(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5982515
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】センサデバイス、管理システム、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
G08C 17/00 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-37668(P2015-37668)
(22)【出願日】2015年2月27日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】592161372
【氏名又は名称】日本システムウエア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】清船 良介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 哲
(72)【発明者】
【氏名】寺西 亨
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/142733(WO,A1)
【文献】
特開2005−136591(JP,A)
【文献】
特開2006−066994(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/121294(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/028656(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 17/00
H04L 12/28
H04W 84/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを測定する測定部と、
BLEで用いるアドバタイズパケットにおけるmajorとminorの少なくとも一方に、前記測定部で測定された前記データをセンサ情報として格納し、前記アドバタイズパケットにおけるUUIDに、アプリ識別子又は設置位置識別子を設定するデータ処理部と、
前記センサ情報に基づく対象機器の制御とともに前記アプリ識別子又は前記設置位置識別子に基づくユーザ端末への情報提供を行うサーバとの間で通信を行うゲートウェイと前記ユーザ端末に対して、前記アドバタイズパケットを前記無線通信により送信する通信部と、を備えるセンサデバイス。
【請求項2】
前記データ処理部は、前記アドバタイズパケットにおけるMeasured Powerにセンサノードを設定する請求項1記載のセンサデバイス。
【請求項3】
前記測定部は、温度、湿度、照度、紫外線、圧力のうちの少なくとも1つを測定する請求項1または請求項2に記載のセンサデバイス。
【請求項4】
データを測定し、そのデータを送信する複数のセンサデバイスと、
前記センサデバイスから送信される前記データを受信し、受信した前記データをプロトコル変換して送信するゲートウェイと、
前記ゲートウェイから送信される前記データとユーザ端末から送信されるデータを受信し、受信した前記データを用いてサービスを提供するサーバと、を備え、
前記複数のセンサデバイスは、
前記データを測定する測定部と、
BLEで用いるアドバタイズパケットにおけるmajorとminorの少なくとも一方に、前記測定部で測定された前記データをセンサ情報として格納し、前記アドバタイズパケットにおけるUUIDに、アプリ識別子又は設置位置識別子を設定するデータ処理部と、
前記サーバとの間で通信を行うゲートウェイと前記ユーザ端末に対して、前記アドバタイズパケットを前記無線通信により送信する通信部と、を有し、
前記サーバは、前記センサ情報に基づき対象機器の制御を行うとともに、前記アプリ識別子又は前記設置位置識別子に基づき前記ユーザ端末への情報提供を行う管理システム。
【請求項5】
前記データ処理部は、前記アドバタイズパケットにおけるMeasured Powerにセンサノードを設定する請求項4記載の管理システム。
【請求項6】
前記測定部は、温度、湿度、照度、紫外線、圧力のうちの少なくとも1つを測定する請求項4または請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
データを測定する測定ステップと、
BLEで用いるアドバタイズパケットにおけるmajorとminorの少なくとも一方に、前記測定ステップで測定された前記データをセンサ情報として格納し、前記アドバタイズパケットにおけるUUIDに、アプリ識別子又は設置位置識別子を設定するデータ処理ステップと、
