(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の群は、前記第2の群の特徴とは異なる少なくとも1つの特徴を含み、前記特徴は、平均粒径、二次元粒子形状、研削方向に対する配向、平均横方向空間、平均縦方向空間、側面配向、反転配向、平坦配向、組成、および予め決められた分布からなる特徴の群から選択される、請求項1に記載の研磨物品。
前記第2の群は、前記所定の回転配向、前記所定の横方向配向、前記所定の縦方向配向、所定の垂直配向、所定の先端高さおよびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つが前記第1の群と異なる、請求項1に記載の研磨物品。
前記第1の群は、第1の制御された不均一分布により規定され、前記第2の群は、第2の制御された不均一分布により規定され、前記第1の制御された非均一分布は前記第2の制御された不均一分布とは異なる、請求項1に記載の研磨物品。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下は、成形研磨粒子の形成方法、成形研磨粒子の特徴、成形研磨物品を使用した研磨物品の形成方法および研磨物品の特徴に関する。成形研磨粒子は、例えば、結合研磨物品、被覆研磨物品等を含む種々の研磨物品にて使用され得る。特定の例では、本明細書における実施形態の研磨物品は、砥粒の単一層、より詳細には、裏材に結合されるかまたは連結されて加工品から材料を除去するために使用されてよい成形研磨粒子の不連続な単一層により規定される被覆研磨物品であることができる。とりわけ、成形研磨粒子は、成形研磨粒子が互いに対して所定の分布を規定するように制御された方法で配置され得る。
【0018】
多種多様な方法を用いて成形研磨粒子を形成することができる。例えば、成形研磨粒子は押出成形、成形、スクリーン印刷、ロール、溶融、加圧成形、鋳造、セグメント化、分割、およびこれらの組み合わせ等の技術を使用して形成されてよい。特定の場合には、成形研磨粒子は、セラミック材料および液体を含んでよい混合物から形成されてよい。特定の例では、混合物はセラミック粉末材料および液体から形成されるゲルであってよく、ゲルは実質的に未処理(すなわち、焼成されていない)状態においてさえ所与の形状を保持する能力を有する形状安定材料として特徴付けられ得る。一実施形態によると、ゲルは、離散粒子の一体化ネットワークとしてのセラミック粉末材料から作成することができる。
【0019】
混合物は、成形研磨粒子を形成するために好適なレオロジー特性を有するように特定の含有量の固体材料、液体材料および添加剤を含有してよい。すなわち、特定の場合には、混合物は、特定の粘度、より詳細には、材料の寸法が安定した相の形成を促進する好適なレオロジー特性を有することができる。材料の寸法が安定した相とは、特定の形状を有し、その形状が最終的に形成される物体において存在するように実質的に形状を維持するように形成され得る材料である。
【0020】
特定の実施形態によれば、混合物は、特定の含有量の固体材料、例えば、セラミック粉末材料を有するように形成され得る。例えば、一実施形態では、混合物は、混合物の全重量に対して少なくとも約25wt%、例えば、少なくとも約35wt%、またはさらには少なくとも約38wt%の固形分含有量を有することができる。さらに、少なくとも1つの非限定的実施形態において、混合物の固形分含有量は、約75wt%以下、例えば、約70wt%以下、約65wt%以下、約55wt%以下、約45wt%以下または約42wt%以下であることができる。混合物中の固体材料含有量は、上述した任意の最小割合から最大割合の範囲内にあり得ると理解されよう。
【0021】
一実施形態によると、セラミック粉末材料としては、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸炭化物、酸窒化物およびこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の例では、セラミック材料としては、アルミナを挙げることができる。より具体的には、セラミック材料としては、αアルミナの前駆体であり得るベーマイト材料を挙げてもよい。用語「ベーマイト」とは、典型的には、Al
2O
3・H
2Oであり、約15%の含水量を有する鉱物ベーマイトおよび20〜38重量%のような15%を超える含水量を有する擬ベーマイトを含むアルミナ水和物を示すように本明細書で概して使用される。ベーマイト(擬ベーマイトを含む)は、特殊で特定可能な結晶構造、したがって独自のX線回折パターンを有し、そのため、ベーマイト粒子材料の製造のために本明細書で使用される一般的な前駆体物質であるATH(三水酸化アルミニウム)等の他のアルミナ水和物を含む他のアルミナ質材料とは区別されることに留意されたい。
【0022】
また、混合物は特定の含有量の液体材料を有するように形成することができる。いくつかの好適な液体としては、水を挙げてもよい。一実施形態によると、混合物は混合物の固形分含有量未満の液体含有量を有するように形成することができる。より特殊な例では、混合物は、混合物の全重量に対して少なくとも約25wt%、例えば、少なくとも約35wt%、少なくとも約45wt%、少なくとも約50wt%、またはさらには少なくとも約58wt%の液体含有量を有することができる。さらに、少なくとも1つの非限定的実施形態において、混合物の液体含有量は、約75wt%以下、例えば、約70wt%以下、約65wt%以下、約62wt%以下、またはさらには約60wt%以下であることができる。混合物中の液体含有量は、上述した任意の最小割合から最大割合の範囲内にあり得ると理解されよう。
【0023】
また、特定のプロセスでは、混合物は特定の貯蔵弾性率を有し得る。例えば、混合物は、少なくとも約1×10
4Pa、例えば、少なくとも約4×10
4Pa、またはさらには少なくとも約5×10
4Paの貯蔵弾性率を有することができる。しかし、少なくとも1つの非限定的実施形態において、混合物は、約1×10
7Pa以下、例えば、約2×10
6Pa以下の貯蔵弾性率を有し得る。混合物101の貯蔵弾性率は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ると理解されよう。
【0024】
貯蔵弾性率は、ペルチェプレート温度制御システムを備えたARESまたはAR−G2回転式レオメータを用いた平行平板システムで計測することができる。試験のために、互いから約8mm離して設置された2枚の平行平板の隙間に混合物を押し出すことができる。ゲルを隙間に押し出した後に、この隙間を形成している2枚の平行平板の距離を、混合物が平行平板間の隙間を完全に充填するまで、2mmに狭める。余分な混合物を拭き取った後、隙間を0.1mm狭め、試験を始める。試験は振動ひずみ掃引試験で、装置設定をひずみ範囲01%〜100%、6.28rad/s(1Hz)とし、25mmの平行平板を使用して、周波数1桁当たりの測定数10で実施する。試験終了後1時間以内に、隙間を再び0.1mm狭め、試験を繰り返す。この試験は少なくとも6回繰り返すことができる。初回の試験は、2回目および3回目の試験と異なる場合がある。各試料につき、2回目および3回目の結果のみ報告するものとする。
【0025】
さらに、本明細書の実施態様による成形研磨粒子の処理および形成を促すために、混合物は特定の粘度を有することができる。例えば、混合物は、少なくとも約4×10
3Pa・s、少なくとも約5×10
3Pa・s、少なくとも約6×10
3Pa・s、少なくとも約8×10
3Pa・s、少なくとも約10×10
3Pa・s、少なくとも約20×10
3Pa・s、少なくとも約30×10
3Pa・s、少なくとも約40×10
3Pa・s、少なくとも約50×10
3Pa・s、少なくとも約60×10
3Pa・s、少なくとも約65×10
3Pa・sの粘度を有することができる。少なくとも1つの非限定的実施態様において、混合物は、約100×10
3Pa・s以下、約95×10
3Pa・s以下、約90×10
3Pa・s以下、またはさらには約85×10
3Pa・s以下の粘度を有してよい。混合物の粘度は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。粘度は、上述した貯蔵弾性率と同じ方法で測定することができる。
【0026】
加えて、混合物は、本明細書の実施態様による成形研磨粒子の処理および形成を促すために、特定含有量の、例えば、液体とは異なり得る有機添加剤等を含む有機材料を有するように形成することができる。いくつかの好適な有機添剤としては、安定剤、結合剤、例えばフルクトース、スクロース、ラクトース、グルコース、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。
【0027】
特に、本明細書の実施態様では、従来の成形作業で使用されるスラリーとは異なり得る混合物を利用してよい。例えば、混合物中の有機材料、特に、上述した任意の有機添加剤の含有量は、混合物中のその他の成分と比べて少ない量であってよい。少なくとも1つの実施態様において、混合物は、混合物の全重量に対して、約30wt%以下の有機材料を含むように形成され得る。他の例では、有機材料の量はそれより少なく、例えば約15wt%以下、約10wt%以下、またはさらには約5wt%以下であってよい。しかしながら、少なくとも1つの非限定的実施態様において、混合物中の有機材料の量は、混合物の全重量に対して、少なくとも約0.01wt%、例えば、少なくとも約0.5wt%であり得る。混合物中の有機材料の量は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0028】
加えて、混合物は、本明細書の実施態様による成形研磨粒子の処理および形成を促すために、特定含有量の液体とは異なる酸または塩基を有するように形成され得る。いくつかの好適な酸または塩基としては、硝酸、硫酸、クエン酸、塩素酸、酒石酸、リン酸、硝酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムを挙げることができる。特定の一実施態様によると、混合物は、硝酸添加剤を用いて、約5未満、より具体的には、約2〜約4の範囲内のpHを有することができる。
【0029】
特定の一形成方法によると、混合物を使用して、スクリーン印刷プロセスにより成形研磨粒子を形成することができる。一般に、スクリーン印刷プロセスは、塗布領域にてダイからスクリーン開口部内へ混合物を押し出すことを含み得る。開口部を有するスクリーンおよびスクリーン下部のベルトを含む基材組み合わせがダイの下で移動することができ、混合物はスクリーンの開口部内に供給され得る。開口部に含まれる混合物は後にスクリーンの開口部から絞り出されて、ベルト上に含まれ得る。得られた混合物の成形部分は、前駆体成形研磨粒子であることができる。
【0030】
一実施形態によると、スクリーンは、所定の二次元形状を有する1つまたは複数の開口部を有することができ、これにより実質的に同一の二次元形状を有する成形研磨粒子の形成を促すことができる。開口部の形状から再現され得ない成形研磨粒子の特徴があり得ることが理解されよう。一実施形態によると、開口部は、種々の形状、例えば、多角形、楕円形、数字、ギリシャ文字、アルファベット文字、ロシア文字、漢字、多角形を組み合わせた複雑な形状およびこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の例では、開口部は、二次元の多角形形状、例えば、三角形、長方形、四辺形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、およびこれらの組み合わせを有し得る。
【0031】
特に、混合物の開口部内での平均滞留時間が約2分未満、約1分未満、約40秒未満またはさらには約20秒未満であることができるように、混合物は高速でスクリーンを通って押し出され得る。特定の非限定的な一実施形態において、混合物は印刷中、スクリーン開口部を通って移動する際に混合物は実質的に不変であり得るため、構成成分の量に元の混合物からの変化が生じず、また、スクリーンの開口部内で感知され得る乾燥を生じることがない。
【0032】
