特許第5981982号(P5981982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5981982
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】結合方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/44 20060101AFI20160818BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20160818BHJP
   B21D 39/03 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   E05F11/44 F
   B60J1/17 A
   B21D39/03 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-252854(P2014-252854)
(22)【出願日】2014年12月15日
(62)【分割の表示】特願2010-91336(P2010-91336)の分割
【原出願日】2010年4月12日
(65)【公開番号】特開2015-96697(P2015-96697A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2014年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085187
【弁理士】
【氏名又は名称】井島 藤治
(72)【発明者】
【氏名】永井 浩介
(72)【発明者】
【氏名】上浦 友洋
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−122724(JP,U)
【文献】 特開2002−242528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 11/44、
B21D 39/03、
B60J 1/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材でなる下部材及び上部材を結合する結合方法であって、以下のA、B、C、Dの工程を順に行うことを特徴とする結合方法。
A.開口が設けられた下ダイスの上に、貫通穴が形成された前記下部材と、前記上部材とをセットする工程。
B.上パンチと下パンチとを、前記上部材及び下部材の前記貫通穴を挟んで対向させる工程。
C.上パンチの下降を開始させ、前記上部材を上面側からプレスして有底穴を形成することで、前記上部材の下面側に形成された突部を前記下部材の前記貫通穴内に入り込ませる工程。
D.前記突部の下端面に凹部が形成されるように前記突部の下端面に当接する前記下パンチと、前記上パンチでもって、次のE1,E2,E3,E4の全てが形成されるまで、前記上部材をプレスする工程。
E1.前記下パンチに下端面が突き当てられた前記突部が前記貫通穴内で押し広げられ、前記突部に、下面側に行くほど拡径した外壁面が形成されることにより、この外壁面に沿って形成される、塑性変形でもって加工硬化した外壁部
E2.前記突部の拡径に押されて、前記貫通穴が拡径され、前記下部材の下面側へ行くほど拡径するように形成された貫通テーパ穴
E3.前記貫通テーパ穴の内壁面に沿って形成され、前記突部の外壁面に密着した、塑性変形で加工硬化した第1内壁部
E4.前記貫通テーパ穴の下面側の開口の周縁に形成され、前記貫通テーパ穴の内壁面と連続し、かつ前記突部の外壁面に密着した内壁面を有し、該内壁面に沿って塑性変形でもって加工硬化した第2内壁部が形成された、前記下部材の板厚よりも厚く下面側に盛り上げられた盛り上がり部
【請求項2】
前記有底穴が、前記突部の断面形状より小さな断面形状で、底面が前記下部材の貫通テーパ穴の高さまで達するように形成されるような、前記上パンチを用いることを特徴とする請求項1記載の結合方法。
【請求項3】
前記上部材の突部の下端面に、前記凹部が円錐状に形成されるような下パンチを用いることを特徴とする請求項1または2記載の結合方法。
【請求項4】
前記下ダイスの開口を、前記貫通テーパ穴の下面側の開口より大きくし、前記下部材の下面に、前記貫通テーパ穴の下面側の開口よりも大きな径の線跡を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の結合方法。
