(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記家具は背もたれを有する椅子であり、前記取付面は、前記背もたれの背面であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の折畳み式テーブルを備えた家具。
【背景技術】
【0002】
例えば、劇場、講堂、会議場、講義室等において、複数の椅子を前後左右に並べて複数設置される椅子において、その背もたれに、物品等を載置したり、その天面(使用面)上で筆記作業等を行うことのできるテーブルを備えたものがある。このようなテーブルを備えた椅子(テーブル付き家具)は、後列の椅子に着席した使用者が、前列の椅子の背もたれに設けられたテーブルを使用する。
そして、同じ列に並んだ複数の椅子間における着席者の移動を容易とするため、テーブル天板の使用面が略上方を向いた使用状態と、テーブル天板を回動させて背もたれに沿わせた不使用状態との間で、テーブル天板を回動できるようにしたものがある。
【0003】
このようなテーブルは、使用者が対向した状態でテーブル天板の左右両端部が背もたれに回動自在に支持されている。そして、使用状態と不使用状態との間で、テーブル天板の回動角度を規制するため、ストッパ機構が備えられている。
【0004】
このような折畳み式テーブルを備えた家具においては、使用者がテーブル天板を回動させるときに、指等をストッパ機構等に挟まないようにする必要がある。
【0005】
そこで、特許文献1には、椅子の背凭れの背面に固定される支持ベースを、テーブル本体を支持する回動ケース内に回動可能に収容するとともに、回動ケースの内部に設けた円弧状凹部と、支持ベースから突設して回動ケースの内部に隠されるストッパピンとによって、回動ケース、およびそれに支持されるテーブル本体の回動範囲を規制する構成が開示されている。
【0006】
また、特許文献1に記載の構成においては、テーブル本体の前端側を回転中心として折り畳んだテーブルは、テーブル本体を立てた状態で、下方にスライドさせて収納している。
このようなスライド動作時に、テーブル天板が不用意に下方に落ちてストッパピン等に各部がぶつかると、周囲に衝撃音が生じたりする可能性がある。
【0007】
そこで、特許文献2には、テーブル本体と、テーブル本体を収容する収納部内に、テーブル本体の移動によって回転するローラ部と、ローラ部の回転に対して抵抗力を付与するロータリーダンパーとを備える構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示されたローラ部およびロータリーダンパーは、箱状の収納部内にテーブル本体を収容する構造であるために収納部の内周面とテーブル本体との間で抵抗力を付与できるのであり、収容部を備えない構成においては、ローラ部およびロータリーダンパーを設けることができない。また、例えば、背もたれにローラ部およびロータリーダンパーを設けることは可能であるが、その場合、これらが露出することになり、使用者が指を挟む恐れがあるため、現実的ではない。
そこでなされた本発明の目的は、箱状の収納部を備えなくとも、テーブル天板が不用意に落下したりすることなく、動作をスムーズなものとすることのできる折畳み式テーブルを備えた家具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、折畳み式テーブルを備えた家具であって、家具本体と、テーブル天板と、テーブル天板の幅方向両端部を支持し、テーブル天板の使用面を上方に向けた使用状態と、テーブル天板の使用面を家具本体の取付面に対向させた不使用状態との間で姿勢変化可能に支持する一対の支持部材と、を備え、支持部材は、取付面に固定されたブラケット部材と、ブラケット部材に設けられ、テーブル天板を回動自在に軸支する軸支部材と、軸支部材に回動自在に軸支されるとともに、テーブル天板を使用面に沿った方向にスライド可能に支持する回動部材と、テーブル天板を不使用状態から使用状態に向けて回動させたときに、テーブル天板および回動部材の少なくとも一方に突き当たることでその回動角度を規制する回動角度規制部と、ブラケット部材と回動部材との間に設けられ、軸支部材に軸支された回動部材の回動動作に抵抗力を付与する第一のダンパーと、回動部材とテーブル天板との間に設けられ、回動部材に支持されたテーブル天板のスライド動作に抵抗力を付与する第二のダンパーと、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、家具本体の取付面に固定されるブラケット部材と、軸支部材に軸支された回動部材との間に第一のダンパーを設けることで、テーブル天板とともに回動する回動部材の回動動作に抵抗力を付与し、テーブル天板が急激に回動するのを防ぐ。
