(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982014
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】コンピューティングデバイスから文書にアクセスするためのユーザインターフェース
(51)【国際特許分類】
G06F 17/30 20060101AFI20160818BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
G06F17/30 310A
G06F17/30 170A
G06F17/30 413
G06F12/00 533J
【請求項の数】30
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-555735(P2014-555735)
(86)(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公表番号】特表2015-508920(P2015-508920A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】US2013024289
(87)【国際公開番号】WO2013116604
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年9月30日
(31)【優先権主張番号】13/366,071
(32)【優先日】2012年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(72)【発明者】
【氏名】シスラー パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ライオンズ デイヴィッド エイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダーエイケン ロイク イー
(72)【発明者】
【氏名】シュラム リンジー イー
(72)【発明者】
【氏名】アルーユ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】オザー アリ
(72)【発明者】
【氏名】バウマン ローラン
(72)【発明者】
【氏名】コディング ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】コフマン パトリック リー
(72)【発明者】
【氏名】ショマー トッド
【審査官】
吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−322135(JP,A)
【文献】
特表2009−501397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイス上に格納されたファイルへのアクセスを提供する方法であって、
前記コンピューティングデバイスによって、前記コンピューティングデバイスのメモリ内に複数の異なるアプリケーションプログラムにそれぞれ対応する複数の論理ファイル格納ユニットを設置することと、
前記コンピューティングデバイスによって、複数のファイルの各々が関連付けられた前記アプリケーションプログラムに対応する前記メモリの前記論理ファイル格納ユニット内に、複数のファイルのそれぞれを格納することと、
前記複数の論理ファイル格納ユニット内の前記複数のファイルをサーバと自動的に同期させることであって、
前記コンピューティングデバイスによって、前記複数のファイルを前記サーバにアップロードすること、
前記サーバによって、前記複数の異なるアプリケーションプログラムのうちの第1のアプリケーションプログラムが、前記サーバ以外の第2のコンピューティングデバイス上に搭載されていることを確認すること、及び
前記サーバによって、前記第2のコンピューティングデバイスが前記複数のファイルの部分集合が関連付けられる前記第1のアプリケーションプログラムを備えることの前記確認に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のファイルのうちの少なくとも前記部分集合を前記第2のコンピューティングデバイスに送信すること
を含む同期させることと、
特定のアプリケーションプログラムに関連付けられたオブジェクトを対象とするユーザ入力に応答して、前記コンピューティングデバイスによって、前記コンピューティングデバイスのディスプレイ上に、前記特定のアプリケーションプログラムに対応する前記ファイル格納ユニット内に格納されている前記ファイルを表示する第1のユーザインターフェース要素を提示することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記第1のユーザインターフェース要素にドロップされるファイルの提示を検出することに応答して、前記コンピューティングデバイスによって、前記ドロップされたファイルのファイルフォーマットが前記特定のアプリケーションと互換性を有するかを判定することと、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するとの判定に応じて、前記コンピューティングデバイスによって、前記特定のアプリケーションに対応する前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツを格納することと、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが前記特定のアプリケーションと互換性を有さないとの判定に応じて、前記特定のアプリケーションに対応する前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツの格納を見送ることと、
を含む、方法。
【請求項2】
コンピューティングデバイスであって、
複数の異なるアプリケーションプログラムにそれぞれ対応する複数の論理ファイル格納ユニットで構成さているメモリと、
ディスプレイ装置と、
プロセッサであって、
複数のファイルの各々が関連付けられた前記アプリケーションプログラムに対応する前記メモリの前記論理ファイル格納ユニット内に、それぞれのファイルを格納することと、
前記複数の異なるアプリケーションプログラムのうちの第1のアプリケーションプログラムが第2のコンピューティングデバイスに搭載されていることを確認することと、
第3のコンピューティングデバイスであるサーバに前記複数のファイルをアップロードすることであって、前記サーバは、前記第2のコンピューティングデバイスが、前記複数のファイルの部分集合が関連付けられる前記第1のアプリケーションプログラムを含むことを確認し、前記複数のファイルの少なくとも部分集合を、前記確認に少なくとも部分的に基づいて、前記第2のコンピューティングデバイスに送信するように設定されることと、
