【文献】
ZHIJIAN Dong,Morphology and release profile of microcapsules encapsulating peppermint oil by complex coacervation,Journal of Food Engineering,2011年 6月,Volume 104, Issue 3,p.455-460
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の製造方法により得られる多芯型ゼラチンマイクロカプセルは、ゼラチンを膜形成物質とし、例えば、
図1で示されるように、該膜形成物質1中に芯物質2が均一に分散した構造を有する。本発明において、前記芯物質は香料を含有する。前記芯物質の平均粒子径は、通常約50μm以下、好ましくは約20μm以下、さらに好ましくは約10μm以下である。
【0013】
また、本発明の多芯型ゼラチンマイクロカプセルの平均粒子径は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、100〜1200μm程度が好ましく、製造効率が良好である等の点から、100〜1000μm程度がより好ましい。平均粒子径は、後述の回転式噴霧ノズルを用いた製造方法において、該ノズルの回転数を適宜選択することにより調整可能である。平均粒子径が100μm未満のものは、ノズルから噴霧された溶液が塔内に浮遊したり、塔内壁に付着したりするため、製造自体が困難である。また、平均粒子径が1200μmを超えると、塔内で冷却固化されず、球形のマイクロカプセルとして採取できないため好ましくない。
【0014】
前記平均粒子径は、第15改正日本薬局方の粒度測定法(第二法:ふるい分け法)に準じ、適当な目開きのふるいを用いて粒度分布を測定した後、累積50%平均粒子径を算出することにより求められる。
【0015】
本発明に用いられるゼラチンとしては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、魚、牛、豚、鶏等に含まれるコラーゲンまたは該コラーゲンを加熱変性して得られるもの等が挙げられる。また、ゼラチンをコラゲナーゼ、システインプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素で加水分解処理して得られるゼラチン加水分解物も本発明のゼラチンに含まれる。なお、ゼラチンのうち、日本工業規格(JIS)K6503−1996の「にかわ及びゼラチン」で定めるゼリー強度試験においてゲル化しないものは、コラーゲンペプチドとも称される。コラーゲンペプチドとしては、例えばHBC−P20(製品名;豚由来;新田ゼラチン社製)等が商業的に製造・販売されており、本発明では前記コラーゲンペプチドを用いてもよい。
【0016】
本発明に用いられるゼラチンの重量平均分子量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは10000〜40000程度、前記香味発現ピークがより明確になる等の点から、より好ましくは10000〜35000程度である。重量平均分子量が40000を超えると、喫食又は咀嚼した場合に該カプセルが歯に付着し易くなるため好ましくなく、重量平均分子量が10000未満であると、製造される多芯型ゼラチンマイクロカプセルに保型性が付与されないため好ましくない。なお、本発明では、重量平均分子量の異なる2種以上のゼラチンを併用することができる。このように併用した場合であっても、全体の重量平均分子量が上記好ましい数値範囲に含まれるように調整されていることが好ましい。
【0017】
ここで、ゼラチン加水分解物の重量平均分子量は、「パギイ法第10版」(写真用ゼラチン試験法合同審議会、2006年版)の「20−1.分子量分布」及び「20−2.平均分子量」に記載の方法により測定される。
【0018】
本発明に用いられる香料としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、L−メントール等の合成香料化合物、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等の柑橘類精油、花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油等の植物精油、コーラナッツエキストラクト、コーヒーエキストラクト、ワニラエキストラクト、ココアエキストラクト、紅茶エキストラクト、スパイス類エキストラクト等の油性エキストラクト及びこれらのオレオレジン類、油性調合香料組成物及びこれらの任意の混合物である油性の着香料並びに賦形剤と共に乾燥した粉末状の香料等が挙げられる。本発明の多芯型ゼラチンマイクロカプセルを食品に添加する場合、前記香料は、該食品の元の香味と同様又は類似の香味を有するものであっても、異なる香味を有するものであってもよい。異なる香味を有するものを用いた場合、食品の香味変化を楽しむことができ、好ましい。
