(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を含む、炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体が、イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体で変性され、JIS K7122に従って測定される融解熱が、0J/g以上、50J/g以下である変性オレフィン重合体(A)と、
ポリイソシアネート(B)と
を含み、
前記変性オレフィン重合体(A)の融点は、40℃以上100℃未満であることを特徴とする、接着剤。
前記プロピレンに由来する構成単位の含有割合が、前記炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、40モル%以上、95モル%以下であることを特徴とする、請求項2に記載の接着剤。
前記重合体において、前記プロピレンに由来する構成単位を除く構成単位が、すべて前記炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構成単位であることを特徴とする、請求項2に記載の接着剤。
前記単量体の含有割合が、前記変性オレフィン重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上、15質量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の接着剤を調製するための組成物は、変性オレフィン重合体(A)と、ポリイソシアネート(B)とを含む。
【0030】
以下、変性オレフィン重合体(A)と、ポリイソシアネート(B)とのそれぞれについて詳述する。
【0031】
1.変性オレフィン重合体(A)
変性オレフィン重合体(A)は、炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体(a)が、イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体(b)によって変性されることにより得られる。
【0032】
1−1.炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体(a)
炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体(a)は、具体的には、炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を含んでいる。
【0033】
つまり、炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体(a)は、炭素数4〜20のα−オレフィンからなる単独重合体か、または、炭素数4〜20のα−オレフィンと炭素数2〜3のα−オレフィンとからなる共重合体である。
【0034】
炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの直鎖状または分岐状のα−オレフィンが挙げられる。
【0035】
炭素数4〜20のα−オレフィンは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0036】
炭素数4〜20のα−オレフィンとして、好ましくは、炭素数4〜10の直鎖状のオレフィン、より好ましくは、炭素数4〜6の直鎖状のオレフィン、さらに好ましくは、1−ブテンが挙げられる。炭素数4〜20のα−オレフィンとして1−ブテンを用いれば、良好な溶剤溶解性と優れた樹脂強度とを両立することができる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0037】
炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、上記した炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0038】
炭素数2〜20のα−オレフィンとして、好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテンが挙げられ、より好ましくは、プロピレンおよび1−ブテンの併用が挙げられる。
【0039】
炭素数2〜20のα−オレフィンとして、具体的には、例えば、炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上と、炭素数2〜3のα−オレフィンから選ばれる1種以上との共重合体、例えば、炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上の単独重合体または共重合体などが挙げられる。好ましくは、共重合体が挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフィンと、エチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体が挙げられ、さらに好ましくは、1−ブテンとプロピレンとの共重合体が挙げられる。1−ブテンとプロピレンとの共重合体であれば、良好な溶剤溶解性と優れた樹脂強度とを両立することができる。
【0040】
共重合体としては、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体が挙げられる。好ましくは、ランダム共重合体が挙げられる。
【0041】
炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合は、炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、例えば、5モル%以上、好ましくは、10モル%以上、より好ましくは、20モル%以上、さらに好ましくは、30モル%以上であり、また、例えば、100モル%以下、好ましくは、60モル%以下、より好ましくは、さらに好ましくは、50モル%以下、とりわけ好ましくは、40モル%以下である。上記含有割合が上記上限以下であれば、優れた樹脂強度を担保することができる。一方、上記含有割合が上記下限以上であれば、優れた溶剤溶解性を担保することができる。
【0042】
なお、炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体は、炭素数2〜20(炭素数4〜20を含む)のα−オレフィンに由来する構成単位を必須の構成単位として含み、必要により、α−オレフィン以外の不飽和単量体(他の不飽和単量体という。)に由来する構成単位を任意の構成単位として含むこともできる。他の不飽和単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役ポリエン類や、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エトリデン−2ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエンなどの非共役ポリエン類が挙げられる。
【0043】
一方、重合体において、炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構成単位を除く構成単位としては、好ましくは、すべて炭素数2〜3のα−オレフィンに由来する構成単位、より好ましくは、すべてプロピレンに由来する構成単位が挙げられる。
【0044】
換言すれば、重合体において、炭素数2〜3のα−オレフィン(好ましくは、プロピレン)に由来する構成単位を除く構成単位が、すべて炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構成単位である。好ましくは、重合体が、炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種と、炭素数2〜3のα−オレフィン(具体的には、プロピレン)との共重合体であり、かつ、上記した他の不飽和単量体に由来する構成成分を含まない。
【0045】
この場合には、炭素数2〜3のα−オレフィン(好ましくは、プロピレン)に由来する構成単位の含有割合は、炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位100モル%に対して、例えば、40モル%以上、好ましくは、50モル%以上、より好ましくは、60モル%以上、さらに好ましくは、65モル%以上であり、また、例えば、95モル%以下、好ましくは、90モル%以下、より好ましくは、80モル%以下、さらに好ましくは、70モル%以下である。上記含有割合が上記上限以下であれば、共重合体の融点(Tm)および融解熱(ΔH)を低下させることができる。一方、上記含有割合が上記下限以上であれば、優れた樹脂強度を担保することができる。
【0046】
上記した重合体(a)は、α−オレフィンの重合体の製造に通常用いられる公知の固体状Ti触媒やメタロセン触媒などの存在下で、炭素数2〜20のα−オレフィンを重合させることにより得られる。メタロセン触媒は、例えば、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドなどのメタロセン化合物と、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物と、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物とからなる。より具体的には、重合体(a)は、例えば、国際公開第2004/87775号パンフレットに記載されている方法などによって得られる。
【0047】
