特許第5982318号(P5982318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982318
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】経営管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20160818BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20160818BHJP
【FI】
   G06Q10/06 332
   G06Q50/04
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-73835(P2013-73835)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-199489(P2014-199489A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2013年3月29日
【審判番号】不服2015-15655(P2015-15655/J1)
【審判請求日】2015年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】506146024
【氏名又は名称】KCCSマネジメントコンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】森田 直行
(72)【発明者】
【氏名】青木 克真
【合議体】
【審判長】 金子 幸一
【審判官】 野崎 大進
【審判官】 石川 正二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−94066(JP,A)
【文献】 特開2010−176525(JP,A)
【文献】 特開2000−84801(JP,A)
【文献】 特開2003−223543(JP,A)
【文献】 特開2008−250368(JP,A)
【文献】 尾畑 裕、事例研究:「自律的組織」と管理会計−自律分散型組織と原価計算システム、企業会計、日本、株式会社中央経済社、2005年12月1日、第57巻第12号、pp.60−66.
【文献】 潮 清孝、京セラ・アメーバ経営の時間当たり採算公式と履歴連鎖管理、企業会計、日本、株式会社中央経済社、2008年3月1日、第60巻第3号、pp.151−159.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/10-50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
社内を、少なくとも一つの営業単位と複数の製造単位とを含む複数の社内組織に分割し、各社内組織ごとの収支、製造実績を算出することのできる経営管理装置であって、
社内組織の一つである営業単位が受注したオーダーの数量、金額、客先、納期を受けて、オーダー符号を付して記録するオーダー記録手段と、
前記オーダー符号の付されたオーダーに対応して、社内組織である後工程の製造単位が前工程の製造単位に社内発注した数量、社内金額、社内納期を当該オーダー符号に対応づけて記録する社内発注記録手段と、
社内組織である前工程の製造単位によって処理され、営業単位または後工程の社内組織に渡された完成品または中間品の数量、引渡金額をオーダー符号とともに記録する実績記録手段と、
各社内組織ごとに、当該社内組織によって処理され他の社内組織に渡された完成品または中間品の引渡金額である社内売金額、他の社内組織から当該社内組織に渡された中間品の引渡金額である社内買金額に基づいて、社内組織ごとの収支を算出する社内組織収支算出手段と、
各社内組織ごとに、当該社内組織によって処理された各社内発注に対応する中間品の数量に基づいて、生産の進捗度合いを算出する進捗算出手段と、
を備えた経営管理装置において、
前記社内組織収支算出手段は、各オーダーにおける社内での工程経路に基づいて、客先ごとまたはオーダーごとに、各社内組織の収支を算出することを特徴とする経営管理装置。
【請求項2】
コンピュータを経営管理装置として機能させるための経営管理プログラムであって、コンピュータを、
社内組織の一つである営業単位が受注したオーダーの数量、金額、客先、納期を受けて、オーダー符号を付して記録するオーダー記録手段と、
前記オーダー符号の付されたオーダーに対応して、社内組織である後工程の製造単位が前工程の製造単位に社内発注した数量、社内金額、社内納期を当該オーダー符号に対応づけて記録する社内発注記録手段と、
