特許第5982511号(P5982511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982511
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】樹脂製管継手構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/00 20060101AFI20160818BHJP
   F16L 47/04 20060101ALI20160818BHJP
   F16L 33/22 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F16L19/00
   F16L47/04
   F16L33/22
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-26008(P2015-26008)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-148413(P2016-148413A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年5月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】藤井 睦
(72)【発明者】
【氏名】宮本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 達也
(72)【発明者】
【氏名】飯田 俊英
(72)【発明者】
【氏名】小池 智幸
(72)【発明者】
【氏名】巻幡 慎太郎
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2000/28254(WO,A1)
【文献】 特開2013−100875(JP,A)
【文献】 特開2005−163938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/00
F16L 33/22
F16L 47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状を呈する継手本体と、
前記継手本体に圧入可能な筒状の圧入部、及び、チューブに圧入可能な筒状の連結部を有するスリーブと、
前記連結部を圧入した状態の前記チューブを前記継手本体に前記スリーブを介して固定するための締結具とを備える樹脂製管継手構造において、
前記スリーブが、
前記継手本体の内周面に密接可能なシール面を備えるとともに、
前記継手本体の内周面への前記シール面の密接時に当該継手本体の内周面との間に空間を形成する非接触面を、前記圧入部と前記連結部との間に備え
前記シール面が、
前記スリーブの軸心方向に関して前記継手本体の内周面に沿って延びるように、前記圧入部の外周面にその全体にわたって形成されていることを特徴とする樹脂製管継手構造。
【請求項2】
前記スリーブが、
前記圧入部の外周面と前記非接触面との間に、前記非接触面を前記圧入部の外周面よりも径方向内方に位置させるための段差部を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂製管継手構造。
【請求項3】
前記継手本体が、
前記チューブの内部と前記スリーブを介して連通可能な流体用の流路が内部に形成された本体筒部、
前記締結具と螺合可能なように前記本体筒部からその軸心方向一方へ同軸的に突設された外筒部、及び、
前記外筒部の径方向内方に配置されるとともに、突出端が前記外筒部の突出端よりも前記本体筒部側に位置するように前記本体筒部から前記外筒部と同方向へ同軸的に突設された内筒部を有し、
軸心方向一方に開口する溝部が前記本体筒部と前記外筒部と前記内筒部とに囲まれて形成されるように構成され、
前記スリーブが、
前記非接触面を外周面に含み、前記圧入部と前記連結部との間でこれらを同軸的に突出させるとともに、前記外筒部内に挿入される筒状の挿入部、及び、
前記圧入部の径方向内方に配置されるとともに、突出端が前記圧入部の突出端よりも前記挿入部側に位置するように前記挿入部から突設された筒状の規制部を有し、
前記圧入部が、前記溝部に圧入されるとともに、前記溝部への前記圧入部の圧入時に、前記規制部が、前記内筒部の径方向内方に位置して、前記圧入部により押される前記内筒部の径方向内方への変形移動を規制するように構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂製管継手構造。
【請求項4】