得られた重合体(a)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定され、標準ポリスチレンで換算される重量平均分子量(Mw)は、例えば、10,000以上、1,000,000以下であり、また、分子量分布(分散度)(は、1以上、3以下である。なお、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)である。
【0048】
また、重合体の融点(Tm)は、例えば、120℃未満、好ましくは100℃未満である。
【0049】
1−2.イソシアネート基と反応することができる官能基を有する単量体(b)
イソシアネート基と反応することができる官能基は、活性水素を有する基であって、そのような基としては、例えば、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、下記式(1)で示される酸無水物基などが挙げられる。これら官能基は、単独使用または併用することができ、好ましく、カルボキシル基、酸無水物基、より好ましくは、酸無水物基が挙げられる。
【0050】
なお、本発明において酸無水物基という場合、当該酸無水物基の一部または全部が加水分解などを受けて二塩基酸(具体的には、ジカルボン酸)の形になっていてもよい。
【0051】
とりわけ好ましくは、官能基のすべてがカルボキシル基および/または酸無水物基、最も好ましくは、酸無水物基である。官能基がカルボキシル基および/または酸無水物基、好ましくは、酸無水物である場合(具体的には、官能基のすべてがカルボキシル基および/または酸無水物基、好ましくは、酸無水物基である場合)には、組成物から接着剤層を形成して硬化させる際に、カルボキシル基および/または酸無水物基、好ましくは、酸無水物基がイソシアネート基と効率的に反応しながら、変性ポリオレフィン重合体(A)の基材(例えば、アルミニウム箔など)に対する親和性を高めて、接着剤層の基材(例えば、アルミニウム箔など)に対する密着力をより一層向上させることができる。また、耐電解液性を向上させることができる。
:式(1)
【0053】
上記した官能基を有する単量体(b)としては、例えば、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、ビニルエステル化合物、および、それらの誘導体(不飽和カルボン酸無水物を除く)などが挙げられる。
【0054】
水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシープロピル(メタ)アクリレート、3−クロロー2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、さらには、10−ウンデセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、N−メチロールアクリルアミド、2−(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2−ブテン1,4−ジオール、グリセリンモノアルコールなどが挙げられる。
【0055】
アミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、下式で表されるアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体が挙げられる。
【0056】
−NHR
1−
式中、R
1は、例えば、水素原子、例えば、炭素数1〜12、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基、例えば、炭素数8〜12、好ましくは、6〜9のシクロアルキル基である。なお、上記のアルキル基、シクロアルキル基は、さらに置換基を有してもよい。
【0057】
具体的には、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノメチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類、例えば、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体、例えば、p−アミノヘキシルコハク酸イミド、2−アミノエチルコハク酸イミドなどのイミド類が挙げられる。
【0058】
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、1分子中に重合可能な不飽和結合基およびエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーが用いられる。
【0059】
このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、あるいはマレイン酸、フマル酸、クロトン酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボン酸(ナジック酸
TM)、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸
TM)などの不飽和ジカルボン酸のモノグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12)、p−スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが挙げられる。
【0060】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0061】
不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0062】
誘導体としては、例えば、塩化マレニル、マレニルイミド、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどの、不飽和カルボン酸の誘導体が挙げられる。
【0063】
ビニルエステル化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどが挙げられる。
【0064】
単量体(b)は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0065】
単量体(b)として、好ましくは、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物、より好ましくは、不飽和カルボン酸無水物、さらに好ましくは、無水マレイン酸が挙げられる。また、好ましくは、単量体(b)のすべてが不飽和カルボン酸無水物、より好ましくは、単量体(b)のすべてが無水マレイン酸である。
【0066】
単量体(b)が不飽和カルボン酸無水物(具体的には、無水マレイン酸)である場合(好ましくは、単量体(b)のすべてが不飽和カルボン酸無水物(具体的には、無水マレイン酸)である)場合には、組成物から接着剤層を形成して硬化させる際に、不飽和カルボン酸無水物(より具体的には、無水マレイン酸)がポリイソシアネートと反応しながら、変性ポリオレフィン重合体(A)の基材(例えば、アルミニウム箔など)に対する親和性を高めて、接着剤層の基材(例えば、アルミニウム箔など)に対する密着力をより一層向上させることができる。
【0067】
なお、本発明において、例えば、上記した官能基を有する単量体(b)と、上記した官能基を有しない単量体(b’)(例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのエチレン性不飽和化合物など)とを併用して、重合体(a)を変性することもできる。好ましくは、官能基を有しない単量体(b’)を併用せず、上記した官能基を有する単量体(b)のみによって、重合体(a)を変性する。このように変性すれば、重合体(a)が、官能基を有しない単量体(b’)が存在することなく、官能基を有する単量体(b)で変性される。これによって、変性オレフィン重合体(A)とポリイソシアネートとを効率的に反応させることができ、そのため、耐電解液性を向上させることができる。
【0068】
1−3.変性オレフィン重合体(A)の調製
変性オレフィン重合体(A)を調製するには、単量体(b)を、重合体(a)の存在下で重合反応させればよく、これによって、重合体(a)が、単量体(b)またはその重合体によって、変性される。具体的には、変性オレフィン重合体(A)を調製するには、下記(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)重合体(a)を有機溶媒に溶解し、単量体(b)およびラジカル重合開始剤を添加して加熱、攪拌することにより、重合体(a)を単量体(b)で変性して反応させる方法。
(2)重合体(a)を加熱溶融して、得られる溶融物に単量体(b)およびラジカル重合開始剤を添加し、攪拌することにより、重合体(a)を単量体(b)で変性して反応させる方法。
(3)重合体(a)、単量体(b)およびラジカル重合開始剤を予め混合し、得られる混合物を押出機に供給して加熱混練しながら、重合体(a)を単量体(b)で変性して反応させる方法。
(4)重合体(a)に、単量体(b)およびラジカル重合開始剤を有機溶媒に溶解してなる溶液を含浸させた後、重合体(a)が溶解しない最高の温度まで加熱することにより、重合体(a)を単量体(b)で変性して反応させる方法。
【0069】
単量体(b)の配合割合は、最終的に必要な単量体(b)の変性量が得られるように配合すれば特に制限はなく、重合体(a)および単量体(b)の総量100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、5質量部以下、さらに好ましくは、4質量部以下、とりわけ好ましくは、2質量部以下である。