【0019】
本発明に用いられるトランスグルタミナーゼは、ペプチド鎖内にあるグルタミン残基のγ−カルボキシアミノ基のアシル転移反応を触媒する酵素であり、アシル受容体としてのタンパク質中のリジン残基に作用して、分子内又は分子間にε−(γ−Glu)−Lys架橋構造を構築(架橋反応)する酵素である。該トランスグルタミナーゼにはカルシウム非依存性のものとカルシウム依存性のものがあり、いずれも使用可能であるが、好ましくはカルシウム非依存性のものが用いられる。トランスグルタミナーゼとしては、例えばアクティバTG−K(製品名;味の素社製)等が商業的に製造・販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
【0020】
本発明の多芯型ゼラチンマイクロカプセルの製造方法は、(a)ゼラチン及び香料を含有する水中油型乳化組成物にトランスグルタミナーゼを添加し、前記ゼラチンの含有量が約10〜25質量%である混合液を得る工程(工程(a))、及び(b)前記混合液を噴霧し、冷却固化する工程(工程(b))を有するものである。前記製造方法において、前記混合液中のゼラチンの含有量を約10〜25質量%とすることにより、香味発現ピークが知覚される。前記混合液中のゼラチンの含有量が約25%を超えるものは香味発現ピークが知覚されず、好ましくない。また、約10%未満のものは、製造されるカプセルが非常に脆く、口腔内で即座に崩壊してしまうため、好ましくない。
【0021】
本発明の多芯型ゼラチンマイクロカプセルは、前記香味発現ピーク時間が、一般的に食品が口腔内に存在する間に来るため、好ましく食品に配合される。前記香味発現ピーク時間は、さらに、前記混合液中のゼラチンの含有量を約10〜25質量%の範囲内で変更することによって調節することができる。本発明の多芯型ゼラチンマイクロカプセルの香味発現ピーク時間は、通常1分30秒以上4分未満程度であり、香味の発現ピークがより明確に知覚される等の点から、1分30秒以上3分未満程度であることがより好ましい。
【0022】
前記工程(a)は、ゼラチン及び香料を含有する水中油型乳化組成物にトランスグルタミナーゼを添加し、前記ゼラチンの含有量が約10〜25質量%である混合液を得る工程である。
【0023】
前記水中油型乳化組成物を得る方法は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、水にゼラチン及び乳化剤を加え、加温して溶解した水相に、油相として香料を加えて撹拌し、均一に乳化・分散させることにより得ることができる。前記加温の温度は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、製造効率が良い等の点から、約40℃〜90℃が好ましく、約40℃〜60℃がより好ましい。また、前記乳化・分散時の温度としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、製造効率が良い等の点から、約40℃〜60℃が好ましく、約40℃〜50℃がより好ましく、約50℃前後が最も好ましい。
【0024】
前記乳化剤としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アスコルビルパルミテート、レシチン等が挙げられ、製造効率が良い等の点から、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が好ましく挙げられる。本発明においては、これらの乳化剤を一種類で用いても良いし、二種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。上記グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸のエステルの他、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステル等が含まれ、製造効率が良い等の点から、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル等が特に好ましい。
【0025】
前記水相は、ゼラチン及び乳化剤以外に、必要に応じて糖類(例えば、D−ソルビトール、マルチトール及びグラニュー糖等)、抗酸化剤及び安定剤等を適宜添加して調製されてもよい。
【0026】
前記攪拌には、TKホモミクサー(プライミクス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)等の高速回転式分散・乳化機が用いられる。攪拌条件は、本発明の効果を妨げない限り適宜設定できるが、製造効率が良い等の点から、回転数は約3000〜15000rpmが好ましく、攪拌時間は約5〜60分間が好ましい。
【0027】
