(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高炉上部に配置されて前記高炉内に原燃料を供給する流動路を備え、前記流動路が鉛直方向に伸びる鉛直軸線に対して傾いた状態で前記鉛直軸線周りに回動されながら高炉内に原燃料を装入する装入シュートであって、
長手方向と直交する断面が真円又は楕円の全周または一部からなる壁部を備え、
ノッチ角度αが55°であるときの前記壁部の底部における前記原燃料の落下位置から先端までの長手方向の長さL0、前記長手方向から見たときの壁部先端側の直径又は長径からなる代表寸法D1とした場合に、(L0/D1)が2.2〜4.6とされ、
かつ前記壁部の先端側の流動路には、流動路に0.55D1以上の長さ寸法を有する筒状部が形成されていることを特徴とする装入シュート。
高炉上部に配置されて前記高炉内に原燃料を供給する流動路を備え、前記流動路が鉛直方向に伸びる軸線に対して傾いた状態で前記軸線周りに回動されながら高炉内に原燃料を装入する装入シュートであって、
長手方向と直交する断面が、真円又は楕円の全周または一部からなる壁部を備え、
ノッチ角度αが55°であるときの前記壁部の底部における長手方向の全長L1、前記長手方向から見たときの壁部先端側の直径又は長径からなる代表寸法D1とした場合に、(L1/D1)は2.5〜5.0とされ、
かつ前記壁部の先端側の流動路には、0.55D1以上の長さ寸法を有する筒状部が形成されていることを特徴とする装入シュート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、原燃料を特許文献1に開示された技術を用いて高炉炉内に装入する場合、シュート上部から原燃料が溢れて分散するのは解消するものの、シュート先端から装入された原燃料が、必ずしも高炉内の所定位置に装入されずに分散される場合があることが判明した。
【0007】
そのため、装入シュートから装入される原燃料の分散を抑制して、高炉内の所定位置に安定して装入されるように制御し、ひいては高炉の還元材比の低減や安定操業を図ることが可能な技術に対する強い要請がある。
【0008】
そこで、発明者は、原燃料を装入シュートによって装入する場合の原燃料の挙動及び所定位置に原燃料を安定して装入するための技術について鋭意研究した結果、原燃料が装入シュートの流動路内において、装入シュートが旋回することに起因する流動路の軸線周りに遠心力を受け、この遠心力により装入シュートの内周面に沿って移動する場合があるとの知見を得た。
【0009】
そして、装入シュート上面が開放されている場合には、この遠心力によって原燃料が流動路上縁から跳び出しやすくなり、装入シュートが筒状に形成されている場合には、装入シュートの途中からあふれることはないが、原燃料が流動路内の内面に沿って周回運動や螺旋状の運動を生じて、排出口から排出される際に流動路の軸線から離間しながら高炉内に装入、分散されることが判明した。
【0010】
さらに、先端側を絞っている場合には、流動路内を流動する原燃料の粒子に遠心力が過度に作用し、流動路内を流動する際の螺旋運動が引き起こされやすくなり、高炉装入時の炉中心方向への流れ込み挙動やコークス崩れ挙動の制御性に大きな影響が生じることも判明した。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、高炉炉内への原燃料を装入する際に、原燃料が装入シュートから溢れ出るのを抑制するとともに、高炉内に装入される際に分散されるのを抑制して、原燃料を高炉内の所定位置に安定して装入することが可能な装入シュート及び装入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、高炉上部に配置されて前記高炉内に原燃料を供給する流動路を備え、前記流動路が鉛直方向に伸びる鉛直軸線に対して傾いた状態で前記鉛直軸線周りに回動されながら高炉内に原燃料を装入する装入シュートであって、長手方向と直交する断面が
真円又は楕円の全周または一部からなる壁部を備え、
ノッチ角度αが55°であるときの前記壁部の底部における前記原燃料の落下位置から先端までの長手方向の長さL0、前記長手方向から見たときの壁部先端側の
