特許第5982289号(P5982289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982289
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】過電圧保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/16 20060101AFI20160818BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20160818BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20160818BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20160818BHJP
【FI】
   H02H7/16 B
   H02H9/04 B
   H02H7/00 B
   H02M1/00 E
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-5502(P2013-5502)
(22)【出願日】2013年1月16日
(65)【公開番号】特開2014-138476(P2014-138476A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】金 宏信
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−178540(JP,A)
【文献】 特開平06−296362(JP,A)
【文献】 特開2001−044291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H7/00
H02H7/16
H02H9/04
H02M1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサを過電圧から保護するための過電圧保護回路であって、
抵抗と、
前記抵抗と直列に接続され、ターンオンすると前記コンデンサが放電する電圧駆動型スイッチング素子と、
前記コンデンサの過電圧が検出されると送信される前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンする信号を受信する信号受信手段と、
前記電圧駆動型スイッチング素子に設けられたアクティブクランプ回路と、
前記アクティブクランプ回路の動作を検出するアクティブクランプ回路動作検出手段と、
前記信号受信手段により前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンする信号を受信した場合又は前記アクティブクランプ回路動作検出手段により前記アクティブクランプ回路の動作を検出した場合、前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンするターンオン手段と
を備えることを特徴とする過電圧保護回路。
【請求項2】
前記アクティブクランプ回路動作検出手段は、前記電圧駆動型スイッチング素子のゲート電圧に基づいて、前記アクティブクランプ回路の動作を検出すること
を特徴とする請求項1に記載の過電圧保護回路。
【請求項3】
前記アクティブクランプ回路動作検出手段は、前記アクティブクランプ回路で発生する電圧に基づいて、前記アクティブクランプ回路の動作を検出すること
を特徴とする請求項1に記載の過電圧保護回路。
【請求項4】
前記アクティブクランプ回路動作検出手段は、前記アクティブクランプ回路に流れる電流に基づいて、前記アクティブクランプ回路の動作を検出すること
を特徴とする請求項1に記載の過電圧保護回路。
【請求項5】
前記アクティブクランプ回路動作検出手段により前記アクティブクランプ回路の動作を検出した場合、前記コンデンサが過電圧であることを示す信号を外部に出力するコンデンサ過電圧信号出力手段
を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の過電圧保護回路。
【請求項6】
前記ターンオン手段は、予め設定された期間、前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンすること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の過電圧保護回路。
【請求項7】
コンデンサを含む電力変換回路と、
抵抗と、
前記抵抗と直列に接続され、ターンオンすると前記コンデンサが放電する電圧駆動型スイッチング素子と、
前記コンデンサの過電圧が検出されると送信される前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンする信号を受信する信号受信手段と、
前記電圧駆動型スイッチング素子に設けられたアクティブクランプ回路と、
前記アクティブクランプ回路の動作を検出するアクティブクランプ回路動作検出手段と、
前記信号受信手段により前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンする信号を受信した場合又は前記アクティブクランプ回路動作検出手段により前記アクティブクランプ回路の動作を検出した場合、前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンするターンオン手段と
