(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タッチパネル部は、前記所定領域を前記第2方向に沿って分割するようにタッチ位置をスライドさせるタッチ操作を前記領域分割操作として受け付けることを特徴とする請求項1または2に記載の表示入力装置。
前記表示部は、前記所定領域を予め定められた区切り位置で区切り、前記区切り位置を前記第2方向に通過する線に沿って前記所定領域を分割するような前記領域分割操作が行われた場合に前記入力数値とされる数値を目盛として表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示入力装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、コピージョブ、プリントジョブおよび送信ジョブなど複数種のジョブの実行が可能な複合機を例にとって説明する。
【0013】
<複合機の全体構成>
図1に示すように、複合機100(本発明の「画像形成装置」に相当)は、画像読取部1および印刷部2を備える。画像読取部1は、原稿を読み取って画像データを生成する。たとえば、画像読取部1の読み取りによって得られた画像データは、外部機器に送信することができる(送信ジョブ)。
【0014】
印刷部2は、画像データに基づく画像を用紙Pに印刷して出力する。たとえば、印刷部2は、画像読取部1による原稿の読み取りによって得られた画像データに基づく画像を用紙Pに印刷して出力する(コピージョブ)。あるいは、印刷部2は、外部機器から送信される画像データに基づく画像を用紙Pに印刷して出力する(プリントジョブ)。
【0015】
印刷部2は、給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5および定着部6で構成される。給紙部3は、ピックアップローラー31および給紙ローラー対32を含み、用紙カセット33に収容された用紙Pを用紙搬送路20に供給する。用紙搬送部4は、複数の搬送ローラー対41を含み、用紙搬送路20に沿って用紙Pを搬送し、印刷済みの用紙Pを排出トレイ42に排出する。
【0016】
画像形成部5は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55およびクリーニング装置56を含む。そして、画像形成部5は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。定着部6は、加熱ローラー61および加圧ローラー62を含み、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧して定着させる。
【0017】
また、複合機100は、
図2に示すような操作パネル8を備える。操作パネル8は、複合機100の正面側(たとえば、
図1の破線で示された箇所)に配置される。なお、操作パネル8は、本発明の「表示入力装置」に相当する。
【0018】
操作パネル8には、操作表示部81が設けられる。操作表示部81は、表示部82およびタッチパネル部83を含む。表示部82は、液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどの表示パネルである。タッチパネル部83は、複数のタッチ位置を同時に検知可能なマルチタッチパネルであり、表示部82の表示面を覆うように配置される。そして、操作表示部81は、各種設定を受け付けるためのボタン(ソフトウェアキー)やメッセージなどを表示部82に表示し、タッチパネル部83を介して各種設定を受け付ける。なお、操作パネル8には、スタートキー、ストップキー、リセットキーおよびテンキーなど種々のハードキー84も設けられる。
【0019】
<複合機のハードウェア構成>
図3に示すように、複合機100は、主制御部110を備える。主制御部110は、メインCPU111、画像処理部112および記憶部113を含む。画像処理部112は、画像処理専用のASICなどからなり、画像データに対して画像処理(拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換など)を施す。記憶部113は、ROMおよびRAMなどからなり、制御用のプログラムおよびデータを記憶する。そして、主制御部110は、記憶部113に記憶されたプログラムおよびデータに基づき、複合機100の各部の動作を制御する。