直径又は長径からなる代表寸法D1とした場合に、(L0/D1)が2.2〜4.6とされ、かつ前記壁部の先端側の流動路には、流動路に0.55D1以上の長さ寸法を有する筒状部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、高炉上部に配置されて前記高炉内に原燃料を供給する流動路を備え、前記流動路が鉛直方向に伸びる軸線に対して傾いた状態で前記軸線周りに回動されながら高炉内に原燃料を装入する装入シュートであって、長手方向と直交する断面が、
真円又は楕円の全周または一部からなる壁部を備え、
ノッチ角度αが55°であるときの前記壁部の底部における長手方向の
全長L1、前記長手方向から見たときの壁部先端側の
直径又は長径からなる代表寸法D1とした場合に、(L1/D1)は2.5〜5.0とされ、かつ前記壁部の先端側の流動路には、0.55D1以上の長さ寸法を有する筒状部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、装入装置であって、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の装入シュートを備えることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る装入シュート及び装入装置によれば、長手方向と直交する断面が円の全周または一部からなる壁部を備え、
ノッチ角度αが55°であるときの壁部の底部における落下位置から先端までの長手方向の長さL0、壁部の底部における全長L1、前記長手方向から見たときの壁部先端側の代表寸法D1とした場合に、(L0/D1)が2.2〜4.6に設定され、又は(L1/D1)が2.5〜5.0に設定されているので、流動路内における流動路の長手方向に伸び流動路の中心位置に形成される軸線方向と直交する方向への原燃料の移動や装入シュートの流動路縁部へのせり上がりが抑制され、ひいては装入シュートからの溢れが抑制される。
また、壁部の先端側に、長さ寸法0.55D1以上、すなわち原燃料の落下位置から先端までの長さL0に対する25%以上の長さが筒状壁部とされているので、流動路を流動する原燃料が、流動路の長手方向と直交する周方向に移動されて、装入シュート先端側において装入シュート基端側の円弧状壁部(例えば、半円状壁部)を乗り越える程度まで移動しても、筒状壁部があることにより原燃料が流動路外に跳び出して溢れることが抑制される。その結果、原燃料が流動路内において周回方向に移動したる場合でも、高炉内に装入される際に原燃料が分散されるのを抑制することができる。
また、装入シュートから高炉内の装入される際の原燃料の分散が抑制されるので、原燃料の制御性及び装入位置の再現性を向上することができる。
【0016】
この明細書において、円とは、真円及び楕円を含むものとする。また、円の全周とは、装入シュートの内周面(流動路の外周)が全周にわたって円により構成されていることをいい、円の一部とは、流動路の内周面が仮想円の一部によって構成されていることを意味する。
【0017】
また、この明細書において、代表寸法D1とは、流動路が真円の場合には直径を意味しており、流動路が楕円である場合には長径(流動路の長さ方向と直交する向きの最大寸法)を意味する。
【0018】
なお、装入シュートの底部の全長L1=L0+D0×(0.5/tan(α0))により算出可能とされる。ここで、(α0)は、対象とされる装入シュートのノッチ角度の最大角度を意味する。
【0021】
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の装入シュートであって、前記流動路は、
基端側から先端側に向かって勾配2°以下で縮小されるテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係る装入シュートによれば、流動路が、基端側から先端側に向かって傾斜角度2°以下で縮小されているので、先端に流動する間に生じる原燃料の粒子が過度に密集しにくくなり、流動路内において原燃料の粒子に作用する遠心力が助長されるのが抑制されるとともに、原燃料に螺旋運度が生じるのが制御される。その結果、原燃料が排出口から周回又は螺旋運動をともなって排出されても、排出口から周囲に分散して排出されるのを抑制することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装入シュートであって、前記流動路は、
基端側から先端側に向かって勾配1°以下で縮小されるテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0024】
