特許第5981960号(P5981960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981960
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】比例式アクチュエータバルブ
(51)【国際特許分類】
   F15B 9/08 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   F15B9/08 G
【請求項の数】39
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-137483(P2014-137483)
(22)【出願日】2014年7月3日
(62)【分割の表示】特願2012-154543(P2012-154543)の分割
【原出願日】2007年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-206282(P2014-206282A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】508277254
【氏名又は名称】ノルグレン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】テシュケ,ウルリヒ
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−94089(JP,U)
【文献】 実開昭61−141878(JP,U)
【文献】 実開昭60−58978(JP,U)
【文献】 米国特許第4177713(US,A)
【文献】 実公昭44−7951(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 9
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
比例式アクチュエータバルブ(110)において、
少なくとも2つのチャンバー(324,325)を有するバルブハウジング(112)と、
前記バルブハウジング(112)内で移動可能なバルブスライダー(113)と、
前記バルブスライダー(113)内に形成され、アクチュエータ(100)と流体連通するように構成された1つ以上の内腔(327,328)と、
前記バルブスライダー(113)内に形成された1つ以上の溝(329)であって、前記1つ以上の溝(329)は、前記バルブハウジング(112)の前記少なくとも2つのチャンバー(324,325)及び前記1つ以上の内腔(327,328)と空気連通しており、前記1つ以上の溝(329)の各々は、前記1つ以上の内腔(327,328)の内の1つの内腔からの距離が増加すると、より狭くなり且つより浅くなる、1つ以上の溝(329)とを備える、比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項2】
前記バルブハウジング(112)は、少なくとも3つのチャンバー(324,325326)を備える、請求項1に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項3】
前記チャンバー(324,325,326)は、複数の封止部材(322)で分離されている、請求項1又は2に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項4】
前記チャンバー(324,325,326)の少なくとも1つが動作圧力と連通し、その動作圧力が圧力が加えられた空気の供給により提供されることにより、前記チャンバー(324,325,326)の少なくとも1つには、圧力が充当され、前記チャンバー(324,325,326)の少なくとも1つと連通した排気部を介して排気される、請求項1又は2に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項5】
前記チャンバー(324,325,326)の少なくとも1つが動作圧力と連通し、その動作圧力が圧力が加えられた空気の供給により提供されることにより充当された、前記チャンバー(324,325,326)の少なくとも1つの空気は、前記チャンバー(324,325,326)の少なくとも1つと連通した排気部を介して、前記比例式アクチュエータバルブ(110)の外側に排される、請求項1又は2に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項6】
前記バルブスライダー(113)の第一端は、台(111)に接続されている、請求項1に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項7】
前記バルブハウジング(112)の一部分は、台(111)に接続されている、請求項1に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項8】
前記バルブスライダー(113)の位置は、前記バルブハウジング(112)に対して調整可能である、請求項6又は7に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項9】
前記バルブスライダー(113)は、更に、前記チャンバー(324,325,326)を分離する複数の封止部材(322)を備えている、請求項1に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項10】
前記1つ以上の溝(329)は、空気流に対して開口している断面であって前記1つ以上の内腔(327,328)からの距離が増加すると断面積が減少するような形状を有する断面を備えており、前記空気流は、前記アクチュエータ(100)から供給されている、請求項1に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項11】
前記1つ以上の溝(329)の空気流に対して開口している断面の最大断面積は、少なくとも、前記1つ以上の内腔(327,328)の断面積の大きさと等しく、前記空気流は、前記アクチュエータ(100)から供給されている、請求項1又は10に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項12】
前記1つ以上の溝(329)の空気流に対して開口している断面の最大断面積は、前記1つ以上の内腔(327,328)の断面積より小さく、前記空気流は、前記アクチュエータ(100)から供給されている、請求項1又は10に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項13】
前記比例式アクチュエータバルブ(110)は、素子(104)に接続され、その素子(104)は、また前記アクチュエータ(100)に接続されている、請求項1に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項14】
前記比例式アクチュエータバルブ(110)は、レバーシステム(660)を使用して前記素子(104)に接続されている、請求項13に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項15】