前記シール面の軸心方向幅がW1と規定され、前記非接触面の軸心方向幅がW2と規定された場合に、W1/W1+W2が0.3以上に設定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれ一項に記載の樹脂製管継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製管継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造、医療・医薬品製造、食品加工及び化学工業等の各種技術分野の製造工程で取り扱われる流体(例えば、高純度液、超純水又は薬液)用チューブに対して用いられる樹脂製管継手として、例えば、特許文献1に記載のような樹脂製管継手が知られている。
【0003】
この種の樹脂製管継手は、継手本体と、インナリング(スリーブ)と、押輪(締結具)とを備えている。前記継手本体は、筒状を呈するものである。前記インナリングは、前記継手本体に圧入可能な筒状の圧入部と、チューブに圧入可能な筒状の連結部とを有している。
【0004】
前記押輪は、前記連結部を圧入した状態の前記チューブを前記継手本体に前記スリーブを介して固定し得るように構成されている。すなわち、前記押輪は、前記継手本体に前記スリーブを介して前記チューブが接続された状態を保持できるように構成されている。
【0005】
このような樹脂製管継手においては、前記継手本体に前記チューブが接続された場合、前記継手本体と前記スリーブの圧入部との間をシールするシール部が形成されるようになっている。このシール部の形成時には、前記継手本体の内周面に加え、これに密接する前記スリーブの圧入部の外周面が環状のシール面として機能する。
【0006】
ところで、前記スリーブは、所定の樹脂及び金型を用いて製造される。前記金型は、製造時に溶融した前記樹脂(溶融樹脂)を前記金型により形成されたキャビティ内に注入するためのゲート口を備える。前記金型において、前記ゲート口は、製造後のスリーブの圧入部の外周面(シール面)を成形する部位に配置されるため、当該シール面にゲート残りが発生していた。
【0007】
また、前記溶融樹脂は、前記ゲート口を通じて前記キャビティ内に注入されたとき、前記スリーブを成形すべく周方向に広がるように流れて、前記シール面を形成する。よって、前記溶融樹脂の注入完了後、前記シール面にウェルドラインが発生しやすくなっていた。
【0008】
さらに、前記シール面にウェルドライン又は/及びゲート残りが発生した場合、そのままの状態で前記スリーブを使用すると前記シール部のシール性能が低下する。したがって、前記スリーブの製造作業に、ウェルドライン又は/及びゲート残りを除去するための研磨工程を設けなければならないという不都合が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−054489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、継手本体とスリーブとの間をシールするシール部を形成するために、前記継手本体に前記スリーブの圧入部を圧入する樹脂製管継手構造において、前記スリーブの製造作業の煩雑化を招くことなく、前記スリーブの製造精度に起因して前記継手本体と前記スリーブの圧入部との間のシール性能が低下することを防止できる樹脂製管継手構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様による樹脂製管継手構造は、
筒状を呈する継手本体と、
前記継手本体に圧入可能な筒状の圧入部、及び、チューブに圧入可能な筒状の連結部を有するスリーブと、
前記連結部を圧入した状態の前記チューブを前記継手本体に前記スリーブを介して固定するための締結具とを備える樹脂製管継手構造において、
前記スリーブが、
前記継手本体の内周面に密接可能なシール面を備えるとともに、
前記継手本体の内周面への前記シール面の密接時に当該継手本体の内周面との間に空間を形成する非接触面を、前記圧入部と前記連結部との間に備え
前記シール面が、
前記スリーブの軸心方向に関して前記継手本体の内周面に沿って延びるように、前記圧入部の外周面にその全体にわたって形成されているものである。
【0012】
この構成によれば、前記スリーブの圧入部を前記継手本体に圧入させかつ前記連結部を前記チューブに圧入させて、前記樹脂製管継手構造に前記チューブを結合できる。そのうえで、前記スリーブの製造時に前記圧入部のシール面を研磨するなどの手間をかけることなく、前記継手本体と前記スリーブとの間をシールするシール部のシール性能が前記スリーブの製造精度に起因して低下することを防止できる。
【0013】
すなわち、前記スリーブは、所定の樹脂及び金型等を用いて製造される。その製造時には、金型により形成されたキャビティ内のうちの前記非接触面を成形するための領域の1箇所に前記金型のゲート口が配置され、溶融した樹脂が前記キャビティ内に前記ゲート口を通じて注入される。よって、前記ゲート口が前記シール面を成形する部位に配置されないため、当該シール面にゲート残りが発生しない。
