特許第5982510号(P5982510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 力晶科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許5982510電圧発生回路、レギュレータ回路、半導体記憶装置及び半導体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982510
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】電圧発生回路、レギュレータ回路、半導体記憶装置及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20160818BHJP
   H03K 5/08 20060101ALI20160818BHJP
   G11C 16/06 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H02M3/07
   H03K5/08 T
   G11C17/00 632A
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-23422(P2015-23422)
(22)【出願日】2015年2月9日
(65)【公開番号】特開2016-146725(P2016-146725A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】599092848
【氏名又は名称】力晶科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(72)【発明者】
【氏名】荒川 秀貴
(72)【発明者】
【氏名】木谷 朋文
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−178079(JP,A)
【文献】 特開2003−169466(JP,A)
【文献】 特開2006−187187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧よりも高い高電圧に昇圧するチャージポンプ回路と、
上記昇圧された高電圧を所定の目標電圧になるように制御する出力電圧制御回路とを備えた高電圧発生回路であって、
上記出力電圧制御回路は、少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路を備え、
上記オフセットフリーコンパレータ回路は、
入力端子と、
第1の出力端子と、
上記入力端子を介して入力される上記高電圧に対応する電圧を入力するカップリングキャパシタと、
非反転入力端子と、反転入力端子と、第2の出力端子とを有し、上記カップリングキャパシタから上記反転入力端子を介して入力される電圧を、上記非反転入力端子を介して入力される所定の基準電圧と比較して、比較結果電圧を上記第2の出力端子及び上記第1の出力端子を介して上記チャージポンプ回路に出力する第1の差動増幅器と、
上記第1の差動増幅器の第2の出力端子と上記第1の出力端子との間に接続され、オフセットキャンセル期間においてオフとなり、コンパレータ動作期間にオンとなる第1のスイッチと、
上記第1の差動増幅器の反転入力端子と上記第2の出力端子との間に接続され、上記オフセットキャンセル期間においてオンとなり、上記コンパレータ動作期間にオフとなる第2のスイッチと、
上記オフセットキャンセル期間において上記第1の差動増幅器の反転入力端子を上記カップリングキャパシタを介して上記第1の差動増幅器の非反転入力端子に接続し、上記コンパレータ動作期間に上記カップリングキャパシタを介して上記オフセットフリーコンパレータ回路の入力端子に接続する第3のスイッチとを備え、
上記少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも1つのクロックを用いて、上記オフセットキャンセル期間と上記コンパレータ動作期間とが互いに重ならないように、かつ上記各オフセットフリーコンパレータ回路において上記オフセットキャンセル期間と上記コンパレータ動作期間とが交互に動作するように構成されたことを特徴とする電圧発生回路。
【請求項2】
電源電圧よりも高い高電圧に昇圧するチャージポンプ回路と、
上記昇圧された高電圧を所定の目標電圧になるように制御する出力電圧制御回路とを備えた高電圧発生回路であって、
上記出力電圧制御回路は、フセットフリーコンパレータ回路第1の差動増幅器を備え、
上記オフセットフリーコンパレータ回路は、
入力端子と、
第1の出力端子と、
上記入力端子を介して入力される上記高電圧に対応する電圧を入力するカップリングキャパシタと、
非反転入力端子と、反転入力端子と、第2の出力端子とを有し、上記カップリングキャパシタから上記反転入力端子を介して入力される電圧を、上記非反転入力端子を介して入力される所定の基準電圧と比較して、比較結果電圧を上記第2の出力端子及び上記第1の出力端子を介して上記チャージポンプ回路に出力する第2の差動増幅器と、
上記第2の差動増幅器の第2の出力端子と上記第1の出力端子との間に接続され、オフセットキャンセル期間においてオフとなり、コンパレータ動作期間にオンとなる第1のスイッチと、
上記第2の差動増幅器の反転入力端子と上記第2の出力端子との間に接続され、上記オフセットキャンセル期間においてオンとなり、上記コンパレータ動作期間にオフとなる第2のスイッチと、
上記オフセットキャンセル期間において上記第2の差動増幅器の反転入力端子を上記カップリングキャパシタを介して非反転入力端子に接続し、上記コンパレータ動作期間に上記カップリングキャパシタを介して上記オフセットフリーコンパレータ回路の入力端子に接続する第3のスイッチとを備え、
上記第1の差動増幅器は、上記入力端子に入力される電圧を上記基準電圧よりも低い別の基準電圧と比較し、もしくは上記入力端子に入力される電圧よりも高い電圧を上記基準電圧と比較して、比較結果電圧を上記チャージポンプ回路に出力し、
上記オフセットフリーコンパレータ回路は、クロックを用いて、上記オフセットキャンセル期間と上記コンパレータ動作期間とが互いに重ならないように、かつ交互に動作するように構成されたことを特徴とする電圧発生回路。
【請求項3】
上記出力電圧制御回路はさらに少なくとも1つの第2の差動増幅器を備え、
上記第2の差動増幅器は、上記入力端子に入力される電圧を上記基準電圧よりも低い別の基準電圧と比較し、もしくは上記入力端子に入力される電圧よりも高い電圧を上記基準電圧と比較して、比較結果電圧を上記チャージポンプ回路に出力し、
上記少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも2つのクロックを用いて、上記オフセットキャンセル期間が互いに重ならないようにかつ上記各オフセットフリーコンパレータ回路においてオフセットキャンセル期間とコンパレータ動作期間とを交互に動作するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電圧発生回路。
【請求項4】
上記高電圧を所定の対応する分圧電圧に分圧して上記出力電圧制御回路に出力する分圧回路をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は3記載の電圧発生回路。
【請求項5】
上記高電圧を所定の対応する分圧電圧に分圧して上記出力電圧制御回路に出力する分圧回路をさらに備え、
上記分圧回路は、上記高電圧を、所定の対応する第1の分圧電圧及び上記第1の分圧電圧よりも低い第2の分圧電圧に分圧し、上記第1の分圧電圧を上記第1の差動増幅器の非反転入力端子に出力し、上記第2の分圧電圧を上記オフセットフリーコンパレータ回路の入力端子に出力することを特徴とする請求項記載の電圧発生回路。
【請求項6】
上記高電圧を所定の対応する分圧電圧に分圧して上記出力電圧制御回路に出力する分圧回路をさらに備え、
上記分圧回路は、上記分圧電圧を上記オフセットフリーコンパレータ回路の入力端子及び上記第1の差動増幅器の非反転入力端子に出力し、
上記オフセットフリーコンパレータ回路に入力される基準電圧は、上記第1の差動増幅器の反転入力端子に入力される基準電圧よりも高いことを特徴とする請求項記載の電圧発生回路。
【請求項7】
入力電圧を所定の出力電圧に降圧させる電圧降圧回路と、