前記比例式アクチュエータバルブ(110)は、アクチュエータ(100)のストロークとは異なる変位を有する異なるストロークを有する、請求項14に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項16】
前記比例式アクチュエータバルブ(110)は、アクチュエータ(100)のストロークとは異なる方向のストロークを有する、請求項14に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項17】
前記比例式アクチュエータバルブ(110)は、アクチュエータ(100)のストロークと同じストロークを有する、請求項14に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項18】
比例式アクチュエータバルブを形成する方法において、
バルブハウジングを設ける行程と、
複数の封止部材を使用して、前記バルブハウジングを少なくとも2つのチャンバーに分離する行程と、
前記バルブハウジング内にバルブスライダーを移動可能に配する行程と、
前記バルブスライダー内に、アクチュエータと流体連通するように構成された1つ以上の内腔を形成する行程と、
前記バルブスライダー内に、1つ以上の溝を形成する行程であって、前記1つ以上の溝は、前記1つ以上の内腔及び前記少なくとも2つのチャンバーと空気連通しており、前記1つ以上の溝の各々は、前記1つ以上の内腔の内の1つの内腔からの距離が増加すると、より狭くなり且つより浅くなる、1つ以上の溝を形成する行程とを有する、方法。
【請求項19】
更に、複数の封止部材を使用して、前記バルブハウジングを少なくとも3つのチャンバーに分離する行程を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
更に、前記バルブスライダーを台と接続する行程を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
更に、前記バルブハウジングの一部分を台と接続する行程を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記バルブスライダーの位置は、前記バルブハウジングに対して調整可能である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上の内腔は、前記バルブスライダーに形成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の内腔は、前記バルブハウジングに形成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の溝は、前記1つ以上の内腔からの距離が増加すると、空気流に対して開口している断面の断面積が減少するような形状を備えている、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
更に、前記チャンバーの少なくとも1つに圧力を供給する行程を有する、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項27】
更に、排気部と連通するように、前記チャンバーの少なくとも1つを設ける行程を有する、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項28】
比例式アクチュエータバルブを有する空気アクチュエータに対する圧力空気を調整する方法において、
前記比例式アクチュエータバルブが、
少なくとも2つのチャンバーを有するバルブハウジングと、
前記バルブハウジング内で移動可能なバルブスライダーと、
前記バルブスライダー内に形成され、前記空気アクチュエータと流体連通するように構成された1つ以上の内腔と、
前記バルブスライダー内に形成された1つ以上の溝であって、前記1つ以上の溝は、前記バルブハウジングの前記少なくとも2つのチャンバーと空気連通しており、前記1つ以上の溝の各々が、前記1つ以上の内腔の内の1つの内腔からの距離が増加すると、より狭くなり且つより浅くなる、1つ以上の溝とを備え、
前記方法は、
第一の力が加わる素子を、前記第一の力と反対の第二の力を前記素子に加える空気アクチュエータに対して接続する行程と、
前記空気アクチュエータに対する空気の供給及び前記空気アクチュエータからの空気の供給を制御する前記比例式アクチュエータバルブを設ける行程とを有し、
前記1つ以上の溝の空気流に対して開口している断面積は、前記素子に加わる前記第一の力の変化によって決定される、方法。
【請求項29】
比例式アクチュエータバルブを有する空気アクチュエータに対する圧力空気を調整する方法において、
前記比例式アクチュエータバルブが、
少なくとも2つのチャンバーを有するバルブハウジングと、
前記バルブハウジング内で移動可能なバルブスライダーと、
前記バルブスライダー内に形成され、前記空気アクチュエータと流体連通するように構成された1つ以上の内腔と、
前記バルブハウジングの前記少なくとも2つのチャンバーと空気連通する1つ以上の溝であって、前記1つ以上の溝の各々が、前記1つ以上の内腔の内の1つの内腔からの距離が増加すると、より狭くなり且つより浅くなる、1つ以上の溝とを備え、
前記方法は、
第一の力が加わる素子を、前記第一の力と反対の第二の力を前記素子に加える空気アクチュエータに対して接続する行程と、
前記空気アクチュエータに対する空気の供給及び前記空気アクチュエータからの空気の供給を制御する前記比例式アクチュエータバルブを設ける行程とを有し、
前記1つ以上の溝の空気流に対して開口している断面積は、前記素子に加わる前記第一の力の変化によって決定される、方法。
【請求項30】
前記バルブハウジングは、前記素子に接続されている、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
更に、レバーシステムを使用して、前記比例式アクチュエータバルブを前記素子に接続する行程を有する、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項32】
前記比例式アクチュエータバルブは、前記素子のストロークとは異なる変位を有する異なるストロークを有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記比例式アクチュエータバルブは、前記素子のストロークとは異なる方向のストロークを有する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
更に、前記バルブスライダーに1つ以上の内腔を形成して前記アクチュエータと連通させ、前記1つ以上の内腔からの距離が増加すると、1つ以上の溝の断面積が減少するような形状を有する前記1つ以上の溝を形成する行程を有する、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項35】
更に、前記比例式アクチュエータバルブにより前記アクチュエータに供給される空気の割合が、前記比例式アクチュエータバルブのストロークが増加すると、増加するように、前記1つ以上の溝を配置する行程を有する、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項36】
比例式アクチュエータバルブ(110)において、