ベルトおよび/またはスクリーンは処理を促すために特定の速度で移動することができる。ベルトおよび/またはスクリーンは少なくとも約3cm/sの速度で移動することができる。他の実施形態において、ベルトおよび/またはスクリーンの移動速度はそれよりも大きくてもよく、例えば、少なくとも約4cm/s、少なくとも約6cm/s、少なくとも約8cm/s、またはさらには少なくとも約10cm/sであってよい。本明細書の実施形態による特定のプロセスのために、混合物の押出速度に対するベルトの移動速度を、適切な処理を促すために制御されてよい。
【0033】
特定の処理パラメータを、本明細書に記載される前駆体成形研磨粒子(すなわち、成形プロセスで得られた粒子)および最終的に形成される成形研磨粒子の特徴を促すために制御してよい。いくつかの例示的処理パラメータとしては、塗布領域内の点に対してスクリーンとベルトの間の分離点を規定する解放距離、混合物の粘度、混合物の貯蔵弾性率、塗布領域内の成分の機械的特性、スクリーンの厚さ、スクリーンの剛性、混合物の固形物含有量、混合物のキャリア含有量、ベルトとスクリーンの間の解放角度、移動速度、温度、ベルトまたはスクリーン開口部表面上の剥離剤の量、押出を促すために混合物に印加される圧力、ベルトの速度、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0034】
成形プロセス完了後、得られた前駆体成形研磨粒子は、追加の処理を行うことができる一連の領域を通って移動してよい。いくつかの好適な例示的な追加の処理としては、乾燥、加熱、硬化、反応、放射、混合、撹拌、揺動、平坦化、か焼、焼結、粉砕、ふるい分け、ドーピングおよびこれらの組み合わせを挙げることができる。一実施形態によると、前駆体成形研磨粒子は、粒子の少なくとも1つの外面がさらに成形される任意の成形領域を通って移動してよい。加えてまたは代替的に、前駆体成形研磨粒子は、ドーパント材料を前駆体成形研磨粒子の少なくとも1つの外面に塗布することができる任意の塗布領域を通って移動してよい。ドーパント材料は、例えば、噴霧、浸漬、堆積、含浸、転写、打ち抜き、切断、プレス、破砕およびこれらの任意の組み合わせを含む種々の方法を利用して塗布されてよい。特定の例では、塗布領域は、ドーパント材料を前駆体成形研磨粒子に噴霧するためにスプレーノズルまたはスプレーノズルの組み合わせを利用してよい。
【0035】
一実施形態によると、ドーパント材料の塗布は特定の材料、例えば、前駆体の塗布を含むことができる。いくつかの例示的前駆体物質としては、最終的に成形される成形研磨粒子中に組み込まれるドーパント材料を挙げることができる。例えば、金属塩としては、ドーパント材料(例えば、金属元素)の前駆体である元素または化合物を挙げることができる。塩は例えば、混合物または塩および液体キャリアを含む溶液のような液状であってよいと理解されよう。塩としては、窒素を挙げてもよく、より詳細には、硝酸塩を挙げることができる。その他の実施形態では、塩は塩化物、硫酸塩、リン酸塩およびこれらの組み合わせであることができる。一実施形態では、塩としては、金属硝酸塩を挙げることができ、より詳細には、本質的に金属硝酸塩からなる。
【0036】
一実施形態において、ドーパント材料としては、アルカリ元素、アルカリ土類元素、希土類元素、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、タンタル、モリブデン、バナジウムまたはこれらの組み合わせ等の元素または化合物を挙げることができる。特定の一実施形態において、ドーパント材料としては、元素、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セシウム、プラセオジム、ニオビウム、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、バナジウム、クロム、コバルト、鉄、ゲルマニウム、マンガン、ニッケル、チタン、亜鉛、およびこれらの組み合わせを含む元素または化合物が挙げられる。
【0037】
特定の例では、ドーパント材料を塗布するプロセスとしては、前駆体成形研磨粒子の外面へのドーパント材料の選択的配置を挙げることができる。例えば、ドーパント材料を塗布するプロセスとしては、前駆体成形研磨粒子の上面または底面へのドーパント材料の塗布を挙げることができる。さらに別の実施形態では、前駆体成形研磨粒子の1つ以上の側面は、ドーパント材料がそこに塗布されるように処理され得る。各種方法を使用して、ドーパント材料を前駆体成形研磨粒子のさまざまな外面に塗布してよいと理解されよう。例えば、噴霧プロセスを使用して、ドーパント材料を前駆体成形研磨粒子の上面または側面に塗布してよい。さらに、代替的実施形態では、ドーパント材料は、浸漬、堆積、含浸またはこれらの組み合わせ等のプロセスによって前駆体成形研磨粒子の底面に塗布されてよい。ベルトの表面は、前駆体成形研磨粒子の底面へのドーパント材料の転写を促すためにドーパント材料で処理されてよいことが理解されよう。
【0038】
さらに、前駆体成形研磨粒子は成形後領域を通るベルトで移動してよく、例えば乾燥を含む種々のプロセスが本明細書の実施形態に記載されているような前駆体成形研磨粒子に実施されてよい。前駆体成形研磨粒子の処理を含む種々のプロセスが成形後領域で実施されてよい。一実施形態では、成形後領域は、前駆体成形研磨粒子を乾燥させることができる加熱プロセスを含むことができる。乾燥は、特定含有量の、水等の揮発物を含む材料の除去を含んでよい。一実施形態によると、乾燥プロセスは約300℃以下、例えば約280℃以下、またはさらには約250℃以下の乾燥温度で実施することができる。さらに、非限定的な一実施形態では、乾燥プロセスは少なくとも約50℃の乾燥温度で実施されてよい。乾燥温度は、上述した任意の最小温度から最大温度の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、前駆体成形研磨粒子は、特定の速度、例えば、約0.2フィート/分(0.06m/分)以上約8フィート/分(2.4m/分)以下で成形後領域を通って移動することができる。
【0039】
一実施形態によると、成形研磨粒子の形成プロセスはさらに焼結プロセスを含んでよい。本明細書における実施形態の特定のプロセスでは、焼結は前駆体成形研磨粒子をベルトから収集した後に実施することができる。あるいは、焼結は前駆体成形研磨粒子がベルトにある間に行われるプロセスであってもよい。前駆体成形研磨粒子の焼結は、通常未処理状態にある粒子を稠密化するのに用いてもよい。特定の例では、焼結プロセスはセラミック材料の高温相の形成を促すことができる。例えば、一実施形態において、前駆体成形研磨粒子は、アルミナの高温相、例えばαアルミナが形成されるように焼結されてよい。一例では、成形研磨粒子は、粒子の全重量に対して少なくとも約90wt%のαアルミナを含むことができる。他の例では、成形研磨粒子が本質的にαアルミナから構成されてよいように、αアルミナの含有量はそれより多くてもよい。
【0041】
成形研磨粒子はさまざまな形状を有するように形成することができる。概して、成形研磨粒子は、形成プロセスにて使用される成形要素に近い形状を有するように形成されてよい。例えば、成形研磨粒子は三次元の任意の二次元、特に粒子の長さと幅によって規定される次元で見たときに所定の二次元形状を有してよい。いくつかの例示的二次元形状としては、多角形、楕円形、数字、ギリシャ文字、アルファベット文字、ロシア文字、漢字、多角形を組み合わせた複雑な形状およびこれらの組み合わせを有することができる。特定の例では、成形研磨粒子は、二次元の多角形形状、例えば、三角形、長方形、四辺形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形およびこれらの組み合わせを有し得る。
【0042】
特定の一態様では、成形研磨粒子は、
図8Aに図示されるような形状を有するように形成されてよい。
図8Aは、一実施形態による成形研磨粒子の斜視図である。さらに、
図8Bは、
図8Aの成形研磨粒子の断面図である。本体801は上面803と、上面803の反対側の底面804とを含む。上面803および底面804は、側面805、806および807によって互いに分離され得る。図示されているように成形研磨粒子800の本体801は、上面803により規定される平面から見たときに略三角形形状を有することができる。特に、本体801は、
図8Bに示される長さ(Lmiddle)を有することができ、これは、本体801の底面804において測定され、上面の角813に対応する底面の角から本体801の中点881を通り、本体の上面の縁部814に対応する本体の反対側の縁部における中点まで延び得る。あるいは、本体は第2の長さ、すなわち輪郭長さ(Lp)によって規定され得、これは上面803における第1の角813から隣接する角812までの側面から見た本体の寸法を測ったものである。とりわけ、Lmiddleの寸法は、角(hc)の高さと、角とは反対側の縁部中点(hm)における高さとの間の距離を規定する長さであることができる。寸法Lpは、(本明細書にて説明されるような)h1とh2の間の距離を規定する粒子の側に沿った輪郭長さであることができる。本明細書における長さへの言及については、LmiddleまたはLpのいずれかへの言及であり得る。
【0043】
本体801は、一辺に沿った本体の最長寸法である幅(w)をさらに含むことができる。成形研磨粒子は高さ(h)をさらに含むことができ、これは、本体801の側面により規定される方向における、成形研磨粒子の長さおよび幅に垂直な方向に延びる寸法であることができる。とりわけ、本明細書にてさらに詳細に記述されるように、本体801は本体の位置によってさまざまな高さにより規定され得る。特定の例では、幅は長さ以上であることができ、長さは高さ以上であることができ、幅は高さ以上であることができる。
【0044】
さらに、任意の寸法特性(例えば、h1、h2、hi、w、Lmiddle、Lp等)への言及は、バッチの単一の粒子の寸法への言及であることができる。あるいは、寸法特性のいずれかへのいかなる言及も、バッチの粒子の好適なサンプリングの分析に由来する中央値または平均値への言及であることができる。本明細書に明確に述べられていない限り、本明細書における寸法特性への言及は、バッチの好適な数の粒子のサンプルサイズに由来する統計学的に有意な値に基づいた中央値への言及であるとみなすことができる。とりわけ、本明細書における特定の実施形態では、サンプルサイズは、粒子のバッチから無作為に選択された少なくとも40の粒子を含むことができる。粒子のバッチは、1回のプロセスランから収集される粒子群であってよく、より詳細には、商用グレード研磨材製品を形成するのに好適な成形研磨粒子の量、例えば少なくとも約20ポンドの粒子を含んでよい。
【0045】
一実施形態によると、成形研磨粒子の本体801は、角813により規定される本体の第1の領域における第1の角の高さ(hc)を有することができる。とりわけ、角813は本体801の最大高さの点を表してよいが、角813における高さは必ずしも本体801の最大高さの点を表さない。角813は、上面803と2つの側面805および807との接合により規定される、本体301の点または領域として定義され得る。本体801はさらに、例えば角811および角812等の、互いに離間した他の角を含んでよい。さらに図示されるように、本体801は、角811、812および813により互いに離間され得る縁部814、815および816を含むことができる。縁部814は、上面803と側面806との共通部分により規定され得る。縁部815は、上面803と、角811と813との間の側面805との共通部分により規定され得る。縁部816は、上面803と、角812と813との間の側面807との共通部分により規定され得る。
【0046】
さらに図示されるように、本体801は、本体801の第2の端部における第2の中点の高さ(hm)を含むことができ、これは、角813により規定される第1の端部とは反対側にあり得る、縁部814の中点における領域によって規定され得る。軸線850は本体801の2つの端部間に延びることができる。
図8Bは軸線850に沿った本体801の断面図であり、軸線850は、角813と縁部814の中点との間の長さ(Lmiddle)の寸法に沿って本体801の中点881を通って延びることができる。
【0047】
一実施形態によると、例えば、