また、第二のダンパーにより、回動部材に支持されたテーブル天板のスライド動作に抵抗力を付与することで、テーブル天板が急激にスライドするのを防ぐ。
このようにして、これら第一のダンパーおよび第二のダンパーは、支持部材に内蔵されることとなるため、外部に露出することもなく、折畳みテーブルにおいては、箱状の収容部を備えることがなくても、テーブル天板の回動動作とスライド動作の双方に対してダンパー効果を有したものとすることができ、安全性を高めるとともに、動作をスムーズな上質感のあるものとすることができる。
ここで、ブラケット部材により、軸支部材、回動部材が覆われるようにするのが好ましい。これにより、使用者が可動部分に指を挟むのを防ぐことができる。
【0011】
第一のダンパー、第二のダンパーは、いかなる構成のものを用いても良いが、例えば、以下に示すようなものが好適である。
すなわち、テーブル天板の端部に、当該テーブル天板のスライド動作方向に伸びる直線状のラックギヤを備え、第二のダンパーとして、回動部材にロータリーダンパーが設けられ、第二のダンパーの回転軸に設けられたピニオンギヤが、ラックギヤに噛み合うよう設けられているものである。
このようなラックアンドピニオン機構を用いることで、テーブル天板に対しスライド動作時に抵抗力を確実に伝達できる。
ここで、回動部材に凹部が形成され、第二のダンパーの本体が凹部に収容されているのが好ましい。
【0012】
また、軸支部材が、ロータリーダンパーとして構成された前記第一のダンパーからなり、ブラケット
部材に第一のダンパーの本体が固定され、第一のダンパーの回転軸が回動部材に連結されている構成とすることができる。
【0013】
このような折畳み式テーブルを備えた家具は、いかなる種類のものであっても良いが、例えば、家具は背もたれを有する椅子であり、取付面は、背もたれの背面である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、家具本体の取付面に固定されるブラケット部材と、軸支部材に軸支された回動部材との間に第一のダンパーを設けることで、テーブル天板とともに回動する回動部材の回動動作に抵抗力を付与し、テーブル天板が急激に回動するのを防ぐ。
また、第二のダンパーにより、回動部材に支持されたテーブル天板のスライド動作に抵抗力を付与することで、テーブル天板が急激にスライドするのを防ぐ。
これら第一のダンパーおよび第二のダンパーは、支持部材に内蔵されることとなるため、外部に露出することもなく、折畳みテーブルにおいては、箱状の収容部を備えることがなくても、テーブル天板の回動動作とスライド動作の双方に対してダンパー効果を有したものとすることができ、安全性を高めるとともに、動作をスムーズな上質感のあるものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明による折畳み式テーブルを備えた家具を実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施形態に係るテーブル付き椅子(家具)10の一例を示す図である。以下の説明において、テーブル付き椅子10に使用者が着席した状態で使用者が前を向く側を「前方」、その反対側を「後方」とする。
この
図1に示すように、テーブル付き椅子10の椅子本体(家具本体、椅子)は、例えば劇場、講堂、ホール、会議場、講義室等において、複数の椅子を前後左右に並べて複数設置されるものであり、床面上に設置される一対の支持脚11,11と、これら一対の支持脚11,11間に設けられる背もたれ部材(背もたれ)12と、支持脚11,11間において背もたれ部材12の前方に設けられる座面部13とを備えている。そして、テーブル付き椅子10はこの椅子本体の背もたれ部材12の背面に、折畳みテーブル部(折畳み式テーブル)20を備えている。
【0018】
支持脚11,11は、床面上に下端部11a,11aが固定され、上方に向けて立設されるものであれば、いかなる材質、形状、構造であっても良い。