【0070】
反応温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、80℃以上であり、また、例えば、200℃以下であり、反応時間は、例えば、1分〜10時間程度である。
【0071】
反応方式としては、回分式、連続式が挙げられ、変性反応を均一に実施するためには、好ましくは、回分式が挙げられる。
【0072】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機パーオキシド、有機パーエステルなどが挙げられる。
【0073】
有機パーオキシドとしては、例えば、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクロルベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシド)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。また、有機パーエステルとしては、例えば、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパーフェニルアセテート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーsec−オクトエート、tert−ブチルパーピバレート、クミルパーピバレート、tert−ブチルパージエチルアセテートなどが挙げられる。さらに、ラジカル重合開始剤として、その他のアゾ化合物、例えば、アゾビス−イソブチルニトリル、ジメチルアゾイソブチルニトリルも挙げられる。
【0074】
ラジカル重合開始剤のうち、好ましくは、有機パーオキシド、より好ましくは、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキシドが挙げられる。
【0075】
ラジカル重合開始剤の配合割合は、変性オレフィン重合体(A)100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、10質量部以下である。
【0076】
また、変性オレフィン重合体(A)の調製は、上記(1)〜(4)の方法において、溶媒の存在下、あるいは、無溶媒で実施する。
【0077】
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノールなどのアルコール、例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトン、例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブなどのセルソルブ、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチルなどのエステル、例えば、トリクロルエチレン、ジクロルエチレン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらの中では、好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ケトンが挙げられる。溶媒は、1種単独あるいは2種以上併用して使用することができる。
【0078】
α−オレフィンの重合体(a)の変性を溶媒の存在下で実施する場合には、得られた変性オレフィン重合体(A)は、その溶液、具体的には、ワニスとして調製される。
【0079】
1−4.変性オレフィン重合体(A)の物性
変性オレフィン重合体(A)の、GPCによって測定され、標準ポリスチレンで換算される重量平均分子量(Mw)は、例えば、1×10
4以上、好ましくは、2×10
4以上、より好ましくは、3×10
4以上であり、また、例えば、1000×10
4以下、好ましくは、100×10
4以下、より好ましくは、50×10
4以下である。
【0080】
重量平均分子量が上記下限以上であると、塗膜の強度を十分高くすることができ、また密着強度が良好となる。一方、重量平均分子量が上記上限以下であれば、溶剤への溶解性が良好であり、固化、析出が起こりにくい。とりわけ、変性オレフィン重合体(A)の重量平均分子量が50×10
4以下であれば、特に、接着性能が優れる傾向にある。
【0081】
変性オレフィン重合体(A)の融点(Tm)は、例えば、120℃未満、好ましくは100℃未満、より好ましくは、90℃以下、さらに好ましくは、80℃以下であり、また、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上である。
【0082】
変性オレフィン重合体(A)の融点(Tm)は、JIS K 7122に従って、差走査熱量測定(DSC測定)によって求められ、具体的には、10℃/minで30℃から180℃まで昇温後、3分間その温度で保持し、次いで、10℃/minで0℃まで降温し、3分間その温度で保持し、次いで、再度10℃/minで150℃まで昇温する過程において、2度目の昇温時のサーモグラムより、JIS K 7122に準じて求められる。
【0083】
変性オレフィン重合体(A)の融点(Tm)が上記上限以下であれば、組成物を塗布後、低温で養生して接着剤層を形成しても(後述)、接着強度の低下を防止することができる。また、変性オレフィン重合体(A)の融点(Tm)が上記下限以上であれば、優れた樹脂強度を担保することができる。
【0084】
変性オレフィン重合体(A)の融解熱(ΔH)は、0J/g以上、好ましくは、3J/g以上、より好ましくは、5J/g以上であり、また、50J/g以下、好ましくは、40J/g以下、より好ましくは、30J/g以下である。
【0085】
変性オレフィン重合体(A)の融解熱(ΔH)が上記上限以下であれば、組成物からなるコーティング剤(後述)を塗布後、低温で養生して接着剤層を形成しても(後述)、接着強度の低下を防止することができる。一方、変性オレフィン重合体(A)の融解熱(ΔH)が上記下限以上であれば、組成物からなるコーティング剤(後述)を基剤に塗布し、その後、塗膜を形成する際、塗膜に優れた強度を付与することができる。
【0086】
融解熱(ΔH)は、JIS K 7122に従って、示差走査熱量測定(DSC測定)によって求められ、具体的には、10℃/分の昇温過程で得られるサーモグラムのピーク面積から算出される。その測定に際して、本発明においては、測定前の熱履歴をキャンセルする目的で、測定前に10℃/分で180℃に昇温し、その温度で3分保持し、次いで10℃/分で0℃まで降温し、その温度で3分間保持した後に、融解熱(ΔH)を測定する。
【0087】
また、変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間は、例えば、100秒以上、好ましくは、300秒以上、より好ましくは、500秒以上、さらに好ましくは、700秒以上である。また、変性オレフィン重合体(A)の好ましい範囲には、実質的に結晶化が起こらず、すなわち半結晶化時間の値が大きすぎて求められない、すなわち半結晶化時間が無限大となるような場合も含まれる。
【0088】
半結晶化時間は、示差走査熱量計による等温結晶化測定によって求められ、等温結晶化過程でのDSC熱量曲線とベースラインとの間の面積を全熱量とした場合の、50%熱量に到達した時間を意味する〔新高分子実験講座8 高分子の物性(共立出版社)参照〕。
【0089】
変性オレフィン重合体(A)の50℃における半結晶化時間が上記下限以上であれば、組成物を接着剤として用いる場合に、変性オレフィン重合体(A)が基材や被着体の表面の凹凸に浸入しながら、または、浸入した後に、ポリイソシアネート(B)と反応することができる(アンカー効果)。そのため、このような接着剤のアンカー効果に基づいて、接着剤層の接着強度をより一層向上させることができる。
【0090】
なお、変性オレフィン重合体(A)の40℃における動粘度は、好ましくは、500000cStを超える。ここで、動粘度が500000cStを超える、とは流動性が低く動粘度が測定できないような場合を含む概念である。
【0091】
また、変性オレフィン重合体(A)における単量体(b)の変性量(導入量)、すなわち、変性オレフィン重合体(A)において単量体(b)に由来する構成単位の含有割合は、変性オレフィン重合体(A)100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、5質量部以下、さらに好ましくは、4質量部以下、とりわけ好ましくは、2質量部以下である。
【0092】
単量体(b)の含有割合を上記の範囲にすることにより変性オレフィン重合体(A)とポリイソシアネート(B)とを効率的に反応させることができ、そのため、耐電解液性を向上させることができる。一方、単量体(b)の配合割合が上記上限を超えると極性基(官能基)の量が多くなって耐電解液性が低下する場合がある。また、単量体(b)の配合割合が上記下限未満だと、基材との接着性が確保できず、接着強度が低下し、耐電解液性が低下する場合がある。
【0093】
上記した変性量は、例えば、
1H−NMR測定などの公知の手段で設定される。具体的な
1H−NMR測定条件としては、以下の様な条件を例示できる。
【0094】
すなわち、日本電子社製ECX400型核磁気共鳴装置を用い、溶媒は重水素化オルトジクロロベンゼンとし、試料濃度20mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は