を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
抵抗と電圧駆動型スイッチング素子を直列に接続した回路がコンデンサに並列に接続され、前記コンデンサを過電圧から保護するための過電圧保護方法であって、
前記コンデンサの過電圧が検出されると送信される前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンする信号を受信し、
前記電圧駆動型スイッチング素子にアクティブクランプ回路を設け、
前記アクティブクランプ回路の動作を検出し、
前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンする信号を受信した場合又は前記アクティブクランプ回路の動作を検出した場合、前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンすること
を含むことを特徴とする過電圧保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電圧保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力変換装置では、コンデンサを過電圧から保護するための過電圧保護回路を設けることが知られている。
【0003】
例えば、コンデンサと並列に接続された過電圧保護回路において、負荷に印加される電圧が一定電圧以上になったときには、コンデンサをサイリスタで短絡することが開示されている(特許文献1参照)。また、スイッチングトランスの制御電圧用の巻線の経路が断線したときに出力電圧が上昇するのを抑制し、平滑コンデンサ等の破壊を防止する過電圧保護回路が開示されている(特許文献2参照)。さらに、IGBT(insulated gate bipolar transistor)のコレクタ電圧が所定の電圧を超えるとIGBTのゲート電圧をゲートしきい値電圧より高くして、IGBTのコレクタ電圧への過電圧印加を防止することが開示されている(特許文献3参照)。また、コンデンサの過電圧を検出するとオンになるスイッチを介して接続された抵抗器により、コンデンサに蓄えられた電荷を放電することが開示されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−163044号公報
【特許文献2】特開平11−178331号公報
【特許文献3】特開2003−134796号公報
【特許文献4】特開2010−178540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンデンサの過電圧を検出して、保護動作を行う場合、保護動作の高速化には限界がある。例えば、コンデンサの過電圧を絶縁アンプを介して検出する場合、絶縁アンプの動作速度により、保護動作の高速化が制限される。
【0006】
そこで、本発明の目的は、過電圧保護動作を高速化した過電圧保護回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観点に従った過電圧保護回路は、コンデンサを過電圧から保護するための過電圧保護回路であって、抵抗と、前記抵抗と直列に接続され、ターンオンすると前記コンデンサが放電する電圧駆動型スイッチング素子と、前記コンデンサの過電圧が検出されると送信される前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンする信号を受信する信号受信手段と、前記電圧駆動型スイッチング素子に設けられたアクティブクランプ回路と、前記アクティブクランプ回路の動作を検出するアクティブクランプ回路動作検出手段と、前記信号受信手段により前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンする信号を受信した場合又は前記アクティブクランプ回路動作検出手段により前記アクティブクランプ回路の動作を検出した場合、前記電圧駆動型スイッチング素子をターンオンするターンオン手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、過電圧保護動作を高速化した過電圧保護回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る過電圧保護回路の構成を示す構成図。
図2】本発明の第2の実施形態に係る過電圧保護回路の構成を示す構成図。
図3】本発明の第3の実施形態に係る過電圧保護回路の構成を示す構成図。
図4】本発明の第4の実施形態に係る過電圧保護回路の構成を示す構成図。
図5】本発明の第5の実施形態に係る過電圧保護回路の構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る過電圧保護回路10の構成を示す構成図である。なお、図面における同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。
【0012】
コンデンサ31は、過電圧保護回路10の保護対象である。コンデンサ31は、電力変換装置の電力変換回路を構成する素子である。例えば、コンデンサ31は、インバータ回路の直流側に設けられるコンデンサである。
【0013】