特定のアプリケーションプログラムに関連付けられたオブジェクトを対象とするユーザ入力に応答して、前記ディスプレイ装置上に、前記特定のアプリケーションプログラムに対応する前記ファイル格納ユニット内に格納されている前記ファイルを表示する第1のユーザインターフェース要素を提示させることと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記第1のユーザインターフェース要素にドロップされるファイルの提示を検出することに応答して、前記コンピューティングデバイスによって、前記ドロップされたファイルのファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するかを判定することと、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するとの判定に応じて、前記特定のアプリケーションに対応する前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツを格納することと、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが前記特定のアプリケーションと互換性を有さないとの判定に応じて、前記特定のアプリケーションに対応する前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツの格納を見送ることと、
を含む動作を実行するように設定されている、プロセッサと、
を備える、コンピューティングデバイス。
【請求項3】
プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
各々が複数の異なるアプリケーションプログラムのうちの1つに対応する複数の論理ファイル格納ユニットをアクセスすることと、
複数のファイルの各々を前記複数の論理ファイル格納ユニットのうちの1つに格納することであって、各ファイルを格納する前記論理ファイル格納ユニットは、それぞれのファイルが関連付けられる特定のアプリケーションプログラムに対応する、格納することと、
前記複数の異なるアプリケーションプログラムのうちの第1のアプリケーションプログラムがコンピューティングデバイス上に搭載されていることを確認することと、
前記複数のファイルを別個のコンピューティングデバイスであるサーバにアップロードすることであって、前記サーバは、前記コンピューティングデバイスが前記複数のファイルのうちの部分集合が関連付けられる前記第1のアプリケーションプログラムを含むことの確認をし、前記確認に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のファイルの少なくとも部分集合を前記コンピューティングデバイスに送信するように設定されていることと、
特定のアプリケーションプログラムを対象とするユーザ入力に応答して、ディスプレイ装置上に、前記特定のアプリケーションプログラムに対応する前記ファイル格納ユニット内に格納されている前記ファイルを表示する第1のユーザインターフェース要素を提示させることと、
前記第1のユーザインターフェース要素にドロップされるファイルの提示を検出することに応答して、前記コンピューティングデバイスによって、前記ドロップされたファイルのファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するかを判定することと、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するとの判定に応じて、前記特定のアプリケーションに関連する前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツを格納することと、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有さないとの判定に応じて、前記特定のアプリケーションに関連する前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツの格納を見送ることと、
を含む動作を実行させるプログラム命令を格納する、コンピュータ読取可能媒体。
【請求項4】
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するとの判定に応じて、前記特定のアプリケーションに関連付けられる前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツを格納する前に、前記コンピューティングデバイスによって、互換性を有する前記ファイルフォーマットを前記特定のアプリケーションに対応するファイルフォーマットに変換することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
互換性を有する前記ファイルフォーマットを前記特定のアプリケーションに対応する前記ファイルフォーマットに変換することは、前記第1のユーザインターフェース要素にドロップされる前記ファイルの前記提示に応答して、発生することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するかを判定することは、前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションによって処理できない非互換性のファイルフォーマットであることを判定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、非互換性のファイルフォーマットであるとの判定に応答して、前記コンピューティングデバイスによって、前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツをその元の論理ファイル格納位置に戻すことをさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツをその元の論理ファイル格納位置に戻すことに応答して、前記コンピューティングデバイスによって、前記ユーザに提示するための警告を生成することをさらに備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットは、前記特定のアプリケーションと互換性を有するとの判定に応答して、前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツを前記サーバにアップロードすることをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツが、前記コンピューティングデバイスと同一のユーザーアカウントに関連する別のコンピューティングデバイスと同期するために前記サーバに格納されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コンピューティングデバイスによって、ドックを対象とするユーザアクションを検出することをさらに備え、