図8Aおよび8Bの粒子をはじめとする本明細書における実施形態の成形研磨粒子は、hcとhmの間の差を測ったものである、平均高さ差を有することができる。ここでの決まりとして、平均高さ差は概してhc−cmとして特定されるが、差の絶対値が定義されるため、本体801の縁部814の中点における高さが角813の高さよりも大きい場合は平均高さ差はhm−hcとして計算されることが理解されよう。より詳細には、平均高さ差は好適なサンプルサイズの複数の成形研磨粒子、例えば、本明細書で定義されるバッチの少なくとも40個の粒子に基づいて計算することができる。粒子の高さhcおよびhmは、STIL(Sciences et Techniques Industrielles de la Lumiere−フランス)社製Micro Measure 3D Surface Profilometer(白色光(LED)色収差技術)を使用して測定でき、平均高さ差はサンプルのhcおよびhmの平均値に基づいて計算できる。
【0048】
図8Bに図示されるように、特定の一実施形態では、成形研磨粒子の本体801は本体のさまざまな位置で平均高さ差を有してよい。本体は、平均高さ差を有することができ、これは第1の角の高さ(hc)と第2の中点の高さ(hm)との間の絶対値[hc−hm]が少なくとも約20ミクロンであることができる。平均高さ差は、本体801の縁部の中点における高さが反対側の角の高さよりも大きい場合、hm−hcとして計算してよいことが理解されよう。他の例では、平均高さ差[hc−hm]は、少なくとも約25ミクロン、少なくとも約30ミクロン、少なくとも約36ミクロン、少なくとも約40ミクロン、少なくとも約60ミクロン、例えば少なくとも約65ミクロン、少なくとも約70ミクロン、少なくとも約75ミクロン、少なくとも約80ミクロン、少なくとも約90ミクロン、またはさらには少なくとも約100ミクロンであることができる。非限定的な一実施形態において、平均高さ差は約300ミクロン以下、例えば約250ミクロン以下、約220ミクロン以下、またはさらには約180ミクロン以下であることができる。平均高さ差は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0049】
さらに、平均高さ差はhcの平均値に基づくことができると理解されよう。例えば、本体の角における平均高さ(Ahc)は、本体のすべての角の高さを測定し、値を平均することにより計算でき、ある角(hc)における高さの単一の値とは異なっていてよい。したがって、平均高さ差は等式[Ahc−hi]の絶対値から得てよい。ここでhiとは、任意の角と本体の反対側の縁部中点との間の寸法に沿って測った本体の高さの最小寸法であることができる、内側高さである。さらに、平均高さ差は、成形研磨粒子のバッチの好適なサンプルサイズおよびサンプルサイズの粒子すべての角に対する平均高さから計算される中央内側高さ値(Mhi)を使用して計算することができると理解されよう。したがって、平均高さ差は等式[Ahc−Mhi]の絶対値により得ることができる。
【0050】
特定の例では、本体801は、少なくとも1:1の値を有する長さ:幅の比として表される比である第1のアスペクト比を有するように形成することができる。ここで長さはLmiddleであってよい。他の例では、本体は第1のアスペクト比(w:l)が少なくとも約1.5:1、例えば、少なくとも約2:1、少なくとも約4:1、またはさらには少なくとも約5:1であるように形成することができる。さらに、他の例では、研磨粒子は、本体が約10:1以下、例えば約9:1以下、約8:1以下、またはさらには約5:1以下である第1のアスペクト比を有するように形成することができる。本体801は、上述の任意の比の範囲内の第1のアスペクト比を有することができると理解されよう。さらに、本明細書における高さへの言及は研磨粒子の測定可能な最大高さであると理解されよう。研磨粒子は本体801内の異なる位置において異なる高さを有し得ることが後述される。
【0051】
第1のアスペクト比に加えて、研磨粒子は、本体801が長さ:高さの比として定義され得る第2のアスペクト比を含むように形成することができる。ここで長さはLmiddleであってよく、高さは内側高さ(hi)である。特定の場合には、第2のアスペクト比は、約5:1〜約1:3、例えば、約4:1〜約1:2、またはさらには約3:1〜約1:2の範囲内であることができる。同じ比が、粒子のバッチについての中央値(例えば、中央長さ値および中央内側高さ値)を使用して測定してよいと理解されよう。
【0052】
別の実施形態によると、研磨粒子は、本体801が、幅:高さの比により定義される第3のアスペクト比を含むように形成することができる。ここで高さとは内側高さ(hi)である。本体801の第3のアスペクト比は、約10:1〜約1.5:1、例えば約8:1〜約1.5:1、例えば約6:1〜約1.5:1、またはさらには約4:1〜約1.5:1の範囲内であることができる。同じ比が、粒子のバッチについての中央値(例えば、中央長さ値、中央中点長さ値および/または中央内側高さ値)を使用して測定してよいと理解されよう。
【0053】
一実施形態によると、成形研磨粒子の本体801は、特定の寸法を有することができ、これにより改善された性能を促すことができる。例えば、一例では、本体は内側高さ(hi)を有することができる。内側高さ(hi)は、任意の角と本体の反対側の縁部中点との間の寸法に沿って測った本体の高さの最小寸法であることができる。本体が略三角形の二次元形状である特定の例では、内側高さ(hi)は、3つの角のそれぞれとその反対側の縁部中点との間を取った3つの寸法の、本体の高さ(すなわち、底面804から上面805までの寸法)の最小寸法であってよい。成形研磨粒子の本体の内側高さ(hi)は
図8Bに図示される。一実施形態によると、内側高さ(hi)は幅(w)の少なくとも約28%であることができる。任意の粒子の高さ(hi)は、成形研磨粒子を分割またはマウントし、研削してから、本体801内部における最小高さ(hi)を決定するのに十分な方法(例えば、光学顕微鏡またはSEM)で見ることで測定できる。特定の一実施形態では、高さ(hi)は幅の少なくとも約29%、例えば少なくとも約30%、またはさらには本体の幅の少なくとも約33%であることができる。非限定的な一実施形態では、本体の高さ(hi)は幅の約80%以下、例えば、約76%以下、約73%以下、約70%以下、幅の約68%以下、幅の約56%以下、幅の約48%以下、またはさらには幅の約40%以下であることができる。本体の高さ(hi)は、上述した任意の最小割合から最大割合の範囲にあり得ることが理解されよう。
【0054】
成形研磨粒子のバッチが製造でき、そこで中央内側高さ値(Mhi)が制御でき、これにより改善された性能を促すことができる。特に、バッチの中央内部高さ値(hi)は、上述と同様にしてバッチの成形研磨粒子の中央幅値と関連づけられる。とりわけ、中央内側高さ値(Mhi)はバッチの成形研磨粒子の中央幅値の少なくとも約28%、例えば、少なくとも約29%、少なくとも約30%、またはさらには少なくとも約33%であることができる。非限定的な一実施形態では、本体の中央内側高さ値(Mhi)は、中央幅値の約80%以下、例えば、約76%以下、約73%以下、約70%以下、幅の約68%以下、幅の約56%以下、幅の約48%以下、またはさらには約40%以下であることができる。本体の中央内側高さ値(Mhi)は、上述した任意の最小割合から最大割合の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0055】
また、成形研磨粒子のバッチは、好適なサンプルサイズからの寸法特性の標準偏差により測定される改善された寸法均一性を示すことができる。一実施形態によると、成形研磨粒子は、内側高さ変動(Vhi)を有することができる。内側高さ変動(Vhi)はバッチの好適なサンプルサイズの粒子についての内側高さ(hi)の標準偏差として計算され得る。一実施態様によると、内側高さ変動は約60ミクロン以下、例えば約58ミクロン以下、約56ミクロン以下、またはさらには約54ミクロン以下であることができる。非限定的な一実施形態において、内側高さ変動(Vhi)は少なくとも約2ミクロンであることができる。本体の内側高さ変動は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0056】
別の実施形態では、成形研磨粒子の本体は、少なくとも約400ミクロンの内側高さ(hi)を有することができる。より詳細には、高さは少なくとも約450ミクロン、例えば少なくとも約475ミクロン、またはさらには少なくとも約500ミクロンであってよい。さらなる非限定的な一実施形態では、本体の高さは約3mm以下、例えば約2mm以下、約1.5mm以下、約1mm以下、約800ミクロン以下であることができる。本体の高さは、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記の範囲の値は成形研磨粒子のバッチについての中央内側高さ値(Mhi)を表すことができると理解されよう。
【0057】
本明細書における特定の実施形態では、成形研磨粒子の本体は、例えば、幅≧長さ、長さ≧高さおよび幅≧高さ等の特定の寸法を有することができる。より詳細には成形研磨粒子の本体801は、少なくとも約600ミクロン、例えば少なくとも約700ミクロン、少なくとも約800ミクロン、またはさらには少なくとも約900ミクロンの幅(w)を有することができる。非限定的な例では、本体は、約4mm以下、例えば約3mm以下、約2.5mm以下、またはさらには約2mm以下の幅を有することができる。本体の幅は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記の範囲の値は成形研磨粒子のバッチについての中央幅値(Mw)を表すことができると理解されよう。
【0058】
成形研磨粒子の本体801は、少なくとも約0.4mm、例えば少なくとも約0.6mm、少なくとも約0.8mm、またはさらには少なくとも約0.9mm等の長さ(LmiddleまたはLp)を含む特定の寸法を有することができる。さらに、少なくとも1つの非限定的実施形態において、本体801は、約4mm以下、例えば約3mm以下、約2.5mm以下、またはさらには約2mm以下の長さを有することができる。本体801の長さは、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。また、上記の範囲の値は、成形研磨粒子のバッチについての中央長さ値(Ml)を表すことができる(より詳細には、中央中点長さ値(MLmiddle)または中央輪郭長さ値(MLp)であってよい)と理解されよう。
【0059】
成形研磨粒子は、特定の量のディッシングを有する本体801を有することができる。ここでディッシング値(d)は、本体の内側における高さの最小寸法(hi)に対する本体801の角における平均高さ(Ahc)の比として定義され得る。本体801の角における平均高さ(Ahc)は、本体のすべての角の高さを測定し、その値を平均することで計算され得、ある角の高さ(hc)の単一の値とは異なっていてよい。本体801の角または内側における平均高さは、STIL(Sciences et Techniques Industrielles de la Lumiere−フランス)社製Micro Measure 3D Surface Profilometer(白色光(LED)色収差技術)を使用して測定できる。あるいは、ディッシングは、バッチの粒子の好適なサンプリングから計算される粒子の角における中央高さ値(Mhc)に基づいてよい。同様に、内側高さ(hi)はバッチの成形研磨粒子の好適なサンプリングに由来する中央内側高さ値(Mhi)であることができる。一実施形態によると、ディッシング値(d)は、約2以下、例えば約1.9以下、約1.8以下、約1.7以下、約1.6以下、またはさらには約1.5以下であることができる。さらに、少なくとも1つの非限定的実施形態において、ディッシング値(d)は少なくとも約0.9、例えば少なくとも約1.0であることができる。ディッシング比は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記のディッシング値は成形研磨粒子のバッチについての中央ディッシング値(Md)を表すことができると理解されよう。
【0060】
例えば
図8Aの粒子の本体801を含む本明細書における実施形態の成形研磨粒子は、底部面積(A
b)を規定する底面804を有することができる。特定の例では、底面304は本体801の最大表面であることができる。底面は、上面803の表面積よりも大きい底部面積(A
b)として定義される表面積を有することができる。また、本体801は、底部面積に垂直な平面の面積を規定し、粒子の中点881を通って(上面と底面の間を)延びる中点断面積(A