1H(400MHz)、シーケンスはシングルパルス、パルス幅は5.12μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は500回以上とする条件である。基準のケミカルシフトは、テトラメチルシランの水素を0ppmとするが、例えば、重水素化オルトジクロロベンゼンの残存水素に由来するピークを7.10ppmとしてケミカルシフトの基準値とすることでも同様の結果を得ることができる。単量体(b)に由来する
1Hなどのピークは、常法によりアサインできる。
【0095】
なお、変性オレフィン重合体(A)に導入された官能基の量の目安となる量として、単量体(b)として、不飽和カルボン酸およびその無水物などを用いた場合には、例えば、酸価を用いることも可能である。
【0096】
変性オレフィン重合体(A)の酸価は、例えば、0.1mgKOH/g以上、好ましくは、0.5mgKOH/g以上であり、また、例えば、100mgKOH/g以下、好ましくは、30mgKOH/g以下、より好ましくは、10mgKOH/g以下である。
【0097】
ここで、酸価の測定方法としては、以下のものが挙げられる。
【0098】
つまり、基本操作はJIS K−2501−2003に準ずる。具体的には、変性オレフィン重合体 約10gを正確に測り取り、200mLトールビーカーに投入する。そこに滴定溶剤として、キシレンとジメチルホルムアミドとを1:1(体積比)で混合してなる混合溶媒を150mL添加する。指示薬として1w/v%のフェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業社製)を数滴加え、液温を80℃に加熱して、試料を溶解させる。液温が80℃で一定になった後、0.1mol/Lの水酸化カリウムの2−プロパノール溶液(和光純薬工業社製)を用いて滴定を行い、滴定量から酸価を求める。
【0099】
計算式は
酸価(mgKOH/g)=(EP1−BL1)×FA1×C1/SIZE
である。
【0100】
ここで、上記計算式において、EP1は滴定量(mL)、BL1はブランク値(mL)、FA1は滴定液のファクター(1.00)、C1は濃度換算値(5.611mg/mL:0.1mo1/L KOH 1mLの水酸化カリウム相当量)、SIZEは試料採取量(g)をそれぞれ表す。
【0101】
この測定を3回繰り返して平均値を酸価とする。
【0102】
変性オレフィン重合体(A)は、1種単独使用することができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0103】
なお、変性オレフィン重合体(A)を、上記(i)の方法で調製した変性オレフィン重合体(A)と、変性前の炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体(a)(つまり、未変性の重合体(a))とを含む組成物、つまり、変性オレフィン重合体組成物として調製することもできる。
【0104】
未変性の重合体(a)は、変性オレフィン重合体組成物100質量部、つまり、変性オレフィン重合体(A)と、未変性の重合体(a)との合計100質量部に対して、変性オレフィン重合体(A)の配合割合が、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下となるように、変性オレフィン重合体(A)に混合される。
【0105】
変性オレフィン重合体組成物の物性は、全体として、上記した変性オレフィン重合体(A)の物性と同様となる。
【0106】
2.ポリイソシアネート(B)
ポリイソシアネート(B)としては、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート変性体などが挙げられる。
【0107】
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0108】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0109】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0110】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0111】
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネートが含まれる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物))(H
12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(H
6XDI)などの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0112】
これらポリイソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0113】
ポリイソシアネート変性体としては、平均官能基数が2を超過し、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体など)、アロファネート変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、モノオール(例えば、オクタデカノールなど)との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、ポリイソシアネート単量体と低分子量ポリオール(例えば、3価アルコールなど)との反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)など)、ビウレット変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体など)、ウレア変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(上記したポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
【0114】
モノオールとしては、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール(ラウリルアルコール)、トリデシルアルコール、テトラデシルアルール(ミリスチルアルコール)、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール(セチルアルコール)、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール(ステアリルアルコール、オクタデカノール)、ノナデシルアルコール、およびそれらの異性体(2−メチル−1−プロパノール(iso−ブタノール)を含む)、さらには、その他のアルカノール(C20〜50アルコール)や、例えば、オレイルアルコールなどのアルケニルアルコール、例えば、オクタジエノールなどのアルカジエノール、例えば、ポリエチレンブチレンモノオールなどの脂肪族モノオールが挙げられる。また、モノオールとして、例えば、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールなどの脂環族モノオール、例えば、ベンジルアルコールなどの芳香脂肪族モノオールなども挙げられる。
【0115】
さらに、ポリイソシアネート変性体として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)なども挙げられる。
【0116】
これらポリイソシアネート変性体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0117】
これらポリイソシアネート(B)は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0118】
3.炭化水素系合成油(D)
組成物は、さらに、炭化水素系合成油(D)を含むこともできる。
【0119】
炭化水素系合成油(D)は、例えば、炭素数2〜20のオレフィンの重合体が挙げられる。その中でも、好ましくは、炭素数2〜20のオレフィンを単独重合させて得られるオリゴマー、または、2種以上のこれらのオレフィンの任意の混合物を共重合させて得られるオリゴマーが挙げられる。上記炭素数2〜20のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセンなどが用いられる。
【0120】
ここで、炭化水素系合成油(D)として、エチレンに由来する構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位とを含むエチレン系共重合体を好適に用いることができる。この場合、エチレンに由来する構成単位量は、エチレンに由来する構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位との合計100モル%に対し、例えば、30モル%以上、好ましくは、40モル%以上であり、例えば、70モル%以下、好ましくは、60モル%以下である。
【0121】
炭化水素系合成油(D)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0122】
炭化水素系合成油(D)は40℃における動粘度が、例えば、30cSt以上、好ましくは、300cSt以上、より好ましくは、5,000cSt以上であり、また、例えば、さらに好ましくは、500,000cSt以下、好ましくは、400,000cSt以下、より好ましくは、300,000cSt以下である。
【0123】
4.組成物の調製方法
