特許第5982007号(P5982007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5982007HCVRNA複製の阻害薬としての2’,4’−ジフルオロ−2’−メチル置換されたヌクレオシド誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982007
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】HCVRNA複製の阻害薬としての2’,4’−ジフルオロ−2’−メチル置換されたヌクレオシド誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/10 20060101AFI20160818BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   C07H19/10CSP
   A61P31/14
   A61K31/7072
【請求項の数】19
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2014-547891(P2014-547891)
(86)(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公表番号】特表2015-500852(P2015-500852A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012075779
(87)【国際公開番号】WO2013092481
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】61/577,707
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314013280
【氏名又は名称】リボサイエンス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ジュミーン
【審査官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−532747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
[式中:
は、H、低級ハロアルキル、またはアリールであり、その際、アリールはフェニルまたはナフチルであり、1個以上の低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、ハロ、低級ハロアルキル、−N(R1a、アシルアミノ、−SON(R1a、−COR1b、−SO(R1c)、−NHSO(R1c)、ニトロまたはシアノで置換されていてもよい;
1aはそれぞれ、独立してHまたは低級アルキルである;
1bはそれぞれ、独立して−OR1aまたは−N(R1aである;
1cはそれぞれ、低級アルキルである;
2aおよびR2bは、(i)独立してH、低級アルキル、−(CHN(R1a、低級ヒドロキシアルキル、−CHSH、−(CH)S(O)Me、−(CHNHC(=NH)NH、(1H−インドール−3−イル)メチル、(1H−インドール−4−イル)メチル、−(CHC(=O)R1b、アリールおよびアリール低級アルキルであり、その際、アリールは1個以上のヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロまたはシアノで置換されていてもよい;(ii)R2aはHであり、R2bとRは一緒に(CHを形成している;(iii)R2aとR2bは一緒に(CHを形成している;あるいは(iv)R2aおよびR2bは両方とも低級アルキルである;
は、H、低級アルキル、低級ハロアルキル、フェニルまたはフェニル低級アルキルである;
は、H、低級アルキルであり、あるいはR2bとRは一緒に(CHを形成している;
は、H、C(=O)R1c、C(=O)R1b、P(=O)(OR)(OR1a)、またはP(=O)(OR)(NR)である;
は、H、メチル、またはハロである;
は、C(R2a2b)COORである;
mは、0〜3である;
nは、4または5である;
pは、0〜2である;
rは、1〜6である]
またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項2】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がHまたはBrである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がナフチルまたはフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
2aがHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
2bがメチルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
がイソプロピルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
がC(=O)R1cである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
1cがエチルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がP(=O)(OR)(NR)である、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
がナフチルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
がHであり、RがCH(CH)C(=O)OCH(CHである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
下記のものからなる群から選択される化合物:
(S)−2−{[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−[((S)−1−イソプロポキシカルボニル−エチルアミノ)−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルオキシ]−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−4−メチル−3−プロピオニルオキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−{(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−{(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;
(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル;および
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル。
【請求項15】
療法有効物質として使用するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物および療法不活性キャリヤーを含む、医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療または予防するための医薬
【請求項18】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療用または予防用の医薬を調製するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療または予防するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HCVレプリコンRNA複製の阻害薬としてのヌクレオシド誘導体に関する。特に、本発明は、サブゲノムC型肝炎ウイルス(HCV)RNA複製の阻害薬としてのプリンおよびピリミジンヌクレオシド誘導体の使用、ならびにそのような化合物を含む医薬組成物に関係する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルスは全世界における慢性肝疾患の主因である。HCVに感染した患者は肝硬変およびそれに続く肝細胞癌のリスクをもち、したがってHCVは肝臓移植の主要な指標となる。HCV感染症の治療に現在使用できるのは2つの承認された療法のみである(R. G. Gish、Sem. Liver. Dis.、1999、19、35)。これらは、インターフェロン−α単剤療法、およびより最近のヌクレオシドアナログであるリバビリン(ribavirin)(Virazole)とインターフェロン−αとの併用療法である。
【0003】
ウイルス感染症の治療用として承認された薬物の多くはヌクレオシドまたはヌクレオシドアナログであり、これらのヌクレオシドアナログ薬物の大部分はウイルスポリメラーゼ酵素の阻害によりウイルスの複製を阻害し、それに伴って対応するトリホスフェートに変換される。トリホスフェートへのこの変換は一般に細胞キナーゼにより仲介され、したがってHCV複製阻害薬としてのヌクレオシドの直接評価は細胞ベースのアッセイを用いて便宜的に行なわれるにすぎない。HCVについて、真の細胞ベースのウイルス複製アッセイまたは感染動物モデルはない。
【0004】
C型肝炎ウイルスはフラビウイルス科に属する。それはRNAウイルスであり、そのRNAゲノムは大型ポリプロテインをコードし、それがプロセシング後に、後代RNAの合成を確実にするために必要な複製機構を生成する。HCV RNAゲノムによりコードされる大部分の非構造タンパク質はRNA複製に関与すると考えられる。Lohmannら[V. Lohmann et al., Science, 1999, 285, 110-113]は、サブゲノムHCV RNA分子を導入したヒトヘパトーマ(Huh7)細胞系の構築について記載しており、それが高い効率で複製することを示した。これらの細胞系におけるRNA複製の機序は、感染した肝細胞における全長HCV RNAゲノムの複製と同一であると考えられる。これらの細胞系の分離に用いられたサブゲノムHCV cDNAクローンが、HCV複製のヌクレオシドアナログ阻害薬を同定する細胞ベースのアッセイを開発するための基礎となった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】R. G. Gish, Sem. Liver. Dis., 1999, 19, 35
【非特許文献2】V. Lohmann et al., Science, 1999, 285, 110-113
【発明の概要】
【0006】
式Iの化合物は、C型肝炎ウイルス(HCV)により媒介される疾患の処置およびそのような化合物を含む医薬組成物に有用である。
本出願は、式Iの化合物:
【0007】
【化1】
【0008】
[式中:
は、H、低級ハロアルキル、またはアリールであり、その際、アリールはフェニルまたはナフチルであり、1個以上の低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、ハロ、低級ハロアルキル、−N(R1a、アシルアミノ、−SON(R1a、−COR1b、−SO(R1c)、−NHSO(R1c)、ニトロまたはシアノで置換されていてもよい;
1aはそれぞれ、独立してHまたは低級アルキルである;
1bはそれぞれ、独立して−OR1aまたは−N(R1aである;
1cはそれぞれ、低級アルキルである;