前記水中油型乳化組成物100質量%中のゼラチン、乳化剤、水および香料の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、前記水中油型乳化組成物100質量%中のゼラチンの含有量は、前記混合液中のゼラチンの含有量が約10〜25質量%となるよう設定されればよく、例えば、通常約11〜30質量%である。前記水中油型乳化組成物100質量%中の乳化剤の含有量は、製造効率が良い等の点から、例えば、通常約0.001〜5質量%であり、好ましくは約0.005質量%〜1質量%である。前記水中油型乳化組成物100質量%中の水の含有量は、製造効率が良い等の点から、例えば、通常約30〜77質量%であり、好ましくは約50質量%〜70質量%である。前記水中油型乳化組成物100質量%中の香料の含有量は、香味発現ピークがより明確に知覚される等の点から、例えば、通常約1〜40質量%であり、好ましくは約3質量%〜30質量%である。
【0028】
前記混合液は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、前記水中油型乳化組成物に、トランスグルタミナーゼを水に懸濁して得たトランスグルタミナーゼ懸濁液を添加して均一に分散することにより得ることができる。
【0029】
前記水中油型乳化組成物への前記トランスグルタミナーゼの添加量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、製造効率が良く、香味発現ピークがより明確に知覚される等の点から、前記ゼラチン1gあたり約0.1〜100単位となるように添加することが好ましく、約1〜10単位となるように添加することがより好ましい。なお、トランスグルタミナーゼとしてアクティバTG−K(製品名;味の素社製)を使用する場合、ゼラチン1gに対するトランスグルタミナーゼの添加量が1gの場合を100単位とする。
【0030】
前記混合液の調製に用いる装置としては、前記水中油型乳化組成物中にトランスグルタミナーゼ懸濁液を均一に分散することができるものであれば特に制限はないが、例えばバッチ式であればパドルやプロペラ羽根等を備えた攪拌槽やアジホモミキサー等が挙げられ、連続式であればラインミキサー、ラインホモミキサー、スタティックミキサー等のライン混合装置等が挙げられる。
【0031】
前記工程(b)は、前記混合液を噴霧し、冷却固化する工程である。
【0032】
前記噴霧には、例えば加圧式噴霧ノズル、回転式噴霧ノズル、回転円盤等が用いられ、粒子径を調節しやすい等の点から、好ましくは回転式噴霧ノズル等である。回転式噴霧ノズルを用いる場合、好ましい回転数として、例えば約200〜2000rpmを例示できる。
【0033】
前記冷却固化は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、前記混合液を液体窒素の充填された塔内に噴霧することにより行われる。この場合、噴霧された混合液は冷却されて落下し、塔下部で凍結状態の微細粒子となる。前記冷却の温度としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、製造効率が良い等の点から、約−196〜−15℃が好ましく、約−120℃〜−20℃がより好ましい。
【0034】
前記凍結状態の微細粒子は、製造時の効率等の点から、好ましくは約15〜22℃、より好ましくは約15℃〜20℃で静置し、トランスグルタミナーゼによる反応を進めることが好ましい。さらに、前記反応後の微細粒子を棚段式通風乾燥機、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機等により目的とする水分量まで乾燥し、本発明に係る多芯型ゼラチンマイクロカプセルを得ることができる。
【0035】
前記トランスグルタミナーゼによる反応の反応時間は、ゼラチン−トランスグルタミナーゼ混合液中のゼラチンの含有量等により異なり一様でないが、本発明の効果を妨げない限り適宜設定することができる。例えば、本発明の多芯型ゼラチンマイクロカプセルが口腔内で喫食または咀嚼される際に口腔内の温度により容易に崩壊しないよう、反応中の微細粒子を適宜サンプリングし、低くとも約36℃の水に溶解しないことが確認された時点で反応を終了することが好ましい。また、本工程での反応終了後の微細粒子に関し、約80℃以上の水に溶解しないものは香味が発現しにくいことから、より明確なピークを得るため、前記微細粒子が約80℃以上の水に溶解することが好ましい。従って、約36℃の水に溶解せず、約80℃の水に溶解する微細粒子が得られるよう反応時間を設定することがより好ましい。また、前記のように約36℃の水に溶解せず、約80℃の水に溶解するよう設定された反応時間が短すぎるもの(例えば、60秒未満)は、製造が困難であり、長すぎるもの(例えば、100時間以上)は、製造効率が悪いため、好ましくない。
【0036】
前記乾燥に流動層乾燥機を用いる場合、乾燥前に予め微細粒子100質量%にグリセリン脂肪酸エステルを添加してもよい。該グリセリン脂肪酸エステルの添加量は、乾燥後の粒子同士の付着を抑制する等の点から、約0.1〜10質量%が好ましく、約0.5〜4%がより好ましい。
