特許第5982178号(P5982178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982178
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】機器取込ハッチ用安全柵
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   E04G21/32 C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-119476(P2012-119476)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-245467(P2013-245467A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592134125
【氏名又は名称】阿南電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】柿久保 則夫
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−162519(JP,U)
【文献】 特開2011−047213(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0549178(KR,B1)
【文献】 実開昭59−128833(JP,U)
【文献】 特開2001−163542(JP,A)
【文献】 特開平11−314891(JP,A)
【文献】 特開昭54−071821(JP,A)
【文献】 実開昭60−110527(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に開口して設けられる搬入口部(2)と、その搬入口部(2)から前方に突出して設けられるステージ部(3)とを備えた機器取込ハッチ(1)に用いられ、前記ステージ部(3)に上下方向に伸びる対のガイド(11,11)を設け、その対のガイド(11,11)間に横方向の昇降軸(21)を掛け渡し、前記昇降軸(21)の両端にはその昇降軸(21)の軸心周りの外周に沿って前記昇降軸(21)とともに軸周り回転する複数の係合凸部(23,23)が設けられ、前記対のガイド(11,11)にはそれぞれ上下方向に沿って前記係合凸部(23,23)に噛み合う複数の係合孔又は係合凹部(13,13)が並列して設けられており、
前記昇降軸(21)に柵部材(30)が固定され、前記昇降軸(21)が前記係合凸部(23,23)と前記係合孔又は係合凹部(13,13)とが噛み合いながら前記対のガイド(11,11)に沿って昇降することで前記柵部材(30)も昇降し、前記昇降軸(21)又は前記柵部材(30)には、前記柵部材(30)をその降下方向とは逆方向に付勢するカウンタウェイト(31)が取付けられており、前記柵部材(30)昇降を前記ステージ部(3)上で操作できる昇降操作部(40)を備え、前記対のガイド(11,11)と平行に2本のレール(25,25)がそれぞれ配置され、前記2本のレール(25,25)間にスライダ(24)が配置され、前記昇降軸(21)の両端はそれぞれの側に配置された前記スライダ(24)を貫通してその軸方向外側に前記係合凸部(23,23)を備えており、前記スライダ(24)は前記2本のレール(25,25)に沿って上下方向への移動が案内されていることを特徴とする機器取込ハッチ用安全柵。
【請求項2】
前記対のガイド(11,11)は前記ステージ部(3)の床面よりも下方へ突出し、前記柵部材(30)の上端は、前記ステージ部(3)の床面よりも下方へ退去可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の機器取込ハッチ用安全柵。
【請求項3】
前記昇降軸(21)又は前記柵部材(30)と前記カウンタウェイト(31)とは、帯状又は紐状の連結部材(32)で接続されており、前記昇降操作部(40)は、前記カウンタウェイト(31)に通じる連結部材(32)、又は、前記昇降軸(21)又は前記柵部材(30)に接続された他の連結部材(32)を巻取り可能なウインチ(41)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の機器取込ハッチ用安全柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変電所や工場等、比較的大型の機器を使用する施設において、その機器を施設に搬入出する際に使用する機器取込ハッチにおいて、その機器取込ハッチのステージ部に設けられる安全柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変電所や工場等、比較的大型の機器を使用する施設においては、特に、2階以上のフロアにおいて、機器を施設に搬入出するための機器取込ハッチが設けられている。