【0020】
具体的には、主制御部110は、画像読取部1および印刷部2(給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5および定着部6)と接続される。そして、主制御部110は、画像読取部1の読取動作を制御するとともに、印刷部2の印刷動作を制御する。
【0021】
また、主制御部110は、パネル制御部120と接続される。パネル制御部120は、CPU121および記憶部122を含み、主制御部110から指示を受け、操作パネル8の表示動作を制御したり、操作パネル8に対して行われた操作を検知したりする。たとえば、パネル制御部120は、表示部82にボタン(ソフトウェアキー)を表示させ、そのボタンに対してタッチ操作が行われると、タッチパネル部83の出力に基づきタッチ操作を受けたボタンを検知する。また、パネル制御部120は、ハードキー84を押下する押下操作が行われると、ハードキー84の押下によりオンオフが切り替わるスイッチの出力に基づき押下操作を受けたハードキー84を検知する。
【0022】
また、主制御部110は、通信部130と接続される。通信部130は、外部機器(コンピューター200やファクシミリ300)と通信可能に接続される。そして、通信部130は、主制御部110から指示を受け、外部機器との間で画像データなどの送受信を行う。
【0023】
<数値入力画面での数値入力>
(数値増減ボタンを用いた数値入力)
操作パネル8は、必要に応じて、ユーザーから数値入力を受け付ける。たとえば、コピー倍率を任意の倍率(定形倍率以外の倍率)に設定するときや、原稿読取サイズを任意のサイズ(定型サイズ以外のサイズ)に設定するときには、コピー倍率や原稿読取サイズを数値入力する必要がある。また、外部機器から送信される画像データの最大保持件数を設定するときには、最大保持件数を数値入力する必要がある。また、アドレス帳に登録する宛先に割り当てる識別番号を設定するときには、識別番号を数値入力する必要がる。さらに、複合機100に省電力モード(スリープモード)が搭載される場合には、省電力モードが働くまでの時間を設定するときに数値入力が必要となる。なお、ここで述べた数値入力の必要な設定項目は一例であり、数値入力の必要な設定項目は他にも多数ある。
【0024】
数値入力を受け付けるとき、パネル制御部120は、
図4に示すような数値入力画面90を表示部82に表示させる。そして、パネル制御部120は、数値入力の受け付けをタッチパネル部83に行わせる。なお、
図4に示す数値入力画面90は一例であり、画面のレイアウトなどは変更可能である。
【0025】
数値入力画面90は、ユーザーが入力した数値(以下、入力数値と称する)を表示するための数値表示領域91を含む。この数値表示領域91は、装置正面側から見て左右方向に長い略矩形状とされる。なお、数値表示領域91は、本発明の「所定領域」に相当する。また、数値表示領域91の長手方向(左右方向)は本発明の「第1方向」に相当し、数値表示領域91の長手方向と直交する方向である短手方向は本発明の「第2方向」に相当する。以下の説明では、数値表示領域91の長手方向(第1方向)をX方向と称し、数値表示領域91の短手方向(第2方向)をY方向と称する。
【0026】
また、数値入力画面90には、プラスボタンB1およびマイナスボタンB2を含む数値増減ボタンNBが配される。そして、パネル制御部120は、タッチパネル部83の出力に基づき、数値増減ボタンNBに対するタップ操作(指で叩くようなタッチ操作)を検知する。
【0027】
パネル制御部120は、プラスボタンB1に対してタップ操作が1回行われると、現在表示中の入力数値に「1」を加算した数値を新たな入力数値として表示部82に表示させ、マイナスボタンB2に対してタップ操作が1回行われると、現在表示中の入力数値から「1」を減算した数値を新たな入力数値として表示部82に表示させる。
【0028】
(数値増減ボタンを用いない数値入力)
パネル制御部120は、表示部82が数値入力画面90を表示しているとき、タッチパネル部83に対して領域分割操作が行われたか否かを検知する。なお、領域分割操作というのは、数値表示領域91をY方向に沿って分割するタッチ操作として予め定められたものである。たとえば、タッチパネル部83は、