少なくとも2つのチャンバー(324,325)を有するバルブハウジング(112)と、
前記バルブハウジング(112)内で移動可能なバルブスライダー(113)と、
前記バルブスライダー(113)内に形成され、アクチュエータ(100)と流体連通するように構成された1つ以上の内腔(327,328)と、
前記バルブスライダー(113)内に形成された1つ以上の溝(329)であって、前記1つ以上の溝(329)は、前記バルブハウジング(112)の前記少なくとも2つのチャンバー(324,325)及び前記1つ以上の内腔(327,328)と空気連通しており、前記1つ以上の溝(329)の各々は、前記1つ以上の内腔(327,328)の内の1つの内腔からの距離が増加すると、より狭くなり且つより浅くなる、1つ以上の溝(329)とを備える、比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項37】
前記バルブハウジング(112)は、少なくとも3つのチャンバー(324,325,326)を備える、請求項36に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項38】
前記チャンバー(324,325,326)の少なくとも1つには、圧力が充当されている、請求項36又は37に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【請求項39】
前記チャンバー(324,325,326)の少なくとも1つの空気は、前記比例式アクチュエータバルブ(110)の外側に排される、請求項36又は37に記載の比例式アクチュエータバルブ(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気アクチュエータに関し、特に、位置制御及び位置調整機能を有した空気アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータは、何らかの機械的動作を行う機器である。アクチュエータのひとつにピストンがあり、そのピストンのプランジャーは、往復運動を行う。故に、プランジャーは、ワークピースや他の機械的システムの何らかの部分に接続される。
【0003】
ワークピースを動かすために使用されるアクチュエータもあれば、ワークピースの定位置を維持するために使用されるアクチュエータもある。このことは、ワークピースにより、又はワークピースに対して加わる力が一定ではないときには困難となる。各種の力がかかると、アクチュエータは、最適位置区間を振動してしまうようになりがちである。
【0004】
この問題に対処する1つの試みとして、空気アクチュエータが提供されてきた。空気アクチュエータは、プランジャーの一方の側に空気圧を供給する。その与えられた圧力は、プランジャーが固定位置を維持するように、又は所望の方向に移動するように、供給される。所望の位置を維持するために採用されたアクチュエータの問題点は、アクチュエータにかかる力が変化したときには、その所望の位置を維持するために、アクチュエータに供給される空気圧もまた変化させなければならないということである。例えば、アクチュエータに加わる力が増加すると、空気圧もまた増加されなければならない。同様に、アクチュエータに加わる力が減少すると、空気圧もまた減少されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の問題は、アクチュエータに印加される力の変化に応じて、空気圧を調整する能力に関するものであった。採用された1つの方法によれば、ワークピースに対してシフトバルブを位置付けすることと、そのシフトバルブをアクチュエータと気送的に連通させることとが統合された。シフトバルブは、アクチュエータと共に動く。つまり、アクチュエータが動けば、シフトバルブも動く。アクチュエータが所定の距離だけ移動すれば、シフトバルブは、開くか、又は閉じ、それによりアクチュエータ内の空気圧が増加するか、減少するか、又は一定に維持される。シフトバルブが連動されることの問題は、シフトバルブについて、空気の流れる断面積がとりわけ一定であり、それにより“開く”及び“閉じる”の位置付けのみしか取りえないことである。故に、短いストロークに対する即座の反応により共振が生ずるので、これらのシフトバルブの断面積は、大きすぎるものは選択できない。しかしながら、即座の反応時間は、典型的には望ましい。故に、バルブの断面積は、共振のリスクとバランスをとられるべきである。この妥協事項のために、シフトバルブは、とりわけ、目標位置を通り過ぎてしまうという固有の問題を有している。アクチュエータがどれだけ閉じているかに関わらず、所望の位置まで、同じ量の空気が提供/解放されてしまうからである。
【0006】
故に、アクチュエータの位置を適切に維持し、またアクチュエータの位置を調整できる比例式アクチュエータバルブを提供することが、当該技術分野における要望である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、位置制御及び位置調整のための比例式アクチュエータが提供される。その比例式アクチュエータは、少なくとも2つのチャンバーを有したバルブハウ
ジングを備えている。その比例式アクチュエータは、また、バルブスライダーを備えており、そのバルブスライダーは、バルブハウジング内で移動可能である。1つ以上の溝が、比例式アクチュエータバルブ内に形成されている。1つ以上の溝は、バルブハウジングの少なくとも2つのチャンバーと気送的に連通する。1つ以上の内腔が、比例式アクチュエータバルブ内に形成されている。1つ以上の内腔は、1つ以上の溝と気送的に連通する。バルブスライダーのバルブハウジングに対する動きは、空気バルブ動作を呈する。
【0008】
本発明の一実施形態により、比例式アクチュエータバルブを形成する方法が提供される。その方法は、バルブハウジングを設け、複数の封止部材を使用して、バルブハウジングを少なくとも2つのチャンバーに分離する。その方法は、更に、バルブハウジング内にバルブスライダーを配する。その方法は、更に、比例式アクチュエータバルブ内に1つ以上の内腔を形成する。その方法は、比例式アクチュエータバルブ内に1つ以上の溝を形成する。その1つ以上の溝は、1つ以上の内腔と少なくとも2つのチャンバーとに連通する。
【0009】
本発明の一実施形態により、空気アクチュエータに対する圧力空気を調整する方法が提供される。その方法は、素子を空気アクチュエータに接続し、第一の力が素子に加わり、空気アクチュエータは、第一の力と反対の第二の力を素子に加える。その方法は、更に、比例式アクチュエータバルブを設ける。比例式アクチュエータバルブは、空気アクチュエータに対する、又は空気アクチュエータからの供給空気を制御する。比例式アクチュエータバルブは、1つ以上の溝を備えている。空気流に対して開口される断面は、素子にかかる第一の力の変化によって決定される。
【0010】
本装置の一様相においては、バルブハウジングは、少なくとも3つのチャンバーを備える。
本装置の他の様相においては、チャンバーは、複数の封止部材で分離されている。
【0011】
本装置の更に他の様相においては、チャンバーの少なくとも1つには、動作圧力が充当されている。
本装置の更に他の様相においては、チャンバーの少なくとも1つは、比例式アクチュエータバルブの外側に排される。