【0003】
この機器取込ハッチは、例えば、特許文献1に示すように、施設を構成する建物の壁部に開口して設けられる搬入口部と、その搬入口部から前方に突出して設けられるステージ部とを備える。ステージ部は、通常、搬入口部の下端付近において、その搬入口部が設けられている壁面から、前方に向かってバルコニー状に張り出すように設けられる。
搬入口部には扉が設けられ、その扉は、通常は閉鎖状態で施錠されている。また、ステージ部の端縁には、落下防止用の安全柵が設けられている。
【0004】
この安全柵は、機器取込ハッチを使用しない場合(機器の搬入出がない場合)は、ステージ部を構成する床版の端縁に沿って立ち上がるように固定されている。このため、仮に、搬入口部の扉を開ける者がいても、その者は安全柵で保護されているので、誤ってステージ部から落下するようなことはない。
【0005】
機器取込ハッチを使用する場合(機器の搬入出を行う場合)は、搬入口部の扉を開け、安全柵の一部を取り外し、開放する。安全柵の一部は、ステージ部に対して着脱可能又は移動可能な可動部となっているので、このような取り外し、開放が可能である。
【0006】
特許文献1では、可動部の構造として、柵部材を、ステージ部のコンクリート製の床版の端縁や、あるいは、そのステージ部の幅方向両端に立ち上がるコンクリート製のパラペット部とをヒンジで接続し、その柵部材を回転移動自在に固定する手法を採用している。このほか、柵部材の支柱を、床版に設けた孔に対して上下方向に抜き差し自在とし、安全柵の着脱を可能とする手法も一般的である。
【0007】
機器の搬入の際は、安全柵の可動部を開放した状態でクレーン等を横付けし、そのクレーンで機器を吊り上げ、開放した可動部の部分を通じて、ステージ部上に機器を取り下ろす。機器は、そのステージ部から搬入口部を通じて横移動され、建物内に搬入される。機器の搬出の際は、その逆の作業が行われる。
【0008】
機器の搬入出が終われば、クレーンを建物から離れた位置に退去させるとともに、可動部の柵部材を元の状態に戻し、最後に搬入口部の扉を閉じて施錠される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平1−162518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の安全柵によると、機器の搬入出の際に、作業者が、可動柵の柵部材を取り外したり、又は、移動させたりしなければならない。この作業は、例えば、作業者がステージ部の上に立って手作業で柵部材のロックを外し、また、重い柵部材を手で持ちあげて取り外したり、あるいは、手で押したり引いたりしなければならない。
【0011】
このような作業は重労働であり、また、ステージ部という高所で行われるため、安全帯を使用しているとしても、非常に危険を伴う作業である。さらに、ステージ部の端縁付近で行う作業が多く、その作業の際に、誤って階下へ部品や工具類を落下させてしまう恐れもある。
【0012】
そこで、この発明は、変電所や工場等に設けられる機器取込ハッチにおいて、機器搬入出の際の安全柵の開放、復旧の作業を容易に且つ安全にできるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明は、建物に開口して設けられる搬入口部と、その搬入口部から前方に突出して設けられるステージ部とを備えた機器取込ハッチに用いられ、前記ステージ部に上下方向に伸びる対のガイドを設け、その対のガイド間に横方向の昇降軸を掛け渡し、前記昇降軸の両端にはその昇降軸の軸心周りの外周に沿って複数の係合凸部が設けられ、前記対のガイドにはそれぞれ上下方向に沿って前記係合凸部に噛み合う複数の係合孔又は係合凹部が並列して設けられており、前記昇降軸に柵部材が固定され、前記昇降軸が前記係合凸部と前記係合孔又は係合凹部とが噛み合いながら前記対のガイドに沿って昇降することで前記柵部材も昇降し、前記昇降軸又は前記柵部材には、前記柵部材をその降下方向とは逆方向に付勢するカウンタウェイトが取付けられており、前記柵部材昇降を前記ステージ部上で操作できる昇降操作部を備えていることを特徴とする機器取込ハッチ用安全柵を採用した。
【0014】
この構成によれば、機器の搬入出の際に、作業者は、昇降操作部を操作するだけで簡単に安全柵を開放することができる。また、その操作は、柵部材の重量をカウンタウェイトで相殺できるので、柵部材の全重量を持ち上げるような力は不要で、非常に軽い力で可能である。このため、必ずしもモータ等の原動機による駆動力を用いずとも、手作業での操作も容易に可能である。
また、対のガイド間に掛け渡された昇降軸が、対のガイドに設けた係合孔や係合凹部に噛み合いながら昇降するので、昇降軸が常に正面視平行移動しながら昇降するように設定できる。このため、柵部材が、自身の重量や、昇降の際の引張り力等により、その長手方向に沿って傾く事態が抑制される。すなわち、昇降軸の両端が、常に同じ高さで昇降するように設定できるので、対のガイド間を結ぶ方向に対して、柵部材の一方が他方よりも高くなったり低くなったりする事態が抑制される。これにより、柵部材の昇降の動作不良を防止し得る。