2aおよびR2bは、(i)独立してH、低級アルキル、−(CHN(R1a、低級ヒドロキシアルキル、−CHSH、−(CH)S(O)Me、−(CHNHC(=NH)NH、(1H−インドール−3−イル)メチル、(1H−インドール−4−イル)メチル、−(CHC(=O)R1b、アリールおよびアリール低級アルキルであり、その際、アリールは1個以上のヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロまたはシアノで置換されていてもよい;(ii)R2aはHであり、R2bとRは一緒に(CHを形成している;(iii)R2aとR2bは一緒に(CHを形成している;あるいは(iv)R2aおよびR2bは両方とも低級アルキルである;
は、H、低級アルキル、低級ハロアルキル、フェニルまたはフェニル低級アルキルである;
は、H、低級アルキルであり、あるいはR2bとRは一緒に(CHを形成している;
は、H、C(=O)R1c、C(=O)R1b、P(=O)(OR)(OR1a)、またはP(=O)(OR)(NR)である;
は、H、メチル、またはハロである;
は、C(R2a2b)COORである;
mは、0〜3である;
nは、4または5である;
pは、0〜2である;
rは、1〜6である]
またはその医薬的に許容できる塩を提供する。
【0009】
本出願は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を処置するための方法であって、その必要がある患者に療法有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
本出願は、式Iの化合物および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
式Iの化合物は、ヘパトーマ細胞系におけるサブゲノムC型肝炎ウイルス複製の阻害薬であることが示された。これらの化合物は、ヒトのHCV感染症を処置するための抗ウイルス薬として有効な効力をもつ。
【0011】
本明細書中で用いる用語“アルキル”は、1〜12個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖炭化水素残基を表わす。好ましくは、用語“アルキル”は、1〜7個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖炭化水素残基を表わす。最も好ましいものは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチルまたはペンチルである。アルキルは置換されていなくてもよく、置換されていてもよい。置換基は、シクロアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニルおよびシクロアルキルカルボニルのうち1以上から選択される。
【0012】
本明細書中で用いる用語“シクロアルキル”は、3〜7個の炭素原子を含む置換されていてもよいシクロアルキル基、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを表わす。
【0013】
本明細書中で用いる用語“アルコキシ”は、置換されていてもよい直鎖または分枝鎖アルキルオキシ基を表わし、その際、“アルキル”部分は上記に定義したものである;たとえば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、tert.−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ;それらの異性体を含む。
【0014】
本明細書中で用いる用語“アルコキシアルキル”は、上記に定義したアルコキシ基が上記に定義したアルキル基に結合したものを表わす。例は、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロピルオキシプロピル、メトキシブチル、エトキシブチル、プロピルオキシブチル、ブチルオキシブチル、tert.−ブチルオキシブチル、メトキシペンチル、エトキシペンチル、プロピルオキシペンチルであり、それらの異性体を含む。
【0015】
本明細書中で用いる用語“アルケニル”は、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子をもち、1または2つのオレフィン性二重結合、好ましくは1つのオレフィン性二重結合をもつ、置換されていないかまたは置換された炭化水素鎖ラジカルを表わす。例は、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)または2−ブテニル(オクチル)である。
【0016】
本明細書中で用いる用語“アルキニル”は、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子をもち、1つまたは可能な場合には2つの三重結合、好ましくは1つの三重結合をもつ、置換されていないかまたは置換された炭化水素鎖ラジカルを表わす。例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニルまたは3−ブチニルである。
【0017】
本明細書中で用いる用語“ヒドロキシアルキル”は、上記に定義した直鎖または分枝鎖アルキル基において1、2、3個またはそれ以上の水素原子がヒドロキシ基により置換されたものを表わす。例は、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソプロピル、ヒドロキシブチルなどである。
【0018】
本明細書中で用いる用語“ハロアルキル”は、上記に定義した直鎖または分枝鎖アルキル基において1、2、3個またはそれ以上の水素原子がハロゲンにより置換されたものを表わす。例は、1−フルオロメチル、1−クロロメチル、1−ブロモメチル、1−ヨードメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−ヨードエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−ヨードエチル、2,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピルまたは2,2,2−トリフルオロエチルなどである。
【0019】
本明細書中で用いる用語“アルキルチオ”は、直鎖または分枝鎖(アルキル)S−基を表わし、その際、“アルキル”部分は上記に定義したものである。例は、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、i−ブチルチオまたはtert.−ブチルチオである。
【0020】
本明細書中で用いる用語“アリール”は、置換されていてもよいフェニルおよびナフチル(たとえば、1−ナフチル、2−ナフチルまたは3−ナフチル)を表わす。アリールについての適切な置換基はアルキルについて挙げたものから選択できるが、さらにハロゲン、ヒドロキシ、ならびに置換されていてもよいアルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールオキシが、この選択に追加できる置換基である。
【0021】
本明細書中で用いる用語“複素環”は、窒素、酸素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、置換されていてもよい飽和、部分不飽和または芳香族の単環式、二環式または三環式の複素環系を表わし、それらは、置換されていてもよい飽和、部分不飽和または芳香族の単環式炭素環または複素環に縮合していてもよい。
【0022】
適切な複素環の例は、オキソゾリル、イソオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、1,3−ジオキソラニル、ジヒドロピラニル、2−チエニル、3−チエニル、ピラジニル、イソチアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ピリミジニル、テトラゾリル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、ピロリジノニル、(N−オキシド)−ピリジニル、1−ピロリル、2−ピロリル、トリアゾリル、たとえば1,2,3−トリアゾリルまたは1,2,4−トリアゾリル、1−ピラゾリル、2−ピラゾリル、4−ピラゾリル、ピペリジニル、モルホリニル(たとえば、4−モルホリニル)、チオモルホリニル(たとえば、4−チオモルホリニル)、チアゾリル、ピリジニル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、チアジアゾリル、たとえば1,2,3−チアジアゾリル、4−メチルピペラジニル、4−ヒドロキシピペリジン−1−イルである。
【0023】
複素環についての適切な置換基はアルキルについて挙げたものから選択できるが、そのほか、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ基(=O)またはアミノスルホニルが、この選択に追加できる置換基である。
【0024】
本明細書中で用いる用語“アシル”(“アルキルカルボニル”)は、式C(=O)Rの基を表わし、式中のRは水素、置換されていないかまたは置換された、1〜7個の炭素原子を含む直鎖もしくは分枝鎖炭化水素残基またはフェニル基である。最も好ましくは、アシル基は、Rが水素、置換されていない、1〜4個の炭素原子を含む直鎖もしくは分枝鎖炭化水素残基またはフェニル基であるものである。
【0025】
用語ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素、臭素を表わす。
本出願全体において示す化合物の図式中で、太いテーパー付の線
【0026】
【化2】
【0027】
は不斉炭素が属する環の平面の上方にある置換基を示し、点線
【0028】
【化3】
【0029】
は不斉炭素が属する環の平面の下方にある置換基を示す。
式Iの化合物は立体異性を示す。これらの化合物は、式Iの化合物のいずれかの異性体またはこれらの異性体の混合物であってもよい。1個以上の不斉炭素原子をもつ本発明の化合物および中間体は、立体異性体のラセミ混合物として得られる場合があり、それらを分割することができる。
【0030】
式Iの化合物は互変異性を示す;これは、本発明の化合物が、容易に相互変換しうる2種類以上の化学物質として存在する可能性があることを意味する。多くの場合、それは単に水素原子が他の2つの原子間で交換されてそのいずれかに対して共有結合を形成することを意味する。互変異性化合物は互いに可動性平衡状態で存在し、したがって個別の物質を調製する試みにより、通常は結果的にそれらの成分の構造に基づいて予想されるすべての化学的および物理的特性を示す混合物が形成される。
【0031】
最も一般的なタイプの互変異性は、カルボニルまたはケト化合物と、不飽和ヒドロキシル化合物、すなわちエノール類に関連するものである。この構造変化は炭素と酸素の原子間での水素原子の移動であり、結合の再配列を伴なう。たとえば、多くの脂肪族アルデヒド類およびケトン類、たとえばアセトアルデヒドでは、ケト形が優勢なものである;フェノール類では、エノール形が主成分である。
【0032】
塩基性である式Iの化合物は、無機酸、たとえばハロゲン化水素酸(たとえば、塩酸および臭化水素酸)、硫酸、硝酸およびリン酸などと、また有機酸と(たとえば、酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などと)、医薬的に許容できる塩類を形成することができる。そのような塩類の形成および単離は、当技術分野で既知の方法に従って実施できる。
【0033】
HCVの阻害薬
本出願は、式Iの化合物:
【0034】
【化4】
【0035】
[式中:
は、H、低級ハロアルキル、またはアリールであり、その際、アリールはフェニルまたはナフチルであり、1個以上の低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、ハロ、低級ハロアルキル、−N(R1a、アシルアミノ、−SON(R1a、−COR1b、−SO(R1c)、−NHSO(R1c)、ニトロまたはシアノで置換されていてもよい;