m)を有することができる。特定の場合には、本体801は、約6以下の底部面積対中点面積(A
b/A
m)の面積比を有することができる。さらに特定的な例では、面積比は約5.5以下、例えば約5以下、約4.5以下、約4以下、約3.5以下、またはさらには約3以下であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、面積比は少なくとも約1.1、例えば少なくとも約1.3、またはさらには少なくとも約1.8であってよい。面積比は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記の面積比は成形研磨粒子のバッチについての中央面積比値を表すことができると理解されよう。
【0061】
さらに、例えば
図8Bの粒子を含む本明細書における実施形態の成形研磨粒子は、少なくとも約0.3の正規化高さ差を有することができる。正規化高さ差は等式[(hc−hm)/(hi)]の絶対値により定義され得る。その他の実施形態では、正規化高さ差は約0.26以下、例えば約0.22以下またはさらには約0.19以下であることができる。さらに、特定の一実施形態において、正規化高さ差は少なくとも約0.04、例えば少なくとも約0.05、少なくとも約0.06であることができる。正規化高さ差は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記の正規化高さ値は成形研磨粒子のバッチについての中央正規化高さ値を表すことができると理解されよう。
【0062】
別の例では、本体801は、少なくとも約0.04の輪郭比を有することができ、ここで輪郭比は成形研磨粒子の平均高さ差[hc−hm]対長さ(Lmiddle)の比として、すなわち[(hc−cm)/(Lmiddle)]の絶対値として定義される。本体の長さ(Lmiddle)は
図8Bに示すような本体を横切る距離であることができると理解されよう。また、長さは、本明細書において定義されるような成形研磨粒子のバッチの、粒子の好適なサンプリングから計算される長さの平均または中央値であってよい。特定の実施形態によれば、輪郭比は少なくとも約0.05、少なくとも約0.06、少なくとも約0.07、少なくとも約0.08、またはさらには少なくとも約0.09であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、輪郭比は約0.3以下、例えば約0.2以下、約0.18以下、約0.16以下、またはさらには約0.14以下であることができる。輪郭比は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記の輪郭比は成形研磨粒子のバッチについての中央輪郭比値を表すことができると理解されよう。
【0063】
別の実施形態によれば、本体801は、特定のすくい角を有することができる。すくい角は本体の底面804と側面805、806または807との間の角度として定義され得る。例えば、すくい角は約1°〜約80°の範囲内であってよい。本明細書における他の粒子については、すくい角は、約5°〜55°、例えば約10°〜50°、約15°〜50°、またはさらには約20°〜50°の範囲内であることができる。このようなすくい角を有する研磨粒子の形成によって研磨粒子の研磨能力を改善することができる。とりわけ、すくい角は上述の任意の2つのすくい角の間の範囲内であることができる。
【0064】
別の実施形態によれば、例えば
図8Aおよび
図8Bの粒子を含む本明細書における成形研磨粒子は、本体801の上面803内に楕円状領域817を有することができる。楕円状領域817は、上面803周りに延び楕円状領域817を規定できる溝領域818によって規定され得る。楕円状領域817は中点881を取り囲むことができる。さらに、上面内に規定される楕円状領域817は形成プロセスのアーティファクトであり得、本明細書に記述される方法に従った成形研磨粒子形成中の混合時に加えられた応力の結果され得ると考えられている。
【0065】
成形研磨粒子は、本体が結晶性材料、より詳細には、多結晶性材料を含むように形成することができる。とりわけ、多結晶性材料としては、砥粒を挙げることができる。一実施形態では、本体は例えば結合剤を含む有機材料を本質的に含まないことができる。より詳細には、本体は本質的に多結晶性材料からなることができる。
【0066】
一態様では、成形研磨粒子の本体は、研磨粒子800の本体801を形成すべく、互いに結合された複数の研磨粒子、グリットおよび/またはグレインを含むアグロメレートであることができる。好適な砥粒としては、窒化物、酸化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、酸ホウ化物、ダイヤモンド、超砥粒(例えば、cBN)およびこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の例では、砥粒としては、酸化化合物または錯体、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化ストロンチウム、酸化ケイ素およびこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の一例では、研磨粒子800は、本体800を形成する砥粒がアルミナを含む、より詳細には本質的にアルミナからなり得るように成形される。代替的実施形態では、成形研磨粒子は、例えば、金属、合金、超合金、サーメットおよびこれらの組み合わせを含んでもよい結合剤相を含む研磨材料または超砥粒材料の多結晶コンパクトを含むジオセット(geoset)を含むことができる。いくつかの例示的結合剤材料としては、コバルト、タングステンこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0067】
本体内に含まれる砥粒(すなわち、晶子)は概して約100ミクロン以下の平均結晶粒径を有し得る。他の実施形態において、結晶粒径はそれよりも小さく、例えば、約80ミクロン以下、約50ミクロン以下、約30ミクロン以下、約20ミクロン以下、約10ミクロン以下、またはさらには約1ミクロン以下であることができる。さらに、本体内に含まれる砥粒の平均結晶粒径は少なくとも約0.01ミクロン、例えば少なくとも約0.05ミクロン、例えば少なくとも約0.08ミクロン、少なくとも約0.1ミクロン、またはさらには少なくとも約1ミクロンであることができる。砥粒は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内の平均結晶粒径を有し得ることが理解されよう。
【0068】
特定の実施形態によると、研磨粒子は少なくとも2つの異なる種類の砥粒を本体に含む複合材料物品であることができる。異なる種類の砥粒は互いに異なる組成を有する砥粒であると理解されよう。例えば、本体は少なくとも2つの異なる種類の砥粒を含むように成形することができ、ここで2つの異なる種類の砥粒は窒化物、酸化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、酸ホウ化物、ダイヤモンドおよびこれらの組み合わせであることができる。
【0069】
一実施形態によると、研磨粒子800は、本体801の測定可能な最長寸法を測定したとき、少なくとも約100ミクロンの平均粒径を有することができる。実際、研磨粒子800は、少なくとも約150ミクロン、例えば少なくとも約200ミクロン、少なくとも約300ミクロン、少なくとも約400ミクロン、少なくとも約500ミクロン、少なくとも約600ミクロン、少なくとも約700ミクロン、少なくとも約800ミクロン、またはさらには少なくとも約900ミクロンの平均粒径を有することができる。さらに、研磨粒子800は、約5mm以下、例えば約3mm以下、約2mm以下、またはさらには約1.5mm以下の平均粒径を有することができる。研磨粒子100は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内の平均粒径を有し得ることが理解されよう。
【0070】
本明細書における実施形態の成形研磨粒子は、改善された性能を促すことができるフラッシング(flashing)率を有することができる。とりわけ、フラッシングは
図8Cに図示されているように、粒子の一側面に沿って見たときの面積を規定する。フラッシングは本体のボックス888および889内の側面から延びる。フラッシングは本体の上面および底面に近い先細領域を表すことができる。フラッシングは、本体の側面の最も内側の点(例えば、891)と側面の最も外側の点(例えば、892)との間に延びるボックス内に含まれる側面に沿った本体の面積の割合として測定することができる。特定の一実施態様において、本体は、特定の量のフラッシングを有することができ、これはボックス888、889および890内に含まれる本体の全面積に対するボックス888および889内に含まれる面積の割合であることができる。一実施形態によると、本体のフラッシング率(f)は少なくとも約10%であることができる。別の実施形態では、フラッシング率はそれより大きく、例えば少なくとも約12%、例えば少なくとも約14%、少なくとも約16%、少なくとも約18%、またはさらには少なくとも約20%であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、本体のフラッシング率は制御でき、約45%以下、例えば約40%以下、またはさらには約36%以下であってよい。本体のフラッシング率は、上述した任意の最小割合から最大割合の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記のフラッシング率は成形研磨粒子のバッチについての平均フラッシング率または中央フラッシング率を表すことができると理解されよう。
【0071】
フラッシング率は
図8Cに示されるように、その側面を下にして成形研磨粒子を設置して、本体を横から見て白黒画像を生成することにより測定され得る。フラッシングの計算を含む画像の生成および分析に好適プログラムはImageJソフトウェアであることができる。フラッシング率は、中心890およびボックス888および889内の面積を含む、側面で見られる本体の全面積(斜線部全面積)に対する、ボックス888および889内の本体801の面積を決定することにより計算され得る。このような手順は、粒子の好適なサンプリングのために行われて、平均値、中央値および/または標準偏差値を得ることができる。
【0072】
本明細書の実施形態による成形研磨粒子のバッチは、好適なサンプルサイズからの寸法特性の標準偏差により測定される改善された寸法均一性を示し得る。一実施形態によると、成形研磨粒子は、バッチからの好適なサンプルサイズの粒子についてのフラッシング率(f)の標準偏差として計算され得る、フラッシング変動(Vf)を有することができる。一実施形態によると、フラッシング変動は、約5.5%以下、例えば、約5.3%以下、約5%以下または約4.8%以下、約4.6%以下またはさらには約4.4%以下であることができる。非限定的な一実施形態において、フラッシング変動(Vf)は少なくとも約0.1%であることができる。フラッシング変動は、上述した任意の最小割合から最大割合の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0073】
本明細書における実施形態の成形研磨粒子は、少なくとも4000の高さ(hi)とフラッシングの乗数値(hiF)を有することができる。ここで、hiF=(hi)(f)であり、「hi」は上記のような本体の最小内側高さを表し、「f」はフラッシング率を表す。特定の例では、本体の高さとフラッシングの乗数値(hiF)はそれより大きく、例えば、少なくとも約4500ミクロン%、少なくとも約5000ミクロン%、少なくとも約6000ミクロン%、少なくとも約7000ミクロン%またはさらには少なくとも約8000ミクロン%であることができる。さらに、非限定的な一実施形態では、高さとフラッシングの乗数値は、約45000ミクロン%以下、例えば、約30000ミクロン%以下、約25000ミクロン%以下、約20000ミクロン%以下またはさらには約18000ミクロン%以下であることができる。本体の高さとフラッシングの乗数値は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記の乗数値は成形研磨粒子のバッチについての中央乗数値(MhiF)を表すことができると理解されよう。
