特許第5981904号(P5981904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981904
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】キャスタの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   B60B33/00 G
   B60B33/00 504
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-237444(P2013-237444)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96404(P2015-96404A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】391009707
【氏名又は名称】株式会社ナンシン
(74)【代理人】
【識別番号】100083183
【弁理士】
【氏名又は名称】西 良久
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 彰則
(72)【発明者】
【氏名】高田 雅裕
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−175300(JP,A)
【文献】 実開昭62−090322(JP,U)
【文献】 実開平05−012598(JP,U)
【文献】 実開昭57−204395(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に設けられた筒状の被取付体をキャスタの上部に水平に配置された支持板に固定するためのキャスタの取付構造において、
被取付体の外方の側壁面に穿設された窓孔と、
該窓孔から被取付体の内部に挿入される締結部材と、
該締結部材の先端に形成されて前記支持板と被取付体の底壁面とを貫通した固定ボルトの先端を螺合するナット部と、
前記締結部材の基端側で窓孔から突出して、窓孔の下方縁部を押圧する押圧片部、または被取付体の側壁面と衝合すべく支持板上に立設された位置決め部材に掛止めるフック部を備えた締結部材を設けたことを特徴とするキャスタの取付構造。
【請求項2】
支持板の中央寄りに被取付体の内方の側壁面と衝合する位置決め部材が立設されており、被取付体の外方の側壁面に形成した窓孔が前記位置決め部材の上端縁または窓孔と整合しており、前記締結部材の押圧片部の先端が折れ曲がって前記窓孔を超えて位置決め部材の上端縁または窓孔の縁部に掛け止められていることを特徴とする請求項1に記載のキャスタの取付構造。
【請求項3】
支持板上で、位置決め部材に対峙して被取付体の外側を向く側壁面と接する位置に被取付体側壁面支持壁部が突設されており、該被取付体側壁面支持壁部と被取付体と位置決め部材とが固定ボルトを貫通しナットを螺合して緊締してなることを特徴とする請求項1または2に記載のキャスタの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスタに固定される対象物の被取付部がキャスタの取付板に対して細い場合に、嵩張らずに確実に固定することができるキャスタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開平9−104202号のキャスタの取付け装置においては、 キャスタを取付ける対象物が、例えば衝立の如くその脚が細い場合、これにキャスタを取付けた際に、キャスタが脚より外側へ出ないようにするために、基板に垂設した縦軸にその軸芯より偏心して直交する横軸を備え、該横軸に車輪を設けているキャスタと、該キャスタの縦軸を中心にして車輪の旋回する最大側の半径以下の幅の脚部を持つ対象物との取付け装置であって、キャスタの基板上に、キャスタを取付ける対象物の脚部を止着する固着部を、車輪の旋回する最大側の半径以上に突出して設け、この固着部に脚部を止着すると共に、基板に突設した支持壁に、前記固着部に取付けた脚部における縦軸側の起立面を当接している構成が開示されている。
そして、固着部に脚部を止着する構成として、キャスタの固着部に対象物の脚部を嵌め込み、脚部を基板に載置することにより、脚部の側面が支持壁と突片に当接され、その状態で締結具で固着部を脚部に止着している。
そのため、締結具による固着は、基板と脚部の底板のみの締結に限られるので横方向に外力が作用した場合に十分な固定力が得られないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−104202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の解決しようとする課題は、対象物の被取付面が幅狭で細い場合であっても、キャスタの取付板との固定を確実に行うことができるようにしたキャスタの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1の発明では、
