特許第5982227号(P5982227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982227
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20160818BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20160818BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20160818BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20160818BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20160818BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160818BHJP
【FI】
   F21S2/00 375
   F21S2/00 365
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V29/76
   F21V21/30 100
   F21Y101:00 100
   F21Y101:00 300
   F21Y115:10
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-192481(P2012-192481)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-49347(P2014-49347A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉久保 光宏
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−294526(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/110181(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0074313(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0002124(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を有する光源部と、
前記光源部の熱を空気中へ発散させる放熱部と、
前記放熱部の少なくとも一部を覆う外装部と、
一部が被固定部に固定されるブラケットと、を具備し、
前記外装部には、前記放熱部が露出する開口部が形成され、
前記ブラケットは、前記放熱部における前記開口部から露出する部分に回転自在に取り付けられる、ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記放熱部は、前記ブラケットが取り付けられるボスを有し、該ボスを始点とした放熱フィンが形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、任意の方向に光を照らすスポットライト型の照明器具が知られている(例えば特許文献1参照)。このような照明器具は、意匠性を考慮した外装部を備えており、室内インテリアなどを基調とした商品選択を可能としている。
【0003】
ところで、このような照明器具は、外装部に回動及び回転自在のブラケットを取り付けて光を照らす方向を変更可能としている。つまり、このような照明器具は、外装部に回動及び回転自在のブラケットを取り付けることによって、本体部分(光源部や外装部などから成るモジュール)を回動及び回転自在とし、光を照らす方向を変更可能としている。そのため、ユーザーが光を照らす方向を変更しようとしたときに外装部に大きな荷重が掛かり、該外装部が変形したり破損したりする恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−159447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであり、外装部が変形や破損をしない照明器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本願に開示する照明器具は、
発光素子を有する光源部と、
前記光源部の熱を空気中へ発散させる放熱部と、
前記放熱部の少なくとも一部を覆う外装部と、
一部が被固定部に固定されるブラケットと、を具備し、
前記外装部には、前記放熱部が露出する開口部が形成され、
前記ブラケットは、前記放熱部における前記開口部から露出する部分に回転自在に取り付けられる、としたものである。
【0008】
本願に開示する照明器具は、上記の構成を基本として、以下のような態様をとることができる。
【0009】
即ち、本願に開示する照明器具において、
前記放熱部は、前記ブラケットが取り付けられるボスを有し、該ボスを始点とした放熱フィンが形成されている、構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
本願に開示する照明器具によれば、ユーザーが光を照らす方向を変更しようとしたときに外装部に荷重が掛かりにくいので、該外装部の変形や破損を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】照明器具100の使用状態を示す図。
図2】照明器具100の構造を示す図。
図3】照明器具100の動作を示す図。
図4】照明器具100のメンテナンス作業を示す図。