【0014】
前記溶融した樹脂は、前記ゲート口を通じて前記キャビティ内に注入されたとき、概ね、まず前記非接触面を形成すべく周方向に流れ、つづいて前記シール面等を形成すべく軸方向に流れる過程を経る。よって、成形された前記シール面において、ウェルドラインを発生しにくくできる。
【0015】
しかも、前記溶融した樹脂の注入完了後には、前記シール面にウェルドラインが発生しにくいものとなり、また、前記シール面にゲート残りが発生しなくなるので、前記スリーブの製造作業時に前記シール部のシール性能に配慮した前記シール面の研磨工程が不要となる。結果として、前記スリーブの製造における品質の安定化と製造コストの削減を図ることができる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、
前記スリーブが、
前記圧入部の外周面と前記非接触面との間に、前記非接触面を前記圧入部の外周面よりも径方向内方に位置させるための段差部を有する。
【0017】
本発明のまた別の態様によれば、
前記継手本体が、
前記チューブの内部と前記スリーブを介して連通可能な流体用の流路が内部に形成された本体筒部、
前記締結具と螺合可能なように前記本体筒部からその軸心方向一方へ同軸的に突設された外筒部、及び、
前記外筒部の径方向内方に配置されるとともに、突出端が前記外筒部の突出端よりも前記本体筒部側に位置するように前記本体筒部から前記外筒部と同方向へ同軸的に突設された内筒部を有し、
軸心方向一方に開口する溝部が前記本体筒部と前記外筒部と前記内筒部とに囲まれて形成されるように構成され、
前記スリーブが、
前記非接触面を外周面に含み、前記圧入部と前記連結部との間でこれらを同軸的に突出させるとともに、前記外筒部内に挿入される筒状の挿入部、及び、
前記圧入部の径方向内方に配置されるとともに、突出端が前記圧入部の突出端よりも前記挿入部側に位置するように前記挿入部から突設された筒状の規制部を有し、
前記圧入部が、前記溝部に圧入されるとともに、前記溝部への前記圧入部の圧入時に、前記規制部が、前記内筒部の径方向内方に位置して、前記圧入部により押される前記内筒部の径方向内方への変形移動を規制するように構成される。
【0018】
本発明のまた別の態様によれば、
前記シール面の軸心方向幅がW1と規定され、前記非接触面の軸心方向幅がW2と規定された場合に、W1/W1+W2が0.3以上に設定される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、継手本体とスリーブとの間をシールするシール部を形成するために、前記継手本体に前記スリーブの圧入部を圧入する樹脂製管継手構造において、前記スリーブの製造作業の煩雑化を招くことなく、前記スリーブの製造精度に起因して前記継手本体と前記スリーブの圧入部との間のシール性能が低下することを防止できる樹脂製管継手構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂製管継手構造の断面図である。
図2図1の一部拡大図である。
図3図1の樹脂製管継手構造におけるスリーブの平面図である。
図4図3のスリーブの断面図である。
図5図3のスリーブの一部背面断面図である。
図6図3のスリーブの製造時の様子を示す断面図である。
図7】他の例のスリーブの一部背面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る樹脂製管継手構造は、半導体、液晶又は有機ELの製造装置等において、チューブに別のチューブを接続するためにこれら両チューブ間に設けられたり、バルブ又はポンプ等の流体機器にチューブを接続するために当該流体機器のチューブ接続位置に設置されたりして使用され得るものである。
【0022】
まず、本発明の一実施形態に係る樹脂製管継手構造1の概略構成について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に、前記樹脂製管継手構造1の断面図を示す。図2に、図1の一部拡大図を示す。なお、図1においては、前記樹脂製管継手構造1にチューブ2を結合した状態を示している。
【0024】
図1に示すように、前記樹脂製管継手構造1は、継手本体3と、スリーブ4と、締結具5とを備えている。前記樹脂製管継手構造1は、フッ素樹脂等の合成樹脂を用いて製造されている。前記チューブ2は、可撓性を有するものであり、本実施形態においてはフッ素樹脂等の合成樹脂を用いて製造されている。
【0025】
前記継手本体3は、筒状を呈するものである。前記継手本体3は、本体筒部11と、外筒部12と、内筒部13とを備えている。前記継手本体3は、本実施形態においてはフッ素樹脂製のものであり、具体的には例えばPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、又は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いて成形される。