【0015】
したがって、上記の構成によれば、従来のように、作業者が重い柵部材を手で持ちあげて取り外したり、あるいは、手で押したり引いたりする必要がなく、作業が容易であるとともに、ステージ部の端縁に近いところで行う作業が減り、より安全である。
【0016】
上記の構成において、前記対のガイドは前記ステージ部の床面よりも下方へ突出し、前記柵部材の上端は、前記ステージ部の床面よりも下方へ退去可能となっている構成を採用することができる。
【0017】
すなわち、柵部材の上端は、ステージ部の床面よりも上方へ幾分突出していても、機器の取り下ろしは可能である。しかし、柵部材がステージ部の床面よりも上に突出していなければ、機器の横移動が容易であり、この形態が望ましいといえる。
このため、ここでは、柵部材の上端が、ステージ部の床面よりも下へ完全に退去できるようにするために、対のガイドを、ステージ部の床面よりも下方へ突出させる手段を採用した。これにより、柵部材の充分な昇降高さを確保することができる。
【0018】
また、上記の各構成において、前記昇降軸又は前記柵部材と前記カウンタウェイトとは、帯状又は紐状の連結部材で接続されており、前記昇降操作部は、前記カウンタウェイトに通じる連結部材、又は、前記昇降軸又は前記柵部材に接続された他の連結部材を巻取り可能なウインチを備える構成を採用することができる。
帯状又は紐状の連結部材をウインチで巻き取る、あるいは、その巻き取りを開放する構成とすれば、昇降操作部の構成を簡素化することができる。
【0019】
なお、カウンタウェイトは、一つの昇降軸(柵部材)に対して少なくとも一つ設けられていればよいが、動作の安定性を確保するためには、その昇降軸又は柵部材の左右両側にそれぞれ設けることが望ましい。また、その両側のカウンタウェイトを同一の重量をすることが望ましい。
このとき、昇降操作部は、一方のカウンタウェイトに接続された連結部材、又は、そのカウンタウェイトと同じ側に設けた別の連結部材を、ウインチで巻き取る構成とすることができる。昇降軸が常に平行移動しながら昇降するので、昇降操作部を必ずしも柵部材の長手方向両側ではなく、いずれか一方のみに設けた構成を採用可能である。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、機器の搬入出の際に、作業者は、昇降操作部を操作するだけで簡単に安全柵を開放することができる。このため、従来のように、作業者が重い柵部材を手で持ちあげて取り外したり、あるいは、手で押したり引いたりする必要がなく、作業が容易であるとともに、ステージ部の端縁に近いところで行う作業が減り、より安全である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の一実施形態の全体図(ゲートの閉鎖状態)
図2】同実施形態の全体図(ゲートの開放状態)
図3】同実施形態の装置の構成を示す要部斜視図
図4図3の要部拡大図
図5図4の変形例を示す要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。機器取込ハッチ1の構成は、図1に示すように、建物に開口して設けられる搬入口部2と、その搬入口部2の下端付近において、前方に突出して設けられるステージ部3とを備える。また、ステージ部3の左右方向側縁3bには、それぞれパラペット部4が立ち上がっている。
【0023】
この実施形態では、ステージ部3及びパラペット部4は鉄筋コンクリート構造であるが、それ以外にも鉄骨構造等、他の構造の場合もある。また、パラペット部4に代えて、金属製の部材等からなる固定の柵を設置する場合もある。
【0024】
この機器取込ハッチ1のステージ部3の前縁3aに沿って、昇降可能なゲート(柵部材)30を備えた機器取込ハッチ用安全柵10(以下、「安全柵10」と称する。)が設けられている。ゲート30が、安全柵10の可動部である。図1は、ゲート30の閉鎖状態を示し、図2は、ゲート30の開放状態を示している。
【0025】
安全柵10の構成を説明すると、ステージ部3の左右の側縁3b,3b付近において、それぞれ、鉛直方向に伸びる対のガイド11,11が設けられている。対のガイド11,11は、それぞれ、ステージ部3の前縁3aよりもさらに前方に張り出した位置に固定され、ステージ部3上の前後方向のスペースが広く確保されている。
【0026】
また、その左右の各ガイド11,11と平行に、2本のレール25,25が配置されている。その2本のレール25,25間に、スライダ24が配置されている。スライダ24は、ローラ26によって、そのレール25に沿って鉛直方向への移動が案内されている。これらのガイド11やレール25等は、カバー20によって保護されている。
【0027】