上記出力電圧を所定の目標電圧に制御する出力電圧制御回路とを備えたレギュレータ回路であって、
上記出力電圧制御回路は、少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路を備え、
上記各オフセットフリーコンパレータ回路は、
入力端子と、
第1の出力端子と、
上記入力端子を介して入力される上記出力電圧に対応する電圧を入力するカップリングキャパシタと、
非反転入力端子と、反転入力端子と、第2の出力端子とを有し、上記カップリングキャパシタから上記反転入力端子を介して入力される電圧を、上記非反転入力端子を介して入力される所定の基準電圧と比較して、比較結果電圧を上記第2の出力端子及び上記第1の出力端子を介して上記電圧降圧回路に出力する差動増幅器と、
上記差動増幅器の第2の出力端子と上記第1の出力端子との間に接続され、オフセットキャンセル期間においてオフとなり、コンパレータ動作期間にオンとなる第1のスイッチと、
上記差動増幅器の反転入力端子と上記第2の出力端子との間に接続され、上記オフセットキャンセル期間においてオンとなり、上記コンパレータ動作期間にオフとなる第2のスイッチと、
上記オフセットキャンセル期間において上記差動増幅器の反転入力端子を上記カップリングキャパシタを介して上記差動増幅器の非反転入力端子に接続し、上記コンパレータ動作期間に上記カップリングキャパシタを介して上記オフセットフリーコンパレータ回路の入力端子に接続する第3のスイッチとを備え、
上記少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも1つのクロックを用いて、上記オフセットキャンセル期間と上記コンパレータ動作期間とが互いに重ならないように、かつ上記各オフセットフリーコンパレータ回路において上記オフセットキャンセル期間と上記コンパレータ動作期間とが交互に動作するように構成されたことを特徴とするレギュレータ回路。
【請求項8】
上記出力電圧を所定の対応する分圧電圧に分圧して上記出力電圧制御回路に出力する分圧回路をさらに備えたことを特徴とする請求項記載のレギュレータ回路。
【請求項9】
上記電圧降圧回路は、NチャンネルMOSトランジスタ又はPチャンネルMOSトランジスタである第1のMOSトランジスタを含むことを特徴とする請求項7又は8のうちのいずれか1つに記載のレギュレータ回路。
【請求項10】
上記比較結果電圧を電圧変換して、電圧変換後の電圧を上記第1のMOSトランジスタのゲートに印加する少なくとも1つのレベルシフタをさらに備えたことを特徴とする請求項9記載のレギュレータ回路。
【請求項11】
上記入力電圧と上記出力電圧との間において、上記第1のMOSトランジスタと直列にそれぞれ接続されかつ互いに並列に接続される少なくとも2つのMOSトランジスタと、
上記少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路からの各比較結果電圧を電圧変換して、電圧変換後の各電圧をそれぞれ上記複数のMOSトランジスタのゲートに印加する複数のレベルシフタとをさらに備えたことを特徴とする請求項9記載のレギュレータ回路。
【請求項12】
請求項1〜のうちのいずれか1つに記載の電圧発生回路を備えたことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項13】
請求項1〜のうちのいずれか1つに記載の電圧発生回路を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項7〜11のうちのいずれか1つに記載のレギュレータ回路を備えたことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項15】
請求項7〜11のうちのいずれか1つに記載のレギュレータ回路を備えたことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフラッシュメモリなどの半導体記憶装置のための電圧発生回路、及びレギュレータ回路と、それらを備えた半導体記憶装置及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来例に係る、例えばフラッシュメモリである不揮発性記憶装置の構成を示すブロック図である。
【0003】
図1において、不揮発性記憶装置は、
(1)データを記憶する例えばフラッシュメモリアレイであるメモリセルアレイ20と、
(2)入出力バッファ31からのデータをメモリセルアレイ20に対してページ単位で書き込み、もしくはメモリセルアレイからのデータをページ単位で読み出して入出力バッファ31に出力するときに用いるページバッファ21と、
(3)指定アドレスに応答してメモリセルアレイ20のブロック及びワード線を指定するためのロウデコーダ22と、
(4)コントロールロジック35からの信号に基づいて当該不揮発性記憶装置のステータスを一時的に記憶して入出力バッファ31に出力し、レディ/ビジー信号(R/B信号)を発生してR/B信号端子42に出力するステータスレジスタ23と、
(5)入出力端子41を介して入出力されるデータを一時的に記憶する入出力バッファ31と、
(6)入出力バッファ31からのコマンドを復号化して符号化されたコマンドデータをコントロールロジック35に出力するコマンドデコーダ32と、
(7)入出力バッファ31からの指定アドレスを一時的に記憶するアドレスバッファ33と、
(8)外部電源電圧VCCに基づいて、電源オン時に当該半導体チップの動作をリセットするためのリセット信号を出力するパワーオンリセット回路36と、
(9)外部電源電圧端子44を介して印加される外部電源電圧VCCに基づいて所定の内部電源電圧用基準電圧VDDREFと所定の基準電圧VREFを発生する基準電圧発生回路10と、
(10)上記基準電圧VDDREFに基づいて内部電源電圧VDDを発生して各回路に供給する内部電源電圧発生回路11と、
(11)上記基準電圧VREFに基づいてデータの書き込み(プログラム)及び消去に必要な高電圧(HV)及び中間電圧(MV)を発生して出力する高電圧及び中間電圧発生及び制御回路12と、
(12)コマンドデコーダ32からのコマンドデータ、制御信号端子43を介して入力される制御信号、もしくはパワーオンリセット回路36からのリセット信号に基づいて、当該不揮発性記憶装置内の各回路(基準電圧発生回路10、内部電源電圧発生回路11、及び高電圧及び中間電圧発生及び制御回路12、ページバッファ21、ステータスレジスタ23を含む)に対して所定の制御を行うコントロールロジック35と、
を備えて構成される。
【0004】
図1に示すように、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置では、高電圧(HV)を発生する必要がある。
【0005】
図2は従来例に係る高電圧発生回路の構成を示す回路図である。また、図3図2の高電圧発生回路の動作を示す高電圧Vhvの時間経過を示すグラフである。
【0006】
例えば図1のNAND型フラッシュメモリなどの、ファウラ−ノードハイムとネル現象を用いる不揮発性記憶装置においては、プログラム(データ書き込み)及びデータ消去のために電源電圧Vddよりも高い所定の高電圧(HV)を発生するためにチャージポンプ回路102が用いられている。図2において、高電圧発生回路は、アンドゲート101と、チャージポンプ回路102と、出力電圧である高電圧Vhvを分圧して分圧電圧Vdivを得るための分圧抵抗R0,R1と、分圧抵抗Vdivを基準電圧Vrefと比較するための差動増幅器103とを備えて構成される。ここで、図3に示すように、差動増幅器103から出力されるイネーブル信号ENは該差動増幅器103のオフセット電圧値に応じて基準電圧Vrefからずれて変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−178079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2の高電圧発生回路においては以下のような問題点があった。
【0009】
