(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982280
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】排気ガスを選択的に接触還元するための触媒組成物
(51)【国際特許分類】
B01J 23/85 20060101AFI20160818BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20160818BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
B01J23/85 AZAB
B01D53/86 222
F01N3/08 B
【請求項の数】6
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2012-506277(P2012-506277)
(86)(22)【出願日】2010年4月16日
(65)【公表番号】特表2012-524646(P2012-524646A)
(43)【公表日】2012年10月18日
(86)【国際出願番号】AT2010000116
(87)【国際公開番号】WO2010121280
(87)【国際公開日】20101028
【審査請求日】2013年3月14日
【審判番号】不服2015-2271(P2015-2271/J1)
【審判請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】A626/2009
(32)【優先日】2009年4月23日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】508016952
【氏名又は名称】トライバッハー インダストリー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シェルマンツ,カール
(72)【発明者】
【氏名】サガー,アモド
(72)【発明者】
【氏名】トロヴァレッリ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】カザノーヴァ,マルツィア
【合議体】
【審判長】
大橋 賢一
【審判官】
新居田 知生
【審判官】
真々田 忠博
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭57−30532(JP,B2)
【文献】
特開平9−103646(JP,A)
【文献】
特公昭63−48584(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
XVO4/S
によって表わされ、
ただし、XVO4は、
(a)遷移金属バナジン酸塩、
または、
(b)遷移金属バナジン酸塩と希土類のバナジン酸塩との混合物、
を示し、SはTiO2を有する担持体であり、
上記遷移金属はFeである、脱硝触媒組成物。
【請求項2】
上記担持体は、少なくとも55重量%のTiO2と、1重量%〜20重量%のWO3と、随意的に20重量%以下のSiO2とを含有し、
上記脱硝触媒組成物が0.2重量%〜25重量%のXVO4を含有することを特徴とする、請求項1に記載の脱硝触媒組成物。
【請求項3】
上記希土類がErであることを特徴とする、請求項1または2に記載の脱硝触媒組成物。
【請求項4】
上記希土類がSm、Gd、および、Yのうちの1つであることを特徴とする、請求項1または2に記載の脱硝触媒組成物。
【請求項5】
上記Sは、4重量%〜15重量%、特に5重量%〜10重量%のSiO2を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱硝触媒組成物。
【請求項6】
排気ガスの後処理に対する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱硝触媒組成物の利用。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、排気ガスを選択的に接触還元するための触媒組成物(以下の記述では「触媒組成物」と称する)、および、その調製プロセスに関する。このような触媒組成物は、例えば、自動車のディーゼルエンジンおよび希薄燃焼エンジンにおける特に排気ガスの後処理においてNO
xを除去するために、触媒用途で使用される。さらに、この触媒組成物は、例えば、据置用途(例えば発電所におけるNO
xの除去)でも使用される。
【0002】
〔背景技術〕
排気ガスからNO
xを除去するために最も広く用いられている技術は、SCR(Selective Catalytic Reduction;選択的接触還元)であり、例えば O. Kroecher, Chapter 9 in “Past and Present in DeNO
x Catalysis", edited by P. Granger et al., published by Elsevier 2007 に記載されている。この技術によれば、NO
xは、次のような反応でアンモニアによって窒素および水に分解されて除去される。
【0003】
4NO + 4NH
3 + O
2 = 4N
2 + 6H
2O
据置用途の場合、化石燃料で稼動する発電所から排出される窒素酸化物を除去するために、1970年以来、主にV
2O
5でドーピングしたTiO
2/WO
3の組成物が商業的に使用されてきた。
【0004】
すでに15年前になるが、SCRを可動型のディーゼルエンジンにも適用しようというアイデアについて議論された。これが現在、高出力ディーゼル車両、乗用車、および、オフロード車からNO
xを還元するための、新生技術である。
【0005】
典型的なSCRシステムは、還元触媒、尿素を噴射し、かつ注入する部品、パイプ、および、貯蔵用タンクからなる。現在、非常に大多数の触媒は、五酸化バナジウム(V
2O
5)を触媒の活性成分として有する、押し出し型担体または被覆型担体である。
【0006】
温度に対するバナジウム触媒の安定性の制限、およびいくつかの国で五酸化バナジウム(V
2O
5)が健康に悪影響を及ぼすものとして分類されるという事実から、ゼオライト系SCRの触媒性被覆膜が現在開発中である。フィルタ再生中に比較的高い温度になるので、微粒子フィルタ下流に組み込まれたSCR用触媒においては、特に温度に対する安定性の向上が重要である(M. Rice, R. Mueller at al., Development of an Integrated NO
xand PM Reduction Aftertreatment System: SCRi for Advanced Diesel Engines, SAE technical paper 2008-01-132, SAE World Congress Detroit, Michigan Apr 14-17, 2008)。
【0007】
さらに、自動車の排気ガスを後処理するために、周知のV
2O
5/WO
3−TiO
2物質が商業的に適用されたという報告がある(O. Kroecher in Chapter 9, p. 267f in “Past and Present in DeNOx Catalysis", edited by P. Granger et al.)。
【0008】
第3回CTI Forum SCR Systems(ボン、2008年4月9日)においてDirk Vatareck(Catalysts Automotive Applications, Argillon社)が行ったプレゼンテーションによれば、V
2O
5を活性成分として含有するチタニア酸化物/タングステン酸化物系触媒は、非常に多種類の自動車用触媒(1年間に約400万種類の触媒)の製作に適用されている。
【0009】
V
2O
5を含有するTiO
2/WO
