特許第5982020号(P5982020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5982020嘔吐および下痢などの状態を解消または軽減するためのコーティングされた薬物球状体およびその用途
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  • 特許5982020-嘔吐および下痢などの状態を解消または軽減するためのコーティングされた薬物球状体およびその用途 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982020
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】嘔吐および下痢などの状態を解消または軽減するためのコーティングされた薬物球状体およびその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4709 20060101AFI20160818BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20160818BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160818BHJP
   A61J 3/02 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A61K31/4709
   A61K9/16
   A61K9/48
   A61K47/32
   A61K47/38
   A61K47/34
   A61P35/00
   A61J3/02 B
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-13685(P2015-13685)
(22)【出願日】2015年1月27日
(62)【分割の表示】特願2010-250815(P2010-250815)の分割
【原出願日】2010年11月9日
(65)【公開番号】特開2015-78240(P2015-78240A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2015年1月27日
(31)【優先権主張番号】61/259,387
(32)【優先日】2009年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】309040701
【氏名又は名称】ワイス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー リチャード ディオリオ
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン マーフィ
(72)【発明者】
【氏名】スリプリア ヴェンカタ ラマナ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】シエド マザファー シャフ
(72)【発明者】
【氏名】マジャ ヴェンクル‐ジョンシック
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−119021(JP,A)
【文献】 特開平04−036237(JP,A)
【文献】 特表2006−504734(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101185633(CN,A)
【文献】 特表2011−516611(JP,A)
【文献】 特表2009−536203(JP,A)
【文献】 特表2007−507553(JP,A)
【文献】 特開2011−098964(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/093353(WO,A1)
【文献】 Clinical Cancer Research,2009年 4月,Vol.15, No.7,p.2552-2558
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 − 31/44
A61K 9/00 − 9/72
A61K 47/00 − 47/48
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ErbB−2陽性乳癌の治療において使用するための、下記:
(i)全組成物の70〜84重量パーセントを占める、
(a)30〜70重量パーセントの(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドマレイン酸塩;
(b)20〜30重量パーセントの微結晶性セルロース;
(c)5〜15重量パーセントのポリソルベート、
を含む、球状体粒子;
(ii)全組成物の1〜4重量パーセントを占める、該球状体粒子に塗布されるヒドロキシプロピルセルロースのサブコーティング;ならびに
(iii)全組成物の16〜30重量パーセントの、該サブコーティングに塗布される腸溶コーティングとしてのメタクリル酸ポリマー、
の薬学的組成物であって、
該コーティング成分(ii)および(iii)が、全組成物の16〜30重量パーセントを占める、組成物。
【請求項2】
転移性または進行性のErbB−2陽性乳癌の治療において使用するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドマレイン酸塩の重量パーセントが55〜65重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドマレイン酸塩の重量パーセントが63.6重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリソルベートの重量パーセントが7〜10重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリソルベートの重量パーセントが9重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記微結晶性セルロースの重量パーセントが27重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
40mgの経口用量の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
80mgの経口用量の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
240mgの経口用量の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ErbB−2陽性乳癌の治療において使用するための、下記:
(i)全組成物の85重量パーセントを占める、
(a)63.64重量パーセントの(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドマレイン酸塩;
(b)27.27重量パーセントの微結晶性セルロース;および
(c)9.09重量パーセントのポリソルベート、
を含む、球状体粒子;
(ii)全組成物の1.2重量パーセントを占める、該球状体粒子に塗布されるヒドロキシプロピルセルロースのサブコーティング;ならびに
(iii)全組成物の16.9重量パーセントの、該サブコーティングに塗布される腸溶コーティングとしてのメタクリル酸ポリマー、
の薬学的組成物であって、
該コーティング成分(ii)および(iii)が、全組成物の15.3重量パーセントを占める、組成物。
【請求項12】
転移性または進行性のErbB−2陽性乳癌の治療において使用するための、請求項11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嘔吐および下痢などの副作用を典型的に伴う薬物の有害作用を軽減または解
消するように設計されている経口医薬製剤に関する。特に、本発明は、ネラチニブとして
知られている(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フ
ェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミ
ノ)ブタ−2−エンアミドなどの薬物、および薬学的に許容できるその塩を含む経口医薬
製剤を対象とする。そのような製剤は、腸溶コーティングを有する球状体粒子を含むカプ
セル剤および他の剤形として提供される。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼは、細胞複製を開始する生化学的シグナルの伝達において重要であ
る。タンパク質キナーゼは、ATPから、タンパク質上のチロシン、セリン、スレオニン
、またはヒスチジンなどのアミノ酸残基へのリン酸基の転移を触媒する酵素である。これ
らのタンパク質キナーゼの調節は、増殖および遊走を包含する多種多様な細胞的事象の制
御にとって不可欠である。特異的タンパク質キナーゼは、癌[Traxler,P.M.