【0037】
本発明に係る多芯型ゼラチンマイクロカプセル100質量%中の香料の含有量は通常約0.1〜80質量%、香味発現ピークがより明確に知覚される等の点から、好ましくは約1〜70質量%である。本発明に係る多芯型ゼラチンマイクロカプセルの特性値は、水分量が通常約10.0質量%以下、好ましくは約7.0質量%以下である。なお、水分量は「日本薬局方一般試験法水分測定法(カールフィッシャー法)」に準じて測定される。
【0038】
また、本発明の製造方法では、その他原材料として、本発明の目的・効果を阻害しない範囲内において、食品に用いられる甘味料、機能性物質、着色料、酵素等を使用することができる。
【0039】
上記甘味料としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、アスパルテーム、ネオテーム等が挙げられる。
【0040】
上記機能性物質としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、β−カロテン、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB類及びその誘導体、ビタミンD類及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンK及びその誘導体、キチン、キトサン、プロポリス、ロイヤルゼリー、コエンザイムQ10、α-リポ酸、DHA、EPA、リノール酸、リノレン酸、ミネラル類、ミネラル含有酵母等が挙げられる。
【0041】
上記着色料としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、β−カロテン、アナトー色素、マリーゴールド色素等が挙げられる。
【0042】
上記酵素としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、スーパーオキシドジスムターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ等が挙げられる。
【0043】
本発明の多芯型ゼラチンマイクロカプセルは、食品としてそのまま、或いは食品に配合して使用することができる。本発明の多芯型ゼラチンマイクロカプセルが配合される食品としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、焼き菓子、チョコレート、チューインガム、キャンディー、グミ等の菓子類、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン等のデザート類、賦形剤等の粉末と共に打錠して製造される錠菓等が挙げられる。中でも、前記香味発現ピーク時間まで口腔内に存在する食品が好ましいという観点から、チューインガム、キャンディー、グミ、錠菓等が好ましく、チューインガムがより好ましい。
【0044】
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。
【実施例】
【0045】
[実施例1]
ゼラチン(製品名:RGB;豚由来;新田ゼラチン社製)60g、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(製品名:ポエムB−10;理研ビタミン社製)2g、D−ソルビトール(製品名:ソルビトールFP;物産フードサイエンス社製)1gを精製水140gに加え、60℃に加熱・溶解し、50℃に冷却して水相とした。また、香料としてL−メントール(高砂香料社製)40gを50℃で溶解し、油相とした。上記水相を50℃に保ちながら、これに上記油相を加え、TKホモミクサー(プライミクス社製)で10000rpmにて攪拌・乳化した後、−60kPa(G)の減圧下で脱気することにより、水中油型乳化組成物を得た。
一方、トランスグルタミナーゼ(製品名:アクティバTG−K;味の素社製)3gを精製水20gに懸濁しトランスグルタミナーゼ懸濁液を得た。
次に、水中油型乳化組成物とトランスグルタミナーゼ懸濁液をライン混合装置(装置名:ラインスタティックミキサー;ノリタケカンパニーリミテッド社製)で混合しながら造粒ペースト(ゼラチン−トランスグルタミナーゼ混合液)とし、これを塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置に送液し、回転式噴霧ノズルを回転数500rpmで回転させて球状に噴霧した。噴霧された造粒ペーストは冷却されて塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。集められた該粒子200gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(製品名:ポエムHB;理研ビタミン社製)4gを加えて混合した後、20℃の恒温器に静置して反応させた。