社内組織である前工程の製造単位によって処理され、営業単位または後工程の社内組織に渡された完成品または中間品の数量、引渡金額をオーダー符号とともに記録する実績記録手段と、
各社内組織ごとに、当該社内組織によって処理され他の社内組織に渡された完成品または中間品の引渡金額である社内売金額、他の社内組織から当該社内組織に渡された中間品の引渡金額である社内買金額に基づいて、社内組織ごとの収支を算出する社内組織収支算出手段と、
各社内組織ごとに、当該社内組織によって処理された各社内発注に対応する中間品の数量に基づいて、生産の進捗度合いを算出する進捗算出手段として機能させるための経営管理プログラムにおいて、
前記社内組織収支算出手段は、各オーダーにおける社内での工程経路に基づいて、客先ごとまたはオーダーごとに、各社内組織の収支を算出することを特徴とする経営管理プログラム。
【請求項3】
請求項2の経営管理プログラムにおいて、
社内組織の一つである仕入単位によって仕入れられた仕入品の数量、仕入金額を前記オーダー符号に対応づけて記録する仕入記録手段をさらに備えることを特徴とする経営管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、経営状況を明確に把握することのできる経営管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部門ごとに採算管理する経営手法としてアメーバ経営(商標)が知られている(たとえば、特許文献1)。アメーバ経営(商標)とは、会社経営とは一部の経営トップのみで行うのではなく、全社員が関わりを持って行うものだとの考えに基づき、会社の組織を出来るだけ細かく分割し、それぞれの組織における仕事の成果を分かりやすく示すことで全社員の経営参加を促す経営管理システムである。
【0003】
アメーバ経営(商標)における特徴は、アメーバ(商標)と呼ばれる小さな組織を社内に設け、アメーバ(商標)ごとに、収入、費用、収益、単位時間あたりの収益を算出し、タイムリーな経営管理情報を提供することにある。
【0004】
たとえば、製造業のように複数の工程を経て製品が作られる場合には、各工程を担う組織をアメーバ(商標)とし、各アメーバ(商標)は次工程のアメーバ(商標)に中間製品を売り(社内売買という)これを売上とする。従来、工程間の取引を算出する管理システムは存在したが、これらは、各工程が次工程に渡す中間製品の売価を、製造原価とするものであった。つまり、各工程において収益を算出するという考え方がなかった。
【0005】
これに対し、アメーバ経営(商標)では、社内売買における売価は、原則としてアメーバ(商標)同士での交渉によって決められ、基本的に収益を得ることができるように構築されている。したがって、各アメーバ(商標)は、作業効率化などにより収益を増やすことができ、アメーバ(商標)に属する社員の経営参加を促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−187469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにアメーバ経営(商標)システムにおいては、アメーバ(商標)という小組織を設け、アメーバ(商標)ごとの収支を明確にすることで、アメーバ(商標)に属する社員の意識を高めるようにしている。
【0008】
しかしながら、アメーバ経営(商標)システムにおいては、アメーバごとの収支を明確にできるものの、アメーバごとに、かつ、注文ごとに、あるいは顧客ごとに、その収支を算出することができなかった。注文ごとに、あるいは顧客ごとに、アメーバが収支を知ることにより、経営状況をより詳細に知ることができる。
【0009】
また、アメーバごとの生産計画に対する進捗状況は、生産計画のためのシステムによって別途管理しなければならなかった。このため、収支状況把握のためのシステムとは別に、生産実績を把握するためのシステムを設け、それぞれのためにデータ入力をしなければならず、煩雑でもあった。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決して、アメーバごとに、かつ、注文ごとに、あるいは顧客ごとに、その収支を算出することができるシステムを提供することを目的とする。
【0011】