【請求項5】
前記盛り上がり部の外縁側に斜面を形成し、前記斜面と前記下部材の平面との境界に前記線跡を形成することを特徴とする請求項4記載の結合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材でなる下部材及び上部材を結合する結合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図5を用いて、2枚の板材をカシメにて結合した構造を説明する。図において、板状の下部材101には、前もって貫通穴103が形成されている。下部材101上に積層された板状の上部材105の上面には、上パンチによって、下部材101の貫通穴103と同軸の段付き有底穴107が形成されている。段付き有底穴107は底側の小径部107aと開口側の大径部107bとからなっている。
【0003】
上パンチの径が貫通穴103の径より大きいので、下部材101の貫通穴103の周縁部は変形し、下部材101の貫通穴103の周縁部には、下面側へ行くほど縮径した円錐部109が形成されている。更に、円錐部109が形成されることにより、貫通穴103は、下面側へ行くほど拡径した貫通テーパ穴となっている。
【0004】
上部材105には、下部材101の円錐部109、貫通穴103まで嵌入し、円錐部109の内壁面109a、貫通穴103の内壁面103aに押接する突部111が形成されている。
【0005】
更に、上部材105の突部111の下端面には、円錐状の凹部113が形成されている。この円錐状の凹部113を形成することにより、貫通穴103まで嵌入した下部材101の突部111の肉が貫通穴103の内壁面103aへ誘導され、突部111の外壁面111aが貫通穴103の内壁面103aに密着する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−142887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5に示す結合構造では、突部111の外壁面が、下面側へ行くほど拡径する貫通テーパ穴となっている貫通穴103の内壁面103aに密着することにより、下部材101と上部材105との剥離が防止される。しかし、突部111の外壁面が貫通穴103の内壁面に密着する面積が小さいことにより、下部材101と上部材105との剥離強度が弱い問題点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、剥離強度が高い結合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、板材でなる下部材及び上部材を結合する結合方法であって、以下のA、B、C、Dの工程を順に行うことを特徴とする結合方法である。
A.開口が設けられた下ダイスの上に、貫通穴が形成された前記下部材と、前記上部材とをセットする工程。
B.上パンチと下パンチとを、前記上部材及び下部材の前記貫通穴を挟んで対向させる工程。
C.上パンチの下降を開始させ、前記上部材を上面側からプレスして有底穴を形成することで、前記上部材の下面側に形成された突部を前記下部材の前記貫通穴内に入り込ませる工程。
D.前記突部の下端面に凹部が形成されるように前記突部の下端面に当接する前記下パンチと、前記上パンチでもって、次のE1,E2,E3,E4の全てが形成されるまで、前記上部材をプレスする工程。
E1.前記下パンチに下端面が突き当てられた前記突部が前記貫通穴内で押し広げられ、前記突部に、下面側に行くほど拡径した外壁面が形成されることにより、この外壁面に沿って形成される、塑性変形でもって加工硬化した外壁部
E2.前記突部の拡径に押されて、前記貫通穴が拡径され、前記下部材の下面側へ行くほど拡径するように形成された貫通テーパ穴
E3.前記貫通テーパ穴の内壁面に沿って形成され、前記突部の外壁面に密着した、塑性変形で加工硬化した第1内壁部
E4.前記貫通テーパ穴の下面側の開口の周縁に形成され、前記貫通テーパ穴の内壁面と連続し、かつ前記突部の外壁面に密着した内壁面を有し、該内壁面に沿って塑性変形でもって加工硬化した第2内壁部が形成された、前記下部材の板厚よりも厚く下面側に盛り上げられた盛り上がり部
【0010】