図5に示すように、数値表示領域91をY方向に沿って分割するようにタッチ位置をスライドさせるタッチ操作(スライド操作などと称される操作)を領域分割操作として受け付ける。そして、パネル制御部120は、タッチパネル部83に対する領域分割操作を検知すると、領域分割操作により分割された数値表示領域91の分割比率を求める。
【0029】
このとき、パネル制御部120は、
図6に示すように、領域分割操作により分割された数値表示領域91の分割線DLを識別する。この分割線DLというのは、Y方向に沿った線であり、領域分割操作時のタッチ位置のスライド方向に略一致する線である。なお、
図7に示すように、領域分割操作時のタッチ位置のスライド方向(
図7中の白抜矢印方向)がY方向に対してずれる場合がある。このため、たとえば、パネル制御部120は、数値表示領域91の上下辺間においてX方向に沿って延びる中間線MLを予め設定し、領域分割操作時のタッチ位置のスライド方向に沿った線と中間線MLとの交点をY方向に通過する線を分割線DLとして識別する。あるいは、領域分割操作時のタッチ位置のスライド方向に沿った線と数値表示領域91の上辺または下辺との交点をY方向に通過する線を分割線DLとしてもよい。
【0030】
図6に戻って、パネル制御部120は、数値表示領域91の分割比率を求めるとき、数値表示領域91の予め定められた位置をY方向に通過する線(Y方向に沿って延びる線)を第1基準線L1に設定し、数値表示領域91の第1基準線L1とX方向に対向する端辺(Y方向に沿って延びる辺)を第2基準線L2に設定する。このとき、数値入力画面90での数値入力範囲が正値から負値に跨らなければ、パネル制御部120は、数値表示領域91のX方向に対向する両端辺(Y方向に沿って延びる両端辺)のうち、一方側(右側)の端辺を第1基準線L1とし、他方側(左側)の端辺を第2基準線L2とする。そして、パネル制御部120は、第1基準線L1から第2基準線L2までの距離D1と第1基準線L1から分割線DLまでの距離D2との比率を数値表示領域91の分割比率として求める。ここで求められる数値表示領域91の分割比率は本発明の「入力数値算出用の比率」に相当し、以下の説明では入力数値算出用の比率と称する。
【0031】
パネル制御部120は、入力数値算出用の比率を求めると、入力数値算出用の比率に基づき入力数値を算出する。具体的には、パネル制御部120は、数値入力画面90での数値入力範囲の最大値または最小値に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。そして、パネル制御部120は、求めた入力数値を表示部82に表示させる。
【0032】
ここで、パネル制御部120は、数値入力画面90での入力範囲内の数値が正値だけの場合、数値入力範囲の最大値に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。一例として、
図8に示すように、数値入力範囲が「1」〜「100」である数値入力画面90において、距離D1に対する距離D2の比率が0.62となるように領域分割操作が行われたとする。この場合、数値入力範囲の最大値が「100」であるので、パネル制御部120により求められる入力数値は「62(=100×0.62)」となる。これにより、表示部82は、入力数値として「62」を表示する。
【0033】
また、パネル制御部120は、数値入力画面90での入力範囲内の数値が負値だけの場合、数値入力範囲の最小値に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。一例として、図示しないが、数値入力範囲が「−1」〜「−100」である数値入力画面90において、距離D1に対する距離D2の比率が「0.62」となるように領域分割操作が行われたとする。この場合、数値入力範囲の最小値が「−100」であるので、パネル制御部120により求められる入力数値は「−62(=−100×0.62)」となる。なお、数値入力画面90での入力範囲内の数値が負値だけの場合には、数値表示領域91のX方向に対向する両端辺(Y方向に沿って延びる両端辺)のうち、一方側(右側)の端辺を第2基準線L2とし、他方側(左側)の端辺を第1基準線L1としてもよい(数値入力画面90での数値入力範囲内の数値が正値だけの場合に対して逆にしてもよい)。
【0034】