1aはそれぞれ、独立してHまたは低級アルキルである;
1bはそれぞれ、独立して−OR1aまたは−N(R1aである;
1cはそれぞれ、低級アルキルである;
2aおよびR2bは、(i)独立してH、低級アルキル、−(CHN(R1a、低級ヒドロキシアルキル、−CHSH、−(CH)S(O)Me、−(CHNHC(=NH)NH、(1H−インドール−3−イル)メチル、(1H−インドール−4−イル)メチル、−(CHC(=O)R1b、アリールおよびアリール低級アルキルであり、その際、アリールは1個以上のヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロまたはシアノで置換されていてもよい;(ii)R2aはHであり、R2bとRは一緒に(CHを形成している;(iii)R2aとR2bは一緒に(CHを形成している;あるいは(iv)R2aおよびR2bは両方とも低級アルキルである;
は、H、低級アルキル、低級ハロアルキル、フェニルまたはフェニル低級アルキルである;
は、H、低級アルキルであり、あるいはR2bとRは一緒に(CHを形成している;
は、H、C(=O)R1c、C(=O)R1b、P(=O)(OR)(OR1a)、またはP(=O)(OR)(NR)である;
は、H、メチル、またはハロである;
は、C(R2a2b)COORである;
mは、0〜3である;
nは、4または5である;
pは、0〜2である;
rは、1〜6である]
またはその医薬的に許容できる塩を提供する。
【0036】
本出願は、RがHである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、RがHまたはBrである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、RがHである、式Iの化合物を提供する。
【0037】
本出願は、RがBrである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、RがHであり、RがHまたはBrである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、RがHであり、RがBrである、式Iの化合物を提供する。
【0038】
本出願は、Rがナフチルまたはフェニルである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがフェニルである、式Iの化合物を提供する。
【0039】
本出願は、Rがフェニルであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがフェニルであり、RがHであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
【0040】
本出願は、Rがナフチルであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
【0041】
本出願は、Rがナフチルであり、Rがイソプロピルである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、Rがイソプロピルである、式Iの化合物を提供する。
【0042】
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、Rがイソプロピルである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、Rがイソプロピルである、式Iの化合物を提供する。
【0043】
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、R2bがメチルであり、Rがイソプロピルである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、RがHである、式Iの化合物を提供する。
【0044】
本出願は、Rがナフチルであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
【0045】
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
【0046】
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、R2bがメチルであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、R2bがメチルであり、Rがイソプロピルであり、RがHである、式Iの化合物を提供する。
【0047】
本出願は、RがC(=O)R1cである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、R2bがメチルであり、Rがイソプロピルであり、RがC(=O)R1cである、式Iの化合物を提供する。
【0048】
本出願は、R1cがエチルである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、R2bがメチルであり、Rがイソプロピルであり、RがC(=O)CHCHである、式Iの化合物を提供する。
【0049】
本出願は、RがP(=O)(OR)(NR)である、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、R2bがメチルであり、Rがイソプロピルであり、RがP(=O)(OR)(NR)である、式Iの化合物を提供する。
【0050】
本出願は、Rがナフチルである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、R2bがメチルであり、Rがイソプロピルであり、RがP(=O)(OR)(NR)であり、Rがナフチルである、式Iの化合物を提供する。
【0051】
本出願は、RがHであり、RがCH(CH)C(=O)OCH(CHである、式Iの化合物を提供する。
本出願は、Rがナフチルであり、RがHであり、RがHであり、R2aがHであり、R2bがメチルであり、Rがイソプロピルであり、RがP(=O)(OR)(NR)であり、Rがナフチルであり、RがHであり、RがCH(CH)C(=O)OCH(CHである、式Iの化合物を提供する。
【0052】
本出願は、下記のものからなる群から選択される化合物を提供する。
【0053】
【表1-1】
【0054】
【表1-2】
【0055】
本出願は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を処置するための方法であって、その必要がある患者に療法有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
本出願は、さらに、免疫系調節薬もしくはHCVの複製を阻害する抗ウイルス薬またはその組合わせを投与することを含む、上記の方法を提供する。
【0056】
本出願は、免疫系調節薬がインターフェロンまたは化学的に誘導体化されたインターフェロンである、上記の方法を提供する。
本出願は、抗ウイルス薬が、HCVプロテアーゼ阻害薬、HCVポリメラーゼ阻害薬、HCVヘリカーゼ阻害薬、HCVプライマーゼ阻害薬、HCV融合阻害薬、およびその組合わせからなる群から選択される、上記の方法を提供する。
【0057】
本出願は、式Iの化合物を投与することを含む、細胞におけるHCV複製を阻害するための方法を提供する。
本出願は、式Iの化合物および医薬的に許容できる賦形剤を含む、組成物を提供する。
【0058】
本出願は、HCVの処置のための医薬の調製における、式Iの化合物の使用を提供する。
本出願は、本明細書に記載する化合物、組成物、または方法を提供する。
【0059】
化合物
本発明に包含され、本発明の範囲内にある、代表的化合物の例を次表に示す。これらの例および後記の製造は、当業者が本発明をより明瞭に理解しかつ実施できるようにするために提供される。それらは本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、本発明の説明および代表例であるにすぎない。
【0060】
一般に、本出願に用いる命名法は、IUPAC系統的命名の作製のためのAUTONOMTM v.4.0,Beilstein Instituteコンピューター化システムに基づく。記載した構造とその構造に与えられた名称との間に不一致があれば、記載した構造をより重視すべきである。さらに、ある構造またはある構造の部分の立体化学的特性がたとえば太字または点線で指示されていない場合、その構造または部分はそれのすべての立体異性体を包含すると解釈すべきである。
【0061】
表Iは、一般式Iに従った化合物の例を示す。
【0062】
【表2-1】
【0063】
【表2-2】
【0064】
【表2-3】
【0065】
【表2-4】
【0066】
合成
一般的スキーム
前記に述べた方法を以下にさらに詳細に記載する:
出発物質1は、Sofia, M. J. et al, J. Med. Chem. (2010), 53(19),7202-7218およびClark, J. L. et al, J. Med. Chem. (2005), 48(17),5504-5508により記載された方法に従って製造できる。ヨウ素化に続いて塩基性条件下でヨージドを離脱させると、中間体3にすることができ、それの3’−ヒドロキシをベンゾイル基で保護して、中間体4にする。中間体4から5へ変換する立体特異的反応は重要な工程である。4’α位にフルオリドを導入する類似の変換が、先にAjmera, S. et al, J. Med. Chem. (1988), 31(6),1094-1098およびMoffatt, J.G. et al, J. Am. Chem. Soc. (1971), 93(17), 4323-4324により記載されている。5’ヨージドを安息香酸ナトリウムで排除すると、中間体6が得られる。最後に、中間体6の3’、5’のベンゾイル基を脱保護すると、ヌクレオシド中間体7が得られる(スキーム1)。
【0067】
以下の一般的スキームにおいて、Rは、H、低級ハロアルキル、またはアリールであることができ、その際、アリールはフェニルまたはナフチルであることができ、1個以上の低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、ハロ、低級ハロアルキル、−N(R1a、アシルアミノ、−SON(R1a、−COR1b、−SO(R1c)、−NHSO(R1c)、ニトロまたはシアノで置換されていてもよい;R1aはそれぞれ、独立してHまたは低級アルキルであることができる;R1bはそれぞれ、独立して−OR1aまたは−N(R1aであることができる;R1cはそれぞれ、低級アルキルであることができる;R2aおよびR2bは、(i)独立してH、低級アルキル、−(CHN(R1a、低級ヒドロキシアルキル、−CHSH、−(CH)S(O)Me、−(CHNHC(=NH)NH、(1H−インドール−3−イル)メチル、(1H−インドール−4−イル)メチル、−(CHC(=O)R1b、アリールおよびアリール低級アルキルであり、その際、アリールは1個以上のヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロまたはシアノで置換されていてもよい;(ii)R2aはHであることができ、R2bとRは一緒に(CHを形成している;(iii)R2aとR2bは一緒に(CHを形成している;あるいは(iv)R2aおよびR2bは両方とも低級アルキルである;Rは、H、低級アルキル、低級ハロアルキル、フェニルまたはフェニル低級アルキルであることができる;Rは、H、低級アルキルであることができ、あるいはR2bとRは一緒に(CHを形成している;Rは、H、C(=O)R1c、C(=O)R1b、P(=O)(OR)(OR1a)、またはP(=O)(OR)(NR)であることができる;Rは、H、メチル、またはハロであることができる;Rは、C(R2a2b)COORであることができる;mは、0〜3であることができる;nは、4または5であることができる;pは、0〜2であることができる;rは、1〜6であることができる。