【0019】
背もたれ部材12は、板状の背もたれベース14と、この背もたれベース14の前方に設けられた背もたれパッド15と、を有する。これら背もたれベース14,背もたれパッド15についても、その材質、形状、構造は何ら限定するものではない。
【0020】
座面部13は、支持脚11,11にその幅方向両端部が支持され、座面が上方を向いた状態で使用される。この座面部13は、支持脚11,11に対して、座面が上方を向いた状態のまま固定された固定式としても良いし、
図1に図示した例のように、座面が上方を向いた状態と、座面が背もたれ部材12側を向いた状態との間で回動可能とされた跳ね上げ式としても良い。この座面部13についても、その材質、形状、構造は何ら限定するものではない。
【0021】
また、
図1に示した例では、支持脚11の上部に肘掛け部材16が一体に設けられている。この肘掛け部材16は、支持脚11とは別に独立して設けても良いし、肘掛け部材16を備えない構成とすることもできる。
【0022】
さらに、
図1に示した例では、1脚のテーブル付き椅子10のみを示しているが、このようなテーブル付き椅子10を複数連結して一体ユニットした構成としても良い。その場合、支持脚11は、互いに隣接する二つのテーブル付き椅子10,10どうしで共有する構成とすることもできる。
【0023】
さて、このようなテーブル付き椅子10の背もたれ部材12に設けられた折畳みテーブル部20は、板状のテーブル天板21と、背もたれ部材12の背面(取付面)12aに固定され、テーブル天板21の幅方向両端部を支持する一対の支持部材22,22と、から構成されている。
支持部材22,22は、テーブル天板21を、支持部材22,22どうしを結ぶ軸線を中心として回動可能に支持し、
図2および
図1(c)に示すように、テーブル天板21の使用面21aを上方に向けた使用状態と、
図3および
図1(b)に示すように、テーブル天板21を跳ね上げて使用面21aを背もたれ部材12の背面12aに対向させた跳ね上げ状態(不使用状態)と、
図4および
図1(a)に示すように、テーブル天板21を跳ね上げ状態から背面12aに対向させた状態のまま下方にスライドさせた収納状態(不使用状態)と、の間で姿勢を変化できるようになっている。
【0024】
以下、支持部材22の構成について説明する。なお、テーブル天板21の両側に位置する支持部材22,22は、左右対称な構成であるので、一方の側の支持部材22のみについて説明し、他方の側の支持部材22についてはその説明を省略する。
図5〜
図7に示すように、支持部材22は、背もたれ部材12の背面12aに固定されたベース部材30と、ベース部材30とともに背もたれ部材12の背面12aに固定されたカバーブラケット(ブラケット部材)40と、カバーブラケット40に固定され、テーブル天板21を回動自在に軸支する軸支部材50と、軸支部材50に支持され、テーブル天板21を使用面21aに沿った方向にスライド自在に支持する回動部材60と、回動部材60とテーブル天板21との間に設けられたスライドダンパー(第二のダンパー)70と、を有している。
【0025】
図7(a)、
図8に示すように、ベース部材30は、その一面側に、背もたれ部材12の背面12aに対向する取付面31を有し、他面側に、カバーブラケット40が固定されるプレート状のカバー固定部32が形成されている。
ベース部材30は、上下方向に長い矩形状をなし、カバー固定部32は、その上下に、平面状の取付面33a,33bと、取付面33a,33bに形成された貫通孔34a,34bとを有している。
【0026】
図7(a)、
図9に示すように、カバーブラケット40は、背もたれ部材12の背面12aに固定された状態において、背もたれ部材12の背面12a側の一端40aから、背もたれ部材12の背面12aから離間した側の他端40bに向けて、上下方向の長さが漸次縮小するよう、側面視略D字状に形成されている。
【0027】
図2、
図9に示すように、このカバーブラケット40は、テーブル天板21に対向する一方の側面側に、略半円弧状をなした凹所42が形成され、他方の側面側は、背もたれ部材12の背面12aに直交するよう立ち上がる側部カバー部43により覆われている。また、カバーブラケット40には、側部カバー部43の外周縁部に直交し、背もたれ部材12の背面12aに対向する側とは反対側を覆う外周カバー部44が形成されている。