、Exp.Opin.Ther.Patents、8、1599(1998);Brid
ges,A.J.、Emerging Drugs、3、279(1998)]、再狭窄
[Mattsson,E.、Trends Cardiovas.Med.5、200(
1995);Shaw、Trends Pharmacol.Sci.16、401(1
995)]、アテローム性動脈硬化症[Raines,E.W.、Bioessays、
18、271(1996)]、血管新生[Shawver,L.K.、Drug Dis
covery Today、2、50(1997);Folkman,J.、Natur
e Medicine、1、27(1995)]および骨粗鬆症[Boyce、J.Cl
in.Invest.、90、1622(1992)]を包含する有害状態に関与すると
されてきた。受容体チロシンキナーゼの活性を阻害することができる化合物は、哺乳動物
における、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌を包含するがこれらに限定されな
い癌、多発性嚢胞腎、大腸ポリープ、および脳卒中の治療に有用であることが知られてい
る。
【0003】
特異的キナーゼ阻害剤は、(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イ
ルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−
(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド(ネラチニブ)、4−[(2,4−ジクロロ−
5−メトキシフェニル)アミノ]−6−メトキシ−7−[3−(4−メチルピペラジン−
1−イル)プロポキシ]キノリン−3−カルボニトリル(ボスチニブ)、N−[2−(ジ
エチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキ
ソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−
3−カルボキサミド(スニチニブ)、4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル
]−N−[4−メチル−3−[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ
]フェニル]ベンズアミド(イマチニブ)、4−[4−[[4−クロロ−3−(トリフル
オロメチル)フェニル]カルバモイルアミノ]フェノキシ]−N−メチル−ピリジン−2
−カルボキサミド(ソラフェニブ)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2
−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ)、4−メチル−N−[3
−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニ
ル]−3−[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]ベンズアミド(
ニロチニブ)、N−[3−クロロ−4−[(3−フルオロフェニル)メトキシ]フェニル
]−6−[5−[(2−メチルスルホニルエチルアミノ)メチル]−2−フリル]キナゾ
リン−4−アミン(ラパチニブ)などの化合物を包含する。多くのキナーゼ阻害剤は、抗
腫瘍活性を持ち、したがって、少なくとも部分的に、この受容体の調節解除によって生じ
る癌などのある疾患状態を治療するのに有用であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,002,008号
【特許文献2】米国特許第6,288,082号
【特許文献3】米国特許第6,297,258号
【特許文献4】米国特許第6,384,051号
【特許文献5】米国特許第7,399,865号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Traxler,P.M.、Exp.Opin.Ther.Patents、8、1599(1998)
【非特許文献2】Bridges,A.J.、Emerging Drugs、3、279(1998)
【非特許文献3】Mattsson,E.、Trends Cardiovas.Med.5、200(1995)
【非特許文献4】Shaw、Trends Pharmacol.Sci.16、401(1995)
【非特許文献5】Raines,E.W.、Bioessays、18、271(1996)
【非特許文献6】Shawver,L.K.、Drug Discovery Today、2、50(1997)
【非特許文献7】Folkman,J.、Nature Medicine、1、27(1995)
【非特許文献8】Boyce、J.Clin.Invest.、90、1622(1992)
【非特許文献9】A Phase I Study with Neratinib(HKI−272),an Irreversible Pan ErbB Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor,in Patients with Solid Tumors、Wongら、Clinical Cancer Research April 1、2009 15、2552
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キナーゼ阻害剤ネラチニブは、低い生物学的利用能および水とアルコールの両方への低
い溶解性を有する弱塩基である。ネラチニブのマレイン酸塩形態を包含するネラチニブの
ある錠剤製剤は、経口剤形でロードすることができる限られた量の活性物質(<40重量
パーセント)を提供する。経口剤形においてより多量の活性物質(>40重量パーセント
)を可能とする経口投与のためのマレイン酸ネラチニブの製剤を提供することが望ましい
であろう。
【0007】
特に、下痢および悪心は、重度であることが多く、ネラチニブの錠剤およびカプセル製