前記第1のユーザインターフェース要素の提示は、前記ドックを対象とする前記ユーザアクションの検出に応答すること、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ドックを対象とする前記ユーザアクションは、前記ドックに含まれ、前記特定のアプリケーションに関連するアイコンを対象とするユーザアクションであることを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記動作は、さらに、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するとの判定に応じて、前記特定のアプリケーションに関連する前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツを格納する前に、前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットを前記特定のアプリケーションに対応するファイルフォーマットに変換することを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットを前記特定のアプリケーションに対応する前記ファイルフォーマットに変換することは、前記第1のユーザインターフェース要素にドロップされる前記ファイルの前記提示に応答して、発生することを特徴とする請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するかを判定することは、前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションによって処理できない非互換性のファイルフォーマットであることを判定することを含むことを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項16】
前記動作は、さらに、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、非互換性のファイルフォーマットであるとの判定に応答して、前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツをその元の論理ファイル格納位置に戻すことを含む、
ことを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記動作は、さらに、
前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツをその元の論理ファイル格納位置に戻すことに応答して、前記ユーザに提示するための警告を生成することを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記動作は、さらに、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するとの判定に応答して、自動的に、前記特定のアプリケーションを含む別のコンピューティングデバイスと同期させるために前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツを前記サーバに格納させることを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツが、前記コンピューティングデバイスと同一のユーザーアカウントに関連する別のコンピューティングデバイスと同期するために前記サーバに格納されることを特徴とする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記動作は、さらに、
ドックを対象とするユーザアクションを検出することを含み、
前記第1のユーザインターフェース要素の提示は、前記ドックを対象とする前記ユーザアクションの検出に応答すること、
を特徴とする請求項13に記載のデバイス。
【請求項21】
前記ドックを対象とする前記ユーザアクションは、前記ドックに含まれ、前記アプリケーションに関連するアイコンを対象とするユーザアクションであることを備える請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記動作は、さらに、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するとの判定に応じて、前記特定のアプリケーションに関連する前記論理ファイル格納位置にある前記ドロップされたファイルに対応するコンテンツを格納する前に、前記ドロップされたファイルを前記特定のアプリケーションに対応するファイルフォーマットに変換することを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項23】
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットを前記特定のアプリケーションに対応する前記ファイルフォーマットに変換することは、前記第1のユーザインターフェース要素にドロップされる前記ファイルに応答して、発生することを特徴とする請求項22に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項24】
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するかを判定することは、前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションによって処理できない非互換性のファイルフォーマットであることを判定することを含むことを特徴とする請求項3に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項25】
前記動作は、さらに、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、非互換性のファイルフォーマットであるとの判定に応答して、前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツをその元の論理ファイル格納位置に戻すことを含む、
ことを特徴とする請求項24に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項26】
前記動作は、さらに、
前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツをその元の論理ファイル格納位置に戻すことに応答して、前記ユーザに提示するための警告を生成することを含む、
ことを特徴とする請求項25に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項27】
前記動作は、さらに、
前記ドロップされたファイルの前記ファイルフォーマットが、前記特定のアプリケーションと互換性を有するファイルフォーマットであるとの判定に応答して、自動的に、前記特定のアプリケーションを含む別のコンピューティングデバイスと同期させるために、前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツをリモートサーバに格納させることを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項28】
