(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1接触部材は板状をなし、前記第1接触部の基端側に設けられ、前記第1接触部より大きい幅を有するフランジ部と、前記フランジ部の前記第1接触部との連結側と異なる側の端部から延び、前記コイルばねの内周部に挿通される2つの第1基端部と、を有し、
前記第2接触部材は板状をなし、前記第2接触部の基端側から延び、前記コイルばねの内周部に挿通され、前記第1基端部と接触する第2基端部を有し、
前記コイルばねは、前記第1および第2基端部を摺動可能に拘束することを特徴とする請求項1に記載の接触構造体ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる接触構造体ユニットの構成を示す斜視図である。
図1に示す接触構造体ユニット1は、検査対象物である半導体集積回路100の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、半導体集積回路100と半導体集積回路100へ検査用信号を出力する回路基板200との間を電気的に接続する装置である。
【0019】
接触構造体ユニット1は、長手方向の両端で半導体集積回路100および回路基板200に接触する導電性の接触構造体2と、複数の接触構造体2を所定のパターンにしたがって収容して保持する接触構造体ホルダ3と、接触構造体ホルダ3の周囲に設けられ、検査の際に複数の接触構造体2と接触する半導体集積回路100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材4と、を有する。
【0020】
図2は、接触構造体ホルダ3に収容される接触構造体2の詳細な構成を示す図である。
図2に示す接触構造体2は、導電性材料を用いて形成される。接触構造体2は、半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100の接続用電極(被接触体)に接触する第1接触部材2aと、接触構造体2の長手方向に沿うとともに、第1接触部材2aに対して並列に設けられ、検査回路を備えた回路基板200の電極にそれぞれ接触する2つの第2接触部材2bと、第1接触部材2aおよび第2接触部材2bの各先端側に向けて付勢可能な2つのコイルばね24とを備える。
【0021】
第1接触部材2aは、先細な先端形状をなし、複数の爪部21bを有する接触部21a(第1接触部)と、接触部21aの基端側から延び、接触部21aの径と比して大きい径を有するフランジ部21cと、を同軸上に有する。
【0022】
第2接触部材2bは、フランジ部21cに接触する第1プランジャ22と、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第2プランジャ23と、第1プランジャ22と第2プランジャ23との間に設けられて2つの第1プランジャ22および第2プランジャ23を伸縮自在に連結するコイルばね24とを備える。第2接触部材2bを構成する第1プランジャ22および第2プランジャ23、ならびにコイルばね24は同一の軸線を有している。また、接触構造体2において、第1接触部材2aの軸と、第2接触部材2bの軸とは平行である。
【0023】
第1プランジャ22は、先細な先端形状をなす複数の爪部22bを有し、この爪部22bで第1接触部材2aのフランジ部21cと接触する先端部22a(先端部)と、先端部22aの基端側から延び、先端部22aの径と比して大きい径を有するフランジ部22cと、フランジ部22cの先端部22aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部22cの径と比して小さい径を有するボス部22dと、ボス部22dのフランジ部22cの連結側と異なる端部から延び、ボス部22dの径と略同一の径を有する基端部22eとを同軸上に有する。基端部22eは、先端がR面取りされた形状をなす。
【0024】
第2プランジャ23は、先細な先端形状を有し、回路基板200の電極と接触する先端部23aと、先端部23aの基端側から延び、先端部23aの径と比して大きい径を有するフランジ部23bと、フランジ部23bの先端部23aに連なる側と異なる端部から延び、ボス部22dの径と略同一の径を有するボス部23cと、ボス部23cのフランジ部23bの連結側と異なる端部から延び、ボス部22d,23cの径と略同一の径を有する基端部23dとを同軸上に有する。なお、第2接触部は、先端部23aとフランジ部23bとに対応する。基端部23dは、先端がR面取りされた形状をなす。この第2プランジャ23は、コイルばね24の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね24の弾性力によって回路基板200方向に付勢され、回路基板200の電極と接触する。