図2において、コンパレータは差動増幅器又はオペアンプで構成されており、オフセット電圧は、入力電圧Vin=VrefからVin=Vref±Voffsetまでのトリップポイントに対して誤差を発生させ、高電圧Vhvは所定の目標電圧Vtargetからシフトするという問題点があった。もしオフセット電圧Voffset=36mV(標準偏差の三倍)であるとき、高電圧Vhvは目標電圧Vtargetから約3%シフトされる(ただし、基準電圧Vref=1.2V)。当該3%のシフトであっても、ISPP(Increment Step Pulse Program)法を用いた場合、データ読出ディスターブを増大させ、読み出しエラーを増大させる。このとき、ステップ電圧Vstep=103%であるときに、プログラム時においてしきい値電圧分布幅は106%を超え、データ読出時において電圧Vpassが6Vから6.18Vにシフトした場合、非常に悪い読み出しディスターブを発生させる。なお、読み出しマージンが1.3Vから−3%オフセットされて0.04V減少したとき、この電圧の減少は、1ステップ当たり0.025Vであるとき1ないし2ステップのトリミング処理が必要になる。
【0010】
図4Aは特許文献1において開示されたオフセットフリーコンパレータ回路の構成例を示す回路図である。また、図4B図4Aのオフセットフリーコンパレータ回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0011】
図4Aのコンパレータ回路は、スイッチ124及び125と、サンプルホールド用の入力キャパシタ120と、アンプゲインaの増幅回路である第一アンプ121と、アンプゲインAの第二の増幅回路である第二アンプ122と、ラッチ回路123とを備えて構成される。スイッチ124は、コンパレータ回路の入力端子VINと入力キャパシタ120の一方の端子の間に接続されている。スイッチ125は、接地と入力キャパシタ120の一方の端子の間に接続されている。入力キャパシタ120の他方の端子は、第一アンプ121の反転入力端子に接続されている。第一アンプ121の非反転入力端子は、接地されている。第一アンプ121の出力端子は、ラッチ回路123を介してコンパレータ回路の出力端子OUTに接続されている。さらに、第一アンプ121の出力端子は、第二アンプ122の入力端子に接続されている。第二アンプ122の出力端子は、スイッチ126を介して第一アンプ121の反転入力端子に接続されている。
【0012】
第一アンプ121のアンプゲインa(例えば、10倍)は、第二アンプ122のアンプゲインA(例えば、100倍)よりも低く設定されている。そして、サンプリング状態では第一アンプ121及び第二アンプ122が使用され、ホールド及びコンパレート状態では第一アンプ121のみが使用される。
【0013】
スイッチ124及びスイッチ126は、図4Bに示すクロック信号φ1によってオンオフ制御される。スイッチ125は、図4Bに示すクロック信号φ2によってオンオフ制御される。ラッチ回路123は、クロック信号φ2によって第一アンプ121の出力端子の電圧を増幅及びラッチする。図4Bに示すように、クロック信号φ1の位相とクロック信号φ2の位相とは相補的になっている。また、クロック信号φ1とクロック信号φ2とは、同時にローレベルになる期間が存在している。従って、全てのスイッチ124,125,126が同時にオフになる期間が存在している。
【0014】
以上説明したように、入力信号と結合するための入力キャパシタと、コンパレータの出力を入力側に帰還するための帰還ループとを用いたオフセットフリーコンパレータ回路が、特許文献1のようなA/D変換器の技術分野でよく知られている。
【0015】
図5Aは従来例のようなオフセットフリーコンパレータ回路を単純に図2の回路に適用した 高電圧発生回路の第1の動作例を示す回路図であり、図5B図5Aの高電圧発生回路の第2の動作例を示す回路図である。また、図5C図5A及び図5Bの高電圧発生回路の動作を示す分圧電圧Vdivの時間経過を示すグラフである。図5A及び図5Bにおいて、高電圧発生回路は、ノアゲート101Aと、チャージポンプ回路102と、差動増幅器103と、ラッチ回路L1と、スイッチS1,S2,S3と、入力キャパシタCsとを備えて構成される。なお、図5A及び図5Bにおいて、Sclkは例えば100kHz程度のシステムクロックであり、Pclkは例えば20MHz程度のチャージポンプ用クロックである。また、ラッチL1の両端にはそれぞれイネーブル信号EN及び反転イネーブル信号ENBが発生される。
【0016】
図5A及び図5Bでは、どのようにオフセット効果を除去するかを説明している。まず、例えば図5Aに示すように、スイッチS2がオンされ、スイッチS1がオフされかつスイッチS3が基準電圧Vrefに接続されているときに、差動増幅器103の反転入力端子電圧Vm=Vref+Voffsetとなる。また、図5Bでは、スイッチS1がオンされ、スイッチS2がオフされ、スイッチS3が分圧電圧Vdivに接続されているときに、帰還ループを備える差動増幅器103は、Vdiv=Vrefとなるように制御する。
【0017】
しかしながら、このタイプのコンパレータ回路は、チャージポンプ回路を制御するために用いられていない。なぜなら、各スイッチS1〜S3がオフセットキャンセル位置に切り替えられ、オフセットをキャンセル期間において、コンパレータ回路はチャージポンプ回路を制御できないからである。
【0018】
図5Dは、図5A及び図5Bの高電圧発生回路の各状態における動作例を示す高電圧Vhvの時間経過を示すグラフである。
【0019】
図5Aの動作期間において、スイッチS1がオフのために、コンパレータ回路は分圧電圧Vdivを帰還することができず、チャージポンプ回路102は、分圧電圧Vdivを反映していないラッチ状態により制御される。従って、ラッチ回路L1がハイレベルをラッチしているときに高電圧Vhvは増大する一方、ラッチ回路L1がローレベルをラッチしているときに高電圧Vhvは減少し、デバイス状態が変化して負荷電流が急激に増大したとき、高電圧Vhvは急激に減少 する可能性があるという問題点があった。
【0020】
本発明の目的は、従来技術に比較して安定に動作させることができ、所定の高電圧を高精度で制御することができる電圧発生回路、レギュレータ回路及びそれらを備えた半導体記憶装置、それらを備えた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1の発明に係る電圧発生回路は、
電源電圧よりも高い高電圧に昇圧するチャージポンプ回路と、
上記昇圧された高電圧を所定の目標電圧になるように制御する出力電圧制御回路とを備えた高電圧発生回路であって、
上記出力電圧制御回路は、少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路、もしくは少なくとも1つのオフセットフリーコンパレータ回路及び少なくとも1つの差動増幅器を備え、
上記オフセットフリーコンパレータ回路は、
上記高電圧に対応する電圧を入力するカップリングキャパシタと、
上記カップリングキャパシタからの電圧を所定の基準電圧と比較して、比較結果電圧を上記チャージポンプ回路に出力する差動増幅器と、
上記差動増幅器にそれぞれ接続され、上記差動増幅器のオフセットをキャンセルするための複数のスイッチとを備えたことを特徴とする。
【0022】
上記電圧発生回路において、上記出力電圧制御回路は2つのオフセットフリーコンパレータ回路を備え、
上記2つのオフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも1つのクロックを用いて、オフセットキャンセル期間とコンパレータ動作期間とを互いに交互に動作するように構成されたことを特徴とする。
【0023】
また、上記電圧発生回路において、上記出力電圧制御回路は少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路を備え、
上記少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも2つのクロックを用いて、オフセットキャンセル期間が互いに重ならないように、かつ各オフセットフリーコンパレータ回路においてオフセットキャンセル期間とコンパレータ動作期間とを交互に動作するように構成されたことを特徴とする。
【0024】
さらに、上記電圧発生回路において、上記出力電圧制御回路は1つのオフセットフリーコンパレータ回路及び1つの差動増幅器を備え、
上記オフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも1つのクロックを用いて、オフセットキャンセル期間とコンパレータ動作期間とを互いに交互に動作するように構成されたことを特徴とする。