さらに、この発明は、上記のような問題点を解決して、収支状況の把握と生産実績の把握を行うことができ、データ入力が簡素であるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)(2)この発明に係る経営管理装置は、社内を複数の社内組織に分割し、各社内組織ごとの収支を算出することのできる経営管理装置であって、社内組織の一つである営業単位が受注したオーダーの数量、金額、客先を受けて、オーダー符号を付して記録するオーダー記録手段と、社内組織である下流の製造単位によって処理され、上流の社内組織に渡された中間品の数量、引渡金額をオーダー符号とともに記録する実績記録手段と、各社内組織ごとに、当該社内組織によって処理され他の社内組織に渡された中間品の引渡金額である社内売金額、他の社内組織から当該社内組織に渡された中間品の引渡金額である社内買金額に基づいて、社内組織ごとの収支を算出する社内組織収支算出手段とを備えた経営管理装置において、前記社内組織収支算出手段は、客先ごとまたはオーダーごとに、各社内組織の収支を算出することを特徴としている。
【0013】
したがって、簡易なデータ入力で、客先ごとまたはオーダーごとの収支状況の把握を行うことの可能な装置を提供することができる。
【0014】
(3)この発明に係る経営管理装置は、社内組織の一つである仕入単位によって仕入れられた仕入品の数量、仕入金額を前記オーダー符号に対応づけて記録する仕入記録手段をさらに備えることを特徴としている。
【0015】
したがって、外部から仕入れた仕入品も考慮した収支状況の把握を行うことができる。
【0016】
(4)(5)この発明に係る経営管理装置は、社内を複数の社内組織に分割し、各社内組織ごとの収支、製造実績を算出することのできる経営管理装置であって、社内組織の一つである営業単位が受注したオーダーの数量、金額、客先、納期を受けて、オーダー符号を付して記録するオーダー記録手段と、前記オーダー符号の付されたオーダーに対応して、社内組織である上流の製造単位が下流の製造単位に社内発注した数量、社内金額、社内納期を当該オーダー符号に対応づけて記録する社内発注記録手段と、社内組織である下流の製造単位によって処理され、上流の社内組織に渡された中間品の数量、引渡金額をオーダー符号とともに記録する実績記録手段と、各社内組織ごとに、当該社内組織によって処理され他の社内組織に渡された中間品の引渡金額である社内売金額、他の社内組織から当該社内組織に渡された中間品の引渡金額である社内買金額に基づいて、社内組織ごとの収支を算出する社内組織収支算出手段と、各社内組織ごとに、当該社内組織によって処理された各社内発注に対応する中間品の数量に基づいて、生産の進捗度合いを算出する進捗算出手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
したがって、データ入力が簡易でありながら、収支状況の把握と生産実績の把握の可能な装置を実現することができる。
【0018】
「オーダー記録手段」は、実施形態においては、ステップS9、S12がこれに対応する。
【0019】
「実績記録手段」は、実施形態においては、ステップS15がこれに対応する。
【0020】
「進捗算出手段」は、実施形態においては、ステップS65がこれに対応する。
【0021】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の一実施形態による経営管理装置の機能ブロック図である。
図2】経営管理装置をサーバ装置Sとした場合のシステム図である。
図3】サーバ装置Sのハードウエア構成である。
図4】セラミック包丁の製造工程を示す図である。
図5】経営管理プログラムのフローチャートである。
図6】経営管理プログラムのフローチャートである。
図7】経営管理プログラムのフローチャートである。
図8】部門コードテーブルである。
図9】入力画面例である。
図10】オーダーデータの例である。
図11】入力画面例である。
図12】社内注文データの例である。
図13】入力画面例である。
図14】実績データの例である。
図15】経営管理プログラムのフローチャートである。
図16】抽出データの例である。
図17】研磨部門の収支データ例である。
図18】経営管理プログラムのフローチャートである。
図19】研磨部門の計画データ例である。
図20】進捗データ例である。
図21】他の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.システムの概要
図1に、この発明の一実施形態による経営管理装置の機能ブロック図を示す。オーダー記録手段2は、社内組織の一つである営業単位が受注したオーダーの受注数量、単価、客先、納期にオーダー符号を付して記録部6に記録する。実績記録手段4は、社内組織である各製造単位によって処理され、他の社内組織に渡された中間品の数量、売金額を記録部6に記録する。この際、実績記録手段4は、処理を行った中間品の数量、社内売金額が、前記受注されたいずれのオーダーに対応するかを明らかにするため、オーダー符号に関連づけて記録するようにしている。