【0025】
コイルばね24は、接触構造体2が半導体集積回路100とコンタクトした際に、軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路100および回路基板200に荷重を加える。
【0026】
コイルばね24は、第1プランジャ22側がボス部22dの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部24aである一方、第2プランジャ23側がボス部23cおよび基端部23dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部24bである。密着巻き部24aの端部は、例えばボス部22dと略等しい内径の場合、ボス部22dに圧入されて、フランジ部22cに当接している。一方、粗巻き部24bの端部は、ボス部23cに圧入され、フランジ部23bに当接している。なお、コイルばね24は、密着巻き部24aおよび粗巻き部24bの内径が、同一の内径で巻回されていることが好ましい。このとき、第1プランジャ22および第2プランジャ23とコイルばね24とは、半田付けによって接合されていてもよい。
【0027】
コイルばね24に用いられる線材は、所定荷重が加わったときの粗巻き部24bの縮み量が、初期荷重が加わったとき、例えば、接触構造体2が接触構造体ホルダ3に収容された状態(
図1参照)における基端部23dと密着巻き部24aとの最短距離より大きくなるようなばね特性(ストローク)を有する導電性の金属が用いられる。このばね特性を有するコイルばね24を用いることによって、接触構造体2に所定荷重を加えた場合に基端部23dを密着巻き部24a内に摺接させ、基端部23dと密着巻き部24aとの間の電気的導通が可能となる。
【0028】
接触構造体ホルダ3は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、
図2の上面側から第1部材31、第2部材32および第3部材33が積層されて成る。第1部材31、第2部材32および第3部材33には、複数の接触構造体2を収容して保持するホルダ孔34,35および36が接触構造体2に対応して形成され、接触構造体2を収容するホルダ孔34,35および36は、互いの軸線が平行となるように形成されている。ホルダ孔34,35および36の形成位置は、半導体集積回路100の配線パターンに応じて定められる。
【0029】
ホルダ孔34は、接触構造体ホルダ3の上端面に開口を有する小径部34aと、この小径部34aよりも径が大きい大径部34bとからなる。小径部34aは、大径部34bの径と比して小さく、かつ接触部21aの径と比して若干大きい径である。大径部34bは、フランジ部21cと比して若干大きい径である。第1接触部材2aのフランジ部21cは、ホルダ孔34の小径部34aと大径部34bとの境界壁面に当接することにより、第1接触部材2aの接触構造体ホルダ3からの抜止機能を有する。
【0030】
ホルダ孔35および36は、ホルダ孔34に連結するようにそれぞれ設けられ、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、ホルダ孔35は、第2部材32の第1部材31と当接する側の上端面に開口を有する小径部35aと、この小径部35aよりも径が大きい大径部35bとからなる。小径部35aは、先端部22aの径と比して若干大きい径である。また、大径部35bは、フランジ部22cの径および/またはコイルばね24の径と比して若干大きい径である。
【0031】
他方、ホルダ孔36は、接触構造体ホルダ3の下端面に開口を有する小径部36aと、この小径部36aよりも径が大きい大径部36bとからなる。小径部36aは、先端部23aと比して若干大きい径である。また、大径部36bは、フランジ部23bの径および/またはコイルばね24の径と比して若干大きい径である。これらのホルダ孔35および36の形状は、収容する第2接触部材2bの構成に応じて定められる。
【0032】