コンデンサ電圧検出器32は、コンデンサ31の電圧を検出する。コンデンサ電圧検出器32は、検出したコンデンサ電圧を制御装置20に出力する。
【0014】
制御装置20は、コンデンサ31が設けられている電力変換装置を制御する装置である。制御装置20には、コンデンサ31の過電圧保護機能が設けられている。ここでは、制御装置20は、過電圧保護機能について主に説明し、他の部分(電力変換制御など)については説明を省略する。
【0015】
制御装置20の過電圧保護機能は、絶縁アンプ21、比較器22、及びゲートパルス信号出力部23で構成される。
【0016】
絶縁アンプ21は、コンデンサ電圧検出器32により検出されたコンデンサ電圧Vcを絶縁して、比較器22に出力する。比較器22は、絶縁アンプ21から入力されたコンデンサ電圧Vcと予め設定された基準電圧Vr1を比較する。比較器22による比較結果が基準電圧Vr1よりもコンデンサ電圧Vcの方が高い場合、比較器22は、過電圧であると判断して、コンデンサ31を保護するための信号をゲートパルス信号出力部23に出力する。ゲートパルス信号出力部23は、比較器22から信号を受信すると、過電圧保護回路10のIGBT3をターンオンさせるためのゲートパルス信号を過電圧保護回路10に出力する。
【0017】
過電圧保護回路10は、過電圧保護制御部1、抵抗2、IGBT(insulated gate bipolar transistor)3、アクティブクランプ回路4、ゲート回路5、及びゲート電圧検出器6を備える。
【0018】
抵抗2は、コンデンサ31から放電された電力を消費するための素子である。IGBT3は、電圧駆動型のスイッチング素子である。抵抗2及びIGBT3は、直列に接続されている。直列に接続された抵抗2及びIGBT3は、コンデンサ31に並列に接続されている。抵抗2及びIGBT3で構成される回路は、過電圧保護回路10の基本構成である。IGBT3がオンされると、コンデンサ31が放電する。放電された電力が抵抗2により消費されることで、コンデンサ電圧Vcが低下する。
【0019】
アクティブクランプ回路4は、IGBT3のコレクタ―エミッタ間のサージ電圧を抑制するための回路である。アクティブクランプ回路4は、IGBT3のゲートとコレクタを接続するように設けられている。アクティブクランプ回路4は、ツェナーダイオード41及び抵抗42が直列に接続された回路である。IGBT3のコレクタ―エミッタ間にツェナーダイオード41のツェナー電圧以上の電圧が印加されると、アクティブクランプ回路4は、コレクタ―エミッタ間の電圧がツェナー電圧とほぼ等しくなるまで、IGBT3をターンオンするように電流を流す。ツェナーダイオード41のツェナー電圧は、コンデンサ31が過電圧とならない上限値(または、過電圧となる下限値)とほぼ等しくなるようにしている。
【0020】
ゲート回路5は、IGBT3を駆動するための回路である。ゲート回路5は、入力された信号に基づいて、IGBT3をターンオン又はターンオフするためのゲート信号を出力する。
【0021】
ゲート電圧検出器6は、IGBT3のゲート電圧Vgを検出する。ゲート電圧検出器6は、検出したゲート電圧Vgを過電圧保護制御部1に出力する。
【0022】
過電圧保護制御部1は、ゲート電圧検出器6により検出されたゲート電圧Vgに基づいて、コンデンサ31の過電圧保護をするための制御をする。また、過電圧保護制御部1は、制御装置20から入力されたゲートパルス信号に基づいて、コンデンサ31の過電圧保護をするための制御をする。
【0023】
過電圧保護制御部1は、比較器11、ターンオン信号出力部12、及びOR回路13で構成されている。
【0024】
比較器11は、ゲート電圧検出器6により検出されたゲート電圧Vgと予め設定されている基準電圧Vr2を比較する。例えば、基準電圧Vr2は、IGBT3のゲート閾値電圧に設定されている。ゲート電圧Vgが基準電圧Vr2よりも高い場合、比較器11は、アクティブクランプ回路4が動作したと判断して、コンデンサ31を保護するための信号をターンオン信号出力部12に出力する。
【0025】
ターンオン信号出力部12は、比較器11から信号を受信すると、過電圧保護回路10のIGBT3をターンオンさせるためのターンオン信号をOR回路13に出力する。
【0026】
OR回路13には、ターンオン信号出力部12から出力されたターンオン信号及び制御装置20から出力されたゲートパルス信号が入力される。OR回路13は、入力された2つの信号の論理和に従って、ゲート回路5にIGBT3を駆動するための信号を出力する。即ち、OR回路13は、制御装置20からのゲートパルス信号がターンオンを示しているか、ターンオン信号出力部12からターンオン信号が入力されると、IGBT3をターンオンする。
【0027】
次に、過電圧保護回路10による保護動作について説明する。
【0028】
IGBT3は、通常時(コンデンサ31が過電圧でない時)はオフされている。このとき、IGBT3のゲート電圧Vgは、オフレベルである。
【0029】
コンデンサ31が過電圧になると、IGBT3のコレクタ−エミッタ間にも、通常より高い電圧が印加される。これにより、アクティブクランプ回路4のツェナーダイオード41が降伏する。即ち、アクティブクランプ回路4が動作する。ツェナーダイオード41が降伏すると、IGBT3のコレクタ−エミッタ間の電圧がツェナー電圧とほぼ等しくなるまで、IGBT3をターンオンする。このとき、IGBT3のゲート電圧は、通常時のオフレベルよりも高くなる。
【0030】