この発明に係る装入シュートによれば、流動路が、基端側から先端側に向かって傾斜角度1°以下で縮小されているので、流動路内において原燃料の粒子に作用する遠心力が助長されるのがさらに抑制されるとともに、原燃料に螺旋運度が生じるのが制御される。その結果、流動路にテーパが形成されていない場合と同様に、装入シュート排出口から周囲への原燃料の分散が抑制される。
【0025】
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の装入シュートであって、
前記流動路を構成する壁部の長手方向と直交する断面が楕円の全周または一部である場合に、前記長手方向と直交する断面における
長径D1と短径D2のアスペクト比(D1/D2)が、1.8以下であることを特徴とする。
【0026】
この発明に係る装入シュートによれば、アスペクト比(D1/D2)が、1.8以下とされているので、同一の断面積である場合に流動路内における原燃料の分散を抑制しつつ効率的な流動が確保される。
【発明の効果】
【0027】
この発明に係る装入シュート、装入装置によれば、原材料が流動路内でせり上がって溢れ出すのを抑制するとともに高炉内に装入される際の原燃料の分散を抑制することができる。
その結果、装入シュートから高炉内への原燃料装入の制御性及び装入位置の再現性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、
図1から
図5を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る高炉装入装置(装入装置)の概略構成を示す図であり、符号1は高炉を、符号2は高炉本体を、符号3は高炉装入装置を示している。
また、
図2は、高炉装入装置3に用いられる装入シュート10の概略構成の一例を示している。
【0030】
高炉装入装置3は、高炉本体2の上部に配置され、鉛直軸線O1方向に形成された原燃料投入筒4と、装入シュート10と、図示しない旋回機構と、図示しない傾動機構とを備えていて、装入シュート10は、図示しない旋回機構及び傾動機構に連結されている。
【0031】
また、高炉装入装置3は、旋回機構により装入シュート10を鉛直軸線O1周りに矢印R方向に旋回可能とされるとともに、傾動機構により装入シュート10を傾動支点OS周りに矢印T方向に回動して、鉛直軸線O1に対する装入シュート10の傾き(以下、ノッチ角度αという)を変化可能に構成されている。
【0032】
装入シュート10は、
図2に示すように、例えば、一定肉厚の筒状壁部(壁部)を備えていて、基端側に原燃料が供給される供給口11が開口するとともに、先端側に原燃料が排出される排出口12が開口して形成されている。
【0033】
また、装入シュート10の内方には、供給口11から排出口12に原燃料が流動する流動路13が形成された構成とされている。また、装入シュート10は、底部における落下位置P0〜排出口12までの長さをL0とした場合に、例えば、L0=2.8〜5.0mに形成されている。
【0034】
流動路13は、装入シュート10の長手方向に伸びて流動路13の中心に形成される軸線O2と直交する断面が楕円形状に形成されている。
流動路13の先端側の排出口12を構成する断面を構成する楕円形状は、装入シュート10が高炉装入装置3に配置された際に、流動路13の鉛直軸線O1を含む断面に形成される長径(代表寸法)がD1、長径と直交する方向に形成された短径がD2とされ、例えば、長径D1=0.75〜1.35mに形成されている。
【0035】
また、流動路13は、供給口11の寸法が長径D0(>D1)に形成されていて、供給口11から排出口12に向かって、流動路13を構成する装入シュート10の内周面が軸線O2に近接するように縮小されていて、例えば、傾斜角度2°のテーパ形状とされている。
【0036】
また、装入シュート10は、流動路13の排出口12における楕円形状は、長径D1と、短径D2で定義されるアスペクト比(D1/D2)が、例えば、1.8以下に形成されている。
【0037】
また、
図1、
図2に示した符号P0は、高炉装入装置3において、ノッチ角度αを操業時における最大ノッチ角度α0(例えば、55°)とした場合に、原燃料投入筒4から供給される原燃料が装入シュート10に落下する際に、装入シュート10の底部と衝突する位置を示している。
【0038】