第1プランジャ22のフランジ部22cは、ホルダ孔35の小径部35aと大径部35bとの境界壁面に当接することにより、第2接触部材2bの接触構造体ホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ23のフランジ部23bは、ホルダ孔36の小径部36aと大径部36bとの境界壁面に当接することにより、第2接触部材2bの接触構造体ホルダ3からの抜止機能を有する。なお、ホルダ孔35,36の各境界壁面が、フランジ部22c,23bまたはコイルばね24の径に対応した段付き形状をなすものであってもよい。
【0033】
図3は、接触構造体ホルダ3を用いた半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。半導体集積回路100の検査時には、半導体集積回路100からの接触荷重により、コイルばね24は長手方向に沿って圧縮された状態となる。コイルばね24が圧縮されると、
図3に示すように、第2プランジャ23の基端部23dは、密着巻き部24a内に進入し、密着巻き部24aの内周側と摺接する。この際には、第2プランジャ23の軸線が大きくぶれることはないため、基端部23dと密着巻き部24aの内周との摺接が安定するとともに、密着巻き部24aがわずかに蛇行するため、基端部23dとコイルばね24との接触抵抗が安定し、確実な導通が得られる。
【0034】
また、爪部21bの先端が先細に形成されているため、接続用電極101の表面に酸化皮膜が形成されている場合であっても酸化皮膜を突き破り、爪部21bの先端を接続用電極101と直接接触させることができる。第1接触部材2aは、第1接触部材2aの中心軸Nが半球状の接続用電極101の中心(重心)を通過するように接続用電極101に接触させることができ、接触対象が半球状であっても安定した接触状態を維持することが可能である。
【0035】
このとき、第1プランジャ22の爪部22bが、フランジ部21cの接触部21aに連なる側と異なる側の面に当接している。ここで、爪部22bは、先端部22aの外縁に沿って複数設けられ、フランジ部21cに対して、いずれかの頂点が接触する。これにより、第1プランジャ22の配置を規定することなく、フランジ部21cと安定して接触させることができる。
【0036】
なお、爪部21b,22bは、4つ以上設けられることが好ましい。また、爪部22bは、フランジ部21cからの離脱を一段と確実に防止するため、6つ以上であればより好ましい。
【0037】
検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給される検査用信号は、回路基板200の電極201,202から接触構造体2の第2接触部材2b、第1接触部材2aを経由して半導体集積回路100の接続用電極101へ到達する。具体的には、第2接触部材2bにおいて、第2プランジャ23、密着巻き部24a、第1プランジャ22を経由して半導体集積回路100の接続用電極101へ到達する。このように、接触構造体2では、第1プランジャ22と第2プランジャ23が密着巻き部24aを介して導通するため、電気信号の導通経路を最小にすることができる。したがって、検査時に粗巻き部24bに信号が流れるのを防止し、インダクタンスの低減および安定化を図ることができる。なお、2つの電極201,202は、例えば、電極201が測定用の電極(Sense)であって、電極202が送電用の電極(Force)である。
【0038】
上述した実施の形態1によれば、4端子測定において、異なる電極と接続する複数の第2接触部材と接触する第1接触部材が、第1接触部材の軸が接続用電極(接触対象)の電極の中心(重心)を通過するように接触するようにしたので、接触対象との間で確実な導通を得ることができる。
【0039】
また、各接続用電極101の間隔(ピッチ)は半導体集積回路の微細化に伴って0.15mm以下となるものもあり、その場合の接続用電極のサイズは0.07mm程度と非常に小さくなる。これにより、従来の接触部材を接続用電極101に対して2本接触させるのは困難になってきている。一方、本実施の形態1にかかる接触構造体では、第1接触部材の軸が接続用電極の中心を通過するように接触するため、半導体集積回路の微細化に対応することができる。
【0040】
上述したような接触構造体を4端子測定構造とすることで、
図3においてフランジ部21cと第1プランジャ22との間、および第1プランジャ22から第2プランジャ23までの間の抵抗値を無視することができる。すなわち、接触部材間の摺動による影響なく、接続用電極101および第1接触部材2aにおける接触抵抗と、第1接触部材2aの抵抗値とが測定でき、安定した電気測定の実施が可能となる。
【0041】