前記ドロップされたファイルに対応する前記コンテンツが、前記コンピューティングデバイスと同一のユーザーアカウントに関連する別のコンピューティングデバイスと同期するために前記リモートサーバに格納されることを特徴とする請求項27に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項29】
前記動作は、さらに、
ドックを対象とするユーザアクションを検出することを含み、
前記第1のユーザインターフェース要素の提示は、前記ドックを対象とする前記ユーザアクションの検出に応答すること、
を特徴とする請求項3に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項30】
前記ドックを対象とする前記ユーザアクションは、前記ドックに含まれ、前記特定のアプリケーションに関連するアイコンを対象とするユーザアクションであることを備える請求項29に記載のコンピュータ読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピューティングシステム内の文書の格納と取得を対象とし、より具体的には、ユーザに文書へのアクセスを提供するユーザインターフェースを対象とする。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザのコンピューティングエクスペリエンスは、一般的に、所与の環境内の特定のデバイスに焦点を当てていた。例えば、ユーザは、職場環境においては、業務関連の文書を格納し、アクセスするために、デスクトップコンピュータと相互作用するかもしれず、個人的な文書を格納し、アクセスするために家庭用コンピュータも有しているかもしれないかもしれない。あるいは、ユーザは、職場環境及び家庭環境の双方で使用するために、例えば、ラップトップコンピュータのようなポータブルコンピュータを用いるかもしれない。いずれにせよ、ユーザが作成し、編集し、あるいは何らかの相互作用をした文書は、通常、ユーザのコンピューティングデバイス上に格納され、又はそのコンピューティングデバイスが接続されたネットワークを介してアクセスされていた。
【0003】
ユーザが文書にアクセスしたいと思ったときには、ユーザは、コンピューティングデバイスに関連付けられたファイルシステム内に格納された全ての文書を閲覧し見つけるために、ブラウザのようなユーザインターフェース要素を用いるかもしれない。あるいは、ユーザは、検索ツールを用いて、特定の表題、コンテンツ、又はその他の属性を有する文書を見つけるかもしれない。コンピューティングデバイスのファイルシステムは、通常、いろいろな種類のアプリケーションプログラムに関連付けられる様々な文書を格納しているかもしれない。例えば、ファイルシステムは、ワードプロセッシングアプリケーションに関連付けられたテキストファイル、表計算ファイル、プレゼンテーションファイル、写真、ビデオファイル、音楽ファイルなどを収容することができる。これらいろいろな種類のファイルの各々は、所与のアプリケーションプログラムが解釈し、表示することのできる、関連付けられたフォーマットを有している。
【0004】
ユーザが、例えば、ブラウザによって、コンピュータ上の文書を閲覧したいとき、一般的には、いろいろなアプリケーションプログラムに関連付けられた全ての文書が表示されるであろう。同様に、検索を行うと、検索基準に合致するいろいろなアプリケーションプログラムに関連付けられた文書が、ユーザに提示されるであろう。例えば、「シート」という名前を有する文書を検索すると、「仕様書シート」と題されたワードプロセッシングのファイル、「会計年度スプレッドシート」と題された表計算ファイル、及び「色シート」と題された画像ファイルが返ってくるかもしれない。換言すれば、文書の格納、及び格納された文書に関する情報のユーザに対する提示は、文書が属する特定のアプリケーションプログラムに拘わらずに、コンピューティングデバイスに関連付けられたファイルシステム全体を包括的に網羅していた。
【0005】
より最近になって、ユーザエクスペリエンスは、特定の環境向けの単一のデバイスに限られなくなった。むしろ、ユーザは、ラップトップ又はデスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどの多くの様々なコンピューティングデバイスを用いることができる。ユーザは、特定の文書を、これら様々なデバイスのうちの何れかで、いつでも閲覧し、あるいは何らかの相互作用をすることができる。ユーザがこれらの様々なデバイスのうちの何れかによって文書にアクセスし、これら文書と相互作用することを可能とするために、文書はデバイス上にローカルに格納されていると共に、格納された文書を様々なコンピューティングデバイスの全てに対して同期させるように機能するリモートサーバ上にも格納されている。したがって、文書にアクセスするためにユーザがどのコンピューティングデバイスを用いるかに拘わらず、同じバージョンの文書が各々のデバイス上に存在することとなる。このような種類のコンピューティングエクスペリエンスを「クラウドコンピューティング」と呼ぶこともある。
【0006】
複数のデバイス間で共有され同期される文書を探すとき、例えば、ブラウザ又は検索クエリによって文書にアクセスするファイルシステムベースの方法は、共有文書を容易に把握するうえでは役に立たない場合がある。特に、特定のユーザ向けにリモートサーバ上に格納された文書のライブラリは、ファイルシステムベースのブラウザ又は検索ツールでは閲覧できない。上記により、本開示は、複数のデバイス間で共有される文書の把握及びこれら文書へのアクセスを容易にするユーザインターフェースについて説明する。
【発明の概要】
【0007】
文書を格納し、検索し、取得するために、アプリケーション中心のモデルが用いられる。特定のアプリケーションプログラムのアイコンをクリックするなどして、そのプログラムを対象とするコマンドを入力することにより、ウィンドウ又はパネルなどのユーザインターフェース要素が、コンピューティングデバイス上に格納されている、そのアプリケーションに関連付けられた文書を表示する。例えば、表計算プログラムのアイコンをクリックすると、コンピューティングデバイス上に格納された表計算文書を表示するパネルが開き、ユーザはこれにアクセスすることができる。
【0008】
前述の特徴、並びにユーザインターフェースの追加的な機能及び利点を、添付の図に描かれた例示的な実施形態を参照しながら、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】複数のユーザコンピューティングデバイスを伴うクラウドコンピューティングシステムの概略図である。
【
図2】アプリケーション中心の方法で文書を格納する、コンピューティングデバイス内の例示的なフォルダ階層の概略図である。
【
図3】クラウドサーバコンピュータ内のフォルダ階層の概略図である。
【
図4】コンピューティングデバイス上に格納された文書の、ファイルシステムベースの表示を提供するブラウザのイメージである。
【
図5】アプリケーション中心の方法で格納された文書の表示を提供するユーザインターフェースパネルのイメージである。
【
図6】他のユーザと文書を共有するためのポップアップウィンドウのイメージである。
【
図7】アプリケーションパネルのタイトルバーからドロップダウンするコマンドのメニューの図である。