さらに、場合によっては、数値入力画面90での数値入力範囲が正値から負値に跨ることがある。この場合、パネル制御部120は、数値表示領域91のX方向に対向する両端辺間の位置をY方向に通過する線を第1基準線L1に設定する。そして、パネル制御部120は、数値表示領域91のうち第1基準線L1に対して第1方向の一方側で領域分割操作が行われていれば、数値表示領域91の一方側の端辺を第2基準線L2として入力数値算出用の比率を求め、数値入力画面90での数値入力範囲の最大の正値に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。一方で、パネル制御部120は、数値表示領域91のうち一方側とは反対の他方側で領域分割操作が行われていれば、数値表示領域91の他方側の端辺を第2基準線L2として入力数値算出用の比率を求め、数値入力画面90での数値入力範囲の最小の負値に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。
【0035】
一例として、
図9に示すように、数値入力画面90での数値入力範囲が「−50」〜「50」であったとする。この場合、パネル制御部120は、たとえば、数値表示領域91のX方向に対向する両端辺間の中間位置をY方向に通過する線を第1基準線L1に設定する。そして、パネル制御部120は、数値表示領域91のうち第1基準線L1に対して一方側(左側)で領域分割操作が行われた場合、数値表示領域91の一方側の端辺を第2基準線L2として入力数値算出用の比率を求め、数値入力画面90での数値入力範囲の最大の正値「50」に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。一方で、パネル制御部120は、数値表示領域91のうち第1基準線L1に対して他方側(右側)で領域分割操作が行われた場合、数値表示領域91の他方側の端辺を第2基準線L2として入力数値算出用の比率を求め、数値入力画面90での数値入力範囲の最小の負値「−50」に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。
【0036】
ところで、たとえば、数値入力範囲が「1」〜「100」である数値入力画面90(
図4〜
図8参照)において、数値表示領域91の第2基準線L2とされる端辺に沿ってタッチ位置をスライドさせるタッチ操作を領域分割操作として行うと、第2基準線L2と分割線DLとが重なる。すなわち、距離D1と距離D2との比率である入力数値算出用の比率が「1」となる。したがって、数値表示領域91の第2基準線L2とされる端辺に沿ってタッチ位置をスライドさせることにより、最大値「100(=100×1)」を入力することができる。
【0037】
なお、数値入力範囲が「1」〜「100」である数値入力画面90において、数値表示領域91の第1基準線L1とされる端辺に沿ってタッチ位置をスライドさせるタッチ操作を領域分割操作として行うと、第1基準線L1と分割線DLとが重なり、パネル制御部120により求められる入力数値が数値入力範囲外の数値「0」となる。このような場合、パネル制御部120は、求めた入力数値を表示部82に表示させない。また、この場合には、数値を入力できない旨を報知したり、再操作を促す旨を報知したりしてもよい。
【0038】
(目盛の表示)
パネル制御部120は、タッチパネル部83に対して領域分割操作を行った場合にどのような数値が入力されるかの目安となる目盛92(
図4〜
図9参照)を表示部82に表示させる。たとえば、目盛92は、数値表示領域91の上下辺のうち下辺に配される。あるいは、図示しないが、数値表示領域91の上下辺のうち上辺に目盛92を配してもよい。
【0039】
表示部82は、目盛92を表示するとき、数値表示領域91を予め定められた区切り位置で区切る。そして、表示部82は、区切り位置をY方向に通過する線に沿って数値表示領域91を分割するような領域分割操作が行われた場合に入力数値とされる数値を目盛92として表示する。
【0040】
たとえば、数値入力画面90での数値入力範囲が「1」〜「100」である場合には、特に限定されないが、
図4〜