【0026】
前記本体筒部11は、前記スリーブ4と連結され得るものであり、流体用の流路14を当該本体筒部11の内部に有している。本実施形態において、前記本体筒部11は、円筒状に形成されている。そして、前記流路14が、前記チューブ2の内部と連通可能なように、略円形断面を有しかつ前記本体筒部11の内部にその軸心方向に延びるように設けられている。
【0027】
前記外筒部12は、前記締結具5と螺合可能なように前記本体筒部11の軸心方向一方の端部からその軸心方向一方へ同軸的に突設されている。本実施形態において、前記外筒部12は、円筒状に形成されている。前記外筒部12の外周面には、螺合部としての雄ねじ部15が前記外筒部12の軸心方向に沿って設けられている。
【0028】
前記内筒部13は、前記外筒部12の径方向内方に配置されている。前記内筒部13は、その突出端16が前記外筒部12の突出端17よりも前記本体筒部11側に位置するように、前記本体筒部11の軸心方向一方の端部から前記外筒部12と同方向へ同軸的に突設されている。
【0029】
本実施形態において、前記内筒部13は、前記本体筒部11の内径と略同一寸法の内径を有し、かつ、前記外筒部12の内径よりも小さい外径を有する円筒状に形成されている。そして、流路18が、略円形断面を有しかつ前記内筒部13の内部にその軸心方向に延びるように設けられて、前記流路14と連続している。
【0030】
また、前記継手本体3においては、前記本体筒部11と前記外筒部12と前記内筒部13とに囲まれた溝部20が設けられている。前記溝部20は、前記スリーブ4の軸心方向他方の端部(後述の圧入部27)を圧入可能なように、前記内筒部13の外周面の全周にわたって延びる環状に形成されている。
【0031】
本実施形態において、前記溝部20は、前記内筒部13と、これに対向する前記外筒部12の軸心方向他方側との間に配置されている。前記溝部20は、開口部21を前記内筒部13の突出端16近傍に有し、前記継手本体3の軸心を含む断面(図1参照)で凹湾曲状に形成された閉塞部22を前記本体筒部11側に有している。
【0032】
前記スリーブ4は、連結部26と、前記圧入部27とを備えている。前記スリーブ4は、前記連結部26を前記チューブ2に圧入しその圧入状態で前記圧入部27を前記継手本体3に圧入することにより、前記チューブ2を前記継手本体3に接続できるように構成されている。
【0033】
本実施形態において、前記スリーブ4は、前記連結部26及び前記圧入部27のほか、挿入部25と、規制部28とを備えている。前記スリーブ4の内部には、前記流路18に接続可能な略円形断面の流路29が設けられている。前記スリーブ4は、本実施形態においてはフッ素樹脂製のものであり、具体的には例えばPFAを用いて成形される。
【0034】
前記挿入部25は、筒状のものであり、前記継手本体3の外筒部12内に挿入され得るように構成されている。本実施形態において、前記挿入部25は、前記チューブ2の内径よりも大きい外径を有し、かつ、前記継手本体3の内筒部13及び前記チューブ2の内径と略同一寸法の内径を有する円筒状に形成されている。
【0035】
前記連結部26は、筒状のものであり、前記挿入部25から軸心方向一方へ同軸的に突設されて、前記チューブ2の長手方向一端部7に同軸的に圧入され得るように構成されている。本実施形態において、前記連結部26は、前記挿入部25の内径及び前記チューブ2の内径と略同一寸法の内径を有する円筒状に形成されている。
【0036】
前記連結部26の外径は、前記挿入部25の外径よりも小さく、かつ、前記チューブ2の内径よりも大きく設定されている。こうして、前記チューブ2の長手方向一端部7への前記連結部26の圧入時、前記チューブ2の長手方向一端部7を前記連結部26により拡径しつつ、前記挿入部25により位置決めできるようになっている。
【0037】
前記圧入部27は、筒状のものであり、前記挿入部25から軸心方向他方へ同軸的に突設されて、前記溝部20に前記開口部21から圧入され得るように構成されている。本実施形態において、前記圧入部27は、前記挿入部25の内径よりも大きい内径を有する円筒状に形成されている。
【0038】
前記圧入部27の径方向幅は、前記圧入部27が前記溝部20に圧入され得るように、前記溝部20の溝幅(径方向幅)よりも大きく設定されている。本実施形態においては、前記圧入部27の外径が前記外筒部12の内径に対して若干大きい又は略同一寸法に設定され、前記圧入部27の内径が前記内筒部13の外径よりも小さく設定されている。
【0039】