3系物質(さらに遷移金属、希土類、および、その他の元素の酸化物を含有しても構わない)の調製、および、SCRの用途については、多数の報告書、特許出願、および、特許において広く開示されている。例えば、英国特許第1 495 396号明細書には、チタンの酸化物と、モリブデン、タングステン、鉄、バナジウム、ニッケル、コバルト、銅、クロム、および、ウランのうちの少なくとも1つの酸化物とを活性成分として含有し、さらに、適宜添加する成分として、スズ、ならびに/または、銀、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、イットリウム、希土類金属、シリコン、ニオブ、アンチモン、ビスマス、マンガン、トリウム、および、ジルコニウムのうちの少なくとも1つを含有する触媒組成物が記載されている。なお、これらの酸化物は混和物として存在している。
【0010】
欧州特許第787 521号明細書には、Y
2O
3、B
2O
3、PbO、SnO
2などのドーパントを含む、複数種類のバナジウム含有TiO
2/WO
3系触媒の調製法が記載されている。なお、バナジウムは、五酸化バナジウム(V
2O
5)として存在している。
【0011】
米国特許第4 221 768号明細書では、担持物質としてのTiO
2と、さらにドーパントとしての遷移金属の酸化物とを基にした、V
2O
5含有物質について報告されている。さらに、TiO
2上に担持されたV
2O
5含有SCR物質が、英国特許第1 430 730号明細書に記載されている。
【0012】
英国特許出願公開第2 149 680号明細書には、TiO
2、SiO
2、S、ならびに、Ce、Sn、Mo、および、Wの酸化物を含有する、V
2O
5含有物質について報告されている。
【0013】
米国特許第4 466 947号明細書には、酸化物または硫酸塩の形態で存在するバナジウムを含有する、バナジウム含有脱硝触媒が記載されている。
【0014】
欧州特許出願公開第1 145 762号明細書には、チタニア上に担持されたバナジアSCR−触媒の調製プロセスが記載されている。
【0015】
バナジウム系触媒の主な欠点は、600℃を超える温度での限られた安定性である。
【0016】
Jan MTらは、Chemical Engineering & Technology, Vol. 30, No10, 1440 -1444, 2007.において、TiO
2/WO
3/V
2O
5系SCRシステムの安定性に関して報告している。
【0017】
この報告によると、触媒の不活性化は、V
2O
5が約650℃で融解することによって発生する。
【0018】
米国特許再審査証明書第6 805 849号明細書の第2コラムには、ディーゼルエンジン搭載車両のNO
xを除去するための、適したTiO
2/WO
3/V
2O
5系SCR用触媒が記載されている。このような触媒は良好な性能を示すが、高温での継続的な動作により、触媒が不活性化し得ることがわかった。高出力ディーゼルエンジンは、ほぼすべてが過給されており(charged)、500℃を超える温度で排気ガスを生成することがある。高負荷および/または高速の条件、ならびにこのような温度の条件では、触媒の不活性化が発生しかねない。
【0019】
第3回CTI Forum SCR Systems(ボン、2008年4月9日)におけるDirk Vatareck(Catalysts Automotive Applications, Argillon社)によるプレゼンテーションでは、短時間であれば、TiO
2/WO
3/V
2O
5系触媒の最高作用温度が550℃および580℃であることが報告された。
【0020】
EURO6に基づく申請に照らして、第3回CTI Forum SCR Systems(ボン、2008年4月9日)におけるDirk Vatareck(Catalysts Automotive Applications, Argillon社)によるプレゼンテーションでは、V
2O
5を含有するTiO
2/WO
3系触媒の熱的安定性の改善について報告があった。このプレゼンテーションによれば、活性成分としてのV
2O
5と、TiO
2/WO
3からなる担持物質とを含有し、さらにSiを含有する触媒は、短時間であれば、最高温度600℃および650℃で作用し得る。
【0021】
熱的安定性が改善されたバナジウム系システムも、James. W. Girard et al.によって報告されている(“Technical Advantages of Vanadium SCR Systems for Diesel NO
x Control in Emerging Markets", SAE technical paper 2008-01-132, SAE World Congress Detroit, Michigan Apr 14-17, 2008)。600℃で50時間エージングした後でも、触媒は依然活性を有している。しかしながら、活性ディーゼル微粒子除去フィルタ(Diesel Particulate Filter;DPF)の再生時に排気ガスが高温になる可能性があるので、通常、バナジウム系SCR用触媒をこのような分野で応用しようとは考えない。
【0022】
ディーゼル車両に対する自動車ガス排出規制(米国2010規制およびEURO6規制)がますます厳しくなる中、ディーゼル微粒子除去フィルタ(DPF)をSCR用触媒とともに備えた後処理システムが、将来必要となる。このようなシステムを実現するためにはSCR用触媒が温度に対して高い安定性を有することが要求される。V
2O
5は、熱的安定性の問題に加えて、環境に対して排出される可能性もあるので、V
2O
5系システムがこのような応用分野で使用可能であるとは考えられていない(J. Muench et al “Extruded Zeolite based Honeycomb Catalyst for NO
x Removal from Diesel Exhaust, SAE Paper 2008-01-1024)。
【0023】
180℃〜350℃の温度範囲におけるSCR用触媒の活性は、ディーゼルエンジンに応用する際に重要であるので、低温域において触媒活性を改善するシステムが確立されている。
【0024】
例えば、SCRシステムの前に取り付けたディーゼル用酸化触媒(diesel oxidation catalyst;DOC)で補助することによって、NOは(NOは、ディーゼルエンジンから排出されるそのままの排出物中に主要な成分として(=90%を超える)存在する)酸化されてNO
2を形成する。このNO
2を使用すれば、微粒子を完全に燃焼させ、低温活性(180℃〜350℃の温度域)を改善することができる(M. Rice, R. Mueller at al., Development of an Integrated NO
xand PM Reduction Aftertreatment System: SCRi for Advanced Diesel Engines, SAE technical paper 2008-01-132, SAE World Congress Detroit, Michigan Apr 14-17, 2008を参照)。
【0025】
同文献に、米国2010とEURO6とに対する、2つのエンジンと後処理との想定状況の設計パラメータが要約されている。1つの概念によれば、PMフィルタを活性再生するとともに、多量の微粒子物質と低いNO
x率が達成される。記載された想定状況に対して提案されているSCR用触媒は、ゼオライトである。ゼオライトを使用しなければならない理由は、PMフィルタを活性再生させるので、SCRシステムに対して高い耐熱性が要求されるからである。
【0026】
第2の概念は、低いPM濃度および低いNO
x濃度を達成するエンジンコンセプトを含んでいる。このSCR用触媒は、例えばバナジウム系物質またはゼオライトからなっていればよい。どちらの概念でも、SCR処理に先立って、ディーゼル用酸化触媒(diesel oxidation catalyst;DOC)を使用する。
【0027】
SCR用触媒の低温活性の問題は、米国特許出願第2008/0234126号明細書でも言及されている。該特許出願には、300℃以下のウインドウで窒素酸化物を除去するために、低温での活性が促進されたバナジウム/チタニア系触媒の調製方法が記載されている。ただし、米国特許出願第2008/0234126号明細書では、600℃を超える温度における触媒の安定性の問題については言及されていない。
【0028】
国際特許出願公開第2005/046864号明細書では、バナジウム含有TiO
