特許第5982486号(P5982486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5982486電動パルス放電によって光放射を発生するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982486
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】電動パルス放電によって光放射を発生するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H05G 2/00 20060101AFI20160818BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20160818BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H05G2/00 K
   H05H1/24
   H01L21/30 531S
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-524281(P2014-524281)
(86)(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公表番号】特表2014-527264(P2014-527264A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】EP2012002483
(87)【国際公開番号】WO2013020613
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2015年4月13日
(31)【優先権主張番号】11006474.8
(32)【優先日】2011年8月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500142051
【氏名又は名称】フラウンホーファー ゲゼルシャフト ツア フェルデルング デア アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】プリュンマー ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】コンラーツ ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ベルクマン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】キュッパー フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ヨンカース イェルーン
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−270149(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/070540(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05G 2/00
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動パルス放電によって光放射を発生する方法であって、
− 発生されることになる前記放射(18)を放射するプラズマ(15)が、放電空間における少なくとも2つの電極(1、2)間でガス媒体中にて点火され、
− 前記ガス媒体が、前記放電空間にて移動する1つ又は幾つかの表面に施され且つ1つ又は幾つかのパルスエネルギビーム(9)によって少なくとも部分的に蒸発される液体材料(6)から少なくとも部分的に生成され、
− 前記パルスエネルギビーム(9)の少なくとも2つの連続パルス(16)が、前記液体材料(6)を蒸発させるために、各放電の時間間隔内に前記表面上に印加され、
− 前記プラズマ(15)の発光中心の位置が、前記少なくとも2つの連続パルス(16)間の時間遅延及び/又は前記少なくとも2つの連続パルス(16)のパルスエネルギを制御することによって、多数の前記放電をカバーする期間中、一定に保持される方法。
【請求項2】
