(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982377
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】電気−機械インタフェース
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20160818BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20160818BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
G01D5/12 A
G01D5/12 G
B62D5/04
B62D6/00
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-528755(P2013-528755)
(86)(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公表番号】特表2013-544350(P2013-544350A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】GB2011001259
(87)【国際公開番号】WO2012035286
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年5月2日
(31)【優先権主張番号】1015266.8
(32)【優先日】2010年9月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513062814
【氏名又は名称】カリル アブ アル−ラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】カリル アブ アル−ラブ
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開平4−274969(JP,A)
【文献】
特開2001−201370(JP,A)
【文献】
特開2007−269047(JP,A)
【文献】
特開2009−213251(JP,A)
【文献】
特開2008−280004(JP,A)
【文献】
特開昭59−109461(JP,A)
【文献】
特開2007−223508(JP,A)
【文献】
特開2000−289636(JP,A)
【文献】
特開2000−80935(JP,A)
【文献】
特開2004−51022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01B 7/00−7/34
G01P 3/00−3/80
G01L 3/00−3/26
B62D 5/00−5/32、
6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動を電気信号に変換するためのインタフェースであって、
第1の方向及び第2の方向に回転動作可能とされ、ステアリングホイールに接続された機械的アクチュエータと、
該アクチュエータに接続され該アクチュエータの前記第1の方向への回転が電気的特性の変化を生じさせるように設けられた第1の電気部品及び前記アクチュエータの前記第2の方向への回転が電気的特性の変化を生じさせるように設けられた第2の電気部品とを備え、
該第1の電気部品及び前記第2の電気部品が1以上の電気回路に接続され、前記アクチュエータの前記第1の方向及び前記第2の方向への回転が1以上の前記電気回路の変化を生じさせ、
前記アクチュエータがシャフトであり、前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品が前記シャフトに取り付けられ、
前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品が、対応する部品の電気的特性の変化を生じさせる前記回転方向とは逆方向に自由に回転するインタフェース。
【請求項2】
前記シャフトの回転が前記電気部品の電気的特性の変化を生じさせる請求項1に記載のインタフェース。
【請求項3】
前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品を、前記対応する電気部品の前記電気的特性の変化を生じさせる方向とは逆方向への動作を促すための手段をさらに備える請求項1又は2に記載のインタフェース。
【請求項4】
前記アクチュエータを前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品に接続するための1以上のワンウェイクラッチをさらに備える請求項1から請求項3のいずれかに記載のインタフェース。
【請求項5】
前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品が可変抵抗器である請求項1から請求項4のいずれかに記載のインタフェース。
【請求項6】
各前記可変抵抗器が接触部及び抵抗器を備え、前記可変抵抗器の抵抗が前記接触部の前記抵抗器に対する位置に従って変化するように配置され、且つ、各可変抵抗器が、前記接触部及び前記抵抗器の一方が前記シャフトに対して固定され、且つ、前記抵抗器及び前記接触部の他方が、前記シャフトが動作するときに動作するように配置されている請求項5に記載のインタフェース。
