特許第5982514号(P5982514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東日本電信電話株式会社の特許一覧

特許5982514心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置
<>
  • 特許5982514-心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置 図000002
  • 特許5982514-心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置 図000003
  • 特許5982514-心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置 図000004
  • 特許5982514-心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置 図000005
  • 特許5982514-心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置 図000006
  • 特許5982514-心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982514
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/26 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   H04M3/26 F
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-29009(P2015-29009)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-152513(P2016-152513A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2015年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(72)【発明者】
【氏名】大河原 勝良
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 尚人
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−19569(JP,A)
【文献】 特開2010−54224(JP,A)
【文献】 特開平3−44575(JP,A)
【文献】 実開平3−128867(JP,U)
【文献】 実開平5−31424(JP,U)
【文献】 特開平8−54433(JP,A)
【文献】 特開平10−160626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/00
31/02−31/06
31/24−31/25
H04L12/00−12/955
13/02−13/18
29/00−29/12
H04M 1/00
1/24−3/00
3/08−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q 1/00−1/26
1/28−3/495
3/54−3/56
3/64−3/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ通信信号を伝送する複数のメタルケーブル心線を収容する通信所の外側で、心線対照作業を行うための心線対照システムであって、
前記通信所の外側は、
前記複数のメタルケーブル心線のうち少なくとも1つのメタルケーブル心線に対し接触する接触部と、
前記メタルケーブル心線とは異なる通信回線を介して接続可能な情報処理部とを備え、
前記通信所は、
前記複数のメタルケーブル心線の使用状況を検出するとともに、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を検出し、これらの検出結果に基づいて、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を特定する心線識別情報、及び前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を示す回線状況情報を含む回線表示制御情報を生成し、前記回線表示制御情報を前記通信回線に送信する対照心線特定装置を備え、
前記情報処理部は、
前記通信所から前記通信回線を介して送信される前記回線表示制御情報を受信する受信手段と、
前記回線表示制御情報に基づいて、表示器に前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を表示し、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を他のメタルケーブル心線とは識別された表示形態で表示する表示制御手段とを備える
ことを特徴とする心線対照システム。
【請求項2】
前記接触部は、接触したメタルケーブル心線を介して、聴取不能な周波数の対照信号を前記対照心線特定装置に送信し、
前記対照心線特定装置は、前記対照信号を受信することで、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を検出することを特徴とする請求項1記載の心線対照システム。