【0025】
またさらに、上記電圧発生回路において、上記出力電圧制御回路は少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路及び少なくとも1つの差動増幅器を備え、
上記少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも2つのクロックを用いて、オフセットキャンセル期間が互いに重ならないように、かつ各オフセットフリーコンパレータ回路においてオフセットキャンセル期間とコンパレータ動作期間とを交互に動作するように構成されたことを特徴とする。
【0026】
また、上記電圧発生回路において、上記高電圧を所定の対応する分圧電圧に分圧して上記出力電圧制御回路に出力する分圧回路をさらに備えたことを特徴とする。
【0027】
さらに、上記電圧発生回路において、上記分圧回路は、上記高電圧を、所定の対応する第1の分圧電圧及び上記第1の分圧電圧よりも低い第2の分圧電圧に分圧し、上記第1の分圧電圧を上記差動増幅器に出力し、上記第2の分圧電圧を上記オフセットフリーコンパレータ回路に出力することを特徴とする。
【0028】
またさらに、上記電圧発生回路において、上記分圧回路は、上記分圧電圧を上記オフセットフリーコンパレータ回路及び上記差動増幅器に出力し、
上記オフセットフリーコンパレータ回路に入力される基準電圧は、上記差動増幅器に入力される基準電圧よりも高いことを特徴とする。
【0029】
第2の発明に係るレギュレータ回路は、
入力電圧を所定の出力電圧に降圧させる電圧降圧回路と、
上記出力電圧を所定の目標電圧に制御する出力電圧制御回路とを備えたレギュレータ回路であって、
上記出力電圧制御回路は、少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路を備え、
上記各オフセットフリーコンパレータ回路は、
上記出力電圧に対応する電圧を入力するカップリングキャパシタと、
上記カップリングキャパシタからの電圧を所定の基準電圧と比較して、比較結果電圧を上記電圧降圧回路に出力する差動増幅器と、
上記差動増幅器にそれぞれ接続され、上記差動増幅器のオフセットをキャンセルするための複数のスイッチとを備えたことを特徴とする。
【0030】
上記レギュレータ回路において、上記出力電圧を所定の対応する分圧電圧に分圧して上記出力電圧制御回路に出力する分圧回路をさらに備えたことを特徴とする。
【0031】
また、上記レギュレータ回路において、上記2つのオフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも1つのクロックを用いて、オフセットキャンセル期間とコンパレータ動作期間とを互いに交互に動作するように構成されたことを特徴とする。
【0032】
さらに、上記レギュレータ回路において、上記少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路は、少なくとも2つのクロックを用いて、オフセットキャンセル期間が互いに重ならないように、かつ各オフセットフリーコンパレータ回路においてオフセットキャンセル期間とコンパレータ動作期間とを交互に動作するように構成されたことを特徴とする。
【0033】
またさらに、上記レギュレータ回路において、上記電圧降圧回路は、NチャンネルMOSトランジスタ又はPチャンネルMOSトランジスタである第1のMOSトランジスタを含むことを特徴とする。
【0034】
また、上記レギュレータ回路において、上記比較結果電圧を電圧変換して、電圧変換後の電圧を上記第1のMOSトランジスタのゲートに印加する少なくとも1つのレベルシフタをさらに備えたことを特徴とする。
【0035】
さらに、上記レギュレータ回路において、上記入力電圧と上記出力電圧との間において、上記第1のMOSトランジスタと直列にそれぞれ接続されかつ互いに並列に接続される少なくとも2つのMOSトランジスタと、
上記少なくとも2つのオフセットフリーコンパレータ回路からの各比較結果電圧を電圧変換して、電圧変換後の各電圧をそれぞれ上記複数のMOSトランジスタのゲートに印加する複数のレベルシフタとをさらに備えたことを特徴とする。
【0036】
第3の発明に係る半導体記憶装置は、上記電圧発生回路を備えたことを特徴とする。
【0037】
第4の発明に係る半導体装置は、上記電圧発生回路を備えたことを特徴とする。
【0038】
第5の発明に係る半導体記憶装置は、上記レギュレータ回路を備えたことを特徴とする。
【0039】
第6の発明に係る半導体装置は、上記レギュレータ回路を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
従って、本発明に係る電圧発生回路及びレギュレータ回路によれば、従来技術に比較して安定に動作させることができ、所定の高電圧を高精度で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】従来例に係る不揮発性記憶装置の構成を示すブロック図である。
図2】従来例に係る高電圧発生回路の構成を示す回路図である。
図3図2の高電圧発生回路の動作を示す高電圧Vhvの時間経過を示すグラフである。
図4A】特許文献1において開示されたオフセットフリーコンパレータ回路の構成例を示す回路図である。
図4B図4Aのオフセットフリーコンパレータ回路の動作を示すタイミングチャートである。
図5A】従来例に係る高電圧発生回路の第1の動作例を示す回路図である。
図5B図5Aの高電圧発生回路の第2の動作例を示す回路図である。
図5C図5A及び図5Bの高電圧発生回路の動作を示す分圧電圧Vdivの時間経過を示すグラフである。
図5D図5A及び図5Bの高電圧発生回路の動作例を示す高電圧Vhvの時間経過を示すグラフである。
図6A】本発明の実施形態1に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図である。
図6B図6Aのコンパレータ回路3の構成例を示す回路図である。
図7A】本発明の実施形態2に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図である。
図7B図7Aのコンパレータ回路3Aの構成例を示す回路図である。
図7C図7Aのクロック発生回路51によって発生されるクロックCclk1,Cclk2のタイミングチャートである。
図8】本発明の実施形態3に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図である。
図9】本発明の実施形態4に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図である。
図10A】本発明の実施形態5に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図である。
図10B図10Aのコンパレータ回路3Bの構成例を示す回路図である。
図11A】本発明の実施形態6に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図である。
図11B】本発明の実施形態6の変形例に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図である。
図12】本発明の実施形態7に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図である。
図13】本発明の実施形態8に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図である。
図14A】本発明の実施形態9に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図である。
図14B図14Aのコンパレータ回路3Dの構成例を示す回路図である。
図14C図14Aのクロック発生回路51によって発生されるクロックCclk1〜Cclk4のタイミングチャートである。
図15A】従来例に係るフラッシュメモリのウエハテスト処理の一例を示すフローチャートである。
図15B】実施形態に係るフラッシュメモリのウエハテスト処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0043】
実施形態1.