【請求項7】
第1の限界位置、中立位置及び第2の限界位置の間を動作可能なステアリング制御システムをさらに備え、各前記第1の限界位置及び前記第2の限界位置が、動作方向の最大変化に対応し、前記中立位置が一定の動作方向に対応し、
前記アクチュエータの回転方向の変化が、前記ステアリング制御システムの位置を、一方の限界位置と前記中立位置との間の位置から、前記中立位置と他方の限界位置との間の位置まで自動的に変化させる請求項1から請求項6のいずれかに記載のインタフェースを組み込んだステアリング機構。
【請求項8】
さらに、緊急状況を検知するための手段を備え、前記ステアリング制御システムが、前記緊急状況を検知するための手段からの信号に応じて、該ステアリング制御システムの位置の前記変化を、自動的に生じさせる請求項7に記載のステアリング機構。
【請求項9】
請求項7または請求項8のいずれかに記載のステアリング機構を組み込んだ車両。
【請求項10】
回転運動を電気信号に変換するための方法であって、
第1の電気部品の電気的特性を該第1の電気部品の第1の動作に従って変化させるステップと、
第2の電気部品の電気的特性を該第2の電気部品の第2の動作に従って変化させるステップとを含み、
前記第1の動作及び前記第2の動作の両方が回転動作であり、前記第2の動作が前記第1の動作とは実質的に逆方向に生じ、
さらに、前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品がその上に取り付けられるシャフトを設けるステップを含み、前記シャフトが回転して、前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品の電気的特性の変化を生じさせ、
各前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品が、前記シャフト上に、該シャフトの第1の回転方向における動作が前記第1の電気部品の特性を変化させ、且つ、前記シャフトの第2の方向における動作が前記第2の電気部品の特性を変化させるように取り付けられ、
各前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品が、対応する部品の電気的特性を変化させる前記回転方向とは逆方向に、前記シャフトを中心として自由に回転可能である方法。
【請求項11】
前記第1の電気部品の電気的特性が前記第2の電気部品の電気的特性と同一である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電気的特性が抵抗である請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気的システムと機械的システムとの間のインタフェースを提供することに関する。本発明の幾つかの実施形態は、車両、例えばステアリング機構に用いるための、機械的に操作されるステアリング制御と電気制御機構との間のインタフェースを提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
機械的運動を電気的特性の変化に変換することは公知である。しかし、実質的に互いに反対の2つの方向における機械的運動が電気信号に変換され、且つ、制御信号(例えば、車両のステアリング機構の制御信号)として用いられる場合、このような運動を電気信号に変換するために、これまでは単一の電気的特性のみが用いられており、これは、不確実で、且つ、応答性に欠ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態は、回転運動を電気信号に変換するためのインタフェースに関し、該インタフェースは、第1の方向及び第2の方向に回転動作可能な機械的アクチュエータと、該アクチュエータに接続され、該アクチュエータの前記第1の方向への回転が電気的特性の変化を生じさせるように設けられた第1の電気部品及び前記アクチュエータの前記第2の方向への回転が電気的特性の変化を生じさせるように設けられた第2の電気部品とを備え、該第1の電気部品及び前記第2の電気部品が1以上の電気回路に接続され、前記アクチュエータの前記第1の方向及び前記第2の方向への回転が1以上の前記電気回路の変化を生じさせ
、前記アクチュエータはシャフトであって、前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品は前記シャフトに取り付けられている。
【0005】
前記シャフトの回転が、前記電気部品の電気的特性の変化を生じさせてもよい。
【0006】
前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品は、対応する部品の電気的特性の変化を生じさせる前記回転方向とは逆方向に自由に回転してもよい。
【0007】
前記インタフェースは、前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品を、前記対応する電気部品の前記電気的特性の変化を生じさせる方向とは逆方向への動作を促すための手段をさらに備えてもよい。