組成物を調製するには、上記した変性オレフィン重合体(A)と、ポリイソシアネート(B)と、必要により配合される炭化水素系合成油(D)とを、イソシアネート基の、イソシアネート基と反応することができる官能基に対する当量比(NCO/官能基)が、例えば、0.01以上、好ましくは、0.1以上となり、また、例えば、50以下、好ましくは、30以下、より好ましくは、1.7以下、さらに好ましくは、0.99以下となるように、配合する。
【0124】
イソシアネートインデックスは、後の実施例にて詳述する。
【0125】
上記した変性オレフィン重合体(A)と、ポリイソシアネート(B)との比((A)/(B))は、上記したイソシアネートインデックスとなるように適宜選択され、具体的には、質量換算で、例えば、80/1以下、好ましくは、60/1以下であり、また、例えば、1/10以上、好ましくは、1/5以上である。
【0126】
また、必要に配合される炭化水素系合成油(D)の配合割合は、好ましくは、変性オレフィン重合体(A)と炭化水素系合成油(D)との合計100質量%に対し、例えば、1質量%以上、80質量%以下である。
【0127】
また、組成物、あるいは、それを構成する各成分、具体的には、変性オレフィン重合体(A)、ポリイソシアネート(B)、炭化水素系合成油(D)には、必要に応じて、そのいずれかまたは全てに、エポキシ樹脂、硬化触媒、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤(光安定剤、熱安定剤を含む)、可塑剤、界面活性剤、顔料、揺変剤、増粘剤、粘着付与剤、表面調整剤、沈降防止剤、耐候剤、顔料分散剤、帯電防止剤、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤、シランカップリング剤などの添加剤を配合してもよい。
【0128】
また、上記調製において、上記した溶媒を配合して、ワニスとして調製することもできる。
【0129】
溶媒としては、上記と同様の溶媒が挙げられ、好ましくは、トルエン、メチルシクロヘキサン/メチルイソブチルケトン混合溶剤、メチルシクロヘキサン/メチルエチルケトン混合溶剤、シクロヘキサン/メチルエチルケトン混合溶剤、セルソルブ類/シクロヘキサノン混合溶剤が挙げられる。なお、水を分散媒として用いることもできる。
【0130】
好ましくは、組成物を、加工性の点から、溶媒を配合してワニスとして使用する。より好ましくは、組成物を溶媒に溶解させて使用する。
【0131】
溶媒は、ワニス100質量部に対する不揮発分の含有割合が、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上となり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下となるように、組成物に配合される。
【0132】
なお、変性オレフィン重合体(A)はワニスとして調製されている場合には、ワニスを構成する溶媒をそのまま、上記調製のために溶媒として用いることもできる。
【0133】
5.コーティング剤
このようにして調製される組成物を、コーティング剤として用いることができる。
【0134】
このコーティング剤は、プライマーや塗料、ホットメルト接着剤、光学透明両面テープとして用いるのに好適である。また、該コーティング剤から得られる層を少なくとも1層有している積層体は、加飾フィルムとして好適に用いられる。
【0135】
また、コーティング剤として使用する際、必要により、添加剤を適宜の割合で添加することもできる。添加剤としては、例えば、酸化チタン(ルチル型)、酸化亜鉛、カーボンブラックなどの顔料、例えば、揺変剤、例えば、増粘剤、例えば、ロジン樹脂・テルペン樹脂などの粘着付与剤、さらには、消泡剤、表面調整剤、沈降防止剤、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、光安定剤、顔料分散剤、帯電防止剤などが挙げられる。
【0136】
コーティング剤から塗膜を形成する方法としては特に制限がなく、公知の方法で実施ことができる。例えば、ダイコート法、フローコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、キスリバースコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、ロールドクターコート法、エアナイフコート法、コンマロールコート法、リバースロールコート法、トランスファーロールコート法、キスロールコート法、カーテンコート法およびディッピングコート法などの塗布方法で、コーティング剤を基材に塗布した後、自然乾燥あるいは加熱強制乾燥など、適宜の方法によって乾燥させる。これによって、塗膜を得る。
【0137】
乾燥後の塗膜の厚みは、例えば、0.2μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0138】
コーティング剤から形成される塗膜を少なくとも1層有している積層体を加飾フィルムとして用いる場合、公知の意匠性を有するフィルムと組み合わせて用いることができる。例えば、予め印刷・塗装・蒸着などで加飾されたフィルム、もしくはこれらの組み合わせによって加飾されたフィルムを意匠層とし、これと、コーティング剤から形成される塗膜とを積層させる。
【0139】
ここで、意匠層を有するフィルムとしては、アクリルフィルム、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム、COC(環状オレフィンコポリマー)フィルム、塩化ビニルフィルム、ABSなどの熱可塑性フィルムが挙げられる。
【0140】
コーティング剤から形成される塗膜を少なくとも1層有している積層体を加飾フィルムとして用いる場合、加飾フィルムの製造方法としては特に制限はなく、意匠層を有する加飾フィルムの被着体と対向する面に、塗膜を転写によりドライラミネートする方法、塗膜に印刷などで直接意匠層を設ける方法、上記フィルムにクリア層、別の塗料層、塗膜を順次印刷などで形成していく方法などが挙げられる。
【0141】
コーティング剤から形成される塗膜を少なくとも1層有している積層体を加飾フィルムとして用いる場合、例えば、真空成形法、圧空真空成形法などの既存の真空成形方法、インサート成形法およびインモールド成形法、また、特許第3733564号に記載の「真空成形装置」によるTOM工法などを利用することで、複雑な三次元構造を有する成形体に加飾を施すことができる。加飾フィルムの被着体としては、例えば、PPなどのポリオレフィン材料、ナイロンなどのポリアミド樹脂、例えば、ABS、PC、PET、PPS、アクリル樹脂などの極性樹脂、例えば、ED鋼板、Mg合金、SUS(ステンレス)、アルミニウム、アルミニウム合金、ガラスなどの無機材料が挙げられる。また、上記樹脂と上記無機材料が複合化された被着体も挙げられる。当該加飾フィルムにおいては、例えば、コーティング剤から得られる塗膜が、被着体と接着する。
【0142】
上記した加飾方法によって得られる成形体としては、例えば、自動車内外装用部材、例えば、AV機器などの各種フロントパネル、例えば、ボタン、エンブレムなどの表面化粧材、例えば、携帯電話、カメラなど情報家電の筐体、ハウジング、表示窓、ボタンなどの各種部品、例えば、家具用外装材、例えば、浴室、壁面、天井、床などの建築用内装材、例えば、サイディングなどの外壁、塀、屋根、門扉、破風板などの建築用外装材、例えば、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居などの家具類の表面化粧材、例えば、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラスなどの光学部材、例えば、電車、航空機、船舶などの自動車以外の各種乗り物の内外装用部材、例えば、および瓶、化粧品容器、小物入れなどの各種包装容器、包装材料、景品、小物などの雑貨などのその他各種用途などが挙げられる。
【0143】
6.コーティング剤の接着剤としての使用
また、コーティング剤は、接着剤層を形成するための本発明の接着剤として用いられる。
【0144】
コーティング剤を接着剤として用いる場合、必要に応じて、例えば、エポキシ樹脂、硬化触媒、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤、シランカップリング剤などの添加剤を配合してもよい。
【0145】
以下、接着剤としての使用をする際の具体例を説明する。すなわち、具体的には、接着剤層は、基材の表面(一方側面)に積層されており、この基材と接着剤層とから積層体(例えば、接着シート)を形成する。
【0146】
基材としては、例えば、PPなどのポリオレフィン材料からなるフィルム、例えば、ABS、PC、PET、PPS、ポリアミド、アクリル樹脂などの極性樹脂からなるフィルム、例えば、ED鋼板、Mg合金、SUS(ステンレス)、アルミニウム、アルミニウム合金からなる金属箔、より好ましくは、金属箔、さらに好ましくは、アルミニウム箔が挙げられる。基材の厚みは、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0147】
接着剤層を基材の表面に積層するには、例えば、上記した塗布方法によって、コーティング剤を塗布する。その後、コーティング剤が溶剤を含む場合には、塗布されたコーティング剤を、加熱により、溶媒を留去する。これによって、接着剤層を形成する。
【0148】
接着剤層の厚みは、例えば、0.2μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0149】
これによって、基材および接着剤層を備える積層体を製造する。
【0150】
さらに、上記した接着剤層の表面(一方側面)に被着体を設けて、それらからなる積層体を構成することもできる。
【0151】
