【実施例】
【0025】
次に、本実施形態における非水電解液二次電池用セパレータを、実施例を用いて説明する。なお本発明は以下に示される実施例に限定されるものではない。
【0026】
[実施例1]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維75質量%、フィブリル化セルロース繊維5質量%(0.3g/m
2/30μmに相当)、平均繊維径2μmで繊維長3mmのポリエステル繊維10質量%、平均繊維径10μmで繊維長5mmの芯鞘型繊維(芯:ポリエステル、鞘:変性ポリエステル)10質量%を水中に分散し坪量6g/m
2の不織布シートを抄造した。この不織布シートにラテックスバインダ(日本A&L製AL−3001A)を塗布後質量に対して20質量%となる量(1.5g/m
2/30μmに相当)を塗布したのち、厚さ30μmにプレスしてセパレータを作製した。
ここで、使用したガラス短繊維は火炎法により製造し、その繊維長は0.1〜10mm程度であった。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.8kg、耐短絡強度が1.2kgf、空隙率が85%、ガーレー透気度が0.5s/100mL、平均孔径が2.9μmであった。
【0027】
[実施例2]
ガラス繊維として平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を1:3質量比で混合したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.8kg、耐短絡強度が1.3kgf、空隙率が85%、ガーレー透気度が0.5s/100mL、平均孔径が2.0μmであった。
【0028】
[実施例3]
ガラス繊維として平均繊維径0.6μmのもののみを用いたこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.8kg、耐短絡強度が1.2kgf、空隙率が85%、ガーレー透気度が0.4s/100mL、平均孔径が4.9μmであった。
【0029】
[実施例4]
バインダ塗布量を塗布後質量に対して30質量%(2.6g/m
2/30μmに相当)となる量としたこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.0kg、耐短絡強度が3.0kgf、空隙率が83%、ガーレー透気度が1.5s/100mL、平均孔径が2.9μmであった。
【0030】
[実施例5]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維80質量%、平均繊維径2μmのポリエステル繊維10質量%、平均繊維径10μmの芯鞘型繊維(芯:ポリエステル、鞘:変性ポリエステル)10質量%を用いて抄造したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.2kg、耐短絡強度が1.0kgf、空隙率が85%、ガーレー透気度が0.4s/100mL、平均孔径が4.0μmであった。
【0031】
[実施例6]
プレスにより厚さ45μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.0kg、耐短絡強度が1.4kgf、空隙率が90%、ガーレー透気度が0.4s/100mL、平均孔径が3.5μmであった。
【0032】
[実施例7]
平均繊維径2μmで繊維長3mmのポリエステル繊維20質量%を用いて抄造したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.5kg、耐短絡強度が1.3kgf、空隙率が85%、ガーレー透気度が0.4s/100mL、平均孔径が2.8μmであった。
【0033】
[実施例8]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維68質量%、フィブリル化セルロース繊維2質量%(0.21g/m
2/30μmに相当)、平均繊維径2μmで繊維長3mmのポリエステル繊維30質量%を水中に分散し坪量10.5g/m2の不織布シートを抄造した。この不織布シートにラテックスバインダ(日本A&L製AL−1002)を塗布後質量に対して23質量%となる量(3.1g/m
2/30μmに相当)を塗布したのち、厚さ30μmにプレスしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.2kg、耐短絡強度が9kgf、空隙率が77%、ガーレー透気度が1.8s/100mL、平均孔径が2.0μmであった。
【0034】
[実施例9]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維68質量%、フィブリル化セルロース繊維2質量%(0.24g/m
2/30μmに相当)、平均繊維径2μmで繊維長3mmのポリエステル繊維30質量%を水中に分散し坪量12g/m
2の不織布シートを抄造した。この不織布シートにラテックスバインダ(日本A&L製AL−1002)を塗布後質量に対して20質量%となる量(3.0g/m
2/30μmに相当)を塗布したのち、厚さ30μmにプレスしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.2kg、耐短絡強度が10kgf、空隙率が74%、ガーレー透気度が2.5s/100mL、平均孔径が1.6μmであった。
【0035】
[実施例10]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維68質量%、フィブリル化セルロース繊維2質量%(0.21g/m
2/30μmに相当)、平均繊維径2μmで繊維長3mmのポリエステル繊維30質量%を水中に分散し坪量10.5g/m
2の不織布シートを抄造した。この不織布シートにラテックスバインダ(日本A&L製AL−3001A)を塗布後質量に対して23質量%となる量(3.1g/m
2/30μmに相当)を塗布したのち、厚さ30μmにプレスしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.2kg、耐短絡強度が7kgf、空隙率が77%、ガーレー透気度が1.1s/100mL、平均孔径が2.1μmであった。
【0036】
[比較例1]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維95質量%、フィブリル化セルロース繊維5質量%(0.3g/m
2/30μmに相当)を用いて抄造したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が0.5kg、耐短絡強度が1.4kgf、空隙率が85%、ガーレー透気度が0.7s/100mL、平均孔径が2.5μmであった。
【0037】
[比較例2]