【請求項3】
前記接触部は、前記対照信号に超音波を用いることを特徴とする請求項2記載の心線対照システム。
【請求項4】
それぞれ通信信号を伝送する複数のメタルケーブル心線を収容する通信所の外側で、心線対照作業を行うための心線対照方法であって、
前記通信所の外側において、前記複数のメタルケーブル心線のうち少なくとも1つのメタルケーブル心線に対し接触部を用いて接触する第1の工程と、
前記通信所において、前記複数のメタルケーブル心線の使用状況を検出するとともに、前記接触したメタルケーブル心線を検出し、これらの検出結果に基づいて、前記接触したメタルケーブル心線を特定する心線識別情報、及び前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を示す回線状況情報を含む回線表示制御情報を生成する第2の工程と、
前記第2の工程で生成された前記回線表示制御情報を、前記メタルケーブル心線とは異なる通信回線を介して送信する第3の工程と、
前記通信所の外側において、前記通信所から前記通信回線を介して送信される前記回線表示制御情報を受信する第4の工程と、
前記通信所の外側において、前記回線表示制御情報に基づいて、表示器に前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を表示し、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を他のメタルケーブル心線とは識別された表示形態で前記表示器に表示する第5の工程と
を具備することを特徴とする心線対照方法。
【請求項5】
それぞれ通信信号を伝送する複数のメタルケーブル心線を収容する通信所の外側で使用される情報処理部により実行されるプログラムであって、前記情報処理部を
前記通信所から通信回線を介して送信され、前記通信所の外側で接触部を用いて接触したメタルケーブル心線を特定する心線識別情報、及び前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を示す回線状況情報を含む回線表示制御情報を受信する受信手段と、
前記回線表示制御情報に基づいて、表示器に前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を表示し、前記接触したメタルケーブル心線を他のメタルケーブル心線とは識別された表示形態で表示する表示制御手段と
して動作させるプログラム。
【請求項6】
それぞれ通信信号を伝送する複数のメタルケーブル心線を収容する通信所の外側で、心線対照作業を行うために使用される情報端末装置であって、
前記複数のメタルケーブル心線のうち少なくとも1つのメタルケーブル心線に対し接触する接触部と、
前記通信所から前記メタルケーブル心線とは異なる通信回線を介して送信され、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を特定する心線識別情報、及び前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を示す回線状況情報を含む回線表示制御情報を受信する受信部と、
前記回線表示制御情報に基づいて、表示器に前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を表示し、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を他のメタルケーブル心線とは識別された表示形態で表示する表示制御部とを備える
ことを特徴とする情報端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されたメタルケーブル心線を切り替えるために使用される心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地中に埋設されたメタルケーブルを用いた通信システムでは、支障移転工事やメタルケーブルの収容替え工事が行われる。支障移転工事やメタルケーブルの収容替え工事では、同時に多数のメタルケーブル心線を接続するため、誤接続事故を起こさないよう、全てのメタルケーブル心線番号を通信所側、ユーザ側ともに確認する必要がある。
【0003】
そこで、メタルケーブル心線が敷設されたマンホール内において、心線対照と呼ばれる作業を行う必要がある。この心線対照に係る全作業の内、通信所外(所外)にて行う作業は、作業者が心線対照受信器とテストホンとを携帯し、マンホール内の作業現場にてこれらを使用することにより行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−308823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、心線対照を行う際に、マンホール側の作業者は、所内側の作業者と同期して、作業を進める必要があり、作業が完了するまでに多くの手間と時間がかかる。
【0006】
また、マンホール側の作業者が、指定された心線を見つけ出さなければならないため、マンホール側の作業者に熟練及び専門的知識が必要となる。
【0007】