2/WO
3/SiO
2系「SCR用触媒」における熱的安定性の改善が報告されている。好適な実施形態によれば、TiO
2/WO
3/(SiO
2)を基にした混合物中のバナジウムは、五酸化バナジウム(V
2O
5)の形態では存在せず、希土類のバナジン酸塩(REVO
4)の形態で存在する。この希土類のバナジン酸塩は、例えば、(担持体および希土類のバナジン酸塩を)単純に混合した後に混合物を焼成することによって、担持物質(TiO
2/WO
3/(SiO
2))に粉末として導入されればよい。
【0029】
別の構成としては、組成物中で、希土類のバナジン酸塩を、触媒組成物の調製過程(焼成)の間に、例えば希土類アセテートおよびメタバナジン酸アンモニウムなどの前駆体から、インサイツで形成してもかまわない。触媒中の希土類のバナジン酸塩の存在は、XRDによって証明される。
【0030】
国際特許出願公開第2005/046864号明細書において言及されている触媒組成物は、750℃で10時間の熱処理を行った後に良好なNO
x転換活性を示す。その一方で、TiO
2/WO
3/SiO
2の担持体上にV
2O
5を含有する基準物質は、750℃で10時間の熱処理(エージング)を行った後には、活性がほぼゼロであるとみなして差し支えない。
【0031】
ただし、国際特許出願公開第2005/046864号明細書には、自動車のSCRシステムおいて重要な、250℃未満(例えば230℃や200℃)でのNO
x転換率について一切記載されていない。比較例2に示すように、ErVO
4でドーピングしたTiO
2/WO
3/SiO
2系組成物(国際特許出願公開第2005/046864号明細書の実施例18、表2bに相当)を対象にして、200℃および230℃の温度でNO
x転換試験を行った。NO
x転換率は、「未処理」の物質の場合には、200℃および230℃ではゼロであり、250℃では25%であった。
【0032】
上記化合物に対して700℃で10時間の熱処理を行った後に、触媒活性の増加が見られた。具体的には、200℃および230℃ではそれぞれ6%および20%という比較的低いNO
x転換率を示し、250℃で転換率を測定すると55%であった。
【0033】
比較例1は、高出力ディーゼルSCRに現在適用されている、TiO
2/WO
3/SiO
2上に担持されたV
2O
5を含有する市販の触媒に相当する。650℃で2時間の熱処理後、物質は依然として活性を示す。ただし活性は、200℃〜250℃の範囲においてすでに50%未満であり、700℃で10時間の熱処理を行った後には大幅に低下する。
【0034】
さらに、比較例1.1では、TiO
2/WO
3/SiO
2:V
2O
5触媒は、750℃で10時間の熱処理を行った後には活性がほぼゼロであることが示された。
【0035】
現在の技術的状況を要約すると、希土類のバナジン酸塩でドーピングしたTiO
2/WO
3/SiO
2系物質の方が、V
2O
5でドーピングした物質よりも熱的に安定しているが、300℃未満の動作温度ではNO
x転換率が低いという弱点があると結論してよいと考えられる。V
2O
5含有TiO
2/WO
3/SiO
2系物質は、650℃まで作用し得るが、活性はすでに失われている。
【0036】
〔発明の目的および要点〕
先行技術において発生する上記の問題に鑑みて、本発明の目的は、
a)V
2O
5を含有する従来の物質と比較して、700℃まで耐熱性が改善されたバナジウム系組成物、
b)希土類のバナジン酸塩を含有する従来の物質と比較して、800℃までの耐熱性が改善され、かつ、300℃未満におけるNO
xに対する活性が改善されたバナジウム系組成物、
を提供することである。
【0037】
本発明に係る触媒組成物は、一般式
XVO
4/S
によって表わされ、
ただし、XVO
4は、
(a)遷移金属バナジン酸塩、
または、
(b)遷移金属バナジン酸塩と希土類のバナジン酸塩との混合物、
を示し、SはTiO
2を有する担持体である。
【0038】
本明細書および請求項において、「希土類」という用語は、希土類元素またはこれらの混合物(つまり複数の希土類元素)を意味する。IUPACによれば、希土類元素とはSc、Y、および、15種類のランタニド(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、および、Lu)である。
【0039】
本明細書および請求項において、「遷移金属」という用語は、遷移金属元素またはこれらの混合物(つまり複数の遷移金属元素)を意味する。IUPACによれば、遷移金属とは、原子のd軌道が完全には満たされていない元素、または、d軌道が完全には満たされていないカチオンを形成し得る元素である。ただし、本明細書および請求項において、遷移金属という用語は、周期表の4族〜11族に属する元素とZnとだけを指すものとする。
【0040】
本発明は、TiO
2またはTiO
2/WO
3(TW)またはTiO
2/WO
3/SiO
2(TWS)を基にした新規な組成物が、従来の物質に比べて高い耐熱性および高いNO
x転換活性を有するという驚くべき知見に基づいている。これらの新規な触媒組成物の好適な実施形態は、バナジン酸鉄、バナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩の混合物、または、バナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩/遷移金属バナジン酸塩の混合物を基にしたドーパントを含有する。したがって、このような化合物は、将来のSCRシステムにおいて微粒子フィルタと組み合わせて用いれば、ディーゼルエンジンおよび希薄燃焼エンジンの排気ガスの後処理に有用であると考えられる。
【0041】
好ましくは、上記遷移金属は、Mn、Cu、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、および、Wからなる群より選択される1つである。
【0042】
より好ましくは、上記遷移金属は、Fe、Mn、Cu、および、Zrからなる群より選択される1つである。
【0043】
最も好ましいのは、遷移金属としてのFeである。
【0044】
本発明に係る触媒組成物の別の好適な実施形態では、上記担持体は少なくとも55重量%のTiO
2と、1重量%〜20重量%のWO
3と、随意的に20重量%以下のSiO
2とを含有し、上記触媒組成物が0.2重量%〜25重量%のXVO
4を含有することを特徴とする。
【0045】
好ましくは、上記希土類は、Erであるか、あるいは、Gd、Sm、および、Yのうちの1つである。
【0046】
別の好適な実施形態では、上記Sは、4重量%〜15重量%、特に5重量%〜10重量%のSiO
2を含有することを特徴とする。
【0047】
本発明は、
a)TiO
2を含有する担持物質とXVO
4とを水中で懸濁させて、該担持物質とXVO
4とを含む混和物を形成し、
b)過剰な水を蒸発させ、
c)該混合物を(好ましくは80℃〜150℃の温度で)乾燥させ、
d)この乾燥済み混合物を空気中で500℃〜850℃の温度で焼成する、
ことを含む、触媒組成物を調製するプロセス(ただし、XVO
4は遷移金属バナジン酸塩、または、遷移金属バナジン酸塩と希土類のバナジン酸塩との混合物を示す)も対象としている。
【0048】
別の好適な実施形態では、上記バナジン酸は、担持体との混合に先立って、好ましくは350℃を超えかつ融点よりは低い範囲の温度で別途、予熱処理されることを特徴とする。この予熱処理によって、触媒の触媒活性が大幅に増加する。
【0049】
バナジン酸鉄を基にしたドーパント、バナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩の混合物を基にしたドーパント、および、バナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩/遷移金属バナジン酸塩の混合物を基にしたドーパントの調製には、原理的に国際特許出願公開第2005/046864号明細書に記載の方法に基づく湿式化学プロセスを適用し、さらに、沈殿法および共沈殿法を適用した。
【0050】
