可能であることを示している。
【0022】
同様に、図3に示す様に、当該糖化処理工程に於いて、糖化酵素として、麦芽を使用した場合と、サツマイモに含まれるβ―アミラーゼを使用した場合とを、当該糖化処理工程の加熱処理温度を40℃に設定した場合に於いて、精製されるマルトースの生産量(mg/g)を処理時間を10分から60分まで変化させた場合について比較検討してみた結果を示すものであるが、その結果から見ると、麦芽の使用に対しサツマイモから抽出されたβ―アミラーゼを使用した場合の方が、当該マルトースの生産量が格段に優れている事が明らかとなっている。
【0023】
更に、図4に示す様に、本発明に於いて、当該サツマイモから抽出したβ―アミラーゼを使用した場合に於いて、当該糖化処理工程の加熱処理温度を、65℃に設定した場合と70℃に設定した場合に於ける、糖化処理時間による効果の相違を,精製されるマルトースの生産量(mg/g)で比較検討してみた結果、糖化処理工程の加熱処理温度を70℃に設定した場合には、当該マルトースの生産量(mg/g)は、処理時間が30分と60分とでは、緩やかな上昇傾向を示すが、糖化処理工程の加処理温度を65℃に設定した場合の当該マルトースの生産量(mg/g)に比べるとかなり低下しており、一方、当該糖化処理工程の加熱処理温度を、65℃に設定した場合には、処理時間が30分で、処理時間を70℃に設定した場合の約2倍のマルトースの生産量(mg/g)を示し、それ以降は、飽和状態となり、60分間処理した場合でも、その値は同じ程度となっている。
従って、本発明に於いては、当該糖化処理工程の加熱処理温度を、65℃に設定し、当該糖化処理時間は30分に設定することが好ましい結果を得られる事が判った。
【0024】
此処で、本発明に係るイモ蜜と従来の方法、つまり麦芽を糖化酵素として使用して得られたイモ蜜との品質特性の相違について、複数人の消費者を対象に、官能評価試験を行った結果を図5に示す。
図5から明らかな通り、本発明に係るイモ蜜に対する消費者の評価が、従来のイモ蜜よりもかなり高いという結果が得られている事が明らかとなっている。
図1
図2
図3
図4
図5