【0008】
前記インタフェースは、前記アクチュエータを前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品に接続するための1以上のワンウェイクラッチをさらに備えてもよい。
【0009】
前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品は可変抵抗器であってもよい。
【0010】
各前記可変抵抗器が接触部及び抵抗器を備え、前記可変抵抗器の抵抗が前記接触部の前記抵抗器に対する位置に従って変化するように配置され、且つ、各可変抵抗器は、前記接触部及び前記抵抗器の一方が前記シャフトに対して固定され、且つ、前記抵抗器及び前記接触部の他方が、前記シャフトが動作するときに動作するように配置されてもよい。
【0011】
本発明のさらなる態様は、前記アクチュエータがステアリングホイールに接続されている、以上に記載したインタフェースを組み込んだステアリング機構に関する。
【0012】
前記ステアリング機構は、第1の限界位置、中立位置及び第2の限界位置の間を動作可能なステアリング制御システムをさら備え、各前記第1の限界位置及び前記第2の限界位置が、動作方向の最大変化に対応し、前記中立位置が一定の動作方向に対応し、前記アクチュエータの回転方向の変化が、前記ステアリング制御システムの位置を、一方の限界位置と前記中立位置との間の位置から、前記中立位置と他方の限界位置との間の位置まで自動的に変化させる。
【0013】
前記ステアリング機構は、さらに、緊急状況を検知するための手段を備え、前記ステアリング制御システムが、前記緊急状況を検知するための手段からの信号に応じて、該ステアリング制御システムの位置の前記変化を、自動的に生じさせている。
【0014】
本発明の
参考例として、第1の限界位置、中立位置及び第2の限界位置の間を動作可能なステアリング制御システムを含むステアリング機構に関し、各前記第1の限界位置及び前記第2の限界位置が動作方向の最大変化に対応し、前記中立位置が一定の動作方向に対応し、前記アクチュエータの回転方向の変化が、前記ステアリング制御システムの位置を、一方の限界位置と前記中立位置との間の位置から、前記中立位置と他方の限界位置との間の位置まで自動的に変化させる。
【0015】
本発明の
参考例として、第1の限界位置、中立位置及び第2の限界位置の間を動作可能なコントローラを備え、制御コマンドを発生するための制御機構に関し、各前記第1の限界位置及び前記第2の限界位置が、それぞれの第1の制御コマンド及び第2の制御コマンドに対応し、前記第1の制御コマンドが、前記第2の制御コマンドとは逆であり、前記限界位置間の前記コントローラの位置が、可変角度の制御コマンドに対応し、前記制御機構が、前記コントローラの動作方向の変化を、前記第1の制御コマンドから前記第2の制御コマンドへの自動的変化、又は、前記第2の制御コマンドから前記第1の制御コマンドへの自動的な変化に変換するようになっている。
【0016】
前記第1の制御コマンドは加速であって、前記第2の制御コマンドは制動であってもよい。
【0017】
前記第1の制御コマンドは左回転の実行に関連することができ、前記第2の制御コマンドが右回転の実行に関連してもよい。
【0018】
前記中立位置は、制御コマンドが発生していない状態に対応してもよい。
【0019】
前記ステアリング機構は、さらに、緊急状況を検知するための手段を備え、前記ステアリング制御システムが、ステアリング制御システムの位置の前記変化を、前記緊急状況を検知するための手段からの信号に応じて、自動的に生じさせている。
【0020】
本発明のさらなる態様は、以上に記載したステアリング機構を組み込んだ車両に関する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、回転運動を電気信号に変換するための方法に関し、前記方法は、第1の電気部品の電気的特性を第1の動作に従って変化させるステップと、第2の電気部品の電気的特性を第2の動作に従って変化させるステップとを備え、前記第1の動作及び前記第2の動作の両方が回転動作であり、前記第2の動作が前記第1の動作に対して実質的に逆方向に生じる。
【0022】
前記方法は、さらに、前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品がその上に取り付けられるシャフトを設けるステップを含み、前記シャフトが回転して、前記第1の電気部品及び前記第2の電気部品の電気的特性の変化を生じさせる。
【0023】
各前記第1の電気部品及び第2の電気部品が、前記シャフト上に、該シャフトの第1の回転方向の動作が前記第1の電気部品の特性の変化を生じさせ、且つ、前記シャフトの第2の方向の動作が前記第2の電気部品の特性の変化を生じさせるように取り付けられてもよい。
【0024】
各前記第1の部品及び前記第2の部品は、対応する部品の電気的特性を変化させる前記方向とは逆方向に、前記シャフトを中心として自由に回転可能であってもよい。
【0025】
前記第1の電気部品の電気的特性は前記第2の電気部品の電気的特性と同一であってもよい。
【0026】
前記電気的特性は抵抗であってもよい。
【0027】