対のガイド11,11間に、水平方向の昇降軸21が掛け渡されている。その昇降軸21の両端は、それぞれの側に配置されたスライダ24を貫通し、その外側にピニオンギヤ22が取付けられている。ピニオンギヤ22と昇降軸21とは一体に軸周り回転する。
【0028】
ピニオンギヤ22の歯は、昇降軸21の軸心周りの外周に沿って等間隔に配置された係合凸部23である。また、この実施形態では、対のガイド11,11はラックであり、それぞれ上下方向に沿って係合凸部23に噛み合う複数の係合凹部13が等間隔で並列して設けられている。
【0029】
昇降軸21にはゲート30が固定されている。ゲート30の上端縁に沿って昇降軸21が固定され、その昇降軸21とゲート30とが一体に上下動する。
この上下動は、昇降軸21が、ピニオンギヤ22の歯(前記係合凸部23)とガイド11の溝(前記係合凹部13)とが噛み合いながら、そのガイド11に沿って昇降することで行われる。昇降軸21が水平状態を維持しながら上下方向に平行移動することで、ゲート30も昇降する。
【0030】
また、スライダ24には、連結部材32(以下、「第一の連結部材32a」と称する。)を介してカウンタウェイト31が取付けられている。連結部材32は、スライダ24への接続部から上方へ伸びて、2箇所の滑車33,33で90度ずつ向きを変え、下方に導かれてカウンタウェイト31に接続されている。
このように、カウンタウェイト31は、左右のスライダ24にそれぞれ接続され、昇降軸21及びゲート30を、その昇降軸21やゲート30の降下方向(下向き)とは逆方向(上向き)に付勢する。
【0031】
この実施形態では、第一の連結部材32aとして金属製のワイヤーを使用しているが、ゲート30の重量に耐えうる所定の強度や、ある程度の屈曲性(柔軟性)を有する素材であれば、帯状又は紐状のロープや鋼材、その他、長手状の素材であってもよい。
【0032】
また、図中左側に示す一方のスライダ24には、カウンタウェイト31に通じる連結部材32とは別の連結部材32(以下、「第二の連結部材32b」と称する)が接続されている。この第二の連結部材32bも、金属製のワイヤーを使用しているが、ゲート30の重量に耐えうる所定の強度や、ある程度の屈曲性(柔軟性)を有する素材であれば、帯状又は紐状のロープや鋼材、その他、長手状の素材であってもよい。
【0033】
第二の連結部材32bも同様に、スライダ24への接続部から上方へ伸びて、2箇所の滑車33,33で90度ずつ向きを変え、下方に導かれてウインチ41に接続されている。
ウインチ41は、手作業で操作部(ハンドル)を回すことにより、第二の連結部材32bを巻き取ることができ、また、逆方向へ回せば、その巻き取りを開放することができる。
【0034】
また、さらに他の連結部材32(以下、「第三の連結部材32c」と称する)が、スライダ24のへの接続部から下方へ伸びて、2箇所の滑車33,33で90度ずつ向きを変え、上方に導かれて同じウインチ41に接続されている。この第三の連結部材32cの素材は、上記と同様である。
ウインチ41は、手作業で操作部(ハンドル)を回すことにより、第二の連結部材32bを巻き取るとともに、第三の連結部材32cの巻取りを開放することができ、また、逆方向へ回せば、第三の連結部材32cを巻き取るとともに、第二の連結部材32bの巻取りを開放することができる。
【0035】
このように、連結部材32やウインチ41等は、ゲート30の昇降を、ステージ部3上で操作できる昇降操作部40を構成している。昇降操作部40は、ゲート30よりも後方、すなわち搬入口部2に近い位置にあり、ステージ部3の前縁3aから比較的離れた安全な位置での操作が可能である。
【0036】
機器の搬入の際のゲート30の昇降の操作について説明すると、まず、搬入口部2の扉5を開け、安全柵10のゲート30を降下させる。このとき、図2に示すように、パラペット部4,4間に、ロープやテープによる注意喚起用の保護部材35を掛け渡すことで、ゲート30が降りていることに関し、作業者に注意を促してもよい。
【0037】
ゲート30の降下は、ウインチ41の操作部を手で回転させることにより、第二の連結部材32bを巻き取るとともに、第三の連結部材32cの巻取りを開放することで、行うことができる。このとき、ゲート30の上昇と同時に、第一の連結部材32aで接続されたカウンタウェイト31は下降する。
【0038】
ゲート30を降下させ、安全柵10を開放した状態でクレーン等を横付けし、そのクレーンで機器を吊り上げ、開放した部分を通じて、ステージ部3上に機器を取り下ろす。機器は、そのステージ部3から搬入口部2を通じて横移動され、建物内に搬入される。
なお、ウインチ41の操作部は、ネジ等を用いたロック機構により、任意の位置でロックすることができる。このため、ゲート30を、降下状態で動かないようにロックすることができる。
【0039】
機器の搬入が終われば、クレーンを建物から離れた位置に退去させるとともに、ゲート30を上昇させる。
【0040】