【0024】
社内組織収支算出手段8は、各社内組織ごとに、当該社内組織によって処理され他の社内組織に渡された中間品の社内売金額、他の社内組織から当該社内組織に渡された中間品の社内買金額などに基づいて、社内組織の収支を算出する。また、社内組織収支算出手段8は、社内組織ごとの収支を算出する際に、オーダー符号に基づいて、オーダーごとの収支を算出するようにしている。あるいは、客先に基づいて、客先ごとの収支を算出するようにしている。
【0025】
以上のように、この実施形態における経営管理装置においては、注文ごとにオーダー符号を付して各注文を特定するとともに、各社内組織における社内売買においても対応するオーダー符号を特定するようにしている。これにより、社内組織ごとの収支を算出するだけでなく、社内組織ごとオーダーごと、あるいは社内組織ごと客先ごとの収支も算出することができる。
【0026】
2.ハードウエア構成
図2に、図1の経営管理装置をサーバ装置Sとして構築した経営管理システムの構成を示す。サーバ装置Sには、端末装置T1、T2・・・Tnがネットワークを介して接続されている。これら端末装置T1、T2・・・Tnは、それぞれの社内組織に配置される。
【0027】
図3にサーバ装置Sのハードウエア構成を示す。CPU10には、メモリ12、ディスプレイ14、ハードディスク16、DVD−ROMドライブ18、キーボード/マウス26、通信回路28が接続されている。ハードディスク16には、オペレーティングシステム20、経営管理プログラム22が記録されている。経営管理プログラム22は、オペレーティングシステム20と協働してその機能を発揮するものである。また、オペレーティングシステム20、経営管理プログラム22は、ともに、DVD−ROM24に記録されていたものを、DVD−ROMドライブ18を介してハードディスク16にインストールしたものである。通信回路28は、ネットワークに接続するためのものである。
【0028】
端末装置T1、T2・・・Tnのハードウエア構成は、サーバ装置Sと同様である。ただし、ハードディスク16には、経営管理プログラム22でなく、ブラウザプログラムが記録されている点が異なる。
【0029】
3.経営管理プログラムの処理
(1)概要
図4に、セラミック包丁を製造販売している企業における社内組織の例を示す。営業部門42によって、顧客からの注文が獲得される。仕入部門30は、材料(たとえばセラミック粉末や柄材料)を社外から購入する。成型部門32は、仕入部門30からセラミック粉末の納品を受け、包丁の刃の形となるように成型し、成型セラミックに加工する。成型セラミックは、焼成部門34に社内売される。成型セラミックを社内買した焼成部門34は、これを焼成し、焼成セラミックに加工する。焼成セラミックは、研磨部門36に社内売される。焼成セラミックを社内買した研磨部門36は、これを研磨し、研磨セラミックに加工する。
【0030】
一方、柄加工部門38は、仕入部門30から柄材料を社内購入し、柄としての加工を行う。完成した柄は、組立部門40に社内売される。
【0031】
組立部門40は、研磨部門36から社内買した研磨セラミックと、柄加工部門38から社内買した柄とを組み立てることにより、包丁を完成させる。完成した包丁は、営業部門42を通じて顧客納品される。組立部門40から包丁を社内買した営業部門42は、これを顧客に納品する。
【0032】
(2)オーダーデータ、社内注文データ、実績データの記録
図5図7に、経営管理プログラム22のデータ入力処理部分のフローチャートを示す。まず、営業部門42が顧客から注文を獲得した場合のオーダーデータの入力について説明する。
【0033】
ユーザは、営業部門42の端末装置Tiから、データ入力を行う旨を示してサーバ装置Sにアクセスする。これを受けて、サーバ装置SのCPU10は、部門コード入力画面を端末装置Tiに送信する(ステップS1)。営業部門42のユーザは、端末装置Tiから、部門コードを入力し送信する。
【0034】
サーバ装置Sのハードディスク16には、図8に示すような部門コードテーブルが記録されている。なお、この実施形態では、複数の営業部門42(西日本営業課と東日本営業課)が設けられている。たとえば、西日本営業課であれば、部門コードはS0002である。したがって、ここでは、部門コードS0002が入力され送信されることになる。サーバ装置SのCPU10は、この部門コードを受信する(ステップS2)。
【0035】