請求項2に係る発明は、前記有底穴が、前記突部の断面形状より小さな断面形状で、底面が前記下部材の貫通テーパ穴の高さまで達するように形成されるような、前記上パンチを用いることを特徴とする請求項1記載の結合方法である。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記上部材の突部の下端面に、前記凹部が円錐状に形成されるような下パンチを用いることを特徴とする請求項1または2記載の結合方法である。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記下ダイスの開口を、前記貫通テーパ穴の下面側の開口より大きくし、前記下部材の下面に、前記貫通テーパ穴の下面側の開口よりも大きな径の線跡を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の結合方法である。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記盛り上がり部の外縁側に斜面を形成し、前記斜面と前記下部材の平面との境界に前記線跡を形成することを特徴とする請求項4記載の結合方法である。
【0015】
なお、本明細書において、「拡径」とは、円形穴の直径が漸次的に大きくなることに限定するものではなく、円形、非円形の穴の差し渡し長が漸次的に大きくなることをいう。
【発明の効果】
【0016】
請求項1−に係る発明により結合された結合構造では、突部の外壁面が、下部材の板厚よりも厚く下面側に盛り上げられた盛り上がり部の内壁面の少なくとも一部、下面側へ行くほど拡径する前記貫通テーパ穴の内壁面に密着することにより、上部材の突部の外壁面と、穴の内壁面とが密着する面積が広くなり、下部材と上部材との剥離強度が高くなる。よって、この結合構造では、下部材、上部材に剥離力が作用しても、下部材と上部材とが剥離せず、結合構造が破壊されない。
【0017】
下部材には、貫通テーパ穴の内壁面に沿って塑性変形で加工硬化した第1内壁部と、盛り上がり部の内壁面に沿って塑性変形で加工硬化した第2内壁部とが形成されている。また、貫通テーパ穴、盛り上がり部に嵌合する上部材の突部には、外壁面に沿って塑性変形で加工硬化した外壁部が形成されている。即ち、下部材の貫通テーパ穴、盛り上がり部のせん断強度、上部材の突部のせん断強度が高くなる。よって、下部材、上部材に、上部材、下部材を貫通テーパ穴の半径方向に相対移動させる大きな力が作用しても、下部材の貫通テーパ穴、盛り上がり部、上部材の突部がせん断破壊せず、結合構造が破壊されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1本発明により結合された結合構造(実施形態)を示す断面図で、図2の切断線B−Bでの断面におけるリフトアームとドリブンギヤとの上下関係を逆にした図である。
図2図1のC部分の拡大図である。
図3】実施形態の結合構造を用いたXアーム型のウインドレギュレータを説明する図である。
図4図3の切断線A−Aの断面図である。
図5】2枚の板材をカシメにて結合した構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
最初に、図3図4を用いて、本実施形態の結合構造を用いたXアーム型のウインドレギュレータを説明する。
【0022】
図3において、ベースプレート1は図示しないドアパネル(インナ)に取り付けられるもので、このベースプレート1には、ピン2でもって、ドリブンギヤ3とリフトアーム5とが回転可能に取り付けられている。このピン2は、ドリブンギヤ3の歯先円の中心に位置している。
【0023】
図3に示すウインドレギュレータは、パワー式のウインドレギュレータであるため、ベースプレート1には、モータ4が減速ギヤボックスと共に取り付けられており、その最終出力軸である回転軸4aには、図3には現れていないが、ピニオンが設けられ、このピニオンにドリブンギヤ3の歯部3aが噛合している。このため、モータ4により、回転軸4aが図において時計方向に駆動されればドリブンギヤ3は反時計方向に回転し、逆に、回転軸4aが反時計方向に駆動されればドリブンギヤ3は時計方向に回転することになる。
【0024】
リフトアーム5は、ドリブンギヤ3にカシメにより結合されている。
【0025】
リフトアームブラケット6は、図示しない窓ガラスの下部に取り付けられるもので、断面が略C形をしており、窓ガラスの開閉方向Mと交差する方向に延びたスリット状のガイド6aが形成されている。このリフトアームブラケット6には、ガイド6aに沿って移動可能なスライダ7が嵌合している。スライダ7はピン8でもってリフトアーム5に回動可能に係止されている。