被着体としては、例えば、PPなどのポリオレフィン材料、例えば、ABS、PC、PET、PPS、ポリアミド、アクリル樹脂などの極性樹脂、例えば、ED鋼板、Mg合金、SUS(ステンレス)、アルミニウム、アルミニウム合金、ガラスなどの無機材料が挙げられる。また、上記樹脂と上記無機材料が複合化された被着体も挙げられる。好ましくは、ポリオレフィン材料からなるフィルムや成形体が挙げられる。なお、被着体の接着面(接着剤層と接触する面)には、コロナ処理などの処理を施すこともできる。
【0152】
接着剤層の表面に被着体を設けるには、被着体を接着剤層の表面に接触させる。これによって、基材と被着体との間に接着剤層が介在される。つまり、基材と被着体と接着剤層とを備える積層体を製造する。
【0153】
その後、積層体を加熱することにより、接着剤層を硬化させる。これにより、接着剤層によって、基材と被着体とが互いに接着する。
【0154】
加熱条件としては、適宜の条件が選択され、例えば、80℃以下、好ましくは、70℃以下で、また、例えば、40℃以上の低温で、例えば、1日間以上、好ましくは、3日間以上で、例えば、7日間以下の長時間、養生する方法(低温養生法)、あるいは、100℃以上、好ましくは、120℃以上で、また、例えば、200℃以下の高温で、例えば、0.1秒間以上、好ましくは、0.5秒間以上で、また、例えば、60秒間以下の短時間、熱圧着する方法(高温熱圧着法)が選択される。高温熱圧着法における圧力は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、0.2MPa以上であり、また、2MPa以下である。
【0155】
好ましくは、低温養生法が選択される。
【0156】
上記した加熱によって、接着剤層が硬化する。つまり、変性オレフィン重合体(A)の官能基と、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基とが反応する。これによって、基材と被着体とが接着剤層を介して強固に接着される。接着剤層の厚みは、例えば、0.2μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、20μm以下である。
7. 積層体の用途
このような積層体は、接着強度および耐電解液性に優れる電池ケース用包材や、接着強度および耐アルカリ性に優れる高アルカリ溶液用包材、さらには、接着強度および耐アルコール性に優れるアルコール含有溶液用包材として好適に用いられる。
7−1.電池ケース用包材および電池
次に、電池ケース用包材について
図1を参照して説明する。なお、
図1において、紙面上側を外側、紙面下側を内側として説明する。
【0157】
この電池ケース用包材1は、
図1に示すように、基材2と、基材2の内側に接着される内側層3と、基材2の外側に接着される外側層4と、基材2および内側層3の間に介在される内側接着剤層5と、基材2および外側層4の間に介在される外側接着剤層6とを備えている。
【0158】
基材2は、上記した基材に相当し、特に限定されるものではないが、好ましくは金属箔、さらに好ましくは、アルミニウム箔、SUS箔が使用される。また、基材表面は耐食性の観点から化成処理を施してもよい。
【0159】
内側層3は、上記した被着体に相当し、特に限定されるものではないが、電池ケース用包材に耐薬品性、ヒートシール性を付与するために、好ましくは、未延伸ポリプロピレンフィルムなどの熱可塑性のポリオレフィンフィルムなどが使用される。
【0160】
内側接着剤層5は、上記した接着剤層に相当する。
【0161】
外側層4は、特に限定されないが、電池製造時のヒートシール工程における耐熱性や加工時の成形性、耐ピンホール性、流通時の絶縁性を付与するために、好ましくは、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの延伸もしくは未延伸フィルムを単層または2層以上積層した多層フィルムが使用される。
【0162】
電池ケース用包材1の厚みは、例えば、60〜160μmである。
【0163】
そして、本発明の接着剤は、少なくとも内側接着剤層5で用いられていればよく、外側接着剤層6の接着剤は、外側層4と基材2との接着性を確保できれば、本発明の接着剤のみならず、ドライラミネート用接着剤、無溶剤型接着剤など、他の任意の接着剤を用いることができる。
【0164】
次に、上記した接着剤が内側接着剤層に用いられた電池ケース用包材を備える電池を
図2を参照して説明する。
【0165】
図2に示すように、電池10は、電池ケース用包材1と、電池ケース用包材1に包装される電解液11とを備える。また、電池10は、電池ケース用包材1内に収容される正極17、負極18、および、セパレータ19を備える。
【0166】
電池ケース用包材1は、電池ケース用包材1における内側層3の内面に次に説明する電解液11が接触するように、袋状に構成されている。具体的には、電池ケース用包材1は、内側層3が電解液11に接触するように、電解液11を包装している。
【0167】
電解液11は、特に限定されず、例えば、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジメチルカーボネート、6フッ化リン酸リチウムなどのリチウム塩などを含有する。
【0168】
正極17および負極18は、電解液11に接触するように、かつ、互いに間隔を隔てて対向配置されている。セパレータ19は、正極17および負極18によって挟まれるように配置されている。
【0169】
そして、上記した電池10は、例えば、リチウムイオン2次電池として用いられ、その場合には、電池ケース用包材1は、リチウムイオン2次電池ケース用包材として用いられる。
7−2.高アルカリ溶液用包材および包装体
次に、高アルカリ溶液用包材について
図3を参照して説明する。なお、
図3において、紙面上側を外側、紙面下側を内側として説明する。
【0170】
この高アルカリ溶液用包材7は、基材2と、基材2の内側に接着される内側層3と、基材2および内側層3の間に介在される内側接着剤層5とを備えている。
【0171】
基材2は、特に限定されず、例えば、ナイロンなどのポリアミド樹脂、PETなどのポリエステル樹脂、アルミニウム箔などの金属箔、透明蒸着PETなどのバリアフィルムなどから形成される。また、基材2がナイロンの場合、内側層3に対する接着性を向上させるために、好ましくは、表面(特に、内側接着剤層5と接触する基材2の内面)にコロナ放電やコーティングなどによる表面処理が施されている基材2を用いる。高アルカリ溶液用包材7に適用する際には、基材2の内面にコロナ処理を施すことが好ましい。コーティング剤をコートして易接着化したときは、接着強度が低下する恐れがあるからである。
【0172】
内側層3は、上記した被着体に相当し、特に限定されるものではないが、高アルカリ溶液用包材7に耐薬品性、ヒートシール性を付与するために、好ましくは、未延伸ポリプロピレンフィルム、低密度リニアポリエチレンなどの熱可塑性のポリオレフィンフィルムなどが使用される。
【0173】
内側接着剤層5は、上記した接着剤層に相当する。
【0174】
高アルカリ溶液用包材7の厚みは、例えば、30μm以上、200μm以下である。
【0175】
次に、上記した高アルカリ溶液用包材を備える包装体を
図4を参照して説明する。
【0176】
図4に示すように、この包装体15は、高アルカリ溶液用包材7と、高アルカリ溶液用包材7に包装される高アルカリ溶液12とを備える。
【0177】
高アルカリ溶液用包材7は、高アルカリ溶液用包材7における内側層3の内面に次に説明する高アルカリ溶液12が接触するように、袋状に設けられている。
【0178】
高アルカリ溶液12は、pHが、例えば、9以上、好ましくは、10以上であり、また、例えば、14以下である溶液である。高アルカリ溶液としては、例えば、アルカリ洗剤や毛髪処理剤などが挙げられる。
7−3.アルコール含有溶液用包材および包装体
次に、アルコール含有溶液用包材について
図3を参照して説明する。
【0179】
このアルコール含有溶液用包材8は、基材2と、基材2の内側に接着される内側層3と、基材2および内側層3の間に介在される内側接着剤層5とを備えている。
【0180】
基材2は、特に限定されず、例えば、ナイロンなどのポリアミド樹脂、PETなどのポリエステル樹脂、アルミニウム箔などの金属箔、透明蒸着PETなどのバリアフィルムなどから形成される。また、基材2がナイロンの場合、内側層3に対する接着性を向上させるために、好ましくは、表面(特に、内側接着剤層5と接触する基材2の内面)にコロナ放電やコーティングなどによる表面処理が施されている基材2を用いる。アルコール含有溶液用包材8に適用する際には、基材2の内面にコロナ処理を施すことが好ましい。コーティング剤をコートして易接着化したときは、接着強度が低下する恐れがあるからである。
【0181】
内側層3は、上記した被着体に相当し、特に限定されるものではないが、アルコール含有溶液用包材8に耐薬品性、ヒートシール性を付与するために、好ましくは、未延伸ポリプロピレンフィルム、低密度リニアポリエチレンなどの熱可塑性のポリオレフィンフィルムなどが使用される。
【0182】
内側接着剤層5は、上記した接着剤層に相当する。
【0183】
アルコール含有溶液用包材8の厚みは、例えば、30μm以上、200μm以下である。
【0184】
次に、アルコール含有溶液用包材を備える包装体を
図4を参照して説明する。
【0185】
図4に示すように、この包装体15は、アルコール含有溶液用包材8と、アルコール含有溶液用包材8に包装されるアルコール含有溶液13とを備える。
【0186】
アルコール含有溶液用包材8は、アルコール含有溶液用包材8における内側層3の内面に次に説明するアルコール含有溶液13が接触するように、袋状に設けられている。