前記規制部28は、筒状のものであり、前記圧入部27に対して前記スリーブ4の径方向内方に配置されている。前記規制部28は、その突出端31が前記圧入部27の突出端32よりも前記挿入部25側に位置するように、前記挿入部25から前記圧入部27と同方向へ同軸的に突設されている。
【0040】
前記規制部28は、前記圧入部27が前記継手本体3の溝部20に前記開口部21から前記閉塞部22側に向かって圧入されたとき、前記内筒部13の径方向内方に位置して、前記圧入部27により押される前記内筒部13の径方向内方(前記流路18側)への変形移動を規制するように構成されている。
【0041】
本実施形態において、前記規制部28は、前記挿入部25の内径と略同一寸法の内径を有する円筒状に形成されている。前記規制部28の外径は、互いに対向する前記規制部28と前記圧入部27の軸心方向一方側との間に前記内筒部13の突出端16側を挟むことができるように、前記圧入部27の内径よりも小さく設定されている。
【0042】
したがって、前記規制部28は、前記圧入部27が前記溝部20に圧入される際、前記圧入部27により押されることで前記本体筒部11に対し前記突出端16側から径方向内方へ変形移動しようとする前記内筒部13をその突出端16側で支えて、前記内筒部13の径方向内方への変形移動を規制できるようになっている。
【0043】
こうして、前記規制部28が前記内筒部13の変形移動を規制する状態で前記圧入部27が前記溝部20に圧入されることによって、前記圧入部27の外周面63と前記外筒部12の内周面61との間をシールし、かつ、前記圧入部27の内周面と前記内筒部13の外周面との間をシールする第1シール部33が形成されるようになっている。
【0044】
また、本実施形態において、前記規制部28は、その外径が軸心方向一方側から他方側(前記突出端31側)に向かって次第に縮径するように先細状に形成されている。そして、前記規制部28の外周面36が、前記内筒部13の突出端16近傍に備えられたテーパ面37と当接可能なテーパ状とされている。
【0045】
これにより、前記圧入部27が前記溝部20に圧入されたとき、前記規制部28のテーパ状の外周面36と前記内筒部13のテーパ面37とが圧接して、前記規制部28のテーパ状の外周面36と前記内筒部13のテーパ面37との間をシールする第2シール部38が形成されるようになっている。
【0046】
また、前記スリーブ4は、膨出部40をさらに備えている。そして、前記スリーブ4は、前記膨出部40を用いて、前記チューブ2の長手方向一端部7を拡径してその拡径した状態を保持するように、前記長手方向一端部7に当該スリーブ4の軸心方向一方側から圧入され得るように構成されている。
【0047】
前記膨出部40は、前記スリーブ4の軸心方向一方側に配置され、前記連結部26から径方向外方へ膨出するように環状に形成されている。前記膨出部40は、前記チューブ2の長手方向一端部7を拡径するために、軸心方向一方側から他方側に向かうに従って拡径するテーパ面41を有している。
【0048】
こうして、前記チューブ2の長手方向一端部7への前記スリーブ4の圧入時、前記スリーブ4のテーパ面41が前記チューブ2の長手方向一端部7のうちテーパ状部分の内周面に圧接状態で面接触して、前記テーパ面41と前記チューブ2の長手方向一端部7との間をシールする第3シール部44が形成されるようになっている。
【0049】
前記膨出部40は、また、環状の段差部53を有している。前記段差部53は、前記スリーブ4の軸心方向に関して、前記膨出部40の頂部を挟んで前記テーパ面41と反対側に配置されている。前記段差部53には、前記チューブ2の長手方向一端部7への前記スリーブ4の圧入時に当該チューブ2の内周面の一部に接する角部54が設けられている。
【0050】
これにより、前記スリーブ4が前記チューブ2の長手方向一端部7に圧入されたとき、前記段差部53の角部54が前記チューブ2の長手方向一端部7の内周面の一部に圧接状態で接触して、前記角部54と前記チューブ2の長手方向一端部7との間をシールする第4シール部57が形成されるようになっている。
【0051】
前記締結具5は、前記スリーブ4の連結部26を圧入した状態の前記チューブ2を前記継手本体3に前記スリーブ4を介して固定する、即ち前記継手本体3と前記チューブ2の接続状態を保持するためのものである。前記締結具5は、本実施形態においてはユニオンナットからなり、前記チューブ2に遊嵌可能に構成されている。
【0052】
詳しくは、前記締結具5は、押圧部46と、外輪部47とを備えている。前記締結具5は、本実施形態においてはフッ素樹脂製のものであり、具体的には例えばPFAを用いて成形される。
【0053】
前記押圧部46は、筒状のものであり、前記チューブ2に対してその長手方向に相対移動可能に外嵌され得るように構成されている。本実施形態において、前記押圧部46は、前記チューブ2の外径に対して若干大きい内径を有する円筒状に形成されている。前記押圧部46の軸心方向他方の端部のうち内径側には、角部48が設けられている。