図5】ボス21から放熱フィン22へ溶融材料Mが流れ込む状況を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の実施形態に係る照明器具100について簡単に説明する。
【0016】
図1は、照明器具100の使用状態を示す図である。図2は、照明器具100の構造を示す図である。図3は、照明器具100の動作を示す図である。なお、本願では、重力が作用する方向を上下方向Xと定義する。また、光を照らす方向Lに対して平行となる方向を光軸方向Yと定義する。なお、本実施形態に係る照明器具100は、天井面や壁面などの被固定部Fに固定して使用することを主な使用形態としている。
【0017】
照明器具100は、主に、光源部1と、放熱部2と、外装部3と、ブラケット4と、で構成されている。また、本実施形態に係る照明器具100は、電源部5を備えている(図1図3参照)。
【0018】
光源部1は、発光素子を有する構成部品である。本実施形態において、発光素子は、LED(Light emitting diode)11である。LED11が発した光は、レンズ13などによって屈折されて任意の方向へ照射される(矢印L参照)。レンズ13は、照射角度などのパラメータに基づいて設計されている。なお、本実施形態おける発光素子は、LED11であるが、白熱灯やハロゲン灯などであっても良く、これに限定するものではない。
【0019】
放熱部2は、光源部1の熱を空気中へ発散させる構成部品である。具体的に説明すると、放熱部2は、光源部1のLED11や基板12の熱を空気中へ発散させる構成部品である。放熱部2は、熱伝導性の高いアルミニウム合金で形成されている。これは、強度や耐久性、コストなどを考慮して決定されたものである。但し、熱伝導性の高い他の材料を用いて形成するとしても良い。放熱部2の詳細な構造については後述する。
【0020】
外装部3は、放熱部2の一部を覆う構成部品である。外装部3は、外部から加わる衝撃に対して放熱部2を保護する。外装部3は、放熱部2の少なくとも一部を覆うので、放熱部2の放熱フィン22の隙間に埃などの異物が付着することを低減できる。また、外装部3は、意匠性が考慮されているので、美感を起こさせることができる。本実施形態において、外装部3は、光軸方向Yにおける断面の母線が凸状の曲線となっている。従って、外装部3の外側形状は、母線を回転させることによって得られる、いわゆる砲弾型である。なお、外装部3の形状は、砲弾型に限らず、円筒型、円錐型、角柱型などであっても良い。また、外装部3の端部と側部には、貫通孔3ha・3hbが設けられている(図2C参照)。外装部3の詳細な構造については後述する。
【0021】
ブラケット4は、光を照らす方向Lを変更自在に支持できる構成部品である。ブラケット4は、放熱部2にボルト41によって取り付けられている。このため、ブラケット4は、ボルト41を中心として回動自在となっている。換言すると、本体部分(光源部1、放熱部2及び外装部3から成るモジュール)は、ボルト41を中心として回動自在となっている。なお、照明器具100では、上下方向Xに対して平行となる方向から垂直となる方向へ光を照らす方向Lを変更できる(図3の矢印P参照:0度から90度の範囲で変更できる)。また、ブラケット4は、支持具42を中心として回転自在となっている。換言すると、本体部分(光源部1、放熱部2及び外装部3から成るモジュール)は、支持具42を中心として回転自在となっている。つまり、照明器具100では、光を照らす方向Lを回転させることができる(図3の矢印R参照:0度から360度の範囲で変更できる)。
【0022】
次に、放熱部2の詳細な構造について説明する。
【0023】
放熱部2には、LED11や基板12を納めるため、収容部2sが設けられている(図2B図2C参照)。LED11は、基板12上に複数配置され、LED11が配置された状態の基板12が収容部2sに納められる。なお、収容部2sは、放熱部2の光軸方向Yにおける端部から深い位置に設けられている。放熱部2の内側形状は、LED11から出射する光を反射させるリフレクタとしての役割を有する。また、レンズ13は、放熱部2の内側形状に沿うように嵌め込まれる。このように、LED11、基板12、レンズ13などから構成される光源部1は、放熱部2の光軸方向Yにおける一端部に取り付けられることとなる。
【0024】
更に、放熱部2には、二つのボス(ネジ穴などを設けるための突起部)21が設けられている。二つのボス21は、上下方向Xに対して垂直となる方向、即ち、水平方向に設けられている。これは、光軸方向Yに対して垂直となる方向でもある。そして、それぞれのボス21には、ネジ穴21hが設けられている。このため、放熱部2を挟み込むように形成されているブラケット4は、二つのボルト41によって取り付けられることとなる。なお、ブラケット4は、スプリングワッシャを介して取り付けられるため、本体部分(光源部1、放熱部2及び外装部3から成るモジュール)を回動させてもボルト41は緩みにくい。
【0025】
更に、放熱部2には、複数の放熱フィン22が設けられている。複数の放熱フィン22は、光軸方向Yに対して平行に設けられた支持壁23の両面(裏表両方)に形成されている。放熱フィン22は、互いに所定の間隔をあけて形成されているので外気に触れる面積が大きく、該放熱フィン22まで伝達した熱を効率よく空気中へ発散できる。つまり、放熱フィン22は、LED11や基板12の熱を効率よく空気中へ発散できるのである。また、それぞれの放熱フィン22は、その長手方向が光軸方向Yに対して平行に形成され、その端部がボス21と交わっている。即ち、放熱フィン22は、ボス21を始点として光軸方向Yに形成されているともいえる。
【0026】
次に、外装部3の詳細な構造について説明する。
