(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982315
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】エンジンのEGR装置
(51)【国際特許分類】
F02M 26/29 20160101AFI20160818BHJP
F02M 26/19 20160101ALI20160818BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
F02M26/29 301
F02M26/29 311
F02M26/19 331
F02M26/19 311
F02M35/10 311E
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-64163(P2013-64163)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-190172(P2014-190172A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】小山 秀行
(72)【発明者】
【氏名】鍬崎 寛
(72)【発明者】
【氏名】池町 勝敬
(72)【発明者】
【氏名】宮田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆志
(72)【発明者】
【氏名】長井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】松川 英次
【審査官】
寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭54−023818(JP,A)
【文献】
特開2001−221106(JP,A)
【文献】
実開昭64−046461(JP,U)
【文献】
特開2007−198342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/00 − 26/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気経路(1)がEGR経路(2)で吸気経路(3)に連通された、エンジンのEGR装置において、
EGR経路(2)が、シリンダヘッド(4)の排気ポート(5)から導出されたEGRガス導出孔(6)と、EGRガス導出孔(6)に接続されたEGRガス導出管(7)とで構成され、EGRガス導出管(7)の入口端部(7a)はEGRガス導出孔(6)に挿入されて接続され、EGRガス導出管(7)の出口端部(7b)は吸気入口管(11)に接続され、EGRガス導出管(7)はその周壁からEGRガス(8)の熱を大気中に放熱するように構成され、水冷式EGRクーラのないEGR経路(2)が形成され、
EGRガス導出管(7)の出口側端部(7b)が吸気入口管(11)に螺旋状に巻き付けられ、吸気入口管(11)の周壁にEGRガス導出管(7)の出口側端部(7b)の旋回方向に所定間隔を保持した複数のEGRガス導入孔(12)が設けられている、ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジンのEGR装置において、
EGRガス導入孔(12)は、吸気入口管(11)の吸気下流側のものよりも、吸気上流側のものの方が、開口面積が大きく形成されている、ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたエンジンのEGR装置において、
排気経路(2)はEGR弁のない常時開通状態とされている、ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載されたエンジンのEGR装置において、
EGRガス導出管(7)の周壁に放熱フィン(9)が形成されている、ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのEGR装置に関し、詳しくは、エンジンの製造コストを低廉にすることができるエンジンのEGR装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図3に示すように、エンジンのEGR装置として、排気経路(101)がEGR経路(102)で吸気経路(103)に連通されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のEGR装置によれば、排気の一部がEGRガス(108)として吸気に還流され、NO
Xの発生が抑制される利点がある。
【0004】
しかし、この従来技術では、EGR経路(102)が、排気マニホルド(113)に形成されたEGRガス導出管(107)と、EGRガス導出管(107)のガス導出端部(107b)に接続された水冷式EGRクーラ(115)で構成されているため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−85301号公報(
図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 エンジンの製造コストが高くなる。
水冷式EGRクーラ(115)が用いられているため、エンジンの製造コストが高くなる。
また、EGR仕様エンジンと非EGR仕様エンジンとを造り分ける場合には、EGRガス導出管(107)が形成された排気マニホルド(113)とEGRガス導出管(107)が形成されていない排気マニホルドの2種類を使い分ける必要があり、この点もエンジンの製造コストが高くなる要因となっている。
【0007】
本発明の課題は、エンジンの製造コストを低廉にすることができるエンジンのEGR装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図2に例示するように、排気経路(1)がEGR経路(2)で吸気経路(3)に連通された、エンジンのEGR装置において、
図2に例示するように、EGR経路(2)が、シリンダヘッド(4)の排気ポート(5)から導出されたEGRガス導出孔(6)と、EGRガス導出孔(6)に接続されたEGRガス導出管(7)とで構成され、EGRガス導出管(7)の入口端部(7a)はEGRガス導出孔(6)に挿入されて接続され、EGRガス導出管(7)の出口端部(7b)は吸気入口管(11)に接続され、EGRガス導出管(7)はその周壁からEGRガス(8)の熱を大気中に放熱するように構成され、水冷式EGRクーラのないEGR経路(2)が
形成され、
図1(A),図2に例示するように、EGRガス導出管(7)の出口側端部(7b)が吸気入口管(11)に螺旋状に巻き付けられ、吸気入口管(11)の周壁にEGRガス導出管(7)の出口側端部(7b)の旋回方向に所定間隔を保持した複数のEGRガス導入孔(12)が設けられている、ことを特徴とするエンジンのEGR装置。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの製造コストを低廉にすることができる。