前記センサ情報に基づく対象機器の制御とともに前記アプリ識別子又は前記設置位置識別子に基づくユーザ端末への情報提供を行うサーバとの間で通信を行うゲートウェイと前記ユーザ端末に対して、前記アドバタイズパケットを前記無線通信により送信する通信ステップと、を備える無線通信方法。
【請求項8】
前記データ処理ステップは、前記アドバタイズパケットにおけるMeasured Powerにセンサノードを設定する請求項7記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記測定ステップは、温度、湿度、照度、紫外線、圧力のうちの少なくとも1つを測定する請求項7または請求項8に記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを測定し、測定したデータを送信するセンサデバイス、測定したデータを用いて対象機器を制御する管理システム、及び測定したデータの無線通信を行う無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサで測定されたデータ(センサ情報)に基づき機器を制御することで機器のエネルギー消費を管理するエネルギー管理システム(Energy Management System;EMS)が知られている。EMSとして、センサで測定されたデータを保存(記録)するデータロガーを利用したものがある。すなわち、センサで測定した温度や湿度などの各種データをデータロガーで保存し、その保存した各種データをデータロガーがクラウド側のサーバに送信する。この場合、データロガーが一般に高価であるため、複数のデータロガーを備えたEMSを構築するためのコストが高くなってしまう。
【0003】
一方、EMSにおいて、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)という低消費電力の無線技術を利用することも考えられる。BLEのデバイスには安価なものがあり、そのようなBLEのデバイスを用いてデータの収集を行うことにより、EMSを構築するためのコストを抑えることができる。例えば特許文献1には、BLEのデバイスに含まれるセンサで測定されたデータをBLEにより通信する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−110635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現状のBLEによるデバイス間のペアリング接続では、多くの場合、1対1の接続が行われている。すなわち、規格上はBLEによるデバイス間のペアリング接続は1対多の接続が可能であるが、市販されている多くのデバイスが1対1の接続を行うものである。従って、センサデバイス(センサ機能を備えたBLEのデバイス)の単価が低下しても、センサデバイスの数だけデータ受信側のBLEのデバイス(例えばゲートウェイ)を設ける必要があり、結果としてコストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、可能な限り低コストでセンサ情報の通信を行うことができるセンサデバイス、管理システム、及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、データを測定する測定部と、低消費電力の無線通信で用いるアドバタイズパケットの所定のデータ位置に、測定部で測定されたデータをセンサ情報として格納するデータ処理部と、アドバタイズパケットを無線通信により送信する通信部と、を備えるセンサデバイスを提供する。
【0008】
また、データ処理部は、センサ情報をアドバタイズパケットにおけるmajorとminorの少なくとも一方に設定する構成でもよい。また、データ処理部は、アドバタイズパケットにおけるUUIDにアプリ識別子又は設置位置識別子を設定する構成でもよい。
【0009】
また、データ処理部は、アドバタイズパケットにおける
Measured Powerにセンサノードを設定する構成でもよい。また、測定部は、温度、湿度、照度、紫外線、圧力のうちの少なくとも1つを測定することが好ましい。
【0010】
また、本発明では、データを測定し、そのデータを送信する複数のセンサデバイスと、センサデバイスから送信されるデータを受信し、受信したデータを用いて対象機器を制御するゲートウェイと、を備え、複数のセンサデバイスは、データを測定する測定部と、低消費電力の無線通信で用いるアドバタイズパケットの所定のデータ位置に、測定部で測定されたデータをセンサ情報として格納するデータ処理部と、アドバタイズパケットを無線通信により送信する通信部と、を有する管理システムを提供する。