図6Aは本発明の実施形態1に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図であり、図6B図6Aのコンパレータ回路3の構成例を示す回路図である。図6Aにおいて、高電圧発生回路は、アンドゲート1と、チャージポンプ回路2と、分圧抵抗R0,R1からなる分圧回路7と、例えばオフセットフリーコンパレータであり出力電圧制御回路を構成するコンパレータ回路3−1,3−2(総称して、符号3を付す。)と、インバータ4と、クロック発生回路50とを備えて構成される。なお、クロック発生回路50を後述する実施形態でも使用するが図示を省略する。
【0044】
図6Aにおいて、チャージポンプ用クロックPclkはアンドゲート1の第1の入力端子に入力され、各コンパレータ回路3−1及び3−2からの出力電圧はイネーブル信号ENとしてアンドゲート1の第2の入力端子に入力される。アンドゲート1からの出力電圧はチャージポンプ回路2に入力され、チャージポンプ回路2は電源電圧を、電源電圧Vddよりも高い高電圧Vhvを昇圧して出力する。分圧抵抗R0,R1はそれらの各一端で直列に接続され、抵抗R0の他端は接地され、抵抗R1の他端はチャージポンプ回路2の出力端子に接続される。
【0045】
高電圧Vhvは分圧抵抗R0,R1により分圧された後、高電圧Vhvに対応する分圧電圧Vdivは各コンパレータ回路3−1及び3−2の各反転入力端子に入力される。また、所定の基準電圧Vrefは各コンパレータ回路3−1及び3−2の非反転入力端子に入力される。コンパレータ回路3−1は、クロック発生回路50からのクロックCclkに基づいて動作し、反転入力端子に入力される電圧を非反転入力端子に入力される電圧と比較して、比較結果信号である出力電圧Voをイネーブル信号ENとしてアンドゲート1の第2の入力端子に出力する。また、クロック発生回路50からのクロックCclkはインバータ4により反転された後、コンパレータ回路3−2のクロック端子に入力される。コンパレータ回路3−2は、反転されたクロックCclkに基づいて動作し、反転入力端子に入力される電圧を非反転入力端子に入力される電圧と比較して、比較結果信号である出力電圧Voをイネーブル信号ENとしてアンドゲート1の第2の入力端子に出力する。
【0046】
図6Bにおいて、コンパレータ回路3は、例えばオペアンプであり所定の電源電圧Vddで動作される差動増幅器A1と、スイッチS1〜S3と、入力信号を容量結合するための入力カップリングキャパシタ(以下、入力キャパシタという。)Csとを備えて構成される。図6Bにおいて、コンパレータ回路3の非反転入力端子に入力される電圧は差動増幅器A1の非反転入力端子に入力されるとともに、スイッチS3の接点aに接続される。また、コンパレータ回路3の反転入力端子に入力される電圧はスイッチS3の接点b及び共通端子、並びに入力キャパシタCsを介して差動増幅器A1の反転入力端子に入力される。差動増幅器A1から出力される出力電圧は、スイッチS2を介して反転入力端子に帰還されるとともに、スイッチS1を介してコンパレータ回路3の出力電圧Voとして出力される。なお、スイッチS1〜S3はクロック端子(φ)に入力されるクロックに従って以下のようにオンオフ制御される。
【0047】
(A)コンパレータ比較動作期間=チャージポンプ回路2が制御されるとき:スイッチS1はオンされ、スイッチS2はオフされ、スイッチS3は接点b側(分圧電圧Vdiv)に切り替えられる。
(B)オフセットキャンセル期間=チャージポンプ回路2が制御されないとき:スイッチS1はオフされ、スイッチS2はオンされ、スイッチS3は接点a側(基準電圧Vref)に切り替えられる。
【0048】
本実施形態では、2つのコンパレータ回路3−1,3−2を備え、これらを交互に動作させることを特徴としている。2つのコンパレータ回路3−1,3−2のうち一方のコンパレータがオフセットキャンセル期間であるとき、他方のコンパレータはコンパレータ動作期間であり、チャージポンプ回路2は継ぎ目なしに(シームレスで)制御される。従って、上述のようにチャージポンプの非制御期間に高電圧Vhvが増大または減少するという問題点を解決することができる。ここで、2つのコンパレータ回路3−1,3−2は完全に同じにはできないので、分圧電圧Vdivが基準電圧Vrefに非常に近い場合に一方はハイを出力し他方はローを出力する場合があるが、せいぜい1クロックの動作期間で修正されるため問題はない。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、2つのコンパレータ回路3−1,3−2を備え、これらを交互に動作させて、チャージポンプ回路2を動作させているので、チャージポンプの非制御期間に高電圧Vhvが増大または減少 するという問題点を解決することができる。従って、従来技術に比較して安定に動作させることができ、差動増幅器のオフセット電圧を補償して、所定の高電圧を高精度で制御することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、一相クロックCclkを用いているが、本発明はこれに限らず、2つのクロックが相補的なノンオーバーラップ二相クロックを用いてもよい。また、スイッチS1、S2、S3それぞれに個別のクロックを割り当ててもよい。
【0051】
実施形態2.
図7Aは本発明の実施形態2に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図であり、図7B図7Aのコンパレータ回路3Aの構成例を示す回路図である。また、図7C図7Aのクロック発生回路51によって発生されるクロックCclk1,Cclk2のタイミングチャートである。
【0052】
実施形態2に係る高電圧発生回路は、図7Aに示すように、図6Aの実施形態1に係る高電圧発生回路に比較して以下の点が異なる。
(1)チャージポンプ回路2A及びアンドゲート1Aをさらに備えた。
(2)アンドゲート1Aのためにインバータ5をさらに備えた。
(3)コンパレータ回路3−1,3−2に代えて、コンパレータ回路3A−1,3A−2(総称して、符号3Aを付す。)を備えた。
(4)クロック発生回路50に代えて、クロック発生回路51を備えた。なお、クロック発生回路51を後述する実施形態でも使用するが図示を省略する。
以下、相違点について詳述する。
【0053】
図7Aにおいて、クロック発生回路51は、図7Cに示すように、各クロックCclk1,Cclk2を、比較動作期間がオフセットキャンセル期間よりも長くなるように発生し、かつ各コンパレータ回路3A−1,3A−2のオフセットキャンセル期間が重ならないように発生する。ここで、各クロックCclk1,Cclk2の位相差Δθは、0<Δθ<180度の範囲である。
【0054】
クロックPclkはアンドゲート1の第1の入力端子に入力されるとともに、インバータ5を介してアンドゲート1Aの第1の入力端子に入力される。チャージポンプ回路2Aはチャージポンプ回路2と同様に電源電圧を所定の高電圧Vhvに昇圧して出力する。なお、チャージポンプ回路2及び2Aの各出力端子は接続されている。コンパレータ回路3A−1,3A−2の入力端子側の接続は実施形態1と同様であるが、コンパレータ回路3A−1はクロックCclk1に同期して比較結果の出力電圧Voをイネーブル信号EN2としてアンドゲート1Aの第2の入力端子に出力する。また、コンパレータ回路3A−2はクロックCclk2に同期して比較結果の出力電圧Voをイネーブル信号EN1としてアンドゲート1の第2の入力端子に出力する。
【0055】
図7Bにおいて、コンパレータ回路3Aは、図6Aのコンパレータ回路3に比較して以下の点が異なる。スイッチS1に代えてスイッチS1aを備えた。ここで、差動増幅器A1の出力電圧はスイッチS1aの接点aに入力され、接点bは接地され、共通端子から出力電圧Voが出力される。スイッチS1aは、オフセットキャンセル期間において接点b側に切り替えられ、コンパレータ比較動作期間において接点a側に切り替えられる。
【0056】
以上のように構成された高電圧発生回路においては、2つのチャージポンプ回路2,2Aが設けられ、2つのクロックCclk1,Cclk2が各コンパレータ回路3A−1,3A−2のために発生される。ここで、各クロックCclk1,Cclk2のコンパレータ比較動作期間は、オフセットキャンセル期間よりも長くなるように設定され、クロックCclk2はクロックCclk1から所定の位相差Δθだけシフトされている。以上の高電圧発生回路では、実施形態1の作用効果と同様の作用効果を有するとともに、以下の作用効果を有する。チャージポンプ回路2,2Aの動作時間の割合Topは、図7Cに示すように次式で表される。
【0057】
Top=比較動作期間/クロックの1サイクル期間 (1)
【0058】
従って、チャージポンプ回路2,2Aの性能を大幅に低下させることはない。また、チャージポンプ回路2,2Aをそれぞれ実施形態1のチャージポンプ2の2分の1に上記割合Topを補正したサイズにすることによって、実施形態1と同等の電流駆動能力とより小さいリップルの高電圧Vhvを出力することができる。
【0059】
また、オフセットキャンセル期間を少しずつずらしたコンパレータ回路と対応するクロックおよびチャージポンプ回路を2つ以上の複数用意して並列動作することにより、出力高電圧のリップルをさらに減少させた、あるいは電流駆動能力を高めた高電圧発生回路を実現できる。
【0060】
実施形態3.