【0028】
図7(a)、
図9に示すように、カバーブラケット40の一端40a側には、カバー固定部32の板厚分の深さを有した凹部45が形成され、この凹部45に、取付面33a,33bに対向する平面部45a,45bが形成されている。そして、平面部45a、45bには、貫通孔46a,46bが形成されている。
カバーブラケット40は、カバー固定部32を凹部45に挿入し、平面部45a,45bをベース部材30の取付面33a,33bに対向させた状態で、取付面33bおよび平面部45bに形成された仮止め孔35,47(
図8(a)、
図9(a)参照)にビスBをねじ込むことで、ベース部材30と仮組みできるようになっている。そして、仮組したベース部材30とカバーブラケット40とを、背もたれ部材12の背面12aに突き当て、貫通孔46a,46bおよび34a,33bにボルトをそれぞれ貫通させ、その先端部を背面12aに予め形成されたネジ孔にねじこむことによって背もたれ部材12に固定される。
カバーブラケット40の凹所42は、ベース部材30と一体化された状態で、テーブル21に対向した側の側方にのみ開口する。
【0029】
図6、
図9に示すように、カバーブラケット40の側部カバー部43において、凹所42側の表面には、一方向に長く他方向に長い形状の回動ダンパー取付穴48が形成されている。
回動ダンパー取付穴48には、回動ダンパー取付穴48に嵌り込む形状を有したロータリーダンパー(第一のダンパー)51の本体51aが嵌め込まれてネジ止めされ、これによって本体51aがカバーブラケット40に固定される。ロータリーダンパー51の本体51aの、凹所42への突出寸法を抑えるため、側部カバー部43には、本体51aの厚さに応じ、凹所42側とは反対側に膨出する膨出部43aが形成されている。
【0030】
このロータリーダンパー51は、軸支部材50を構成するもので、本体51aから、凹所42内に突出する回転軸52を有し、本体51aに内蔵されたダンパー機構により、回転軸52の軸線周りの回動に対し、減衰力を付与する。このとき、ダンパー機構では、回転軸52の一方向のみの回転に対し、減衰力を付与する、いわゆるワンウェイのダンパー機能を有するのが好ましい。 また、
図7(a)に示すように、回転軸52には、回転駆動力を伝達するため、互いに平行な平面部52a,52aが形成されている。
【0031】
回動部材60は、カバーブラケット40の凹所42内に収容された回動プレート部61を有する。
図10に示すように、この回動プレート部61は、その外周部に、凹所42の内周形状に沿う、円弧状の外周面62を有する。
【0032】
回動プレート部61には、長円形の軸穴65が形成されている。この軸穴65には、回転軸52が挿入され、平面部52a,52aが軸穴65の直線部65a,65aに対向する。これにより、回動部材60の回動プレート部61がロータリーダンパー51の回転軸52に連結され、カバーブラケット40の凹所42内において、軸穴65に挿入された回転軸52を中心として回動可能に設けられている。
【0033】
図6に示すように、このような回動プレート部61と、カバーブラケット40の凹所42の底面42aとの間には、凹所42の外形形状に応じたディスク状のワッシャ90が配置されている。このワッシャ90は、ナイロン系樹脂等、回動プレート部61が凹所42内で回動するときの摩擦を低減する材料で形成されている。
【0034】
図10に示すように、回動プレート部61において、この回動プレート部61をカバーブラケット40の凹所42内に収容した状態で、凹所42の開口側を向く一面61a側には、テーブル天板21をスライド自在に支持するためのガイド壁部66,67が、一面61aに直交して立設されている。このガイド壁部66,67は、凹所42から外部に露出するよう設けられている。
図7(b)に示すように、これらガイド壁部66,67間には、互いに平行な平面からなるガイド面66a,67aが形成されている。
【0035】
テーブル天板21の幅方向両端部には、テーブル天板21の端部に沿ってそれぞれ連続するスライドレール80がビス留めされて設けられ、このスライドレール80が、ガイド面66a,67aの間に挿入され、ガイド面66a,67aに沿った方向にスライド移動自在とされている。
【0036】