【0054】
前記外輪部47は、前記継手本体3の外筒部12に径方向外方から螺合し得るように構成されている。本実施形態において、前記外輪部47は、前記押圧部46の内径よりも大きい内径を有する円筒状に形成されている。前記外輪部47は、前記押圧部46の軸心方向他方の端部のうち外径側から軸心方向他方へ同軸的に突設されている。
【0055】
前記外輪部47の内径は、前記外筒部12を包囲し得るように、前記外筒部12の外径と略同一寸法に設定されている。前記外輪部47の内周面には、前記外筒部12の雄ねじ部15に対応する雌ねじ部49が、前記外輪部47の軸心方向に沿って設けられている。これにより、前記外輪部47が、前記外筒部12と螺合可能とされている。
【0056】
そして、前記外輪部47が前記外筒部12に螺合された状態で前記締結具5が締め付けられることにより、前記圧入部27が前記溝部20に圧入されるように、前記押圧部46が、前記チューブ2の長手方向一端部7における前記テーパ状部分を介して、前記角部48で前記スリーブ4を押圧する構成とされている。
【0057】
したがって、前記締結具5の締め付けが行われた場合、前記外筒部12内に前記スリーブ4と共に挿入された前記チューブ2の長手方向一端部7の一部が前記テーパ面41に押し付けられた状態に保持され得る。こうして、前記チューブ2の抜け止めと、前記第3シール部44におけるシール性の強化とを図ることができるようになっている。
【0058】
以上のように構成される前記樹脂製管継手構造1においては、前記チューブ2を結合させる場合、まず、前記スリーブ4が前記チューブ2と連結するように、前記連結部26及び前記膨出部40を前記チューブ2の長手方向一端部7に圧入する。そして、このスリーブ4を前記圧入部27から前記外筒部12内に挿入する。
【0059】
前記スリーブ4の挿入後、前記締結具5を前記外筒部12に対し締め付けて、前記圧入部27を前記溝部20に圧入するとともに、前記規制部28を前記内筒部13に圧接させる。また、前記角部48を前記チューブ2の長手方向一端部7の一部に押し当てて、その部分を前記スリーブ4に押し付けた状態を保つ。
【0060】
その結果、シール力が径方向に作用する前記第1シール部33及びシール力が軸心方向に作用する前記第2シール部38を前記継手本体3と前記スリーブ4との間に形成し、かつ、前記第3シール部44及び前記第4シール部57を前記チューブ2と前記スリーブ4との間に形成しながら、前記樹脂製管継手構造1に前記チューブ2を結合させることができるようになっている。
【0061】
次に、前記スリーブ4について図面を参照しつつより詳細に説明する。
【0062】
図3に、前記スリーブ4の平面図を示す。図4に、前記スリーブ4の軸心を含む断面図を示す。図5に、前記スリーブ4の背面一部断面図(図3のA−A矢視断面図)を示す。
【0063】
図2図3図4図5に示すように、前記スリーブ4は、前記継手本体3の内周面61に密接可能なシール面62を、前記圧入部27の外周面63に含んでいる。前記スリーブ4は、前記継手本体3の内周面61との間に空間65を形成し得る非接触面66を、前記圧入部27と前記連結部26との間に備えている。
【0064】
本実施形態において、前記シール面62は、前記溝部20への前記圧入部27の圧入時に前記第1シール部33を形成すべく前記継手本体3(詳しくは前記外筒部12)の内周面61に密接される。前記シール面62は、前記継手本体3の内周面61に沿う環状を呈するように、前記圧入部27の外周面63の略全体から形成されている。
【0065】
前記非接触面66は、前記溝部20への前記圧入部27の圧入時に前記スリーブ4の径方向に関して前記外筒部12の内周面61から所定間隔隔てた状態に保持される。前記非接触面66は、前記外筒部12の内周面61に沿う環状を呈するように、前記挿入部25の外周面67の略全体から形成されている。
【0066】
前記非接触面66は、本実施形態においては、前記圧入部27の外周面63よりも径方向内方に配置されている(前記挿入部25の外径は、前記圧入部27の外径よりも小さく設定されている)。こうして、前記シール面62が前記継手本体3の内周面61に密接したとき、前記継手本体3の内周面61と前記非接触面66との間に前記空間65がかたちづくられるようになっている。
【0067】
ここで、前記圧入部27の外周面63(前記シール面62)と前記非接触面66との間には、段差部71が設けられている。前記段差部71は、前記スリーブ4の周方向に関して全周にわたって略同一の径方向幅を有する環状の段差面72を有するように形成されている。
【0068】
図5に示すように、前記圧入部27(前記シール面62)の外半径がD1と規定され、前記挿入部25(前記非接触面66)の外半径がD2と規定され、前記連結部26の軸心方向他方の端部73の外半径がD3と規定された場合、D2/D1が0.7以上0.99以下に設定され、かつ、D2がD3以上に設定される。