【0012】
本装置の更に他の様相においては、バルブスライダーの第一端は、台に接続されている。本装置の更に他の様相においては、バルブハウジングの一部分は、台に接続されている。
【0013】
本装置の更に他の様相においては、バルブスライダーは、バルブハウジングに対して調整可能である。
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の溝は、不均一な断面を備える。
【0014】
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の溝は、実質的に均一な断面を備える。
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の溝は、バルブスライダーに形成されている。
【0015】
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の溝は、複数の内腔を備える。
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の溝は、チャンバーの少なくも1つに形成されている。
【0016】
本装置の更に他の様相においては、バルブスライダーは、更に、複数の封止部材を備えている。
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の溝は、1つ以上の内腔からの距離が増加すると面積が減少するような形状の断面を備えている。
【0017】
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の溝の最大断面積は、少なくとも、1つ以上の内腔の断面積の大きさと等しい。
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の溝の最大断面積は、1つ以上の内腔の断面積より小さい。
【0018】
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の内腔は、バルブスライダーに形成されている。
本装置の更に他の様相においては、1つ以上の内腔は、バルブハウジングに形成されている。
【0019】
本装置の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、素子に接続され、その素子は、またアクチュエータに接続されている。
本装置の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、レバーシステムを使用して素子に接続されている。
【0020】
本装置の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、アクチュエータのストロークとは異なるストロークを有する。
本装置の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、アクチュエータのストロークとは異なる方向のストロークを有する。
【0021】
本装置の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、アクチュエータのストロークと実質的に同じストロークを有する。
本方法の一様相においては、更に、複数の封止部材を使用して、バルブハウジングを少なくとも3つのチャンバーに分離する。
【0022】
本方法の他の様相においては、更に、バルブスライダーを台と接続する。
本方法の更に他の様相においては、更に、バルブハウジングを台と接続する。
本方法の更に他の様相においては、バルブスライダーは、バルブハウジングに対して調整可能である。
【0023】
本方法の更に他の様相においては、1つ以上の内腔は、バルブスライダーに形成されている。
本方法の更に他の様相においては、1つ以上の内腔は、バルブハウジングに形成されている。
【0024】
本方法の更に他の様相においては、更に、不均一な断面を有する1つ以上の溝を形成する。
本方法の更に他の様相においては、更に、実質的に均一な断面を有する1つ以上の溝を形成する。
【0025】
本方法の更に他の様相においては、更に、バルブスライダーに1つ以上の溝を形成する。本方法の更に他の様相においては、更に、バルブハウジングに1つ以上の溝を形成する。
【0026】
本方法の更に他の様相においては、更に、複数の内腔として、1つ以上の溝を形成する。本方法の更に他の様相においては、1つ以上の溝は、1つ以上の内腔からの距離が増加すると断面積が減少するような形状を備えている。
【0027】
本方法の更に他の様相においては、更に、少なくとも3つのチャンバーの少なくとも1つに動作圧力を供給する。
本方法の更に他の様相においては、更に、排気部と連通するように、少なくとも3つのチャンバーの少なくとも1つを設ける。
【0028】
本方法の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、更に、バルブハウジングを備え、当該バルブハウジングは、素子に接続されている。
本方法の更に他の様相においては、更に、レバーシステムを使用して、比例式アクチュエータバルブを素子に接続する。
【0029】
本方法の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、素子のストロークとは異なるストロークを有する。
本方法の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、素子のストロークとは異なる方向のストロークを有する。
【0030】
本方法の更に他の様相においては、更に、比例式アクチュエータバルブのバルブスライダーに1つ以上の溝を形成する。
本方法の更に他の様相においては、更に、可変断面積を有する1つ以上の溝を形成する。
【0031】
本方法の更に他の様相においては、更に、バルブスライダーに1つ以上の内腔を形成してアクチュエータと連通させ、1つ以上の内腔からの距離が増加すると、1つ以上の溝の断面積が減少するような形状を有する1つ以上の溝を形成する。
【0032】
本方法の更に他の様相においては、更に、比例式アクチュエータバルブによりアクチュエータに供給される空気の割合が、比例式アクチュエータバルブのストロークが増加すると、増加するように、1つ以上の溝を位置付けする。
【0033】
本方法の更に他の様相においては、比例式アクチュエータバルブは、空気アクチュエータの振動を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の実施形態による比例式アクチュエータバルブを有したアクチュエータを示す図である。
図2図2は、バルブアクチュエータがアクチュエータに圧力流体を送る前の位置にある比例式アクチュエータバルブを有するアクチュエータバルブを示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による比例式アクチュエータバルブの断面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による比例式アクチュエータバルブの中央チャンバーの断面図である。
図5図5aは、溝及び内腔(ボア)が形成されたバルブスライダーを示す図である。図5bは、複数の内腔が形成された、1つ以上の溝を有したバルブスライダーを示す図である。