図11に示すように、ガイド面66a,67aの間の溝底面には、円板状のスライドパッド68が固定されている。このスライドパッド68は、ナイロン系樹脂等から形成され、その表面がスライドレール80の側面に対向または接触することで、スライドレール80のスライド移動を滑らかに行うとともに、ガタツキを抑えるようになっている。
【0037】
この回動部材60には、スライドダンパー70を収容する凹部69が形成されている。
図7、
図11に示すように、スライドダンパー70は、いわゆるロータリーダンパーであり、ピニオンギヤ71を有した回転シャフト72と、回転シャフト72を回動自在に支持するとともに、回転シャフト72の回動動作を減衰するダンパー機能を有した本体73と、を有する。このスライドダンパー70は、回動プレート部61側から凹部69内に挿入されて本体が収容され、ピニオンギヤ71が、ガイド壁部67のガイド面67a側からガイド面66a,67aの間の溝内に露出するよう設けられている。
【0038】
スライドレール80には、テーブル天板21のスライド動作方向に伸びる直線状のラック溝(ラックギヤ)81が形成されており、スライドダンパー70の回転シャフト72に設けられたピニオンギヤ71が、ラックギヤに噛み合うよう設けられている。このスライドレール80は、ガイド面66a,67aの溝が、背もたれ部材12の背面12aに沿った方向を向いているときに、その軸線方向にスライド移動できるようになっている。そして、ピニオンギヤ71の回動動作は本体73により減衰され、このようなラックアンドピニオン機構を用いることで、テーブル天板21に対しスライド動作時に抵抗力を確実に伝達できるので、スライドレール80のスライド動作、つまりテーブル天板21のスライド動作を、スライドダンパー70によって減衰できるようになっている。このとき、本体73においては、回転シャフト72の一方向への回動動作のみを減衰するようにしてもよい。つまり、スライドレール80(テーブル天板21)を上方から下方にスライドさせるときに、減衰効果を発揮するのが好ましい。
【0039】
ところで、
図5、
図7に示すように、スライドレール80のラック溝81の両端部には、突起部82a,82bが形成されている。これにより、
図12に示すように、スライドレール80を上方にスライドしたときには突起部82aがガイド壁部67の一端67bに突き当たることで、そのスライド移動が規制され、
図5に示したように、スライドレール80を下方にスライドしたときには、突起部82bがカバーブラケット40に突き当たることでそのスライド移動が規制される。なお、突起部82bは、テーブル天板21を使用者が持ち上げるときのツマミとしても機能させるため、側方に大きく突出して形成されている。
【0040】
さて、
図12に示すように、スライドレール80は、これを上方にスライドさせ、突起部82aをガイド壁部67の一端67bに突き当てた状態で、先端部80aが、ガイド壁部66,67および軸支部材50よりも下方に突出するようになっている。
【0041】
また、回動プレート部61には、その外周部に、平面状の第一平面部63と、第一平面部63に対して所定の角度(例えば90°)をなすよう形成された平面状の第二平面部64と、が形成されている。
【0042】
また、回動部材60に形成されたガイド壁部66において、回動部材60の外周側を向く位置には、第一平面部63が回動プレート部61から連続して形成されている。なお、この第一平面部63は、ガイド面66aと平行に形成されている。
【0043】
図7、
図8に示すように、前記のベース部材30には、回動部材60を、軸穴65に挿入された回転軸52を中心として一方の側に回動させたときに、第一平面部63が突き当たることでその回動角度を規制する第一角度規制面35が形成されている。この第一角度規制面35は、例えば、背もたれ部材12の背面12aに対向する取付面31と平行に形成されている。第一平面部63は、スライドレール80をガイドするガイド面66aと平行に形成されているため、これにより、テーブル天板21を跳ね上げていったときに、第一平面部63が第一角度規制面35に突き当たることによって、その回動角度が規制される。この状態で、テーブル天板21は、背もたれ部材12の背面12aに沿った面内に位置する。
【0044】
図8、
図13、
