【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、縫製物に縫い付けられるボタンの表裏を判別するボタン表裏判別方法において、
所定の照明で照明されたサンプルボタンの表面及び裏面をカメラで撮像して表面画像及び裏面画像を取得する基準表裏画像取得工程と、
前記表面画像及び裏面画像のそれぞれついて、ボタン中心及びボタン外径を特定し、前記ボタン中心を中心とし前記ボタン外径を最大とする径を変数として、同一径の円周上に存在する画素濃度の平均を異なる径ごと計算した径別平均濃度分布を算出する第1の径別平均濃度分布算出工程と、
前記第1の径別平均濃度分布算出工程で算出した前記径別平均濃度分布から径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間を特定し、そのうち最小の径を含む区間と、前記ボタン外径を含む区間とを除外して残った区間がある場合には、当該残った区間を特定する情報を、前記表面画像に基づく場合は表面特徴情報の1つとして、前記裏面画像に基づく場合は裏面特徴情報の1つとして抽出する第1の特徴抽出工程と、
前記所定の照明で照明されたボタンの表裏不特定の片面を前記カメラで撮像して片面画像を取得する片面画像取得工程と、
前記片面画像ついて、ボタン中心及びボタン外径を特定し、前記ボタン中心を中心とし前記ボタン外径を最大とする径を変数として、同一径の円周上に存在する画素濃度の平均を異なる径ごと計算した径別平均濃度分布を算出する第2の径別平均濃度分布算出工程と、
前記第2の径別平均濃度分布算出工程で算出した前記径別平均濃度分布から径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間を特定し、そのうち最小の径を含む区間と、前記ボタン外径を含む区間とを除外して残った区間がある場合には、当該残った区間を特定する情報を片面特徴情報の1つとして抽出する第2の特徴抽出工程と、
前記表面特徴情報及び裏面特徴情報のそれぞれと、前記片面特徴情報とを照合してその照合結果に基づき前記片面が表面か裏面かを判別する表裏判別工程と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボタン表裏判別方法において、
前記第1の特徴抽出工程における所定のしきい値を、前記第1の径別平均濃度分布算出工程で算出した前記径別平均濃度分布全体の平均値とし、
前記第2の特徴抽出工程における所定のしきい値を、前記第2の径別平均濃度分布算出工程で算出した前記径別平均濃度分布全体の平均値とすることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のボタン表裏判別方法において、
前記表面画像及び裏面画像のそれぞれついて、エッジ抽出画像を生成し、前記ボタン中心を中心とし前記ボタン外径を最大とする径を変数として、同一径の円周上に存在する画素のエッジ強度の平均を異なる径ごと計算した径別平均エッジ強度分布を算出する第1の径別平均エッジ強度分布算出工程と、
前記第1の径別平均エッジ強度分布算出工程で算出した前記径別平均エッジ強度分布から径平均エッジ強度が所定のしきい値以上となる区間を特定し、そのうち、前記第1の特徴抽出工程で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間に含まれる区間、及び前記第1の特徴抽出工程で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間の端点を含む区間を除外した上で、区間長が所定の基準値を超え最長の区間を特定する情報を、前記表面画像に基づく場合は表面特徴情報の1つとして、前記裏面画像に基づく場合は裏面特徴情報の1つとして抽出する第3の特徴抽出工程と、
前記片面画像ついて、エッジ抽出画像を生成し、前記ボタン中心を中心とし前記ボタン外径を最大とする径を変数として、同一径の円周上に存在する画素のエッジ強度の平均を異なる径ごと計算した径別平均エッジ強度分布を算出する第2の径別平均エッジ強度分布算出工程と、
前記第2の径別平均エッジ強度分布算出工程で算出した前記径別平均エッジ強度分布から径平均エッジ強度が所定のしきい値以上となる区間を特定し、そのうち、前記第2の特徴抽出工程で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間に含まれる区間、及び前記第2の特徴抽出工程で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間の端点を含む区間を除外した上で、区間長が所定の基準値を超え最長の区間を特定する情報を片面特徴情報の1つとして抽出する第4の特徴抽出工程と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のボタン表裏判別方法において、
前記第3の特徴抽出工程における所定のしきい値を、前記第1の径別平均エッジ強度分布算出工程で算出した前記径別平均エッジ強度分布全体の平均値とし、
前記第4の特徴抽出工程における所定のしきい値を、前記第2の径別平均エッジ強度分布算出工程で算出した前記径別平均エッジ強度分布全体の平均値とすることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載のボタン表裏判別方法において、