【
図8】互換性のない文書がアプリケーションパネルの上にドラッグされたときに表示される警告の図である。
【
図10】例示的なコンピューティングシステムの構成要素のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書内で開示する概念の理解を助けるために、例示的な実施形態を参照しながら、これら概念を説明する。具体的には、文書がリモートサーバ上に格納され、様々な異なるコンピューティングデバイスからこれにアクセスできる、所謂「クラウドコンピューティング」の環境下で実施する文脈で、ユーザインターフェースについて説明する。サーバは、多数の許可されたデバイスの各々に格納された文書のコピーを同期させるように機能する。しかしながら、本明細書内で説明するユーザインターフェースは、この特定の実施に限定されないことが理解されるであろう。むしろ、このユーザインターフェースの機能性の基礎となる原理は、文書へのアプリケーション中心のアクセスが有益な様々な異なる環境下で使用することができる。
【0011】
図1は、本発明のユーザインターフェースを実施できるクラウドコンピューティング環境の概略図を例示している。図示の例では、ユーザは、文書にアクセスし、あるいは文書と何らかの相互作用をするために使用される3台の異なるコンピューティングデバイス、即ち、ラップトップコンピュータ10、タブレットコンピュータ12、及びスマートフォン14を有することができる。クラウドコンピューティング環境は、ユーザがこれらコンピューティングデバイスのうちの1台で文書を作成し、又はダウンロードし、その後、他の2台のデバイスのうちの何れかの上でこの文書を閲覧し、これと相互作用することを可能とする。この機能性を実施するために、コンピューティングデバイス間で共有されるべき各文書のコピーがサーバ16上に格納されている。動作時には、これらコンピューティングデバイス間で共有されるべき文書がこれらデバイスのうちの1台の上で作成され、ダウンロードされ、又は編集される度に、そのデバイスのオペレーティングシステムが、文書をサーバ16にアップロードさせる。これに応答して、サーバは、同期動作を実行して他のデバイスの各々の上にこの文書のコピーを複製する。したがって、同期がなされた後には、この文書のコピーが3台のコンピューティングデバイス10、12、及び14の各々並びにサーバ16の上に格納される。図示の例では、3台のコンピューティングデバイスが描かれているものの、文書を相互に共有するように、任意数のデバイスを設定し、許可することができることが理解されるであろう。同様に、共有文書の格納及び同期をサポートするために、1台よりも多くのサーバを用いることができる。
【0012】
複数のコンピューティングデバイス間での文書の同期を容易にするために、文書は、各デバイス並びにサーバ16上に、アプリケーション中心の方法で格納される。
図2は、コンピューティングデバイスの各々のメモリ内に存在することのできるフォルダ階層の例を図示している。各デバイスは、コンピューティングデバイス上に格納された全てのファイルのルートディレクトリとして機能することのできるホームフォルダ18を含んでいる。ホームフォルダ18の中には、モバイルアプリケーションフォルダ20が収容されている。モバイルアプリケーションフォルダ20は、図示のように、フォルダ階層の中のホームフォルダのすぐ下の層に所在することができ、又はホームフォルダとモバイルアプリケーションフォルダとの間に介在するフォルダの階層(図示せず)があってもよい。モバイルアプリケーションフォルダは、コンピューティングデバイス上に搭載された異なるアプリケーションプログラムにそれぞれ関連付けられた多数の個々のフォルダ22を収容している。図示の例では、4つのアプリケーションフォルダが、ワードプロセッシングアプリケーション、表計算アプリケーション、ビデオアプリケーションプログラム、並びに音楽オーガナイザ及び再生プログラムにそれぞれ関連付けられている。
【0013】
図2に描かれたフォルダ18〜22は、関係のあるファイル及びフォルダをグループ化し、及び/又は相互に関連付けるために用いることのできる、論理ファイル格納ユニットを表している。このような関係のあるファイルのグループ化及び識別を提供するために、例えば、ディレクトリ、リンクリスト、メモリパーティションなど、他の形態の論理ファイル格納ユニットを用いることもできることが理解されるであろう。
【0014】
新しい文書がコンピューティングデバイス上で作成されたとき、又はコンピューティングデバイス内にインポートされたときには、先ず、その文書を、そのコンピューティングデバイスからローカルにのみアクセス可能な場所に格納することができる。例えば、ホームフォルダ18内に文書を格納することができる。ユーザが、他のコンピューティングデバイスの何れかからその文書にアクセスしたい場合、ユーザは、その文書をローカルのメモリ格納からモバイルアプリケーションフォルダ20の中に移すことができる。文書がモバイルアプリケーションフォルダ内に配置されると、コンピューティングデバイスのオペレーティングシステムが文書を調べてその文書が関連付けられているアプリケーションプログラムを判定する。例えば、この関連は、ファイルの名前の拡張子から、又はデータのフォーマットを識別するファイルのその他任意の属性から判定することができる。文書が関連付けられた特定のアプリケーションプログラムが判定されると、オペレーティングシステムが文書をモバイルアプリケーションフォルダ20からそのアプリケーションプログラムに関連付けられたフォルダ22内に移す。このように、例えば、文書がワードプロセッシングプログラムで作成された場合は、その文書はワードプロセッシングアプリケーションのフォルダ内に移される。
【0015】
それと同時に、オペレーティングシステムが文書のコピーをサーバ16にアップロードする。文書の受信に応答して、サーバは同様に文書を調べて、その文書が関連付けられているアプリケーションプログラムを判定し、その文書を適切なアプリケーションフォルダ内に配置する。サーバ16の例示的なフォルダ階層を
図3に図示する。サーバは多くの異なるユーザに同期サービスを提供するので、そのメモリは、登録されたユーザ毎の別個のフォルダ24を収容している。各ユーザのフォルダ内には、そのユーザの好みの設定に応じたアプリケーションフォルダ26が格納されている。各ユーザは、そのユーザのコンピューティングデバイス間で共有され、同期されるべき文書の種類を指定することができる。
図3の例では、ユーザ1は、
図2の例と一致して、ワードプロセッシング、表計算、映画、及び音楽の文書を、そのユーザのコンピューティングデバイス間で共有するように指定していることが見てとれる。それとは対照的に、ユーザ2は、写真及び音楽のファイルのみを、そのユーザのコンピューティングデバイス間で共有するように指定している。
【0016】
コンピューティングデバイスからサーバ16へと文書がアップロードされると、サーバが、コンピューティングデバイスが登録されているユーザの適切なアプリケーションフォルダ26内にその文書を配置する。そうすると共に、サーバはまた、文書のコピーをそのユーザに関連付けられた他のコンピューティングデバイスの各々に送信する。特定のユーザに関連付けられた全てのコンピューティングデバイスの識別を、サーバ上のユーザのフォルダ24又はサーバ上の別個のデータベース内に格納することができる。