次に、サーバ装置SのCPU10は、端末装置Tiに対し、入力データ種類選択画面を送信する(ステップS3)。西日本営業課のユーザは、端末装置Tiから、入力データの種類を入力し送信する。このシステムでは、オーダーデータ、社内注文データ、実績データがあるので、いずれかを選択して送信する。ここでは、オーダーデータの入力が選択される。サーバ装置SのCPU10は、この入力データの種類を受信する(ステップS4)。
【0036】
次に、CPU10は、入力データの種類が実績データであるかどうかを判断する(ステップS5)。ここでは、オーダーデータの入力であるから、ステップS6に進む。ステップS6では、入力データの種類が社内注文データであるかどうかを判断する。ここでは、オーダーデータの入力であるから、ステップS7に進む。
【0037】
ステップS7において、CPU10は、オーダーデータ入力画面を、端末装置Tiに送信する。図9に、オーダーデータ入力画面を示す。端末装置Tiのユーザは、このオーダーデータ入力画面を参照しながら、オーダーデータを入力し送信する。オーダーデータには、入力者コード、入力者、受注年月日、製造オーダーNo.、取引先コード、取引先名、受注No.、品名、営業部門コード、営業部門名、製造部門コード、製造部門名、受注数、単価、金額、納期、納品数の項目が含まれている。
【0038】
営業部門コードを入力すると、ハードディスク16に記録されている対応表によって営業部門名が自動的に表示される。
【0039】
取引先コード、取引先名は、顧客を特定するための項目である。入力は、営業部門コード、営業部門名と同じようにして入力される。入力者コード、入力者は、入力者を特定するための項目である。入力は、営業部門コード、営業部門名と同じようにして入力される。
【0040】
製造部門コード、製造部門名は、受注した注文品の製造オーダーを発行する先(発注先)の製造部門を特定するための項目である。入力は、営業部門コード、営業部門名と同じようにして入力される。この実施形態では、営業部門が受注を入力する画面において、同時に、社内の製造部門(発注先)に対する製造オーダーを入力するようにしている。この実施形態では、組立部門40(組立課)に対する製造オーダーとなっている。
【0041】
受注数、単価、金額は、それぞれ、受注した数量、単価、金額である。この実施形態では、顧客に対する納期が、そのまま社内の製造部門(発注先)に対する納期ともなっている。
【0042】
なお、受注No.、製造オーダーNo.は、CPU10によって自動的に生成される。受注No.は受注を特定する符号であり、製造オーダーNo.は製造部門(発注先)への発注を特定する符号である。
【0043】
サーバ装置SのCPU10は、オーダーデータを受信する(ステップS8)。さらに、CPU10は、このオーダーデータをハードディスク16に記録する(ステップS9)。図10に、記録されたオーダーデータの例を示す。以上のようにして、営業部門の受注と社内の製造部門への製造オーダーが記録される。なお、図10から明らかなように、受注No.と製造オーダーNo.は、関連づけられている。
【0044】
次に、組立部門40(組立課)が上記のオーダーに基づいて、前工程である研磨部門36(研磨課)に社内注文を行う場合の処理を説明する。ここでは、組立部門40が発注元、研磨部門が発注先となる。
【0045】
ユーザは、組立部門40の端末装置Tiから、サーバ装置Sにアクセスする。ここで、端末装置Tiは、各部門や入力者毎に設けられており、iは部門や入力者によって異なる番号となり得るものである。サーバ装置SのCPU10は、これを受けて、部門コード入力画面を組立部門40の端末装置Tiに送信する(ステップS1)。組立部門40のユーザは、端末装置Tiから部門コードを入力して送信する。サーバ装置SのCPU10は、部門コードを受信する(ステップS2)。ここでは、部門コードP0005が入力され、送信されることになる。サーバ装置SのCPU10は、この部門コードを受信する(ステップS2)。
【0046】
次に、サーバ装置SのCPU10は、端末装置Tiに対し、入力データ種類選択画面を送信する(ステップS3)。組立部門40のユーザは、端末装置Tiから、入力データの種類を入力し送信する。この際、ユーザは、端末装置Tiから処理対象とする製造オーダーNo.を併せて入力し送信する。
【0047】
ここでは、社内注文の入力であるから、社内注文データが選択される。サーバ装置SのCPU10は、この入力データの種類を受信する(ステップS4)。
【0048】