【0068】
【化5】
【0069】
ヌクレオシド7は、適宜な条件下でNCS、NBS、またはNISと反応させることによって、容易に5’−ハロゲン中間体8に変換することもできる(スキーム2)。
【0070】
【化6】
【0071】
本発明のホスホルアミデート化合物は、ヌクレオシド7または8を、適切に置換されたホスホクロリデート化合物11と、強塩基の存在下で縮合させることによって製造できる(スキーム3)。この縮合は、保護されていないヌクレオシド7または8について実施できる。式Iのカップリング生成物12をさらに誘導体化して生成物13にすることができる。式の化合物12または13の両方が、最初にカップリング反応下で2つのジアステレオマーの混合物として得られ、それらをキラルカラム、キラルHPLC、またはキラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、それらの対応するキラル鏡像異性体にすることができる。
【0072】
【化7】
【0073】
投与量および投与
前記の表に示すような式Iの化合物はヒトのHCV感染症を処置するための抗ウイルス薬として有効な効力をもち、あるいは代謝されてそのような活性を示す化合物になる。
【0074】
本発明の他の態様において、この有効化合物またはそれの誘導体もしくは塩を、他の抗ウイルス薬、たとえば抗肝炎薬(式Iの化合物を含む)との組合わせで投与することができる。この有効化合物またはそれの誘導体もしくは塩を他の抗ウイルス薬との組合わせで投与する場合、活性は親化合物より増大する可能性がある。これは、本明細書に記載する方法に従って誘導体を製造し、それの抗HCV活性を試験することによって容易に評価できる。
【0075】
有効化合物の投与は、連続的(静脈内点滴)から1日数回(たとえば、1日4回)の経口投与まで及ぶことができ、これには他の投与経路のうち特に、経口、局所 非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(透過促進剤を含有してもよい)、舌下および坐剤投与を含めることができる。
【0076】
前記の4’−F置換されたヌクレオシド誘導体およびそれらの医薬的に使用できる塩類を、いずれかの医薬配合物の形で医薬として使用できる。医薬配合物を経腸投与することができる;経口的に、たとえば錠剤、コーティング錠、糖衣丸、硬および軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、シロップ剤または懸濁液剤の形で、あるいはたとえば坐剤の形で直腸に。それらを、たとえば注射液剤の形で非経口的に(筋肉内、静脈内、皮下、または胸骨内への注射もしくは注入法)、たとえば鼻スプレー剤の形で鼻内に、または吸入スプレー剤として、局所的に、などの形で投与することもできる。
【0077】
医薬製剤の調製のために、前記の4’−置換ヌクレオシド誘導体およびそれらの医薬的に使用できる塩類に、錠剤、コーティング錠、糖衣丸、硬および軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤または懸濁液剤の調製のための療法不活性な無機または有機賦形剤を配合することができる。
【0078】
式Iの化合物を、医薬的に許容できるキャリヤーとの混合物として配合することができる。たとえば、本発明の化合物を薬理学的に許容できる塩類として経口投与できる。本発明の化合物は大部分が水溶性であるので、それらを生理的食塩水(たとえば、約7.2〜7.5のpHに緩衝化したもの)中で静脈内投与することができる。一般的な緩衝剤、たとえばリン酸塩、炭酸水素塩またはクエン酸塩をこの目的に使用できる。もちろん、当業者は本明細書の教示内で配合物を改変して、本発明の組成物を使用不可能にすることなく、あるいはそれらの療法有効性を損なうことなく、特定の投与経路のための多数の配合物を得ることができる。特に、たとえば本発明の化合物を水または他のビヒクルにさらに可溶性にするための改変は、わずかな改変(塩の配合、エステル化など)によって容易に達成でき、それらは当業者が容易になしうる範囲内にある。患者における最大の有益な効果を目的として本発明化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与経路および投与計画を改変することも当業者が容易になしうる範囲内にある。
【0079】
非経口配合物について、キャリヤーは通常は無菌の水または塩化ナトリウム水溶液を含むであろうが、分散を補助するものを含めた他の成分が含まれてもよい。もちろん、無菌水を使用しかつ無菌状態を維持する場合、組成物およびキャリヤーも殺菌しなければならない。注射用懸濁液剤も調製でき、その場合、適宜な液体キャリヤー、懸濁化剤などを使用できる。
【0080】
錠剤、コーティング錠、糖衣丸、および硬ゼラチンカプセル剤に適した賦形剤は、たとえば乳糖、トウモロコシデンプンおよびその誘導体、タルク、ならびにステアリン酸またはそれの塩類である。
【0081】
所望により、錠剤またはカプセル剤を標準法により腸溶コーティングするか、あるいは持続放出させることができる。
軟ゼラチンカプセル剤に適した賦形剤は、たとえば植物油、ろう、脂肪、半固体状および液状のポリオール類である。
【0082】
注射液剤に適した賦形剤は、たとえば水、塩類溶液、アルコール類、ポリオール類、グリセリンまたは植物油である。
坐剤に適した賦形剤は、たとえば天然油および硬化油、ろう、脂肪、半液体状または液状のポリオール類である。
【0083】
経腸用の液剤およびシロップ剤に適した賦形剤は、たとえば水、ポリオール類、ショ糖、転化糖およびグルコースである。
本発明の医薬製剤は、持続放出配合物または他の適宜な配合物として提供することもできる。
【0084】
医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、矯味矯臭剤、浸透圧調整用の塩類、緩衝剤、マスキング剤または抗酸化剤を含有することもできる。
【0085】
医薬製剤は、当技術分野で知られている他の療法有効薬剤を含有することもできる。
投与量は広範に変更でき、もちろん特定の各症例における個々の要件に合わせて調整されるであろう。経口投与については、1日当たり約0.01〜約100mg/体重kgの日用量が単剤療法および/または併用療法に適切なはずである。好ましい日用量は、1日当たり約0.1〜約500mg/体重kg、より好ましくは0.1〜約100mg/体重kg、最も好ましくは1.0〜約100mg/体重である。一般的な製剤は、約5%から約95%までの有効化合物(w/w)を含有するであろう。日用量を1回量として、または分割量で、一般に1日1〜5回で投与することができる。
【0086】
特定の医薬剤形においては、特にアシル化(アセチル化その他)誘導体、ピリジンエステルおよび多様な塩形態の本発明化合物を含めた、プロドラッグ形態の化合物が好ましい。ホスト生物または患者における標的部位への有効化合物の送達を促進するために本発明化合物を容易に修飾してプロドラッグ形態にする方法は、当業者が認識しているであろう。当業者は、本発明化合物をホスト生物または患者における標的部位へ送達する際に、適用できる場合には、化合物の意図する効果を最大にするためにプロドラッグ形態の好ましい薬物動態パラメーターも利用するであろう。
【0087】
適応症および処置方法
本発明の化合物およびそれらの異性体形態ならびにその医薬的に許容できる塩類は、HCV感染症を治療および予防するのに有用である。
【0088】
本出願は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を処置するための方法であって、その必要がある患者に療法有効量の式Iのいずれかの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0089】
本出願は、式Iのいずれかの化合物を投与することを含む、細胞においてHCV複製を阻害するための方法を提供する。
併用療法
本発明の化合物およびそれらの異性体形態ならびにその医薬的に許容できる塩類は、単独で、またはHCVライフサイクルに関与するウイルス性もしくは細胞性のエレメントもしくは機能をターゲティングする他の化合物との組合わせで用いた場合、HCV感染症を治療および予防するのに有用である。本発明に有用なクラスの化合物には、限定ではなくすべてのクラスのHCV抗ウイルス薬が含まれる。
【0090】
併用療法について、本発明の化合物と組み合わせた際に有用な可能性があるメカニスティックなクラスの薬剤には、たとえば下記のものが含まれる:ヌクレオシドおよび非ヌクレオシド系のHCVポリメラーゼ阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、ヘリカーゼ阻害薬、NS4B阻害薬、ならびに内部リボソーム侵入部位(internal ribosomal entry site)(IRES)を機能的に阻害する医薬、およびHCVの細胞付着またはウイルス侵入、HCV RNAの翻訳、HCV RNAの転写、複製、またはHCV成熟、アセンブリーもしくはウイルス放出を阻害する他の医薬。本発明に有用なこれらのクラスの具体的化合物には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:大環状、複素環式および線状のHCVプロテアーゼ阻害薬、たとえばテラプレビル(telaprevir)(VX−950)、ボセプレビル(boceprevir)(SCH−503034)、ナルラプレビル(narlaprevir)(SCH−9005 18)、ITMN− 191(R−7227)、TMC−435350(別名TMC−435としても知られる)、MK−7009、BI−201335、BI−2061(シルプレビル(ciluprevir))、BMS−650032、ACH−1625、ACH−1095(HCV NS4A プロテアーゼ補因子阻害薬)、VX−500、VX−8 13、PHX−1766、PHX2054、IDX−136、IDX−3 16、ABT−450 EP−0 13420(および同類のもの)およびVBY−376;本発明に有用なヌクレオシド系のHCVポリメラーゼ(レプリカーゼ)阻害薬には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:R7128、PSI−785 1、IDX−184、IDX−102、R1479、UNX−08 189、PSI−6130、PSI−938およびPSI−879、ならびに他のヌクレオシドアナログおよびヌクレオチドアナログ、ならびに2’−C−メチル修飾ヌクレオシ(チ)ド、4’−アザ修飾ヌクレオシ(チ)ド、および7’−デアザ修飾ヌクレオシ(チ)ドとして誘導されたものを含めた(ただし、これらに限定されない)HCV阻害薬。本発明に有用な非ヌクレオシド系のHCVポリメラーゼ(レプリカーゼ)阻害薬には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:HCV−796、HCV−371、VCH−759、VCH−916、VCH−222、ANA−598、MK−3281、ABT−333、ABT−072、PF−00868554、BI−207127、GS−9190、A−837093、JKT−109、GL−59728およびGL−60667。
【0091】