【0017】
更にこの点に関して、ユーザは、文書の種々の部分集合をユーザの異なるコンピューティングデバイス上に同期させるように指定することもできる。例えば、ユーザは、ワードプロセッシング文書をラップトップコンピュータ及びタブレットコンピュータ間で共有する一方で、音楽ファイルはタブレットコンピュータとスマートフォンとの間でのみ共有するように示すことができる。また、サーバが共有すべき文書のコピーを適切なコンピューティングデバイスにのみ送信するように、これらの指定をサーバ16上のユーザのフォルダ24内、又はデータベース内に格納することもできる。
【0018】
図4は、コンピューティングデバイス上にローカルに格納され、及び/又はネットワーク上の記憶媒体を介してアクセス可能な文書を閲覧するための、ユーザインターフェース要素の一種として用いることができるブラウザのウィンドウ30の例を示している。この例では、ブラウザは、ユーザが、閲覧の対象であるファイルを収容している特定の記憶装置並びにそれらファイルのディレクトリ又はサブディレクトリを選択することを可能とする、サイドバーメニュー32を含んでいる。ウィンドウはまた、選択された記憶媒体及び/又はディレクトリに格納された文書を図示しているペイン(pane)34を含んでいる。ウィンドウの上部には、ユーザが、ファイルを閲覧するためのいろいろなモードを選択することを可能とする、メニューバー36がある。図示の例では、ファイルはリストビューで提示されている。ブラウザのウィンドウ30はまた、検索ボックス38を含み、ユーザはこの検索ボックスにクエリを入力することによって、コンピューティングデバイスにアクセス可能なメモリ上に格納された文書を検索することができる。見てとれるように、それぞれ異なるアプリケーションプログラムに関連付けられた様々な異なるフォーマットの文書が表示されている。
【0019】
図5は、クラウドコンピューティング環境下のようなアプリケーション中心の文書の格納方式を用いたときに、文書を閲覧し、アクセスするために表示することのできる別の種類のユーザインターフェース要素40を図示している。このユーザインターフェース要素は、以後、アプリケーションパネルと呼ぶことにする、アプリケーションベースのウィンドウ又はパネルを備えている。このようなパネルは、様々な異なるアクションによって起動することができる。例えば、図示の実施形態において、表示画面44の下部にバー又はドック42が表示されている。このドックは、コンピューティングデバイス上に搭載されている種々のアプリケーションにそれぞれ関連付けられた多数のアイコンを含んでいる。これらアイコンのうちの1つを対象としたアクションを実行することにより、ユーザはそのアプリケーションに関連付けられたアプリケーションパネルを開くことができる。このようなアクションは、例えば、カーソルがアイコンの上に位置しているときにそのアイコンをクリックするか、又はタッチ式入出力ディスプレイ画面を含むコンピューティングデバイス上のアイコンをタッチすることであってもよい。図示の例では、ユーザがワードプロセッシングアプリケーションに関連付けられたアイコン46をクリックしたので、そのアプリケーションに関連付けられたアプリケーションパネル40が開く。アプリケーションパネルを起動する別の方法のアクションは、アプリケーションの開いているウィンドウから「ファイル」メニューをプルダウンし、「開く」コマンドを選択するか、又はそのアプリケーションに関連付けられた種類の文書のアイコンをクリックすることであってもよい。
【0020】
パネルのタイトルバー48は、アプリケーションプログラムの名前を含んでいる。パネルの表示ペイン50の中には、そのアプリケーションに関連付けられた文書だけが表示されている。したがって、
図2のフォルダの図を参照すると、ワードプロセッシングアプリケーションのフォルダ22内に格納された文書が、
図5に描かれたアプリケーションパネルの表示ペインに現れる文書である。
【0021】
アプリケーションパネル内に表示されている文書に関して、多くの様々な機能を実行することができる。例えば、文書をダブルクリックすることにより、又は文書を選択し、「開く」ボタン52をクリックすることにより、関連付けられたアプリケーションプログラム内で文書を開くことができる。1つ以上の文書を選択したときは、「転送する」ボタン54をクリックすることにより、これらの文書を他のユーザと共有することができる。一実施において、「転送する」ボタンを作動させると、
図6に図示したポップアップウィンドウ56がアプリケーションパネル上に移動することができる。ユーザは、このウィンドウから、選択した文書を送信する送り先の1台以上のコンピューティングデバイスを選択することができる。送信先を選択した後に、「送る」ボタン58をクリックすると、文書がそのデバイスに伝送される。選択した文書を共有する別の方法として、「転送する」ボタンの作動に応じて、文書を添付書類とする新しい電子メールのメッセージを作成することもできる。
【0022】
図7を参照すると、パネルのタイトルバー48をクリックすることにより、ドロップダウンメニュー60が表示され、選択した文書に対して実行できる追加の機能を提供する。これらの機能には、文書の名前を変更し、文書を別の場所に移し(例えば、ローカルの格納のみとするためにデスクトップに戻し)、及び文書を複製又はコピーする機能が含まれる。
【0023】
アプリケーションパネルはまた、文書が複数のコンピューティングデバイス間で共有されるように、文書をローカルの格納場所から同期サーバ18に移動させる機能を、ユーザに提供する。この機能性は、文書をデスクトップ又はその他のローカルにアクセス可能な格納場所からアプリケーションパネル内にドラッグ操作することによって実施することができる。パネルは特定のアプリケーションプログラムに関連付けられているので、コンピューティングデバイスのオペレーティングシステムがパネルにドラッグ操作されつつある文書を調べて、所定のアプリケーションと互換性があるか否かを判定する。その結果、文書が同じアプリケーション(この場合はワードプロセッシングアプリケーション)で作成されていれば、オペレーティングシステムがその文書をパネル内にドロップすることを許可する。更に、オペレーティングシステムは、適切なアプリケーションフォルダ22内に文書を移動させ、クラウドサーバ18を経由して他のコンピューティングデバイス上にこの文書を複製することを可能とする。
【0024】
逆に、
図8に示すように、文書がワードプロセッシングアプリケーションと互換性がない(例えば、映画のファイルである)場合、オペレーティングシステムはファイルをその元の場所に戻し、及び/又はその文書をパネル上に配置することができない旨の警告をユーザに表示する。
【0025】