【0074】
本明細書における実施形態の成形研磨粒子は、等式dF=(d)(F)で計算されるディッシング(d)とフラッシング(F)の乗数値(dF)を有することができる。dFは、約90%以下であり、「d」はディッシング値を表し「f」は本体のフラッシング率を表す。特定の例において、本体のディッシング(d)とフラッシング(F)の乗数値(dF)は、約70%以下、例えば約60%以下、約55%以下、約48%以下、約46%以下であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、ディッシング(d)とフラッシング(F)の乗数値(dF)は少なくとも約10%、例えば少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約22%、少なくとも約24%またはさらには少なくとも約26%であることができる。本体のディッシング(d)とフラッシング(F)の乗数値(dF)は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記の乗数値は成形研磨粒子のバッチについての中央乗数値(MdF)を表すことができると理解されよう。
【0075】
本明細書における実施形態の成形研磨粒子は、等式hi/d=(hi)/(d)として計算される高さとディッシングの比(hi/d)を有することができる。hi/dは約1000以下であり、「hi」は上述のような最小内側高さを表し、「d」は本体のディッシングを表す。特定の例において、本体の比(hi/d)は約900ミクロン以下、約800ミクロン以下、約700ミクロン以下またはさらには約650ミクロン以下であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、比(hi/d)は少なくとも約10ミクロン、例えば少なくとも約50ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約250ミクロンまたはさらには少なくとも約275ミクロンであることができる。本体の比(hi/d)は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、上記の高さとディッシングの比は成形研磨粒子のバッチについての高さとディッシングの比の中央値(Mhi/d)を表すことができると理解されよう。
【0077】
図1Aは、一実施形態による研磨物品の一部の平面図である。図示されているように、研磨物品100は裏材101を含むことができる。裏材101としては有機材料、無機材料およびこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の場合には、裏材101としては織布材料を挙げることができる。しかし、裏材101は不織布材料でできていてもよい。特に好適な裏地材料としては、ポリマー類を含む有機材料、詳細には、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリイミド、例えば、デュポン社製KAPTON、および紙を挙げることができる。いくつかの好適な無機材料としては、金属、合金、詳細には、銅、アルミニウム、鋼およびこれらの組み合わせの箔を挙げることができる。研磨物品100は、本明細書でさらに詳細に記述される、例えば接着剤層(例えば、メイクコート、サイズコート、フロントフィル等)等のその他の構成要素を含むことができると理解されよう。
【0078】
さらに図示されるように、研磨物品100は、裏材101の上を覆う、より詳細には裏材101に結合される成形研磨粒子102を含むことができる。とりわけ、成形研磨粒子102は裏材101の第1の所定位置112に配置され得る。さらに図示されるように、研磨物品100は、第2の所定位置113にて裏材101の上を覆うことができる、より詳細には裏材101に結合できる成形研磨粒子103をさらに含むことができる。研磨物品100は、第3の所定位置114にて裏材101の上を覆い、より詳細には裏材101に結合される成形研磨粒子104をさらに含むことができる。さらに
図1Aに図示されるように、研磨物品100は、第4の所定位置115にて裏材101の上を覆い、より詳細には裏材101に結合される成形研磨粒子105をさらに含むことができる。さらに図示されるように、研磨物品100は、第5の所定位置116にて裏材101の上を覆い、より詳細には裏材101に結合される成形研磨粒子をさらに含むことができる。本明細書に記載される任意の成形研磨粒子は本明細書に記載されるような1つ以上の接着剤層を介して裏材101に結合され得ると理解されよう。
【0079】
一実施形態によると、成形研磨粒子102は、第1の組成物を有することができる。例えば、第1の組成物としては結晶性材料を挙げることができる。特定の一実施形態において、第1の組成物としてはセラミック材料、例えば、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物、酸炭化物およびこれらの組み合わせを挙げることができる。より詳細には、第1の組成物は、本質的に酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物、酸炭化物およびこれらの組み合わせからなってもよいように、本質的にセラミックからなってもよい。さらに、代替的実施形態では、第1の組成物としては超砥粒材料を挙げることができる。さらにその他の実施形態では、第1の組成物としては単相材料を挙げることができ、より詳細には本質的に単相材料からなってもよい。とりわけ、第1の組成物は単相多結晶性材料であってよい。特定の例では、第1の組成物は限定された結合剤含有量を有してよいため、第1の組成物は約1%以下の結合剤材料を有してもよい。いくつかの好適な例示的結合剤材料としては、有機材料、より詳細には、ポリマー含有化合物を挙げることができる。さらに、第1の組成物は結合剤材料を本質的に含まないことができ、有機材料を本質的に含まないことができる。一実施形態によれば、第1の組成物はアルミナを含むことができ、より詳細には本質的にアルミナ、例えば、αアルミナからなってもよい。
【0080】
さらに別の実施形態において、成形研磨粒子102は、少なくとも2つの異なる種類の砥粒を本体に含む複合材料であることができる第1の組成物を有することができる。異なる種類の砥粒は互いに異なる組成を有する砥粒であると理解されよう。例えば、本体は少なくとも2つの異なる種類の砥粒を含むように形成することができ、ここで2つの異なる種類の砥粒は窒化物、酸化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、酸ホウ化物、ダイヤモンドおよびこれらの組み合わせであることができる。
【0081】
一実施形態では、第1の組成物はドーパント材料を含んでもよく、ドーパント材料は少量で存在する。いくつかの好適な例示的ドーパント材料としては、アルカリ元素、アルカリ土類元素、希土類元素、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、タンタル、モリブデン、バナジウムまたはこれらの組み合わせ等の元素または化合物を挙げることができる。特定の一実施形態において、ドーパント材料としては、元素、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セシウム、プラセオジム、ニオビウム、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、バナジウム、クロム、コバルト、鉄、ゲルマニウム、マンガン、ニッケル、チタン、亜鉛、およびこれらの組み合わせを含む元素または化合物が挙げられる。
【0082】
第2の成形研磨粒子103は第2の組成物を有し得る。特定の例では、第2の成形研磨粒子103の第2の組成物は実質的に第1の成形研磨粒子102の第1の組成物と同じであってよい。より詳細には、第2の組成物は第1の組成物と本質的に同じであってよい。さらに、代替的実施形態では、第2の成形研磨粒子103の第2の組成物は第1の成形研磨粒子102の第1の組成物と顕著に異なっていてよい。第2の組成物としては第1の組成物に基づいて記述される物質、元素および化合物のいずれかを挙げることができると理解されよう。
【0083】
一実施形態によると、さらに
図1Aに図示されるように、第1の成形研磨粒子102および第2の成形研磨粒子103は互いに対して所定の分布にて配置されてよい。
【0084】
所定の分布は、意図的に選択される裏材の所定の位置の組み合わせにより定義され得る。所定の分布は、所定の位置が二次元アレイを規定できるようにパターンを含むことができる。アレイは成形研磨粒子の単位により規定される短距離秩序を含むことができる。アレイはまた、配置が対称かつ/または予測可能であることができるように、共に連結される規則的な繰り返し単位を含む長距離秩序を有するパターンであってもよい。アレイは数学式により予測可能な秩序を有してもよい。二次元アレイは多角形、省略、装飾用表示、製品表示または他のデザインの形状に形成することができると理解されよう。
【0085】
所定の分布はさらに非シャドウイング配置を含むことができる。非シャドウイング配置としては、制御された不均一分布、制御された均一分布およびこれらの組み合わせを挙げてよい。特定の例では、非シャドウイング配置としては、放射状パターン、らせん状パターン、葉序パターン、非対称パターン、自己排除ランダム分布、自己排除ランダム分布およびこれらの組み合わせを挙げてもよい。非シャドウイング配置は、研磨粒子(すなわち、成形研磨粒子および/または希釈粒子(diluent particles))の互いに対する特定の配置を含み、ここで材料除去操作の初期段階中の研磨粒子の重複度は、約25%以下、例えば約20%以下、約15%以下、約10%以下、またはさらには約5%以下である。特定の例では、非シャドウイング配置は、研磨粒子の分布を含んでもよく、材料除去操作の初期段階中に加工品と係合する際に、研磨粒子の一部(例えば、裏材における成形研磨粒子すべてのうちの少数、裏材における成形研磨粒子すべてのうちの過半数、またはさらには本質的にすべて)は加工品の表面の異なる領域と係合する。非シャドウイング配置は、互いに対して、かつ本明細書における実施形態に記載されるような研削方向に関して成形研磨粒子の特定の分布を利用してよい。研磨粒子の非シャドウイング配置を活用した研磨物品の利用により、従来のパターン配置(すなわち、シャドウイング配置)を使用する他の研磨物品に勝る改善された研削性能を促すことができ、またその他の望ましくない効果、例えば、操作中の研磨物品の方向転換を制限できる。
【0086】
所定の分布は、部分的に、実質的に、または完全に対称であることができる。所定の分布は研磨物品全体を覆うことができるか、研磨物品全体を実質的に覆うことができる(すなわち、50%超100%未満)か、研磨物品の複数の部分を覆うことができるか、または研磨物品の一部を覆うことができる(すなわち、物品の表面積の50%未満)。本発明で使用する場合、「葉序パターン」とは、葉序に関連したパターンを意味する。葉序とは多くの種類の植物における葉、花、芽鱗、小花および種等の側生器官の構造である。多くの葉序パターンは、弧、らせんおよび渦状紋を有する目立つパターンが自然発生する現象により際立つ。ヒマワリの頭の種のパターンはこの現象の一例である。
【0087】
さらに、一実施形態によると、非シャドウイング配置はマイクロ単位を含むことができ、これは成形研磨粒子の互いに対する最小配置として定義されてよい。マイクロ単位は、研磨物品表面の少なくとも一部にて複数回繰り返されてよい。非シャドウイング配置はさらにマクロ単位を含んでよく、これは複数のマイクロ単位を含むことができる。特定の例では、マクロ単位は、互いに対して所定の分布にて配置され、非シャドウイング配置で複数回繰り返される複数のマイクロ単位を有し得る。本明細書における実施形態の研磨物品は1つ以上のマイクロ単位を含むことができる。また、本明細書における実施形態の研磨物品は1つ以上のマクロ単位を含むことができると理解されよう。特定の実施形態では、マクロ単位は予測可能な秩序を有する均一分布にて配置されてよい。さらに、他の例では、マクロ単位は不均一分布で配置されてよく、これは、予測可能な長距離または短距離秩序を有しない無秩序分布を含んでよい。
【0088】
ここで簡単に
図25〜27を参照すると、さまざまな非シャドウイング配置が図示されている。特に、