次に、CPU10は、入力データの種類が実績データであるかどうかを判断する(ステップS5)。ここでは、社内注文データの入力であるから、ステップS6に進む。ステップS6では、入力データの種類が社内注文データであるかどうかを判断する。ここでは、社内注文データの入力であるから、ステップS10に進む。
【0049】
ステップS10において、CPU10は、送信されてきた製造オーダーNo.に対応する注文データ入力画面を、端末装置Tiに送信する。図11に、社内注文データ入力画面を示す。端末装置Tiのユーザは、この社内注文データ入力画面を参照しながら、社内注文データを入力し送信する。社内注文データには、品名、発注数、発注先の製造部門を示す製造部門コード、納期などの項目が含まれている。
【0050】
この実施形態では、営業部門または後工程からの製造オーダーNo.(受注分)が入力されると、社内の発注先(前工程)への製造オーダーを発行することができるようになっている。製造オーダーNo.(発注分)は、受注分の製造オーダーNo.とは別の符号が自動的に付与され、2つの製造オーダーNo.は、互いに関連づけられる。
【0051】
このように社内発注ごとに異なる製造オーダーNo.を付すのは、次のような場合に管理が容易だからである。たとえば、営業部門42が受注した注文(受注No.Aとする)に基づいて組立部門40に社内発注(製造オーダーNo.Bとする)がなされたとする。さらに、営業部門42が受注した他の注文(受注No.Cとする)に基づいて組立部門40に社内発注(製造オーダーNo.Dとする)がなされたとする。このとき、組立部門40がこの製造オーダーNo.CとDに基づく社内受注を、1つにまとめて研磨部門に社内発注する場合、製造オーダーNo.C、Dとは異なる製造オーダーNo.Eを採番する意味がある。この際、製造オーダーNo.Eは、製造オーダーNo.C、Dと関連づけられる。
【0052】
サーバ装置SのCPU10は、社内注文データを受信する(ステップS11)。さらに、CPU10は、この社内注文データをハードディスク16に記録する(ステップS12)。図12に、記録された社内注文データの例を示す。以上のようにして、社内注文データが記録される。
【0053】
なお、焼成部門34、成型部門32、柄加工部門38も同様に社内注文データを入力して登録する。これにより、たとえば、図12に示すようなデータが記録されることになる。
【0054】
この実施形態では、各部門が前工程の部門に対して社内注文を行い社内納期を決定する。各部門は、この社内納期に基づいて製造計画を立て、サーバ装置Sに記録する。
【0055】
(3)実績データの記録
次に、各部門が処理実績を入力する場合について説明する。まず、図12の社内注文データ(2行目)に基づいて、研磨部門36(研磨課)が研磨済セラミックを製造した場合の実績入力について説明する。
【0056】
ユーザは、研磨部門36の端末装置Tiから、サーバ装置Sにアクセスする。これを受けて、サーバ装置SのCPU10は、部門コード入力画面を端末装置Tiに送信する(ステップS1)。研磨部門36のユーザは、端末装置Tiから、部門コードを入力し送信する。ここでは、研磨部門36の部門コードP0003が送信される。サーバ装置SのCPU10は、これを受信する(ステップS2)。
【0057】
次に、サーバ装置SのCPU10は、端末装置Tiに対し、入力データ種類選択画面を送信する(ステップS3)。研磨部門36のユーザは、端末装置Tiから、入力データの種類および製造オーダーNo.を入力し送信する。ここでは、実績データの入力が選択される。サーバ装置SのCPU10は、この入力データの種類を受信する(ステップS4)。
【0058】
サーバ装置SのCPU10は、実績データの入力かどうかを判断する(ステップS5)。ここでは、実績データの入力であるから、ステップS13に進む。ステップS13において、CPU10は、入力された製造オーダーNo.に対応する実績データ入力画面を、端末装置Tiに送信する。図13に、実績データ入力画面を示す。この実施形態では、実績データ入力画面においては、社内注文データ入力画面に、製造数と納品日の入力欄が追加された画面を表示する。
【0059】
端末装置Tiのユーザは、この実績データ入力画面を参照しながら、当該社内注文データに対応する実績(製造数、納品日)を入力し送信する。
【0060】
サーバ装置SのCPU10は、実績データを受信する(ステップS14)。さらに、CPU10は、この実績データをハードディスク16に記録する(ステップS15)。図14に、実績データの例を示す。この実施形態では、図12の社内注文データに対し、製造数、納品日などの実績データが追加して記録される。
【0061】