【0011】
また、ゲートウェイは、センサデバイスから送信されるデータをプロトコル変換して送信し、ゲートウェイから送信されるデータを受信し、受信したデータを用いて対象機器を制御するサーバをさらに備える構成でもよい。また、データ処理部は、センサ情報をアドバタイズパケットにおけるmajorとminorの少なくとも一方に設定する構成でもよい。また、データ処理部は、アドバタイズパケットにおけるUUIDにアプリ識別子又は設置位置識別子を設定する構成でもよい。
【0012】
また、データ処理部は、アドバタイズパケットにおける
Measured Powerにセンサノードを設定する構成でもよい。また、測定部は、温度、湿度、照度、紫外線、圧力のうちの少なくとも1つを測定することが好ましい。
【0013】
また、本発明では、データを測定する測定ステップと、低消費電力の無線通信で用いるアドバタイズパケットの所定のデータ位置に、測定ステップで測定されたデータをセンサ情報として格納するデータ処理ステップと、アドバタイズパケットを無線通信により送信する通信ステップと、を備える無線通信方法を提供する。
【0014】
また、データ処理ステップは、センサ情報をアドバタイズパケットにおけるmajorとminorの少なくとも一方に設定する構成でもよい。また、データ処理ステップは、アドバタイズパケットにおけるUUIDにアプリ識別子又は設置位置識別子を設定する構成でもよい。
【0015】
また、データ処理ステップは、アドバタイズパケットにおける
Measured Powerにセンサノードを設定する構成でもよい。また、測定ステップは、温度、湿度、照度、紫外線、圧力のうちの少なくとも1つを測定することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、データを測定する測定部と、低消費電力の無線通信で用いるアドバタイズパケットの所定のデータ位置に、測定部で測定されたデータをセンサ情報として格納するデータ処理部と、アドバタイズパケットを無線通信により送信する通信部と、を備える。このような構成によれば、センサデバイスが自身の存在を知らせるためのアドバタイズパケットにセンサ情報を格納して送信することができるので、ゲートウェイが複数のマルチセンサデバイスとの間で接続を行うことなくデータ通信を行うことができる。従って、マルチセンサデバイスの数に応じたゲートウェイを設置する必要がなく、可能な限り低コストでセンサ情報を収集可能な管理システムを構築することができる。
【0017】
また、データ処理部は、センサ情報をアドバタイズパケットにおけるmajorとminorの少なくとも一方に設定する。このような構成によれば、アドバタイズパケットにおける任意に変更可能なデータ位置にセンサ情報を載せることができ、センサの種類や数に応じて適宜変更することも可能となる。
【0018】
また、データ処理部は、アドバタイズパケットにおけるUUIDにアプリ識別子又は設置位置識別子を設定する。このような構成によれば、ユーザにとって有益な情報をサーバからユーザ端末に送信するサービスを提供することができる。また、データ処理部は、アドバタイズパケットにおける
Measured Powerにセンサノードを設定する。このような構成によれば、サーバがマルチセンサデバイスの詳細な位置情報を取得することができ、よりきめ細やかな対象機器の制御を実行することができる。また、測定部は、温度、湿度、照度、紫外線、圧力のうちの少なくとも1つを測定するので、様々なセンサで測定されるセンサ情報を収集することができ、より適切なエネルギー管理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すセンサデバイスの構成を示すブロック図である。
【
図3】アドバタイズパケットのデータ例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る管理システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては、実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現することがある。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る管理システムSYSの構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示すセンサデバイス11,12,13の構成を示すブロック図である。
図1に示す管理システムSYSは、センサで測定されたデータに基づき機器を制御するとともに、ユーザの端末(例えばスマートフォンなどの携帯端末)に対してユーザに位置に応じた情報を提供するシステムである。この管理システムSYSは、