図6図6は、レバーシステムを利用して結合されたアクチュエータと比例式アクチュエータバルブを示す図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態による比例式アクチュエータバルブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1−7及び以下の記述は、発明のベストモードをどのように創り出し、また使用するかを当業者に教示するための特定の例を描写するものである。発明原理を教示することを目的として、いくつかの従来の様相は簡略化され、又は省略される。当業者は、これらの例による各種変更態様が発明の範囲内にあることが理解できるであろう。当業者は、以下に
記述する特徴が各種方法で組み合わされ、発明の複合的変更態様を形成できることが理解できるであろう。その結果、当該発明は、以下に記述する特定の例に限定されることはなく、請求の範囲及びその等価範囲のみにより画定されるものである。
【0036】
図1は、空気アクチュエータ100を概略的に示している。空気アクチュエータ100は、ハウジング101、ロッド102、及びプランジャー103を含んでいる。この空気アクチュエータ100は、単方向動作シリンダとして示されているが、アクチュエータは、双方向動作シリンダであってもよいことが理解されるべきである。示された実施形態においては、ハウジング101は、台107上に位置付けされており、ロッド102は、その第一端がプランジャー103に接続されており、その第二端が素子104に接続されている。しかしながら、他の実施形態においては、ハウジング101が素子104に接続され、ロッド102の端部が台107に接続されていてもよい、ということが理解されるべきである。
【0037】
ロッド102は、アクチュエータ100からの機械的力を素子104に伝達する。アクチュエータ100は、ロッド102と共に示されているが、いくつかの実施形態においては、アクチュエータ100は、アクチュエータハウジング101の外側面に対して移動するキャリッジを備えることもできる。すなわち、例えば、空気アクチュエータ100は、無ロッドタイプのシリンダ又は空気ベローズを備えている。
【0038】
素子104には、1つ以上の力が作用している。図1に示すように、例えば、第一の力105が、何らかのワーク負荷により与えられている。また、素子104には、アクチュエータ100により第二の力106がかかっている。素子104を実質的に一定位置に維持するために、第二の力106は、第一の力105と実質的に等しく維持されていなければならない。本発明の他の実施形態によれば、第二の力106は、第一の力105より大きいか、又は小さく、故に、素子104は、より大きな力の方向に移動する。
【0039】
いくつかの実施形態においては、素子104の位置を制御するのが有効であろう。例えば接続ライン114を使用してアクチュエータ100と気送的に連通する比例式アクチュエータバルブ110が、素子104に接続されている。比例式アクチュエータバルブ110は、既知の手段により素子104に接続されていれもよい。一実施形態によれば、比例式アクチュエータバルブ110は、3/3ウェイバルブである。しかしながら、比例式アクチュエータバルブ110は、このタイプのバルブや、空気アクチュエータ100が例えば双方向動作シリンダであるときなどに使用される5/3ウェイバルブのような他の知られたバルブには限られないことを理解すべきである。本発明は、他の既知のバルブを採用してもよく、使用される具体的なバルブは、上述の例により限定されるべきではない。
【0040】
比例式アクチュエータバルブ110は、ハウジング112及びバルブスライダー113を備えている。少なくとも一端において、バルブスライダー113は、台111に接続されている。他の実施形態においては、バルブスライダー113は、図に示されているように素子104に接続されているハウジング112に接続されているのではなく、素子104に接続されている。その実施形態においては、ハウジング112の一部分が、台111に接続されている。いずれの実施形態においても、台111は、移動可能な台として提供されてもよく、そのとき台111は、所望のアクチュエータ位置を確保するために調整される。台111が動くことにより、バルブスライダー113が、バルブハウジング112に対して調整される。所望のアクチュエータ位置の調整について、更に詳細に以下に記述する。
【0041】
図2は、第一の力105が、第二の力106よりも大きい場合のアクチュエータ100を示している。この実施形態においては、素子104は、その所望の位置から下降した。示
されている通り、プランジャー103は、図1に示されているものよりも台107により近づくように動いている。素子104が移動することに伴って、比例式アクチュエータバルブ110も、バルブスライダー113に対して移動している。この動きに応じて、比例式アクチュエータバルブ110は、アクチュエータ100の底部に空気圧を供給する。圧力がアクチュエータ100に供給されると、アクチュエータ100により与えられる第二の力106が増加し、よって図1及び2に示すように、上方にプランジャー103及びロッド102を押し上げる。比例式アクチュエータバルブ110は、素子104及びアクチュエータバルブハウジング112が元の所望の位置に戻るまで、アクチュエータ100に対して空気圧を供給し続ける。
【0042】
一方、第一の力が減少すると、素子104及びアクチュエータバルブハウジング112は、上方へ移動するであろう(図示せず)。この場合、比例式アクチュエータバルブ110は、アクチュエータ100から外部に空気圧を解放することにより応答するであろう。その空気圧の解放により、結果的に、素子104及びアクチュエータバルブハウジング112は、元の所望の位置に戻る。
【0043】
素子104及びアクチュエータバルブハウジング112の所望の位置は、例えば、オペレーターにより調整可能である。より詳細に以下に議論されるように、バルブハウジング112のバルブスライダー113に対する位置は、空気圧をアクチュエータ100に供給するか、それともアクチュエータ100から解放するかを決定する。従って、バルブスライダー113に接続されている台111を調整することにより、素子104の所望の位置が調整可能となる。このことは、比例式アクチュエータバルブ110が、バルブスライダー113が比例式アクチュエータバルブ110の“中央”位置に戻るまで、空気圧を供給するか、又は解放することから可能となる。故に、第一の力105が変化しない場合であっても、台111の位置を調整することにより素子104の位置を調整可能となる。例えば、素子104を上昇させることが望ましい場合には、台111を上昇させる。台111に応じてバルブスライダー113は上昇し、比例式アクチュエータバルブ110は、アクチュエータ100に空気圧を供給する。第一の力105は変化しないので、第二の力106が第一の力105より大きくなることになる。比例式アクチュエータバルブ110は、素子104がその新たな所望の位置まで上昇するまで、空気圧を供給する。
【0044】
