【実施例】
【0036】
実験例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0037】
[実験1]
(まつ毛用洗浄剤A)
実験1のまつ毛用洗浄剤Aは、下記の各構成成分を混ぜて製造した。先ず、秤量した各成分原料を水に混合した。その後、水に混合した成分原料を75℃前後で加熱撹拌して、水中に溶解し、均一化させた。試験に用いたまつ毛用洗浄剤Aの成分と含有量を以下に示す。残部は水である。
【0038】
・イソステアリン酸PEG−25グリセリル:1質量%
・コレカルシフェロール(ビタミンD):0.000025質量%
・オタネニンジン根エキス:0.000002質量%
・クジェルマニエラギラタエキス:0.000004質量%
【0039】
(試験方法)
被験者を30歳〜79歳の男女計20名とし、平行群間比較試験(オープン試験)で行った。各被験者は、2ヶ月間、起床時と就寝時にまつ毛用洗浄剤Aを使用した。使用方法としては、各被験者は、起床後と就寝前に使用した。被験者のうち女性被験者は、通常使用しているアイメイクアップリムーバー等で通常通りの洗顔を行った。男性被験者及び前記洗顔後の女性被験者は、その後、まつ毛用洗浄剤Aを手に取り、目元に伸ばし、まつ毛の根元の汚れを落とすように軽くマッサージして洗い流した。
【0040】
こうした試験を行い、使用する前、1ヶ月経過後、2ヶ月経過後における目の状態、マイボーム腺の閉塞度、まつ毛の長さ、まつ毛の汚れ度について調べた。その結果を、
図1〜
図4にそれぞれ示した。なお、
図1において、(A)(C)は使用前の写真であり、(B)(D)は2ヶ月経過後の写真である。
【0041】
(マイボーム腺の閉塞度の評価)
マイボーム腺は目の縁に通常20個〜30個並んでいるが、そのマイボーム腺の閉塞度を以下のスコアで評価し、
図2に示した。結果は20人の範囲と平均値で示した。使用前の0日はスコア平均が3.31であった。1ヶ月経過時はスコア平均が2.63であった。2ヶ月経過時はスコア平均が2.31であった。マイボーム腺の閉塞度は、使用期間の経過と共に改善した。
【0042】
・スコア0:閉塞なし
・スコア1:25%以下が閉塞
・スコア2:25%を超え50%以下が閉塞
・スコア3:50%を超え75%以下が閉塞
・スコア4:75%を超えて閉塞
【0043】
(まつ毛の長さ)
まつ毛の長さを写真から評価し、
図3に示した。結果は20人の範囲と平均値で示した。使用前の0日はまつ毛の長さ平均が7.44mmであった。1ヶ月経過時はまつ毛の長さ平均が8.38mmであった。2ヶ月経過時はまつ毛の長さ平均が8.90mmであった。まつげの長さは、使用期間の経過と共に伸長した。
【0044】
(まつ毛の汚れ度)
まつ毛の汚れ度を以下のスコアで評価し、
図4に示した。結果は20人の範囲と平均値で示した。使用前の0日はスコア平均が0.75であった。1ヶ月経過時はスコア平均が0.19であった。2ヶ月経過時はスコア平均が0.00であった。まつげの汚れ度は、使用期間の経過と共に改善した。
【0045】
・スコア0:クリア
・スコア1:ほんの少し汚い
・スコア2:少し汚い
・スコア3:汚い
・スコア4:とても汚い
【0046】
以上の試験によって、被験者は、まつ毛用洗浄剤Aの使用により、目の不快感の解消、まつ毛の衛生の向上、マイボーム腺のつまりの解消、まつ毛の伸張という結果が得られ、本発明の効果を確認できた。また、被験者は、乾燥感がなく、ドライアイの改善も感じ取ることができた。
【0047】
[実験2及び比較実験1〜6]
以下の実験2及び比較実験1〜6のまつ毛用洗浄剤を用いて試験した。試験は、被験者に対し、実験1のような2ヶ月間という長期間ではなく、2週間という短期間であるが、実験1と同様の効果が得られているか否かについての感応評価試験を行った。以下では、実験2及び比較実験1〜6のまつ毛用洗浄剤B〜Hの構成成分と、その感応評価の結果を示す。
【0048】
(実験2)
実験2のまつ毛用洗浄剤Bは、実験1のまつ毛用洗浄剤Aの構成成分を以下の含有割合に変更して製造した。
【0049】
・イソステアリン酸PEG−25グリセリル:2質量%
・コレカルシフェロール(ビタミンD):0.00025質量%
・オタネニンジン根エキス:0.00002質量%
・クジェルマニエラギラタエキス:0.00004質量%
【0050】
(比較実験1)
比較実験1のまつ毛用洗浄剤Cは、実験1のまつ毛用洗浄剤Aの構成成分を以下のように変更して製造した。このまつ毛用洗浄剤Cは、ビタミンDを含有させていない。
【0051】
・イソステアリン酸PEG−25グリセリル:1質量%