上記と同様にして、成型部門32、焼成部門34、柄加工部門38、組立部門40は、それぞれの端末装置Tiから実績データの入力を行う。その結果、図14に示すような実績データがハードディスク16に記録される。
【0062】
(3)部門ごとの収支算出
次に、部門ごとの収支算出処理について説明する。図15に、経営管理プログラム22の収支算出部分のフローチャートを示す。ここでは、たとえば、研磨部門36の収支を算出する処理について説明する。
【0063】
ユーザは、研磨部門36の端末装置Tiから、収支計算を行う旨を示してサーバ装置Sにアクセスする。これを受けて、サーバ装置SのCPU10は、部門コード入力画面を端末装置Tiに送信する(ステップS51)。研磨部門36のユーザは、端末装置Tiから、部門コードを入力し送信する。ここでは、部門コードP0003が入力され送信されることになる。サーバ装置SのCPU10は、この部門コードを受信する(ステップS52)。
【0064】
サーバ装置SのCPU10は、当該部門の実績データに基づいて収支を算出する(ステップS53)。まず、CPU10は、実績データの内から、発注先または発注元が、研磨部門(部門コードP0003)であるものを抽出する。
【0065】
抽出したデータの例を図16に示す。CPU10は、研磨部門36(部門コードP0003)が発注先として記載されているデータ(当該部門から社内売を行ったデータ)に基づいて、当該部門の収入を算出する。具体的には、当該データについて、製造数に社内売単価を乗じて、これらを合計する。さらに、研磨部門36(部門コードP0003)が発注元として記載されているデータ(当該部門が社内買を行ったデータ)に基づいて、当該部門の支出を算出する。具体的には、当該データについて、製造数に社内売単価を乗じて、これらを合計する。また、各部門に人数割りで配分される電気代などを割当支出として算出する。
【0066】
以上のようにして、対象部門(ここでは研磨部門)における収入から支出を減じて、当該部門における収支を算出する。これによって、部門ごとの収支を算出することができる。
【0067】
次に、CPU10は、オーダー収支の算出を行う(ステップS54)。つまり、研磨部門全体としての収支ではなく、研磨部門でのオーダーごとの収支を算出する。まず、図16の研磨部門の抽出データを、オーダー符号ごとに集計する。まず、同一のオーダー符号が付されたデータに基づいて、研磨部門36(部門コードP0003)が発注先として記載されているデータ(当該部門から社内売を行ったデータ)を集計し、当該オーダーの収入を算出する。さらに、同一のオーダー符号が付されたデータに基づいて、研磨部門36(部門コードP0003)が発注元として記載されているデータ(当該部門が社内買を行ったデータ)を集計し、当該オーダーの支出を算出する。
【0068】
さらに、研磨部門の割当支出を、図16の抽出データ全体の注文に対する当該オーダーの比率にて割り当てて、オーダー割当支出を算出する。この比率は具体的には、注文数量、金額、作業時間などに基づいて定めることができる。以上のようにして、対象部門(ここでは研磨部門)の各オーダーにおける収入からオーダーの支出と割当支出を減じて、当該部門の各オーダーごとの収支を算出する。これによって、部門ごとオーダーごとの収支を算出することができる。
【0069】
次に、CPU10は、顧客収支の算出を行う(ステップS55)。つまり、研磨部門全体としての収支ではなく、研磨部門での顧客ごとの収支を算出する。まず、図16の研磨部門の抽出データを、顧客ごとに集計する。
【0070】
研磨部門36(部門コードP0003)が発注先として記載されているデータ(当該部門から社内売を行ったデータ)を抽出し、その中から同一顧客のオーダーに対応するものをさらに抽出して金額を合計することで、当該顧客からの収入を算出する。また、研磨部門36(部門コードP0003)が発注元として記載されているデータ(当該部門から社内買を行ったデータ)を抽出し、その中から同一顧客のオーダーに対応するものをさらに抽出して金額を合計することで、当該顧客からの注文に関連する社内買の費用を算出する。
【0071】
なお、同一顧客のオーダーに対応するものを抽出するには、社内売買の製造オーダーNo.をキーに発注先から発注元に遡り、最後の営業部門の受注No.にたどり着くことで、図10に示すオーダーデータ中で共通の取引先コードを持つことを確認すればよい。
【0072】
さらに、研磨部門の割当支出を、図16の抽出データ全体の注文数量に対する当該顧客の注文数量の比率にて割り当てて、顧客割当支出を算出する。以上のようにして、対象部門(ここでは研磨部門)の顧客ごとの収入から支出を減じて、当該部門の顧客ごとの収支を算出する。これによって、部門ごと顧客ごとの収支を算出することができる。これにより、各部門は、いずれの顧客の業務を優先するかなどの判断を行うことができる。