前記発光中心の前記位置が監視され、前記時間遅延及び/又はパルスエネルギが、その監視に基づいてフィードバック制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電極(1、2)の少なくとも1つにおける端部の位置の変化が監視され、前記時間遅延及び/又はパルスエネルギが、位置の前記変化に基づいて制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマ(15)を発生するために印加される電力が監視され、前記時間遅延及び/又はパルスエネルギが、前記印加された電力に基づいて制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記時間遅延及び/又はパルスエネルギに対する、且つ前記電極(1、2)の前記少なくとも1つにおける前記端部の位置の変化に対する、前記プラズマ(15)の前記発光中心の前記位置の依存が、前もって測定され、前記時間遅延及び/又はパルスエネルギの前記制御が、前記測定に基づいて実行される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記時間遅延及び/又はパルスエネルギに対する、且つ前記印加された電力に対する、前記プラズマ(15)の前記発光中心の前記位置の依存が、前もって測定され、前記制御が、前記測定に基づいて実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記電極(1、2)の少なくとも1つが、動作中に回転可能に設定され、前記液体材料(6)が、前記電極(1、2)の前記少なくとも1つにおける表面に施される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの連続パルス(16)が、300ns以下の相互時間遅延で、且つ1mJ以上100mJ以下のパルスエネルギで印加される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
電動パルス放電によって光放射を発生する装置であって、
− 互いに距離をおいて放電空間に配置された少なくとも2つの電極(1、2)であって、それら電極(1、2)間でガス媒体中にてプラズマ(15)の点火を可能にする少なくとも2つの電極(1、2)と、
− 前記放電空間を通って移動する1つ又は幾つかの表面上に液体材料(6)を施すための装置と、
− 前記表面上に1つ又は幾つかのパルスエネルギビーム(9)を導いて、前記施された液体材料(6)を少なくとも部分的に蒸発させ、それによって前記ガス媒体の少なくとも一部を生成するのに適したエネルギビーム装置であって、前記液体材料(6)を蒸発させるために、前記パルスエネルギビーム(9)の少なくとも2つの連続パルス(16)を、各放電の時間間隔内で、前記表面上に印加するように構成されたエネルギビーム装置と、
− 前記プラズマ(15)の発光中心の位置が、多数の前記放電をカバーする期間中に一定に保持されるように、前記2つの連続パルス(16)間の時間遅延及び/又はこれらの連続パルス(16)のパルスエネルギを制御するように構成された制御ユニットと、
を備えて構成される装置。
【請求項10】
前記発光中心の前記位置を監視するために配置された放射センサを更に備え、前記制御ユニットが、前記監視に基づいて前記時間遅延及び/又はパルスエネルギのフィードバック制御を実行するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記電極(1、2)の少なくとも1つにおける端部の位置の変化を監視するための装置を更に備え、前記制御ユニットが、前記時間遅延及び/又はパルスエネルギに対する、且つ前記電極(1、2)の前記少なくとも1つにおける前記端部の位置の変化に対する、前記プラズマ(15)の前記発光中心の前記位置の依存に関する記憶データへのアクセスを有し、且つ位置における前記監視された変化及び前記記憶データに基づいて、前記時間遅延及び/又はパルスエネルギを制御するように構成され、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記プラズマ(15)を発生するために印加される電力を監視するための手段を更に備え、前記制御ユニットが、前記時間遅延及び/又はパルスエネルギに対する、且つ前記印加された電力に対する、前記プラズマ(15)の前記発光中心の前記位置の依存に関する記憶データへのアクセスを有し、且つ前記印加された電力及び前記記憶データに基づいて、前記時間遅延及び/又はパルスエネルギを制御するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
液体材料(6)を施すための前記装置が、前記電極(1、2)の少なくとも1つにおける表面に前記液体材料(6)を施すのに適し、前記電極(1、2)の前記少なくとも1つが、動作中に回転可能に配置され得る回転可能なホイールとして構成される、請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パルス放電によって光放射を発生するための方法及び装置であって、プラズマが、放電空間における少なくとも2つの電極間のガス媒体において点火され、前記プラズマが、発生されることになる前記放射を放射し、前記ガス媒体が、液体材料から少なくとも部分的に生成され、この液体材料が、前記放電空間において移動する1つ又は幾つかの表面に施され、且つ1つ又は幾つかのパルスエネルギビームによって少なくとも部分的に蒸発され、前記パルスエネルギビームの少なくとも2つの連続パルスが、前記液体材料を蒸発させるために、各放電の時間間隔内に前記表面上に印加される方法及び装置に関する。特に、約1〜20nmの波長領域におけるEUV放射線又は軟x線を放射する場合に、かかる放電ベースの光源は、EUVリソグラフィ及び計測の分野で主として必要とされる。
