(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スピンドルロック機構(64)は、スピンドル回転軸(9)の両サイドではなく一方のサイドにのみスピンドルユニット(7)の周囲に係合する、ことを特徴とする請求項1に記載の釣り合い装置。
クランプ面(75a,75b;85a,85b;95a,95b)は、可撓性を有するクランプストリップ(75,85;95)として具体化される、ことを特徴とする請求項1に記載の釣り合い装置。
クランプジョーが、弾性的に変形可能な保持薄板(70;80;90)を有する回動ストリップ(69;79;89)を有し、回動ストリップは、保持薄板の周りをクランプジョー(69,71;79,91;87,91)の作動の途中でクランプストリップに対して回動する、ことを特徴とする請求項3に記載の釣り合い装置。
アクチュエータ(72,73)が、力−変位コンバータ(74,84)の介入によってアクチュエータに関連する少なくとも1つの回動ストリップ(69;79)を作動させ、
力−変位コンバータは、アクチュエータにより第1有効方向に加えられる作動力を、回動ストリップに与える前に、これと略垂直な第2有効方向に偏向させ、従ってより長い経路に沿ってアクチュエータにより加えられるより小さい力をより短い経路に沿って作用するより大きい力に同時に変換する、ことを特徴とする請求項7に記載の釣り合い装置。
【背景技術】
【0002】
工具ホルダーの不釣り合いの量及び箇所を高精度に決定することができる装置は、例えば特許文献1から知られている。
【0003】
一旦不釣り合いの量及び箇所が決定されると、工具ホルダーを永続的に平衡にするために、工具ホルダー上の適切な箇所から幾つかの材料を取り除けばよいことが分かる。
【0004】
原則として、工具ホルダーはこの目的のために釣り合い試験機から留め金を外され、必要な量の材料が所定個所から除去される。次いで、工具ホルダーは釣り合い試験機に留め戻されて、試験測定が実施される。留め金の解除と再度の留めは時間を浪費し、また再度の留めの途中で、工具ホルダーが最初の留めとは僅かに異なる位置を取る可能性が常にあるため、測定精度を妥協することになるかもしれない。
【0005】
故に、内部では、これにより工具ホルダーを留めたままにしておくという考えに既に至っている一方、工具ホルダーはその釣り合いをとるために材料を除去する方法で加工される。この目的のために、材料除去加工の途中で生じる力と振動が高感度測定センサーや測定ユニットのスピンドルマウントを損傷しないように、スピンドルユニットは固定されなければならない。さらに、スピンドルユニットは材料除去工具の道程から移動するかもしれず、従って、それが適所にロックされていなければ材料除去の精度を妥協することになる。考慮されてきた別な可能性は、外部ブレーキドラムのようにクランプジョー自体の間でスピンドルユニットを留める2つのサイドからスピンドルユニットに対してクランプジョー(留め顎)を配置することで、このロック機能を実現することである。しかし、このようなアプローチは少なくともセンサーに応力を与え、ゆえに測定誤差にもなる。
【0006】
さらに、スピンドルユニットに直接取り付けられる留め装置はスピンドルの回転運動をも防止する。しかしながら、ある種の材料除去、例えば試験片の外周に沿う溝のフライス削りでは、このような回転運動は全く望ましく、必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の問題を伴うことなく、工具ホルダーの回転不釣り合いが決定、除去される装置を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は請求項1の特徴によって達成される。本発明によれば、釣り合い試験機はスピンドルロック機構を具備している。スピンドルロック機構は次のように具体化される。つまり、スピンドルユニットが適所に留められている間と材料が工具ホルダーから除去されている間の両方で、スピンドルユニットのスピンドルマウント又は少なくとも1若しくは複数のセンサーが、スピンドルユニットと機械のベースの間で生じる力の流れの(本質的に)外側に位置するように、スピンドルユニットが固定される。結局、留めの途中に生じる力も、続いて材料除去の途中で生じる力も、共に測定精度の原因であるスピンドルマウントに影響を及ぼさず、または少なくともこれらの力はより感度のあるセンサーに影響を及ぼさない。これは、本発明によれば、前述の力がスピンドルロック機構によって機械のベースへ直接偏向されるからである。