【0187】
アルコール含有溶液13に含有されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどが挙げられる。アルコールのアルコール含有溶液13に対する含有割合は、例えば、3質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
【0188】
8. 実施形態の効果
上記した組成物を含むコーティング剤は、塗膜の強度に優れ、また、上記したコーティング剤からなる接着剤およびこれから形成される接着剤層を備える積層体は、耐久性に優れ、接着強度の低下を十分に抑制することができる。
【0189】
そのため、組成物を、信頼性に優れる組成物として、接着剤用途などのコーティング用途を含む各種用途に好適に用いることができる。
【0190】
例えば、
図1および
図2に示すように、電池ケース用包材1および電池10において、基材2と内側層3との接着強度および耐電解液性に優れる。
【0191】
具体的には、
図1に示すように、電池ケース用包材1における内側接着剤層5は、優れた耐電解液性を有する。つまり、電池ケース用包材1を長期間にわたって使用しても、とりわけ、内側接着剤層5の接着強度の低下を有効に防止することができる。この電池ケース用包材1は、長期信頼性に優れる。
【0192】
上記した組成物は、電池ケース用包材に限らず、電解液のような高極性溶媒への耐性や耐アルカリ性を備え、フィルムおよび接着剤層間における優れた接着強度を有するラミネート用接着剤として使用できる。
【0193】
すなわち、
図3および4に示すように、高アルカリ溶液用包材7またはアルコール含有溶液用包材8およびそれを備える包装体15において、基材2と内側層3との接着強度、および、高アルカリ溶液用包材7の耐アルカリ性またはアルコール含有溶液用包材8の耐アルコール性に優れる。
【0194】
具体的には、高アルカリ溶液用包材7またはアルコール含有溶液用包材8における内側接着剤層5は、優れた耐アルカリ性または耐アルコール性を有する。つまり、包装体15に高アルカリ溶液用包材7またはアルコール含有溶液用包材8を長期間にわたって使用しても、とりわけ、内側接着剤層5の接着強度の低下を有効に防止することができる。この高アルカリ溶液用包材7またはアルコール含有溶液用包材8およびそれを備える包装体15は、長期信頼性に優れる。
【0195】
なお、
図1および
図3では、内側接着剤層5を、基材2の表面(一方面)に直接設けている(積層している)が、例えば、
図1および
図3において図示しないが、基材2の一方側(内側あるいは外側)に、印刷層などを設けることにより、内側接着剤層5を基材2の一方側(内側あるいは外側)に印刷層を介して設けることもできる。
【実施例】
【0196】
以下に示す実施例などの数値は、上記の実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
1.化合物の物性
各化合物の物性などは、下記に従って、評価した。
【0197】
[プロピレン、エチレンおよび1−ブテンに由来する構成単位の含有割合]
プロピレン、エチレンおよび1−ブテンのそれぞれに由来する構成単位の含有割合を、
13C−NMRを利用して求めた。
【0198】
[融点(Tm)、融解熱(ΔH)]
示差走査熱量計(TA Instruments製;DSC−Q1000)を用いて、融点(Tm)および融解熱(ΔH)を求めた。
【0199】
具体的には、示差走査熱量計において、10℃/minで30℃から180℃まで昇温後、その温度で3分間保持し、次いで、10℃/minで0℃まで降温し、その温度で3分間保持し、再度10℃/minで150℃まで昇温する過程において、2度目の昇温時のサーモグラムより、JIS K 7122に準じて融点(Tm)と融解熱(ΔH)を求めた。
【0200】
[40℃における動粘度]
40℃における動粘度は、ASTM D 445に基づいて測定した。
【0201】
[重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)]
重量平均分子量(Mw)および分子量分布(分散度)(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(島津製作所社製;LC−10 series)を用いて、以下の条件で測定した。
【0202】
・検出器: 島津製作所社製;C−R4A
・カラム: TSKG 6000H−TSKG 4000H−TSKG 3000H−TSKG 2000H(東ソー社製)
・移動層: テトラヒドロフラン
・温度: 40℃
・流量: 0.8mL/min
単分散標準ポリスチレンにより作成した検量線を用いて、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0203】
[無水マレイン酸の変性量]
無水マレイン酸の含有割合(変性量)を
1H−NMRによる測定から求めた。
【0204】
[無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体の半結晶化時間]
無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体5mg程度を専用アルミニウムパンに詰め、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製;Diamond DSC)を用い、30℃から150℃まで320℃/minで昇温し、150℃で5分間保持した後、50℃まで320℃/minで降温し、その温度で保持した時に得られるDSC曲線を解析した。具体的には、DSC熱量曲線とベースラインとの間の面積から全熱量を算出し、その全熱量の50%に到達した時間を、50℃に到達した時刻を基準(t=0)として半結晶化時間を求めた。
[NCO/COOHの比率]
NCO/COOHの比率を以下の式によって算出した。
NCO/COOH=(W×N/100÷42)÷(W´×M/100÷98.06×2)
W:ポリイソシアネートの質量
N:ポリイソシアネートのイソシアネート基含有量
W´:変性重合体の質量
M:変性重合体における単量体(無水マレイン酸)に由来する構成単位の含量
<重合体の合成>
[製造例1:プロピレン/1−ブテン共重合体(1)の合成]
充分に窒素置換した2Lのオートクレーブに、ヘキサンを900mL、1−ブテンを90g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧7kg/cm
2Gにし、メチルアルミノキサン0.30ミリモル、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドをZr原子に換算して0.001ミリモル加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を7kg/cm
2Gに保ちながら30分間重合した。重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。得られたプロピレン/1−ブテン共重合体(1)の融点(Tm)は78℃、融解熱(ΔH)は29J/g、重量平均分子量(Mw)は330,000、分子量分布(分散度)(Mw/Mn)は2、プロピレンに由来する構成単位の含有割合は67モル%、1−ブテンに由来する構成単位の含有割合は33モル%であった。
【0205】
[製造例2:無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(1)の合成]
上記プロピレン/1−ブテン共重合体(1)3kgを10Lのトルエンに加え、窒素雰囲気下で145℃に昇温し、プロピレン/1−ブテン共重合体(1)をトルエンに溶解させた。さらに、攪拌下で無水マレイン酸382g、ジ−tert−ブチルパーオキシド175gを4時間かけて系に供給し、続けて145℃で2時間攪拌した。冷却後、多量のアセトンを投入して、無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(1)を沈殿させ、ろ過し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥した。
【0206】
得られた無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(1)の融点(Tm)は76℃、融解熱(ΔH)は29J/g、50℃での半結晶化時間は946秒、重量平均分子量(Mw)は110,000、分子量分布(Mw/Mn)は2、無水マレイン酸の変性量は無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(1)100質量部に対し、1質量部であった。
[製造例3:エチレン/プロピレン共重合体(1)の合成]
充分窒素置換した攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1Lを加え、96mmol/Lに調整したエチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C
2H
5)1.5・Cl
1.5)のヘキサン溶液を500mL/hの量で連続的に1時間供給した後、さらに触媒として16mmol/lに調整したVO(OC
2H
5)Cl
2のヘキサン溶液を500mL/h、ヘキサンを500mL/h連続的に供給した。一方重合反応器上部から、重合反応器内の重合液が常に1Lになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを27L/h、プロピレンガスを26L/h、水素ガスを100L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で実施した。得られた重合溶液は、塩酸で脱灰した後に、大量のメタノールに投入して析出させた後、130℃で24時間減圧乾燥した。これにより、エチレン/プロピレン共重合体(1)を得た。