アクティブクランプ回路4が動作すると、コンデンサ31の電圧上昇が抑制される。しかし、アクティブクランプ回路4の動作では、ツェナーダイオード41にコンデンサ電圧Vcがクランプされるだけで、コンデンサ31は、ほとんど放電されない。
【0031】
過電圧保護制御部1は、ゲート電圧Vgがオフレベルよりも上昇したことを検出することで、アクティブクランプ回路4が動作したと判断する。過電圧保護制御部1は、アクティブクランプ回路4の動作を検出すると、IGBT3をターンオンさせる。
【0032】
IGBT3がターンオンすると、コンデンサ31の電荷が抵抗2により消費されることで、コンデンサ電圧Vcが下がる。これにより、コンデンサ31の過電圧状態が解消される。
【0033】
本実施形態によれば、IGBT3にアクティブクランプ回路4を設け、アクティブクランプ回路4の動作をIGBT3のゲート電圧Vgにより検出することで、コンデンサ31の過電圧の検出を高速化することができる。これにより、過電圧保護回路10は、コンデンサ31の過電圧保護を高速化することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る過電圧保護回路10Aの構成を示す構成図である。
【0035】
過電圧保護回路10Aは、図1に示す第1の実施形態に係る過電圧保護回路10において、ゲート電圧検出器6の代わりに電圧検出器6Aを設け、過電圧保護制御部1の代わりに過電圧保護制御部1Aを設けたものである。その他の点は、第1の実施形態に係る過電圧保護回路10と同様である。
【0036】
電圧検出器6Aは、アクティブクランプ回路4の抵抗42の電圧Vaを検出する。なお、電圧検出器6Aにより検出される電圧は、アクティブクランプ回路4の動作を判断できるような電圧であれば、どの箇所の電圧でもよい。従って、アクティブクランプ回路4に抵抗が素子として設けられていなければ、他の素子の電圧でもよい。
【0037】
過電圧保護制御部1Aは、図1に示す第1の実施形態に係る過電圧保護制御部1において、比較器11の代わりに比較器11Aを設けた構成である。その他の点は、第1の実施形態に係る過電圧保護制御部1と同様である。
【0038】
比較器11Aは、電圧検出器6Aにより検出された電圧Vaと予め設定されている基準電圧Vr3を比較する。基準電圧Vr3は、アクティブクランプ回路4が動作したと判断できる電圧の下限値(又は、アクティブクランプ回路4が動作していないと判断できる電圧の上限値)である。電圧Vaが基準電圧Vr3よりも高い場合、比較器11Aは、アクティブクランプ回路4が動作したと判断して、コンデンサ31を保護するための信号をターンオン信号出力部12に出力する。
【0039】
本実施形態によれば、アクティブクランプ回路4の内部で発生する電圧Vaを検出することで、アクティブクランプ回路4の動作を検出することができる。これにより、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る過電圧保護回路10Bの構成を示す構成図である。
【0041】
過電圧保護回路10Bは、図1に示す第1の実施形態に係る過電圧保護回路10において、電圧検出器6の代わりに電流検出器7を設け、過電圧保護制御部1の代わりに過電圧保護制御部1Bを設けたものである。その他の点は、第1の実施形態に係る過電圧保護回路10と同様である。
【0042】
電流検出器7は、アクティブクランプ回路4が動作したときに流れる電流Iaを検出する。なお、電流検出器7により検出される電流は、アクティブクランプ回路4の動作を判断できるような電流であれば、何処を流れる電流でもよい。
【0043】
過電圧保護制御部1Bは、図1に示す第1の実施形態に係る過電圧保護制御部1において、比較器11の代わりに比較器11Bを設けた構成である。その他の点は、第1の実施形態に係る過電圧保護制御部1と同様である。
【0044】
比較器11Bは、電流検出器7により検出された電流Iaと予め設定されている基準電流Irを比較する。基準電流Irは、アクティブクランプ回路4が動作したと判断できる電流の下限値(又は、アクティブクランプ回路4が動作していないと判断できる電圧の上限値)である。電流Iaが基準電流Irよりも大きい場合、比較器11Bは、アクティブクランプ回路4が動作したと判断して、コンデンサ31を保護するための信号をターンオン信号出力部12に出力する。
【0045】
本実施形態によれば、アクティブクランプ回路4に流れる電流Iaを検出することで、アクティブクランプ回路4の動作を検出することができる。これにより、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に係る過電圧保護回路10Cの構成を示す構成図である。
【0047】
過電圧保護回路10Cは、図1に示す第1の実施形態に係る過電圧保護回路10において、過電圧保護制御部1の代わりに過電圧保護制御部1Cを設けたものである。その他の点は、第1の実施形態に係る過電圧保護回路10と同様である。
【0048】
過電圧保護制御部1Cは、図1に示す第1の実施形態に係る過電圧保護制御部1において、比較器11の代わりに比較器11Cを設けた構成である。その他の点は、第1の実施形態に係る過電圧保護制御部1と同様である。
【0049】
比較器11Cは、コンデンサ31を保護するための信号をターンオン信号出力部12に出力し、過電圧保護回路10Cの外部に設けられた制御装置20Cにも、コンデンサ31が過電圧であることを示す信号を出力する。その他の点は、第1の実施形態に係る比較器11と同様である。