【0010】
ゆえに、スピンドルロック機構は、認識できるほどの位置変更をさせることなくスピンドル装置が所定の位置に留められる留め装置の形式で具体化され、それにより、スピンドルユニット、すなわち、スピンドルが機械フレームに支持・固定されるドラムは、旋回又は回転運動を全く実行することができない。しかし、留めが開放されると、スピンドルユニットは自身のスピンドルマウントによってのみ懸架され、従って完全に自由に振動することができる。
【0011】
スピンドルロック機構を構成する留め装置は、クランプジョーがそれらと相互作用するクランプ面に対して及ぼす垂直な力とそれらの合力がスピンドル回転軸に交差しない一直線の作用を有するように、好ましくは具体化される。よって、スピンドルユニットは外部ブレーキドラムと同様の態様では留められず、すなわち、スピンドル回転軸の両サイドでスピンドルユニットの対向する周囲領域に係合する少なくとも2つのクランプジョーによって留められない。従って、それは、クランプ動作によって互いに向かって移動するクランプジョーの間で(不可避的な多かれ少なかれランダムな熱膨張のために)完全に対称的に位置決めされないとすぐに、不可避的にスピンドル装置に位置変更させる。
【0012】
スピンドルユニットを留める途中で、1又は複数のセンサーが反応して不釣り合いが測定される方向と平行な方向に全く力を生じないように、留め装置は好ましくは具体化される。
【0013】
好ましい実施形態では、スピンドルロック機構は、開閉可能なクランプジョーが作用するクランプ面を有する。クランプジョー及び/又はクランプ面は関節式に連結又は撓むように具体化され、それでクランプジョーは、それらがクランプ面に作用しても、基本的にスピンドルマウントに力を及ぼさず、少なくともセンサー装置に顕著に衝撃を与えるスピンドルユニットに力を及ぼさない。好ましくは、前述のクランプ面は、ここで述べたクランプストリップを構成する板ばね上に具体化される。
【0014】
温度影響のためその位置が決して同じでないクランプジョー又はクランプ面は、これらがスピンドルユニットに当接する際、スピンドルユニットに認識できる位置の変化を生じさせない。全く逆に言えば、スピンドルユニットは比較的重く、対応的に不活性であり(自動力がなく)、従ってクランプジョー又はクランプ面をしてスピンドルユニットに適合させる。この点で、クランプジョーが開放されたときの移動の自由度は本来全く小さく、原則として0.5mmいかである(0.5mm〜0.05mm、好ましくは0.15mm)。
【0015】
本発明の変形例によれば、クランプ面が好ましくは互いに基本的に垂直又は斜めに延びる異なる平面内に配置された、少なくとも2つのクランプストリップがある。よって、一般的に言って、2つの別個のクランプ装置がある。その第1クランプ装置は第1方向からの力の作用に対してスピンドルユニットを固定し、第2クランプ装置は、第1方向とは異なる第2方向からの力の作用に対してスピンドルユニットを固定する。好ましくは、第1方向はスピンドルの回転軸と平行な方向に一致し、第2方向はそれと垂直な方向に一致する。好ましくは、2つの方向は同時に、1又は複数のセンサーの移動方向Mと垂直に指向している。このような実施形態により、各々のクランプストリップが1方向に撓み又はしなやかに弾性的であっても、クランプストリップを適所に留めることで全く強固な態様でスピンドルユニットを固定することができる。このようにして、クランプストリップはそれらの機能について互いに補強、補足する。これは、スピンドルロック機構に極めて強固な特性を与え、試験片又は工具ホルダーからの高精度の材料除去を可能し、その釣り合いの質が改良される。
【0016】
好ましくは、互いに平行かつ離間して配置された少なくとも2つのクランプストリップが具備される。このような装置は、スピンドルユニットを傾かせる傾向を有する、試験片からの材料除去の途中で作られる機械加工力に対するスピンドルロック機構の抵抗を増大させる。
【0017】
各々のクランプジョーが弾性的に変形可能な保持薄板を有する回動ストリップを有すると有利であり、保持薄板の周りを回動ストリップはクランプジョーの作動の途中でクランプストリップに対して回動する。従って、回動ストリップが関節式に連結するように、互いに滑動するように移動する要素を備えたヒンジを削除することができる。これにより、不釣り合いに誘起される非常に小さい移動の正確な検出を悪化させる、ヒンジが−少なくとも長期間にわたり−大きすぎる遊びを有することになり、従って最小限に「ガタガタ鳴り」始める事実を完全には除外することができないので、測定精度と信頼性が改良される。