図14に示すように、また、ベース部材30には、テーブル天板21を跳ね上げた状態から手前に倒して使用状態としようとして、テーブル天板21とともに軸支部材50に回動自在に軸支された回動部材60が、軸穴65に挿入された回転軸52を中心として他方の側に回動したときに、回動プレート部61の第二平面部64が突き当たることでテーブル天板21の回動角度を規制する第二角度規制面(回動角度規制部)36が形成されている。これにより、テーブル天板21を跳ね上げた状態から手前に倒して使用状態としようとしたときに、第二角度規制面36と第二平面部64とが突き当たって面接触することで、その回動角度が規制される。
この第二角度規制面36は、ベース部材30の幅方向一方の側に形成されている。
【0045】
さらに、ベース部材30には、テーブル天板21を跳ね上げた状態から手前に倒して使用状態としようとして回動させたときに、
図12に示した状態でガイド壁部66,67および軸支部材50の回転軸52よりも下方に突出していたスライドレール80の先端部80aが干渉しないよう、側面視円弧状の凹部37が形成されている。
そして、この凹部37の上端部に連続して、テーブル天板21を、跳ね上げた状態から使用状態に向けて回動させたときに、スライドレール80の先端部80aが突き当たって面接触することでその回動角度を規制する第三角度規制面(回動角度規制部)38が形成されている。第三角度規制面38は、ベース部材30の幅方向に連続し、ベース部材30の幅方向両側に開放して形成されている。
ここで、第二角度規制面36と第三角度規制面38に対しては、第二平面部64とスライドレール80の先端部80aが同時に突き当たるようになっている。また、これら、第二角度規制面36と第三角度規制面38は、それぞれ軸支部材50の回転軸52の軸線方向と平行な面であり、回転軸52の軸線方向から側面視したときに、その角度が互いに異なるよう形成されている。
【0046】
上記したような構成のテーブル付き椅子10においては、折畳みテーブル部20は、
図1(a)に示したように、収納状態においては、テーブル天板21は、その使用面を背もたれ部材12の背面12aに対向させた状態で、下方にスライドした状態となっている。
この状態から、後列に着席した使用者が折畳みテーブル部20を使用するときには、まず、
図1(b)に示すように、テーブル天板21を上方に引き上げる。そして、テーブル天板21の両端のスライドレール80において、突起部82aがガイド壁部67の一端67bに突き当たったら、上方の引き上げ動作を停止する。
【0047】
続いて、テーブル天板21を跳ね上げた状態から手前に回動させて使用状態とするときには、ガイド壁部66,67および軸支部材50の回転軸52よりも下方に突出したスライドレール80の先端部80aが、回転軸52よりも背もたれ部材12側でベース部材30の凹部37に入り込む。
このとき、スライドレール80とともに回動部材60が回動し、その回動動作が、ロータリーダンパー51により減衰されるので、テーブル天板21を手前に倒す動作を、スムーズかつ上質に行うことができる。
【0048】
そして、凹部37に連続して形成された第三角度規制面38にスライドレール80の先端部80aが突き当たることで、その回動角度が規制される。このとき、第三角度規制面38にスライドレール80の先端部80aが突き当たると同時に、第二角度規制面36に回動プレート部61の第二平面部64が突き当たる。
これにより、テーブル天板21が、その使用面21aを上方に向けた使用状態となる。
【0049】
折畳みテーブル部20を使用状態から跳ね上げて収納するには、上記の手順と逆に、テーブル天板21の手前側を上方に跳ね上げる。そして、ベース部材30に形成された第一角度規制面35に、回動部材60の第一平面部63が突き当たることで、その回動角度が規制され、この状態で、テーブル天板21は、背もたれ部材12の背面12aに沿った面内に位置する。
この後、テーブル天板21を下方にスライドさせる。このとき、スライドダンパー70により、スライドレール80(テーブル天板21)を上方から下方にスライドさせるときの減衰効果を発揮することができる。これにより、テーブル天板21を下方にスライドさせる動作を、スムーズかつ上質に行うことができる。
【0050】
上述したような構成によれば、カバーブラケット40と回動部材60との間に設けられ、軸支部材50に軸支された回動部材60の回動動作に抵抗力を付与するロータリーダンパー51と、回動部材60とテーブル天板21との間に設けられ、回動部材60に支持されたテーブル天板21のスライド動作に抵抗力を付与するスライドダンパー70と、を備えるようにした。