・オタネニンジン根エキス:0.000002質量%
・クジェルマニエラギラタエキス:0.000004質量%
【0052】
(比較実験2)
比較実験2のまつ毛用洗浄剤Dは、実験1のまつ毛用洗浄剤Aの構成成分を以下のように変更して製造した。このまつ毛用洗浄剤Dは、オタネニンジン根エキスを含有させていない。
【0053】
・イソステアリン酸PEG−25グリセリル:1質量%
・コレカルシフェロール(ビタミンD):0.000025質量%
・クジェルマニエラギラタエキス:0.000004質量%
【0054】
(比較実験3)
比較実験3のまつ毛用洗浄剤Eは、実験1のまつ毛用洗浄剤Aの構成成分を以下のように変更して製造した。このまつ毛用洗浄剤Eは、クジェルマニエラギラタエキスを含有させていない。
【0055】
・イソステアリン酸PEG−25グリセリル:1質量%
・コレカルシフェロール(ビタミンD):0.000025質量%
・オタネニンジン根エキス:0.000002質量%
【0056】
(比較実験4)
比較実験4のまつ毛用洗浄剤Fは、実験1のまつ毛用洗浄剤Aの構成成分を以下のように変更して製造した。このまつ毛用洗浄剤Fは、ビタミンDとオタネニンジンエキスを含有させていない。
【0057】
・イソステアリン酸PEG−25グリセリル:1質量%
・クジェルマニエラギラタエキス:0.000004質量%
【0058】
(比較実験5)
比較実験5のまつ毛用洗浄剤Gは、実験1のまつ毛用洗浄剤Aの構成成分を以下のように変更して製造した。このまつ毛用洗浄剤Gは、ビタミンDとクジェルマニエラギラタエキスを含有させていない。
【0059】
・イソステアリン酸PEG−25グリセリル:1質量%
・オタネニンジン根エキス:0.000002質量%
【0060】
(比較実験6)
比較実験6のまつ毛用洗浄剤Hは、実験1のまつ毛用洗浄剤Aの構成成分を以下のように変更して製造した。このまつ毛用洗浄剤Hは、オタネニンジンエキスとクジェルマニエラギラタエキスを含有させていない。
【0061】
・イソステアリン酸PEG−25グリセリル:1質量%
・コレカルシフェロール(ビタミンD):0.000025質量%
【0062】
(感応評価試験)
実験2及び比較実験1〜6のまつ毛用洗浄剤B〜Hを、それぞれ2名の男性被験者に対して2週間使用した。使用方法は、実験1と同様の方法で行った。具体的には、被験者は、2週間、起床時と就寝時に通常通りの洗顔を行い、その後、まつ毛用洗浄剤を手に取り、目元に伸ばし、まつ毛の根元の汚れを落とすように軽くマッサージして洗い流した。
【0063】
(感応評価結果)
感応評価として、被験者に対して問診し、不快感等の感応評価を行った。さらに、被験者のまつ毛の長さを測定した。
【0064】
問診による感応評価では、全ての被験者は、まつ毛用洗浄剤B〜Hのいずれの場合も、まつ毛用洗浄剤Aの使用時と同様、「目の不快感が解消してまつ毛の衛生感の向上が感じられた」という結果が得られた。また、全ての被験者は、まつ毛用洗浄剤B〜Hのいずれの場合に、「目にしみることがなかった」という結果が得られた。このことから、洗浄成分を含有するまつ毛用洗浄剤B〜Hは、洗浄成分が効果的に作用し、マイボーム腺の閉塞度が実験1と同様に改善されているものと推察できた。
【0065】
また、被験者は、保湿作用のあるクジェルマニエラギラタエキスを含むまつ毛用洗浄剤B,C,D,Fの場合に、「乾燥感がなく、ドライアイの改善を感じ取ることができた」という結果が得られた。
【0066】
まつ毛の伸びについては、試験期間が2週間であったにもかかわらず、ビタミンDとオタネニンジンエキスを含むまつ毛用洗浄剤B,Eでは、1mm程度の伸びが確認された。しかし、ビタミンDとオタネニンジンエキスのいずれかを含まないまつ毛用洗浄剤C,D,F,G,Hでは、明らかな伸びは認められなかった。
【0067】
以上の実験結果により、「発明を実施するための形態」欄に記載の洗浄成分、ビタミンD、育毛成分及び抜け毛防止成分の作用効果とそれらの含有量の範囲を裏付けた。特にまつ毛用洗浄剤A,Bを用いた具体的な実験A,Bでは、洗浄成分であるイソステアリン酸PEG−25グリセリルは1質量%〜2質量%の範囲で本発明の作用効果があることを確認した。ビタミンDであるコレカルシフェロールは0.000025質量%〜0.00025質量%の範囲で本発明の作用効果があることを確認した。育毛成分であるオタネニンジン根エキスは0.000002質量%〜0.00002質量%の範囲で本発明の作用効果があることを確認した。抜け毛防止成分であるクジェルマニエラギラタエキスは0.000004質量%〜0.00004質量%の範囲で本発明の作用効果があることを確認した。