バインダを塗布しないこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.0kg、耐短絡強度が0.4kgf、空隙率が90%、ガーレー透気度が0.2s/100mL、平均孔径が2.9μmであった。
【0038】
[比較例3]
バインダ塗布量を塗布後質量に対して40質量%(4.0g/m
2/30μmに相当)としたこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.0kg、耐短絡強度が3.0kgf、空隙率が81%、ガーレー透気度が3.6s/100mL、平均孔径が2.9μmであった。
【0039】
[比較例4]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維からなるガラス繊維55質量%、フィブリル化セルロース繊維5質量%(0.3g/m
2/30μmに相当)、平均繊維径2μmのポリエステル繊維20質量%、平均繊維径10μmの芯鞘型繊維(芯:ポリエステル、鞘:変性ポリエステル)20質量%を用いて抄造したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.5kg、耐短絡強度が0.7kgf、空隙率が85%、ガーレー透気度が0.2s/100mL、平均孔径が7μmであった。
【0040】
[比較例5]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維からなるガラス繊維55質量%、フィブリル化セルロース繊維5質量%(0.2g/m
2/30μmに相当)、平均繊維径2μmのポリエステル繊維20質量%、平均繊維径10μmの芯鞘型繊維(芯:ポリエステル、鞘:変性ポリエステル)20質量%を用いて抄造したこと以外は実施例6と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.8kg、耐短絡強度が0.9kgf、空隙率が90%、ガーレー透気度が0.2s/100mL、平均孔径が8μmであった。
【0041】
[比較例6]
バインダ塗布量を塗布後質量に対して30質量%(4.5g/m
2/30μmに相当)としたこと以外は実施例8と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.2kg、耐短絡強度が10kgf、空隙率が73%、ガーレー透気度が3.2s/100mL、平均孔径が1.6μmであった。
【0042】
[比較例7]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維60質量%、フィブリル化セルロース繊維20質量%(1.2g/m
2/30μmに相当)、平均繊維径2μmのポリエステル繊維10質量%、平均繊維径10μmの芯鞘型繊維(芯:ポリエステル、鞘:変性ポリエステル)10質量%を用いて抄造したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.0kg、耐短絡強度が1.8kgf、空隙率が89%、ガーレー透気度が3.6s/100mL、平均孔径が1.6μmであった。
【0043】
[比較例8]
平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維からなるガラス繊維80質量%、平均繊維径2μmのポリエステル繊維10質量%、平均繊維径10μmの芯鞘型繊維(芯:ポリエステル、鞘:変性ポリエステル)10質量%を水中に分散し坪量12g/m
2の不織布シートを抄造した。この不織布シートにラテックスバインダ(日本A&L製AL−3001A)を塗布後質量に対して12質量%となる量(1.6g/m
2/30μmに相当)を塗布したのち、厚さ30μmにプレスしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.2kg、耐短絡強度が11kgf、空隙率が77%、ガーレー透気度が2.8s/100mL、平均孔径が0.9μmであった。
【0044】
これら実施例1〜10および比較例1〜8のセパレータを用いて、前述した18650円筒型セルのリチウムイオン二次電池を作製し、下記の項目について特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0045】
[巻回可否]
円筒型セル作製時において、セパレータに破断や亀裂が10セル中2セル以上の頻度で生じたものを×、10セル中1セルで生じたものを△、全く生じなかったものを○とし、巻回可否を評価した。
【0046】
[短絡有無]
充放電試験において全数正常に動作したものを○、短絡により電圧が上昇しなかったセルが10セル中2セル以上あったものを×、10セル中1セルのものを△として短絡有無を評価し、短絡有無1とした。
また、前述した円筒型セルにおいて、負極活物質として天然球状黒鉛(平均粒径20μm)を用いたこと以外は同様に作製したセルを用いて、同様に短絡有無を評価し、短絡有無2とした。
【0047】
[電池特性(放電レート特性)]
充放電試験装置を用いて、1.0Vから2.5Vの間で、0.2C CCCV充電、0.2C CC放電、0.2C CCCV充電、2C CC放電の順に行い、0.2C放電容量に対する2C放電容量の容量維持率を求め、電池特性、すなわち放電レート特性を評価した。評価においては、60%以上を○、50%以上60%未満を△、50%未満を×とした。
【0048】
また、セパレータ特性の評価項目として、セパレータの引張強度および伸びも測定した。伸びとは、JIS P8113に基づき測定した最大引張荷重およびその時の伸びである。なお、ここでいう引張強度および伸びはMD方向を測定したものである。また、試験片の幅は25mm、試験長さは50mm、伸張速度は10mm/minで測定を行った。
【0049】
【表1】
【0050】
通常セパレータの強度は引張強度と伸びによって評価されることが多いが、実施例3、実施例5の結果から分かるように、高い引張強度と大きな伸びを有するセパレータにおいても低い巻回破損強度を有する場合もあり、引張強度と伸びでは正確に巻回電池の作成時における破損の発生を評価できていないことが分かった。
比較例1および比較例2において巻回可否の評価が×であることから、巻回破損強度を1.2kg以上とすることで、巻回電池作製時の破損の可能性を小さくすることができ、1.5kg以上とすることで破損を防ぐことができることが分かった。
また、比較例2において短絡有無1が×であることから、耐短絡強度を1.2kgf以上とすることにより短絡を防ぐことができることが分かった。ただし、実施例8〜10に示すように、粒径が大きい電極活物質を使用した場合は、耐短絡強度をより大きくする必要があることが分かった。
また、比較例3〜8において電池特性が×であることから、ガーレー透気度を3s/100mL以下とし、平均孔径を1〜5μmとすることによって電池特性(放電レート特性)をよくすることができることが分かった。すなわち、透気度だけではなく、セパレータの平均孔径を適当な大きさにすることによって放電レート特性をより向上させることが可能であることが分かった。