本発明の目的は、メタルケーブルの心線対照に係る作業を、所外側の作業者が所内側の作業者と同期して行うことなく迅速かつ適切に行い得る心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る心線対照システムは、それぞれ通信信号を伝送する複数のメタルケーブル心線を収容する通信所の外側で、心線対照作業を行うための心線対照システムであって、前記通信所の外側は、前記複数のメタルケーブル心線のうち少なくとも1つのメタルケーブル心線に対し接触する接触部と、前記メタルケーブル心線とは異なる通信回線を介して接続可能な情報処理部とを備え、前記通信所は、前記複数のメタルケーブル心線の使用状況を検出するとともに、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を検出し、これらの検出結果に基づいて、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を特定する心線識別情報、及び前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を示す回線状況情報を含む回線表示制御情報を生成し、前記回線表示制御情報を前記通信回線に送信する対照心線特定装置を備え、前記情報処理部は、前記通信所から前記通信回線を介して送信される前記回線表示制御情報を受信する受信手段と、前記回線表示制御情報に基づいて、表示器に前記複数のメタルケーブル心線それぞれの使用状況を表示し、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を他のメタルケーブル心線とは識別された表示形態で表示する表示制御手段とを備えるようにしたものである。
【0009】
この構成によれば、通信所の外側において、任意のメタルケーブル心線を接触部を用いて接触してから任意のメタルケーブル心線を表示する処理までの工程が、人手を要することなく全て自動的に行われることになる。このため、所内の作業者による心線対照作業が一切不要となる。従って、通信所の外側つまりマンホールの作業者にとっては、所内側の作業者と同期して行うことなく、さらに熟練及び専門的知識を必要とすることなく、心線対照作業を迅速かつ適切に行うことができる。
【0010】
また、各マンホール単位で所内に接触部及び情報処理部を接続することが可能である。さらに、マンホール側で任意にメタルケーブル心線に触れることにより、そのメタルケーブル心線の心線識別情報を情報処理部によりリアルタイムに把握可能となる。
【0011】
また、前記接触部は、接触したメタルケーブル心線を介して、聴取不能な周波数の対照信号を前記対照心線特定装置に送信し、前記対照心線特定装置は、前記対照信号を受信することで、前記接触部により接触したメタルケーブル心線を検出するようにしている。
【0012】
この構成によれば、使用中のメタルケーブル心線に影響を与えずに済むため、話中確認作業を省略することができ、結果的に話中確認をした所内側の作業者が指定する心線を探索することなく、特定したい任意の心線に接触することを可能としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メタルケーブルの心線対照に係る作業を、所外側の作業者が所内側の作業者と同期して行うことなく迅速かつ適切に行い得る心線対照システム、心線対照方法、プログラム及び情報端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る心線対照方法を実施する心線対照システムの概略構成図。
図2】第1の実施形態に係る情報端末装置のブロック図。
図3】第1の実施形態における回線状況の表示例を示す図。
図4】心線対照システムの比較例を示す概略構成図。
図5】第1の実施形態において、心線対照方法を実施する通信所側とマンホール側との間の制御処理手順を示すフローチャート。
図6】本発明の第2の実施形態に係わる情報端末装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る心線対照方法を実施する心線対照システムの概略構成図である。
【0016】
図1において、100は通信所内のMDF(Main Distribution Frame:本配線盤)に設けられる対照心線特定装置で、通話信号を伝送する複数の対照心線(メタルケーブル心線)301〜30n(nは自然数)を有するメタルケーブル300が接続されている。なお、メタルケーブル300は、地下等に敷設されるものである。さらに、通信所内では、複数の対照心線301〜30n間の交換接続が行われる。
【0017】
通信所外において心線対照作業を行う作業者は、接触部として対照信号発生装置110、及び情報端末装置120を携帯してマンホール(MH1)へ赴く。なお、情報端末装置120としては、例えばタブレットが使用される。さらに、別の作業者は、対照信号発生装置210及び情報端末装置220を携帯してマンホール(MH2)へ赴く。
【0018】
マンホール(MH1)において、作業者は対照信号発生装置110のプローブ110aを被対照心線319に接触させ、プローブ110bを空きの心線400に接触させる。情報端末装置120は、対照心線特定装置100に対しメタルケーブル300とは異なる通信回線500を介して接続可能であり、対照心線特定装置100との間で通信を行う。なお、通信回線500は、無線またはアナログ電話回線であってもよい。
【0019】
対照信号発生装置110は、作業者が電源を投入することにより、例えば超音波といった人の耳により聴取不能な周波数の対照信号を発生する。この対照信号は、例えば静電誘導によりプローブ110aを介して被対照心線319に導かれ、被対照心線319を介して対照心線特定装置100に送信される。
【0020】