素子104がより下方の方が望ましい場合には、同じ手順がとられるであろう。しかしながら、そのときには台111は上げられるのではなく下げられる。この場合、比例式アクチュエータバルブ110は、素子104が新たな所望の位置まで下降するまで、空気圧を解放する。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態による比例式アクチュエータバルブ110の断面図である。比例式アクチュエータバルブ110は、ハウジング112、可動式スライダー113、封止部材322a−d、封止点323a−d、及びチャンバー324、325及び326を含んでいる。
【0046】
4つの封止部材が示されていが、より多くの、又はより少ない数の封止部材が使用可能であることが理解されるべきである。同様に、図3には、3つのチャンバーが示されているが、比例式アクチュエータバルブ110は、いかなる数のチャンバーも有することができ、明確化と一貫性を目的として、3つのチャンバーが参照されるのである、と理解すべきである。一実施形態によれば、少なくとも1つのチャンバーが動作圧力と気送的に連通する。いくつかの実施形態においては、第一チャンバー324が、動作圧力と気送的に連通し、その動作圧力が、圧力が加えられた空気の供給(図示せず)により提供される。以下の議論においては、明確化を目的として、動作圧力と連通するのは第一チャンバー324のみであると言及している。しかしながら、第一チャンバー324に加えて、又はそれに
代えて、他のチャンバーが動作圧力と連通できるということが理解されるべきである。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、チャンバーの少なくとも1つが排気部(図示せず)と気送的に連通する。一実施形態によれば、第三チャンバー326が排気部と気送的に連通している。以下の議論においては、明確化を目的として、排気部と連通するのは第三チャンバー326のみであると言及している。しかしながら、第三チャンバー326に加えて、又はそれに代えて、他のチャンバーが排気部と連通できるということが理解されるべきである。いくつかの実施形態においては、第三チャンバー326が排気部と連通しているものとした場合、封止部材322dは省略可能であり、第三チャンバー326そのものが排気部となる。封止部材322dがある場合には、第三チャンバーは、外部へ排気する分離部(図示せず)を備えることができる。いくつかの実施形態においては、第三チャンバー326は、省略可能であることが理解されるべきである。その実施形態においては、第三チャンバー326の代わりに、比例式アクチュエータバルブ110は、3つに満たないチャンバーと排気部を備えていることになる。故に、以下の議論は、3つのチャンバーについて言及しているものの、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのチャンバーは、動作圧部と排気部の双方に対して隔絶されている。以下の議論においては、明確化を目的として、動作圧部及び排気部から隔絶するのは第二チャンバー325のみであると言及している。しかしながら、第二チャンバー325に加えて、又はそれに代えて、他のチャンバーが動作圧部及び排気部から隔絶可能であるということが理解されるべきである。比例式アクチュエータバルブ110が設けられた場合、アクチュエータ100は、その比例式アクチュエータバルブ110に通じることにより、排気部と圧力空気供給部とに連通できる。
【0049】
図4は、比例式アクチュエータバルブ110の第二チャンバー325をより詳細に示している。そこから分かるように、バルブスライダー113は、1つ以上の内腔327及び328を有している。図は、内腔327及び内腔328のみを示しているものの、更なる内腔を設けることができることが理解されるべきである。それらの内腔は、アクチュエータ100とチャンバー324,325,326との間の連通のために設けられる。いくつかの実施形態においては、供給ライン114を、内腔328及びアクチュエータ100と連通するように設けることができる。供給ライン114は、図3に示すように、バルブスライダー113の一端に接続できるし、あるいは、アクチュエータハウジング112に接続できる。内腔327及び328が示されているものの、それらの内腔は省略可能であり、その場合、第二チャンバー325の出口は、比例式アクチュエータバルブハウジング112を通り抜けることとなるであろう。この場合、供給ライン114は、比例式アクチュエータバルブハウジング112と接続されることとなろう。
【0050】
更に内腔327,328と連通するものとして、1つ以上の溝329が設けられる。2つの溝329が示されているものの、これは単に明確化のためであり、何個の溝でも利用可能であり、請求の範囲は2つの溝329に限定されるべきでないことが理解されるべきである。更に、溝329は、バルブスライダー113の中央部に示されているものの、溝は、バルブスライダー113に沿った他の場所又は更なる場所に設けることができることが理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態においては、1つ以上の溝がバルブスライダー113に設けられ、その位置は、バルブスライダー113が中央部にあるとき、1つの溝がチャンバー324のところに位置し、1つの溝がチャンバー326のところに位置するように決定される。この実施形態においては、内腔327は省略可能であり、供給ライン114は、直接、ハウジング112に接続することができる。あるいは、1つ以上の溝をハウジング112に形成することも可能であり、封止部材322a−dをバルブスライダー113上に載置することができる(図7参照)。溝329により、チャンバーは、内腔327,328と連通できるようになる。従って、溝及び内腔の組み合わせに
より、比例式アクチュエータバルブ110のチャンバーは、アクチュエータ100と連通できることとなる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、1つ以上の溝329のうちの1つの溝329は、不均一の断面積を有している(例えば図5a参照)。図5aは、本発明の一実施形態により、不均一の断面積を有する溝329を示している。しかしながら、溝329は、他の断面形状を有していてもよく、不均一の断面積には限定されないことが理解されるべきである。いくつかの実施形態においては、1つ以上の溝329は、実質的に均一の断面積を有している。
【0052】
図5aに示すように、内腔327近傍の断面積531は、内腔327から離れたところの断面積530よりも大きい。図5aは、多次元で変化する、溝329の断面形状を示している。例えば、内腔327からの距離が増加すると、溝329は、より狭くなるし、より浅くなる。他の実施形態においては、溝329は、狭くなるか、浅くなるかのどちらかのみとなるような形状とすることができる。故に、溝329の正確な形状は、図5aに描かれたものに限定されるべきではない。溝329をそのような断面積を有するように形成することにより、アクチュエータバルブ110は、空気圧の比例的分配を呈することとなる。
【0053】