【背景技術】
【0002】
EUVリソグラフィにおいて、EUV生成プラズマの位置は、スキャナの優れた撮像特性を保証するために、おおよそ数十μm内で安定している必要がある。特許文献1から周知の装置のようなEUV放射発生装置において、プラズマの発光中心の位置は、トリガレーザの指向安定性によって2つの方向において、且つ溶融金属がその同じレーザによって蒸発されている出所となる電極表面の位置によって第3の方向において決定される。しかしながら、この最後の位置は、空間において完全には固定されていない。何故なら、電極輪が、動作中に熱くなり、従って半径方向に膨張するからである。このために、EUVホットスポット(プラズマの発光中心)は、もう一方の電極の方へシフトされる。これは、定常状態動作の場合には問題にはならないであろう。何故なら、熱定常状態に達するのに必要な短時間後に、位置が一定になるであろうからである。しかしながら、特許文献1から周知のようなスキャナにおいて、光源は、類似の時間尺度でオン及びオフにされ、その結果、定常状態はほとんど達せられず、EUV生成プラズマは、絶えず移動している。
【0003】
特許文献2は、溶融金属を蒸発させるために、小さな時間遅延を伴って始動する2つのレーザを用い、向上された効率でEUV放射を発生するための方法及び装置を開示する。各放電の時間間隔内に印加される2つの圧縮パルス間の時間遅延は、最大EUV出力を達成するために変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 2005/025280 A2
【特許文献2】WO 2010/070540 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、電動パルス放電によって光放射を発生するための方法及び装置であって、プラズマの発光中心の位置が安定される方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1及び請求項9に記載の方法及び装置で達成される。方法及び装置の有利な実施形態は、従属請求項の主題であり、記載の以下の部分で更に説明される。
【0007】
提案される方法において、プラズマが、放電空間における少なくとも2つの電極間のガス媒体において点火され、前記プラズマは、発生されることになる放射を放射する。ガス媒体は、液体材料、特に溶融金属から少なくとも部分的に発生されるが、液体材料は、放電空間において移動する1つ又は幾つかの表面に施され、且つ1つ又は幾つかのパルスエネルギビームによって少なくとも部分的に蒸発され、1つ又は幾つかのパルスエネルギビームは、例えばイオン又は電子ビームであっても良く、且つ好ましい実施形態においてレーザビームである。前記パルスエネルギビームの少なくとも2つの連続パルスが、前記液体材料を蒸発させるために、各放電の時間間隔内に前記表面上に印加される。提案される方法において、プラズマの発光中心の位置、即ちホットスポットの空間位置は、前記少なくとも2つの連続パルス間の時間遅延及び/又はこれらの連続パルスのパルスエネルギを制御することによって、多数の前記放電をカバーする期間中に、一定に保持される。
【0008】
対応する装置は、電極間のガス媒体においてプラズマの点火を可能にする互いに少し離れた距離で放電空間に配置された少なくとも2つの電極と、前記放電空間において移動する1つ又は幾つかの表面に液体材料を施すための装置と、前記施された液体材料を少なくとも部分的に蒸発させ、それによって前記ガス媒体の少なくとも一部を生成する1つ又は幾つかのパルスエネルギビームを前記表面上に導くように適合されたエネルギビーム装置と、を含む。エネルギビーム装置は、前記液体材料を蒸発させるために、パルスエネルギビームの少なくとも2つの連続パルスを各放電の時間間隔内に前記表面上に印加するように構成される。更に、前記プラズマの発光中心の位置が、多数の前記放電をカバーする期間中に一定に保持されるように、制御ユニットが、前記2つの連続パルス間の時間遅延及び/又はこれらの連続パルスのパルスエネルギを制御するように構成される。提案される装置は、国際公開第2005/025280 A2号パンフレット(特許文献1)に説明されている装置のように別の方法で構成されてもよく、その国際公開は、参照によって本明細書に援用される。
【0009】
提案される方法及び装置において、1つの単一エネルギビームパルスが、各電極放電用に印加されるだけでなく、少なくとも2つの連続パルスが、各放電又は電流パルスの時間間隔内に印加される。時間間隔は、対応する放電を開始する第1のエネルギビームパルスの印加で始まり、コンデンサバンクが、対応する電流パルス後に放電されたときに終了する。少なくとも2つの連続パルスは、適切なタイミングを達成するために自らのトリガを有する2つの別個のエネルギビーム源、特にレーザ光源を使用することによって、発生させることができる。ただ1つの単一エネルギビーム源を使用することがまた可能であり、そのパルスエネルギビームは、2つ以上の部分ビームに分割される。次に、単一パルス間の遅延は、異なる部分ビーム用の異なる遅延線によって達成される。1つのビームを幾つかの部分ビームに分割するための、特にレーザビーム用の適切なビームスプリッタが、当該技術分野おいて周知である。好ましくは、2つの連続パルスは、300ns以下の相互時間遅延で、且つ1mJから100mJまで及ぶパルスエネルギで印加される。