図1に示すように、複数のマルチセンサデバイス(センサデバイス)11〜13と、ゲートウェイ20と、サーバ30とを備える。なお、
図1に示す例では、マルチセンサデバイスの数は3台であるが、マルチセンサデバイスの数は3台に限定されず、3台未満でも4台以上でもよい。
【0022】
マルチセンサデバイス11〜13は、温度、湿度、照度などを測定する機能と、ゲートウェイ20との間でBLEを用いて無線通信を行う機能とを備えたBLEのデバイスである。これらのマルチセンサデバイス11〜13は、例えば店舗内の所定位置に設置される。
図2に示すように、マルチセンサデバイス11〜13は、それぞれ、測定部101、データ処理部102、通信部103、及び記憶部104を有している。
【0023】
測定部101は、温度、湿度、照度などのデータをリアルタイムに測定する処理部である。測定部101で測定されたデータをセンサ情報(センサデータ)という。本実施形態において、測定部101は、温度を測定する温度センサ、湿度を測定する湿度センサ、照度を測定する照度センサのうちの少なくとも1つを有する。なお、マルチセンサデバイス11〜13における測定部101は、それぞれ、一又は複数の同じセンサを有していてもよい。例えば、マルチセンサデバイス11〜13の測定部101は、それぞれ、温度センサ、湿度センサ及び照度センサを有していてもよい。また、マルチセンサデバイス11〜13の測定部101は、それぞれ、異なるセンサを有していてもよい。例えば、マルチセンサデバイス11の測定部101は温度センサであり、マルチセンサデバイス12の測定部101は湿度センサであり、マルチセンサデバイス13の測定部101は照度センサであってもよい。
【0024】
データ処理部102は、測定部101で測定されたデータをセンサ情報としてビーコンパケット(Beacon Packet)の所定のデータ位置に格納する処理を行う処理部である。ビーコンパケットは、BLEの規格上、アドバタイズパケット(Advertise Packet)(又はアドバタイズメントパケット)と呼ばれるデバイス間でペアリング接続する前に受信側のデバイス(ゲートウェイ20)に自身の機能と存在を知らせるためのブロードキャストパケットである。このように、ビーコンパケットは接続とは無関係のパケットであり、ペアリング接続する前の段階で受信側のデバイスが情報(ID情報)を検知することが可能である。従って、ビーコンパケットは接続を行うことなく、パケットが届く範囲であれば1台のBLEのデバイス(ゲートウェイ20)で複数のセンサ情報を収集することが可能となる。
【0025】
アドバタイズパケットの詳細及びデータ処理部102によるデータ変換について説明する。
図3は、アドバタイズパケットのデータ例を示す図である。
図3において、「D6 BE 89 8E 40 24 05 A2 17 6E 3D 71 02 01 1A 1A FF 4C 00 02 15 E2 C5 6D B5 DF FB 48 D2 B0 60 D0 F5 A7 10 96 E0 00 00 00 00 C5 52 AB 8D 38 A5」がアドバタイズパケットのデータ例である。なお、
図3においては、Apple(登録商標)が提供する、BLE技術を用いたiBeacon(登録商標)におけるアドバタイズパケットのデータ例を示している。iBeaconは、アドバタイズパケットにおける特定データ(特有の部分)をAppleによって規格化された機能/サービスである。
【0026】
iBeaconのアドバタイズパケットのデータのうち、iBeacon特有の部分は次のようになっている。
4C 00:Apple,Inc
02 :iBeacon
15 :データ長(21byte)
XX XX XX XX XX XX XX XX XX XX XX XX XX XX XX XX :Proximity UUID(16byte)
XX XX:major(2byte)
XX XX:minor(2byte)
XX :Measured Power
【0027】
「XX」の部分以外のバイト値はiBeaconにおいて固定値である。「XX」の部分には所定範囲の任意のバイト値(パラメータ)を設定可能である。「4C 00」は企業識別子(Company identifier code)を設定する部分である。004CはAppleを示す。「02」はデータタイプを設定する部分である。02はiBeaconを示す。「15」はデータ長を設定する部分である。「Proximity UUID」は企業、組織の識別子を設定する部分である。
図3に示す例では、「E2 C5 6D B5 DF FB 48 D2 B0 60 D0 F5 A7 10 96 E0」が設定されている。「major」は設置地域単位の識別子を設定する部分である。