静置開始から12時間後に、反応中の粒子0.1gをサンプリングし、36℃の精製水100gに懸濁したところ溶解しないことを確認したため、その確認の時点で反応を終了した。ここで、粒子0.1gを80℃の精製水に懸濁したところ、前記粒子は溶解することが確認された。反応後の粒子を流動層乾燥機(型式:LAB−1;パウレック社製)を用いて15℃で2時間、30℃で1時間、50℃で1時間の順に乾燥した。得られた乾燥物を16号篩(目開き1000μm)で篩い、通過物として、L−メントールを含有する多芯型ゼラチンマイクロカプセル(実施例品1)75gを得た。
【0046】
[実施例2]
ゼラチン(製品名:RGB;豚由来;新田ゼラチン社製)50g、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(製品名:ポエムB−10;理研ビタミン社製)2g、D−ソルビトール(製品名:ソルビトールFP;物産フードサイエンス社製)1gを精製水150gに加え、60℃に加熱・溶解し、50℃に冷却して水相とした。また、香料としてL−メントール(高砂香料社製)40gを50℃で溶解し、油相とした。上記水相を50℃に保ちながら、これに上記油相を加え、TKホモミクサー(プライミクス社製)で10000rpmにて攪拌・乳化した後、−60kPa(G)の減圧下で脱気することにより、水中油型乳化組成物を得た。
一方、トランスグルタミナーゼ(製品名:アクティバTG−K;味の素社製)3gを精製水20gに懸濁しトランスグルタミナーゼ懸濁液を得た。
次に、水中油型乳化組成物とトランスグルタミナーゼ懸濁液をライン混合装置(装置名:ラインスタティックミキサー;ノリタケカンパニーリミテッド社製)で混合しながら造粒ペースト(ゼラチン−トランスグルタミナーゼ混合液)とし、これを塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置に送液し、回転式噴霧ノズルを回転数500rpmで回転させて球状に噴霧した。噴霧された造粒ペーストは冷却されて塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。集められた該粒子200gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(製品名:ポエムHB;理研ビタミン社製)4gを加えて混合した後、20℃の恒温器に静置して反応させた。
静置開始から12時間後に、反応中の粒子0.1gをサンプリングし、36℃の精製水100gに懸濁したところ、粒子は精製水に溶解した。静置開始から24時間後に、同様の操作を行ったところ、36℃の精製水に溶解しないことを確認したため、その確認の時点で反応を終了した。ここで、粒子0.1gを80℃の精製水に懸濁したところ、前記粒子は溶解することが確認された。反応後の粒子を流動層乾燥機(型式:LAB−1;パウレック社製)を用いて15℃で2時間、30℃で1時間、50℃で1時間の順に乾燥した。得られた乾燥物を16号篩(目開き1000μm)で篩い、通過物として、L−メントールを含有する多芯型ゼラチンマイクロカプセル(実施例品2)70gを得た。
【0047】
[実施例3]
ゼラチン(製品名:RGB;豚由来;新田ゼラチン社製)40g、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(製品名:ポエムB−10;理研ビタミン社製)2g、D−ソルビトール(製品名:ソルビトールFP;物産フードサイエンス社製)1gを精製水160gに加え、60℃に加熱・溶解し、50℃に冷却して水相とした。また、香料としてL−メントール(高砂香料社製)40gを50℃で溶解し、油相とした。上記水相を50℃に保ちながら、これに上記油相を加え、TKホモミクサー(プライミクス社製)で10000rpmにて攪拌・乳化した後、−60kPa(G)の減圧下で脱気することにより、水中油型乳化組成物を得た。
一方、トランスグルタミナーゼ(製品名:アクティバTG−K;味の素社製)3gを精製水20gに懸濁しトランスグルタミナーゼ懸濁液を得た。
次に、水中油型乳化組成物とトランスグルタミナーゼ懸濁液をライン混合装置(装置名:ラインスタティックミキサー;ノリタケカンパニーリミテッド社製)で混合しながら造粒ペースト(ゼラチン−トランスグルタミナーゼ混合液)とし、これを塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置に送液し、回転式噴霧ノズルを回転数500rpmで回転させて球状に噴霧した。噴霧された造粒ペーストは冷却されて塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。集められた該粒子200gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(製品名:ポエムHB;理研ビタミン社製)4gを加えて混合した後、20℃の恒温器に静置して反応させた。