また、各フランジ部の各先端部側の端部およびホルダ孔の大径部と小径部との各境界壁面がテーパ状をなすものであってもよい。これにより、接触構造体をホルダに取り付けた場合の第1および第2接触部材の軸線方向と垂直な方向の位置決めを一段と確実に行うことができる。
【0042】
なお、第2接触部は、先端部23aおよびフランジ部23bであるものとして説明したが、
図1に示すような接触構造体ユニット1の一部として取り付けられる場合、第2接触部は、フランジ部23bのみの構成としてフランジ部23bの先端部で電極と接触するものであってもよい。
【0043】
図4は、本実施の形態1の変形例1にかかる接触構造体ユニットの要部の構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態1では、先端部22aが複数の爪部22bを有するものとして説明したが、変形例1にかかる接触構造体5では、第2接触部材2cが、第1プランジャ25の先端部25aが1つの頂点を有する錘状をなしている。
【0044】
図5は、本実施の形態1の変形例2にかかる接触構造体ユニットの要部の構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態1では、先端部22aが複数の爪部22bを有するものとして説明したが、変形例2にかかる接触構造体6のように、第2接触部材2dが、第1プランジャ26の先端部26aが先端部26aの長手方向に対して垂直な平面をなしてもよい。
【0045】
なお、上述した第1接触部材2aの接触部21aの先端形状は、爪部21bを有するものとして説明したが、変形例1,2にかかる先端部25a,26aの形状をなすものであってもよい。
【0046】
(実施の形態2)
図6は、本実施の形態2にかかる接触構造体ユニットの要部の構成を示す斜視図である。
図7は、
図6に示すA−A線断面を示す断面図である。
図8は、接触構造体ホルダ3aを用いた半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。なお、
図1等で上述した接触構造体ユニット1と同じ構成要素には同じ符号を付してある。本実施の形態2では、各第1接触部材2aに代えて、シート状をなす第1接触部材2eを用いて半導体集積回路100と回路基板200との間を電気的に導通する。
【0047】
第1接触部材2eは、
図6,7に示すように、弾性変形可能な絶縁性のシート部27aと、シート部27a上で半導体集積回路100の接続用電極101の配置に対応して設けられる複数の電極側接触部27b(第1接触部)と、シート部27aの電極側接触部27bの形成側の面と反対側の面に、電極側接触部27bに対応して設けられる接触構造体側接触部27c(第3接触部)とを有する。なお、電極側接触部27bと対応する接触構造体側接触部27cとは、導電性材料を用いて形成され、シート部27aを介して電気的に接続されている。
【0048】
第1接触部材2eは、
図8に示すように、電極側接触部27bが外部に向き、接触構造体側接触部27cが接触構造体ホルダ3aの内部に向いた状態で接触構造体ホルダ3aによって保持されている。接触構造体ホルダ3aは、第1接触部材2eを保持する第1部材31aと、第2接触部材2bを保持する上述した第2部材32および第3部材33とが積層されて成る。第1部材31aには、複数の第1接触部材2eおよび第2接触部材2bの一部を収容して保持する保持部としてのホルダ孔37が形成されている。なお、ホルダ孔35、36および37は、互いの軸線が平行となるように形成されている。ホルダ孔37の形成位置は、半導体集積回路100の配線パターンに応じて定められる。
【0049】
ホルダ孔37は、接触構造体ホルダ3aの上端面に開口を有する第1ホルダ孔37aと、この第1ホルダ孔37aと連通し、上述した接触構造体ホルダ3aにおいて接触構造体2に対応する一組の小径部35aの間の距離に対応する径で形成される第2ホルダ孔37bとからなる。第1ホルダ孔37aは、接触構造体ホルダ3aの第1部材31aの積層方向の長さ(深さ)が接触構造体側接触部27cのシート部27aからの突出長さより大きい略半球状の空間を形成している。
【0050】
半導体集積回路100の検査時には、
図8に示すように、半導体集積回路100からの接触荷重により、シート部27aが、荷重が加わる方向に弾性変形した状態となる。シート部27aが変形すると、その変形による荷重に応じて接触構造体側接触部27cが第1プランジャ22を押圧する。第2プランジャ23の基端部23dは、密着巻き部24a内に進入し、密着巻き部24aの内周側と摺接する。