【0018】
本発明の好ましい変形例では、少なくとも2つのクランプジョーが共有のアクチュエータにより作動される。この実施形態は、移動部品の数を減らすだけでなく、スピンドルユニットが適所に留められているとき、このプロセスがスピンドルユニットに加えられるべき力を生じさせ、それで異なるアクチュエータが公差に依存して異なる力を生成するリスクを低減又は削除もするので、この実施形態は有用である。
【0019】
本発明の特に好ましい変形例は、アクチュエータが、力−変位コンバータの介入によってそれに関連する少なくとも1つの回動ストリップを作動させることを特徴とする。力−変位コンバータは、アクチュエータにより第1有効方向に加えられる作動力を、回動ストリップに与える前に、これと略垂直な第2有効方向に偏向させ、従ってより長い経路に沿ってアクチュエータにより加えられるより小さい力をより短い経路に沿って作用するより大きい力に同時に変換する。
【0020】
理想的には、このような力−変位コンバータはトグルレバーの原理に従って作動する。すなわち、それは、ダイヤフラム又は回動可能に関節式に連結されたロッドアセンブリ又は回動可能に連結された通常V型のプレート装置に、ダイヤフラムの表面又はロッドアセンブリの縦軸又はプレート装置の回動軸に基本的に垂直に延びる方向に作用する。従って、力−変位コンバータは、ダイヤフラム又はロッドアセンブリ又はプレート装置に、衝突の方向に基本的に直交して伸びる運動を実行させる。この長さの変化は、回動ストリップを作動させてクランプストリップを強力に留めるのに使用される強力な力を発生する。
【0021】
他の利点、効果及び可能な実施形態は、図面に関連して述べる以下の例示の実施形態から分かるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
先ず、本発明をさらに図解するために、ここで提示される例示の実施形態の機能の簡単な一般的な記載をする。
【0024】
図1,2に概観を示されている釣り合い試験機は、機械のベースとして機能するハウジング1を有している。上からアクセス可能なチャンバ3には、ハウジングは電動機5により駆動されるスピンドルユニット7を収容している。スピンドルユニット7は回転スピンドル11を有し、その回転軸9は好ましくは垂直に指向される。
【0025】
その上端部には、スピンドルは結合アダプタ13を有している。結合アダプタは、通常操作の間に交換可能であり、回転軸9に中心を合わされた受容開口を具備している。この受容開口は釣り合わされるべき標準化された試験片を連結するのに使用される。試験片は工具ホルダー、例えば慣用的なテーパー又は中空のシャンクテーパー工具ホルダー(HSK工具ホルダー)の形式や、異なる種類のロータであってもよい。
【0026】
この実施形態において電動機5とスピンドルユニット7からなるサブアセンブリは、スピンドルホルダー29に取り外し可能に固定されたスピンドルマウント49によって、機械のベース1又はハウジングに固定されている。
【0027】
スピンドルユニットが測定方向Mに僅かに移動することができるが、他の全ての方向に相対的に固定して設置されるように、スピンドルマウントは具体化されている。試験片の不釣り合いの影響を測定するために、センサーが測定方向に設置される。これは、例えば力、歪み(偏向)、加速などである。
【0028】
原則として、釣り合わされるべき(平衡を保つべき)工具ホルダーは、スピンドルを回転させる結合アダプタ13を用いてスピンドル11に取り付けられる。センサー61とスピンドルの角度位置を決定する分離装置を用いて、不釣り合いの正確な箇所と量を決定することができる。所望の釣り合いクオリティを実現するために、釣り合い試験機の数値制御は、工具ホルダー上のどれくらいの材料をどの1又は複数の箇所から、釣り合い試験機自身の材料除去装置65が釣り合わされるべき工具ホルダーから取り除かなければならないか計算する。
【0029】
釣り合い試験機自身の材料除去装置65は、ツイストドリルにより対応する量の材料を除去するドリルの形式で具体化されると好ましい。これの代わりに、材料除去は、フライス削り、研磨などの他の方法を用いて実行されてもよい。
【0030】
好ましくは、材料除去装置65は、スピンドルユニットの周囲にスピンドルロック機構64とは正反対に位置決めされる。しかしながら、スピンドルマウント49はスピンドルロック機構64の隣に側方に位置決めされ、それらの水平の中心線は直角を囲む。