対象物に設けられた筒状の被取付体をキャスタの上部に水平に配置された支持板に固定するためのキャスタの取付構造において、
被取付体の外方の側壁面に穿設された窓孔と、
該窓孔から被取付体の内部に挿入される締結部材と、
該締結部材の先端に形成されて前記支持板と被取付体の底壁面とを貫通した固定ボルトの先端を螺合するナット部と、
前記締結部材の基端側で窓孔から突出して、窓孔の下方縁部を押圧する押圧片部、または被取付体の側壁面と衝合すべく支持板上に立設された位置決め部材に掛止めるフック部を備えた締結部材を設けたことを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記支持板の中央寄りに被取付体の内方の側壁面と衝合する位置決め部材が立設されており、被取付体の外方の側壁面に形成した窓孔が前記位置決め部材の上端縁または窓孔と整合しており、前記締結部材の押圧片部の先端が折れ曲がって前記窓孔を超えて位置決め部材の上端縁または窓孔の縁部に掛け止められていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
前記支持板上で、位置決め部材に対峙して被取付体の外側を向く側壁面と接する位置に被取付体側壁面支持壁部が突設されており、該被取付体側壁面支持壁部と被取付体と位置決め部材とが固定ボルトを貫通しナットを螺合して緊締してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のキャスタの取付構造は、家具などの対象物における脚部などの筒状の被取付体をキャスタの支持板に固定する際に、被取付体の底面と支持板とを固定するだけでなく、フック状締付具を用いて被取付体の横方向の動きを規制しながら固定することができる。
支持板に被取付体の内側壁面と衝合する位置決め壁部を設けている場合には、前記フック状締付具により被取付体と位置決め壁部とを一体に掛止めるので一層強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の被取付体の取付前の状態の平面図である。
図2】被取付体を取り付けた状態の背面図である。
図3】同被取付体の上部を破断した状態の平面図である。
図4】同被取付体の一部を破断した状態の側面図である。
図5】(a)は締結部材を窓孔へ挿入する状態の断面図、(b)は途中の状態を示す断面図、(c)は固定ボルトを螺合した状態の断面図、(d)は固定ボルトにナット部を緊締した状態の断面図である。
図6】(a)は実施例2の締結部材の側面図、(b)は同正面図、(c)は同平面図である。
図7】(a)は締結部材を窓孔に挿入した状態を示す説明図、(b)は固定ボルトを通す前の状態を示す断面図である。
図8】端面支持壁部を設けた支持板の平面図である。
図9】ボルト締めした状態の正面図である。
図10】(a)は同平面図、(b)は側面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1から図5は本発明の1実施例のキャスタ取付構造を示すもので、家具等の対象物に設けられた脚部などの角筒状の幅の狭い被取付体20をキャスタ1の上部に水平に配置された支持板2に固定するための構造である。
即ち、被取付体20は、キャスタ1の中心軸Cから車輪Wの旋回する最大側の半径以下の幅からなっている。
【0009】
一方、支持板2は、被取付体20を固定するための固定領域2aを有しており、その固定領域2aの縁部は、キャスタ1の旋回する最大側の半径と等しいか、それ以上に突出して設けられている。
また、本実施例では、前記固定領域2aで固定された被取付体20の側壁面でキャスタ1の中心軸C側の壁面と当接して位置決めする位置に、支持板2に突設した位置決め部材としての位置決め壁部11が設けられている。
これにより、固定領域2aに被取付体20が固着されても、 キャスタ1の先端が被取付体20を超えて外側に突出することがない。
【0010】
前記位置決め壁部11は、本実施例の場合、中央に位置決めをする基準壁部11aが設けられ、その左右に直角に折れ曲がって基準壁部11aを補強する補助壁部11b、11cを有する平面視コ字状の壁部からなっており、支持板2上に基準壁部11aが同一直線上になるように2つの位置決め壁部11を離間して並べた形状からなっている。
これにより、被取付体20を強固に支持することができる。
【0011】
ここで、前記被取付体20には、前記基準壁部11aと対向する位置に窓孔21を穿設している。
該窓孔21は、後述の締結部材3を被取付体20内に挿入するための孔であり、図示例では基準壁部11aの上端を超えた個所から挿入されるが、基準壁部11aの高さを更に高く設定し、基準壁部11aにも前記窓孔21と整合する窓孔(図示せず)を穿設してもよい。
【0012】
上記のように固定領域2aに配置された被取付体20は固定ボルトVによって支持板2に固着される。
即ち、支持板2の固定領域2aで、前記被取付体20が取り付けられる所定位置(図示例では2個所)にはボルト穴H1が上下に貫通しており、また、被取付体20の底壁で取付時に前記ボルト穴H1と整合する位置にボルト穴22が穿設されている。