本発明に係る、バナジン酸鉄、バナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩の混合物、または、バナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩/遷移金属バナジン酸塩の混合物でドーピングされた、担持体TiO
2/WO
3(TW)およびTiO
2/WO
3/SiO
2(TWS)を基にした組成物は、好ましくは、
(a)担持物質TW、TWSと、バナジン酸鉄、バナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩の混合物、または、バナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩/遷移金属バナジン酸塩の混合物と、を水中で懸濁させて、該担持物質(TW、TWS)とバナジン酸との混和物を形成し(ただし、このバナジン酸は、担持体との混合に先立って、350℃を超えかつ融点よりは低い温度で随意的に予熱処理される)、
(b)過剰な水を最低数時間蒸発させ、
(c)該混合物を約120℃で約10時間〜16時間乾燥させ、
(d)この混合物を、空気中650℃で2時間、さらに随意的に(化合物の耐熱性に応じて)これより低い(例えば500℃)か、あるいは高い温度(例えば650℃〜850℃の範囲の温度)で、最大で120時間まで焼成し、
(e)随意的に、この焼成済粉末をある形状に成型し、
(f)随意的に、該焼成済粉末でセラミック製ハニカムまたは金属製ハニカムを被覆する、
ことを含むプロセスによって生成される。
【0051】
触媒組成物を調製する独創的なプロセスの好適な実施形態は、上記遷移金属のうちの1つが、Mn、Cu、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、および、Wからなる群より選択される少なくとも1つ、または、Fe、Mn、Cu、および、Zrからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする。
【0052】
担持物質に導入されるドーパントの含有率は、通常8.4重量%であるが、これより低い濃度(0.2%)およびこれより高い濃度(最大で25%)で適用することもできる。
【0053】
本発明にしたがって調製される組成物は、この組成物の調製に使用される担持体およびドーパント(どちらも特性が分析的によく特定されている)の量からバナジウムの含有量に基づいて算出した。
【0054】
本発明は、上述の触媒組成物と、通常Al
2O
3またはシリカを含有する結合剤とを含む触媒も対象としている。
【0055】
組成物の特徴は、比表面積および部分的にはXRD構造によって特定した。
【0056】
物質の比表面積は、真空下150℃で1.5時間の事前処理後、Micromeritics Tristar装置を用いて、77KにおけるN
2の吸着/脱離を利用してBET法で測定した。
【0057】
XRD測定は、40KVおよび40mAで、NiでフィルタをかけたCu Kα放射線を使って、Philips社のX’Pert回折測定器を用いて行った。
【0058】
NO
xの除去効率について触媒試験を行うために、組成物に対して触媒試験を実施した。
【0059】
試験A(粉末を対象にした標準的な試験)と試験B(実際の触媒を用いた試験)との2つの試験を実施した。
【0061】
〔A)標準触媒試験(A)〕
〔サンプル調製〕
本発明に係るプロセスによって得られた粉末を、圧縮してペレットを形成し、押しつぶして、355μm〜425μmの範囲で篩にかけた。
【0062】
〔熱処理(エージング)〕
熱処理後の触媒活性を測定するために、上記の篩にかけた粉末に対して、静止マッフル炉内で大気雰囲気下において、700℃で10時間、750℃で10時間、さらに、部分的に800℃で10時間の焼成(エージング)を実施した。
【0063】
〔触媒活性の測定〕
試験は
図1に示す装置内で実施した。NO
x成分のモデル供給ガスとして、NOだけを使用した。さらに詳しく述べれば、該供給ガスはNH
3/N
2、NO/N
2、O
2、N
2からなっていた。質量流量計を使用して単一のガス流を測定および制御し、噴射ポンプを使用して水を導入した。この供給ストリームは前もって加熱および混合され、反応炉に入る直前に、副反応を避けるために、このガス状の混合物にアンモニアを添加した。管状石英反応炉を採用して加熱炉内に挿入した。触媒床に挿入した熱電対によって温度を制御した。触媒の活性を、200℃〜480℃の温度範囲における動的な条件(温度勾配5℃/分)の基だけでなく定常条件の基でも測定した。適用した2つの方法の結果に、顕著な差異はなかった。
【0064】
加熱した多重反射ガスセル(5.11m)を装備したFT−IR分光計(MKS Multigas Analyzer2030)を用いて、ガス組成分析を実施した。
【0066】
〔B)被覆触媒を用いた触媒試験(試験B)〕
〔サンプルおよび触媒の調製〕
本発明に係るプロセスによって得られた粉末を、約20重量%のAl
2O
3結合剤と混合して(擬似ベーマイト法)、水性のスラリーを得た。このスラリーでコージライトの担体(ハニカム)を被覆し、水は熱風によって除去した。
【0067】
〔触媒のエージング〕
触媒に対して、10%H
2Oを含む200l/hの気流で、750℃で8時間の焼成(エージング)を実施した(つまり、熱水エージング)。さらに、10%の水の存在下で、エージングを750℃で8時間、さらに750℃で20時間、および、部分的にはさらに800℃で20時間実施した。
【0068】
〔触媒活性の測定〕
特に明記しない限り、表2に示す反応条件を使用した。
【0070】
1つの態様において、本発明は、ドーパント中のFe/Erのモル比が互いに異なる、バナジン酸鉄ドーパントおよびバナジン酸鉄/バナジン酸エルビウム系ドーパントを有するTiO
2/WO
3/SiO
2(TWS)に基づく組成物を提供する。
【0071】
驚くべきことに、バナジン酸鉄/バナジン酸エルビウムにおいてFe元素とEr元素との規定比を適用することによって、このような触媒組成物の耐熱性が特定的に制御できることがわかった。
【0072】
触媒組成物の耐熱性は、担持物質(TWS)におけるアナターゼからのルチルの形成阻害に由来する。高温(650℃〜750℃)でのルチル化阻害は、
図2のXRD分析により示されるように、金属バナジン酸塩の混合物中のFe:Er元素のモル比に明らかに依存している。750℃で10時間の熱処理を行った後にFe
0.8Er
0.2VO
4を含有する組成物においては、相当量のルチル形成を観察することができ、触媒活性は、700℃で10時間の熱処理を行った物質に比べて、大幅に低下する。その一方で、Fe/Erのモル比が1:1である組成物Fe
0.5Er
0.5VO
4の場合には、ルチル形成が観察されない。
【0073】
したがって、組成物の耐熱性は、バナジン酸鉄/バナジン酸エルビウム系ドーパント中のErの増加にともなって増加する。したがって、この希土類元素は触媒組成物の熱的安定性に寄与すると考えられる。
【0074】
本発明の別の態様では、希土類元素を一切含有しない、あるいは、50モル%未満の希土類元素(例えばFeVO
4やFe/ErVO
4)を含有するドーパントを含む、TWSに基づく触媒の混合物は、比較例1に記載した基準物質(V
2O
5を含有するTWSに基づく市販の触媒)および比較例2に記載した基準物質(ErVO
4を含有するTWS)と同じ条件で調製した場合に、これらの比較物質に比べて、触媒活性の向上を示すことがわかった。さらなる詳細については表9に開示する。
【0075】
もう1つの態様において、本発明は、FeおよびEr以外の希土類金属(例えばSm、Gd、Yなど)を有するドーパントを含有するTWSに基づく組成物を提供する。さらに、このバナジン酸鉄/希土類のバナジン酸塩は、他の遷移金属(例えばMnやZr)を含有してもよい。例えば、Fe
0.3Sm
0.2MnVO
4でドーピングしたTWSに基づく組成物、および、Fe
0.5Y
0.02Zr
0.48VO
4でドーピングしたTWSに基づく組成物は、650℃で2時間の熱処理を行った後に、比較例1および比較例2に比べると触媒活性の向上を示す。
【0076】