【0026】
イコライザアーム10は、リフトアーム5の中間部に回動可能に且つX字状に交差するように中間部が枢着されている。詳しく説明すると、イコライザアーム10は、別々に成形した第1アーム部11と第2アーム部12とを一体的に取り付けることにより構成している。即ち、図3の切断線A−Aの断面図である図4に示すように、リフトアーム5の穴51cに回動可能に嵌入された第1アーム部11の円筒部114と、リフトアーム5を間にして第1アーム部11に対向配置された第2アーム部12の円筒部124とは、互いに端面(底部)が突き当てられた状態で結合されている。このため、第1アーム部11と第2アーム部12とは、リフトアーム5の表裏にて、一体的となって回動することになる。
【0027】
再び、図3に戻って、イコライザアームブラケット13は、図示しないドアパネル(インナ)に取り付けられるもので、断面が略C形をしており、リフトアームブラケット6のガイド6aと平行なガイド13aが形成されている。このイコライザアームブラケット13には、ガイド13aに沿って移動可能なスライダ14が嵌合している。スライダ14はピン15でもってイコライザアーム10の基端部(第1アーム部11)に回動可能に係止されている。
【0028】
一方、イコライザアーム10の先端部(第2アーム部12)には、スライダ16がピン17でもって回動可能に係止され、このスライダ16がリフトアームブラケット6のガイド6aに沿って移動可能に嵌合している。
【0029】
次に、上記構成のXアーム式ウインドレギュレータの作動について説明する。
【0030】
図3は窓ガラスを閉めた状態を示している。このため、窓ガラスが窓枠に当接するまで、リフトアーム5は反時計方向に回転している。この状態から、窓ガラスを下降させるには、モータ4により、回転軸4aを図2における反時計方向に駆動して、リフトアーム5を時計方向に回転させればよい。このように駆動すれば、リフトアーム5の回転に連動して、イコライザアーム10は反時計方向に回転し、結局、スライダ7及び16が、ガイド6aの案内方向に移動しながら下降し、リフトアームブラケット6をM方向に下降させることになる。よって、窓ガラスも下降する。この後、窓ガラスを上昇させるには、モータ4で回転軸4aを時計方向に駆動すればよい。
【0031】
次に、図1図2を用いてリフトアーム5とドリブンギヤ3との結合構造を説明する。図1は実施形態の発明部分を示す断面図で、図3の切断線B−Bでの断面におけるリフトアームとドリブンギヤとの上下関係を逆にした図、図2図1のC部分の拡大図である。
【0032】
図において、リフトアーム5(下部材)には、塑性加工(プレス加工)により、下面側へ行くほど拡径する内壁面31を有する貫通テーパ穴35が形成されている。貫通テーパ穴35は塑性加工により形成されることにより、リフトアーム5には、貫通テーパ穴35の内壁面31に沿って、塑性変形で加工硬化した第1内壁部33が形成されている。
【0033】
更に、リフトアーム5の下面上には、貫通テーパ穴35の下面側の開口の周縁に沿って、塑性加工により盛り上がり部45が形成されている。図2において、リフトアーム5の板厚(t)より厚い部分が盛り上がり部45である。この盛り上がり部45には、貫通テーパ穴35の内壁面31と連続する内壁面41が形成されている。そして、盛り上がり部45の内部には、内壁面41に沿って、塑性変形で加工硬化した第2内壁部43が形成されている。
【0034】
ドリブンギヤ3には、貫通テーパ穴35から盛り上がり部45まで嵌入した突部51が形成されている。この突部51の外壁面55は、貫通テーパ穴35の内壁面31に密着するとともに、盛り上がり部45の内壁面41にも少なくとも一部が密着している。そして、突部51の内部には、外壁面55に沿って塑性変形で加工硬化した外壁部53が形成されている。
【0035】
ドリブンギヤ3の上面で、突部51の裏側には、突部51の断面形状より小さな断面形状で、底面がリフトアーム5の貫通テーパ穴35の高さまで達する有底穴61が形成されている。ドリブンギヤ3の突部51の下端面には、円錐状の凹部63が形成されている。
【0036】
リフトアーム5の盛り上がり部45の外縁側は斜面45aとなっており、斜面45aとリフトアーム5の平面との境界には、環状に線跡65が形成されている。