また、装入シュート10は、底部における落下位置P0〜排出口12までの長さL0とした場合に、(L0/D1)が2.2〜4.6、となるように構成されている。
また、装入シュート10は、底部における全長L1とした場合に、(L1/D1)が2.5〜5.0となるように構成されている。
ここで、全長L1=L0+D0×0.5/tan(α0)で算出可能である。
【0039】
高炉装入装置3は、例えば、装入シュート10を鉛直軸線O1周りに8rpmで旋回させながら、鉛直軸線O1に対する傾斜角度24°〜55°の範囲で予め設定されたノッチ角度αで複数段階に傾動しながら、流量0.4m
3/s〜1.0m
3/sで原燃料を供給、高炉1内に原燃料を装入するようになっている。
【0040】
次に、
図3を参照して、分散度について説明する。
図3は、分散度を説明する図であり、
図3(A)は分散度を求める装入シュートSを示す図であり、
図3(B)は分散度を定義する図である。なお、符号Mは、原燃料の粒子を示している。
【0041】
まず、
図3(A)に示すように、対象とする装入シュートSを装入装置の鉛直軸線O1周りに矢印R方向に旋回させつつ、装入シュートSを矢印T方向に変化させて、ノッチ角度α(例えば、実用的な24°〜55°の範囲における7条件)を変えながら原燃料Mを高炉内に装入する。
そして、7つのノッチ角度αのそれぞれについて、
図3(B)に示す原燃料Mが分散された分散角度θを求めて、その平均値をその装入シュートSの代表値(θr)とする。なお、θrを算出する場合は、単純平均により平均値を算出する。
【0042】
そして、流動路の断面が真円の装入シュートについて、分散角度の代表値θrは、流動路内を流通する原燃料Mが流量1.0m
3/s、(L1/D1)=4.0の場合に最小となった。そこで、この時の分散角度の代表値θrを基準にして、分散度を1.0とした。
そして、(L1/D1)が異なる装入シュートSの分散角度の代表値θrを、(L0/D1)=4.0の分散角度の代表値θrで除して得た相対値をそれぞれの装入シュートSの分散度と定義した。
【0043】
次に、
図4、
図5を参照して、装入シュートSの(L1/D1)、及びアスペクト比と分散度の関係を説明する。
図4は、装入シュートの流動路が断面
真円である場合に、原燃料投入筒4から装入シュートSに供給された原燃料Mの落下位置から先端までの長手方向の長さL0、長手方向から見たときの壁部先端側の代表寸法D1とした場合における(L1/D1)と分散度の関係を示す図である。
【0044】
なお、分散度は、焼結鉱を原燃料として、最小流量Qmin0.4m
3/sと最大流量Qmax1.0m
3/sの範囲で、分散度粒子要素法のシミュレーションにより算出した。
【0045】
図4において、(□)及び実線で示した曲線は、Qmin=0.4m
3/sである場合の(L1/D1)と分散度の関係を示し、(●)及び破線で示した曲線は、Qmax=1.0m
3/sである場合の(L0/D1)と分散度の関係を示している。
断面真円の流動路を有する装入シュートでは、高炉内への原燃料の装入に関して、原燃料の分散が生産に支障を生じないのは分散度4.0以下の場合であることから、分散度4.0以下を好適な範囲とした。
【0046】
図4によれば、原燃料の流量0.4m
3/sである場合には、(L1/D1)が2.5〜5.0の範囲で分散度が4.0である。
また、原燃料の流量1.0m
3/sである場合には、(L1/D1)が2.5〜5.3の範囲で分散度が4.0である。
【0047】
また、
図5は、装入シュートのアスペクト比と分散度の関係を、粒子要素法のシミュレーションにより算出した結果を示す図であり、
図5によれば、分散度が4.0となるのは、アスペクト比(D1/D2)が1.8以下の場合である。
以上のことから、アスペクト(D2/D1)が1.8以下が好適な範囲であるといえる。
【0048】
また、装入シュート10及び高炉装入装置3によれば、(L0/D1)を2.2〜4.6、(L1/D1)を2.5〜5.0に構成されているので、原燃料が流動路の軸線と直交する方向に移動するのが抑制され、その結果、原燃料が装入シュートから溢れるのが抑制されるとともに高炉内に分散されるのが抑制される。
【0049】
装入シュート10によれば、流動路13が、基端側から先端側に向かって傾斜角度2°以下のテーパ状に形成されているので、原燃料が螺旋運動等をともなっている場合でも、排出口12から周囲に分散されながら排出されるのを抑制することができる。
【0050】