さらに、本発明の化合物は下記のものと併用できる:シクロフィリンおよびイムノフィリンのアンタゴニスト(たとえば、限定ではなく、DEBIO化合物、NM−811、ならびにサイクロスポリンおよびそれの誘導体)、キナーゼ阻害薬、熱ショックタンパク質の阻害薬(たとえば、HSP90およびHSP70)、他の免疫調節薬:これには限定ではなく、インターフェロン類(−アルファ、−ベータ、−オメガ、−ガンマ、−ラムダまたは合成のもの)、たとえばIntron A、Roferon−A、Canferon−A300、Advaferon、Infergen、Humoferon、Sumiferon MP、Alfaferone、IFN−β、Feronなどを含めることができる;ポリエチレングリコール誘導体化(peg化)インターフェロン化合物、たとえばPEGインターフェロン−α−2a(Pegasys)、PEGインターフェロン−α−2b(PEGIntron)、peg化IFN−α−con1など;インターフェロン化合物の長時間作用型配合物および誘導体、たとえばアルブミン融合インターフェロン、Albuferon、Locteronなど;種々のタイプの制御送達システムを含むインターフェロン類(たとえば、ITCA−638、DUROS皮下送達システムにより送達されるオメガ−インターフェロン);細胞におけるインターフェロンの合成を刺激する化合物、たとえばレシキモド(resiquimod)など;インターロイキン類;1型ヘルパーT細胞応答の発現を増強する化合物、たとえばSCV−07など;TOLL−様受容体アゴニスト、たとえばCpG−10101(アクチロン(actilon))、イソトラビン(isotorabine)、ANA773など;チモシン(thymosin)α−1;ANA−245およびANA−246;ヒスタミン二塩酸塩;プロパゲルマニウム(propagermanium);テトラクロロデカオキシド(tetrachlorodecaoxide);アンプリゲン(ampligen);IMP−321;KRN−7000;抗体、たとえばシバシル(civacir)、XTL−6865など、ならびに予防および治療ワクチン、たとえばInnoVac C、HCV E1E2/MF59など。さらに、NS5A阻害薬、I型インターフェロン受容体アゴニスト(たとえば、IFN−α)およびII型インターフェロン受容体アゴニスト(たとえば、IFN−γ)の投与を伴なう前記方法はいずれも、有効量のTNF−αアンタゴニストの投与により補助できる。そのような併用療法に使用するのに適した代表的な、限定ではないTNF−αアンタゴニストには、ENBREL、REMICADE、およびHUMIRAが含まれる。
【0092】
さらに、本発明の化合物は、HCV感染症の処置に有効であると考えられる抗原虫薬および他の抗ウイルス薬、たとえば限定ではなく、プロドラッグであるニタゾキサニド(nitazoxanide)と併用できる。ニタゾキサニドは、本発明において開示する化合物との組合わせで、またHCV感染症を処置するのに有用な他の薬剤、たとえばpegインターフェロンα−2aおよびリバビリンとの組合わせで、薬剤として使用できる。
【0093】
本発明の化合物は、別形態のインターフェロン類およびpeg化インターフェロン類、リバビリンまたはそれのアナログ(たとえば、タラババリン(tarabavarin)、レボビロン(levoviron))、マイクロRNA、siRNA(small interfering RNA)化合物(たとえば、SIRPLEX−140−Nなど)、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ、免疫グロブリン、肝臓保護因子(hepatoprotectant)、抗炎症薬、および他のNS5A阻害薬と共に使用することもできる。HCVライフサイクルにおける他の標的の阻害薬には、下記のものが含まれる:NS3ヘリカーゼ阻害薬;NS4A補因子阻害薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害薬、たとえばISIS−14803、AVI−4065など;ベクターエンコードされたショートヘアピンRNA(short hairpin RNA)(shRNA);HCV特異的リボザイム、たとえばヘプタザイム(heptazyme)、RPI、13919など;侵入阻害薬、たとえばHepeX−C、HuMax−HepCなど;アルファグルコシダーゼ阻害薬、たとえばセルゴシビル(celgosivir)、UT−231Bなど;KPE−02003002およびBIVN 401およびIMPDH阻害薬。他の具体的なHCV阻害化合物には、下記の公報に開示されるものが含まれる:U.S. Pat. Nos. 5,807,876; 6,498,178; 6,344,465;および6,054,472; PCT Patent Application Publication Nos. WO97/40028; WO98/40381; WO00/56331, WO02/04425; WO03/007945; WO03/010141; WO03/000254; WO01/32153; WO00/06529; WO00/18231; WO00/10573; WO00/13708; WO01/85172; WO03/037893; WO03/037894; WO03/037895; WO02/100851; WO02/100846; WO99/01582; WO00/09543; WO02/18369; WO98/17679, WO00/056331; WO98/22496; WO99/07734; WO05/073216, WO05/073195およびWO08/021927。
【0094】
さらに、たとえばリバビリンとインターフェロンの組合わせを、少なくとも1種類の本発明化合物との多重併用療法として投与することができる。本発明は、前記のクラスまたは化合物に限定されず、既知および新規化合物、ならびに生物活性薬剤の組合わせを考慮に入れる。本発明の併用療法には、本発明グループと、本発明グループの他の化合物または本発明グループ以外の化合物との、化学的に適合するいずれかの組合わせが含まれるものとする;ただし、その組合わせが本発明グループの化合物の抗ウイルス活性または医薬組成物自体の抗ウイルス活性を排除しない限りにおいてである。
【0095】
併用療法は、逐次、すなわちまず1種類の薬剤、次いで第2薬剤による処置であってもよい(たとえば、各処置が異なる本発明化合物を含む場合、または1つの処置が本発明の化合物を含み、他の処置が1種類以上の生物活性薬剤を含む場合);あるいは、それは両薬剤による同一時点での処置であってもよい(同時)。逐次療法は、第1療法の終了後、第2療法を開始する前に、妥当な時間を含むことができる。両薬剤による同時処置は、同一の日用量または個別の用量であってよい。併用療法を2種類の薬剤に限定する必要はなく、3種類以上の薬剤を含むことができる。同時および逐次併用療法の投与量は共に、併用療法の成分の吸収、分布、代謝および排出の速度、ならびに当業者に知られている他の要因に依存するであろう。投与量の値は、改善すべき状態の重症度によっても変動するであろう。さらに、個々のいずれの対象についても、その個体のニーズおよびその併用療法を投与するかまたは投与を監視する当業者の判断に従って、具体的な投与計画およびスケジュールを経時的に調整できることを理解すべきである。
【0096】
本出願は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を処置するための方法であって、その必要がある患者に療法有効量の式Iのいずれかの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0097】
本出願は、さらに、免疫系調節薬もしくはHCVの複製を阻害する抗ウイルス薬またはその組合わせを投与することを含む、上記の方法を提供する。
本出願は、免疫系調節薬がインターフェロンまたは化学的に誘導体化されたインターフェロンである、上記の方法を提供する。
【0098】
本出願は、抗ウイルス薬が、HCVプロテアーゼ阻害薬、HCVポリメラーゼ阻害薬、HCVヘリカーゼ阻害薬、HCVプライマーゼ阻害薬、HCV融合阻害薬、およびその組合わせからなる群から選択される、上記の方法を提供する。
【実施例】
【0099】
本出願において用いる略号には下記のものが含まれる:アセチル(Ac)、酢酸(HOAc)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、大気(Atm)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBNまたはBBN)、メチル(Me)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、アセトニトリル(MeCN)、ジ−tert−ブチルピロカーボネートまたは無水boc(BOCO)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、ブチル(Bu)、メタノール(MeOH)、ベンジルオキシカルボニル(cbzまたはZ)、融点(mp)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、MeSO−(メシルまたはMs)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、質量スペクトル(ms) ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)、メチル t−ブチルエーテル(MTBE)、ジベンジリデンアセトン(Dba)、N−カルボキシアンヒドリド(NCA)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、クロロギ酸ピリジニウム(PCC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、重クロム酸ピリジニウム(PDC)、ジクロロメタン(DCM)、プロピル(Pr)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、フェニル(Ph)、アゾジカルボン酸ジ−イソ−プロピル,DIAD、ポンド/平方インチ(psi)、ジ−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン(pyr)、水素化ジ−イソ−ブチルアルミニウム,DIBAL−H、室温,rtまたはRT、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、tert−ブチルジメチルシリルまたはt−BuMeSi(TBDMS)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン(EtNまたはTEA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トリフレートまたはCFSO−(Tf)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、酢酸エチル(EtOAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(EtO)、トリメチルシリルまたはMeSi(TMS)、エチル(Et)、p−トルエンスルホン酸・1水和物(TsOHまたはpTsOH)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、4−Me−CSO−またはトシル(Ts)、イソ−プロピル(i−Pr)、N−ウレタン−N−カルボキシアンヒドリド(UNCA),エタノール(EtOH)。接頭辞ノルマル(n)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)およびネオ(neo)を含む一般的な命名法は、アルキル部分と共に用いられる場合、それらの慣用される意味をもつ。(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford.)。
【0100】
一般的条件
本発明の化合物は、以下の実施例のセクションに記載する具体的な合成反応に示す多様な方法により製造できる。
【0101】