図25は、非シャドウイング配置の図示であり、位置2501は、1つ以上の成形研磨粒子、希釈粒子およびこれらの組み合わせが占める所定の位置を表す。位置2501は図示されるようなX軸およびY軸上の位置として定義されてよい。さらに、位置2506および2507はマイクロ単位2520を規定できる。さらに2506および2509はマイクロ単位2521を規定できる。さらに図示されるように、マイクロ単位は物品の少なくとも一部の表面で繰り返されてよく、マクロ単位2530を規定できる。特定の例では、成形研磨粒子の位置を表す位置2501は、Y軸に平行な研削方向に対して非シャドウイング配置で配置される。
【0089】
図26は、非シャドウイング配置の図示であり、複数の位置(X軸およびY軸上の点として示される)は、1つ以上の成形研磨粒子、希釈粒子およびこれらの組み合わせが占める所定の位置を表す。一実施形態において、位置2601および2602はマイクロ単位2620を規定できる。さらに位置2603、2604および2605はマイクロ単位2621を規定できる。さらに図示されるように、マイクロ単位は物品の少なくとも一部の表面で繰り返されてよく、マクロ単位2630を規定できる。図示されているように、他のマクロ単位が存在してもよいことが理解されよう。特定の例において、成形研磨粒子の位置を表す位置2601は、Y軸またはX軸に平行な研削方向に対して非シャドウイング配置で配置される。
【0090】
図27は、非シャドウイング配置の図示であり、複数の位置(X軸およびY軸上の点として示される)は、1つ以上の成形研磨粒子、希釈粒子およびこれらの組み合わせが占める所定の位置を表す。一実施形態において、位置2701および2702はマイクロ単位2720を規定できる。さらに位置2701および2703はマイクロ単位2721を規定できる。さらに図示されるように、マイクロ単位は物品の少なくとも一部の表面で繰り返されてよく、マクロ単位2730を規定できる。特定の例では、成形研磨粒子の位置を表す位置はすべて、Y軸またはX軸に平行な研削方向に対して非シャドウイング配置で配置される。
【0091】
成形研磨粒子間の所定の分布はさらに、成形研磨粒子それぞれの所定の配向特性のうち少なくとも1つにより定義できる。例示的な所定の配向特性として、所定の回転配向、所定の横方向配向、所定の縦方向配向、所定の垂直配向、所定の先端高さおよびこれらの組み合わせを挙げることができる。裏材101は、裏材101の長さに沿って延び、これを規定する縦軸180および裏材101の幅に沿って延び、これを規定する横軸181によって規定され得る。
【0092】
一実施形態によると、成形研磨粒子102は、裏材101の横軸181に対する特定の第1の横方向位置によって規定される第1の所定の位置112に位置することができる。さらに、成形研磨粒子103は、裏材101の横軸181に対する第2の横方向位置により規定される第2の所定の位置を有し得る。とりわけ、成形研磨粒子102および103は、裏材101の横軸181に平行な横方向平面184に沿って測定したときの2つの隣接する成形研磨粒子102と103との間の最小距離として定義される、横方向空間121により互いに離間されてよい。一実施形態によると、横方向空間121は0より大きくなり得るため、いくらかの距離が成形研磨粒子102と103との間に存在する。しかし、図示されてはないが、横方向空間121は0であることができ、隣接する成形研磨粒子が接触し、部分的に重なり合いさえすることができる。
【0093】
その他の実施形態では、横方向空間121は少なくとも約0.1(w)であることができ、ここでwは成形研磨粒子102の幅を表す。一実施形態によると、成形研磨粒子の幅は側面に沿って延びる本体の最長寸法である。別の実施形態では、横方向空間121は、少なくとも約0.2(w)、例えば少なくとも約0.5(w)、少なくとも約1(w)、少なくとも約2(w)、またはそれ以上であることができる。さらに、少なくとも1つの非限定的実施形態では、横方向空間121は約100(w)以下、約50(w)以下またはさらには約20(w)以下であることができる。横方向空間121は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。隣接する成形研磨粒子間の横方向空間の制御により、研磨物品の改善された研削性能を促すことができる。
【0094】
一実施形態によると、成形研磨粒子102は、裏材101の縦軸180に対する第1の縦方向位置によって規定される第1の所定の位置112に位置することができる。さらに、成形研磨粒子104は、裏材101の縦軸180に対する第2の縦方向位置によって規定される第3の所定の位置114に位置することができる。さらに図示されるように、縦方向空間123が成形研磨粒子102と104との間に存在してよく、これは縦軸180に平行な方向で測定したときの2つの隣接する成形研磨粒子102と104の間の最小距離によって定義され得る。一実施形態によると、縦方向空間123は0より大きくなり得る。さらに、図示されてはいないが、縦方向空間123は0であることができるため、隣接する成形研磨粒子は接触するかまたは互いに重なり合いすらすることが理解されよう。
【0095】
その他の場合、縦方向空間123は少なくとも約0.1(w)であることができ、ここでwは本明細書に記載されるような成形研磨粒子の幅を表す。他のさらなる特定の例では、縦方向空間は、少なくとも約0.2(w)、少なくとも約0.5(w)、少なくとも約1(w)、または少なくとも約2(w)であることができる。さらに、縦方向空間123は約100(w)以下、例えば約50(w)以下、またはさらには約20(w)以下であってよい。縦方向空間123は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。隣接する成形研磨粒子間の縦方向空間の制御により、研磨物品の改善された研削性能を促すことができる。
【0096】
一実施形態によると、成形研磨粒子は所定の分布に配置されてよく、ここで特定の関係が横方向空間121と縦方向空間123との間に存在する。例えば、一実施形態では、横方向空間121は縦方向空間123より大きくなり得る。さらに、別の非限定的な実施形態において、縦方向空間123は横方向空間121よりも大きくてもよい。さらに、さらなる別の実施形態において、成形研磨粒子は、横方向空間121および縦方向空間123が互いに本質的に同一になるように裏材に配置されてもよい。縦方向空間と横方向空間との相対的な関係の制御により改善された研削性能を促すことができる。
【0097】
さらに図示されるように、縦方向空間124が成形研磨粒子104と105との間に存在してよい。また、所定の分布は、特定の関係が縦方向空間123と縦方向空間124との間に存在できるように形成されてもよい。例えば、縦方向空間123は、縦方向空間124とは異なり得る。あるいは、縦方向空間123は縦方向空間124で本質的に同一であることができる。異なる成形研磨粒子間の縦方向空間の相対的差異の制御により、研磨物品の改善された研削性能を促すことができる。
【0098】
さらに、成形研磨粒子の研磨物品100における所定の分布は、横方向空間121が横方向空間122に対して特定の関係を有し得るようにすることができる。例えば、一実施形態では、横方向空間121は縦方向空間122と本質的に同じであることができる。あるいは、成形研磨粒子の研磨物品100における所定の分布は、横方向空間121が横方向空間122とは異なるように制御できる。異なる成形研磨粒子間の縦方向空間の相対的差異の制御により、研磨物品の改善された研削性能を促すことができる。
【0099】
図1Bは、一実施形態による研磨物品の一部の側面図である。図示されているように、研磨物品100は、裏材101の上を覆う成形研磨粒子102と、裏材101の上を覆う成形研磨粒子102から離間された成形研磨粒子104とを含むことができる。一実施形態によると、成形研磨粒子102は接着剤層151を介して裏材101に結合され得る。さらにまたは代替的に、成形研磨粒子102は接着剤層152を介して裏材101に結合され得る。本明細書に記載される成形研磨粒子のいずれかは本明細書に記載されるような1つ以上の接着剤層を介して裏材101に結合され得ると理解されよう。
【0100】
一実施形態によると、研磨物品100は裏材の上を覆う接着剤層151を含むことができる。一実施形態によると、接着剤層151はメイクコートを含むことができる。メイクコートは裏材101の表面の上を覆い、成形研磨粒子102および104の少なくとも一部を取り囲むことができる。本明細書における実施形態の研磨物品は、接着剤層151および裏材101の上を覆い、成形研磨粒子102および104の少なくとも一部を取り囲む接着剤層152をさらに含むことができる。接着剤層152は特定の場合にサイズコートであってもよい。
【0101】
ポリマー配合物を使用して、研磨物品の任意の種々の接着剤層151または152を形成してよく、これはフロントフィル、プレサイズコート、メイクコート、サイズコートおよび/またはスーパーサイズコートを含むことができるがこれらに限定されない。フロントフィルを形成するために使用される場合、ポリマー配合物は一般的に、ポリマー樹脂、フィブリル化繊維(好ましくはパルプの形態)、充填材料、およびその他の任意の添加剤を含み得る。いくつかのフロントフィルの実施形態に好適な配合物は、フェノール樹脂、ウォラストナイト充填剤、消泡剤、界面活性剤、フィブリル化繊維および残部の水等の材料を含み得る。好適なポリマー樹脂材料としては、フェノール樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/ラテックス樹脂、およびこれらの樹脂の組み合わせを含む熱硬化性樹脂から選択される硬化性樹脂が挙げられる。その他の好適なポリマー樹脂材料としてはさらに、放射線硬化性樹脂、例えば、電子ビーム、紫外放射線または可視光を使用して硬化可能な樹脂、例えば、エポキシ樹脂、アクリレート化エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート化ウレタンおよびポリエステルアクリレートのアクリレート化オリゴマー、ならびにモノアクリレート化モノマーおよび多アクリレート化モノマーを含むアクリレート化モノマーも挙げられる。配合物はまた、浸食性を向上させることによって堆積された研磨複合材料の自己研磨特性を向上させることができる非反応性熱可塑性樹脂結合剤を含むこともできる。このような熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリオキシプロピレン−ポリオキシエテンブロックコポリマー等が挙げられる。裏材へのフロントフィルの使用によって、好適なメイクコートの適用ならびに所定の配向における成形研磨粒子の改善された適用および配向のために、表面の均一性を改善できる。
【0102】
接着剤層151および152のいずれかが単一のプロセスで裏材101の表面に適用することができるか、あるいは、成形研磨粒子102および104は接着剤層151または152のうち一方の材料と組み合わせて、混合物として裏材101の表面に適用され得る。メイクコートとして使用するための接着剤層151の好適な材料としては、有機材料、特にポリマー材料、例えばポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリシロキサン、シリコーン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、天然ゴム、デンプン、セラックおよびこれらの混合物等を挙げることができる。一実施形態では、接着剤層151はポリエステル樹脂を含むことができる。コーティングされた裏材101は次いで、樹脂および研磨粒子材料を基材に対して硬化させるために加熱することができる。一般的に、コーティングされた裏材101はこの硬化プロセス中に約100℃から250℃未満の温度まで加熱することができる。
【0103】
接着剤層152は研磨物品上に形成してよく、これはサイズコートの形態であってよい。特定の実施形態では、接着剤層152は、裏材101に対して所定位置にて成形研磨粒子102および104を覆い結合するように形成されるサイズコートであることができる。接着剤層152は有機材料を含むことができ、本質的にポリマー材料から製造されてよく、とりわけ、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリシロキサン、シリコーン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、天然ゴム、デンプン、セラックおよびこれらの混合物を使用することができる。