【0031】
材料除去はスピンドル11から工具ホルダーを取り外すことなく実行される。この目的のため、材料除去が行われるべき工具ホルダー上の箇所がツイストドリルの下に正確に位置決めされて静止するように(材料除去装置65が示されている
図4,5も参照)、スピンドルドライブはスピンドル11を位置決めする。スピンドルドライブは、材料除去の間所定の位置にスピンドルを保持し又は材料除去に必要かもしれないスピンドルの回転運動を行うためにも使用される。
【0032】
材料除去の開始前、本発明に係るスピンドルロック機構64が始動される。これはスピンドルユニット7を固定し、それで材料除去装置がスピンドルユニットに加える力はスピンドルユニットを動かさず、運動がセンサーからの信号を引き起こす方向にそれを動かしもしない。ゆえに、
本質的な力はセンサー61に伝えられない。よって、スピンドルロック機構64の特別な特徴は、それが、僅かな程度以上にセンサー61に伝えられる力を生むこのロックプロセスなしにスピンドルユニットをロックすることである。これは、その始動のプロセスがスピンドルユニットの移動可能マウントを構成するばね要素又は板ばね要素55を介してスピンドルユニットから機械のベースに伝えられる力しか生成せず、センサー61に応力を加えないように、スピンドルロック機構を具体化することで実現される。
【0033】
図4は、本発明に従うスピンドルロック機構64の例示の実施形態を通る断面を示すが、スピンドルロック機構64の全ての部品が見えるわけではない。
【0034】
機械のベース1、スピンドルユニット7、スピンドルの回転軸9及びまだ作動されていない材料除去装置65がすぐに識別できる。
【0035】
上述したスピンドルマウント49は見えない。
図4では、それはスピンドルユニット7で隠されているからである(
図3も参照)。
【0036】
図面は、スピンドルユニットに搭載された第1クランプジョーユニット67と、機械のベース1に取り付けられて当該ユニットと相互作用する第1クランプストリップユニット68を明瞭に示している。理想的には、クランプジョーユニットをスピンドルユニットに取り付けるため、スピンドルユニットを取り外すために容易に取り外すことができて、次に正確に再び取り付けることができる蟻溝マウント又は同等なアタッチメントが選択される。
【0037】
第1クランプジョーユニット67は第1回動ストリップ69を支持し、そのそれぞれは保持薄板(保持スラット)によってクランプジョーユニット67のベースに弾性的に固着されている。保持薄板は、この場合薄い連続的な又は局所的に遮断されたストリップの形式で具体化される。この種の弾性的な保持薄板に代えて、例えば対応するヒンジが使用されてもよいが、この実施形態は長期間使用にわたる精度の観点で弾性的な保持薄板に劣る。この場合の回動ストリップは平坦なクランプ面を備えた細長いストレートストリップからなる。ストレートストリップの縦軸は、
図4の紙面に垂直、すなわちスピンドルの回転軸9に垂直に延在する。
【0038】
クランプジョーユニット67はストリップ状の第1受け面71も支持する。受け面(当たり面)はクランプ動作において第1回動ストリップ69と協働し、平坦なクランプ面も有しており、第1回動ストリップとともに第1クランプジョーを形成する。
【0039】
シリンダー72が好ましくはクランプジョーユニット67自身に直接収容されており、シリンダー内で、適切な態様により空気圧で作動されるピストン73が移動する。ピストン73は本実施例ではアクチュエータを有する。そのピストンロッドは、好ましくは金属又はばね鋼からなる湾曲したダイヤフラム74に結合している。ダイヤフラムの少なくとも幾つかの部分は、その外側端部で回動ストリップ69に連結しており、その機能を以下でより詳細に説明する。ダイヤフラムは、その主領域と垂直な方向に単に僅かな量以上に歪むのに十分薄く、その主領域の方向に力を加えて伝えることができるほど十分厚い。この力により、回動ストリップは、クランプストリップ及び受け面に対して確実に留められるように静止(当接)する。ピストンロッドの選択動作が平坦なダイヤフラム74に局所的に過負荷をかけず、それを凸凹に変形させないことを確保するために、好ましくはピストンロッドは、ダイヤフラム74の局所的強度を増大させる支持ストリップ76を介してダイヤフラム74に作用する。
【0040】