静置開始から12時間後に、反応中の粒子0.1gをサンプリングし、36℃の精製水100gに懸濁したところ、溶解しないことを確認したため、その確認の時点で反応を終了した。ここで、粒子0.1gを80℃の精製水に懸濁したところ、前記粒子は溶解することが確認された。反応後の粒子を流動層乾燥機(型式:LAB−1;パウレック社製)を用いて15℃で2時間、30℃で1時間、50℃で1時間の順に乾燥した。得られた乾燥物を16号篩(目開き1000μm)で篩い、通過物として、L−メントールを含有する多芯型ゼラチンマイクロカプセル(実施例品3)60gを得た。
【0048】
[実施例4]
ゼラチン(製品名:RGB;豚由来;新田ゼラチン社製)30g、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(製品名:ポエムB−10;理研ビタミン社製)2g、D−ソルビトール(製品名:ソルビトールFP;物産フードサイエンス社製)1gを精製水170gに加え、60℃に加熱・溶解し、50℃に冷却して水相とした。また、香料としてL−メントール(高砂香料社製)40gを50℃で溶解し、油相とした。上記水相を50℃に保ちながら、これに上記油相を加え、TKホモミクサー(プライミクス社製)で10000rpmにて攪拌・乳化した後、−60kPa(G)の減圧下で脱気することにより、水中油型乳化組成物を得た。
一方、トランスグルタミナーゼ(製品名:アクティバTG−K;味の素社製)3gを精製水20gに懸濁しトランスグルタミナーゼ懸濁液を得た。
次に、水中油型乳化組成物とトランスグルタミナーゼ懸濁液をライン混合装置(装置名:ラインスタティックミキサー;ノリタケカンパニーリミテッド社製)で混合しながら造粒ペースト(ゼラチン−トランスグルタミナーゼ混合液)とし、これを塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置に送液し、回転式噴霧ノズルを回転数500rpmで回転させて球状に噴霧した。噴霧された造粒ペーストは冷却されて塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。集められた該粒子200gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(製品名:ポエムHB;理研ビタミン社製)4gを加えて混合した後、20℃の恒温器に静置して反応させた。
静置開始から12時間後に、反応中の粒子0.1gをサンプリングし、36℃の精製水100gに懸濁したところ、粒子は精製水に溶解した。以後、12時間毎に同様の操作を行い、静置開始から96時間後に、初めて36℃の精製水には溶解しないことを確認したため、その確認の時点で反応を終了した。ここで、粒子0.1gを80℃の精製水に懸濁したところ、前記粒子は溶解することが確認された。反応後の粒子を流動層乾燥機(型式:LAB−1;パウレック社製)を用いて15℃で2時間、30℃で1時間、50℃で1時間の順に乾燥した。得られた乾燥物を16号篩(目開き1000μm)で篩い、通過物として、L−メントールを含有する多芯型ゼラチンマイクロカプセル(実施例品4)55gを得た。
【0049】
[比較例1]
ゼラチン(製品名:RGB;豚由来;新田ゼラチン社製)70g、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(製品名:ポエムB−10;理研ビタミン社製)2g、D−ソルビトール(製品名:ソルビトールFP;物産フードサイエンス社製)1gを精製水130gに加え、60℃に加熱・溶解し、50℃に冷却して水相とした。また、香料としてL−メントール(高砂香料社製)40gを50℃で溶解し、油相とした。上記水相を50℃に保ちながら、これに上記油相を加え、TKホモミクサー(プライミクス社製)で10000rpmにて攪拌・乳化した後、−60kPa(G)の減圧下で脱気することにより、水中油型乳化組成物を得た。
一方、トランスグルタミナーゼ(製品名:アクティバTG−K;味の素社製)3gを精製水20gに懸濁しトランスグルタミナーゼ懸濁液を得た。
次に、水中油型乳化組成物とトランスグルタミナーゼ懸濁液をライン混合装置(装置名:ラインスタティックミキサー;ノリタケカンパニーリミテッド社製)で混合しながら造粒ペースト(ゼラチン−トランスグルタミナーゼ混合液)とし、これを塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置に送液し、回転式噴霧ノズルを回転数500rpmで回転させて噴霧した。噴霧された造粒ペーストは冷却されて塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。集められた該粒子200gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(製品名:ポエムHB;理研ビタミン社製)4gを加えて混合した後、20℃の恒温器に静置して反応させた。