図8に示すように、数値表示領域91が等間隔に5つに区切られる(区切り位置が4箇所となる)。そして、この場合、4箇所の区切り位置にそれぞれ付される目盛92としての数値は、一方側(左側)の区切り位置から順に、「80」、「60」、「40」および「20」となる。なお、数値表示領域91の第1基準線L1とされる端辺の位置に目盛92として数値「0」を付し、数値表示領域91の第2基準線L2とされる端辺の位置に目盛92として数値「100」を付してもよい。
【0041】
ここで、数値入力範囲が正値から負値に跨る場合(数値表示領域91のX方向に対向する両端辺間の位置をY方向に通過する線が第1基準線L1とされる場合)、ユーザーからすると、どの位置を基準にして領域分割操作を行えばよいかが分からない。したがって、この場合には、
図9に示すように、少なくとも第1基準線L1の位置(領域分割操作を行ったときに入力数値が「0」となる位置)に区切り位置を設定し、その区切り位置に目盛92として数値「0」を付すのが好ましい。
図9では、一例として、第1基準線L1の位置に加えて、領域分割操作を行ったときに入力数値が「25」となる位置および「−25」となる位置をそれぞれ区切り位置とした目盛92を図示している。
【0042】
(入力数値の微調整)
パネル制御部120は、タッチパネル部83に対する領域分割操作を検知し、その領域分割操作を受けて求めた入力数値を表示部82に表示させてから、所定時間(たとえば、数秒から十数秒)が経過するまで、現在表示中の入力数値を増減(微調整)するタッチ操作として予め定められた数値増減操作の受け付けをタッチパネル部83に行わせる。たとえば、タッチパネル部83は、領域分割操作を受け付けた後、所定時間が経過するまでに再度受け付けた領域分割操作を数値増減操作として受け付ける。
【0043】
パネル制御部120は、数値増減操作の受け付けを所定時間が経過するまでタッチパネル部83に行わせるとき、
図10に示すように、数値表示領域91のX方向に対向する両端辺間の予め定められた位置をY方向に通過する線(Y方向に沿って延びる線)を第3基準線L3に設定する。たとえば、数値増減操作の受け付け時には、数値表示領域91のX方向に対応する両端辺間の中間位置をY方向に通過する線が第3基準線L3とされる。
【0044】
このとき、タッチパネル部83が数値増減操作を受け付けると(タッチパネル部83が所定時間の経過前に領域分割操作を再度受け付けると)、パネル制御部120は、数値増減操作により分割された数値表示領域91の分割線DLを識別する。以下、数値増減操作により分割された数値表示領域91の分割線DLを分割線DLAと称する。
【0045】
そして、数値表示領域91のうち第3基準線L3に対してX方向の一方側(ここでは左側とする)で数値増減操作が行われた場合、パネル制御部120は、数値表示領域91の一方側の端辺を第4基準線L4として、第3基準線L3から第4基準線L4までの距離D3と第3基準線L3から数値増減操作により分割された数値表示領域91の分割線DLAまでの距離D4との比率を数値表示領域91の分割比率として求める。ここで求められる数値表示領域91の分割比率は本発明の「増減値算出用の比率」に相当し、以下の説明では増減値算出用の比率と称する。
【0046】
その後、パネル制御部120は、増減値算出用の比率に基づき増減後の入力数値を算出する。具体的には、パネル制御部120は、所定増減値に増減値算出用の比率を乗じ、それによって得られた数値分だけ現在表示中の入力数値を増加させた数値を増減後の入力数値として求める。なお、所定増減値は、予め定められた数値であるが、数値入力画面90での数値入力範囲に応じて変更可能である(たとえば、数値入力画面90での数値入力範囲が大きいほど所定増減値を大きくしてもよい)。
【0047】
一方で、数値表示領域91のうち第3基準線L3に対してX方向の一方側とは反対の他方側(ここでは右側とする)で数値増減操作が行われた場合、パネル制御部120は、数値表示領域91の他方側の端辺を第4基準線L4として、増減値算出用の比率を求める。その後、パネル制御部120は、所定増減値に増減値算出用の比率を乗じた数値分だけ現在表示中の入力数値を減少させた数値を増減後の入力数値として求める。
【0048】
パネル制御部120は、増減後の入力数値を求めると、増減後の入力数値を表示部82に表示させる。すなわち、表示部82は、増減後の入力数値を現在表示中の入力数値に代えて新たに表示する。
【0049】
たとえば、