【0050】
制御装置20Cは、過電圧保護回路10Cの過電圧保護制御部1Cから信号を受信することで、コンデンサ31が過電圧状態であることを認識する。制御装置20Cは、この信号を受信すると、正式な過電圧保護動作として、IGBT3をターンオンするためのゲートパルス信号をゲートパルス信号出力部23から出力する。その他の点は、第1の実施形態に係る制御装置20と同様である。
【0051】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0052】
過電圧保護制御部1Cがアクティブクランプ回路4の動作を検出して、制御装置20Cに出力することで、制御装置20Cは、コンデンサ31を過電圧保護するための正式なゲートパルス信号を、コンデンサ電圧Vcを測定して検出するよりも早く出力することができる。また、制御装置20Cから出力される正式なゲートパルス信号によりIGBT3がターンオンされるまでは、過電圧保護制御部1Cにより、IGBT3をターンオンするため、IGBT3の過電圧保護を早い段階からすることができる。これにより、過電圧保護回路10Cは、総合的にIGBT3の過電圧保護を高速化することができる。
【0053】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態に係る過電圧保護回路10Dの構成を示す構成図である。
【0054】
過電圧保護回路10Dは、図1に示す第1の実施形態に係る過電圧保護回路10において、過電圧保護制御部1の代わりに過電圧保護制御部1Dを設けたものである。その他の点は、第1の実施形態に係る過電圧保護回路10と同様である。
【0055】
過電圧保護制御部1Dは、図1に示す第1の実施形態に係る過電圧保護制御部1において、比較器11とターンオン信号出力部12との間にワンショット回路14を設けたものである。その他の点は、第1の実施形態に係る過電圧保護制御部1と同様である。
【0056】
ワンショット回路14は、ターンオン信号出力部12からターンオン信号が入力されると、IGBT3をターンオンさせる信号を予め設定された一定期間出力する。一定期間の終了時点は、例えば、制御装置20から出力された正式な過電圧保護のためのゲートパルス信号によりIGBT3がターンオンするまでである。即ち、ワンショット回路14は、制御装置20による正式な過電圧保護によりIGBT3がターンオンされるまでの間、IGBT3を仮にターンオンさせておくためものである。
【0057】
ターンオン信号出力部12は、ワンショット回路14からターンオン信号が入力されている間、OR回路13を介してゲート回路5にIGBT3をターンオンする信号を出力し続ける。
【0058】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0059】
IGBT3をターンオンするターンオン信号を、ワンショット回路14から出力することで、IGBT3を一定期間確実にターンオンさせておくことができる。これにより、コンデンサ31の過電圧保護を確実に行うことができる。
【0060】
各実施形態において、制御装置20の過電圧保護機能を説明したが、過電圧保護機能はどのように構成されていてもよいし、なくてもよい。
【0061】
第1から第3の実施形態において、アクティブクランプ回路4の動作を検出する構成を説明したが、これらに限らない。アクティブクランプ回路4の動作が検出できれば、どのように構成してもよい。
【0062】
第4の実施形態では、第1の実施形態を基にした構成で説明したが、他の実施形態を基にした構成でもよい。また、過電圧保護回路10Cがアクティブクランプ回路4の動作を検出した場合に信号を出力する先は、制御装置20Cに限らず、どのような装置又は機器に出力してもよい。さらに、この信号を受信した装置(制御装置20Cも含む)は、ゲートパルス信号を出力することに限らず、どのような動作をさせてもよい。例えば、この信号を受信した装置は、コンデンサ31が過電圧状態であることを表示器に表示させてもよい。
【0063】
第5の実施形態では、第1の実施形態を基にした構成で説明したが、他の実施形態を基にした構成でもよい。例えば、第4の実施形態を基に、第5の実施形態を構成する場合、制御装置20Cから正式なゲートパルス信号が出力される時点の予測がし易くなるため、ワンショット回路14に設定するワンショットを出力する時間の長さを適切に決めることができる。
【0064】
第5の実施形態では、ワンショット回路14を用いて説明したが、IGBT3を一定期間ターンオンさせておくことができれば、どのように構成してもよい。例えば、ワンショット回路14の代わりにオフディレイを用いてもよいし、AND(論理積)回路を用いて、他の条件と組み合わせてIGBT3をターンオンさせる信号を出力してもよい。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…過電圧保護制御部、2…抵抗、3…IGBT、4…アクティブクランプ回路、5…ゲート回路、6…ゲート電圧検出器、10…過電圧保護回路、11…比較器、12…ターンオン信号出力部、13…OR回路、20…制御装置、21…絶縁アンプ、22…比較器、23…ゲートパルス信号出力部、31…コンデンサ、32…コンデンサ電圧検出器。
図1
図2
図3
図4
図5