図8は本発明の実施形態3に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図である。実施形態3に係る高電圧発生回路は、図8に示すように、図6Aの実施形態1に係る高電圧発生回路に比較して以下の点が異なる。
(1)コンパレータ回路3−1に代えて、実施形態2に係るコンパレータ回路3A−1を備えた。
(2)コンパレータ回路3−2に代えて、オフセットフリー機能を有しない通常のコンパレータである差動増幅器A2を備えた。なお、差動増幅器A2の非反転入力端子には基準電圧Vrefが入力される。
(3)コンパレータ回路3A−1からの出力電圧Voと、差動増幅器A2からの出力電圧Voとの論理和演算を行ってイネーブル信号ENを発生してアンドゲート1の第2の第2の入力端子に出力するオアゲート6をさらに備えた。
(4)分圧回路7に代えて、抵抗R0と、抵抗r2と、抵抗R1a(=R1−r2)とが直列に接続されて構成される分圧回路7Aを備えた。ここで、抵抗R0と抵抗r2との接続点で分圧電圧Vdivを発生し、抵抗R1aと抵抗r2との接続点で分圧電圧Vdiv2を発生して差動増幅器A2の反転入力端子に入力される。
【0061】
本実施形態では、1つのオフセットフリーコンパレータ回路3A−1と、オフセットフリー機能を有しない通常のコンパレータである差動増幅器A2とを備えたことを特徴としている。差動増幅器A2は、高電圧Vhvの昇圧期間、並びに、オフセットフリーコンパレータ回路3A−1がオフセットキャンセル期間において高電圧Vhvの低下を回復させるために用いられる。一方、オフセットフリーコンパレータ回路3A−1は高電圧Vhvが安定状態であるときに高電圧Vhvの高精度のレギュレーション調整のために用いられる。従って、差動増幅器A2においては、分圧電圧Vdivよりも若干高い分圧電圧Vdiv2が反転入力端子に入力され、高電圧Vhvが目標電圧近傍になるまでクロックCclkにかかわらず連続的にチャージポンプ回路2を動作させることができる。その後、オフセットフリーコンパレータ回路3A−1は、高電圧Vhvを目標電圧になるように高精度で動作させる。オフセットキャンセル期間においては、チャージポンプ回路2はその動作が停止され、高電圧Vhvは若干低下するであろう。その結果、クロックCclk1は実施形態2と同様にオフセットキャンセル期間よりも長い比較動作期間を有するように構成される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、オフセットフリーコンパレータ回路3A−1と差動増幅器A2とを備え、チャージポンプ回路2を動作させているので、チャージポンプの非制御期間に高電圧Vhvが増大したり大きく減少 するという問題点を解決することができる。従って、従来技術に比較して安定に動作させることができ、所定の高電圧を高精度で制御することができる。
【0063】
実施形態4.
図9は本発明の実施形態4に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図である。実施形態4に係る高電圧発生回路は、図9に示すように、図8の実施形態3に係る高電圧発生回路に比較して以下の点が異なる。
(1)分圧回路7は実施形態1と同様に構成される。ここで、分圧電圧Vdivはコンパレータ回路3A−1及び差動増幅器A2の各反転入力端子に入力される。
(2)差動増幅器A2の非反転入力端子に入力される基準電圧として、上記基準電圧Vrefよりも低い基準電圧Vref2を用いる。基準電圧Vref2は例えば次式で表される。
【0064】
Vref2=Vref−ΔVref (2)
【0065】
ここで、ΔVref=0.01V〜0.1Vである。
【0066】
以上のように構成することで、実施形態3と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
さらに、実施形態3及び4においては、実施形態2のように、オフセットフリーコンパレータ回路及び対応するチャージポンプ回路を2組以上用意して、各々オフセットキャンセル期間をずらして設定することにより、実施形態2と同様の効果を得ることができる。オフセットフリー機能を有しない通常のコンパレータである差動増幅器は1つで共用可能であるが、複数用意することも問題は無く、その場合、実施形態3では抵抗r2、実施形態4ではVref2を複数個設けることもできる。
【0068】
実施形態5.
図10Aは本発明の実施形態5に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図であり、図10B図10Aのコンパレータ回路3Bの構成例を示す回路図である。例えばNANDフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置では、前述したチャージポンプ回路を備えた高電圧発生回路からの出力電圧を用いて、高電圧(HV)から中間電圧(MV)までの間の種々の電圧を電圧レギュレータ回路を用いて発生しており、以下の実施形態では、これらに好適なレギュレータ回路について説明する。
【0069】
図10Aにおいて、実施形態5に係るレギュレータ回路は、2つのコンパレータ回路3B−1,3B−2(総称して、符号3Bを付す。)と、インバータ4と、分圧抵抗R0,R1と、入力される高電圧Vhvを所定の出力電圧Vppに降圧させる電圧降圧回路を構成するNチャンネルMOSトランジスタQ1とを備えて構成される。
【0070】
高電圧VhvはMOSトランジスタQ1のドレインに印加されるとともに、各コンパレータ回路3B−1,3B−2の各電源端子に印加される。クロックCclkはコンパレータ回路3B−1に供給されるとともに、インバータ4を介してコンパレータ回路3B−2に供給される。分圧回路7からの分圧電圧Vdivはコンパレータ回路3B−1及び3B−2の各反転入力端子に入力される。所定の基準電圧Vrefはコンパレータ回路3B−1及び3B−2の各非反転入力端子に入力される。コンパレータ回路3B−1,3B−2からの各出力電圧Voはイネーブル信号ENとしてMOSトランジスタQ1のゲートに印加される。そして、MOSトランジスタQ1のソースは、高電圧Vhvから降圧された所定の電圧Vppを発生して出力する。
【0071】
図10Bにおいて、コンパレータ回路3Bは、図6Bのコンパレータ回路3と同様に構成されるが、電源端子に高電圧Vhvが印加されることが異なる。図示しないが、他に電源Vddを備えても良い。
【0072】
以上のように構成されたレギュレータ回路は、MOSトランジスタQ1と、分圧回路7と、基準電圧Vrefを有するコンパレータ回路3B−1,3B−2を備えて構成され、オフセットの問題は先の実施形態と同様に共通である。当該レギュレータ回路は、電圧降圧用MOSトランジスタQ1を備えたことを除いて、実施形態1に係る高電圧発生回路と同様に動作する。従って、実施形態1と同様に、所定の電圧Vppを高精度でかつ安定に発生することができる。
【0073】
実施形態6.