剤などのキナーゼ阻害剤の既存経口製剤に関係している。従来の方法により調製されるそ
のような経口製剤は、ネラチニブの臨床治験で使用されてきて、現在使用されつつあり、
それらの臨床治験において重度の嘔吐および下痢を伴ってきた。例えば、A Phase
I Study with Neratinib(HKI−272),an Irre
versible Pan ErbB Receptor Tyrosine Kina
se Inhibitor,in Patients with Solid Tumo
rs、Wongら、Clinical Cancer Research April
1、2009 15、2552を参照されたい。同様の副作用は、他のキナーゼ阻害剤の
経口製剤に関連して指摘されてきた。したがって、嘔吐および下痢の副作用を軽減または
解消する経口投与のためのネラチニブおよび他のキナーゼ阻害剤の製剤を提供することが
極めて望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、臨床試験において現在使用されている現在のネラチニブ即時放出錠剤製剤で
観察される有害事象(嘔吐、下痢、悪心)を回避するために開発された、典型的にはカプ
セル形態で典型的にはネラチニブまたは別のキナーゼ阻害剤を含む、改善された薬物含有
の経口用の腸溶コーティングされた球状体に関する。即時放出錠剤の経口投与で観察され
る有害事象は、胃腸系から局所的に生ずると考えられている。経口即時放出錠剤製剤で行
われた単回漸増投与(SAD)試験および複数回漸増投与(MAD)試験は、有害事象が
局所作用に起因している可能性があることも示している。腸溶コーティングされた製剤に
よって胃内での薬物の曝露を避けることにより、これらの有害事象を避けることができる
と考えられている。
【0009】
本発明は、経口投与に適している薬学的に許容できる固体組成物であって、活性なキナ
ーゼ阻害剤、例えば、ネラチニブ(ネラチニブのマレイン酸塩形態を包含する)を含有す
るコーティングされた球状体を含む組成物を提供する。ある実施形態において、腸溶コー
ティングを有するネラチニブの球状体を含むカプセルが提供される。一部の実施形態にお
いて、本発明は、ネラチニブなどの活性なキナーゼ阻害剤のコーティングされた球状体を
含むカプセル、錠剤、または他の剤形としての単位剤形を提供する。
【0010】
本発明は、(i)(a)ネラチニブ、ボスチニブ、スニチニブ、イマチニブ、ソラフェ
ニブ、エルロチニブ、ニロチニブおよびラパチニブからなる群から選択される活性成分、
および薬学的に許容できるその塩30〜70重量パーセント、(b)1つまたは複数の賦
形剤20〜30重量パーセント、(c)1つまたは複数の湿潤剤5〜15重量パーセント
を含む球状体粒子(前記球状体粒子は、全組成物の70〜83重量パーセントを占める)
、(ii)1つまたは複数の薬学的に許容できるセルロースベースのポリマー1〜4重量
パーセントをさらに含む前記球状体粒子に塗布されるサブコーティングおよび(iii)
前記サブコーティングに塗布される腸溶コーティングとしての1つまたは複数の薬学的に
許容できるポリマー16〜30重量パーセント(前記コーティング成分(ii)および(
iii)は一緒に、全組成物の17〜30重量パーセントを占める)の薬学的に許容でき
る組成物を提供する。
【0011】
本発明は、(i)(a)ネラチニブまたは薬学的に許容できる塩30〜70重量パーセ
ント、(b)1つまたは複数の賦形剤20〜30重量パーセント、(c)1つまたは複数
の湿潤剤5〜15重量パーセントを含む球状体粒子(前記球状体粒子は、全組成物の70
〜83重量パーセントを占める)、(ii)1つまたは複数の薬学的に許容できるセルロ
ースベースのポリマー1〜4重量パーセントをさらに含む前記球状体粒子に塗布されるサ
ブコーティングおよび(iii)前記サブコーティングに塗布される腸溶コーティングと
しての1つまたは複数の薬学的に許容できるポリマー16〜30重量パーセント(前記コ
ーティング成分(ii)および(iii)は一緒に、全組成物の17〜30重量パーセン
トを占める)の薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0012】
本発明は、(i)(a)ネラチニブのマレイン酸塩形態30〜70重量パーセント、(
b)微結晶性セルロース20〜30重量パーセント、(c)ポリソルベート5〜15重量
パーセントを含む球状体粒子(前記球状体粒子は、全組成物の70〜83重量パーセント
を占める)、(ii)ヒドロキシプロピルセルロース1〜4重量パーセントをさらに含む
前記球状体粒子に塗布されるサブコーティングおよび(iii)前記サブコーティングに
塗布される腸溶コーティングとしてのメタクリル酸ポリマー16〜30重量パーセント(
前記コーティング成分(ii)および(iii)は一緒に、全組成物の17〜30重量パ
ーセントを占める)の薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0013】
本発明は、ネラチニブを含む有効量のそのような球状体ベースの薬学的に許容できる製剤を対象に投与することを含む、嘔吐および下痢などの副作用を最小限に抑えるか解消しながら癌を治療するための方法も提供する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
(i)(a)(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドまたは薬学的に許容できるその塩30〜70重量パーセント、(b)1つまたは複数の賦形剤20〜30重量パーセント、(c)1つまたは複数の湿潤剤5〜15重量パーセントを含む球状体粒子(前記球状体粒子は、全組成物の70〜83重量パーセントを占める)、(ii)1つまたは複数の薬学的に許容できるセルロースベースのポリマー1〜4重量パーセントをさらに含む前記球状体粒子に塗布されるサブコーティングおよび(iii)前記サブコーティングに塗布される腸溶コーティングとしての1つまたは複数の薬学的に許容できるポリマー16〜30重量パーセント(前記コーティング成分(ii)および(iii)は、全組成物の17〜30重量パーセントを占める)の薬学的に許容できる組成物。