前記第3の特徴抽出工程において最長の区間が2以上特定された場合は、そのうちエッジ強度が最も強い区間を特定する情報を、前記表面画像に基づく場合は表面特徴情報の1つとして、前記裏面画像に基づく場合は裏面特徴情報の1つとして抽出し、
前記第4の特徴抽出工程において最長の区間が2以上特定された場合は、そのうちエッジ強度が最も強い区間を特定する情報を片面特徴情報の1つとして抽出することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載のボタン表裏判別方法において、
前記表面特徴情報と前記裏面特徴情報とを照合して、差が無ければ表裏判別不可と、差があれば表裏判別可と判断する表裏判別可否判断工程と、
前記表裏判別可否判断工程による判断結果を示す情報を出力する表裏判別可否情報出力工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載のボタン表裏判別方法において、
前記表裏判別工程において、前記片面特徴情報と前記表面特徴情報とが全て一致したら前記片面が表面と判別し、前記片面特徴情報と前記裏面特徴情報とが全て一致したら前記片面が裏面と判別することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載のボタン表裏判別方法において、
前記表裏判別工程において前記片面が表面と判別したら判別結果として表を、前記片面が裏面と判別したら判別結果として裏を、前記片面特徴情報に前記表面特徴情報との不一致及び前記裏面特徴情報との不一致があったら判別結果として先の2つのいずれでもないことを特定する情報を出力する判別結果出力工程を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、縫製物に縫い付けられるボタンの表裏を判別するボタン表裏判別装置において、
照明装置と、
カメラと、
前記照明装置で照明されたサンプルボタンの表面及び裏面を前記カメラに撮像させて表面画像及び裏面画像を取得する基準表裏画像取得制御手段と、
前記表面画像及び裏面画像のそれぞれついて、ボタン中心及びボタン外径を特定し、前記ボタン中心を中心とし前記ボタン外径を最大とする径を変数として、同一径の円周上に存在する画素濃度の平均を異なる径ごと計算した径別平均濃度分布を算出する第1の径別平均濃度分布算出手段と、
前記第1の径別平均濃度分布算出手段で算出した前記径別平均濃度分布から径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間を特定し、そのうち最小の径を含む区間と、前記ボタン外径を含む区間とを除外して残った区間がある場合には、当該残った区間を特定する情報を、前記表面画像に基づく場合は表面特徴情報の1つとして、前記裏面画像に基づく場合は裏面特徴情報の1つとして抽出する第1の特徴抽出手段と、
前記照明装置で照明されたボタンの表裏不特定の片面を前記カメラに撮像させて片面画像を取得する片面画像取得制御手段と、
前記片面画像ついて、ボタン中心及びボタン外径を特定し、前記ボタン中心を中心とし前記ボタン外径を最大とする径を変数として、同一径の円周上に存在する画素濃度の平均を異なる径ごと計算した径別平均濃度分布を算出する第2の径別平均濃度分布算出手段と、
前記第2の径別平均濃度分布算出手段で算出した前記径別平均濃度分布から径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間を特定し、そのうち最小の径を含む区間と、前記ボタン外径を含む区間とを除外して残った区間がある場合には、当該残った区間を特定する情報を片面特徴情報の1つとして抽出する第2の特徴抽出手段と、
前記表面特徴情報及び裏面特徴情報のそれぞれと、前記片面特徴情報とを照合してその照合結果に基づき前記片面が表面か裏面かを判別する表裏判別手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のボタン表裏判別装置において、
前記表面画像及び裏面画像のそれぞれついて、エッジ抽出画像を生成し、前記ボタン中心を中心とし前記ボタン外径を最大とする径を変数として、同一径の円周上に存在する画素のエッジ強度の平均を異なる径ごと計算した径別平均エッジ強度分布を算出する第1の径別平均エッジ強度分布算出手段と、
前記第1の径別平均エッジ強度分布算出手段で算出した前記径別平均エッジ強度分布から径平均エッジ強度が所定のしきい値以上となる区間を特定し、そのうち、第1の特徴抽出手段で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間に含まれる区間、及び第1の特徴抽出手段で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間の端点を含む区間を除外した上で、区間長が所定の基準値を超え最長の区間を特定する情報を、前記表面画像に基づく場合は表面特徴情報の1つとして、前記裏面画像に基づく場合は裏面特徴情報の1つとして抽出する第3の特徴抽出手段と、
前記片面画像ついて、エッジ抽出画像を生成し、前記ボタン中心を中心とし前記ボタン外径を最大とする径を変数として、同一径の円周上に存在する画素のエッジ強度の平均を異なる径ごと計算した径別平均エッジ強度分布を算出する第2の径別平均エッジ強度分布算出手段と、