図11Aは本発明の実施形態6に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図である。実施形態6に係るレギュレータ回路は、図11Aに示すように、図10Aの実施形態5に係るレギュレータ回路に比較して以下の点が異なる。
(1)NチャンネルMOSトランジスタQ1に代えて、電圧降圧回路を構成するPチャンネルMOSトランジスタQ2を備えた。なお、PチャンネルMOSトランジスタQ2の基板パッドは高電圧Vhvに接続される。
(2)コンパレータ回路3B−1,3B−2に入力される入力電圧が異なる。具体的には、分圧回路7からの分圧電圧Vdivはコンパレータ回路3B−1,3B−2の各非反転入力端子に入力され、所定の基準電圧Vrefはコンパレータ回路3B−1,3B−2の各反転入力端子に入力される。
【0074】
以上のように構成されたレギュレータ回路は、MOSトランジスタQ2がPチャンネルMOSトランジスタを用いることを除いて、実施形態5と同様に動作し、実施形態5と同様に、所定の電圧Vppを高精度でかつ安定に発生することができる。
【0075】
実施形態6の変形例.
図11Bは実施形態6の変形例に係るレギュレータ回路であって、図11Aに係る実施形態6の回路を、実施形態1を実施形態2に変えたのと同様に変えた回路であり、図11Aのレギュレータ回路に比較して以下の点が異なる。
(1)PチャンネルMOSトランジスタQ4をさらに備えた。なお、PチャンネルMOSトランジスタQ4の基板パッドは高電圧Vhvに接続される。
(2)コンパレータ回路3Bに代えてコンパレータ回路3Cを備えた。コンパレータ回路3Cはコンパレータ回路3Aと同様に構成されるが、電源端子に高電圧Vhvが印加されることが異なる。図示しないが他に電源Vddも備えても良い。各コンパレータ回路の出力はそれぞれPチャンネルMOSトランジスタQ2とQ4のゲートに接続される。
(3)2つのクロックCclk1,Cclk2を実施形態2と同様に備えた。
【0076】
以上のように構成された実施形態6及びその変形例に係るレギュレータ回路は、実施形態2と同様に、2つのクロックのオフセットキャンセル期間をずらして設定することにより、実施形態2と同様の効果を得ることができる。実施形態5と同様に、所定の電圧Vppを高精度でかつ安定に発生することができ、かつリップル電圧を減少することができる。
【0077】
実施形態7.
図12は本発明の実施形態7に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図である。実施形態7に係るレギュレータ回路は、図12に示すように、図11Aの実施形態6に係るレギュレータ回路に比較して以下の点が異なる。
(1)PチャンネルMOSトランジスタQ3及びNチャンネルMOSトランジスタQ4を備え、イネーブル信号ENをレベルシフト(昇圧)してMOSトランジスタQ2に印加するレベルシフタ8をさらに備えた。
(2)コンパレータ回路3B−1,3B−2に代えてコンパレータ回路3−1,3−2を備え、さらに入力される電源電圧と入力電圧が異なる。具体的には、電源電圧は電源Vddに替え、分圧回路7からの分圧電圧Vdivはコンパレータ回路3−1,3−2の各反転入力端子に入力され、所定の基準電圧Vrefはコンパレータ回路3−1,3−2の各非反転入力端子に入力される。
ここで、MOSトランジスタQ2〜Q4は電圧降圧回路を構成する。以下、相違点について詳述する。
【0078】
図12のレベルシフタ8において、イネーブル信号ENはMOSトランジスタQ4のゲートに印加され、そのソースは接地される。MOSトランジスタQ4のドレインはMOSトランジスタQ3のドレイン及びゲート、並びにMOSトランジスタQ2のゲートに接続される。高電圧VhvはMOSトランジスタQ2のソース及び基板パッド、MOSトランジスタQ3の基板パッド及びソースに印加され、MOSトランジスタQ2のドレインは分圧回路7に接続されるとともに、出力電圧Vppを出力する。
【0079】
以上のように構成されたレギュレータ回路においては、コンパレータ回路3−1,3−2の電源電圧は所定の電源電圧Vddで動作され、レベルシフタ8はレベスシフト及び論理一致回路を構成する。発振を回避するために、MOSトランジスタQ2〜Q4のサイズを注意深く設定する必要がある。また、MOSトランジスタQ2のゲートにキャパシタと抵抗を直列接続した回路を接続(他端は接地)して発振を防止するように構成してもよい。
【0080】
以上のように構成されたレギュレータ回路は、レベルシフタ8を用いることを除いて、実施形態5及び6と同様に動作し、実施形態5及び6と同様に、所定の電圧Vppを高精度でかつ安定に発生することができる。
【0081】
実施形態8.
図13は本発明の実施形態8に係るレギュレータ回路の構成例を示す回路図である。実施形態8に係るレギュレータ回路は、図13に示すように、図12の実施形態7に係るレギュレータ回路に比較して以下の点が異なる。
(1)レベルシフタ8に加えて、レベルシフト(昇圧)するレベルシフタ8Aをさらに備えた。
(2)レベルシフタ8のためのPチャンネルMOSトランジスタQ5、及びレベルシフタ8AのためのPチャンネルMOSトランジスタQ6をさらに備えた。ここで、MOSトランジスタQ5,Q6は入力電圧と出力電圧との間において、MOSトランジスタQ2と直列に接続されかつ互いに並列に接続される。なお、レベルシフタ8,8Aは高電圧Vhvで駆動される。
(3)コンパレータ回路3−1,3−2に代えてコンパレータ回路3A−1,3A−2を備える。
【0082】
図13において、高電圧VhvはMOSトランジスタQ2のソース及び基板パッドに印加され、そのゲートはMOSトランジスタQ5,Q6の各ソースに接続される。コンパレータ回路3A−2は比較結果の出力電圧であるイネーブル信号EN1をレベルシフタ8を介してMOSトランジスタQ5のゲートに出力する。また、コンパレータ回路3A−1は比較結果の出力電圧であるイネーブル信号EN2をレベルシフタ8Aを介してMOSトランジスタQ6のゲートに出力する。MOSトランジスタQ5,Q6のドレインは分圧回路7に接続され、所定の電圧Vppを発生して出力する。
【0083】
以上のように構成されたレギュレータ回路においては、コンパレータ回路3A−1,3A−2の電源電圧は所定の電源電圧Vddで動作され、レベルシフタ8はレベスシフト及び論理一致回路を構成する。発振を回避するために、MOSトランジスタQ2〜Q6のサイズを注意深く設定する必要がある。特に、MOSトランジスタQ2は発振回避のために挿入される。
【0084】
ここで、本実施形態8は、実施形態2と同様、2組以上のコンパレータ回路、レベルシフト回路、PMOSトランジスタ及びオフセットキャンセル期間を少しずつずらしたクロックを備えることにより、実施形態2と同じ効果を得ることができる。
【0085】
以上のように構成されたレギュレータ回路は、レベルシフタ8を用いることを除いて、実施形態5及び6と同様に動作し、実施形態5及び6と同様に、所定の電圧Vppを高精度でかつ安定に発生することができる。
【0086】
実施形態9.