また、装入シュート10によれば、流動路13の先端側におけるアスペクト比(D1/D2)が、1.8以下とされているので、流動路13内における原燃料の分散を抑制しつつ効率的な流動を確保することができる。
【0051】
したがって、例えば、特開2010−133000に示されるように、シュートの傾斜角度が複数の軸線相互の交差角で調整されるために、シュート内面を断面円形に形成する必要があるような場合に、大きな効果を発揮することができる。
【0052】
また、種々の高炉に対応して、原燃料の溢れ防止及び高炉内での装入位置の制御性を向上しつつ装入シュートを最適設計することが可能となる。
【0053】
次に、
図6、
図7を参照して、この発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る高炉装入装置(装入装置)3の概略構成を示す図であり、第1の実施形態と異なるのは、装入シュート10に代えて装入シュート30を備えている点である。その他は、第1の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
装入シュート30は、
図6、
図7に示すように、例えば、基端側に原燃料が供給される供給部31が形成され、先端側に原燃料が排出される排出口32が開口する一定肉厚の円弧状壁部(壁部)34と筒状壁部(壁部)35を備えていて、原燃料が供給部31から排出口32に流動する流動路33が形成された構成とされている。
【0055】
流動路33は、装入シュート30の長手方向に伸びて流動路33の中心に形成される軸線O2と直交する断面が楕円形状に形成されている。流動路33の筒状壁部35の排出口32を構成する楕円形状は、装入シュート30が高炉装入装置3に配置された際に、流動路33の鉛直軸線O1を含む断面に形成される長径(代表寸法)がD31、長径と直交する方向に形成された短径がD32とされ、例えば、長径D31=0.75〜1.35mに形成されている。
【0056】
また、流動路33は、例えば、供給部31の寸法が長径D30(>D31)に形成されていて、流動路33の供給部31から排出口32に向かって軸線O2に対して細くなる傾斜角度2°のテーパ形状が形成されている。
【0057】
また、装入シュート30は、流動路33の排出口32側を構成する楕円形状の長径D31と、短径D32で定義されるアスペクト比(D31/D32)が、例えば、1.8以下に形成されている。
【0058】
また、
図6、
図7に示した符号P0は、高炉装入装置3において、ノッチ角度αを操業時における最大ノッチ角度α0(例えば、55°)とした場合に、原燃料投入筒4から供給される原燃料が装入シュート30に落下する際に、装入シュート30の底部と衝突する位置を示している。
【0059】
また、装入シュート30の底部における落下位置P0〜排出口32までの長さL0とした場合に、(L0/D31)が2.2〜4.6となるように構成されている。
また、装入シュート30の底部における全長L1とした場合に、(L1/D31)が2.5〜5.0となるように構成されている。
また、筒状部35は、長さL2≧(0.55)D31とされ、筒状部35のL1に対する比(L2/L1)は、25%以上とされている。
【0060】
装入シュート30によれば、L1に対する比(L2/L1)が25%以上の筒状壁部35が形成されているので、流動路33を流動する原燃料が、流動路33の軸線O2と直交する移動されても、原燃料が流動路33外に跳び出して溢れることが抑制され、原燃料が流動路33内において螺旋運動等を発生しても、高炉内に装入される際に原燃料が分散されるのを抑制することができる。
【0061】
次に、
図8、
図9を参照して、この発明の第3の実施形態について説明する。
図8は、第3の実施形態に係る高炉装入装置(装入装置)3の概略構成を示す図であり、第1の実施形態と異なるのは、装入シュート10に代えて装入シュート40を備えている点である。その他は、第1の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
装入シュート40は、
図8、
図9に示すように、例えば、基端側に原燃料が供給される供給部41が形成され、先端側に原燃料が排出される排出部42が形成される一定肉厚に形成され上方が開放された円弧状壁部(壁部)とされていて、内方には原燃料が供給部41から排出部42に流動する流動路43が形成された構成とされている。