ダイヤフラム74の代替案として、関節式にアクチュエータ又は支持ストリップ76に及び回動ストリップ69に連結する2つの強固なプレートを使用することも可能である。第1クランプストリップユニット68は2つの第1クランプストリップ75を有する。クランプストリップ75は有利にはばね鋼から成る。この場合、クランプストリップは、縦軸が
図4の紙面に垂直、すなわちスピンドルの回転軸9に垂直に延在する細長いストレートストリップである。
【0041】
クランプストリップの自由端は、それらのベース位置から十分離れており、スピンドルユニットに
本質的な力を及ぼすことなく弾性変形により回動ストリップと受け面の間で中央に位置する。
【0042】
図4は、非作動の、すなわち開放状態のスピンドルロック機構を示す。この例示の実施形態では、ダイヤフラムは、
図4に示される位置で開放されるように具体化される。この状態では、第1回動ストリップ69とそれらの第1受け面71の間に、図の平面に対して垂直に延在する開いた溝があり、そこには対応する第1クランプストリップが、測定の間(すなわち、スピンドルユニット7が不釣り合いの影響のもとで低振幅運動を実行するとき)個々の回動ストリップ又は個々の受け面と接触することなく、遊びを持って突出している。ゆえに、スピンドルロック機構64が非作動のとき、スピンドルユニットは完全な運動の自由度を有する。この場合、溝の最大幅は、溝の長手方向と直交する方向に0.5mm〜0.05mm、好ましくは約0.15mmしかない。個々のクランプストリップは対応して小さい。
【0043】
材料除去装置65が工作物に作用し始める前に、スピンドルロック機構64は作動される。この目的のために、第1ピストン73が圧縮空気を用いて作動され、第1ダイヤフラム74の方向に移動する。一旦ダイヤフラムの端が第1回動ストリップ69に対して固定されると、ピストン移動によりダイヤフラムは細長い平坦な状態に益々近づけられる。結局、ダイヤフラムは圧縮力によって回動ストリップ69に作用する。この圧縮力により、回動ストリップ69は保持薄板70の弾性変形を介して受け面71に向かって回動する。これにより、各第1クランプストリップ75の第1クランプ面75a,75bは、個々の第1回動ストリップ69と個々の第1受け面71の間、より正確に言えばそれらのクランプ面の間の大きな力で留められることになる。ダイヤフラム74が、比較的長いピストンストロークに沿ってピストン73の加える比較的僅かな作用力をピストンの作用力に比して強力なクランプ力に変換する力−変位コンバータを機能的に構成するので、クランプ面の間の大きな力は生じる。しかし、クランプストリップの介入により、回動ストリップが受け面に当接するようになる屈曲の終わりに達するまで、この力はピストンストロークに比して短い経路でしか作用しない。好ましいダイヤフラムを使用することに代えて、ピストンが動くとすぐにダイヤフラムの動作に対応する方法で回動ストリップを押圧する例えばロッドアセンブリや一種のトグル継手の形式で力−変位コンバータが実行されてもよい。
【0044】
スピンドルロック機構を再び非作動化するために、ピストン73の作動室は再び減圧され、それでダイヤフラム74は、その固有の復元力と場合によっては回動ストリップの復元力のために、クランプ作用を開放する緩められた位置に再び戻る。これに代えて、ピストンは、二方向に動作可能であって、トリガーされてダイヤフラムをその緩められた位置にアクティブに押し戻すように具体化されてもよい。
【0045】
この全てのキーポイントは、第1クランプストリップがスピンドルの回転軸の方向に撓むように具体化されている点である。この結果、スピンドルロック機構が非作動のときにクランプ面75a,75bが正確に中央に位置決めされていなくても、すなわちクランプストリップが個々の回動ストリップ69と受け面71の間の間隙の真ん中に位置していない場合にも、スピンドルユニットを固定する途中で、ロック装置64はスピンドルユニットを変位させる力を創出せず、よってセンサー装置61に応力を及ぼさない。この後者の状況は、ここで述べた釣り合い試験機のような高い精度で製造された機械においても、常に存在する熱膨張の現象のために実際の使用において絶え間なく生じる。
【0046】
決定的な因子は、この場合、クランプストリップがきちんと回動ストリップ及びそれらの受け面に接触する程度に弾性変形を受け、
本質的な力がスピンドルユニットに伝わらず、弾性変形によって場合により創出されるどんな僅かな力もスピンドルの回転軸と平行な方向に作用することである。従って、これらの力は、板ばね要素55がこの方向の力を強力に阻止しているスピンドルマウント49により容易に吸収され、よってこのような力をセンサーボディ61に確実に近づけさせない。