図3に示す例では、「00」が設定されている。「minor」は店舗単位の識別子を設定する部分である。
図3に示す例では、「00」が設定されている。「Measured Power」はiBeaconとの距離が1メートルの時の受信電波の信号強度(RSSI)を設定する部分である。
図3に示す例では、「C5」が設定されている。
【0028】
本実施形態では、データ処理部102は、
図3に示すように、上記iBeaconのアドバタイズパケットのデータのうちの所定のデータ位置(「企業識別子」「Proximity UUID」「major」「minor」「Measured Power」)に所定のデータを格納することにより、センサ情報を送信するためのアドバタイズパケット(
図3中「マルチセンサビーコン」と記す部分)を生成する。
【0029】
具体的には、データ処理部102は、「major」及び「minor」の部分にセンサ情報を格納する。
図3に示す例では、「major」の部分に、設置地域単位の識別子のデータに代えて、温度センサで測定された温度(−20〜+85[°C])と、湿度センサで測定された湿度(0〜100[%Rh])とが格納されている。また、「minor」の部分に、店舗単位の識別子のデータに代えて、照度センサで測定された照度(0〜81900[Lx])が格納されている。
【0030】
また、データ処理部102は、上記iBeaconのアドバタイズパケットのデータのうち、「Appleを示す企業識別子(004C)」に代えて、この管理システムSYSを利用する企業の識別子(例えば出願人の取得する企業識別子)を設定する。なお、管理システムSYSを利用する企業識別子に代えずにAppleを示す企業識別子(004C)のままでもよい。特に、Apple製品(iOS端末)とデータ通信する場合には企業識別子が004Cである必要がある。このため、Apple製品(iOS端末)とデータ通信することを想定した場合には企業識別子を004Cのままとする。Android端末においては企業識別子は任意で可能である。
【0031】
また、データ処理部102は、「Proximity UUID」の部分に、企業・組織の識別子を設定することに代えて、ユーザ端末50に搭載されているアプリケーションを識別するためのアプリ識別子や、マルチセンサデバイス11〜13が設置されている位置(場所)を識別するための設置位置識別子を設定する。また、データ処理部102は、「Measured Power」を設定することに代えて、マルチセンサデバイス11〜13のセンサノード(0〜255)を設定する。センサノードは、マルチセンサデバイス11〜13が設置されている位置(例えば店舗などの場所・範囲)における個々のマルチセンサデバイスの詳細な位置に対応した情報である。
【0032】
上記のように、本実施形態では、iBeaconのアドバタイズパケットのデータを変更して利用しているので、iBeaconのアドバタイズパケットと同じフォーマットのパケットで、Apple端末以外の端末においても利用可能となっている。
【0033】
図1及び
図2の説明に戻り、通信部103は、データ処理部102でデータ変換処理されたパケットを低消費電力の無線技術であるBLEにより送信する処理部である。パケットが届く範囲としては、例えば30m程度を想定している。記憶部104は、測定部101で測定されたデータ(センサ情報)を記憶する。また、記憶部104は、測定部101、データ処理部102及び通信部103の制御を実行させるためのプログラムも記憶する。
【0034】
ゲートウェイ20は、データのプロトコル変換を行うことで異なるプロトコルのネットワークを接続する装置である。ゲートウェイ20は、複数のマルチセンサデバイス11〜13から送信されるアドバタイズパケットを受信する。これにより、ゲートウェイ20は、BLEのペアリング接続を行うことなく、マルチセンサデバイス11〜13で測定されたセンサ情報を収集することができる。ゲートウェイ20は、受信したパケットのプロトコルをインターネットなどのネットワーク40のプロトコルのデータに変換する。そして、ゲートウェイ20は、プロトコル変換して生成したデータをネットワーク40を介してサーバ30に送信する。
【0035】
サーバ30は、ゲートウェイ20から送信されたデータを受信し、受信したデータに含まれるセンサ情報に基づき機器を制御することで機器のエネルギー消費を管理する。例えば、サーバ30は、温度センサで測定された室内の温度情報や湿度センサで測定された室内の湿度情報に基づいてエア・コンディショナーなどの空調設備を制御して、室内を最適な温度・湿度に調整する。また、サーバ30は、照度センサで測定された室内の照度情報に基づいて照明機器を制御して、室内を適度な明るさに調整する。