【0207】
得られたエチレン/プロピレン共重合体(1)におけるエチレンに由来する構成成分の含有割合が56モル%、プロピレンに由来する構成成分の含有割合が44モル%、40℃における動粘度は37,500cStであった。なお、動粘度は、ASTM D 445に準拠して測定した。また、エチレン/プロピレン共重合体(1)の重量平均分子量(Mw)は、14,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
[製造例4:無水マレイン酸変性プロピレン/エチレン共重合体(1)の合成]
プロピレン含量67モル%、重量平均分子量(Mw)330,000であるプロピレン/エチレン共重合体3kgを10Lのトルエンに加え、系内の窒素置換を1時間実施した。
【0208】
系の温度を145℃に上げ、プロピレン/エチレン共重合体をトルエンに完全に溶解した後、系の撹拌を継続しながら、無水マレイン酸382g、ジ−tert−ブチルパーオキシド175gを別々の供給口から4時間かけて、系に供給し、さらに後反応として145℃で2時間撹拌を続けた後、系を室温まで冷却した。
【0209】
冷却後反応液の一部を採取し、大量のアセトン中に投入することにより、クラム状(くず状)の無水マレイン酸変性プロピレン/エチレン共重合体を沈殿させた。
得られた沈殿物を採取し、アセトンで繰返し洗洗した後、常温で2昼夜真空乾燥することにより精製された無水マレイン酸変性プロピレン/エチレン共重合体(1)を得た。無水マレイン酸の変性量は無水マレイン酸変性プロピレン/エチレン共重合体(1)100質量部に対し、5.3質量%であった。また、融解熱(ΔH)は1.6J/g、重量平均分子量(Mw)は140,000であった。
【0210】
[製造例5:プロピレン/1−ブテン共重合体(2)の合成]
1−ブテンの仕込み量90gを75gにした以外は[製造例1:プロピレン/1−ブテン共重合体]の合成と同様に処理した。得られたプロピレン/1−ブテン共重合体(2)の融点(Tm)は84℃、融解熱(ΔH)は32J/g、重量平均分子量(Mw)は330,000、分子量分布(Mw/Mn)は2、プロピレンに由来する構成単位の含有割合は78モル%、1−ブテンに由来する構成単位の含有割合は22モル%であった。
【0211】
[製造例6:無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(2)の合成]
製造例1のプロピレン/1−ブテン共重合体(1)に代えて製造例5のプロピレン/1−ブテン共重合体(2)を用いた以外は[製造例2:無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(1)の合成]と同様に処理した。得られた無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(2)の融点(Tm)は84℃、融解熱(ΔH)は32J/g、50℃での半結晶化時間は276秒、重量平均分子量(Mw)は110,000、分子量分布(Mw/Mn)は2、無水マレイン酸の変性量は無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(2)100質量部に対し、1質量部であった。
<変性オレフィン重合体(1)ワニスの調製>
[調製例1:変性オレフィン重合体ワニス(1)]
製造例2で製造した無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(1)100gを400gのトルエンに溶解させ変性オレフィン重合体ワニス(1)を調製した。
[調製例2:変性オレフィン重合体ワニス(2)]
製造例2で製造した無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(1)80gと製造例3で製造したエチレン/プロピレン共重合体(1)20gとを400gのトルエンに溶解させて、変性オレフィン重合体ワニス(2)を調製した。
【0212】
[調製例3:変性オレフィン重合体ワニス(3)]
製造例4で製造した無水マレイン酸変性プロピレン/エチレン共重合体(1)50gを450gのトルエンに溶解させ変性オレフィン重合体ワニス(3)を調製した。
【0213】
[調製例4:変性オレフィン重合体ワニス(4)の調製]
製造例6で製造した無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体(2)80gと製造例3で製造したエチレン/プロピレン共重合体(1)20gとを400gのトルエンに溶解させて、変性オレフィン重合体ワニス(4)を調製した。
<ポリイソシアネートの準備>
[準備例1:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体の準備]
ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体(「タケネートD−165N」、平均官能基数3以上、イソシアネート基含有量23.5%、三井化学社製)を、準備例1のポリイソシアネートとして準備した。
[準備例2:トリマー変性体の準備]
ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマー変性体(「タケネートD−170N」、3量体、平均官能基数3以上、イソシアネート基含有量21.0%、三井化学社製)を、準備例2のポリイソシアネートとして準備した。
<複合フィルム(Al箔/接着剤層/PPフィルム積層体)の作製>
実施例1
調製例1の変性オレフィン重合体ワニス(1)の不揮発分と準備例1のビウレット変性体とが質量基準で表1に記載の比率になるように混合し、ラミネート用接着剤を調製した。次いで、ラミネート用接着剤をトルエンで希釈し、バーコーターを用いて、坪量3.3g/m
2(固形分)となるように厚さ40μmのアルミニウム箔(表面未処理)のツヤ面上に常温下において塗布し、溶媒を揮散させた。その後、アルミニウム箔におけるラミネート用接着剤の塗布面と、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(片面コロナ処理品)におけるコロナ処理面とを貼り合わせ、60℃で3日間養生することにより、ラミネート用接着剤を硬化させて、アルミニウム箔および未延伸ポリプロピレンフィルム間を接着させて、複合フィルムを、アルミニウム箔、接着剤層および未延伸ポリプロピレンフィルムの積層体として得た。
【0214】
実施例2〜7および比較例1〜2
表1に示す処方に従って各成分を混合して、ラミネート用接着剤を調製した以外は、実施例1と同様にして、複合フィルムを得た。
<積層体(ガラス/接着剤層/アルミニウム積層体)の作製および評価>
実施例8
調製例4の変性オレフィン重合体ワニス(4)45gと、準備例2のトリマー変性体1gとを混合して、接着剤ワニスを調製した。次いで、硬質アルミニウム(30μm厚)上に塗工し、200℃で1分間乾燥して、乾燥膜厚20μmの塗膜を得た。得られた接着皮膜付き硬質アルミニウムをガラス被着体(テストピース社製;25×50×2mm)にヒートシーラー(テスター産業社製 TP−701−B)を用いて、230℃、0.3MPa、1秒の条件で圧着させた。得られた試験片は150℃のオーブン中で30分間保持し、熱処理を施した。
【0215】
これにより、硬質アルミニウム、接着剤層およびガラス被着体からなる積層体を得た。
【0216】
比較例3
準備例2のポリイソシアネートを混合しなかった以外は、実施例8と同様に処理して積層体を製造し、続いて、剥離強度を測定した。
【0217】
<評価>
[実施例1〜7および比較例1および2]
(1)接着強度(常態強度)
実施例1〜7および比較例1および2の複合フィルムを、長さ150mm、幅15mmの大きさに切り出して試験片を作製し、この試験片について、万能引張測定装置を用いて、クロスヘッド速度300mm/分にて、T型剥離試験を実施して、複合フィルムの接着強度を測定した。その結果を表1に示す。
(2)耐電解液性試験
複合フィルムを、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを1/1/1の質量比で含有する混合溶剤(電解液)に、85℃で、168時間、浸漬した。浸漬後、複合フィルムを取り出し、混合溶剤を拭き取った。その後、直ちに万能引張測定装置を用いて、クロスヘッド速度300mm/分にて、T型剥離試験を実施して、浸漬後の複合フィルムの接着強度を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例8および比較例3]
(3)接着強度(加熱後の強度)
実施例8および比較例3の積層体を60℃、相対湿度90%の恒温恒湿機内で2日間保管した。保管後、恒温高湿機から積層体を取り出した後、一晩室温で静置した後に幅1cmの短冊状にカッターで切り目を入れて試験片を作製し、この試験片について、オートグラフ(島津製作所社製 AGS−500B)を用いて、100mm/minの条件で硬質アルミニウムをガラス被着体から180°で剥離する180°剥離試験を実施して、接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
【0218】
【表1】
【0219】
表1中、各成分の数値は、質量部数を示す。
【0220】
【表2】
【0221】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。