これらの化合物を製造する際に用いる出発物質および試薬は、一般にAldrich Chemical Co.などの業者から入手できるか、あるいは当業者に既知の方法により、たとえば下記の参考文献に述べられた方法に従って製造される:Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals; およびOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40。実施例のセクションに示す合成反応スキームはそれにより本発明の化合物を合成できる若干の方法の説明にすぎず、これらの合成反応スキームに対する多様な改変が実施可能であり、本明細書に含まれる開示内容を参照した当業者に示唆されることを認識すべきである。
【0102】
合成反応スキームの出発物質および中間体は所望により一般法を用いて単離および精製することができ、それには濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどが含まれるが、これらに限定されない。そのような物質は、物理定数およびスペクトルデータを含む一般的手段で特性分析することができる。
【0103】
そうではないと明記しない限り、本明細書に記載する反応は一般に不活性雰囲気下に大気圧で、約−78℃から約150℃まで、多くの場合に約0℃から約125℃までの反応温度範囲、より多くの場合かつ好都合にはほぼ室温(または周囲温度)、たとえば約20℃において実施される。
【0104】
本発明化合物上の多様な置換基は、出発物質に存在するか、既知の置換反応または変換反応によりいずれかの中間体に付加するか、あるいは最終生成物の形成後に付加することができる。置換基自体が反応性であれば、それらの置換基自体を当技術分野で既知の手法に従って保護することができる。多様な保護基が当技術分野で知られており、それらを使用できる。可能な多数の基の例が“Protective Groups in Organic Synthesis” by Green et al., John Wiley and Sons, 1999中にある。たとえば、ニトロ基をニトロ化により付加し、このニトロ基を他の基に変換できる;たとえば還元によりアミノに変換し、このアミノ基をジアゾ化し、このジアゾ基をハロゲンで置き換えることによりハロゲンに変換できる。アシル基は、フリーデル−クラフツ(Frieder-Crafts)アシル化により付加できる。このアシル基を次いで多様な方法で対応するアルキル基に変換でき、これにはウォルフ−キシュナー(Wolff-Kishner)還元およびクレメンソン(Clemmenson)還元が含まれる。アミノ基をアルキル化して、モノ−およびジ−アルキルアミノ基を形成できる;メルカプトおよびヒドロキシ基をアルキル化して、対応するエーテル類を形成できる。第一級アルコールを当技術分野で既知の酸化剤で酸化してカルボン酸またはアルデヒド類を形成でき、第二級アルコールを酸化してケトン類を形成できる。このように、置換または変換反応を利用して、出発物質、中間体、または最終生成物(単離した生成物を含む)の分子全体に多様な置換基を付与することができる。
【0105】
製造例
製造例1.
中間体キラル1−((2R,3R,4R,5S)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヨードメチル)−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの製造
【0106】
【化8】
【0107】
キラル1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(6.14g,23.6mmol)、PPh(9g,34.4mmol)、イミダゾール(2.4g,34.4mmol)および乾燥THF(100mL)を、3口フラスコボトル(500mL)に添加し、混合物を20℃で窒素雰囲気下に20分間撹拌した。次いで、乾燥THF(100mL)に溶解したI(6.6g,26mmol)を、混合物に20℃で30分間に滴加し、添加した後、混合物全体を20℃で窒素雰囲気下に18時間撹拌した。TLCは出発物質が消費されたことを示し、次いで水(50mL)をそれに添加し、混合物をEA(150mL×3)により抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を減圧により除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(DCM:MeOH=100:1−50:1)により精製して、表題化合物を白色固体(8.2g,94%)として得た;
LC-MS (M+H) +=371.0。
【0108】
製造例2.
中間体キラル1−((2R,3R,4R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−メチレン−テトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの製造
【0109】
【化9】
【0110】
キラル1−((2R,3R,4R,5S)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヨードメチル)−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(8.2g,22mmol)をMeOH(100mL)に溶解し、NaOMe(3.73g,69mmol)をそれに窒素雰囲気下で添加し、添加した後、混合物を65℃に加熱し、窒素雰囲気下で14時間撹拌した;TLCは出発物質が消費されたことを示し、次いで混合物を室温に冷却し、IR−120(H)イオン交換樹脂をそれに添加してpHを8に調整し、濾過し、溶媒を減圧により除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(DCM:MeOH=15:1)により精製して、表題化合物を白色固体(3.3g,59%)として得た;
LC-MS (M+H)+=243.1。
【0111】
製造例3.
中間体キラル安息香酸(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−フルオロ−4−メチル−2−メチレン−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステルの製造
【0112】
【化10】
【0113】
キラル1−((2R,3R,4R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−メチレン−テトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(18.3g,75.6mmol)およびDMAP(27.7g,227mmol)の、無水THF(900mL)中における混合物に、0℃でBzCl(15.9g,113.4mmol)を滴加した。反応混合物を0℃で0.5時間撹拌し、次いで飽和NaHCOを添加して反応を停止した。混合物をEA(300mL×3)で抽出した。有機抽出液を合わせてHO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(DCM:MeOH=160:1−120:1)により精製して、表題化合物を白色固体(17g,65%)として得た;
LC-MS (M+H)+=347.1。
【0114】
製造例4.
中間体キラル(2R,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−2,4−ジフルオル−O−2−(ヨードメチル)−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イル ベンゾエートの製造
【0115】
【化11】
【0116】
キラル安息香酸(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−フルオロ−4−メチル−2−メチレン−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(17g,49mmol)およびAgF(31g,245mmol)の、無水THF(600mL)中における混合物に、0℃でI(24.8g,98mmol)のTHF溶液(600mL)を滴加した。添加が完了した後、反応混合物を室温にまで高め、3時間撹拌した。TLC分析は出発物質が完全に消費されて目的生成物が形成されたことを示した。NaS水溶液(5%,300mL)により反応を停止した。混合物をEA(350mL×3)により抽出した。有機抽出液を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(DCM:MeOH=120:1)により精製して、表題化合物を白色固体(11g,45%)として得た;
LC-MS (M+H)+=493.0。
【0117】
製造例5.
中間体キラル(2R,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−2,4−ジフルオル−O−2−ベンゾイルメチル−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イル ベンゾエートの製造
【0118】
【化12】
【0119】
キラル(2R,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−2,4−ジフルオル−O−2−(ヨードメチル)−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イル ベンゾエート(0.56g,1.15mmol)、安息香酸ナトリウム(0.825g,5.73mmol)および18−クラウン−6(0.03g,0.115mmol)をDMSO(20mL)に懸濁し、この溶液を100℃に加熱し、窒素雰囲気下で18時間撹拌し、次いで室温に冷却し、水(30mL)をそれに添加し、混合物をEA(30mL×3)により抽出し、有機層をHO、ブラインおよびHOで洗浄し、溶媒を減圧により除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:2)により精製して、表題化合物を無色の油(0.34g,61%)として得た;
LC-MS (M+Na)+=509.1。
【0120】
製造例6.
中間体1−((2R,3R,4S,5S)−3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの製造
【0121】
【化13】
【0122】
キラル(2R,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−2,4−ジフルオル−O−2−ベンゾイルメチル−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イル ベンゾエート(0.34g,0.7mmol)をメタノールに溶解し、メタノール中のアンモニア溶液(7N,20mL)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。混合物を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)および分取HPLCにより精製して、表題化合物を白色固体(0.074g,38%)として得た;
LC-MS (M+H)+=279.1; 1H NMR (300MHz, DMSO-d6) δ 11.575 (s, 1 H), 7.666-7.639 (d, 1 H, J=8.1 Hz), 6.324-6.266 (d, 1 H, J=17.4 Hz), 6.056-6.037 (d, 1 H, J=5.7 Hz), 5.821 (brs, 1 H), 5.713-5.686 (d, 1H, J=8.1 Hz), 4.057-4.023 (m, 1H), 3.636 (s, 2 H), 1.313-1.238 (d, 3H, J=22.5 Hz)。
【0123】
製造例7.