【0069】
すなわち、前記スリーブ4においては、前記連結部26の軸心方向他方の端部73、前記挿入部25、前記圧入部27の順に、これらの外径が大きくなるように設定される。なお、前記挿入部25及び前記連結部26は、前述のとおり同軸的に配置されるものであり、略同一寸法の内半径を有するように形成される。
【0070】
また、本実施形態においては、図4に示すように、前記シール面62の軸心方向幅がW1と規定され、前記非接触面66の軸心方向幅がW2と規定された場合、W1/W1+W2が0.3以上に設定される。また、W2は、前記スリーブ4製造用金型のゲート口70の軸心方向幅以上に設定される。
【0071】
前記ゲート口70は、前記スリーブ4が所定の樹脂及び前記金型を用いて製造される際に、溶融した前記樹脂を前記金型により形成されたキャビティ内に注入するために設けられるものである。前記ゲート口70は、前記金型において、製造後のスリーブ4の非接触面66を成形する部位に配置される(図3図5参照)。
【0072】
なお、前記ゲート口70は、前記非接触面66(前記挿入部25の外周面67)ではなく、前記連結部26の外周面又は/及びそれに続く前記膨出部40のテーパ面42に設けられていてもよい。あるいは、前記非接触面66に加えて、前記連結部26の外周面又は/及び前記テーパ面42に設けてられていてもよい。
【0073】
ただし、前記連結部26の外周面及び前記テーパ面42には前記チューブ70が嵌着されるため、前記スリーブ4の前記チューブ2への装着に係る施工性の観点から、前記ゲート口70は前記非接触面66にのみ設けられているのが好ましい。
【0074】
以上のような構成により、前記第1シール部33を形成するために前記継手本体3(前記外筒部12)に前記スリーブ4の圧入部27を圧入する前記樹脂製管継手構造1において、前記スリーブ4の製造作業時に前記圧入部27のシール面62を研磨するなどの手間をかけることなく、前記スリーブ4の製造精度に起因して前記第1シール部33のシール性能が低下することを防止できる。
【0075】
すなわち、前記スリーブ4は、前述のとおり所定の樹脂及び金型等を用いて製造される。その製造時には、例えば図6に示すように、金型81・82・83・84により形成されたキャビティ85内のうちの非接触面66を成形するための領域の1箇所にゲート口70が配置され、溶融した樹脂が前記キャビティ85内に前記ゲート口70を通じて注入される。よって、前記ゲート口70が前記シール面62を成形する部位に配置されないため、当該シール面62にゲート残りが発生しない。
【0076】
前記溶融した樹脂は、前記ゲート口70を通じて前記キャビティ85内に注入されたとき、概ね、まず前記非接触面66を形成すべく周方向(図6の矢印Xの方向)に流れ、つづいて前記シール面62等を形成すべく軸方向(図7の矢印Yの方向)に流れる過程を経る。よって、成形された前記シール面62において、ウェルドラインを発生しにくくできる。
【0077】
しかも、前記溶融した樹脂の注入完了後には、前述のとおり、前記シール面62にウェルドラインが発生しにくいものとなり、また、前記シール面62にゲート残りが発生しなくなるので、前記スリーブ4の製造作業時に前記第1シール部33のシール性能に配慮した前記シール面62の研磨工程が不要となる。結果として、前記スリーブ4の製造における品質の安定化と製造コストの削減を図ることができる。
【0078】
なお、図6に示すような製造手段を採用する場合には、前記段差部71に考慮して配置された別個の前記金型81・82・83・84を用いて前記スリーブ4を製造できるので、前記シール面62にパーティングラインが形成されることを防止できる。
【0079】
また、本実施形態において、前記スリーブ4の非接触面66は、前記圧入部27の外径よりも小さい外径を有する前記挿入部25の外周面からなる環状面としているが、この形態に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、挿入部25をその外周部に切欠部91を有するものとし、非接触面66を当該挿入部25の外周面の一部(前記切欠部91の内面)からなる平坦面としてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 樹脂製管継手構造
2 チューブ
3 継手本体
4 スリーブ
5 締結具
11 本体筒部
12 外筒部
13 内筒部
20 溝部
25 挿入部
26 連結部
27 圧入部
28 規制部
62 シール面
63 圧入部の外周面
65 空間
66 非接触面
71 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7