(項目2)
(i)(a)(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドマレイン酸塩30〜70重量パーセント、(b)微結晶性セルロース20〜30重量パーセント、(c)ポリソルベート5〜15重量パーセントを含む球状体粒子(前記球状体粒子は、全組成物の70〜84重量パーセントを占める)、(ii)ヒドロキシプロピルセルロース1〜4重量パーセントをさらに含む前記球状体粒子に塗布されるサブコーティングおよび(iii)前記サブコーティングに塗布される腸溶コーティングとしてのメタクリル酸ポリマー16〜30重量パーセント(前記コーティング成分(ii)および(iii)は、全組成物の16〜30重量パーセントを占める)の薬学的に許容できる組成物。
(項目3)
(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドマレイン酸塩の重量パーセントが、55〜65である、項目2に記載の
組成物。
(項目4)
(E)−N−(4−(3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)フェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドマレイン酸塩の重量パーセントが、63.6である、項目2に記載の組
成物。
(項目5)
ポリソルベートの重量パーセントが、7〜10である、項目2に記載の組成物。
(項目6)
ポリソルベートの重量パーセントが、約9である、項目2に記載の組成物。
(項目7)
微結晶性セルロースの重量パーセントが、約27である、項目2に記載の組成物。
(項目8)
40mgの経口用量の形態である、項目2に記載の組成物。
(項目9)
80mgの経口用量の形態である、項目2に記載の組成物。
(項目10)
240mgの経口用量の形態である、項目2に記載の組成物。
(項目11)
有効量の項目2に記載の組成物を投与することを含む、癌を治療するための方法。
(項目12)
(i)(a)ネラチニブ、ボスチニブ、エルロチニブ、スーテント、タイケルブ、4−アミノ−3−シアノキノリン化合物からなる群から選択される活性成分および薬学的に許容できるその塩30〜70重量パーセント、(b)1つまたは複数の賦形剤20〜30重量パーセント、(c)1つまたは複数の湿潤剤5〜15重量パーセントを含む球状体粒子(前記球状体粒子は、全組成物の70〜83重量パーセントを占める)、(ii)1つまたは複数の薬学的に許容できるセルロースベースのポリマー1〜4重量パーセントをさらに含む前記球状体粒子に塗布されるサブコーティングおよび(iii)前記サブコーティングに塗布される腸溶コーティングとしての1つまたは複数の薬学的に許容できるポリマー16〜30重量パーセント(前記コーティング成分(ii)および(iii)は、全組成物の17〜30重量パーセントを占める)の薬学的に許容できる組成物。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】経口投与後の絶食雄性ビーグル犬における様々なマレイン酸ネラチニブ製剤の薬物動態を要約する図である。
図2】健常対象におけるマレイン酸ネラチニブ製剤の単回漸増用量試験における胃腸有害事象の頻度および重症度の比較を要約する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.定義
本明細書において使用されるように、「有効量」の化合物または薬学的に許容できる組
成物は、望ましい治療効果および/または予防効果を達成することができる。一部の実施
形態において、「有効量」は、タンパク質チロシンキナーゼのモジュレーションに関係す
る障害または状態の1つまたは複数の症状を治療するのに十分である、化合物、または化
合物を含有する組成物の少なくとも最少量である。ある実施形態において、「有効量」の
化合物、または化合物を含有する組成物は、異常なチロシンキナーゼ受容体に関係する疾
患(例えば、悪性および良性の腫瘍成長を包含する癌)に伴う症状を治療するのに十分で
ある。
【0016】
「対象」という用語は、本明細書において使用されるように、哺乳動物を意味し、ヒト
および家畜(例えば、ウマ、イヌ、ネコなど)などの動物対象を包含する。
【0017】
本明細書において使用されるような「患う」または「患っている」という用語は、患者
が診断されたか、有すると疑われている1つまたは複数の状態を指す。
【0018】
「治療する」または「治療している」という用語は、本明細書において使用されるよう
に、障害もしくは状態、または障害もしくは状態の1つまたは複数の症状を部分的または
完全に軽減し、阻害し、それらの発現を遅延させ、予防し、改善しかつ/または緩和する
ことを指す。
【0019】
「治療上活性な薬剤」または「活性な薬剤」とは、予防的および治療的処置を包含する
、療法(例えば、ヒト療法、動物療法)にとって有用である、生物学的に活性な物質を包
含する物質を指す。治療上活性な薬剤は、薬物化合物、ペプチド、タンパク質、炭水化物
、単糖、オリゴ糖、多糖、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成のポリ
ペプチドまたはタンパク質、タンパク質と結ばれている小分子、糖タンパク質、ステロイ
ド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチ
センスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、およびビタミンである有機分子を包含する
。治療上活性な薬剤は、疾患、状態、または障害の治療、予防、遅延、軽減または改善の
ために医薬品として使用される任意の物質を包含する。本発明の製剤において有用な治療
上活性な薬剤には、オピオイド受容体アンタゴニスト化合物、オピオイド鎮痛性化合物な
どがある。治療上活性な薬剤として有用な化合物のさらに詳細な説明は、下に提供される