静置直後に粒子0.1gをサンプリングして36℃および80℃の精製水100gにそれぞれ懸濁したところ、反応がすでに必要以上に進んでいたためいずれの精製水に対しても粒子を溶解することができなかった。このため反応を速やかに終了し、得られた粒子を流動層乾燥機(型式:LAB−1;パウレック社製)を用いて15℃で2時間、30℃で1時間、50℃で1時間の順に乾燥した。得られた乾燥物を16号篩(目開き1000μm)で篩い、通過物として、L−メントールを含有する多芯型ゼラチンマイクロカプセル(比較例品1)30gを得た。
【0050】
[比較例2]
ゼラチン(製品名:RGB;豚由来;新田ゼラチン社製)20g、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(製品名:ポエムB−10;理研ビタミン社製)2g、D−ソルビトール(製品名:ソルビトールFP;物産フードサイエンス社製)1gを精製水180gに加え、60℃に加熱・溶解し、50℃に冷却して水相とした。また、香料としてL−メントール(高砂香料社製)40gを50℃で溶解し、油相とした。上記水相を50℃に保ちながら、これに上記油相を加え、TKホモミクサー(プライミクス社製)で10000rpmにて攪拌・乳化した後、−60kPa(G)の減圧下で脱気することにより、水中油型乳化組成物を得た。
一方、トランスグルタミナーゼ(製品名:アクティバTG−K;味の素社製)3gを精製水20gに懸濁しトランスグルタミナーゼ懸濁液を得た。
次に、水中油型乳化組成物とトランスグルタミナーゼ懸濁液をライン混合装置(装置名:ラインスタティックミキサー;ノリタケカンパニーリミテッド社製)で混合しながら造粒ペースト(ゼラチン−トランスグルタミナーゼ混合液)とし、これを塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置に送液し、回転式噴霧ノズルを回転数500rpmで回転させて球状に噴霧した。噴霧された造粒ペーストは冷却されて塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。集められた該粒子200gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(製品名:ポエムHB;理研ビタミン社製)4gを加えて混合した後、20℃の恒温器に静置して反応させた。
静置開始から12時間後に、反応中の粒子0.1gをサンプリングし、36℃の精製水100gに懸濁したところ、溶解した。以後、12時間毎に同様の操作を行ったが、静置開始から108時間が経過しても、粒子は精製水に溶解した。このため反応を終了し、得られた粒子を流動層乾燥機(型式:LAB−1;パウレック社製)を用いて15℃で2時間、30℃で1時間、50℃で1時間の順に乾燥した。得られた乾燥物を16号篩(目開き1000μm)で篩い、通過物として、L−メントールを含有する多芯型ゼラチンマイクロカプセル20g(比較例品2)を得た。得られた多芯型ゼラチンマイクロカプセルは、非常に脆く、評価に値するものではなかった。
【0051】
上記実施例および比較例の多芯型ゼラチンマイクロカプセルの製造について、原材料の配合、ゼラチン−トランスグルタミナーゼ混合液中のゼラチンの含有量(質量%)を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
[官能評価試験]
ガムベース30質量部、マルチトール63質量部、還元水飴5質量部からなるチューインガム生地に、上述した実施例および比較例で得た多芯型ゼラチンマイクロカプセル(実施例品1〜4及び比較例品1)2質量部を添加し、これを40℃で10分間バッチ式ニーダーを用いて混練した後に成型し、1.5g/個のチューインガム(試作品1〜5)を得た。これらチューインガムを咀嚼した場合の香味発現ピークの有無、及び香味発現ピークを有するものに関し咀嚼を開始してからL−メントールの香味の発現が最大となるまでの時間(香味発現ピーク時間)を測定した。試験は6名のパネラーで行った。香味発現ピークの有無は、「香味発現ピークあり」と判断したパネラーが6名の場合は○、3〜5名の場合は△、0〜2名の場合は×として評価した。また、香味発現ピーク時間の結果は、6名の測定時間の平均値として求めた。結果を表2に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
表2の結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた多芯型ゼラチンマイクロカプセル(実施例品1〜4)を使用したチューインガム(試作品1〜4)は、いずれも香味発現ピーク時間が1分30秒以上4分未満であった。これに対し、比較例品1の多芯型ゼラチンマイクロカプセルを使用したチューインガム(試作品5)では、香味の発現が遅延する効果は得られたが、香味の発現が一定の時間内に集中せず、その発現強度のピークが知覚されなかった。