図14Aは本発明の実施形態9に係る高電圧発生回路の構成例を示す回路図であり、図14B図14Aのコンパレータ回路3Dの構成例を示す回路図である。また、図14C図14Aのクロック発生回路52によって発生されるクロックCclk1〜Cclk4のタイミングチャートとコンパレータ回路3D−1、3D−2のスイッチの接続を示す図である。
【0087】
実施形態9に係る高電圧発生回路は、図14Aに示すように、図6Aの実施形態1に係る高電圧発生回路に比較して以下の点が異なる。
(1)コンパレータ回路3−1,3−2に代えて、コンパレータ回路3D−1,3D−2(総称して、符号3Dを付す。)を備えた。
(2)キャパシタCoをコンパレータ回路3Dの出力端にさらに備えた。
(3)クロック発生回路50に代えて、クロック発生回路52を備えた。また、これに合わせ、インバータ4は削除した。
以下、相違点について詳述する。
【0088】
図14Aにおいて、クロック発生回路52は、図14Cに示すように、各コンパレータ回路のスイッチS1とS2、S3を別クロックCclk1、Cclk2、あるいはCclk3、Cclk4で制御する。その目的は、オフセットキャンセル期間からコンパレータ動作期間に移る瞬間はコンパレータ回路が正しい比較結果を出すまでにはある時間期間を要するので、その遷移期間をチャージポンプの制御に使用しないようにするためである。図14Cに期間tdで示す時間期間がその遷移に必要な時間期間である。
【0089】
コンパレータ回路3D−1はクロックCclk1、Cclk2に同期して比較結果の出力電圧Voをイネーブル信号ENとしてアンドゲート1の第2の入力端子に出力するが、クロックCclk1はスイッチS1を制御し、クロックCclk2はスイッチS2とS3を制御する。ここで、スイッチS2及びS3がオフセットキャンセル設定からコンパレータ比較動作設定に切り替わった瞬間から時間期間tdの後にスイッチS1がオンにされコンパレータ出力Voがイネーブル信号ENに出力される。これにより、コンパレータ3D−1の比較動作の遷移期間はイネーブル信号ENに反映されないが、この時間期間tdはまだコンパレータ3D−2で制御されているので、実施形態1と同様にチャージポンプはシームレスに制御されている。コンパレータ回路3D−2はクロックCclk3、Cclk4に同期して上記同様に動作する。クロックCclk3はクロックCclk1の反転クロックで、クロックCclk4はクロックCclk2をクロックCclk1の半周期分シフトさせたクロックとなっており、上記動作が達成される。
【0090】
従って、本タイミングによる制御によれば、コンパレータ回路のコンパレータ比較動作開始時の応答速度に係る遷移期間の問題を回避でき、より高精度のチャージポンプ制御ができる。
【0091】
なお、このコンパレータ回路のコンパレータ比較動作開始時の応答速度に係る遷移期間の問題は、全ての実施形態に共通であるが、本実施形態9のようにコンパレータ回路のスイッチを適切に制御することにより解決できる。なお、キャパシタCoは、コンパレータが切り換わる時のノイズの減少と応答速度の調整を行う。
【0092】
実施形態の効果.
図15Aは従来例に係るフラッシュメモリのウエハテスト処理の一例を示すフローチャートである。図15Bは実施形態に係る高電圧発生回路及びレギュレータ回路を用いた場合におけるフラッシュメモリのウエハテスト処理の一例を示すフローチャートである。
【0093】
図15AのステップS1において、電圧トリミング(調整)の前に電圧をモニタする処理を実行し、ステップS2において、各種電圧をトリミングする処理を実行する。さらに、ステップS3において、電圧トリミングの後に電圧をモニタする。ここで、ステップS2の各種電圧は、例えば以下の通りである。
(1)高電圧(HV)、中間電圧(MV)及び低電圧(LV)のための基準電圧Vref,発振回路のための基準電圧Vref、並びにスタンバイ回路のための基準電圧Vref;
(2)プログラム(データ書き込み)及びデータ消去のための高電圧(HV);
(3)プログラム(データ書き込み)、データ消去及びデータ読み出しのための中間電圧圧(MV);並びに
(4)複数の制御信号のレベルを供給するための低電圧(LV)。
【0094】
これに対して、実施形態に係る高電圧発生回路及びレギュレータ回路を例えばフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置に用いた場合は、図15BのステップS11において、BGR(バンドギャップリファレンス)基準電圧Vrefwをトリミング(調整)する処理を実行した後、ステップS12において、電圧トリミング後に電圧をモニタ処理を実行するだけですむ。
【0095】
実施形態に係る高電圧発生回路及びレギュレータ回路を例えばフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置に用いた場合は、種々の電圧をトリミングする処理を行うことなく、チャージポンプ回路を備えた高電圧発生回路からの高電圧Vhvを高精度で正確に制御することができる。製造する半導体チップからこれらに関係する回路を除去することのみならず、ウエハテストにおける動作時間及びテスト時間を大幅に削減することができる。図15Aの従来例のウエハテストでは合計115項目の処理が必要であるが、これに対して、本実施形態を用いれば、およそ45項目に半減以下にすることができ、製造コストを削減でき、しかも半導体チップのエリア面積を大幅に低減できる。
【0096】
変形例.
以上の実施形態においては、高電圧発生回路について説明しているが、本発明はこれに限らず、少なくとも基準電圧Vrefよりも高い電圧を発生する電圧発生回路で構成してもよい。
【0097】
本実施形態に係る高電圧発生回路は、NAND型フラッシュメモリに限らず、その他のフラッシュメモリなどの不揮発性半導体記憶装置、例えば電子機器のためのレギュレータ回路、電源装置などの半導体装置に適用することができる。
【0098】
本回路をCMOS回路で作製する場合、スイッチ素子はMOSトランジスタで構成され、キャパシタはMOSキャパシタあるいはMOM(配線間容量を使用)、MIS(配線層間に作製した絶縁膜を使用)キャパシタで構成され、抵抗は拡散層あるいはポリシリコン層で構成される。さらに分圧回路は抵抗分圧の他にキャパシタを直列接続した容量分圧回路が使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上詳述したように、本発明に係る電圧発生回路及びレギュレータ回路によれば、従来技術に比較して安定に動作させることができ、所定の高電圧を高精度で制御することができる。
【符号の説明】
【0100】
1,1A…アンドゲート、
2,2A…チャージポンプ回路、
3,3A,3B,3C,3D,3−1,3−2,3A−1,3A−2,3B−1,3B−2,3C−1,3C−2,3D−1,3D−2…コンパレータ回路、
4,5…インバータ、
6…オアゲート、
7,7A…分圧回路、
8,8A…レベルシフタ、
50,51…クロック発生回路、
A1,A2…差動増幅器、
Cs…入力キャパシタ、
Co…キャパシタ、
Q1〜Q6…MOSトランジスタ、
R0,R1,R1a,r2…抵抗、
S1,S2,S3,S1a…スイッチ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B