。治療上活性な薬剤は、例えば、第二の化合物の効力を増強するか有害作用を軽減するこ
とにより、第二の化合物の効果または有効性を高める化合物を包含する。
【0020】
本明細書において使用されるような「単位剤形」は、治療されることになる対象にとっ
て適切な本発明の製剤の物理的に分離した単位を指す。しかしながら、本発明の組成物の
全1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医により決定されるであろうことが理
解されるであろう。任意の特定の対象または器官にとっての具体的な有効投与量レベルは
、治療されている障害および障害の重症度、用いられる具体的な活性薬剤の活性、用いら
れる具体的な組成物、対象の年齢、体重、一般的健康、性別および食事、投与の時間、な
らびに用いられる具体的な活性薬剤の排泄速度、治療の期間、用いられる具体的な1つま
たは複数の化合物と組み合わせるか同時に使用される薬物および/または追加療法を包含
する様々な要因、ならびに医学的技術においてよく知られているような要因によって異な
るであろう。
【0021】
2.薬学的に許容できる組成物および製剤:
ある実施形態において、本発明は、ネラチニブまたは薬学的に許容できるその塩を含む
経口投与のための薬学的に許容できる組成物を提供する。ネラチニブおよびキナーゼ阻害
剤として作用することが知られている他の化合物は、とりわけ、米国特許第6,002,
008号、第6,288,082号、第6,297,258号、第6,384,051号
および第7,399,865号に開示されている。ネラチニブは、化学構造:
【0022】
【化1】


を有し、遊離塩基として単離されるか、マレイン酸塩などの薬学的に許容できる塩として
調製される。ネラチニブは、水への固有の低い溶解性を持つ弱塩基である。
【0023】
ある実施形態において、発明された製剤は、腸溶コーティングを有するマレイン酸ネラ
チニブの球状体粒子を含む。マレイン酸ネラチニブの球状体粒子は、マレイン酸ネラチニ
ブ、その上1つまたは複数の賦形剤および1つまたは複数の湿潤剤の混合物を押し出すこ
とにより調製される。この技法の1つの利点は、従来の湿式造粒法により調製されるマレ
イン酸ネラチニブの製剤と比較して、発明された球状体粒子を製造するのに比較的少量の
賦形剤が必要とされることである。1つまたは複数のセルロースベースのポリマーを含む
サブコーティングは、マレイン酸ネラチニブの押し出された球状体粒子に塗布され、次い
で、1つまたは複数の薬学的に許容できるアクリルポリマーを含む腸溶コーティングは、
マレイン酸ネラチニブのサブコーティングされた球状体粒子にさらに塗布される。本発明
の別の利点は、マレイン酸ネラチニブのコーティングされた粒子が、既存の製剤および製
剤技法と比較して活性成分マレイン酸ネラチニブの高いローディング(40〜70重量パ
ーセント、製剤の重量を基準として)を有することである。
【0024】
ある実施形態において、本発明の製剤は、少なくとも1つの腸溶コーティングを包含す
る。メタクリル酸およびメタクリル酸エステルコポリマー、セルロースアセテートフタレ
ート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、アクリル酸エチル/
メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマーUSNF Type A(Eudra
git L(商標))、Type B(Eudragit S(商標))、Type C
(Eudragit L100−55(商標))、Eudragit NE 30D、E
udragit E、Eudragit RL、Eudragit RS、セルロースア
セテートトリメリテート、シェラックおよびそれらの組合せの溶液または分散液を包含す
るがこれらに限定されない任意の腸溶コーティングを本発明において使用することができ
る。さらに、本発明の製剤において使用される腸溶コーティングは、単一または複数の層
として形成させることができる。コーティングの厚さは、当業者により容易に決定するこ
とができるが、胃の酸性環境において製剤を保護するのに十分でなければならない。製剤
の全重量を基準とした腸溶コーティングの重量パーセントは、16〜20重量パーセント
および約17重量パーセントを包含する16〜30重量パーセントである。一実施形態に
おいて、腸溶コーティングは、Acryl−Eze MP(商標)(メタクリル酸プラス
他の成分)を含む。
【0025】
ある実施形態において、本発明の製剤は、1つまたは複数のセルロースベースのポリマ
ーを含む少なくとも1つのサブコーティングを包含する。適当なセルロースベースのポリ
マーは、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロ
ースを包含する。製剤の全重量を基準としたサブコーティングの重量パーセントは、1〜
2重量パーセントおよび約1重量パーセントを包含する1〜4重量パーセントである。一
実施形態において、サブコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0026】
適当な結合剤(「希釈剤」および/または「賦形剤」とも呼ばれる)は、当技術分野に
おいて知られている。例えば、適当な結合剤および賦形剤は、デンプン、デキストリン、
スクロース、ソルビトール、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、キシリト
ール、アスパルテーム、マンニトール、デンプン、PVP(ポリビニルピロリドン)、低
分子量HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、微結晶性セルロース(MCC)、低分
子量HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、低分子量カルボキシメチルセル
ロース、エチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アカシア