【0010】
本発明の発明者らは、プラズマの発光中心の位置、特に電極表面に対するこの発光中心の距離が、2つの連続レーザパルス間の正確な遅延及びこれらの連続レーザパルスのパルスエネルギに依存することを発見した。2つのレーザパルスの時間遅延及び/又はパルスエネルギの変動によって、プラズマの発光中心は、数十ミリメートルまで移動させることができる。かかる移動は、電極、特に装置の実施形態の1つにおける電極輪の熱膨張を補償するために十分である。したがって、本方法及び装置において、2つの連続パルス間の時間遅延及び/又はこれらのパルスのパルスエネルギは、プラズマの発光中心が、多数の放電をカバーする期間中に一定に保持されるように、制御される。この文脈における一定なる用語は、発光中心の位置が、好ましは>100μmの距離にわたって移動しないことを意味する。
【0011】
この制御は、プラズマの発光中心の位置の測定に基づいて実時間で実行され、監視に基づいたフィードバック制御に帰着することができる。制御はまた、同じく監視できる電極の少なくとも1つにおける端部の位置の変化に基づくことができる。更なる可能性は、プラズマを発生するために電極に印加される電力を監視すること、並びに消散された電力の尺度である印加された電力に基づいて、パルスの時間遅延及び/又はエネルギを制御することである。電極に印加された電力は、コンデンサバンクの制御、即ち充電電圧、コンデンサバンクの容量、及び放電頻度から周知であり、従って測定なしに決定することができる。最後の2つの制御機構は、印加された電力又は電極端部の移動と共にプラズマの発光中心の移動に関する知識をそれぞれ必要とする。この目的で、時間遅延及び/又はパルスエネルギに対する、且つ前記電極の前記少なくとも1つにおける前記端部の位置の変化に対する、プラズマの発光中心の位置の依存が、前もって測定される。もう一方の場合に、時間遅延及び/又はパルスエネルギに対する、且つ印加された電力に対する、プラズマの発光中心の位置の依存が、前もって測定される。測定結果は、装置の動作中に制御のために利用可能なように記憶される。測定結果はまた、前記端部の移動又は印加された電力に依存する発光中心の位置を安定させるための必要な時間遅延及び/又はパルスエネルギが記憶されるように、前もって評価することができる。
【0012】
したがって、一実施形態における提案される装置は、前記電極の少なくとも1つにおける端部の位置の変化を監視するための手段を含み、制御ユニットは、時間遅延及び/又はパルスエネルギに対する、且つ前記電極の前記少なくとも1つにおける前記端部の位置の変化に対する、発光中心の位置の依存に関する上記の記憶データへのアクセスを有し、且つ位置における監視された変化及び記憶データに基づいて、時間遅延又はパルスエネルギを制御するように構成される。
【0013】
更なる実施形態において、提案される装置は、プラズマを発生するために印加される電力を監視するための手段を含む。この場合に、制御ユニットは、時間遅延及び/又はパルスエネルギに対する、且つ印加された電力に対する、プラズマの発光中心の位置の依存に関する記憶データへのアクセスを有し、且つ印加された電力及び記憶データに基づいて、時間遅延及び/又はパルスエネルギを制御するように構成される。
【0014】
提案される方法及び装置は、特許請求の範囲を限定せずに、添付の図に関連して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】EUV放射を発生するための装置の概略図である。
図2】一放電の期間内に印加される2つの連続パルス間の時間遅延を示す概略図である。
図3】連続レーザパルス間の時間遅延に依存するプラズマの移動を示すイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本方法を適用できる、且つ本発明の装置の一部になり得る、EUV放射又は軟x線を発生するための装置の概略側面図を示す。装置は、真空チャンバに配置された2つの電極1、2を含む。円盤形の電極1、2は、回転自在に取り付けられる。即ち、それらは、動作中に回転軸3を中心に回転される。回転中に、電極1、2は、対応する容器4、5に部分的に浸かる。これらの容器4、5のそれぞれは、溶融金属6、この場合には液体スズを含む。溶融金属6は、約300℃、即ちスズの230℃の融点よりわずかに高い温度に維持される。容器4、5における溶融金属6は、容器に接続された加熱装置又は冷却装置(図示せず)によって、動作温度より高く維持される。回転中に、電極1、2の表面は、液体金属膜が前記電極上に生じるように、液体金属によって湿らせられる。電極1、2上の液体金属の層厚さは、ストリッパ11によって、典型的には0.5〜40μmの範囲に制御することができる。電極1、2への電流は、溶融金属6を介して供給され、溶融金属6は、絶縁フィードスルー8を介してコンデンサバンク7に接続される。