図5bは、本発明の他の実施形態による1つ以上の溝329を示している。この実施形態においては、1つ以上の溝329は、複数の内腔からなっている。複数の溝329は、不連続のものとして示されている。すなわち、各溝329は分かれている。しかしながら、溝329のいくつか、又は全ては、連続溝を形成できることが理解されるべきである。図5bに示すように、複数の溝329は、内腔328に直接に繋がっている。この実施形態においては、複数の溝329が複数の内腔をなしているので、1つ以上の内腔327は、省略可能である。前述の各実施形態においては、1つ以上の内腔327が、空気圧の流れを制限するように機能していた。しかしながら、図5bに示した実施形態においては、複数の溝329が、空気圧の流れを制限するように動作できる。
【0054】
複数の溝329は、実質的に均一の断面積を有すると共に、バルブスライダー113に沿って実質的に等間隔に配置されているように示されている。しかしながら、複数の溝329は、所望の空気圧流を達成するために、異なる直径を有するように形成することができる。
加えて、任意の配置においていくつの溝329がチャンバーに対して開口しているかを制御するために、複数の溝329は、バルブスライダー113に沿って異なる間隔で配置することができる。
【0055】
各図に示されているように、内腔327からの距離が増加すると、溝329の断面積が減少する。内腔327近傍の溝329の断面積531は、内腔327の断面積532と少なくとも同じ大きさに示されているものの、溝329の断面積531は、内腔327の断面積532よりも小さくできることが理解されるべきである。内腔327の断面積532よりも大きな断面積を有する溝329を設けることにより、内腔327は、比例式アクチュエータバルブ110の最大流量を決定する。しかしながら、内腔327は、より大きな断面積を有することができ、その場合には、溝329が、比例式アクチュエータバルブ110の最大流量を決定するであろう。
【0056】
図3及び4に戻り、比例式アクチュエータバルブ110は、以下のように動作する。素子104が最適位置にあるとき、バルブスライダー113は、図3及び4に示すように、比例式アクチュエータバルブ110の中央部に位置している。その最適位置は、台111の位置を調整することにより調整可能である(図1及び2参照)。しかしながら、第一の力
105が変動すると、素子104は上か又は下に動く。比例式アクチュエータバルブ110が素子104に接続されているという結果から、比例式アクチュエータバルブ110、特に比例式アクチュエータバルブハウジング112も、バルブスライダー113に対して動くこととなる。例えば、第一の力105が増加し、第二の力106が一定に保たれるとすると、第一の力105は、アクチュエータ100から受ける第二の力106とはもはや実質的に等しくはなく、素子104は下方に動く。比例式アクチュエータバルブハウジング112が素子104に接続されていることから、それも下に動く(又は図3及び4に示されているように右へ動く)。バルブスライダー113は、台111に取り付けられていることから、バルブスライダー113は、動かない。同様に、第一の力105が減少し、第二の力106が一定に保たれるとすると、素子104、そして比例式アクチュエータバルブハウジング112は、上へ動く(又は図3及び4に示されているように左へ動く)。
【0057】
図3及び4に見られるように、溝329の長さ331は、封止部材322b及びcの間の距離よりも短い。その結果、小さな動き、すなわち、封止点323b及びcに関する距離332よりも小さい動きによっては、アクチュエータ100へ、又はアクチュエータ100から空気圧は流れない。これは、第二チャンバー325が圧力空気供給部からも排気部からも隔絶されているからである。故に、バルブスライダー113が、中央部にあるとき、アクチュエータ100内の空気圧は一定を維持する。
【0058】
しかしながら、比例式アクチュエータバルブハウジング112が、距離332よりも長い距離移動すると、溝329の断面530の一部が、封止点323b及びcを通過して移動し、ある画定された断面が開口する。更に動くと、溝329のより大きな断面が開口する結果となる。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、比例式アクチュエータバルブ110は、素子104の位置を維持するように設けられる。この実施形態によれば、第一チャンバー324には、動作圧力がかかっており、第三チャンバー326は、外部への排気部(図示せず)と連通している。素子104に作用する第一の力105が増加すると、比例式アクチュエータバルブハウジング112は、図3及び4に示すように、右へ移動するであろう。かかる現象により、溝329は、封止点324を通過して移動し、溝329の画定断面が、第一チャンバー324へ開口することとなる。第一チャンバー324には、動作圧力が作用しているので、空気圧が溝329に入り込み、内腔327に流れ込み、そして内腔328に到達する。内腔328は、アクチュエータ100に接続可能である。従って、任意の量の空気圧がアクチュエータ100に供給される。ハウジング112が更に右へ移動すると、より大きな断面がチャンバー324に開口することとなる。これにより、より多くの量の圧力が溝329に入り込む結果となる。
【0060】
アクチュエータ100に空気圧が供給されると、第二の力106が増加し、素子104は、アクチュエータハウジング112と共に、元の位置に復帰し始める。この復帰が生ずると、アクチュエータハウジング112は、左に戻りように移動し(図3及び4に示す)、溝329の断面の第一チャンバー214への開口が小さくなる。開口断面が小さくなるのであるから、アクチュエータ100へ供給される圧力の量も、溝329のどの部分も第一チャンバー324に開口しなくなるまで、減少する。開口断面が減少すると、復帰速度も減少する。アクチュエータ100に供給される空気量は、アクチュエータハウジング112のバルブスライダー113に対する位置に比例するのであるから、比例式アクチュエータバルブ110は、行き過ぎて共振してしまうようになることを回避する。
【0061】
内腔327からの距離が増加すると、溝329の断面積が減少するのであるから、溝329の端が第一チャンバー324に開口したとき、わずかな量の空気しか溝329に入り込まず、それによりわずかな圧力のみがアクチュエータ100に供給されることとなる。従
って、アクチュエータ100に供給される圧力の量は、バルブスライダー113の比例式アクチュエータバルブハウジング112に対する位置に比例することとなる。
【0062】
代わりに、第一の力105が減少すると、素子104と、比例式アクチュエータバルブハウジング112は、図3及び4に示すように、左へ移動することとなる。比例式アクチュエータバルブハウジング112が、距離332よりも長い距離だけ移動すると、溝329は、封止点323cを通過し、溝329の画定断面が、第三チャンバー326に開口するか、又は、第三チャンバー326が省略されている実施形態においては、排気部に直接的に開口する。第三チャンバー326は、排気部に開口しているので、空気は、内腔327及び328を流れ、外部へ排気される。比例式アクチュエータバルブハウジング112が、更に左へ移動すると、第三チャンバー326に開口する溝329の断面はより大きくなり、これにより、より多くの量の空気及び空気圧が外部へ排出される結果となる。空気圧が減少する結果として、素子104及び比例式アクチュエータバルブハウジング112は、降下して(右へ移動して)元の位置に戻る。バルブスライダー113が、中央チャンバー325の方へ戻ると、溝329は、もはやチャンバー326へは開口せず、従って、空気圧は、もはや外部へ排出されない。