図11に示すように、所定増減値が「10」に設定される数値入力画面90において、既に行われた領域分割操作により入力数値として「62」が現在表示中であったとする。さらに、第3基準線L3の一方側で数値増減操作が行われ、そのときの距離D3に対する距離D4の比率が「0.3」であったとする。この場合、増減値算出用の比率は「0.3」となり、所定増減値「10」に増減値算出用の比率「0.3」を乗じた数値は「3(=10×0.3)」となるので、パネル制御部120により求められる増減後の入力数値は「65(=62+3)」となる。したがって、表示部82は、入力数値を「62」から「65」に切り替えて表示する。
【0050】
また、パネル制御部120は、数値増減操作の受け付けをタッチパネル部83に行わせるとき、タッチパネル部83に対して数値増減操作を行った場合に現在表示中の入力数値がどれだけ増減するかの目安となる目盛93(
図10〜
図11参照)を表示部82に表示させる。たとえば、目盛93は、数値表示領域91の上下辺のうち下辺に配される。あるいは、図示しないが、数値表示領域91の上下辺のうち上辺に目盛93を配してもよい。
【0051】
表示部82は、目盛93を表示するとき、数値表示領域91を予め定められた区切り位置で区切る。そして、表示部82は、区切り位置をY方向に通過する線に沿って数値表示領域91を分割するような数値増減操作が行われた場合に現在表示中の入力数値がどれだけ増減するかを示す数値を目盛93として表示する。
【0052】
なお、領域分割操作により数値を入力した後、数値増減ボタンNBに対する操作によっても入力数値の微調整を行うこともできる。あるいは、数値増減操作により入力数値の微調整を行い、その後でさらに数値増減ボタンNBに対する操作によって入力数値の微調整を行うこともできる。
【0053】
(数値入力を受け付けるときの制御の流れ)
以下に、
図12を参照して、数値入力画面90において数値入力を受け付けるときの制御の流れについて説明する。なお、
図12のフローチャートのスタートは、パネル制御部120が表示部82に画面を表示させたときである。
【0054】
ステップS1において、パネル制御部120は、表示部82に表示させた画面が数値入力画面90であるか否かを判断する。その結果、表示画面が数値入力画面90であれば、ステップS2に移行し、表示画面が数値入力画面90でなければ、数値入力の受け付けを行わせない。なお、表示画面が数値入力画面90である場合、その画面内の数値表示領域91には、たとえば、数値入力範囲の最小値、数値入力範囲の最大値、デフォルト値、および、従前に入力された数値、などが入力数値として表示される。
【0055】
ステップS2に移行すると、パネル制御部120は、タッチパネル部83に対する領域分割操作の有無を判断する。その結果、領域分割操作が行われていれば、ステップS3に移行する。
【0056】
ステップS3に移行すると、パネル制御部120は、入力数値算出用の比率に基づき入力数値を算出する。そして、ステップS4において、パネル制御部120は、入力数値算出用の比率に基づく入力数値を表示部82に表示させる。
【0057】
続いて、ステップS5において、パネル制御部120は、表示部82に入力数値を表示させてから所定時間が経過したか否かを判断する。その結果、所定時間が経過していれば、ステップS2に移行し、所定時間が経過していなければ、ステップS6に移行する。ステップS6に移行すると、パネル制御部120は、タッチパネル部83に対する数値増減操作の有無を判断する。その結果、数値増減操作が行われていれば、ステップS7に移行する。
【0058】
ステップS7に移行すると、パネル制御部120は、増減値算出用の比率に基づき増減後の入力数値を算出する。そして、ステップS8において、パネル制御部120は、増減値算出用の比率に基づく増減後の入力数値を表示部82に表示させる。その後、ステップS5に移行する。
【0059】
また、ステップS6において、数値増減操作が行われていない場合には、ステップS9に移行する。ステップS9に移行すると、パネル制御部120は、タッチパネル部83に対する確定操作の有無を判断する。なお、確定操作というのは、現在表示中の入力数値を確定するための操作であり、たとえば、数値入力画面90内に配された確定ボタンB(
図4〜
図11参照)をタップする操作である。パネル制御部120は、タッチパネル部83に対する確定操作の有無を判断した結果、確定操作が行われていれば、数値入力の受け付けを終了させ、確定操作が行われていなければ、ステップS5に移行する。