また、ユーザは、異なるアプリケーションによって作成されたけれどもパネルに関連付けられたアプリケーションと互換性のあるファイルをドラッグすることもできる。例えば、テキスト文書は、テキスト編集アプリケーションプログラムに関連付けられた第1のフォーマットであってもよい。このテキスト文書がワードプロセッシングアプリケーションのパネル上にドロップされた場合、ワードプロセッシングアプリケーションは文書を自らのフォーマットに変換し、文書を変換されたフォーマットで開く。
【0026】
図5に戻って、パネルの下部に示されている「新しいドキュメント」ボタン62をクリックすることによって、アプリケーションパネル40から新しいアプリケーションの文書を開くこともまた可能である。一実施形態において、新しい文書を開くためにこのようなコマンドが入力されると、作成されるべき新しい文書をフォーマットする様々なテンプレートを表示する別のパネルを提示することができる。テンプレートのうちの1つを選択すると、そのテンプレートのフォーマットで新しい文書が開く。
【0027】
アプリケーションパネルが開いたときに、ユーザの関心のある特定のアプリケーションの文書がパネルに現れない場合がある。一例として、ユーザが、その文書をモバイルアプリケーションフォルダ20に、例えば、ドラッグするか又は送信することによって、その文書をクラウドコンピューティングシステム経由で複数のデバイス間で共有するように指定していなかったかもしれない。ユーザがアプリケーションパネル内に所望の文書を見つけることができない場合、「ローカル」ボタン64を作動させて
図5のアプリケーションパネルビューから
図4のブラウザビューに切り替えることで、コンピューティングデバイスのローカルファイルシステムを介してアクセス可能なファイルの表示を提供することができる。アプリケーション中心のクラウドベースの文書表示からローカルファイルシステムの文書表示に切り替えがなされようとしていることをユーザに知らせるために、アプリケーションパネル40は、ブラウザ30とは異なる外観を有することが好ましい。例えば、
図4と
図5とを比較すると、アプリケーションパネル50には、ブラウザ30にあるサイドバー32が存在しないことが分かる。更に、ブラウザ30は、アプリケーションパネルとは異なるモチーフを有している。
【0028】
図4及び5の例では、文書が異なる表示フォーマットで表示されている。具体的には、
図4のブラウザでは文書がリストビューで提示されているのに対して、
図5のアプリケーションパネル内の文書はサムネイルビューで提示されている。この表示形式の変更により、表示されている文書のセット間で切り替えが行われたという印象が強まる。別の方法の実施形態では、アプリケーションパネル50からブラウザ30に、又はその逆に切り替えがなされたときに、一貫して同じ表示形式を維持することが好ましい場合がある。したがって、アプリケーションパネル50内の文書をサムネイルビューで提示する場合、ローカルボタン64を作動させてブラウザ30に切り替えても、表示されるファイルを同じようにサムネイルビューで提示することができる。
【0029】
ユーザに切り替えを知らせるのに用いられる別の仕掛けとして、一方のユーザインターフェース要素から他方のユーザインターフェース要素への移行がなされるときにアニメーションの表示をすることができる。例えば、アプリケーションパネル40を、裏返るとその裏側がブラウザ30となっているページとして見せることができる。
【0030】
ある実施形態において、アプリケーションパネルの挙動は、非モーダルである。この実施形態では、デスクトップ上にアプリケーションパネル以外にも他のウィンドウが開いている場合、ユーザは、アプリケーションパネルを閉じる必要がなく、その他の任意の開いているウィンドウに切り替えてそれらと相互作用することができる。したがって、例えば、
図5を参照すると、ユーザは、アプリケーションパネル50がディスプレイ上に開いたままの状態でテキスト文書「仕様書シート」を開き、それを編集することができる。
【0031】
アプリケーションパネル内に現れる文書は複数のコンピューティングデバイス間で同期されるので、コンピューティングデバイスのうちの1台の上で文書に変更を行うと、その文書を共有している他のコンピューティングデバイス上でもリアルタイムで変更が現れる。例えば、ユーザが1台のコンピューティングデバイス上でワードプロセッシング文書を開いておくことができ、同期されたデバイスのうちの別の1台の上でワードプロセッシングアプリケーション用のアプリケーションパネルを開いておくことができる。アプリケーションパネル内の表示モードが、
図5で描かれたようなサムネイルビューである場合、第1のコンピューティングデバイス上の文書に変更を施すと、それらの変更が他方のコンピューティングデバイスのアプリケーションパネル上のサムネイルビューに現れることとなる。アプリケーションパネルに変更が現れる速さは、サーバ18が種々のコンピューティングデバイス間で文書を同期させる速度に依存する。文書のうちの1つに変更が行われつつあることを第2のコンピューティングデバイスの閲覧者に警告するために、アプリケーションパネル内の文書のサムネイルビューの上に、又はそれに隣接して矢印のような好適な標識を表示することができる。
【0032】
一実施形態において、所与のアプリケーションに関連付けられた文書の全てを、同じ階層にあるそのアプリケーション用のアプリケーションフォルダ22内に格納することができる。したがって、
図5に図示したように、ワードプロセッシングアプリケーションに結び付けられる文書の各々が、表示ペイン50の中に個別に表示される。幾つかの実施形態において、文書の部分集合をフォルダ又はそれに類似した論理ファイル格納ユニット内にグループ化することを可能にすることが好ましい場合がある。一実施形態において、フォルダ内の文書をアプリケーションパネル上に表示する機能を、アプリケーションに固有のものとすることができる。したがって、特定のアプリケーションが階層的な格納を認めない場合、オペレーティングシステムは、フォルダを関連付けられたアプリケーションフォルダ内に作成すること、又はアプリケーションパネル内に表示することを許可しない。他のアプリケーションは、複数の文書を1つのフォルダ内にグループ化することはできても1つのフォルダを別のフォルダの中に入れ子にすることはできないような形で、1レベルの階層のフォルダを認めてもよい。他のアプリケーションでは、入れ子のフォルダが認められてもよい。あるアプリケーションがコンピューティングデバイス上に搭載されるとき、オペレーティングシステムはそのアプリケーションプログラムに関連付けられたフォルダ作成のポリシーについて通知を受け、アプリケーションパネル内でそのポリシーを施行する。したがって、
図5の例を参照すると、ワードプロセッシングアプリケーションがフォルダを許可しないにもかかわらずユーザが1つの文書を別の文書の上にドロップしてフォルダを作成しようとすると、オペレーティングシステムは、このようなアクションを禁止し、ドロップされた文書をその元の位置に戻す。
【0033】