【0104】
図示されてはないが、研磨物品は成形研磨粒子104および105とは異なる希釈研磨粒子を含むことができることが理解されよう。例えば、希釈粒子は成形研磨粒子102および104とは組成、二次元形状、三次元形状、サイズおよびこれらの組み合わせが異なることができる。例えば、研磨粒子507は無秩序な形状を有する従来の粉砕された研磨グリットを表すことができる。研磨粒子507は成形研磨粒子505の中央粒径値未満の中央粒径値を有し得る。
【0105】
さらに図示されるように、成形研磨粒子102は裏材101に対して側面配向にて配向され得、成形研磨粒子102の側面171は、裏材101と直接接触することができるか、または少なくとも裏材101の上面に最も近接した成形研磨粒子102の表面であることができる。一実施形態によると、成形研磨粒子102は、成形研磨粒子102の主表面172と裏材101の主表面161との間の傾斜角(A
T1)136により定義される垂直配向を有することができる。傾斜角136は成形研磨粒子102の表面172と裏材101の上面161との間の最小角度または鋭角として定義され得る。一実施形態によると、成形研磨粒子102は所定の垂直配向を有する位置に配置され得る。一実施形態によると、傾斜角136は少なくとも約2°、例えば、少なくとも約5°、少なくとも約10°、少なくとも約15°、少なくとも約20°、少なくとも約25°、少なくとも約30°、少なくとも約35°、少なくとも約40°、少なくとも約45°、少なくとも約50°、少なくとも約55°、少なくとも約60°、少なくとも約70°、少なくとも約80°、またはさらには少なくとも約85°であることができる。さらに、傾斜角136は約90°以下、例えば約85°以下、約80°以下、約75°以下、約70°以下、約65°以下、約60°以下、例えば約55°以下、約50°以下、約45°以下、約40°以下、約35°以下、約30°以下、約25°以下、約20°以下、例えば約15°以下、約10°以下、またはさらには約5°以下であってよい。傾斜角136は、上述した任意の最小角度から最大角度の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0106】
さらに図示されるように、研磨物品100は側面配向にて成形研磨粒子104を含むことができ、成形研磨粒子104の側面171は、裏材101の上面161と直接接触するかまたは最も近接する。一実施形態によると、成形研磨粒子104は、成形研磨粒子104の主表面172と裏材101の上面161との間の角度を定義する第2の傾斜角(A
T2)137により定義される垂直配向を有する位置にあることができる。傾斜角137は成形研磨粒子104の主表面172と裏材101の上面161との間の最小角度として定義されてよい。さらに傾斜角137は少なくとも約2°、例えば、少なくとも約5°、少なくとも約10°、少なくとも約15°、少なくとも約20°、少なくとも約25°、少なくとも約30°、少なくとも約35°、少なくとも約40°、少なくとも約45°、少なくとも約50°、少なくとも約55°、少なくとも約60°、少なくとも約70°、少なくとも約80°、またはさらには少なくとも約85°の値を有することができる。さらに、傾斜角136は約90°以下、例えば約85°以下、約80°以下、約75°以下、約70°以下、約65°以下、約60°以下、例えば約55°以下、約50°以下、約45°以下、約40°以下、約35°以下、約30°以下、約25°以下、約20°以下、例えば約15°以下、約10°以下、またはさらには約5°以下であってよい。傾斜角136は、上述した任意の最小角度から最大角度の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0107】
一実施形態によると、成形研磨粒子102は、成形研磨粒子104の所定の垂直配向と同じ所定の垂直配向を有することができる。あるいは、研磨物品100は、成形研磨粒子102の所定の垂直配向が成形研磨粒子104の所定の垂直配向とは異なることができるように形成されてもよい。
【0108】
一実施形態によると、成形研磨粒子102および104は、これらが垂直配向の差により定義される異なる所定の垂直配向を有するように配置されてもよい。垂直配向の差は、傾斜角136と傾斜角137との差の絶対値であることができる。一実施形態によると、垂直配向の差は少なくとも約2°、例えば、少なくとも約5°、少なくとも約10°、少なくとも約15°、少なくとも約20°、少なくとも約25°、少なくとも約30°、少なくとも約35°、少なくとも約40°、少なくとも約45°、少なくとも約50°、少なくとも約55°、少なくとも約60°、少なくとも約70°、少なくとも約80°、またはさらには少なくとも約85°であることができる。さらに、垂直配向の差は約90°以下、例えば約85°以下、約80°以下、約75°以下、約70°以下、約65°以下、約60°以下、例えば約55°以下、約50°以下、約45°以下、約40°以下、約35°以下、約30°以下、約25°以下、約20°以下、例えば約15°以下、約10°以下、またはさらには約5°以下であってよい。垂直配向の差は任意の最小角度から最大角度の範囲内にあり得ることが理解されよう。研磨物品100の成形研磨粒子間の垂直配向の差の制御により、改善された研削性能を促すことができる。
【0109】
さらに図示されるように、成形研磨粒子は所定の先端高さを有するように裏材に配置され得る。例えば、成形研磨粒子102の所定の先端高さ(h
T1)138は、裏材の上面161と成形研磨粒子102の最上面143との最長距離であることができる。特に、成形研磨粒子102の所定の先端高さ138は、成形研磨粒子102が延びる裏材の上面161から上の最長距離を定義することができる。さらに図示されるように、成形研磨粒子104は、裏材101の上面161と成形研磨粒子104の最上面144との間の距離として定義される所定の先端高さ(h
T2)139を有することができる。測定はX線、共焦点顕微鏡CT、マイクロメジャー(micromeasure)、白色光干渉法およびこれらの組み合わせによって行われてよい。
【0110】
一実施形態によると、成形研磨粒子102は、成形研磨粒子104の所定の先端高さ139とは異なり得る所定の先端高さ138を有するように裏材101に配置され得る。とりわけ、所定の先端高さの差(Δh
T)は平均先端高さ138と平均先端高さ139との間の距離として定義され得る。一実施形態によると、所定の先端高さの差は少なくとも約0.01(w)であることができ、ここで(w)は本明細書に記載されるような成形研磨粒子の幅を表す。他の例では、先端高さの差は少なくとも約0.05(w)、少なくとも約0.1(w)、少なくとも約0.2(w)、少なくとも約0.4(w)、少なくとも約0.5(w)、少なくとも約0.6(w)、少なくとも約0.7(w)、またはさらには少なくとも約0.8(w)であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、先端高さの差は約2(w)以下であることができる。先端高さの差は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。研磨物品100の成形研磨粒子間の平均先端高さ、より詳細には平均先端高さの差の制御により改善された研削性能を促すことができる。
【0111】
平均先端高さの差を有する成形研磨粒子についてここでは言及しているが、研磨物品の成形研磨粒子は、成形研磨粒子間の平均先端高さに本質的に差がないように同じ平均先端高さを有してもよいと理解されよう。例えば、本明細書に記載されるように、ある群の成形研磨粒子は、その群の成形研磨粒子それぞれの垂直先端高さが実質的に同じであるように研磨物品に配置されてよい。
【0112】
図1Cは、一実施形態による研磨物品の一部の断面図である。図示されているように、成形研磨粒子102および104は裏材101に対して平坦配向で配向され得、成形研磨粒子102および104の主表面174の少なくとも一部、特に最大表面積を有する主表面(すなわち、上部主表面172とは反対側の底面174)が裏材101と直接接触できる。あるいは、平坦配向では、主表面174の一部は裏材101と直接接触していなくてもよいが、成形研磨粒子の裏材101の上面161に最も近接した表面であることができる。
【0113】
図1Dは、一実施形態による研磨物品の一部の断面図である。図示されているように、成形研磨粒子102および104は裏材101に対して反転配向で配向され得、成形研磨粒子102および104の主表面172の少なくとも一部(すなわち、上部主表面172)が裏材101と直接接触できる。あるいは、反転配向では、主表面172の一部は裏材101と直接接触していなくてもよいが、成形研磨粒子の裏材101の上面161に最も近接した表面であることができる。
【0114】
図2Aは、一実施形態による成形研磨粒子の一部の上面図である。図示されているように、研磨物品は、裏材101の幅を規定しかつ縦軸181に垂直な横軸181に対する第1の回転配向を有する第1の位置にて裏材101の上を覆う成形研磨粒子102を含むことができる。特に、成形研磨粒子102は、横軸181と平行な横方向平面184と成形研磨粒子102の寸法との間の第1の回転角度により規定される所定の回転配向を有することができる。とりわけ、本明細書における寸法への言及は、裏材101に(直接または間接的に)結合される表面(例えば、側面または縁部)に沿った成形研磨粒子102の中心点221を通って延びる成形研磨粒子の二等分軸231への言及であることができる。したがって、側面配向で配置される成形研磨粒子(
図1B参照)との関係においては、二等分軸231は、中心点221を通り、裏材101の表面181に最も近接する側面171の幅(w)方向に延びる。さらに、所定の回転配向は中心点221を通って延びる横方向平面184との最小角度201として定義され得る。
図2Aに図示したように、成形研磨粒子102は、二等分軸231と横方向平面184との間の最小角度として定義される所定の回転角度を有することができる。一実施形態によると、回転角度201は0°であることができる。他の実施形態において、回転角度はそれより大きくてもよく、例えば、少なくとも約2°、少なくとも約5°、少なくとも約10°、少なくとも約15°、少なくとも約20°、少なくとも約25°、少なくとも約30°、少なくとも約35°、少なくとも約40°、少なくとも約45°、少なくとも約50°、少なくとも約55°、少なくとも約60°、少なくとも約70°、少なくとも約80°、またはさらには少なくとも約85°であることができる。さらに、さらに、回転角度201によって定義される所定の回転配向は約90°以下、例えば約85°以下、約80°以下、約75°以下、約70°以下、約65°以下、約60°以下、例えば約55°以下、約50°以下、約45°以下、約40°以下、約35°以下、約30°以下、約25°以下、約20°以下、例えば約15°以下、約10°以下、またはさらには約5°以下であってよい。所定の回転配向は任意の最小角度から最大角度の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0115】
さらに
図2Aに図示されるように、成形研磨粒子103は、裏材101の上を覆い、所定の回転配向を有する位置113にあることができる。とりわけ、成形研磨粒子103の所定の回転配向は、横軸181と平行な横方向平面184と、成形研磨粒子102の中心点222を通って裏材101の表面181に最も近接した側面の幅(w)方向に延びる成形研磨粒子103の二等分軸232により定義される寸法との間の最小角度として特徴付けることができる。一実施形態によると、回転角度208は0°であることができる。他の実施形態において、回転角度208はそれより大きくてもよく、例えば、少なくとも約2°、少なくとも約5°、少なくとも約10°、少なくとも約15°、少なくとも約20°、少なくとも約25°、少なくとも約30°、少なくとも約35°、少なくとも約40°、少なくとも約45°、少なくとも約50°、少なくとも約55°、少なくとも約60°、少なくとも約70°、少なくとも約80°、またはさらには少なくとも約85°であることができる。さらに、回転角度208によって定義される所定の回転配向は、約90°以下、例えば約85°以下、約80°以下、約75°以下、約70°以下、約65°以下、約60°以下、例えば約55°以下、約50°以下、約45°以下、約40°以下、約35°以下、約30°以下、約25°以下、約20°以下、例えば約15°以下、約10°以下、またはさらには約5°以下であってよい。所定の回転配向は任意の最小角度から最大角度の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0116】