【0073】
アメーバ経営(商標)においては、各アメーバが最小の経営単位としてそれぞれに売上を向上させ、経費を節減する手段を講じる。その判断の元になる情報として、アメーバの収支合計だけではなく、上記のような、オーダー別、顧客別の収支の情報が入手できると、それらを用いて社内売買や原材料の仕入れの価格交渉を行うなどの種々の対応の効果を予測しつつ経営することができるようになる。
【0074】
CPU10は、上記のようにして算出した収支データを、端末装置Tiに送信する(ステップS56)。図17に、研磨部門における収支データの例を示す。
【0075】
(4)部門ごとの生産進捗確認
次に、部門ごとの生産進捗確認処理について説明する。図18に、経営管理プログラム22の生産進捗確認部分のフローチャートを示す。ここでは、たとえば、研磨部門36の生産進捗を確認する処理について説明する。
【0076】
ユーザは、研磨部門36の端末装置Tiから、生産進捗確認を行う旨を示してサーバ装置Sにアクセスする。これを受けて、サーバ装置SのCPU10は、部門コード入力画面を端末装置Tiに送信する(ステップS61)。研磨部門36のユーザは、端末装置Tiから、部門コードを入力し送信する。ここでは、部門コードP0003が入力され送信されることになる。サーバ装置SのCPU10は、この部門コードを受信する(ステップS62)。
【0077】
CPU10は、研磨部門36の計画データをハードディスク16から取得する(ステップS63)。この計画データは、各部門が、社内注文データに示された社内納期に基づいて、生産の計画を立てたものである。図19に、研磨部門の計画データを示す。オーダーに対応づけて、各日の生産予定数、社内納期が示されている。たとえば、製造オーダーNo.「KA3803017」の200個、「KA3803019」の300個は、1月25日に生産する計画であることが分かる。
【0078】
次に、CPU10は、研磨部門36の前記計画データに対応する実績データを取得する(ステップS64)。対応する実績データは、オーダー符号に基づいて取得することができる。
【0079】
続いて、CPU10は、計画データと実績データを対応づけて進捗データを生成し、端末装置Tiに送信する(ステップS65)。生成された進捗データの例を、図20に示す。端末装置Tiのユーザは、この進捗データを受けて、計画どおり生産が進んでいるかどうかを確認することができる。たとえば、図20においては、1月26日に生産予定であったオーダー符号「KA3920156」の研磨セラミックについて、300個の予定が255個であったことが分かる。
【0080】
この実施形態では、オーダー符号によってオーダーデータ、社内注文データと実績データを対応づけている。したがって、別途システムを準備しなくとも、各部門ごとの収支だけでなく、計画に対する進捗状況を生成することができる。
【0081】
4.その他の実施形態
(1)上記実施形態においては、図4に示すような工程にて完成する1つの製品を例として説明した。しかし、各部門が複数の商品を処理する場合にも適用することができる。また、図21に示すように、同じ処理を行う工程(研磨部門1、研磨部門2)がある場合にも適用することができる。この場合に、研磨部門1と研磨部門2とで、社内売の価格が違う場合にも適用することができる。
【0082】
(2)上記実施形態では、収支の算出だけでなく進捗の管理も行うようにしている。しかし、いずれか一方だけを行うようにしてもよい。
【0083】
(3)上記実施形態では、経営管理装置をサーバ装置Sとして構築し、端末装置からアクセスできるようにしている。しかし、スタンドアローン(1台のPC)として構築してもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、受注No.と各部門における製造オーダーNo.とを関連づけて記録するようにしている。しかし、全ての部門において、受注No.を用いるようにしてもよい。
【0085】
(5)なお、上記実施形態においては、顧客からのオーダーに対して、まとめて納品を行うようにしている。しかし、複数回に分けて分納するようにしてもよい。たとえば、図9において、納期を、2013年2月10日に500個、2013年3月28日に900個、2013年4月11日に100個というように設定するようにしてもよい。同様に、製造オーダーに対しても、上記と同様にして分納するようにしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21