対照心線特定装置100は、複数の対照心線301〜30nの回線状況を監視するもので、被対照心線319を介して伝送された対照信号を受信することによりプローブ110aが接触した被対照心線319を検出する。そして、被対照心線319を特定する心線番号情報(線番、L1/L2)、及び複数の対照心線301〜30nそれぞれの使用状況を示す回線状況情報を含む回線表示制御情報を生成し、この回線表示制御情報を通信回線500を介して情報端末装置120に送信する。
【0021】
一方、マンホール(MH2)において、作業者は対照信号発生装置210のプローブ210aを被対照心線306に接触させ、プローブ210bを空きの心線400に接触させる。情報端末装置220は、対照心線特定装置100に対し通信回線500を介して接続可能であり、対照心線特定装置100との間で通信を行う。
【0022】
これに対し、情報端末装置120,220は、図2に示すように構成される。なお、図2では、情報端末装置120を代表して説明する。
【0023】
情報端末装置120は、通信部121と、制御部122と、記憶部123と、表示部124と、入力部125とを備えている。このうち、入力部125は、情報端末装置120に対し種々の動作指示を入力するために使用するものである。
【0024】
通信部121は、対照心線特定装置100から通信回線500を介して送信された回線表示制御情報を受信し、記憶部123に記憶する。
【0025】
制御部122は、記憶部123に記憶された回線表示制御情報に基づいて、図3に示すように、複数の対照心線301〜30nそれぞれの回線種類及び使用状況を表示部124に供給して複数の対照心線301〜30nそれぞれの心線番号に対応付けて表示するとともに、プローブ110aが接触した被対照心線319を他の対照心線301〜30nとは異なる表示形態で表示部124に表示させる。図3において、回線種類はアナログ回線及びISDNを示す。使用状況は、使用中であれば「話中」を示す。被対照心線319は、例えば、心線番号「19」であり、図3中縦2行目、図3中横9列目に該当する。図3では、被対照心線319のL1を掴んだ場合の例を示す。被対照心線319のL2を掴んだ場合も、同様に、表示部124に表示される。
【0026】
次に、上記構成における動作について説明する。
図4は、以前に実施されている心線対照システムを示す概略構成図である。
【0027】
図4において、符号40は被対照心線40である。符号50は、一般加入者の利用に供する電話回線とは別に、例えば心線対照作業を行う際に作業者と通信所との間の通信を行うために設けられた打合せ回線である。
【0028】
通信所内の作業者は、テストホン11を打合せ回線50に接続するとともに、対照信号送信器12のコネクタ12aを打合せ回線50の送信側に接続し、コネクタ12bを被対照心線40に接続する。そして、通信所内の作業者は、対照信号送信器12から被対照心線40に対照信号を送出する。
【0029】
一方、マンホール(MH1)側の作業者は、テストホン21を打合せ回線50に接続するとともに、対照信号受信器22のコネクタ22aを被対照心線40に接続し、コネクタ22bを打合せ回線50の受信側に接続する。
【0030】
この結果、被対照心線40と対照信号受信器22が結合され、これによって被対照心線40上の交流信号が対照信号受信器22によって受信される。
【0031】
この受信された交流信号が特定周波数の対照信号である場合には、対照信号受信器22からテストホン21に所定の音色の可聴信号が送られ、ブザーが鳴り対照ができる。
【0032】
また、マンホール(MH2)側の作業者も、テストホン31を打合せ回線50に接続するとともに、対照信号受信器32のコネクタ32aを被対照心線40に接続し、コネクタ32bを打合せ回線50の受信側に接続する。
【0033】
この結果、被対照心線40と対照信号受信器32が結合され、これによって被対照心線40上の交流信号が対照信号受信器32によって受信される。
【0034】
この受信された交流信号が特定周波数の対照信号である場合には、対照信号受信器32からテストホン31に所定の音色の可聴信号が送られ、ブザーが鳴り対照ができる。
【0035】
ところで、図4に示す心線対照システムでは、心線対照を行う際に、マンホール側の作業者は、所内側の作業者と同期して、作業を進める必要があり、作業が完了するまでに多くの手間と時間がかかる。また、マンホール側の作業者が、指定された心線を見つけ出さなければならないため、マンホール側の作業者に熟練及び専門的知識が必要となる。
【0036】
そこで、第1の実施形態は、心線対照を行う際に、マンホール側の作業者は、所内側の作業者と同期して作業を行う必要がなく、またマンホール側の作業者に熟練及び専門的知識を不要としたものである。
【0037】
図5は、心線対照方法を実施する通信所側とマンホール側との間の制御処理手順を示すフローチャートである。
【0038】
マンホール(MH1)側において、作業者が対照信号発生装置110の電源をオンし、プローブ110aを被対照心線319に接触させ、プローブ110bを空きの心線400に接触させると(ステップST5a)、対照信号発生装置110は超音波といった人の耳により聴取不能な周波数の対照信号を発生する(ステップST5b)。この対照信号は、プローブ110aを介して被対照心線319に導かれ、被対照心線319を介して対照心線特定装置100に送信される。
【0039】