、デキストリン、スクロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびポリメタクリレ
ートを包含するが、これらに限定されるものではない。賦形剤は、微結晶性セルロース(
MCC)、デンプン、ラクチトール、ラクトース、適当な無機カルシウム塩、スクロース
、グルコース、マンニトール、ケイ酸、またはそれらの組合せからなる群から選択される
試剤を包含する。一部の実施形態において、結合剤および賦形剤は、製剤の全重量を基準
として、約27.3重量%を包含する約20重量%〜約30重量%、25〜30重量%を
占める。一部の実施形態において、結合剤は、Avicel PH101(商標)および
Avicel PH102(商標)を包含するがこれらに限定されない、1つまたは複数
のグレードの微結晶性セルロースである。
【0027】
湿潤剤は、当技術分野においてよく知られており、典型的には、薬物の放出および吸収
を容易にする。例示的な湿潤剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチ
レングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリソルベート、セチルアルコール、グリセロール脂肪酸エステル
(例えば、トリアセチン、グリセロールモノステアレートなど)、ポリオキシメチレンス
テアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エ
ステル、塩化ベンザルコニウム、ポリエトキシル化ヒマシ油、およびドキュセートナトリ
ウムなど、ならびにそれらの組合せを包含する。一部の実施形態において、湿潤剤は、例
えば、Polysorbate 80(商標)、グリセリン、Polysorbate
65(商標)、Polysorbate 60(商標)
USP、Polysorbate 40(商標)USP、Polysorbate 20
(商標)USP、Octoxynol−9、Nonoxynol−10(商標)USP、
Poloxamer 235(商標)、Poloxamer 188(商標)USPを包
含するが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、提供される湿潤
剤は、製剤の全重量を基準として、約5重量%〜約15重量%、約7重量%〜約10重量
%、または約9重量%を占める。
【0028】
1つまたは複数の保存剤の添加は、マレイン酸ネラチニブを包含する組成物において特
に有用であることがあり、分解および/または沈殿からの保護を提供することがある。適
切な保存剤は、当業者に知られており、任意の薬学的に許容できる保存剤を包含する。従
来の保存剤は、安息香酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸、プ
ロピルパラベン、メチルパラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン、プロピオネート、ソル
ビン酸カリウム、インディナビルおよびそれらの組合せを包含するが、これらに限定され
るものではない。一部の実施形態において、提供される保存剤は、製剤の全重量を基準と
して、約0.05重量%〜約0.25重量%または約0.1重量%を占める。
【0029】
一実施形態によれば、活性成分は、当業者によく知られている単位剤形に製剤化される
。ある実施形態において、本発明は、カプセル剤として固体剤形を含む製剤を提供する。
一部の実施形態において、単位剤形は、マレイン酸ネラチニブ50mg、75mg、10
0mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、
275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425m
g、450mg、475mg、または500mg、525mg、550mg、575mg
、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750
mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、9
25mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、10
75mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、
1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350m
g、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、150
0mgを含有する。一部の実施形態において、単位剤形は、マレイン酸ネラチニブ5mg
〜500mg、または10mg〜450mgを含有する。一部の実施形態において、単位
剤形は、40mg、80mg、100mg、120mg、240mg、360mg、また
は480mgを含有する。一部の実施形態において、単位剤形は、500mgを超えるマ
レイン酸ネラチニブを含有する。
【0030】
一部の実施形態において、用いられるマレイン酸ネラチニブの有効用量は、用いられる
特定の化合物、投与の様式および治療されている状態の重症度に応じて変わることがある
。しかしながら、一般に、満足な結果は、本発明の化合物が、場合により1日当たり2〜
4回の分割投与量か、持続放出形態で与えられる、体重1kg当たり約0.5〜約100
0mgの1日用量で投与される場合に得られる。全1日用量は、約1〜1000mg、好
ましくは、約2〜500mgであると予測される。内用に適している剤形は、コーティン
グされた球状体粒子として活性化合物約0.5〜1000mgを含む。この用量レジメン
は、最適な治療応答を提供するように調整することができる。例えば、いくつかの分割投
与量を、1日で投与するか、投与量を、治療状況の緊急性により指示されるように比例し
て低減することができる。
【0031】