【0051】
このとき、検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給される検査用信号は、回路基板200の電極201から第2プランジャ23、密着巻き部24a、第1プランジャ22、接触構造体側接触部27cおよび電極側接触部27bを経由して半導体集積回路100の接続用電極101へ到達する。
【0052】
上述した実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、4端子測定において、異なる電極と接続する複数の第2接触部材と接触する第1接触部材が、第1接触部材の軸が接続用電極(接触対象)の電極の中心(重心)を通過するように接触するようにしたので、接触対象との間で確実な導通を得ることができる。
【0053】
また、シート状の第1接触部材を接触構造体ホルダに載置することで、接触構造体ユニットを形成することができるので、一段と簡易な構成で接触対象との間の確実な導通を得ることができる。
【0054】
実施の形態1と同様、上述したような接触構造体を4端子測定構造とすることで、
図8において接触構造体側接触部27cと第1プランジャ22との間、および第1プランジャ22から第2プランジャ23までの間の抵抗値を無視することができる。すなわち、接触部材間の摺動による影響なく、接続用電極101および第1接触部材2eにおける接触抵抗と、第1接触部材2eの抵抗値とが測定でき、安定した電気測定の実施が可能となる。
【0055】
なお、上述した実施の形態2では、電極側接触部27bが、半球状をなすものとして説明したが、実施の形態1のように、爪部21bを有する接触部21aと同様の形状をなすものであってもよい。
【0056】
(実施の形態3)
図9は、本実施の形態3にかかる接触構造体ユニットの接触構造体の構成を示す斜視図である。
図10は、本実施の形態3にかかる接触構造体の構成を示す正面図である。
図11は、本実施の形態3にかかる接触構造体の構成を示す側面図である。
図9〜11に示す接触構造体8は、導電性材料を用いて形成される。接触構造体8は、
図1等に示した半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100の接続用電極101に接触する板状をなす2つの第1接触部材2fと、板状をなし、第1接触部材2fと接触し、
図1等に示した回路基板200の電極にそれぞれ接触する2つの第2接触部材2gと、第1接触部材2fおよび第2接触部材2gを摺動可能に拘束するコイルばね24cと、を備える。
【0057】
第1接触部材2fは板状をなし、先細な先端形状をなす複数の爪部28aを有する先端部28b(第1接触部)と、先端部28bの基端側に設けられ、先端部28bより大きい幅を有するフランジ部28cと、フランジ部28cの先端部28bと連結する側と異なる側の端部から延び、コイルばね24cの内周部に挿通される2つの基端部28dと、を有する。また、基端部28dは、フランジ部28cにおいて、フランジ部28cの幅方向の端部よりも内部側に形成される。
【0058】
第2接触部材2gは板状をなし、先細な先端形状をなす頭頂部29aを有する先端部29b(第2接触部)と、先端部29bの基端側から先端部29bより小さい幅で延び、コイルばね24cの内周部に挿通され、基端部28dと接触する基端部29cと、を有する。また、基端部29cは、第1接触部材2fの基端部28dと同等の幅である。
【0059】
コイルばね24cは、接触構造体8が半導体集積回路100とコンタクトした際に、軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路100および回路基板200に荷重を加える。なお、コイルばね24cは、基端部28dの径と同等の内径で所定ピッチに巻回されている。
【0060】
接触構造体8は、各先端部28b,29bが反対方向を向いた状態で、2つの第1接触部材2fの基端部28dによって第2接触部材2gの基端部29cを挟み込んで接触することにより、第1接触部材2fと第2接触部材2gとの間を電気的に導通する。このとき、
図9〜11に示すように、基端部28d,29cをコイルばね24cが摺動可能に拘束することによって接触部材間の接触状態を維持している。コイルばね24cは、フランジ部28cと基端部28dとが形成する段部および先端部29bおよび基端部29cとが形成する段部にそれぞれ当接して、第1接触部材2fと第2接触部材2gとをそれぞれの先端部側に付勢する。また、接触構造体8は、2つの第1接触部材2fの爪部28aによって、4つの頂点を有する先端を形成する。これにより、接触構造体2fは、上述した半球状の接続用電極101に対してこの各頂点を接触させることで安定した接触状態を維持することが可能である。