以下に、本発明の例示的な実施形態を、添付図面を参照しつつ記載する。これらの図面は正確な縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるインタフェースの斜視図である。
【
図2】
図1のインタフェースの一部の、動作中のインタフェースの接触バーの変位を示す斜視図である。
【
図3】
図1のインタフェースの一部の、動作中のインタフェースの接触バーのさらなる変位を示す斜視図である。
【
図4】本発明のさらなる実施形態によるインタフェースの斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態と共に用いるためのディスク及びフックの別の配置の概略図である。
【
図6】本発明の実施形態と共に用いるためのディスク及びフックの別の配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一実施形態によるインタフェース10の斜視図を示す。インタフェース10は、
図1に切取図で示されたケーシング12を備えている。中空のシャフト14がケーシング12に取り付けられており、シャフト14は、矢印52により示された第1の方向、及び、矢印54により示された第2の方向に回転することができ、従って、インタフェース10にアクチュエータを提供する。図示されているように、回転52の方向は、回転54の方向とは逆である。
【0030】
2つのディスク16及びディスク18がシャフト14に取り付けられている。ディスクの各々は、シャフト14に、シャフトの一方向への回転が一方のディスクの動作を生じさせ、他方向への回転が他方のディスクの動作を生じさせるように取り付けられている。この実施形態において、これは、ワンウェイクラッチにより達成される。従って、ディスク18は、シャフトが矢印52の方向に動作するときにシャフトと共に回転するが、矢印54の方向においてはシャフトに対して自由に回転可能である。同様に、ディスク16は、シャフトが矢印54の方向に動作するときにシャフトと共に回転するが、矢印52の方向においてはシャフトに対して自由に回転可能である。
【0031】
ディスク16は、さらに、ディスクの周囲に沿って配置された導体22を備える。接触部48がハウジングに取り付けられており、リード50を備える。接触部48は、リード50と導体22との間に電気接続をもたらす。点線で示されているように、ディスク16は、さらにばね40を備える。ばね40は、ディスク16がシャフト14の動作により回転された後にディスク16が
図1に示されている位置に戻るように促す。
【0032】
同様に、ディスク18は、リード44に取り付けられた接触部46に電気接触している導体20、及び、ディスク18の動作を付勢するばね42を備える。ばね42(点線で示されている)は、ディスク18がシャフト14の動作により回転させられた後にディスク18が
図1に示されている位置に戻るように促す。
【0033】
接触バー24が懸架支柱(サスペンションストラット)26によりケーシング12に取り付けられており、接触バー24は、ケーシング12に対して枢動及び回転してもよいように取り付けられている。接触バー24は、ケーシング12にばね28及び30により接続されている。さらに、接触バー24は、バー24のそれぞれの端部付近に配置された、ディスク16及びディスク18に対応する位置にある2つの電気接触領域32及び34を備え、これに関しては、以下に詳細に説明する。リード36が接触領域32に接続され、且つ、懸架支柱26内に配置されたリード58に接続されている。同様に、リード38が、接触領域34に接続され、且つ、リード56(これもまた懸架支柱26内に配置されている)に接続されている。リード36及びリード38は、両方共、接触バー24内に埋め込まれており、従って、
図1に点線で示されている。
【0034】
ディスク18は、さらに、シャフト14又はばね42の動作下でディスク18と共に回転するフック60を備える。フック60は、ディスク18が反時計回り方向に、
図1に示された位置を通過して回転するときに導電バー24の接触領域32と係合するように配置されている。同様に、ディスク16はフック62を備え、フック62は、ディスク16と共に回転するように、且つ、ディスク16が時計回り方向に、
図1に示された位置を通過して回転するときに接触バー24の接触領域34と係合するように配置されている。
【0035】
ここで、インタフェース10の動作を、
図1、
図2及び
図3を参照しつつ説明する。シャフト14が矢印52の方向に回転するとき、シャフトはディスク18と、シャフトとディスク18との間に配置されたワンウェイクラッチにより係合して(図示せず)、ディスク18を同一方向に回転させる。そしてこれが、フック60をディスク18と共に回転させる。フック60が動作すると、フック60は、接続バー24と係合し、バー24の一部を、
図2に示されているようにディスク18に向かって下方に動作する。ディスク18が回転し続けると、それにより、
図3に示されているように、接触バー24の接触領域32がディスク18上のコネクタ20と接触されることになる。
【0036】