【0036】
図1に示すように、サーバ30は、通信部31、管理部32及び記憶部33を有している。通信部31は、ネットワーク40と接続され、外部の機器(ゲートウェイ20や制御対象の機器など)とデータ通信を行う処理部である。具体的には、ゲートウェイ20から送信されるデータをネットワーク40を介して受信する。また、通信部31は、ネットワーク40を介して制御対象の機器に対して制御信号を送信する処理を行う。
【0037】
管理部32は、制御対象の機器を管理する処理を行う処理部である。具体的には、管理部32は、ゲートウェイ20から送信されたデータに含まれるセンサ情報を解析する。そして、管理部32は、解析結果に基づき、制御対処の機器に対して制御信号を送信することにより、制御対象の機器を制御する。記憶部33は、サーバ30における各種制御又は処理に必要なプログラム(アプリケーション)やパラメータなどを記憶する。
【0038】
ユーザ端末50は、ユーザが備えたスマートフォンなどの携帯端末である。ユーザ端末50は、マルチセンサデバイス11〜13から送信されるビーコンパケットの受信に基づいてサーバ30に対して情報の取得を行うアプリケーションを搭載している。ユーザ端末50は、マルチセンサデバイス11〜13から送信されるビーコンパケット(アドバタイズパケット)を受信すると、そのビーコンパケットに含まれる「Proximity UUID」と「センサノード」などのID情報を抽出し、抽出したID情報をネットワーク40を介してサーバ30に送信する。サーバ30において、通信部31がユーザ端末50から送信されたID情報を受信すると、管理部32はID情報に基づいてユーザの位置(ユーザ端末50の位置)を認識し、ID情報に予め紐つけされている情報(例えば店舗のクーポン情報)を記憶部33から読み出す。そして、管理部32は、ID情報に紐つけされている情報をネットワーク40を介してユーザ端末50に送信する。このようなオンラインとオフラインの購買活動を連携させる技術をO2O(Online to Offline)と呼ばれている。
【0039】
次に、管理システムSYSの動作について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る管理システムSYSの動作を説明するためのシーケンス図である。
図4に示す処理において、各マルチセンサデバイス11〜13の測定部101が温度、湿度などを測定する(ステップS1)。このとき、測定部101は、測定したセンサ情報を記憶部104に記憶する。データ処理部102は、測定部101で測定されたデータであるセンサ情報をアドバタイズパケットにおける所定のデータ位置(「major」「minor」)に格納する(ステップS2)。また、データ処理部102は、アドバタイズパケットにおける「企業識別子」「アプリ識別子、設置位置識別子」「センサノード」をそれぞれ設定する(ステップS3)。通信部103は、データ処理部102でデータ変換処理されて生成されたアドバタイズパケットを定期的にBLEにより送信する(ステップS4)。
【0040】
ゲートウェイ20は、マルチセンサデバイス11〜13から送信されるアドバタイズパケットを受信する(ステップS5)。そして、ゲートウェイ20は、受信したパケットをプロトコル変換し(ステップS6)、そのプロトコル変換後のデータをネットワーク40を通じてサーバ30に送信する(ステップS7)。
【0041】
サーバ30の通信部31は、ゲートウェイ20から送信されたデータを受信する(ステップS8)。通信部31で受信されたデータは記憶部33に記憶される。管理部32は、受信したデータに含まれるセンサ情報を解析し、制御対象の機器をどのように制御するかを決定する(ステップS9)。そして、管理部32は、解析結果に基づいて、制御対象の機器に対して制御信号を出力することで制御対象の機器を制御する(ステップS10)。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態では、データを測定する測定部101と、低消費電力の無線通信で用いるアドバタイズパケットの所定のデータ位置に、測定部101で測定されたデータをセンサ情報として格納するデータ処理部102と、アドバタイズパケットを無線通信により送信する通信部103と、を備える。このような構成によれば、マルチセンサデバイス11〜13が自身の存在を知らせるためのアドバタイズパケットにセンサ情報を格納して送信することができるので、ゲートウェイ20が複数のマルチセンサデバイス11〜13との間で接続を行うことなくデータ通信を行うことができる。従って、マルチセンサデバイス11〜13の数に応じたゲートウェイ20を設置する必要がなく、可能な限り低コストでセンサ情報を収集可能な管理システムSYSを構築することができる。