癌の治療については、本発明の発明されたマレイン酸ネラチニブ製剤を、他の抗腫瘍物
質または放射線療法と組み合わせて投与することができる。これらの他の物質または放射
線治療法は、本発明の化合物と同時に、または異なる時間に与えることができる。これら
の併用療法は、相乗作用を生じ、改善された有効性をもたらすことがある。例えば、本発
明の化合物は、タキソールまたはビンブラスチンなどの有糸分裂阻害剤、シスプラチンま
たはシクロホスファミドなどのアルキル化剤、5−フルオロウラシルまたはヒドロキシ尿
素などの代謝拮抗剤、アドリアマイシンまたはブレオマイシンなどのDNAインターカレ
ーター、エトポシドまたはカンプトテシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、アンギオスタ
チンなどの抗血管新生剤、およびタモキシフェンなどの抗エストロゲン剤と組み合わせて
使用することができる。
【0032】
3.合剤および併用投与:
ある実施形態において、本発明の組成物、およびその製剤は、本明細書に記載されてい
るような1つまたは複数の障害を治療するために単独で投与することができ、あるいは、
本明細書に記載されているような1つまたは複数の障害を治療するのに有用な1つまたは
複数の他の活性な薬剤と組み合わせて(同時か順次かにかかわらず)投与することができ
る。したがって、本発明の組成物、またはその製剤は、1つまたは複数の活性な薬剤と同
時に、それに先立って、またはその後に投与することができる。
【0033】
ある実施形態において、本発明の組成物は、マレイン酸ネラチニブの他に1つまたは複
数の他の活性な薬剤を包含する。一部の実施形態において、本発明の製剤は、別の抗癌化
合物とマレイン酸ネラチニブの両方を含む。
【0034】
本発明の組合せ組成物中に存在する追加の1つまたは複数の活性な薬剤の量は、典型的
には、唯一の治療剤として活性な薬剤を含む組成物で通常投与されるであろう量と同じ程
度であろう。本発明のある実施形態において、追加の活性な薬剤の量は、唯一の治療剤と
してその化合物を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲であろう。
【0035】
4.本発明の組成物の用途およびキット:
提供される組成物、およびその製剤は、癌を含む状態の治療において有用でもある。
【0036】
さらに他の実施形態において、本発明の組成物、およびその製剤の使用の獣医学的応用
(例えば、家畜、例えば、ウマ、イヌ、ネコなどの治療)が提供される。したがって、ヒ
ト対象について上で議論されたものに類似した獣医学的応用における提供される製剤の使
用が企図されている。
【0037】
本発明の組成物、およびその製剤を、併用療法において用いることができること、すな
わち、本発明の組成物、またはその製剤を、1つまたは複数の他の望ましい治療剤または
医学的手順と同時に、それに先立って、またはその後に投与することができることも理解
されるであろう。組合せレジメンにおいて用いるための特定の併用療法(治療剤または手
順)は、望ましい治療剤および/または手順ならびに達成されることになる望ましい治療
効果の適合性を考慮に入れるであろう。用いられる療法が、同じ障害にとって望ましい効
果を達成することができること(例えば、ある製剤を、同じ障害を治療するのに使用され
る別の化合物と同時に投与することができること)、または用いられる療法が、異なる効
果(例えば、任意の有害作用の制御)を達成することができることも理解されるであろう
。本明細書において使用されるように、特定の疾患、または状態を治療または予防するた
めに通常投与される追加の治療用化合物は、「治療されている疾患、または状態にとって
適切である」として知られている。
【0038】
他の実施形態において、本発明の組成物、およびその製剤、ならびに単位剤形は、癌の
治療において有用な医薬品を包含するがそれに限定されない医薬品の調製において有用で
ある。
【0039】
さらに、本発明の組成物、およびその製剤、ならびに容器(例えば、ホイルまたはプラ
スチック包装、または他の適当な容器)を含む医薬用のパックおよび/またはキットが本
発明により包含される。場合により、そのようなキットには、使用説明書もさらに提供さ
れる。
【0040】
本明細書に記載されている本発明をより完全に理解するために、下記の実施例を示す。
これらの実施例は、例示目的のみのためであり、どのような形でも本発明を制限すると解
釈されるべきではないことを理解されたい。
【0041】
本発明の態様の各々のすべての特徴は、必要な変更を加えて、すべての他の態様に当て
はまる。
実施例
【実施例1】
【0042】
腸溶コーティングされた球状体粒子としてのマレイン酸ネラチニブの調製。
ステップ1.マレイン酸ネラチニブ球状体粒子の調製(押し出し/球状化法を使用する)

マレイン酸ネラチニブ(140g)およびAvicel PH101(60g)を3分
にわたってプラスチック容器中でバッグブレンドし、Hobartミキサー中に移した。
内容物を30秒にわたって乾式混合した。Polysorbate−80(商標)溶液(
0.25%w/w)を調製した。次いで、この溶液100gを、内容物を継続的に混合し
ながら、少しずつ増やしてHobartミキサーに加えた。湿塊が得られた。湿塊を、4
0rpmのフィーダー速度および80rpmのかき混ぜ機速度に設定されたNica E
xtruderに通して押し出した。小さな押出物が得られた。次いで、押出物を900
rpmの速度に設定されたNica Spheronizer中で3分にわたって球状化
させた。球状体を、2.5%(範囲:2〜3%)の最終含水率までトレイ乾燥した。球状
体を、18メッシュ(1000ミクロン)および35メッシュ(500ミクロン)スクリ
ーンのカットまで篩にかけた。スクリーニングされた球状体材料(35メッシュスクリー
ン上に残っている)を、サブコーティングステップで使用した。
【0043】
ステップ2.ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)によるマレイン酸ネラチ