【0037】
ドリブンギヤ3の円錐状の穴63は、下パンチで形成される。リフトアーム5の線跡65は、リフトアーム5が載置され、突部51、盛り上がり部45が進入する下ダイスの開口の周縁角部で形成される。
【0038】
上パンチ、下パンチ、下ダイスにより、ドリブンギヤ3に有底穴61と、円錐状の凹部63が形成され、リフトアーム5に線跡65が形成されることで、リフトアーム5に形成された穴に嵌合するドリブンギヤ3の突部51が形成される。更に、突部51に外壁面55に沿って塑性変形で加工硬化した外壁部53が形成される。
【0039】
特に、突部51の下端面に、円錐状の凹部63が形成される際に、突部51の肉が移動してリフトアーム5の貫通テーパ穴35の内壁面を押す。円錐状の凹部63は、下側に行くほど開口面積が広くなる凹部であるので、下側に行くほど突部51の肉の移動量は多くなり、リフトアーム5の貫通穴は、下面側へ行くほどかかり代が大きくなり、内壁面31に沿って塑性変形で加工硬化した第1内壁部33が形成された貫通テーパ穴35となる。更に、貫通テーパ穴35の下面側の開口の周縁には、下面側へ行くほどかかり代が大きくなり、貫通テーパ穴35の内壁面31と連続した内壁面41を有し、内壁面41に沿って塑性変形で加工硬化した第2内壁部43が形成される盛り上がり部45が形成される。
【0040】
尚、本実施形態では、イコライザアーム10の第1アーム部11の円筒部114と、第2アーム部12の円筒部124との結合構造も、リフトアーム5とドリブンギヤ3との結合構造と同じである。
【0041】
このような構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0042】
(1) ドリブンギヤ3の突部51の外壁面55は、下面側へ行くほど拡径するリフトアーム5の貫通テーパ穴35の内壁面31に密着することにより、ドリブンギヤの突部51の外壁面55と、貫通テーパ穴35の内壁面31とが密着する面積が広くなり、ドリブンギヤ3とリフトアーム5との剥離強度が高くなる。よって、ドリブンギヤ3、リフトアーム5に、剥離力が作用しても、ドリブンギヤ3とリフトアーム5とが剥離せず、結合構造が破壊されない。
【0043】
(2) リフトアーム5の貫通テーパ穴35の内壁面31に沿って塑性変形で加工硬化した第1内壁部33と、盛り上がり部45の内壁面41に沿って塑性変形で加工硬化した第2内壁部43とが形成されている。また、リフトアーム5の貫通テーパ穴35、盛り上がり部45に嵌合するドリブンギヤ3の突部51には、外壁面55に沿って塑性変形で加工硬化した外壁部53が形成されている。即ち、リフトアーム5の貫通テーパ穴35、盛り上がり部45のせん断強度、ドリブンギヤ3の突部51のせん断強度が高くなる。よって、ドリブンギヤ3、リフトアーム5に、貫通テーパ穴35の半径方向に相対移動させる大きな力が作用しても、リフトアーム5の貫通テーパ穴35、盛り上がり部45、ドリブンギヤ3の突部51がせん断破壊せず、結合構造が破壊されない。
【0044】
また、イコライザアーム10の第1アーム部11の円筒部114と、第2アーム部12の円筒部124との結合構造も、リフトアーム5とドリブンギヤ3との結合構造と同じであるので、第1アーム部11、第2アーム部12に、剥離力が作用しても、第1アーム部11と第2アーム部12が剥離せず、結合構造が破壊されない。更に、第1アーム部11、第2アーム部12に、円筒部114、124の半径方向に相対移動させる大きな力が作用しても、結合構造が破壊されない。
【0045】
尚、本発明は上記実施形態の結合に限定されるものではない。上記実施形態では、Xアーム型のウインドレギュレータで説明を行ったが、イコライザアームがなくリフトアームだけのシングルアーム型のウインドレギュレータのリフトアームとドリブンギヤとの結合構造にも適用できる。
【0046】
更に、ウインドレギュレータのリフトアームとドリブンギヤとの結合構造の結合に限定されるものではなく、2枚の板材を結合した結合方法に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
3 ドリブンギヤ(上部材)
5 リフトアーム(下部材)
31 内壁面
33 第1内壁部
35 貫通テーパ穴
41 内壁面
43 第2内壁部
45 盛り上がり部
51 突部
53 外壁部
61 有底穴
63 円錐状の凹部
65 線跡
図1
図2
図3
図4
図5