中間体キラル5−ブロモ−1−((2R,3R,4S,5S)−3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオンの製造
【0124】
【化14】
【0125】
2mLのマイクロ波バイアル内で、キラル1−((2R,3R,4S,5S)−3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(70mg,0.252mmol)およびNBS(67.2mg,0.377mmol)を、DMF(0.7ml)に溶解した。混合物に蓋をし、マイクロ波照射下に80℃で10分間加熱した。LC/MS分析は出発物質が完全に消費されて目的生成物が唯一の主生成物として形成されたことを示した。溶媒を蒸発させ、残留物を2×4gのシリカゲルカートリッジにより、ヘキサン類中の0−70% EtOAcで溶離して精製して、表題化合物を白色固体(94mg,90%)として得た;
MS (M)+=358; 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ(ppm) 8.41 (s, 1H),6.40-6.35 (d, 1H),4.28- 4.18 (m, 1H), 3.80-3.76 (d,2H), 1.45-1.37(d, 3H)。
【0126】
実施例1.
(S)−2−{[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0127】
【化15】
【0128】
工程A.
(S)−イソプロピル 2−アミノプロパノエート塩酸塩(Oakwood,500mg,2.98mmol)およびフェニルホスホロジクロリデート(Aldrich,662mg,2.98mmol)を、無水DCM(25mL)に懸濁した。反応物を−78℃に冷却した。トリエチルアミン(604mg,830μl,5.97mmol)を滴加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで室温にまで高め、一夜撹拌した。溶媒を除去し、残留物を乾燥エーテルで洗浄した。濾液を濃縮すると粗製(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエートが淡黄色の油(0.8g,88%)として得られ、それをそれ以上精製せずに使用した。
【0129】
工程B.
製造例6で製造したキラル1−((2R,3R,4S,5S)−3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(42mg,151μmol)のTHF(8.00ml)中における溶液に、tert−ブチルマグネシウムクロリド(377μl,377μmol)のTHF溶液(Aldrich,1M)を滴加した。混合物を室温で15分間撹拌し、続いて(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(755μl,377μmol)のTHF溶液(0.5M)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、続いて,tert−ブチルマグネシウムクロリド(189μl,189μmol)のTHF溶液(Aldrich,1M)、および(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(378μl,189μmol)のTHF溶液(0.5M)を添加した。反応混合物を次いで室温で2時間撹拌した。メタノール(2mL)を添加して反応を停止した。混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,DCM中の0−15% MeOH)により精製し、真空乾燥して、表題化合物を淡黄色固体(18mg,22%)として得た;
LC-MS (M+H)+=548.1。
【0130】
実施例2.
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0131】
【化16】
【0132】
工程A.
ナフタレン−1−オール(Aldrich,1.5g,10.4mmol)およびオキシ塩化リン(V)(Aldrich,1.6g,0.97ml,10.4mmol)を無水エーテル(37.5mL)に懸濁し、温度を−78℃に低下させた。トリエチルアミン(1.05g,1.45ml,10.4mmol)を滴加し、反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温にまで高め、一夜撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮すると粗製のナフタレン−1−イル ホスホロジクロリデートが淡黄色の油(2g,74%)として得られ、それをそれ以上精製せずに次の工程に使用した。
【0133】
工程B.
(S)−イソプロピル 2−アミノプロパノエート塩酸塩(Oakwood,1.28g,7.64mmol)およびナフタレン−1−イル ホスホロジクロリデート(2g,7.66mmol)を、無水DCM(35mL)に懸濁した。反応物を−78℃に冷却した。トリエチルアミン(1.55g,2.13mL,15.3mmol)を滴加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで室温にまで高め、5時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物を乾燥エチルエーテルで洗浄し、濾過した。濾液を濃縮すると粗製の(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(ナフタレン−1−イルオキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエートが淡黄色の油(2.5g,92%)として得られ、それをそれ以上精製せずに使用した。
【0134】
工程C.
製造例6で製造したキラル1−((2R,3R,4S,5S)−3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(150mg,539μmol)の、THF(24ml)中における溶液に、tert−ブチルマグネシウムクロリド(1.35mL,1.35mmol)のTHF溶液(Aldrich,1M)を滴加した。混合物を室温で15分間撹拌し、続いて(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(ナフタレン−1−イルオキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(2.7mL,1.35mmol)のTHF溶液(0.5M)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いでさらにtert−ブチルマグネシウムクロリド(0.68mL,0.68mmol)のTHF溶液(Aldrich,1M)、および(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(ナフタレン−1−イルオキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(1.35mL,0.68mmol)のTHF溶液(0.5M)を添加した。反応混合物を、次いで室温で3時間撹拌した。メタノール(6mL)を添加して反応を停止した。混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,DCM中の0−15% MeOH)により精製し、真空乾燥して、表題化合物を白色固体(0.2g,62%)として得た;
LC-MS (M-H)+=596.0。
【0135】
実施例3.
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0136】
【化17】
【0137】
工程A.
ナフタレン−2−オール(Aldrich,2g,13.9mmol)およびオキシ塩化リン(V)(Aldrich,2.13g,1.29ml,13.9mmol)を、無水エーテル(50mL)に懸濁し、温度を−78℃に低下させた。トリエチルアミン(1.4g,1.93ml,13.9mmol)を滴加し、反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温にまで高め、一夜撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮すると粗製のナフタレン−2−イル ホスホロジクロリデートが淡黄色の油(2.5g,69%)として得られ、それをそれ以上精製せずに次の工程に使用した。
【0138】
工程B.
(S)−イソプロピル 2−アミノプロパノエート塩酸塩(Oakwood,500mg,2.98mmol)およびナフタレン−2−イル ホスホロジクロリデート(724mg,2.98mmol)を、無水DCM(25mL)に懸濁した。反応物を−78℃に冷却した。トリエチルアミン(604mg,830μl,5.97mmol)を滴加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで室温にまで高め、5時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物を乾燥エチルエーテルで洗浄し、濾過した。濾液を濃縮すると粗製の(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(ナフタレン−2−イルオキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエートが淡黄色の油(0.8g,75%)として得られ、それをそれ以上精製せずに使用した。
【0139】
工程C.
製造例6で製造したキラル1−((2R,3R,4S,5S)−3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(60mg,216μmol)の、THF(8ml)中における溶液に、tert−ブチルマグネシウムクロリド(539μl,539μmol)のTHF溶液(Aldrich,1M)を滴加した。混合物を室温で15分間撹拌し、続いて(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(ナフタレン−2−イルオキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(1.08mL,539μmol)のTHF溶液(0.5M)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いでさらにtert−ブチルマグネシウムクロリド(270μl,270μmol)のTHF溶液(Aldrich,1M)、および(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(ナフタレン−2−イルオキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(0.54mL,270μmol)のTHF溶液(0.5M)を添加した。反応混合物を、次いで室温で18時間撹拌した。メタノール(2mL)を添加して反応を停止した。混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,DCM中の1−18% MeOH)により精製し、真空乾燥して、表題化合物を白色固体(75mg,58%)として得た;
LC-MS (M-H)+=596.1。
【0140】
実施例4.
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−[((S)−1−イソプロポキシカルボニル−エチルアミノ)−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルオキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0141】
【化18】
【0142】
実施例3 工程Cの(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造について記載した方法で、(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−[((S)−1−イソプロポキシカルボニル−エチルアミノ)−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルオキシ]−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルが第2生成物として得られた:白色固体,8mg(4%);
LC-MS (M+H)+=917.2。
【0143】
実施例5.
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−4−メチル−3−プロピオニルオキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0144】
【化19】
【0145】
実施例2で製造した(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(86mg,144μmol)の、THF(10mL)中における溶液に、プロピオニルクロリド(66.6mg,720μmol)およびDMAP(87.9mg,720μmol)を添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水、ブラインで洗浄した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,40g,DCM中の0−15% MeOH)により精製して、表題化合物を白色固体(45mg,48%)として得た;
LC-MS (M-H)+=652.1。
【0146】
実施例6.
キラル(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0147】
【化20】
【0148】
実施例3で製造した(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(50mg)を、キラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、キラル(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(27mg,54%)として得た;
LC-MS (M-H)+=596.1。
【0149】
実施例7.
キラル(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0150】
【化21】
【0151】
実施例3で製造した(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(50mg)を、キラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、キラル(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(12mg,24%)として得た;
LC-MS (M-H)+=596.1。
【0152】
実施例8.
キラル(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0153】
【化22】
【0154】
実施例2で製造した(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(100mg)を、キラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、キラル(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(24mg,24%)として得た;
LC-MS (M-H)+=596.1。
【0155】
実施例9.
キラル(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0156】
【化23】
【0157】
実施例2で製造した(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(100mg)を、キラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、キラル(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(53mg,53%)として得た;
LC-MS (M-H)+=596.1。
【0158】
実施例10.