ゲート30の上昇は、ロックを外し、ウインチ41の操作部を手で回転させることにより、第三の連結部材32cを巻き取るとともに、第二の連結部材32b巻取りを開放することで、行うことができる。このとき、ゲート30の下降と同時に、第一の連結部材32aで接続されたカウンタウェイト31は上昇する。そして、ロック機構により、ゲート30を上昇状態で動かないようにロックする。
【0041】
最後に搬入口部2の扉5を閉じて施錠される。機器の搬出の際は、その逆の流れである。
【0042】
このように、機器の搬入出の際に、作業者は、昇降操作部40のウインチ41を手で操作するだけで、簡単に安全柵10のゲート30を上昇させ、また、下降させることができる。その操作は、ゲート30の重量をカウンタウェイト31で相殺できるので、ゲート30の全重量を持ち上げるような力は不要で、非常に軽い力で可能である。このため、必ずしもモータ等の原動機による駆動力を用いずとも、手作業での操作も容易に可能である。
【0043】
また、対のガイド11,11間に掛け渡された昇降軸21が、その両端で各ガイド11,11に設けた係合凹部13に噛み合いながら昇降するので、昇降軸21が常に正面視平行移動しながら昇降するように設定できる。このため、ゲート30が自身の重量や、昇降の際の昇降操作部40の引張り力等により、左右に傾く事態が抑制される。すなわち、昇降軸21の左右端が、常に同じ高さで昇降するように設定できるので、対のガイド11,11間を結ぶ方向に対して、ゲート30の一方が他方よりも高くなったり低くなったりする事態が抑制される。これにより、ゲート30の昇降の動作不良を防止し得る。
【0044】
したがって、従来のように、作業者が重い柵部材を手で持ちあげて取り外したり、あるいは、手で押したり引いたりする必要がなく、作業が容易であるとともに、ステージ部3の端縁に近いところで行う作業が減り、より安全である。
【0045】
また、対のガイド11,11は、ステージ部3の床面よりも下方へ突出して設けられているので、ゲート30の昇降範囲を、下方向へより広く確保することができる。
この実施形態では、ゲート30の上端(この実施形態では昇降軸21に相当)は、ステージ部3の床面よりも下方へ退去可能となっているので、ステージ部3上での機器の取り下ろしや引き上げ、横移動が容易である。
【0046】
また、ゲート30が、ステージ部3の床面よりも下に退去するので、搬入口部2にヒンジ固定された扉5が、外側に向かって回動して開いた際に、その扉5がゲート30に支障することがない。
【0047】
さらに、対のガイド11,11は、ステージ部3の前端3aよりも前方へ突出しているので、ゲート30の上昇時においても、そのステージ部3上のスペースを広く確保できる。ステージ部3上のスペースが広ければ、ステージ部3上での機器の取り下ろしや引き上げ、横移動が容易であり、また、外向きに開く扉5の開閉スペースも広く確保できる。
【0048】
図5に、この実施形態の変形例を示す。この変形例は、対のガイド11,11として、ラックに変えてチェーンを採用したものである。
【0049】
昇降軸21の両端には、回転部材22としてスプロケット22が取付けられている。スプロケット22と昇降軸21とは一体に軸周り回転する。
【0050】
スプロケット22の歯は、昇降軸21の軸心周りの外周に沿って等間隔に配置された係合凸部23である。チェーンからなる対のガイド11,11には、それぞれ上下方向に沿って係合凸部23に噛み合う複数の係合孔13が等間隔で並列して設けられている。その他の構成は、前述の構成と同じである。
【0051】
これらの実施形態では、昇降軸21やゲート30と一体に昇降するスライダ24と、カウンタウェイト31とをワイヤーからなる連結部材32で接続し、昇降操作部40としては、そのスライダ24に接続された他の連結部材32を巻取り可能なウインチ41を備えたが、昇降操作部40の構成は、この実施形態には限定されず、カウンタウェイト31に通じる連結部材32や、昇降操作部40に通じる連結部材32の配置や構成は、ゲート30の昇降機能を発揮できる限りにおいて自由である。
【0052】
このため、例えば、カウンタウェイト31に通じる連結部材32と、昇降操作部40に通じる連結部材32とを、連続する一本の素材からなる連結部材32としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 機器取込ハッチ
2 搬入口部
3 ステージ部
3a 前縁
3b 側縁
4 パラペット部
5 扉
10 安全柵(機器取込ハッチ用安全柵)
11 ガイド
12 回転部材
13 係合凹部(係合孔)
20 カバー
21 昇降軸
22 回転部材
23 係合凸部
24 スライダ
25 レール
26 ローラ
30 ゲート(柵部材)
31 カウンタウェイト
32 連結部材
32a 第一の連結部材
32b 第二の連結部材
32c 第三の連結部材
33 滑車
35 保護部材
40 昇降操作部
41 ウインチ
図1
図2
図3
図4
図5