【0061】
上述した実施の形態3によれば、実施の形態1と同様、4端子測定において、異なる電極と接続する複数の第2接触部材と接触する第1接続部材が、第1接触部材の軸が接続用電極(接触対象)の電極の中心(重心)を通過するように接触するようにしたので、接触対象との間で確実な導通を得ることができる。
【0062】
また、板状の部材を重ね合わせることによって接触構造体を形成することができるので、一段と簡易な構成で接触対象との間の確実な導通を得ることができる。
【0063】
実施の形態1と同様、上述したような接触構造体を4端子測定構造とすることで、基端部28dと基端部29cとの間の抵抗値を無視することができる。すなわち、接触部材間の摺動による影響なく、接続用電極101および第1接触部材2fにおける接触抵抗と、第1接触部材2fの抵抗値とが測定でき、安定した電気測定の実施が可能となる。
【0064】
図12は、本実施の形態3の変形例にかかる接触構造体の構成を示す正面図である。
図13は、本実施の形態3の変形例にかかる接触構造体の構成を示す側面図である。変形例にかかる接触構造体9は、
図1等に示した半導体集積回路100の検査を行なうときにその半導体集積回路100の接続用電極101に接触する板状をなす第1接触部材2hと、板状をなし、第1接触部材2hと接触し、
図1等に示した回路基板200の電極にそれぞれ接触する2つの第2接触部材2iと、第1接触部材2hおよび第2接触部材2iを摺動可能に接触させた状態で拘束するコイルばね24cと、を備える。
【0065】
第1接触部材2hは、先細な先端形状をなし、複数(本実施の形態3では4つ)の爪部28eを有する先端部28b(第1接触部)と、先端部28bの基端側に設けられ、先端部28bより大きい幅を有するフランジ部28cと、フランジ部28cの先端部28bと連結する側と異なる側の端部から延び、コイルばね24cの内周部に挿通される2つの基端部28fと、を有する。基端部28fは、フランジ部28cにおいて、フランジ部28cが延びる方向の端部よりも内部側に形成される。また、基端部28fは、フランジ部28cと連結する側と異なる側の端部側に設けられ、基端部28fが延びる方向に垂直な方向に突出する凸部28gを有する。
【0066】
第2接触部材2iは、第1接触部材2hと同等の厚みの板状をなし、先細な先端形状をなし、頭頂部29aを有する先端部29b(第2接触部)と、先端部29bの基端側から先端部29bより小さい幅で延び、コイルばね24cの内周部に挿通され、基端部28fと接触する基端部29dと、を有する。また、基端部29dは、先端部29bと連結する側と異なる側の端部側に設けられ、基端部29dが延びる方向に垂直な方向に突出する凸部29eを有する。
【0067】
接触構造体9は、各先端部28b,29bが反対方向を向いた状態で第1接触部材2hの基端部28fと第2接触部材2iの基端部29dとが板厚方向で向かい合って接触することにより、第1接触部材2hと第2接触部材2iとの間を電気的に導通する。このとき、
図12,13に示すように、コイルばね24cが基端部28f,29dを摺動可能に拘束することによって接触部材間の接触状態を維持している。コイルばね24cは、フランジ部28cと基端部28fとが形成する段部および先端部29bおよび基端部29dとが形成する段部にそれぞれ当接して、第1接触部材2hと第2接触部材2iとをそれぞれの先端部28b,29b側に付勢する。また、接触構造体9は、コイルばね24cによって各先端部28b,29b側に付勢された際に、凸部28gと凸部29eとが係止する。これにより、接触構造体9は、凸部28g,29eが互いに係止することで、コイルばね24cの付勢力による第1接触部材2hと第2接触部材2iとが離脱することを防止する。
【0068】
なお、上述した変形例では、凸部28g,29eは、板面に平行であって、基端部28f,29dが延びる方向に垂直な方向にそれぞれ突出するものとして説明したが、板面に垂直であって、基端部28f,29dが延びる方向に垂直な方向にそれぞれ突出するものでもよい。
【0069】
また、上述した第1接触部材2hの先端部28bの先端形状は、爪部28eを有するものとして説明したが、変形例2,3にかかる先端部25a,26aの形状をなすものであってもよい。