キラル(S)−2−{(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0159】
【化24】
【0160】
実施例1で製造した(S)−2−{[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステル(0.18g)を、キラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、キラル(S)−2−{(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(60mg,33%)として得た;
LC-MS (M+H)+=548.0。
【0161】
実施例11.
キラル(S)−2−{(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0162】
【化25】
【0163】
実施例1で製造した(S)−2−{[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステル(0.18g)を、キラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、キラル(S)−2−{(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(28mg,16%)として得た;
LC-MS (M+H)+=548.0。
【0164】
実施例12.
キラル(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0165】
【化26】
【0166】
工程A.
製造例7で製造したキラル5−ブロモ−1−((2R,3R,4S,5S)−3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(50mg,0.14mmol)の、THF(3ml)中における溶液に、0℃でtert−ブチルマグネシウムクロリド(0.35mL,0.35mmol)のTHF溶液(Aldrich,1M)を滴加した。混合物を0℃で15分間撹拌し、続いて実施例2 工程Bで製造した(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(ナフタレン−1−イルオキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(0.7mL,0.35mmol)のTHF溶液(0.5M)を添加した。反応混合物を室温にまで高め、2時間撹拌した。メタノール(2mL)を添加して反応を停止した。混合物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM中の5−10% MeOH)により精製して、(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(50mg,52%)として得た。
【0167】
工程B.
(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(50mg)をキラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、キラル(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(11mg,22%)として得た;
LC-MS (M)+=676.0。
【0168】
実施例13.
キラル(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0169】
【化27】
【0170】
実施例16で製造した(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(50mg)を、キラルSFCクロマトグラフィーにより分離して、キラル(S)−2−[(S)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルを白色固体(27mg,54%)として得た;
LC-MS (M)+=676.0。
【0171】
実施例14.
キラル(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0172】
【化28】
【0173】
実施例12 工程Bで(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(50mg)をキラルSFCクロマトグラフィーにより分離する際に、キラル(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−1−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルが第2生成物として得られた:白色固体(8mg,16%);
LC-MS (M)+=676.0。
【0174】
実施例15.
キラル(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0175】
【化29】
【0176】
実施例16で製造した(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステル(50mg)をキラルSFCクロマトグラフィーにより分離する際に、キラル(S)−2−[(R)−[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルが第2生成物として得られた:白色固体(16mg,32%);
LC-MS (M)+=675.9。
【0177】
実施例16.
キラル(S)−2−[[(2S,3S,4R,5R)−5−(5−ブロモ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−(ナフタレン−2−イルオキシ)−ホスホリルアミノ]−プロピオン酸イソプロピルエステルの製造
【0178】
【化30】
【0179】
製造例7で製造したキラル5−ブロモ−1−((2R,3R,4S,5S)−3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(92mg,0.26mmol)の、THF(3ml)中における溶液に、0℃でtert−ブチルマグネシウムクロリド(0.64mL,0.64mmol)のTHF溶液(Aldrich,1M)を滴加した。混合物を0℃で15分間撹拌し、続いて実施例3 工程Bで製造した(2S)−イソプロピル 2−(クロロ(ナフタレン−2−イルオキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(1.29mL,0.64mmol)のTHF溶液(0.5M)を滴加した。反応混合物を室温にまで高め、2時間撹拌した。メタノール(2mL)を添加して反応を停止した。混合物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM中の5−10% MeOH)により精製して、表題化合物を白色固体(56mg,32%)として得た;
LC-MS (M)+=676.0。
【0180】
生物学的実施例
HCVレプリコンアッセイ
このアッセイは、式Iの化合物がHCV RNA複製を阻害する能力、したがってHCV感染症の処置に対するそれらの潜在的有用性を測定する。このアッセイは、細胞内HCVレプリコンRNAレベルの簡単な読み出しとしてレポーターを利用する。レニラ(ウミシイタケ)ルシフェラーゼ(Renilla luciferase)遺伝子を、遺伝子型1bレプリコン構築体NK5.1(N. Krieger et al., J. Virol. 2001 75(10):4614)の第1オープンリーディングフレーム内に、内部リボソーム侵入部位(internal ribosomal entry site)(IRES)配列の直後に導入し、口蹄疫ウイルス由来の自己開裂ペプチド2Aを介してネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子と融合させた(M.D. Ryan & J. Drew, EMBO 1994 13(4):928-933)。インビトロ転写の後、そのRNAをヒトヘパトーマHuh7細胞内へエレクトロポレーションにより導入し、G418耐性コロニーを分離して増殖させた。安定選択した細胞系2209−23は、複製HCVサブゲノムRNAを含み、このレプリコンにより発現するレニラルシフェラーゼの活性は、細胞におけるそれのRNAレベルを反映する。化学物質の抗ウイルス活性および細胞毒性を並行して測定するためにアッセイを二重のプレート(1つは不透明白色、1つは透明)で実施して、観察された活性が細胞増殖低下によるものまたは細胞死によるものではないことを確認した。
【0181】
レニラルシフェラーゼレポーターを発現するHCVレプリコン細胞(2209−23)を、5%のウシ胎仔血清(FBS,Invitrogen カタログno.10082−147)を含むダルベッコのMEM(Dulbecco’s MEM)(Invitrogen カタログno.10569−010)で培養し、96ウェルプレートにウェル当たり細胞5000個で播種し、一夜インキュベートした。24時間後、増殖培地中における化学物質の種々の希釈液を細胞に添加し、それを次いで37℃で3日間、さらにインキュベートした。このインキュベーション期間が終了した時点で、白色プレートの細胞を収穫し、レニラルシフェラーゼアッセイシステム(Promega カタログno.E2820)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。以下の節に記載する試薬はすべて製造業者のキットに含まれ、試薬の調製については製造業者の指示に従った。細胞をウェル当たり100μLのリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.0)(PBS)で1回洗浄し、20μlの1×レニラルシフェラーゼアッセイ用溶解緩衝液で細胞溶解した後、室温で20分間インキュベートした。プレートを次いでCentro LB 960マイクロプレートルミノメーター(Berthold Technologies)に挿入し、100μlのレニラルシフェラーゼアッセイ緩衝液を各ウェルに注入し、2秒遅れ、2秒測定のプログラムを用いて信号を測定した。IC50、すなわち非処理細胞対照値と対比してレプリコンレベルを50%低下させるのに要する薬物濃度を、ルシフェラーゼ活性低下率パーセント−対−前記の薬物濃度のプロットから計算することができる。
【0182】
Roche Diagnostic(カタログno.1644807)からのWST−1試薬を細胞毒性アッセイに用いた。10μlのWST−1試薬を透明プレートの各ウェルに添加し、これにはブランクとして培地のみを入れたウェルも含まれていた。細胞を次いで37℃で2時間インキュベートし、MRX Revelationマイクロタイタープレートリーダー(Lab System)を用いて450nm(基準フィルターは650nm)でOD値を読み取った。この場合も、CC50、すなわち非処理細胞対照値と対比して細胞増殖を50%低下させるのに要する薬物濃度を、WST−1値低下率パーセント−対−前記の薬物濃度のプロットから計算することができる。
【0183】
代表的な生物学的データを下記の表IIに示す。
【0184】
【表3】
【0185】
本明細書中で処置という表記は予防および既存状態の治療にまで及ぶこと、また動物の処置にはヒトおよび他の哺乳動物の処置が含まれることは理解されるであろう。さらに、本明細書中で用いるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の処置には、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症に関連するかまたはそれにより媒介される疾患もしくは状態またはその臨床症状の治療または予防も含まれる。
【0186】
以上の明細書または以下の特許請求の範囲または添付の図面に開示される特徴であって、それらの具体的形態で表わされたもの、あるいは開示した機能を実施するための手段または開示した結果を達成するための方法もしくはプロセスにより表わされたものは、適宜、個別に、またはそのような特徴のいずれかの組合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用できる。
【0187】
以上の本発明は、明確さおよび理解を目的として説明および例によってある程度詳細に記載されている。特許請求の範囲内で変更および改変を実施できることは当業者には明らかであろう。したがって、以上の記載は説明のためのものであって、限定ではないことを理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、以上の記載を参照して判断すべきではなく、以下の特許請求の範囲、ならびにそのような特許請求の範囲が権利を付与される均等物の全範囲を参照にして判断すべきである。
【0188】
本出願に引用したすべての特許、特許出願および刊行物を、個々の特許、特許出願および刊行物が個別にそのように明記されたと同程度に、あらゆる目的で全体として本明細書に援用する。