前記第2の径別平均エッジ強度分布算出手段で算出した前記径別平均エッジ強度分布から径平均エッジ強度が所定のしきい値以上となる区間を特定し、そのうち、前記第2の特徴抽出手段で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間に含まれる区間、及び前記第2の特徴抽出手段で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間の端点を含む区間を除外した上で、区間長が所定の基準値を超え最長の区間を特定する情報を片面特徴情報の1つとして抽出する第4の特徴抽出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は請求項10に記載のボタン表裏判別装置と、ボタンを所定の供給位置に搬送する搬送機構とを備えるボタン供給装置において、
前記ボタン表裏判別装置に前記搬送機構によって搬送されるボタンの表裏判別を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1又は9に記載の発明によれば、サンプルボタンの表面画像及び裏面画像のそれぞれついて、径別平均濃度分布から径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間を特定し、そのうち最小の径を含む区間はボタン穴によるものであり、ボタン外径を含む区間はボタン輪郭によるものであるので、これらを除外して残った区間がある場合には形状模様によるボタンの特徴と考えられ、当該残った区間を特定する情報を表面特徴情報、裏面特徴情報の1つとして抽出する。
ボタンの表裏不特定の片面画像ついて同様の情報を抽出し、上記の表面特徴情報及び裏面特徴情報のそれぞれと照合することで表面か裏面かを判別する。
このように、効果的にボタンの特徴情報を抽出し比較することで情報処理量を抑える。
サンプルボタンに関しては表面画像及び裏面画像の撮像が必要になるが、少なくとも1つのサンプルボタンについて行えば良く、その後の判別対象のボタンごとの入力画像は任意の片面画像でよいので、複数の画像を得る方法などに対して入力情報量を少なく押えられる。
以上のようにして効率よく迅速にボタンの表裏を判別することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、特徴を抽出するためのしきい値として全体の平均値を適用し、特徴の抽出精度を確保できる。
【0019】
請求項3又は10に記載の発明によれば、サンプルボタンの表面画像及び裏面画像のそれぞれついて、径別平均エッジ強度分布から径平均エッジ強度が所定のしきい値以上となる区間を特定し、そのうち、第1の特徴抽出工程で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間に含まれる区間、及び第1の特徴抽出工程で特定した径平均濃度が所定のしきい値未満となる区間の端点を含む区間は、ボタン穴、形状模様又は外径輪郭によるエッジであるかボタン穴の中や外径輪郭外などボタン以外の背景に起因する可能性が高いがため特徴とすべきでなく、これらを除外した上で、区間長が所定の基準値を超え最長の区間がロゴによるボタンの特徴と考えられ、この区間を特定する情報を表面特徴情報、裏面特徴情報の1つとして抽出する。
ボタンの表裏不特定の片面画像ついて同様の情報を抽出し、上記の表面特徴情報及び裏面特徴情報のそれぞれと照合することで表面か裏面かを判別する。
以上のようにしてボタンの表裏を精度良く判別することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、特徴を抽出するためのしきい値として全体の平均値を適用し、特徴の抽出精度を確保できる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、径別平均エッジ強度分布からの特徴抽出において最長の区間が2以上特定された場合は、そのうちエッジ強度が最も強い区間に特徴が最も大きく出ているので、この区間を特定する情報を特徴情報の1つとして抽出し、その他の区間を捨てるので、情報処理量を抑えつつ、判別精度を向上することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、サンプルボタンについて表面特徴情報と裏面特徴情報とを照合して、差が無ければ表裏判別不可と、差があれば表裏判別可と判断し、この判断結果を示す情報を出力するので、予め表裏判別の可否をユーザー等に知らせることができ、表裏判別不可の場合は無駄な表裏判別の試行を防止することができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、片面特徴情報と表面特徴情報とが全て一致したらその片面が表面と判別し、片面特徴情報と裏面特徴情報とが全て一致したらその片面が裏面と判別し、表裏判別精度を確保できる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、表、裏との判別結果のみならず、判別結果として先の2つのいずれでもないことを特定する情報を出力するので、ボタンの表裏が判別できなかったことをユーザー等に知らせることができ、表裏不明のボタンの縫い付け等を防止することができる。
【0025】
請求項11記載の発明によれば、ボタン供給装置において効率よく迅速にボタンの表裏が判別され、表裏を間違えることなくボタンを所定の供給位置に供給することができる。