本発明のもう1つの態様では、驚くべきことに、担持体との混合に先立つバナジン酸の予熱処理は、特に触媒をそれぞれ700℃および750℃でエージングした後、各混合物の触媒活性に対して大きな寄与をすることがわかった。
【0077】
表10の実施例6、実施例6b、および、実施例6dに示すように、FeVO
4含有触媒は、担持体との混合に先立ってドーパントを前もって550℃または700℃で熱処理しておけば、活性が劇的に増加する。
【0078】
ドーパントの予熱処理が触媒活性に対して及ぼす好ましい影響は、触媒に対して700℃で10時間のエージングを行えば、表10の実施例1、実施例1a、実施例1b、実施例1d、実施例1eに示すように、Fe
0.5Er
0.5VO
4を使用することによっても明らかに実証される。
【0079】
Fe
0.5Er
0.5VO
4の予熱処理が及ぼす好ましい影響は、さらに、750℃で10時間のエージングを行った触媒の混合物の場合にも実証される(表13の実施例1、実施例1a、実施例1b、実施例1d、実施例1eを参照)。
【0080】
もう1つの態様において、本発明は、バナジン酸鉄/エルビウムを除く希土類(例えばGdやSm)のバナジン酸塩を含有するTWSに基づく組成物を提供する。このような触媒組成物は、700℃で10時間のエージングを行った後には、比較例1および比較例2に比べると、触媒活性の向上を示す(表10の実施例10、実施例12、および実施例15を参照)。
【0081】
本発明のもう1つの態様では、Fe
0.5Er
0.5VO
4を含有する触媒組成物、および、Fe
0.5Gd
0.5VO
4を含有する触媒組成物は、700℃において極めて熱的に安定していることがわかった。これらの各触媒組成物は、700℃で50時間の熱処理を受けた後には、700℃で10時間のエージングを行った場合に比べると触媒活性がさらに向上している(表10および表11の実施例1および実施例11を参照)。活性の向上は、100時間700℃でエージングを行った後の、Fe
0.5Er
0.5VO
4を含有する触媒の場合には、さらに顕著である(表12の実施例1を参照)。
【0082】
本発明のもう1つの態様では、驚くべきことに、バナジン酸鉄/バナジン酸エルビウムを含有する触媒組成物は、800℃で10時間の熱処理を行った後に、素晴らしい活性示すことがわかった。バナジン酸鉄/バナジン酸エルビウム系ドーパントを含有するTWS担持体に基づく組成物は、ErVO
4を含有する物質(表14の実施例1、実施例1a、実施例1b、実施例1d、実施例1e、実施例13、実施例14f、比較例2d、および、比較例2fを参照)と比較すると、活性の向上を示す。
【0083】
本発明のもう1つの態様では、実施例18および実施例19にそれぞれ開示するように、Fe
0.5Er
0.5VO
4およびFe
0.5Er
0.25Gd
0.25VO
4でドーピングしたTiO
2/WO
3を担持物質として適用することによって、比較例1および比較例2と比べた場合に、低温における触媒活性が向上する。
【0084】
もう1つの態様において、本発明は、FeとErとのモル比が異なるバナジン酸鉄/バナジン酸エルビウム(例えばFe
0.5Er
0.5VO
4やFe
0.8Er
0.2VO
4)を含有するTWSに基づく組成物を提供する。この組成物は、比較例3(ErVO
4でドーピングしたTWS)に比べると、特に750℃でのエージング後に、応用例より近い触媒試験Bにおいて触媒活性の大幅な増加を示す、
エージング過程においてFe
0.5Er
0.5VO
4でドーピングした組成物およびFe
0.8Er
0.2VO
4でドーピングした組成物に対して適用した条件は、短時間のドライエージングを行っただけの基準物質の場合よりも、さらに厳しい条件(10%のH
2Oの存在下750℃で8時間、さらに750℃で20時間のエージング)であった。
【0085】
特に、表20の実施例20〜実施例25で実証するように、NO/NO
2を50/50の比で含有する供給ガスを適用することによって、触媒の動作温度全体にわたって非常に高い転換率が得られる。
【0086】
〔本発明のより詳細な説明〕
以下の好適な実施形態において、本発明についてさらに詳細に記載する。
【0087】
〔1. 担持物質〕
タングステン酸化物でドーピングしたチタン酸化物に基づく、互いに異なる2種類の担持物質を使用した。さらに、大半の実験において使用した担持物質をSiO
2でドーピングしている。どちらの物質も市販されており、Cristal Global社から入手した。それぞれ、Tiona DT58(SiO
2でドーピングした物質)およびDT52(TiO
2/WO
3系物質)という商品名で知られている。
【0088】
〔1.1. TiO
2/WO
3/SiO
2(TWS)−DT58〕
触媒組成物の調製には、以下の諸特性を有する物質を使用した。
比表面積(BET):114m
2/g
WO
3:8.8%
SiO
2:9.9%
TiO
2:残量
SO
3:0.16%
P
2O
5:0.05%
この担持物質の合成方法は、国際特許出願公開第2005/046864号明細書に記載されている。
【0089】
〔1.2. TiO
2/WO
3(TW)−DT52〕
比表面積(BET):90m
2/g
WO
3:10%
TiO
2:残量
SO
3:1.35%
TiO
2/WO
3の調製は周知の従来のプロセスで行う。例えば該化合物は、パラタングステン酸アンモニウムをチタン酸に含浸させる、米国特許第4 466 947号明細書の実施例1に開示されている記載事項を適用して調製されればよい。混合物を乾燥および焼成させると、TiO
2/WO
3の化合物が形成される。
【0090】
〔2. 金属バナジン酸塩の調製〕
〔化合物1 Fe
0.5Er
0.5VO
4〕
化学量論量の硝酸鉄(III)九水和物(45.2g、19.5%のFe
2O
3を含む)と硝酸エルビウム六水和物(50.4g、41.9%のEr
2O
3を含む)とを脱イオン水(318.5ml)に溶解させて、混合金属の硝酸塩の溶液を得た。
【0091】
一方で、25.9gのアンモニウムメタバナジン酸(AMV、76.1%のV
2O
5を含む)を、1100mlの脱イオン水に80℃で溶解させた。これら2つの溶液を連続的に攪拌しながら混合した後に、24%のアンモニア溶液を添加することによって、pH値を7.25に調節した。こうして形成された沈殿物をさらに半時間攪拌して濾過し、脱イオン水で数回洗浄し、120℃で一晩乾燥させ、50gの化合物1が得られた。Fe
0.5Er
0.5VO
4の特性を、蛍光X線法(X-Ray Fluorescence method;XRF)を用いた元素分析法によって分析的に特定した。
【0093】
同様に、表4に示す他の金属バナジン酸塩および混合金属バナジン酸塩(化合物2〜化合物17)を化合物1と同じ手順で調製した。
【0094】
バナジン酸(各50g)の製造に適用される供給原料の種および量を表4に示す。比較例2および比較例3で使用したバナジン酸エルビウム(ErVO
4)は、国際特許出願公開第2005/046864号明細書の1.4.1中に開示されている記載にしたがって調製した。
【0096】
化合物2〜化合物15の特性を、XRF法を用いた元素分析法およびソフトウェアプログラム「Uniquant」によって分析的に特定した。標準化した基準サンプルがないので、分析的方法は報告された値において約±5%の不確定性を有する。
【0099】
触媒製造用の担持物質TWS(DT58)との混合に先立って、各金属バナジン酸塩(表5の化合物1、化合物6、化合物13、および、比較例2)に対して、さらに、マッフル炉内で500℃〜850℃の温度で熱処理を行った。調製した化合物(熱処理済みの金属バナジン酸塩)、および熱処理ステップにおいて適用した条件を、表5aに示す。
【0101】
〔3. 触媒組成物の調製〕
〔3.1. TiO
2/WO
3/SiO
2(TWS)を担持物質としてを用いた触媒組成物の調製;標準触媒試験(A)で使用する触媒〕
〔実施例1〕
〔触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4の調製〕
0.2523gのFe
0.5Er
0.5VO
4を5mlの脱イオン水中に懸濁させること、および、2.7477gの担持物質TiO