こうして接触領域32がコネクタ20と接触されると、閉回路が、リード58、リード38、接触領域32、コネクタ20、接触部46及びリード44の間で形成される。また、コネクタ20の抵抗は、このコネクタが可変抵抗器として機能するように予め設定されている。抵抗は、コネクタ20の長さに沿った、電気接触部が形成される位置に依存することになる。ディスク18が回転し続けると、接続バー24と接触部46との間のコネクタ20の長さは短くなり、それにより、コネクタ20がその一部を形成しているサブ回路の抵抗を低減する。このようにして、シャフト14の、矢印52の方向への回転は、電気部品(コネクタ20を備えるサブ回路)の抵抗の変化を生じさせる。
【0037】
同様に、シャフト14の、矢印54の方向への回転は、ディスク16上のコネクタ22の抵抗の変化を生じさせる。
【0038】
例えば、ディスク18が回転すると、フック60、バー24、フック62、ばね28及びばね30、並びに支柱26の配置は、ディスク16がバー24の動作により同一方向に回転されるような配置となる。従って、シャフト14が逆方向に回転すると、バー34が接触部22に急速に接触されることになる。
【0039】
シャフト14が矢印54の方向に回転する場合、ばね42がディスク18の動作に影響を与える。なぜなら、シャフト14とディスク18との係合は、ディスクがこの方向に回転するときに作用しないからである。従って、ディスク18をシャフト14に連結している巻き上げばね42の動作が、ディスクをディスクの中立位置(すなわち、
図1に示されている位置)に戻すように促すことになる。
【0040】
シャフト14が矢印52の方向に回転する場合、ディスク16がシャフトに対して自由に動作し、この状態において、ディスク16の動作は、巻き上げばね40により影響を受ける。巻き上げばね40は、シャフト14がディスク16と係合していないときにディスク16を中立位置(すなわち、
図1に示されている位置)に戻すように促す。
【0041】
接続バー24は、ケーシング12に、バ−24のそれぞれの端部付近に配置されたばね28及びばね30により取り付けられている。これらのばね28及びばね30は、バーがバーの中立位置(すなわち、
図1に示されている位置)に戻るように促す。インタフェース10の動作中、ばね28及びばね30は、インタフェース10を安定させ且つディスク16及びディスク18の動作を制限するように補助する。
【0042】
電気リード44及び50、並びに、電気リード56及び58は、他の電気部品に接続されることができ、より大きい回路を形成してもよい。本発明の実施形態の利点を、車両のステアリング(操舵)制御システムに関して説明するが、本発明のさらなる実施形態を、いずれかの方向への回転が電気的特性に積極的に作用することが望ましい任意の状況に適用することも可能である。
【0043】
インタフェース10がステアリング機構の一部として組み込まれる場合、シャフト14がステアリング制御、例えばステアリングホイール(自動車のハンドル)(図示せず)に設けられる。そして、リード44,50,56及び58は、車両の動作方向を制御する回路に接続する。例えば、ステアリング機構が自動車に組み込まれる場合、ステアリング機構は、自動車の前輪の、前輪が進行する面に対する角度を制御することができ、また、前輪が前記角度を得るように枢動する速度を制御してもよい。
【0044】
好ましくは、本発明の実施形態のインタフェースは、電気的特性(
図1の実施形態における抵抗)に対する明確な変化を、ステアリングホイールのいずれかの方向への作動に変換することができる。従って、特に、電気的に制御されるステアリングの場合、ステアリング機構の制御及び応答性の量は公知のシステムよりも増大される。さらに、本発明の実施形態は、ステアリング及びその他に用いられる場合、アクチュエータの逆方向の動作が方向の根本的な変化に即時に変換されるという利点を有する。例えば、アクチュエータが逆方向に動作すると、右回り(右折)が即時に左回り(左折)に転向されることが可能である。従って、ユーザがステアリングホイールを回転させて中立位置に戻すために力も時間も使う必要がない。ステアリングホイールの回転方向の変化が、車両の方向を著しく変化させるための信号に即時に変換されるからである。
【0045】
本発明の上記の実施形態が公知のシステムに対して利点を有することが分かる。公知のシステムにおいては、動作方向が根本的な変化(すなわち、例えば、左回りから右回りへ)を受けることができる前に、ステアリングホイール(又は、動作方向を制御するために用いられるその他の機構)が最初に中立位置に戻らなければならないことが必要である。
【0046】
従って、本発明のさらなる実施形態は、公知のステアリング機構、例えば、動作方向が電子制御されるステアバイワイヤシステムに関する。この場合、ステアリング機構は、一般に、制御部、例えば、方向変更が根本的に行われることができる前に中立位置に戻らなければならないステアリングホイールを備える。このような実施形態において、公知のステアリング機構は、緊急事態検知器(例えば、車両の減速又はステアリングホイールを回転させた力を測定してもよい)と組み合わせられる。このような実施形態によるステアリング機構は、2つのモードで動作することになる。すなわち、ステアリングホイールを逆方向に回転させることがステアリング機構をまず中立位置に戻すことになる通常モード、及び、ステアリングホイールを逆方向に回転させることが、自動的にステアリング機構に車両の逆方向の回転を生じさせる緊急モードである。