対照心線特定装置100は、対照信号を受信するか否かを常に監視しており(ステップST5c)、被対照心線319を介して伝送された対照信号を受信すると(Yes)、被対照心線319を特定する心線番号情報(線番、L1/L2)、及び複数の対照心線301〜30nそれぞれの使用状況を示す回線状況情報を含む回線表示制御情報を生成し(ステップST5d)、この回線表示制御情報を通信回線500を介して情報端末装置120に送信する(ステップST5e)。
【0040】
情報端末装置120は、通信部121により対照心線特定装置100から通信回線500を介して送信された回線表示制御情報を通信部121で受信し、記憶部123に記憶する(ステップST5f)。
【0041】
そして、情報端末装置120は、制御部122により記憶部123に記憶された回線表示制御情報に基づいて、複数の対照心線301〜30nそれぞれの回線種類及び使用状況を表示部124に供給して複数の対照心線301〜30nそれぞれの心線番号に対応付けて表示するとともに、プローブ110aが接触した被対照心線319を他の対照心線301〜30nとは異なる表示形態で表示部124に表示させる(ステップST5g)。
【0042】
なお、マンホール(MH2)側においても、上記マンホール(MH1)側と同様な手順が実行される。
【0043】
以上のように上記第1の実施形態では、マンホール(MH1)側において、任意の被対照心線319を対照信号発生装置110のプローブ110aを用いて接触してから任意の被対照心線319を情報端末装置120の表示部124に表示する処理までの工程が、人手を要することなく全て自動的に行われることになる。このため、所内の作業者による心線対照作業が一切不要となる。
【0044】
従って、マンホール(MH1)側の作業者にとっては、所内側の作業者と同期して行うことなく、さらに熟練及び専門的知識を必要とすることなく、心線対照作業を迅速かつ適切に行うことができる。
【0045】
また、各マンホール単位で所内に対照信号発生装置110及び情報端末装置120を接続することが可能である。さらに、マンホール(MH1)側で任意に被対照心線319に触れることにより、その被対照心線319の心線番号情報を情報端末装置120によりリアルタイムに把握可能となる。
【0046】
さらに、上記第1の実施形態では、対照信号発生装置110は、接触した被対照心線319を介して、超音波といった聴取不能な周波数の対照信号を対照心線特定装置100に送信し、対照心線特定装置100は、対照信号を受信することで、被対照心線319を検出するようにしているので、被対照心線319が通話に使用されている状態であっても影響を与えずに済む。このため、話中確認作業を省略することができ、結果的に話中確認をした所内側の作業者が指定する心線を探索することなく、特定したい任意の被対照心線319に接触することが可能となる。
【0047】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、対照信号発生装置110と情報端末装置120とを一体的に設けた情報端末装置である。
【0048】
図6は、第2の実施形態に係わる情報端末装置を示すブロック図である。なお、図6において、上記図2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
情報端末装置120には、対照信号発生装置110を接続するためのインタフェース部126が新たに設けられる。対照信号発生装置110は、インタフェース部126に接続されることにより、制御部122により動作制御される。また、対照信号発生装置110は、インタフェース部126を介して、制御部122により電源供給が行われる。
【0050】
このように、上記第2の実施形態にあっては、上記第1の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、情報端末装置120により対照信号発生装置110の動作を制御可能となるとともに、対照信号発生装置110の電源供給も制御可能となる。
【0051】
(他の実施形態)
上記各実施形態の情報端末装置は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0052】
また、上記第1の実施形態において、対照信号として超音波を用いる例について説明したが、超音波以外の人の耳により聴取不能な周波数の対照信号を用いるものであってもよい。
【0053】
さらに、上記第1の実施形態では、静電誘導により被対照心線319に対照信号を導通させる例について説明したが、静電誘導に限ることなく、直接被対照心線319を刃物などで貫通させ、対照信号を直接導通させるものであってもよい。
【0054】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0055】
11…テストホン、12…対照信号送信器、12a…コネクタ、12b…コネクタ、21, 31…テストホン、22, 32…対照信号受信器、22a, 32a, 22b, 32b…コネクタ、22b,…コネクタ、40…被対照心線、50…打合せ回線、100…対照心線特定装置、110…対照信号発生装置、110a…プローブ、110b…プローブ、120…情報端末装置、121…通信部、122…制御部、123…記憶部、124…表示部、125…入力部、126…インタフェース部、210…対照信号発生装置、210a…プローブ、210b…プローブ、220…情報端末装置、300…メタルケーブル、301〜30n…対照心線、400…心線、500…通信回線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6