図2に例示するように、EGR経路(2)が、シリンダヘッド(4)の排気ポート(5)から導出されたEGRガス導出孔(6)と、EGRガス導出孔(6)に接続されたEGRガス導出管(7)とで構成され、EGRガス導出管(7)の入口端部(7a)はEGRガス導出孔(6)に挿入されて接続され、EGRガス導出管(7)の出口端部(7b)は吸気入口管(11)に接続され、EGRガス導出管(7)はその周壁からEGRガス(8)の熱を大気中に放熱するように構成され、水冷式EGRクーラのないEGR経路(2)が形成されているので、簡易なEGRガス導出管(7)を用いて、水冷式EGRクーラを設ける必要をなくし、エンジンの製造コストを低廉にすることができる。
また、EGR仕様エンジンと非EGR仕様エンジンとを造り分ける場合には、シリンダヘッド(4)にEGRガス導出孔(6)を穿設するか否かを選択するのみでよく、複数種の排気マニホルドを使い分ける必要がなく、この点でもエンジンの製造コストを低廉にできる。
【0010】
【0011】
【0012】
《効果》 吸気にEGRガスが均一に混合される。
図1(A)、
図2に例示するように、EGRガス導出管(7)の出口側端部(7b)が吸気入口管(11)に螺旋状に巻き付けられ、吸気入口管(11)の周壁にEGRガス導出管(7)のガス出口側端部(7b)の旋回方向に所定間隔を保持した複数のEGRガス導入孔(12)が設けられているので、吸気入口管(11)内を通過する吸気(16)に複数のEGRガス導入孔(12)からEGRガス(8)が混入され、吸気(16)にEGRガス(8)が均一に混合される。
【0013】
(
請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、
請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 吸気にEGRガスが均一に混合される。
図1(A)に例示するように、EGRガス導入孔(12)は、吸気入口管(11)の吸気下流側のものよりも、吸気上流側のものの方が、開口面積が大きく形成されているので、吸気(16)との混合経路が長い吸気上流側のEGRガス導入孔(12)からEGRガス(8)が吸気(16)に多く供給され、吸気(16)との混合経路が短い吸気上流側のEGRガス導入孔(12)からEGRガス(8)が吸気(16)に少なく供給され、吸気(16)との混合経路の長さとEGRガス(8)の供給量とのバランスがとれ、吸気(16)にEGRガス(8)が均一に混合される。
【0014】
(
請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、
請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの製造コストを低廉にすることができる。
図2に例示するように、排気経路(2)はEGR弁のない常時開通状態とされているので、エンジンの製造コストを低廉にすることができる。
【0015】
《効果》 エンジンのメンテナンスが容易になる。
図2に例示するように、EGR経路(2)に水冷式EGRクーラやEGR弁がないため、エンジンのメンテナンスが容易になる。
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 EGRガス導出管の放熱性が高い。
図1(A)、図2に例示するように、EGRガス導出管(7)の周壁に放熱フィン(9)が形成されているので、EGRガス導出管(7)の放熱性が高い。
《効果》 EGRガス導出管の強度を高めることができる。
図1(A)、図2に例示するように、EGRガス導出管(7)の周壁に放熱フィン(9)が形成されているので、放熱フィン(9)でEGRガス導出管(7)の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るエンジンのEGR装置を説明する図で、
図1(A)はEGRガス導出管の出口側端部と吸気入口管の横断平面図 、
図1(B)は
図1(A)のB−B線断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るEGR装置を備えたエンジンの模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜
図3は本発明の実施形態に係るエンジンのEGR装置を説明する図であり、この実施形態では、立形の直列4気筒ディーゼルエンジンのEGR装置について説明する。
【0018】
このエンジンの概要は、次の通りである。
図2に示すように、シリンダブロック(17)の上部にシリンダヘッド(4)が組み付けられ、シリンダヘッド(4)の横一側に排気経路(1)が取り付けられ、シリンダヘッド(4)の横他側に吸気経路(3)が取り付けられている。
排気経路(1)は排気マニホルド(13)、吸気経路(3)は吸気マニホルド(18)である。このエンジンは、EGR装置(19)を備えている。
【0019】
EGR装置(19)の構成は、次の通りである。
図2に示すように、排気経路(1)がEGR経路(2)で吸気経路(3)に連通されている。
図2に例示するように、EGR経路(2)が、シリンダヘッド(4)の排気ポート(5)から導出されたEGRガス導出孔(6)と、EGRガス導出孔(6)に接続されたEGRガス導出管(7)とで構成され、EGRガス導出管(7)の入口端部(7a)はEGRガス導出孔(6)に挿入されて接続され、EGRガス導出管(7)の出口端部(7b)は吸気入口管(11)に接続され、EGRガス導出管(7)はその周壁からEGRガス(8)の熱を大気中に放熱するように構成され、水冷式EGRクーラのないEGR経路(2)が形成されている。
【0020】
EGRガス導出孔(6)は、最後部の第4気筒の排気ポート(5)から導出されている。EGRガス導出孔(6)は、シリンダヘッド(4)の後端面から排気ポート(5)に向けて穿設されたキリ孔である。吸気入口管(11)は吸気マニホルド(18)のコレクタ(20)から導出され導出されている。吸気入口管(11)にはエアクリーナ(図示せず)から導出された吸気導出管(21)が接続される。
【0021】
図1(A)、
図2に示すように、EGRガス導出管(7)の周壁に放熱フィン(9)が形成されている。
図1(A)、
図2に示すように、EGRガス導出管(7)の出口側端部(7b)が吸気入口管(11)に螺旋状に巻き付けられ、吸気入口管(11)の周壁にEGRガス導出管(7)の出口側端部(7b)の旋回方向に所定間隔を保持した複数のEGRガス導入孔(12)が設けられている。
図1(A)に示すように、EGRガス導入孔(12)は、吸気入口管(11)の吸気下流側のものよりも、吸気上流側のものの方が、開口面積が大きく形成されている。
図2に示すように、排気経路(2)はEGR弁のない常時開通状態とされている。
EGRガス導出管(7)の出口側端部(7b)は吸気入口管(11)に溶接で固定されている。
【符号の説明】
【0022】
(1) 排気経路
(2) EGR経路
(3) 吸気経路
(4) シリンダヘッド
(5) 排気ポート
(6) EGRガス導出孔
(7) EGRガス導出管
(7a) 入口端部
(7b) 出口端部
(8) EGRガス
(9) 放熱フィン
(11) 吸気入口管
(12) EGRガス導入孔
(13) 排気マニホルド
(16) 吸気