2/WO
3/SiO
2を10mlの脱イオン水に懸濁させることによって、2つのスラリーを生成した。これら2つのスラリーを混合して、攪拌しながら90℃まで加熱した。このスラリーを80℃〜100℃で連続的に攪拌しながら完全に乾燥させ、最後に残留物を120℃で一晩乾燥させ、続いて、マッフル炉内で、空気中650℃で2時間焼成した。最終的に、こうして得られた乾燥済み混合物を圧縮してペレットを形成し、押しつぶして、355μm〜425μmの範囲で篩にかけた。この物質を「未処理」の物質とみなす。
【0102】
上記物質をマッフル炉内で、空気中、700℃で10時間、750℃で100時間、および、800℃で10時間焼成することによって、サンプルのエージングを実施した。
【0103】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が1.9%である場合を示している。
【0104】
触媒組成物のBETについて、650℃で2時間(未処理の物質)焼成した後、700℃で10時間(エージング済み)焼成した後、700℃で100時間焼成した後、750℃で10時間(エージング済み)焼成した後、および、800℃で10時間(エージング済み)焼成した後に測定したところ、それぞれ、72m
2/g、60m
2/g、39m
2/g、31m
2/g、および、19m
2/gの値を示した。
【0105】
〔実施例1a〜実施例15〕
〔表7の触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:MeVO
4の調製〕
実施例1a〜実施15において参照し、表7に開示する触媒組成物を、実施例1に開示した手順と同じ手順で調製した。
【0106】
担持物質(TiO
2/WO
3/SiO
2)の量、触媒組成物の調製に使用するMeバナジン酸塩の種および量を、適用するエージング温度およびエージング時刻とともに表6に示す。
【0108】
〔比較例1〕
〔TiO
2/WO
3/SiO
2:V
2O
5に基づく市販の触媒組成物〕
組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:V
2O
5に基づく商業的に入手可能な触媒(モノリス)を押しつぶして、450μmおよび250μmで篩にかけた。250μm〜450μmの画分に対して650℃で2時間の熱処理を行った。
【0109】
物質を空気中で700℃の温度で10時間焼成することによって、サンプルのエージングを実施した。
【0110】
〔比較例1.1〕
〔スラリー法によって調製したTiO
2/WO
3/SiO
2:V
2O
5に基づく触媒組成物〕
77.2mgのアンモニウムメタバナジン酸を10mlの1Nシュウ酸に溶解させて、青色のシュウ酸バナジルアンモニウム(NH
4)
2[VO(C
2O
4)
2]錯体を形成した。次に1940gのTWS担持体を添加した。このスラリーを80℃〜100℃で連続的に攪拌しながら完全に乾燥させた。最後にこの固形物を120℃で一晩乾燥させ、650℃で2時間焼成し、圧縮してペレットを形成し、押しつぶして、355μm〜425μmの範囲で篩にかけた。
【0111】
物質を空気中で750℃の温度で10時間焼成することによって、サンプルのエージングを実施した。
【0112】
〔比較例2〕
〔触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:ErVO
4の調製〕
0.2523gのErVO
4を5mlの脱イオン水に溶解させること、および、2.7477gの担持物質TiO
2/WO
3/SiO
2を10mlの脱イオン水に溶解させることによって、2つのスラリーを形成した。これら2つのスラリーを混合して、攪拌しながら90℃まで加熱した。このスラリーを80℃〜100℃で連続的に攪拌しながら完全に乾燥させ、最後に残留物を120℃で一晩乾燥させ、続いて、マッフル炉内で、空気中650℃で2時間焼成した。最終的に、こうして得られた乾燥済み混合物を圧縮してペレットを形成し、押しつぶして、355μm〜425μmの範囲で篩にかけた。
【0113】
この物質を「未処理」の物質とみなす。
【0114】
物質を空気中で700℃の温度で10時間焼成することによって、サンプルのエージングを実施した。
【0115】
実施例1a〜実施例15において調製した触媒組成物中のバナジウムの含有率(計算値)を、比較例1および比較例2の場合とともに表7に示す。異なる温度(650℃〜800℃の範囲)で焼成した物質について報告されているいくつかのBET値も示す。
【0117】
〔3.2. TiO
2/WO
3(TW)を担持物質として用いた、触媒組成物の調製;標準触媒試験(A)において使用される触媒〕
〔実施例16〕
〔触媒組成物TiO
2/WO
3:Fe
0.5Er
0.5VO
4の調製〕
0.2523gのFe
0.5Er
0.5VO
4を5mlの脱イオン水に懸濁させること、および、2.7477gの担持物質TiO
2/WO
3を10mlの脱イオン水に懸濁させることによって、2つのスラリーを形成した。これら2つのスラリーを混合して、攪拌しながら90℃まで加熱した。このスラリーを80℃〜100℃で連続的に攪拌しながら完全に乾燥させ、最後に残留物を120℃で一晩乾燥させ、続いて、マッフル炉内で空気中、650℃で2時間焼成した。最終的に、こうして得られた乾燥済み混合物を圧縮してペレットを形成し、押しつぶして、355μm〜425μmの範囲で篩にかけた。この物質を「未処理」の物質とみなす。
【0118】
上記「未処理」の物質を、マッフル炉内で空気中700℃の温度で10時間焼成することによって、サンプルのエージングを実施した。
【0119】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が1.9%である場合を示している。
【0120】
触媒組成物のBETについて、650℃で2時間(未処理の物質)焼成した後、および、700℃で10時間エージングした後に測定したところ、それぞれ、41m
2/gおよび14m
2/gの値を示した。
【0121】
〔実施例17〕
〔触媒組成物TiO
2/WO
3:Fe
0.5Er
0.25Gd
0.25VO
4の調製〕
Fe
0.5Er
0.5VO
4の代わりに、Fe
0.5Er
0.25Gd
0.25VO
4を0.2523g用いた以外は、実施例18に開示した方法と同じ手順で、触媒を調製した。
【0122】
上記「未処理」の物質を、マッフル炉内で空気中700℃の温度で10時間焼成することによって、サンプルのエージングを実施した。
【0123】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が1.9%である場合を示している。
【0124】
触媒組成物のBETについて、650℃で2時間(未処理の物質)焼成した後、および、700℃で10時間エージングした後に測定したところ、それぞれ、38m
2/gおよび14.5m
2/gの値を示した。
【0125】
〔3.3. 触媒試験Bに使用する触媒組成物および触媒の調製〕
〔実施例18〕
〔8.4%のドーパント含有率を有する、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4の調製〕
8.41gのFe
0.5Er
0.5VO
4を100mlの脱イオン水に懸濁させること、および、91.6gの担持物質TiO
2/WO
3/SiO
2を150mlの脱イオン水に懸濁させることによって、2つのスラリーを形成した。これら2つのスラリーを混合して、2時間攪拌し、攪拌しながら90℃まで加熱した。このスラリーを80℃〜100℃で連続的に攪拌しながら完全に乾燥させ、最後に残留物を120℃で一晩乾燥させた。
【0126】
コージライトハニカムの被覆プロセスへの導入に先立って、この組成物を650℃で2時間焼成した。
【0127】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が1.9%である場合を示している。
【0128】
〔被覆触媒の調製〕
セル密度が400cpsi、高さが5.08cm、体積が25cm
3であるコージライトハニカムを、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4と、Al