【0043】
また、本実施形態では、データ処理部102は、センサ情報をアドバタイズパケットにおけるmajorとminorの少なくとも一方に設定する。このような構成によれば、アドバタイズパケットにおける任意に変更可能なデータ位置にセンサ情報を載せることができ、センサの種類や数に応じて適宜変更することも可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、データ処理部102は、アドバタイズパケットにおけるUUIDにアプリ識別子又は設置位置識別子を設定する。このような構成によれば、ユーザにとって有益な情報をサーバ30からユーザ端末50に送信するサービスを提供することができる。また、データ処理部102は、アドバタイズパケットにおける
Measured Powerにセンサノードを設定する。このような構成によれば、サーバ30がマルチセンサデバイス11〜13の詳細な位置情報を取得することができ、よりきめ細やかな対象機器の制御を実行することができる。
【0045】
なお、上記した実施形態では、マルチセンサデバイス11〜13の測定部101は、温度センサ、湿度センサ、照度センサで温度、湿度、照度を測定(計測)していたが、これらのセンサに限定されない。
図5は、センサデバイスの種類を示す図である。
図5に示すように、測定部101は、温度センサ、湿度センサ、照度センサのほかに、UV−A(紫外線センサ)、圧力センサ、6軸センサ(地磁気センサ、加速度センサ)などの違う種類のセンサを備えてもよい。
【0046】
UV−Aセンサは、例えば0〜20.48[mW/cm2]の範囲で紫外線(UV−A)を測定する。例えば店舗にUV−Aセンサを設置することにより、サーバ30は店舗の紫外線状況を把握することができる。これにより、サーバ30は例えばシャッターの開閉などの制御を行うことができる。また、圧力センサは、例えば300〜1100[hPa]の範囲で圧力を測定する。例えば圧力センサを座席に設置することにより、サーバ30は圧力センサのセンサ情報(圧力情報)に基づいて空席状況を認識することができる。
【0047】
6軸センサは、地磁気センサと加速度センサから構成されている。例えば加速度センサを家のドア、窓、車のドアなどに設置することにより、サーバ30は、加速度センサのセンサ情報(加速度情報)に基づいてドアや窓の開閉を認識することができる。サーバ30は、不審な時間や予期しない時間にドアなどの開閉を確認した場合に、ユーザの端末(コンピュータ、携帯端末など)にその旨を通知することができる。このようにセンサ情報を防犯に活用することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能である。また、上記の実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。そのような変更または改良、省略した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記した実施形態や変形例の構成を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【0049】
例えば、
図3に示したように、アドバタイズパケットのmajorに温度情報と湿度情報を格納し、minorに照度情報を格納していたが、これらは一例であって、センサ情報をそのようにmajorやminorに格納するかは任意である。
【0050】
また、ゲートウェイ20が直接対象機器を制御する場合は、サーバ30は構成上省略され、ゲートウェイ20がサーバ30の役割を行う。具体的には、サーバ30における通信部31、管理部32及び記憶部33と同じ構成(又は同じような機能を備えた構成)をゲートウェイ20に設ける。
【符号の説明】
【0051】
SYS 管理システム
11,12,13 マルチセンサデバイス(センサデバイス)
20 ゲートウェイ
30 サーバ
50 ユーザ端末
101 測定部
102 データ処理部
103 通信部
【要約】
【課題】可能な限り低コストでセンサ情報の通信を行うことができるセンサデバイス、管理システム、及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】マルチセンサデバイス11〜13は、データを測定する測定部101と、低消費電力の無線通信で用いるアドバタイズパケットの所定のデータ位置に、測定部101で測定されたデータをセンサ情報として格納するデータ処理部102と、アドバタイズパケットを無線通信により送信する通信部103と、を備える。
【選択図】
図2