【0063】
比例式アクチュエータバルブハウジング112のバルブスライダー113に対するストロークは、溝329が、外側封止部材322a及び322dの外部封止点323a及び323dに達する前に、終了する。これにより望まざる空気圧の排出が防止される。これはまた、比例式アクチュエータバルブ110又はアクチュエータ100に対して傷害を与える可能性のある、ほこりや砂(デブリ)が内腔327に入り込むのを防いでいる。
【0064】
1つ以上の溝329の断面形状により、第一又は第三チャンバーに対して開口する断面積が減少すると、内腔327に入り込む、又はそこから排出される空気圧の量/率が減少する。このように、行き過ぎが原因で典型的に発生する振動が、抑制されるか、又は排除される。加えて、比例式アクチュエータバルブ110により、例えばシフトバルブにより実現され得るよりも早い応答が得られる。これは、シフトバルブの場合、溝のサイズは、振動の危険に反して妥協せざるを得ないからである。故に、シフトバルブの溝/内腔は、振動を避けるために実際に望まれるよりも小さなサイズとなってしまう。しかしながら、小さな溝/内腔を設けると、アクチュエータに供給される空気圧の率が減少するのであるから、より遅い応答時間となる。比例式アクチュエータバルブ110より、早い応答が得られると共に、振動の危険性が抑制される。
【0065】
図6は、本発明の他の実施形態による比例式アクチュエータバルブ110を示している。この実施形態においては、比例式アクチュエータバルブハウジング112は、レバーシステム660を使用して素子104に接続されている。レバーシステム660を使用するといくつかの有利な点がある。いくつかの実施形態において、素子104を、比例式アクチュエータバルブ110の動きとは異なる方向へ移動させることが望まれる場合がある。加えて、レバーシステム660により、バルブスライダー113の動きの方向とは異なる方向へ素子104を動かすことができる。図6に示す実施形態においては、例えば、第一の力105が減少することに応じて、素子104が上昇すると、比例式アクチュエータバルブハウジング112は、下降する。レバーシステム660を設ける他の利点は、比例式アクチュエータバルブ110を、素子104から離して配置できる、ということにある。このことは、アクセス性、スペースの制限等のいくらかの理由により望まれる可能性がある。
【0066】
レバーシステムは、比例式アクチュエータバルブ110の素子104に対するストロークを変化させるために調整可能である。素子104は、アクチュエータ100と同じストロークを有しているので、レバーシステムは、比例式アクチュエータバルブ110のアクチ
ュエータ100に対するストロークを変化させるために調整可能である。例えば、比例式アクチュエータバルブ110が素子104に直接接続されると、素子104のいかなる動きも、それは結局、比例式アクチュエータバルブハウジング112の等価な動きとなってしまう。しかしながら、それらのストロークを異なるものとしたい要求もあろう。レバーシステム660を調整することにより、素子104の比較的小さな動きが、比例式アクチュエータバルブハウジング112のより大きな動きに結果としてなり得る。これにより、より大きな感度で早い応答時間が実現できる。
【0067】
図7は、本発明の他の実施形態による比例式アクチュエータバルブ110を示している。図7に示す比例式アクチュエータバルブ110は、これまでの図に示されていたものと類似している。異なる点は、溝329の位置である。1つ以上の溝329が、バルブスライダー113ではなく、ハウジング112に形成されているように示されている。溝329が、ハウジング112に形成されていることにより、1つ以上の封止部材322が、ハウジング112内に留まるのではなく、バルブスライダー113に接続されてそれと共に移動するようになっている。加えて、1つ以上の封止部材322は、両側に封止点323を有する封止部材322として示されている。封止部材322のこの特別な実施形態は、図7にのみ示されているが、それらは、既に言及された実施形態のいずれにも適用可能であることが理解されるべきである。
【0068】
図7に示した実施形態においては、バルブハウジング112がバルブスライダー113に対して移動すると、溝329が、封止部材322を通り越し、画定断面が第二チャンバー325に対して開口する。変位が大きくなると、より広い断面が第二チャンバー325に開口される。これにより、より多くの量の空気が、内腔328に入り込むか、又はそこから排出される。示された実施形態においては、内腔327は、省略されている。封止部材322は、バルブスライダー113と共に動き、1つ以上の溝329の画定断面が一旦第二チャンバー325に開口すると、空気は、内腔327を必要とすることなく内腔328に到達できるので、示された実施形態においては、内腔327は必須のものでなない。しかしながら、比例式アクチュエータバルブ110の流れを制限するために、バルブハウジング112内に内腔327を設けてもよい。
【0069】
加えて、内腔328は、バルブスライダー113内ではなく、バルブハウジング112内に形成されている。しかしながら、バルブスライダー113は、内腔327,328の双方を含むことができ、その場合、比例式アクチュエータバルブ110は、前述のようにアクチュエータ100と連通するということが理解されるべきである。図7に示されているように、比例式アクチュエータバルブ110は、バルブハウジング112に形成され、供給ライン114を伴った内腔328を通じてアクチュエータ100と連通している。
【0070】
アクチュエータ100と比例式アクチュエータバルブ110の組み合わせにより、機械気送的閉制御ループが提供される。その閉制御ループにより、アクチュエータ100と素子104に対する位置制御と位置調整の双方が提供される。その組み合わせにより、外的計測の必要性なく、アクチュエータ100の位置を直接的に決定できる。加えて、その組み合わせにより、アクチュエータ100に印加される力の変化に対して手動で再位置付けする必要なく、自動応答及び調整が提供される。加えて、その組み合わせにより、力の変動による調整により生じた応答の危険を減らすことができる。
【0071】
上記実施形態の詳細な説明は、発明者により、発明の範囲内にあるように期されている全ての実施形態の余す所ない記述ではない。確かに、当業者は、上述の実施形態のいくつかの要素は、いろいろ組み合されたり、又は削除されることにより、更なる実施形態が形成でき、かかる更なる実施形態は、発明の範囲及び教示に含まれるものである。また、当業者には、上述の実施形態は、全体が組み合わされて、又は部分的に組み合わされて、発明
の範囲及び教示に含まれる付加的実施形態を形成し得るということは、明らかである。
【0072】
従って、発明の特定の実施形態及び例が、例示目的でここに記述されているが、当業者が理解できるように、各種の等価な変形が発明の範囲内にあるものとして可能である。ここで提供されている教示は、他のアクチュエータ及びアクチュエータバルブに適用可能であり、上述の図面に示されている実施形態にのみ適用されるものではない。しかして、発明の範囲は、以下の請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7