【0017】
電極輪は、10−4hPa未満の基本真空度を備えた真空システムに有利に配置される。どんな制御されない絶縁破壊も引き起こさずに、高電圧、例えば2〜10kVの電圧を電極に印加することができる。この絶縁破壊は、パルスエネルギビーム、本例ではレーザパルスの適切なパルスによって、制御された方法で開始される。図に示されているように、レーザパルス9は、2つの電極間の最も狭いポイントにおいて、電極1、2の1つに合焦される。その結果、電極1、2上の金属膜の一部が蒸発し、電極ギャップにわたって橋絡する。これは、コンデンサバンク7からの非常に高い電流によって達成される、このポイントにおける破裂放電につながる。電流は、金属蒸気が、イオン化され、ピンチプラズマ15において所望のEUV放射を放射するほどの高温に、金属蒸気を加熱する。
【0018】
金属蒸気が装置から漏れるのを防止するために、デブリ軽減ユニット10が、装置の前に配置される。装置におけるハウジング14の汚染を回避するために、スクリーン12が、電極1、2とハウジング14との間に配置されてもよい。追加の金属スクリーン13が、電極1、2間に配置されて、凝縮金属が2つの容器4、5に逆に流れ込むことができるようにしても良い。
【0019】
提案される方法及び装置において、放電当たり1つの単一レーザパルスだけでなく、少なくとも2つの連続パルスが、スズ雲を発生するために使用される。図2は、約30nsの相互時間遅延を伴う2つの連続レーザパルス16がスズを蒸発させるため使用される実施形態を示す。この図において、EUV放射18の放射時間と同様に、電流パルス17の期間もまた示されている。この例において、2つのレーザパルス16の第1のパルスと電流17の開始との間の時間は、約100nsである。
【0020】
プラズマ15の発光中心の位置を一定に保持するために、2つの連続パルス16間の時間遅延は、本方法及び装置において制御される。この目的のために、この発光中心の位置は、適切なカメラを介した実時間及び時間遅延において監視されてもよく、且つ/又は次にパルスエネルギが、能動フィードバック制御によって制御されてもよい。他の実施形態において、制御は、プラズマを発生するために印加される電力の決定若しくは測定、又はプラズマ近くにおける電極端部の移動の測定に基づいている。後者の測定もまた、カメラを用いて実行されてもよい。両方の場合に、一方ではプラズマピンチの位置に対する測定値の影響と、かかる場合に発光中心の位置を安定させるために必要とされる時間遅延及び/又はパルスエネルギと、を示すキャリブレーション測定が前もって実行された。これらのキャリブレーション測定、及び対応する値の実際の監視に基づいて、連続パルス間の時間遅延及び/又は連続パルスのパルスエネルギは、プラズマ発光中心の安定した位置を達成するために変更される。
【0021】
図3は、プラズマ15の発光中心の位置に対する、2つの連続パルス間の時間遅延の影響の例を示す。上部の図において、連続レーザパルスは、20nsの時間遅延で印加され、下部の図において、パルス間の時間遅延は、65nsに増加される。時間遅延におけるこの増加は、約300μmの距離近くの、プラズマ15の発光中心の位置の移動に帰着する。
【0022】
図面及び前述の記載において本発明を詳細に図解し説明したが、かかる図解及び説明は、実例又は例示であり、非限定的であると考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。上記及び特許請求の範囲における異なる実施形態はまた、組み合わせることができる。開示された実施形態に対する他の変形が、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解され達成され得る。特許請求の範囲において、単語「含む」は、他の要素もステップも排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除しない。手段が、相互に異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に利用され得ないことを意味しない。請求項における参照符号は、これらの請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0023】
1 電極
2 電極
3 回転軸
4 容器
5 容器
6 溶融金属
7 コンデンサバンク
8 フィードスルー
9 レーザパルス
10 デブリ軽減ユニット
11 ストリッパ
12 シールド
13 金属スクリーン
14 ハウジング
15 プラズマ
16 連続レーザパルス
17 電流パルス
18 EUV放射
図1
図2
図3