一実施において、ユーザがアプリケーションパネルを起動し、パネルの中から文書を開くと、開いた文書がアプリケーションパネルの表示に取って代わることができる。ユーザが同じアプリケーションの第2の文書を開きたい場合、例えば、ワードプロセッシングのアイコン46などのアプリケーションアイコンを再度作動させてアプリケーションパネルがもう一度現れるようにすることができる。そのパネルから第2の文書を開いた場合、その文書が同様に開いているパネルの表示に取って代わる。この実施形態では、ユーザが開いている文書の最後のものを閉じた後、アプリケーションパネルが再度現れて関連付けられたアプリケーションが依然として実行されていることをユーザに知らせるようにすることが好ましい場合がある。ユーザは、それに応じて、アプリケーションパネル上の「取り消し」ボタンを作動させることでディスプレイからアプリケーションパネルを削除し、アプリケーションを終了することができる。あるいは、パネルを閉じることはできるが、ユーザが、例えば、メニュー上のコマンドなどによって、アプリケーションを明示的に終了するまで、アプリケーションは実行し続ける。
【0034】
前述の例では、各アプリケーションプログラムは、そのプログラムによって作成され、あるいはその他何らかの形でそのプログラムに関連付けられた文書を格納している、そのプログラムに関連付けられたアプリケーションフォルダ22を有している。アプリケーションパネルを起動すると、関連付けられたアプリケーションのフォルダ22内に格納されている文書のみが、そのパネルの中に表示される。別の方法の実施形態では、2つ以上のアプリケーションを相互にリンクすることが望ましい場合がある。例えば、ワードプロセッシングアプリケーション及び表計算アプリケーションが同じ開発者によって作成されている場合、それらの文書のフォーマットは相互に互換性がある可能性がある。その場合、ユーザが1種類の文書で作業中、関連した種類の文書のコンテンツにアクセスできると便利であるかもしれない。このような状況に対応するために、2つ以上のアプリケーションフォルダ22を相互にリンクさせて仮想フォルダを作成することができる。
図9は、ワードプロセッシングアプリケーションのフォルダ22a及び表計算アプリケーションのフォルダ22bに基づく仮想フォルダ70の例を図示している。ユーザがワードプロセッサのアプリケーションアイコンをクリックすると、開いているパネル72が起動し、ワードプロセッシングアプリケーションのフォルダ22a及び表計算アプリケーションのフォルダ22bの双方に収容されている文書を表示する。同様に、ユーザが表計算プログラムのアイコンをクリックすると、アプリケーションパネルが現れ、そのパネル内に同じ2組の文書が表示される。
【0035】
図10は、ユーザインターフェースを実施できるコンピューティングデバイスのハードウェア及びソフトウェア構成要素の一例を例示したブロック図である。コンピューティングデバイス100は、例えば、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン若しくは携帯情報端末、又はGUI環境をサポートできるその他任意の種類のプロセッサベースのデバイスのような任意の種類のコンピュータであることができる。コンピュータ100は、中央演算処理装置(CPU)120を含んでいる。CPU120は、例えば、マイクロプロセッサなどの任意の形態のプロセッサであることができる。コンピュータ100はまた、1つ以上の形態の非一時的なコンピュータ読み取り可能なメモリ125をも含んでいる。メモリ125は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)のような好適な形態の作業メモリ、又はその他任意の形態のコンピュータメモリを含むことができる。コンピュータ100のソフトウェア構成要素は、例えば、磁気ハードディスク、光ディスク、及び/又は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリのような不揮発性電子記憶媒体に格納することができる。ソフトウェアは、そこから作業メモリに読み込まれ、CPU120によって実行される。アプリケーションプログラムに関連付けられた文書などその他のデータもまた、不揮発性メモリ媒体に格納することができる。
【0036】
図10に図示したシステムは、少なくとも1つのディスプレイ145を含んでいる。ディスプレイ145は、例えば、コンピュータモニタ、LCDスクリーン、プラズマディスプレイ、タッチ式入出力スクリーン、又はグラフィックデータ及び/若しくはテキストデータをユーザに提示することのできるその他の任意の形態のディスプレイのように、任意の種類のディスプレイであることができる。各ディスプレイ145は、ビデオドライバソフトウェア140に従って動作するビデオカード135に接続されており、このカードよって制御される。
【0037】
CPU120上で実行されるオペレーティングシステム115は、ウィンドウマネージャ110を含むことができる。オペレーティングシステム115は、GUI環境をサポートする任意の種類のコンピュータオペレーティングシステムであることができる。ウィンドウマネージャ110は、前述のブラウザ30及びアプリケーションパネル40、並びにディスプレイ145上に表示されるその他のグラフィック及び/又はテキスト制御要素などのグラフィックウィンドウを管理する。ウィンドウマネージャ110は、ディスプレイ145上に表示された各グラフィックウィンドウの位置、大きさ、及び状態を把握しておくことができる。ウィンドウマネージャ110は、任意の種類のウィンドウマネージャ、又はディスプレイ装置(例えば、ディスプレイ145)上にユーザに対して文書並びにその他任意の形態のグラフィック及び/若しくはテキスト情報を表示できるグラフィックウィンドウを管理できるその他任意の種類のアプリケーションであることができる。オペレーティングシステム115はまた、ディスプレイ装置に関連付けられたビデオドライバソフトウェア140及びビデオカード135を介してウィンドウマネージャ110とディスプレイ装置(例えば、ディスプレイ145)との間の通信を提供する、ディスプレイマネージャ130を含むことができる。ディスプレイマネージャ130は、オペレーティングシステム115から分離したソフトウェア構成要素又はオペレーティングシステム115に組み込まれた構成要素の何れかであることができる。
【0038】
アプリケーションプログラム105のような少なくとも1つのソフトウェアプログラムが、ディスプレイ装置(例えば、ディスプレイ145)上に表示される情報を生成する。このような情報の例としては、テキスト、ウィンドウ及びその他のグラフィックオブジェクト、並びに、例えば、メニュー及びダイアログボックスのような制御構造が挙げられる。この情報は、ウィンドウマネージャ110を通じてディスプレイマネージャ130に提示され、最終的にはユーザに対してディスプレイ145上に表示される。
【0039】
当業者であれば、前述の概念を、その趣旨又はその本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で実施できることを理解するであろう。したがって、本開示の実施形態は、あらゆる点において限定的ではなく、例示的であるとみなされる。本発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって指示されるものであり、その均等物の意味及び範囲内に含まれる全ての変更は、その特許請求の範囲内に包含されることが意図される。