【0063】
流動路43は、装入シュート40の長手方向に伸びて流動路43の中心に形成される軸線O2と直交する断面は、仮想楕円形状の一部に形成されている。仮想楕円形状は、流動路43の排出部42において、装入シュート40が高炉装入装置3に配置された際に、流動路43の鉛直軸線O1を含む断面に形成される長径(代表寸法)がD41、長径と直交する方向に形成された短径がD42とされ、例えば、長径D41=0.75〜1.35mに形成されている。
【0064】
また、流動路43は、例えば、供給部41の寸法が長径D40(>D41)に形成されていて、流動路43の供給部41から排出口42に向かって軸線O2に対して細くなる傾斜角度2°のテーパ形状が形成されている。
【0065】
また、装入シュート40は、流動路43の排出部42側を構成する仮想楕円形状の長径D41と、短径D42で定義されるアスペクト比(D41/D42)が、例えば、1.8以下に形成されている。
【0066】
また、
図8、
図9に示した符号P0は、高炉装入装置3において、ノッチ角度αを操業時における最大ノッチ角度α0(例えば、55°)とした場合に、原燃料投入筒4から供給される原燃料が装入シュート40に落下する際に、装入シュート40の底部と衝突する位置を示している。
【0067】
また、装入シュート40の底部における落下位置P0〜排出部42までの長さL0、底部における全長L1とした場合に、(L0/D41)が2.0〜4.6となるように構成されている。
また、装入シュート40の底部における全長L1とした場合に、(L1/D41)が2.5〜5.0となるように構成されている。
【0068】
なお、本発明は、上記第1〜第3の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、装入シュート10の流動路13、装入シュート30の流動路33、装入シュート40の流動路43が、断面楕円形(仮想円を含む)に形成されている場合について説明したが、例えば、流動路13、33、43の断面形状を楕円形とするか真円とするかは任意に設定することができる。
【0069】
また、上記実施の形態においては、装入シュート10が全長にわたって筒状に形成され、装入シュート30が円弧状壁部34と筒状壁部35とを備え、装入シュート40が円弧状壁部により構成されている場合について説明したが、装入シュートの長手方向のどの部分の上部を開放するか、また、どの程度の長さを筒状壁部とするかは任意に設定することができる。
【0070】
なお、第2の実施の形態において、筒状部35の長さL2を長さL0に対して25%以上とする場合について説明したが、筒状部35の長さL2を長さL0に対して25%未満としてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態においては、長径D1、D31、D41が、短径D2、D32、D42に対して、アスペクトが1.8以下である場合について説明したが、アスペクトを1.8より大きくしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、長径D1、D31、D41が、鉛直軸線O1を含む断面に形成され場合について説明したが、長径D1、D31、D41を鉛直軸線O1と直交する方向に形成してもよいし、鉛直軸線O1に対して任意の斜め方向に形成してもよい。
【0073】
また、上記実施の形態においては、装入シュート10が、高炉装入装置3において、鉛直軸線O1周りに8rpmで旋回させながら、ノッチ角度α24°〜55°で、原燃料を流量0.4m
3/s〜1.0m
3/sで装入して操業する場合について説明したが、上記条件以外で操業される高炉装入装置に用いてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態においては、流動路13、33、43が楕円形(仮想円を含む)の全周又は一部により構成される場合について説明したが、長円等、一部に緩やかな曲線が不連続となる部分や直線を含む構成としてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態においては、流動路13、33、43が基端側から先端側に向かって傾斜角度2°以下のテーパ状に形成されている場合について説明したが、流動路を、傾斜角度2°以上のテーパ状に形成してもよいし、傾斜角度1°以下のテーパ状に形成し、又はテーパ形状を備えない構成としてもよい。