ニブ球状体粒子のサブコーティング:球状体を、ボトムWusterスプレー付きの流動
床プロセッサー中にロードした。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの15%w/w溶
液、3cpsを調製した。50゜±5℃の入口温度を使用してヒドロキシプロピルメチル
セルロース(HMPC)溶液を塗布した。このプロセスを、1.2%(範囲:1〜4%)
の重量増加まで行った。次いで、球状体を、15分にわたって流動床中で乾燥した。
【0044】
ステップ3.Acryl−Eze MPによるサブコーティングされたマレイン酸ネラチ
ニブ球状体粒子の腸溶コーティング:
HMPCでコーティングされた球状体を、ボトムWusterスプレー付きの流動床プ
ロセッサー中にロードした。20%固形物含量のAcryl−Eze MP(商標)溶液
を調製し、腸溶コーティング溶液を、32゜±3℃の入口温度を使用して塗布した。この
プロセスを、16.9%(範囲:16〜30%)の重量増加が得られるまで行った。腸溶
コーティングされた球状体を、15分にわたって流動床中で乾燥した。次いで、球状体を
プラスチック容器中に保存した。
【0045】
ステップ4.コーティングされたマレイン酸ネラチニブ球状体粒子のカプセル調製:
腸溶コーティングされた球状体を、必要とされる強度に従ってHPMCカプセルに充填
する。腸溶コーティングされた球状体の抗力は、1カプセル当たりに充填されることにな
る量を決定した。
【実施例2】
【0046】
例示的なマレイン酸ネラチニブ製剤。
【0047】
【表1】

【実施例3】
【0048】
マレイン酸ネラチニブのコーティングされた球状体製剤の薬物動態評価
経口投与のための発明されたマレイン酸ネラチニブ製剤および2つの他のマレイン酸ネ
ラチニブ製剤を、表1および図1に要約されるように、6頭の絶食雄性ビーグル犬(10
.2〜15.7kg)において評価した。
【0049】
【表2】

【0050】
投与から0(投与前)、0.5、1、2、4、6、8、12、24および48時間後に
血液サンプルを採取し、血漿を分離してマレイン酸ネラチニブ含量についてアッセイした
。経口錠剤投与後の個別のイヌの血漿マレイン酸ネラチニブ濃度−時間プロファイルを、
ノンコンパートメント薬物動態分析(WinNonlin、Model200)に供した
。下記の薬物動態パラメーターを各イヌについて決定し、記述統計値:AUC、Cmax
、tmaxおよびt1/2を算出した。投与量正規化AUC値は、個別のイヌの体重に対
して投与量を正規化することにより算出した。高い変動性が、経口投与後のマレイン酸ネ
ラチニブのCmaxおよびAUC値において観察された。腸溶コーティングされた球状体
からのマレイン酸ネラチニブのCmaxおよびAUC値は、臨床治験において使用される
マレイン酸ネラチニブの他の錠剤製剤から観察されるものと定性的に類似している。
【0051】
カプセル製剤中のマレイン酸ネラチニブの腸溶コーティングされた球状体の経口生物学
的利用能(21%)は、クリニックにおいて現在使用されている他のHKIマレイン酸塩
錠剤製剤(17%)よりもわずかに高かった。腸溶コーティングされた球状体製剤の遅延
時間の増加に加えて、CmaxおよびTmaxは、そのようなマレイン酸ネラチニブ錠剤
製剤と比較して有意に高い。
【実施例4】
【0052】
マレイン酸ネラチニブ製剤についての有害作用の比較
腸溶コーティングされている球状体カプセル剤の形態である本発明のマレイン酸ネラチ
ニブ製剤は、臨床のマレイン酸ネラチニブ錠剤製剤の湿式造粒された錠剤と比較して、有
害事象(嘔吐、下痢、悪心)を回避する。実施例3に要約されている試験における有害事
象を表2に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
嘔吐/水様便が、湿式造粒されたマレイン酸ネラチニブ錠剤製剤について観察され、一
方、発明されたマレイン酸ネラチニブ製剤の投与は、嘔吐/水様便の発生をもたらさなか
った。
【実施例5】
【0055】
健常対象の単回投与マレイン酸ネラチニブ臨床試験において観察される胃腸有害事象の概

臨床試験では、192名の健常対象に5回のマレイン酸ネラチニブの単回投与を行った
。有害事象が観察され、以下の通り分類された:
− グレード1胃腸有害事象(GI AE)約25%〜40%
− グレード2胃腸有害事象(GI AE)約15%
【0056】
グレード1および2の胃腸有害事象は、健常対象の臨床試験において観察される有害事
象として優位を占めた。さらなる試験において、2つの異なる単回投与量レベル(400
mgおよび800mg)における健常対象データは、ネラチニブが、図2に要約されてい
るように、局所作用による胃腸有害事象を生じることを示唆している。実際に、絶食の4
00mgと800mgの間の胃腸有害事象の頻度および重症度は、観察された有害事象の
平準化で、投与量(CmaxでもAUCでもなく)により最も有意に影響を受けた。結果
は、有害事象が胃腸系から局所的に生じることを示した。
【実施例6】
【0057】
癌患者の複数回投与マレイン酸ネラチニブ臨床試験において観察される胃腸有害事象
癌患者(400名を超える患者)においてマレイン酸ネラチニブ(単剤および組合せ)
を使用する6つの異なる複数回投与臨床試験も、胃腸有害事象が、癌患者の臨床試験にお
いて観察される有害事象として優位を占めることを示した。癌患者の臨床試験における有
害事象が観察され、以下の通り分類された:
− 悪心、嘔吐、下痢、脱水症、食欲不振(約95%)
− 無力症、疲労(約30〜60%)
− 発疹(約20〜25%)
− ALT、AST上昇(<10%)
【実施例7】
【0058】
胃腸耐容性に対するケトコナゾールの同時投与の効果
曝露試験を行い、胃腸耐容性がマレイン酸ネラチニブの全身曝露と関係しているかどう
かを決定した。結果は、胃腸耐容性(下痢)が全身曝露と関係していないことを示した。
【0059】
【表4】

【0060】
胃腸有害事象を報告した対象
【0061】
【表5】

【実施例8】
【0062】
延長放出マレイン酸ネラチニブ製剤
【0063】
【表6】
図1
図2