このような構成によれば、テーブル付き椅子10の背もたれ部材12の背面12aに固定されるカバーブラケット40と、軸支部材50に軸支された回動部材60との間にロータリーダンパー51を設けることで、テーブル天板21とともに回動する回動部材60の回動動作に抵抗力を付与し、テーブル天板21が急激に回動するのを防ぐ。
また、スライドダンパー70により、回動部材60に支持されたテーブル天板21のスライド動作に抵抗力を付与することで、テーブル天板21が急激にスライドするのを防ぐ。
このようにして、これらロータリーダンパー51およびスライドダンパー70は、支持部材22に内蔵されることとなるため、外部に露出することもなく、折畳みテーブル部20においては、箱状の収容部を備えることがなくても、テーブル天板21の回動動作とスライド動作の双方に対してダンパー効果を有したものとすることができ、安全性を高めるとともに、動作をスムーズな上質感のあるものとすることができる。
【0051】
ここで、カバーブラケット40の凹所42に軸支部材50、回動部材60が収容されることで、これらが覆われているので、使用者が可動部分に指を挟むのを防ぐことができる。
【0052】
また、スライドレール80の先端部80aが第三角度規制面38に突き当たるときには、同時に、第二角度規制面36に回動プレート部61の第二平面部64が突き当たるようになっている。これによって、テーブル天板21の天面を上方に向けた使用状態においては、テーブル天板21は、スライドレール80だけではなく、回動プレート部61によっても支持されることになる。これによって、スライドレール80の先端部80aにおける荷重の支持量を軽減しながら、スライドレール80を太くすることなく、テーブル天板21の支持強度を確保あるいは向上させることができる。したがって、支持部材22が大型化して外観体裁を損なったり、支持部材22が大きく突出して有効空間内でのテーブル付き椅子10の並設可能数を減らすのを防ぐことができる。
【0053】
テーブル天板21を跳ね上げ状態から使用状態に回動させるとき、テーブル天板21は、スライドレール80の先端部80aが、ガイド壁部66,67および軸支部材50の回転軸52よりも背もたれ部材12側で、第三角度規制面38に突き当たるようになっている。テーブル天板21を回動させようとする使用者は、軸支部材50よりも手前側(背もたれ部材12から後方に離れた側)でテーブル天板21を保持する。したがって、使用者の保持位置から最も離れた背もたれ部材12側で、スライドレール80の先端部80aが第三角度規制面38に突き当たる構成とすることで、使用者が指を挟んだりするのを確実に防ぐことができる。
また、スライドレール80の先端部80aが第三角度規制面38に突き当たる部位を、軸支部材50とは異なる場所に配置することで、第三角度規制面38を大きく形成することができ、テーブル天板21の支持強度を大きくすることができる。その結果、支持部材22が大型化して外観体裁を損なったり、支持部材22が大きく突出して有効空間内でのテーブル付き椅子10の並設可能数を減らすのを防ぐことができる。
【0054】
しかも、回動プレート部61および第二角度規制面36は、カバーブラケット40の凹所42内に収容されているので、外観体裁を損なうこともなく、また、この部分に使用者が指を入れてしまうのも防ぐことができる。
【0055】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、テーブル天板21の回動動作と、スライド動作に対してダンパー効果を付与できるロータリーダンパー51、スライドダンパー70を備える点を特徴的としている。
したがって、それ以外の部位については、例えば、テーブル天板21を回動させたときの回動角度を規制する構成などについては、何ら限定するものではない。したがって、また、第二角度規制面36、第三角度規制面38の双方を備えるようにしたが、これを一方のみを備える構成とすることもできるし、それらの位置や形状等を適宜変更することもできる。
また、上記実施形態で示した各構成部品の形状や構造は、適宜変更することができる。
さらに、テーブル付き椅子10に限らず、折り畳み式のテーブルを備えるのであれば、他のいかなる家具にも本発明を適用することが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。