【0060】
なお、ステップS2において、領域分割操作が行われていない場合には、ステップS10に移行する。ステップS10に移行すると、パネル制御部120は、数値増減ボタンNBに対する操作が行われたか否かを判断する。その結果、数値増減ボタンNBに対する操作が行われていれば、ステップS11に移行する。
【0061】
ステップS11に移行すると、パネル制御部120は、数値入力ボタンBに対する操作に基づき、表示部82に表示させる入力数値を増減する。そして、ステップS12に移行する。なお、ステップS10において、数値増減ボタンNBに対する操作が行われていない場合にも、ステップS12に移行する。ステップS12に移行すると、パネル制御部120は、タッチパネル部83に対する確定操作の有無を判断する。その結果、確定操作が行われていれば、数値入力の受け付けを終了させ、確定操作が行われていなければ、ステップS2に移行する。
【0062】
本実施形態による複合機100(画像形成装置)の操作パネル8(表示入力装置)は、上記したように、数値の入力を受け付けるための数値入力画面90を表示するとともに、入力された数値である入力数値を数値入力画面90内に表示する表示部82と、表示部82に対して設けられ、表示部82の画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル部83と、タッチパネル部83の出力に基づきタッチパネル部が受け付けたタッチ操作を検知するパネル制御部120(制御部)と、を備える。そして、数値入力画面90内の数値表示領域91(所定領域)をX方向(第1方向)と直交するY方向(第2方向)に沿って分割するタッチ操作として予め定められた領域分割操作をタッチパネル部83が受け付けたとき、パネル制御部120は、数値表示領域91の予め定められた位置をY方向に通過する線を第1基準線L1とし、数値表示領域91の第1基準線L1とX方向に対向する端辺を第2基準線L2として、第1基準線L1から第2基準線L2までの距離D1と第1基準線L1から領域分割操作により分割された数値表示領域91の分割線DLまでの距離D2との比率である入力数値算出用の比率を求めるとともに、数値入力画面90での数値入力範囲の最大値または最小値に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。また、表示部82は、パネル制御部120が求めた入力数値を数値入力画面90内に表示する。
【0063】
本実施形態の構成では、数値入力画面90での数値入力範囲の最大値または最小値に入力数値算出用の比率(領域分割操作により分割された数値表示領域91の分割線DLの位置に基づき求められる比率)を乗じた数値が入力数値とされ、その入力数値が数値入力画面90内に表示される。したがって、第1基準線L1から第2基準線L2までの距離D1に対する第1基準線L1から数値表示領域91の分割線DLまでの距離D2の比率(入力数値算出用の比率)が数値入力画面90での数値入力範囲の最大値または最小値に対する所望値(入力したい数値)の比率と一致するよう領域分割操作を行えば、1回の操作だけで、所望値を入力することが可能となる。これにより、数値入力時の操作が減るので、ユーザーの利便性が向上する。
【0064】
また、本実施形態では、上記したように、タッチパネル部83は、数値表示領域91をY方向に沿って分割するようにタッチ位置をスライドさせるタッチ操作を領域分割操作として受け付ける。このように構成すれば、領域分割操作が直感的で分かり易くなる。
【0065】
なお、数値表示領域91をY方向に沿って分割するようにタッチ位置をスライドさせるタッチ操作を領域分割操作としてもよいが、数値表示領域91を1回だけタップするタッチ操作を領域分割操作としてもよい。この場合、領域分割操作時のタップ位置をY方向に通過する線を数値表示領域91の分割線DLとすればよい。
【0066】