【0047】
同時に、今度は第1クランプストリップが、材料除去装置の作用によって釣り合わされるべき工作物又は試験片17上に創出されるスピンドルの回転軸と垂直な力の方向に比較的強固であるように具体化されている。さらに、同方向に作用する2つの第1クランプストリップが互いに十分離れて設置される。これはまた、スピンドルユニットの傾きが相殺される(組み合わせの)剛性又は抵抗を増大させる。
【0048】
前述の第1クランプジョーユニットと前述の第1クランプストリップユニットは、材料除去装置により生じる力をそれら自体で全て吸収する必要はないが、その代わり
図6,7で示される第2クランプジョーユニット77と第2クランプストリップユニット78によりこの機能を補助される。これら2つの第2クランプジョーユニット77,78は基本的に、前述の第1クランプジョーユニット67,68と全く同様に具体化され、2つの第1ユニットに対する記載は、以下で記載する差異を除いて、2つの第2クランプジョーユニットに対応的に当てはまる。
【0049】
第2クランプジョーユニット77は、スピンドルユニット7よりもむしろ機械のベース1に取り付けられると好ましい。他方で、第2クランプストリップユニット78は、機械のベース1よりもむしろスピンドルユニット7又は第1クランプジョーユニット67に取り付けられると好ましい。理想的には、スピンドルユニットを取り外すために容易に取り外すことができる蟻溝マウント又は同等なアタッチメントがこの目的のために選択される。加えて、第2クランプジョーユニット77と第2クランプストリップユニット78は理想的には、それぞれ第1クランプジョーユニット67と第1クランプストリップユニット68に対して90°だけ回転され、それで第2クランプ面85a,85b及び第2クランプストリップ85の縦軸は、スピンドル1の回転軸9と平行に延びる。
【0050】
第2クランプストリップ85は、スピンドル1の回転軸9と垂直であって、センサー装置61の移動方向Mと垂直な方向に弾性的である。従って、この例示の実施形態のように板ばね要素55を備えたスピンドルマウント49が使用される場合、クランプストリップ85は、(この例示の実施形態では水平に延びる)板ばね55の縦軸と平行な方向に撓む。従って、クランプストリップ85の弾性変形により創出される僅かな力は板ばね55で容易に吸収され、よってセンサーボディ61から離される。
【0051】
前述の記載の追加的な概観を与えるために
図8を使用する。
図8は、僅かに変更されたスピンドルロック機構64の変形例を示す。これは、アクチュエータが単一のピストンに代えて2つの(ツインの)ピストンユニットの形式で具体化される点でのみ前述の第1バリエーションと異なり、他の点では第1バリエーションと同一である。
【0052】
図8は、支持ストリップ76を介して第1ダイヤフラム74に作用する2つのピストン73と2つのシリンダー72を備えたスピンドルサイドに設置された第1クランプジョーユニット67を示す。どのように第1ダイヤフラムが2つの第1回動ストリップ69の1つに取り付けられるかも示されている。第1回動ストリップ69の後ろに、第1クランプストリップ75の1つが見える。
【0053】
図には、第1受け面に対して前述したのと同様に、個々の第2回動ストリップ79と関連する第2受け面81との間でそれぞれ留められるクランプ面85a,85bを備えた2つの第2クランプストリップ85も示されている。
【0054】
2つの第2クランプストリップは第1クランプジョーユニットの端面に取り付けられ、それにより第1クランプジョーユニットのベースは第2クランプストリップユニットのベースとして同時に機能する。これが、第2クランプストリップ85と第1クランプジョーユニットのベースからなるアンサンブルが第2クランプストリップユニット78と称される所以である。機能的一体化が実現され、第1クランプジョーユニット67が第2クランプストリップユニット78を同時に構成し、その逆もしかりという効果が得られる。同じことが、第2クランプジョーユニット77に機能的に組み合わされる、機械のベースに設置された第1クランプストリップユニット68にも当てはまる。
【0055】
図8はまた、第2ダイヤフラム84の非常に明瞭な描写を与えている。このダイヤフラムはこの場合も、詳細には図示しない対応的に配置されたタンデムピストンユニットによって第2支持ストリップ86を介してそこに加えられる力を有する。