【0027】
上述したように、外装部3は、いわゆる砲弾型形状である。外装部3は、その内部が空洞になっているため、放熱部2を覆うことができる。なお、外装部3は、放熱部2の外径寸法(光軸方向Yに直交する方向の外径寸法)が最大となっている部分に接触した状態で、二つのボルト31によって固定される(図2B参照)。外装部3が取り付けられた際には、該外装部3と放熱フィン22との間に所定の隙間が設けられる。
【0028】
更に、上述したように、外装部3には、貫通孔3ha・3hbが設けられている。貫通孔3haは、外装部3の端部(光源部1に対して反対側となる端部)に設けられている。貫通孔3haの形状は、光軸方向Yに対して斜めに切断した際の切り口に類似している。一方、貫通孔3hbは、外装部3の側部(外装部3を光軸方向Yが上下方向Xに対して垂直となる姿勢にした際に略上側となる側部)に設けられている。貫通孔3hbの形状は、光軸方向Yに対して垂直となる方向を下弦とした略円弧状となっている。放熱フィン22の一部は、それぞれの貫通孔3ha・3hbから視認できる(図1図3参照)。
【0029】
以下に、本実施形態に係る照明器具100の主な特徴点とその効果について説明する。
【0030】
照明器具100は、ブラケット4が放熱部2に取り付けられている。つまり、照明器具100は、外装部3ではなく放熱部2にブラケット4を取り付けたことを特徴としている。これにより、ユーザーが光を照らす方向Lを変更しようとしたときに、外装部3に荷重が掛かりにくいので、該外装部3の変形や破損を防ぐことが可能となる。また、照明器具100では、放熱部2にブラケット4を取り付けた構成としているので、ブラケット4をアルミニウム合金などの熱伝導性が高い材料で形成することにより、放熱部2の熱をブラケット4に伝えることができる。これにより、放熱部2の放熱効率を高めることができる。
【0031】
なお、照明器具100では、ブラケット4が放熱部2に回転自在に取り付けられている。これにより、照明器具100は、本体部分(光源部1、放熱部2及び外装部3から成るモジュール)を矢印Pに示す方向へ回動可能としている(図3参照)。
【0032】
また、照明器具100では、ブラケット4が外装部3に設けられた貫通孔3hbを介して放熱部2に取り付けられている。従って、照明器具100のメンテナンスなどの際には、ブラケット4から本体部分(光源部1、放熱部2及び外装部3から成るモジュール)を取り外さなければ、外装部3を取り外すことができない。この点について詳細に説明する。
【0033】
図4は、照明器具100のメンテナンス作業を示す図である。ここでは、照明器具100が被固定部Fである天井面に取り付けられている場合のメンテナンス作業の一部を示している。
【0034】
まず、ユーザーは、ボルト41を取り外す(図中S1参照)。このとき、ユーザーは、本体部分(光源部1、放熱部2及び外装部3から成るモジュール)が落下しないように注意する必要がある。
【0035】
次に、ユーザーは、ブラケット4から本体部分(光源部1、放熱部2及び外装部3から成るモジュール)を取り外す(図中S2参照)。このとき、ユーザーは、電源コード(図示せず)を予め取り外しておく必要がある。なお、図4に示すように、光軸方向Yを上下方向Xに対して垂直となる姿勢にしておけば、かかる作業が容易となる。
【0036】
次に、ユーザーは、ボルト31を放熱部2及び外装部3から取り外す(図中S3参照)。ボルト31は、貫通孔3haから工具を入れることで脱着できる。
【0037】
次に、ユーザーは、外装部3を保持した状態で該外装部3から放熱部2を引き抜く(図中S4参照)。これにより、灯体部分(光源部1と放熱部2から成るモジュール)に対して部品の交換などのメンテナンスが可能となる。
【0038】
このように、照明器具100は、ブラケット4から本体部分(光源部1、放熱部2及び外装部3から成るモジュール)を取り外さなければ、外装部3を取り外すことができない。これは、被固定部Fに取り付けられた状態のままでメンテナンス作業ができないようにしたものである。このような構造により、メンテナンス時の安全性を向上させることが可能となる。
【0039】
更に、放熱部2は、ブラケット4が取り付けられるボス21を有し、該ボス21を始点とした放熱フィン22が形成されている。従って、放熱部2を製造する際にボス21から放熱フィン22へ溶融材料Mが流れ込むので、不良率を低減できる。この点について詳細に説明する。
【0040】
図5は、ボス21から放熱フィン22へ溶融材料Mが流れ込む状況を示す図である。なお、図5に示す矢印は、溶融材料Mの流動方向を示している。
【0041】
放熱部2は、金型に溶融材料(本実施形態では溶融したアルミニウム合金)Mを流し込む、いわゆるダイカスト工法によって製造される。このように、金型に溶融材料Mを流し込んで形成する工法は、巣(溶融材料が凝固した際にできる空洞)ができないように湯路を検討する必要がある。また、放熱フィンなどの薄肉部分では、溶融材料Mが凝固しやすいため、溶融材料Mが滞留しないように湯路を検討する必要がある。
【0042】
この点、放熱部2は、ボス21が内径の大きな湯路となるので、溶融材料Mが滞留する可能性が低くなり、速やかに放熱フィン22へ流れ込むこととなる。このような構造により、放熱部2の不良率を低減させることが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
100 照明器具
1 光源部
11 LED(発光素子)
12 基板
13 レンズ
2 放熱部
21 ボス
22 放熱フィン
3 外装部
3ha 貫通孔
3hb 貫通孔
4 ブラケット
F 被固定部
L 光を照らす方向
M 溶融材料
X 上下方向
Y 光軸方向
図1
図2
図3
図4
図5