2O
3(Pural NG、SASOL社(Anckelmannsplatz 1, 20537 Hamburg)の製品)との混合物スラリーで被覆した。適用したスラリーは、128gのTiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4と、(結合剤として)32gのAl
2O
3とを含有していた。これは160g/lのスラリー濃度に相当する(触媒組成物および結合剤)。
【0129】
上記ハニカムにスラリーを含浸させた後に、触媒を熱風流で乾燥させた。
【0130】
10%の水を含み流速が200l/hである気流中で、触媒の熱水エージングを750℃で8時間実施した。
【0131】
〔実施例19〕
〔15%のドーパント含有率を有する、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4の調製〕
15gのFe
0.5Er
0.5VO
4と、85.0gの担持物質TiO
2/WO
3/SiO
2とを使用した以外は実施例20にしたがって、触媒組成物を調製した。
【0132】
コージライトハニカムの被覆への導入に先立って、この組成物を650℃で2時間焼成した。
【0133】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が3.4%である場合を示している。
【0134】
〔被覆触媒の調製〕
セル密度が400cpsi、高さが5.08cm、体積が25cm
3であるコージライトハニカムを、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4と、Al
2O
3(Pural NG、SASOL社(Anckelmannsplatz 1, 20537 Hamburg)の製品)との混合物スラリーで被覆した。適用したスラリーは、116.8gのTiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4(重量%の比 = 85/15)と、(結合剤として)29.2gのAl
2O
3とを含有していた。これは146g/lのスラリー濃度に相当する(触媒組成物および結合剤)。
【0135】
上記ハニカムにスラリーを含浸させた後に、触媒を熱風流で乾燥させた。
【0136】
10%の水を含み流速が200l/hである気流中で、触媒の熱水エージングを750℃で8時間実施した。750℃で8時間のエージングを行った触媒に対して、さらに750で20時間のエージング、その後さらに10%の水を含み流速が200l/hの気流中で、800℃で20時間のエージングを行った。
【0137】
〔実施例20〕
〔8.4%のドーパント含有率を有する、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.8Er
0.2VO
4の調製〕
8.41gのFe
0.8Er
0.2VO
4を用いた以外は、実施例18に開示したような手順で、組成物を調製した。
【0138】
コージライトハニカムの被覆への導入に先立って、この組成物を650℃で2時間焼成した。
【0139】
この組成は、計算によって求めたVの含有率が2.2%である場合を示している。
【0140】
〔被覆触媒の調製〕
セル密度が400cpsi、高さが5.08cm、体積が25cm
3であるコージライトハニカムを、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.8Er
0.2VO
4と、Al
2O
3(Pural NG、SASOL社(Anckelmannsplatz 1, 20537 Hamburg)の製品)との混合物スラリーで被覆した。適用したスラリーは、97.6gのTiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.8Er
0.2)VO
4と、(結合剤として)24.4gのAl
2O
3とを含有していた。これは122g/lのスラリー濃度に相当する(触媒組成物および結合剤)。
【0141】
上記ハニカムにスラリーを含浸させた後に、触媒を熱風流で乾燥させた。
【0142】
10%の水を含み流速が200l/hである気流中で、触媒の熱水エージングを750℃で8時間実施した。
【0143】
〔実施例21〕
〔15%のドーパント含有率を有する、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.8Er
0.2VO
4の調製〕
15gのFe
0.8Er
0.2VO
4を用いた以外は、実施例19に開示したような手順で、組成物を調製した。
【0144】
コージライトハニカムの被覆への導入に先立って、この組成物を650℃で2時間焼成した。
【0145】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が4.0%である場合を示している。
【0146】
〔被覆触媒の調製〕
セル密度が400cpsi、高さが5.08cm、体積が25cm
3であるコージライトハニカムを、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.8Er
0.2VO
4(重量%の比 TWS/ドーパント = 100/15)と、Al
2O
3(Pural NG、SASOL社(Anckelmannsplatz 1, 20537 Hamburg)の製品)との混合物スラリーで被覆した。適用したスラリーは、104gのTiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.8Er
0.2)VO
4と、(結合剤として)26gのAl
2O
3とを含有していた。これは130g/lのスラリー濃度に相当する(触媒組成物および結合剤)。上記ハニカムにスラリーを含浸させた後に、触媒を熱風流で乾燥させた。
【0147】
10%の水を含み流速が200l/hである気流中で、触媒の熱水エージングを750℃で8時間実施した。
【0148】
〔実施例22〕
〔15%のドーパント含有率を有する、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4の調製〕
被覆に先立って粉末に対して事前焼成を行わなかった以外は、実施例19にしたがって、触媒組成物を調製した。
【0149】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が3.4%である場合を示している。
【0150】
〔被覆触媒の調製〕
セル密度が400cpsi、高さが5.08cm、体積が25cm
3であるコージライトハニカムを、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4と、Al
2O
3(Pural NG、SASOL社(Anckelmannsplatz 1, 20537 Hamburg)の製品)との混合物スラリーで被覆した。適用したスラリーは、104.8gのTiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4(重量%の比 = 85/15)と、(結合剤として)26.2gのAl
2O
3とを含有していた。これは130g/lのスラリー濃度に相当する(触媒組成物および結合剤)。
【0151】
上記ハニカムにスラリーを含浸させた後に、触媒を熱風流で乾燥させて、マッフル炉内で、700℃で20時間の焼成を行った。
【0152】
10%の水を含み流速が200l/hである気流中で、触媒の熱水エージングを750℃で8時間実施した。
【0153】
750℃で8時間のエージングを行った触媒に対して、さらに10%の水を含み流速が200l/hである気流中で、750℃で20時間のエージングを行った。
【0154】
〔実施例23〕
〔15%のドーパント含有率を有する、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4の調製〕
実施例22にしたがって、触媒組成物を調製した。
【0155】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が3.4%である場合を示している。