また、本実施形態では、上記したように、領域分割操作を受け付けるための所定領域が数値表示領域91とされている。このように構成すれば、領域分割操作を受け付ける所定領域を数値入力画面90内に別途確保する必要がない。これにより、数値入力画面90のレイアウトの自由度が増す。ただし、数値入力画面90内の数値表示領域91以外の領域で領域分割操作を受け付けるようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、上記したように、表示部82は、数値表示領域91を予め定められた区切り位置で区切り、区切り位置をY方向に通過する線に沿って数値表示領域91を分割するような領域分割操作が行われた場合に入力数値とされる数値を目盛92として表示する。このように構成すれば、目盛92を目安にして領域分割操作を行うことができるので、入力数値が所望値から大幅にかけ離れた数値にならない。
【0068】
また、本実施形態では、上記したように、数値入力画面90での数値入力範囲が正値から負値に跨らない場合、パネル制御部120は、数値表示領域91のX方向に対向する両端辺のうち、一方側の端辺を第1基準線L1とし、一方側とは反対の他方側の端辺を第2基準線L2として、入力数値を求める。このように、数値表示領域91のX方向の一方側の端辺および他方側の端辺のそれぞれが第1基準線L1および第2基準線L2となるよう構成すれば、数値表示領域91のどの位置を基準にして領域分割操作を行えば良いかが分かり易くなる。
【0069】
また、本実施形態では、上記したように、数値入力画面90での数値入力範囲が正値から負値に跨る場合、パネル制御部120は、数値表示領域91のX方向に対向する両端辺間の予め定められた位置をY方向に通過する線を第1基準線L1とし、数値表示領域91のうち第1基準線L1に対してX方向の一方側で領域分割操作が行われた場合には、数値表示領域91の一方側の端辺を第2基準線L2として入力数値算出用の比率を求めるとともに、数値入力画面90での数値入力範囲の最大の正値に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。一方で、パネル制御部120は、数値表示領域91のうち一方側とは反対の他方側で領域分割操作が行われた場合には、数値表示領域91の他方側の端辺を第2基準線L2として入力数値算出用の比率を求めるとともに、数値入力画面90での数値入力範囲の最小の負値に入力数値算出用の比率を乗じた数値を入力数値として求める。
【0070】
このように構成すれば、数値入力画面90での数値入力範囲が正値から負値に跨る場合であっても、1回の領域分割操作だけで、正値および負値のいずれかの数値を選択的に入力することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記したように、タッチパネル部83が領域分割操作を受け付け、表示部82が入力数値を数値入力画面90内に表示してから、所定時間が経過するまでにタッチパネル部83が領域分割操作を再度受け付けたとき、タッチパネル部83は、所定時間が経過するまでに再度受け付けた領域分割操作を数値増減操作として受け付ける。そして、パネル制御部120は、数値表示領域91のX方向に対向する両端辺間の予め定められた位置をY方向に通過する線を第3基準線L3とし、数値表示領域91のうち第3基準線L3に対してX方向の一方側で数値増減操作が行われた場合には、数値表示領域91の一方側の端辺を第4基準線L4として、第3基準線L3から第4基準線L4までの距離D3と第3基準線L3から数値増減操作により分割された数値表示領域91の分割線DLAまでの距離D4との比率である増減値算出用の比率を求めるとともに、所定増減値に増減値算出用の比率を乗じた数値分だけ現在表示中の入力数値を増加させた数値を増減後の入力数値として求める。一方で、パネル制御部120は、数値表示領域91のうち一方側とは反対の他方側で数値増減操作が行われた場合には、数値表示領域91の他方側の端辺を第4基準線L4として、増減値算出用の比率を求めるとともに、増減値算出用の比率を所定増減値に乗じた数値分だけ現在表示中の入力数値を減少させた数値を増減後の入力数値として求める。また、表示部82は、パネル制御部120が求めた増減後の入力数値を現在表示中の入力数値に代えて新たに表示する。
【0072】
このように構成すれば、所定時間が経過するまでに領域分割操作(数値増減操作)を再度行うだけで、入力数値を増減(微調整)することができる。すなわち、入力数値を微調整するときに、数値増減ボタンNBをタップして入力数値を増減させる、という操作を何回も行わなくてもよくなる。
【0073】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。