【0013】
従って、固定ボルトVの先端をボルト穴H1からボルト穴22に通し、固定ボルト頭部が固定領域2aの底面側に掛止められるようにする。
本実施例では、上記固定ボルトVは、締結部材3により固定される。
【0014】
締結部材3は、被取付体20の底壁上に隙間なく重なる水平面からなる底板部3aに形成された穴部で内周面に雌ねじが刻設された(または穴部の上に図示しないナットを溶着した)ナット部4と、前記底板部3aから略垂直に前記窓孔21位置の長さまで延びる立上り片部3bと、該立上り片部3bから折れ曲がって下方へ延びるフック部5とからなっている。
【0015】
上記締結部材3を用いる場合は、図5に示すように、被取付体20を位置決め壁部11の基準壁部11aに衝合させ、基準壁部11aを超えて窓孔21から締結部材3を下(底板部3a)側から挿入する(図5(a)、(b)参照)。
【0016】
そして、底板部3aのナット部4を前記ボルト穴H1、ボルト穴22と整合し、固定ボルトVのネジ側を挿入し、ナット部4に形成された雌ねじと螺合させる。
これにより、立上り片部3bが被取付体20の側壁の内壁面と接し、フック部5が、重なり合った窓孔21の縁部と基準壁部11aの上端縁部に掛け止められる(図5(c)、(d)参照)。
【0017】
これにより、固定ボルトVは、被取付体20を支持板2に固定すると同時に締結部材3を共締めすることで、被取付体20と基準壁部11aとを一体に重ね合わせた状態で拘束するので、縦方向だけでなく横方向への動きに対しても強固に固定することができる。
なお、上記実施例では、締結部材3のフック部5の掛止縁部が直線状の場合、即ち、対応する窓孔21や基準壁部11aの縁部が直線状の場合に掛止められる例を示したが、フック部5の掛止縁部の形状は、窓孔21や基準壁部11aの縁部の形状に対応していればよく、円弧状や山形状などの任意の形状であってもよい。
【実施例2】
【0018】
図6に示す締結部材3は、被取付体20の窓孔21が円形の場合の異なる実施例を示す。
この場合に、締結部材3は、前記実施例のようにフック部を設けてもよいが、本実施例ではフック部を省略した構造からなっている。
【0019】
即ち、締結部材3は、被取付体20の底壁上に隙間なく重なる水平面からなる底板部3aに形成された穴部で内周面に雌ねじが刻設された(または前述のように穴部の上に図示しないナットを溶着した)ナット部4と、前記底板部3aから略垂直に前記窓孔21位置の長さまで延びる立上り片部3bと、該立上り片部3bから直角に折れ曲がる押圧片部6とからなっている。
前記底板部3aとナット部4の構造は前記を設ける実施例と同様であるが、立上り片部3bおよび押圧片部6は、断面が前記窓孔21の円形と同じ曲率で湾曲した断面円弧状に形成されている。
【0020】
また、本実施例では、位置決め壁部11を設けても、設けなくてもよい。
そして、固定ボルトVは、被取付体20を支持板2に固定すると同時に締結部材3を共締めすることで、被取付体20を底部と窓孔21との2個所で同時に拘束することで、強固に固定することができる。
【実施例3】
【0021】
図8から図10に示すキャスタ取付構造では、支持板2上で位置決め壁部11の基準壁部11aが略中央となるように配置し、該基準壁部11aと対向する位置で被取付体20の外側を向く側壁面と接する位置に被取付体側壁面支持壁部としての端面支持壁部8が突設されている。
【0022】
該端面支持壁部8は、被取付体20が衝合される位置決め壁部11の基準壁部11aが被取付体20を支承するほぼ全長に亘って延びている。
本実施例では、被取付体20の対向する側壁面間で対峙するボルト穴23,24を穿設しておくと共に、端面支持壁部8と位置決め壁部11の基準壁部11aとに、前記ボルト穴23、24と整合する位置にボルト穴H2、H3を穿設している。
【0023】
そこで、固定ボルトVを端面支持壁部8のボルト穴H2から被取付体20のボルト穴23,24を通し、基準壁部11aのボルト穴H3まで貫挿し、基準壁部11aから突出した固定ボルトVのねじの先端をナットNで緊締している。
これにより、端面支持壁部8と位置決め壁部11の基準壁部11aに挟まれた被取付体20を前期固定ボルトVにより横方向にも固定することができる。
また、被取付体20の縦方向の固定は、前記実施例と同様であってもよいし、設けなくてもよい。
【0024】
この発明のキャスタは、単輪用でも双輪用でもよい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1 キャスタ
2 支持板
2a 固定領域
3 締結部材
3a 底板部
3b 立上り片部
4 ナット部
5 フック部
6 押圧片部
8 端面支持壁部
11 位置決め壁部
11a 基準壁部
11b、11c 補助壁部
20 被取付体
21 窓孔
22〜24 ボルト穴
H1〜H3 ボルト穴
V 固定ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10