【0056】
これから、クランプストリップが組み合わさり、留められた状態で高い慣性モーメントを有していてスピンドルユニットを固定的に保持する長方形を形成することは明らかである。ほとんどまるでスピンドルユニットが長方形のボックスガーダーに係留されているようである。
【0057】
代替案として、僅かに異なるクランプストリップ装置を使用することも考えられ、場合によってはクランプストリップが組み合わさり、三角形又は円を形成してもよい。しかし、力の観点から最も有利な装置であって、製造の見地から最も制御するのが簡単なものは、クランプストリップが長方形ボックスの形状に配置されているものである。
【0058】
図9は、力−変位コンバータの介入により圧縮空気で駆動されるピストン又はタンデムピストンユニットに代えて、油圧駆動ピストンが、本来強力な力を発揮し、従って回動ストリップと受け面の間でクランプストリップを留めるアクチュエータとして使用される。
【0059】
第3の例示の実施形態は、ダイヤフラム74と、空気圧で作動するピストン73及びシリンダー72からなるアクチュエータとの協働の点でのみ、前述の2つの例示の実施形態と異なる。この例示の実施形態でも、ピストンがダイヤフラムを(少なくとも基本的に)完全に延びる位置に押し、回動ストリップと受け面の間にクランプストリップが留められるように、ピストン及びシリンダーは具体化される。他の例示の実施形態と異なり、ダイヤフラムはクランプストリップを開放するためにその緩められた位置に単に戻され又は「開放される」のではなく、ピストンにより反対方向にむしろアクティブに変形される。すなわち、ダイヤフラムは、それが緩められているときよりも、回動ストリップに取り付けられたダイヤフラムのエッジが互いにより近づく位置に運ばれる。この結果、例えば、
図4に示される種類の回動ストリップは、これらがダイヤフラムの中央に向かって内側にアーチ形になる位置に押し込まれ、それにより回動ストリップは
図4に示される緩められた位置を単純にはとらない。これにより、スピンドルロック機構が非作動化されたときに存在する移動の自由度を増大させることが可能となる。
【0060】
請求項1に依存せずに、従属請求項のそれぞれに対して保護が請求されることも付言する。また、現請求項1は、本発明者が、個々の独立請求項又はそれらの全てと組み合わせて次のメインの請求項(場合によっては明細書から得られる特徴又は機能の詳細により補足される)に想到し置き換えるための権利を保存するための提案された表現にすぎないことも付言する。
【0061】
釣り合い試験機の手動又は(機械的な)自動制御は、全てのクランプストリップで同時にクランプが創出されるのではなく、むしろクランプストリップで次々に意図して創出されるように具体化されると好ましい。
【0062】
少なくとも1つのセンサー61の介入により機械フレーム1に回動するようにスピンドルユニットを支持するために、スピンドルマウント49が板ばね52を使用する釣り合い試験機では、クランプは、水平方向に撓む又は移動し得るクランプストリップで通常先ず創出される。これは、板ばね55がこの方向に特に硬く、従って精度を妥協せずにクランプストリップへのクランプ作用を創出する途中で生じる僅かな水平な力を容易に吸収することができるためである。
【0063】
一旦この第1クランプが作られると、スピンドルユニットは既にスピンドルロック機構によって垂直方向に安定化又は固定され、よって垂直方向に撓むクランプストリップにクランプがもたらされる。クランプストリップの弾性変形により作られる垂直な力は既に、初めにクランプされたスピンドルロック機構のクランプストリップにより吸収されており、ゆえにこれらの力はスピンドルマウント49や1又は複数のセンサー61に何の影響も及ぼさない。
【0064】
本発明に係るスピンドルロック機構の実施形態により、スピンドルユニットが不釣り合い測定の間完全な移動の自由度を有するかを簡単に監視することができる。つまり、一方でクランプストリップ、他方で回動ストリップとそれらの受け面の間の電気抵抗の簡単な測定により、必要な完全な移動の自由度が存在するか示される。この目的のために、クランプストリップと回動ストリップ及び/又は受け面は電気絶縁式に設置され、電圧により作動され、結局前述の部品がクランプ状態で互いに当接するクランプ面が少なくとも軽く接触していると、抵抗がこれらの間で測定される。
【0065】
本発明が、材料を試験片上に堆積させて釣り合いを実行する(稀な)場合でも同様に使用できることも付言する。