【0047】
緊急事態において、ユーザがステアリングホイールを回転させるときはかなりの力を加えることになり、この力が、
図1の実施形態のシャフト14に動作することが分かる。この力は、この回転方向に相反するばね40又はばね42により加えられる力に打ち勝つのに十分であろう。また、ディスク16又はディスク18が回転するときのバー24の配置は、シャフトの回転方向のシフトに対応した逆方向の回転がバーを接触部(20又は22)に急速に係合させるような配置である。このような状況において、ユーザがステアリングホイールを能動的に中立位置に戻すことは必要でない。その代わりに、シャフト14が、ばね40及びばね42の動作により中立位置に戻される。逆方向の力を加えなければならないのは、緊急事態においてのみである。
【0048】
さらに、別の実施形態において、
図1のシャフト14は、シャフト14に接続されたステアリングホイールがかなりの力により作動する場合にのみディスク18(例えば)を作動させるように配置されてもよい。この場合、ディスク18に対応するサブ回路を、ブレーキ(制動)システムを制御するために用いることが可能である。本発明のさらなる実施形態が、2つの反対方向の各々における動作に応答した電気的特性の明確な変化が必要とされる任意の制御システムに適用することも可能である。例えば、車両の加速及び制動を制御するために、本発明の実施形態を、線状の前後運動を加速及び制動に変換するように配置することができ、これは、適切な加速及び制動システム(商品名「Relative Acceleration and Braking System(RABS) Technology」により市販予定)への接続により行われる。
【0049】
図4は、本発明のさらなる実施形態によるインタフェース200の斜視図である。インタフェース200は、2つの回転可変抵抗器202及び204が接続されたシャフト206を備える。回転可変抵抗器とシャフト206との接続は、シャフトの一方向への回転が抵抗器202の抵抗を増大させ、シャフトの他方向への回転が抵抗器204の抵抗を増大させるというようになっている。
【0050】
さらに、抵抗器202にリード212及び214が設けられており、これらのリードにより抵抗器202が電気回路に接続されている。抵抗器202は、さらに、支柱210によりケーシング(図示せず)に接続されている。支柱210は、可変抵抗器を、抵抗器のシャフト206に対する動作を防止するために固定するように機能する。同様に、抵抗器204に、抵抗器204を電気回路に接続するリード216及び218と、抵抗器がシャフト206に対して動作しないように固定する支柱208とが設けられている。
【0051】
図4は、2つの公知の可変抵抗器を用いて実行される本発明の一実施形態であり、前記2つの抵抗器がそれらの抵抗を、シャフト206の対応する逆方向回転により増大させるように構成されているという条件の下で実行されてもよい。
【0052】
図4に示されているような実施形態は、比較的安価で簡単な本発明の実行態様であるが、
図1に示した実施形態のような反応性及び融通性は有さない。
【0053】
図5は、本発明の実施形態と共に用いるためのディスク304及びフックの別の配置300の概略図である。同様に、
図6は、本発明の実施形態と共に用いるためのディスク314及びフック312の別の配置310の概略図である。
図5及び
図6に示されている配置は、バー24(
図1〜
図3の装置を参照)がそれぞれのフック302及びフック312に確実に係合するように促し、また、シャフトが逆方向に回転されたときに、他方のディスク上の接触部がバーに接触され、それにより、動作方向が急速に且つ根本的に変化されることが確実にできるように配置されている。
【0054】
本発明の実施形態において、抵抗が回転(又はその他の)動作と共に変化する電気的特性を例示し、説明してきた。しかし、本発明がこの点に関して限定されないことが理解されよう。その他の電気的特性、例えば、インダクタンス又はキャパシタンスも代わりに用いられることができ、これらの実施形態を実行するための適切な回路が提供されてもよい。
【0055】
また、例示された実施形態において、シャフトが、必要な運動を提供するためにケーシングに対して回転する。しかし、別の実施形態においては、ケーシングが、固定されたシャフト(又はその他の部材)に対して回転し、そして、ステアリングホイール又はその他の制御機構がケーシングに接続される。
【0056】
さらなる実施形態において、インタフェースは、2方向以上の動作を電気信号に変換してもよい。このような実施形態において、動作の各方向に対応する電気部品が存在してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 インタフェース
12 ケーシング
14 シャフト
16 ディスク
18 ディスク
20 導体
22 導体
24 接触バー
26 懸架支柱
28 ばね
30 ばね
32 接触領域
34 接触領域
36 リード
38 リード
40 ばね
48 接触部
50 リード
52 回転方向
54 回転方向
60 フック