【0156】
〔被覆触媒の調製〕
セル密度が400cpsi、高さが5.08cm、体積が25cm
3であるコージライトハニカムを、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4と、Al
2O
3(Pural NG、SASOL社(Anckelmannsplatz 1, 20537 Hamburg)の製品)との混合物スラリーで被覆した。適用したスラリーは、115.2gのTiO
2/WO
3/SiO
2:Fe
0.5Er
0.5VO
4(重量%の比 = 85/15)と、(結合剤として)28.8gのAl
2O
3とを含有していた。これは144g/lのスラリー濃度に相当する(触媒組成物および結合剤)。
【0157】
上記ハニカムにスラリーを含浸させた後に、触媒を熱風流で乾燥させて、マッフル炉内で、700℃で50時間の焼成を行った。10%の水を含み流速が200l/hである気流中で、触媒の熱水エージングを750℃で8時間実施した。750℃で8時間のエージングを行った触媒に対して、さらに10%の水を含み流速が200l/hである気流中で、750℃で20時間のエージングを行った。
【0158】
〔比較例3〕
〔触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:ErVO
4の調製〕
TiO
2/WO
3/SiO
2:ErVO
4の調製とは、国際特許出願公開第2005/046864号明細書において開示されている手順を指す。
【0159】
こうすることによって、6.3gのErVO
4、および、68.7gの担持物質TiO
2/WO
3/SiO
2を150mlの脱イオン水に2時間より長い時間懸濁させた。このスラリーを約60℃で連続的に攪拌しながら完全に乾燥させ、最後に残留物を120℃で一晩乾燥させた。
【0160】
コージライトハニカムの被覆プロセスへの導入に先立って、この組成物を700℃で8時間焼成した。
【0161】
この組成は、計算によって求めたバナジウムの含有率が1.5%である場合を示している。
【0162】
〔被覆触媒の調製〕
セル密度が400cpsi、高さが2.54cm、体積が12.5cm
3であるコージライトハニカムを、触媒組成物TiO
2/WO
3/SiO
2:ErVO
4と、結合剤としてのコロイド状SiO
2との混合物スラリーで被覆した。適用したスラリーは、143.1gのTiO
2/WO
3/SiO
2:ErVO
4と、(結合剤として)15.9gのSiO
2とを含有していた。これは159g/lのスラリー濃度に相当する(触媒組成物および結合剤)。
【0163】
上記ハニカムにスラリーを含浸させた後に、触媒を熱風流で乾燥させた。
【0164】
700℃4時間で、および、750℃4時間でそれぞれ、触媒のエージングを実施した。
【0165】
〔4. 触媒試験〕
〔4.1 標準試験A〕
表8に示すパラメータにしたがって、標準試験Aを実施した。
【0167】
〔4.1.1. バナジン酸でドーピングしたTWSの混合物の触媒測定の結果(TiO
2/WO
3/SiO
2:MeVO
4)〕
表9は、上記粉末を650℃で2時間の熱処理を行った後の、実施例1〜実施例15、比較例1、比較例2において調製した組成物によるNO
xの除去効率を示している。
【0168】
触媒試験の結果は、実施例1〜実施例15のすべての物質が比較例2に比べて良好な活性を示したことを示している。
【0169】
一部の物質材、特に実施例6に記載の組成物を含有するFeVO
4は、比較例1に比べてはるかに良好な触媒活性を示した。
【0171】
表10は、上記粉末を700℃で10時間の熱処理を行った後の、表中に示す実施例ならびに比較例1および比較例2において調製した組成物によるNO
xの除去効率を示している。
【0172】
実施例6を除けば、すべての実施例が、比較例1および比較例2に比べて良好な活性を示している。
【0174】
表11は、上記粉末を700℃で50時間の熱処理を行った後の、実施例1および実施例11において調製した組成物によるNO
xの除去効率を示している。
【0176】
表12は、上記粉末を700℃で100時間の熱処理を行った後の、実施例1および実施例11において調製した組成物によるNO
xの除去効率を示している。
【0178】
表13は、上記粉末を750℃で10時間の熱処理を行った後の、実施例1、実施例1a、実施例1b、実施例1d、実施例1e、実施例13、および、実施例15において調製した組成物によるNO
xの除去効率を示している。
【0180】
表14は、上記粉末を800℃で10時間の熱処理を行った後の、表中に示す実施例において調製した組成物によるNO
xの除去効率を示している。
【0181】
比較例2dおよびに比べて、表中に示す実施例に記載のFeErVO
4を含有する触媒は、活性の増加を示している。
【0183】
〔4.1.2. バナジン酸でドーピングしたTW混合物(TiO
2/WO
3:MeVO
4)の結果〕
【0186】
〔4.2. 触媒試験B(被覆触媒)〕
表17に示すパラメータにしたがって、試験Bを実施した。
【0188】
表18は、触媒を複数の熱処理条件に供した後の、実施例18〜実施例23および比較例3において調製した組成物を含むハニカム型被覆触媒によるNO
xの除去効率を示している。供給ガスとしては、約75%のNO
2を含むNO/NO
2の混合物を適用した。
【0190】
表19は、触媒を複数の熱処理条件に供した後の、実施例18〜実施例23および比較例3において調製した組成物を含むハニカム型被覆触媒によるNO
xの除去効率を示している。供給ガスとしては、90%を超えるNOを含むNO/NO
2の混合物を適用した。
【0192】
表20は、触媒を複数の熱処理条件に供した後の、実施例20〜実施例25において調製した組成物を含むハニカム型被覆触媒によるNO
xの除去効率を示している。供給ガスとしては、比が50/50であるNO/NO
2の混合物を適用した。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【
図1】試験Aにおいて触媒活性を測定するために使用される装置のスキーム。
【
図2】650℃、700℃、750℃で熱処理した後の、FeErVO
4でドーピングしたTWSのX線回折プロファイル(4つの◆…アナターゼTiO
2、□…ルチルTiO
2、黒抜き□…バナジン酸塩、●…WO
3)。
【
図3】触媒を750℃で8時間(10%の水)エージングさせた後の、実施例18、実施例19、実施例23の触媒のNO
x転換活性、および、700℃で8時間(水なし)熱処理を行った後の、比較例3の触媒のNO
x転換活性。触媒試験B。供給ガス = NO。
【
図4】触媒を750℃で8時間(10%の水)エージングさせた後の、実施例18、実施例19、実施例23の触媒のNO
x転換活性、および、750℃で4時間(水なし)熱エージングを行った後の、比較例3の触媒のNO
x転換活性。触媒試験B。供給ガス = NO
2。
【
図5】触媒を750℃で8時間(10%の水)エージングさせた後の、実施例18、実施例19、実施例23の触媒のNO
x転換活性、および、700℃で8時間(水なし)熱処理を行った後の、比較例3の触媒のNO
x転換活性。触媒試験B。供給ガス = NO/NO
2。
【
図6】触媒を、それぞれ750℃で8時間(10%の水)、750℃で28時間(10%の水)、および、750℃で28時間(10%の水) + 800℃で20時間(10%の水)エージングさせた後の、実施例19の触媒のNO
x転換活性。触媒試験B。供給ガス = NO。
【
図7】触媒を、それぞれ750℃で8時間(10%の水)、750℃で28時間(10%の水)、および、750℃で28時間(10%の水) + 800℃で20時間(10%の水)エージングさせた後の、実施例19の触媒のNO
x転換活性。触媒試験B。供給ガス = NO
2。
【
図8】触媒を、それぞれ750℃で8時間(10%の水)、750℃で28時間(10%の水)、および、750℃で28時間(10%の水) + 800℃で20時間(10%の水)エージングさせた後の、実施例19の触媒のNO
x転換活性。触媒試験B。供給ガス = NO/NO
2。