一実施形態によると、成形研磨粒子102は、回転角度208によって定義される成形研磨粒子103の所定の回転配向とは異なる、回転角度201によって定義される所定の回転配向を有することができる。特に、成形研磨粒子102と103間の回転角度201と回転角度208との差は、所定の回転配向の差を定義することができる。特定の例では、所定の回転配向の差は0°であることができる。他の例では、任意の2つの成形研磨粒子間の所定の回転配向の差はそれより大きくてもよく、例えば、少なくとも約1°、少なくとも約3°、少なくとも約5°、少なくとも約10°、少なくとも約15°、少なくとも約20°、少なくとも約25°、少なくとも約30°、少なくとも約35°、少なくとも約40°、少なくとも約45°、少なくとも約50°、少なくとも約55°、少なくとも約60°、少なくとも約70°、少なくとも約80°、またはさらには少なくとも約85°であることができる。さらに、任意の2つの成形研磨粒子間の所定の回転配向の差は約90°以下、例えば約85°以下、約80°以下、約75°以下、約70°以下、約65°以下、約60°以下、例えば約55°以下、約50°以下、約45°以下、約40°以下、約35°以下、約30°以下、約25°以下、約20°以下、例えば約15°以下、約10°以下、またはさらには約5°以下であってよい。所定の回転配向の差は任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0117】
図2Bは、一実施形態による成形研磨粒子を含む研磨物品の一部の斜視図である。図示されているように、研磨物品は、裏材101の幅を規定する横軸181に対して第1の回転配向を有する第1の位置112にて、裏材101の上を覆う成形研磨粒子102を含むことができる。成形研磨粒子の所定の配向特性の特定の態様は、図示されるようにx、y、zの三次元軸に対する関係で記述されてよい。例えば、成形研磨粒子102の所定の縦方向配向は、裏材101の縦軸180に平行に延びるy軸上の成形研磨粒子の位置によって規定されてよい。さらに、成形研磨粒子102の所定の縦方向配向は、裏材101の横軸181に平行に延びるx軸上の成形研磨粒子の位置によって規定されてよい。さらに、成形研磨粒子102の所定の回転配向は、横軸181に平行な軸または平面に対応するx軸と、裏材101に(直接または間接的に)結合される成形研磨粒子102の側面171の中心点221を通って延びる成形研磨粒子102の二等分軸231との間の回転角度102にとして定義されてよい。概して図示されているように、成形研磨粒子102はさらに、本明細書に記載されるように所定の垂直配向および所定の先端高さを有することができる。とりわけ、本明細書に記載される所定の配向特性の制御を容易にする制御された複数の成形研磨粒子の配置は非常に複雑なプロセスであり、これは当産業においてこれまで検討も展開もされたことがない。
【0118】
説明を単純にするために、本明細書における実施形態は、X、YおよびZ方向により規定される平面に対する特定の特徴に言及する。しかしながら、研磨物品は、その他の形状(例えば、楕円状または輪状の幾何形状を規定するコーティングされた研磨材ベルトまたは環状形状の裏材を有するコーティングされた研磨材サンドディスク)を有することができることが理解され検討されよう。本明細書における特徴の説明は研磨物品の平面構造に限定されず、本明細書に記載されている特徴はいかなる幾何形状の研磨物品にも適用できる。裏材が円形幾何形状を有する場合では、縦軸および横軸は裏材の中心点を通って延び、互いに直交関係を有する2つの直径であることができる。
【0119】
図3Aは、一実施形態による研磨物品300の一部の平面図である。図示されているように、研磨物品300は成形研磨粒子311、312、313および314(311〜314)を含む成形研磨粒子の第1の群301を含むことができる。本明細書で使用する場合、群とは、成形研磨粒子それぞれに対して同一の所定の配向特性を少なくとも1つ(または組み合わせて)有する複数の成形研磨粒子を意味することができる。例示的な所定の配向特性として、所定の回転配向、所定の横方向配向、所定の縦方向配向、所定の垂直配向および所定の先端高さを挙げることができる。例えば、第1の群301の成形研磨粒子は、互いに対して実質的に同じ所定の回転配向を有する複数の成形研磨粒子を含む。さらに図示されるように、研磨物品300は、例えば成形研磨粒子321、322、323および324(321〜324)を含む複数の成形研磨粒子を含む別の群303を含むことができる。図示されているように、群303は同じ所定の回転配向を有する複数の成形研磨粒子を含むことができる。さらに、群303の成形研磨粒子の少なくとも一部は、互いに対して(例えば、成形研磨粒子321および322ならびに成形研磨粒子323および324)同じ所定の横方向配向を有することができる。さらに、群303の成形研磨粒子の少なくとも一部は、互いに対して(例えば、成形研磨粒子321および324ならびに成形研磨粒子322および323)同じ所定の縦方向配向を有することができる。
【0120】
図示されているように、研磨物品は群305を含むことができる。群305は、少なくとも1つの共通の所定の配向特性を有する成形研磨粒子331、332および333(331〜333)を含む複数の成形研磨粒子を含むことができる。
図3Aの実施形態に図示されるように、群305内の複数の成形研磨粒子は、互いに対して同じ所定の回転配向を有することができる。さらに、群305の複数の成形研磨粒子の少なくとも一部は、互いに対して(例えば、成形研磨粒子332および333)同じ所定の横方向配向を有することができる。さらに、群305の複数の成形研磨粒子の少なくとも一部は、互いに対して同じ所定の縦方向配向を有することができる。成形研磨粒子の群、特に本明細書に記載される特徴を有する成形研磨粒子の群の組み合わせの利用により研磨物品の改善された性能を促すことができる。
【0121】
さらに図示されるように、研磨物品300は、群301、303および305の間に延びるチャネル領域307および308によって分離され得る群301、303および305を含むことができる。特定の例では、チャネル領域は、成形研磨粒子を実質的に含まないことができる研磨物品上の領域であることができる。さらに、チャネル領域307および308は群301、303および305間の液体を移動させるように構成されてよく、これによって研磨物品の削り屑除去および研削性能を改善することができる。チャネル領域307および308は成形研磨物品の表面上の所定の領域であることができる。チャネル領域307および308は、群301、303および305の隣接する成形研磨粒子間の縦方向空間または横方向空間とは異なる、詳細にはこれら空間よりも幅および/または長さが大きい、群301、303および305間の専用の領域を規定することができる。
【0122】
チャネル領域307および308は裏材101の縦軸180に平行もしくは垂直であるか、または横軸181に平行もしくは垂直である方向に沿って延びることができる。特定の例では、チャネル領域307および308はそれぞれ、チャネル領域307および308の中心に沿って、かつチャネル領域307および308の縦方向寸法に沿って延びる軸351および352を有することができ、裏材101の縦軸380に対して所定の角度を有することができる。さらに、チャネル領域307および308の軸351および352は裏材101の横軸181に対して所定の角度を成すことができる。制御されたチャネル領域の配向により研磨物品の改善された性能を促すことができる。
【0123】
さらに、チャネル領域307および308は、研削方向350に対して所定の配向を有するように形成されてよい。例えば、チャネル領域307および308は研削方向350に平行または垂直な方向に沿って延びることができる。特定の例では、チャネル領域307および308はそれぞれ、チャネル領域307および308の中心に沿って、かつチャネル領域307および308の縦方向寸法に沿って延びる軸351および352を有することができ、研削方向350に対して所定の角度を有することができる。制御されたチャネル領域の配向により研磨物品の改善された性能を促すことができる。
【0124】
少なくとも1つの実施形態については、図示されているように、群301は複数の成形研磨粒子を含むことができ、群301内の複数の成形研磨粒子の少なくとも一部はパターン315を規定できる。図示されているように、複数の成形研磨粒子311〜314は互いに対して、下向きに見て四辺形の形態等の二次元アレイをさらに規定する所定の分布で配置され得る。アレイとは、成形研磨粒子の単位配置により規定される短距離秩序を有し、かつさらに共に連結された規則的な繰り返し単位を含む長距離秩序を有するパターンである。他の二次元アレイは他の多角形、省略、装飾用表示、製品表示または他のデザインの形状を含んで形成することができると理解されよう。さらに図示されるように、群303は、四辺形の二次元アレイを規定するパターン325にも配置され得る複数の成形研磨粒子321〜324を含むことができる。さらに、群305は、互いに対して三角形パターン335の形態の所定の分布を規定するように配置され得る複数の成形研磨粒子331〜334を含むことができる。
【0125】
一実施形態によると、群301の複数の成形研磨粒子は、別の群(例えば、群303または305)の成形研磨粒子とは異なるパターンを規定してもよい。例えば、群301の成形研磨粒子は、裏材101における配向に関して群305のパターン335とは異なるパターン315を規定してもよい。また、群301の成形研磨粒子は、研削方向350に対する第2の群(例えば、303または305)のパターンの配向とは対照的な研削方向350に対する第1の配向を有するパターン315を規定してもよい。
【0126】
成形研磨粒子の群(301、303または305)のいずれか1つは、研削方向に対して特定の配向を有することができる1つ以上のベクトル(例えば、群305の361または362)を規定するパターンを有することができる。特に、ある群の成形研磨粒子は、その群のパターンを規定する所定の配向特性を有することができ、パターンの1つ以上のベクトルをさらに規定できる。例示的実施形態において、パターン335のベクトル361および362は研削方向350に対して所定の角度を成すように制御され得る。ベクトル361および362は、研削方向350に対して例えば平行配向、垂直配向、またはさらには非直交もしくは非平行配向(すなわち、鋭角または鈍角を規定するように角度をつけた)を含むさまざまな配向を有してもよい。
【0127】
一実施形態によると、第1の群301の複数の成形研磨粒子は別の群(例えば、303または305)の複数の成形研磨粒子とは異なる少なくとも1つの所定の配向特性を有することができる。例えば、群301の成形研磨粒子の少なくとも一部は、群303の成形研磨粒子の少なくとも一部の所定の回転配向とは異なる所定の回転配向を有することができる。さらに、特定の一態様では、群301の成形研磨粒子はすべて、群303の成形研磨粒子すべての所定の回転配向とは異なる所定の回転配向を有することができる。
【0128】
別の実施形態によると、群301の成形研磨粒子の少なくとも一部は、群303の成形研磨粒子の少なくとも一部の所定の横方向配向とは異なる所定の横方向配向を有することができる。さらに別の態様では、群301の成形研磨粒子はすべて、群303の成形研磨粒子すべての所定の横方向配向とは異なる所定の横方向配向を有することができる。
【0129】
さらに、別の実施形態では、群301の成形研磨粒子の少なくとも一部は、群303の成形研磨粒子の少なくとも一部の所定の縦方向配向とは異なり得る所定の縦方向配向を有することができる。別の実施形態では、群301の成形研磨粒子はすべて、群303の成形研磨粒子すべての所定の縦方向配向とは異なり得る所定の縦方向配向を有することができる。
【0130】
さらに、群301の成形研磨粒子の少なくとも一部は、群303の成形研磨粒子の少なくとも一部の所定の垂直配向とは異なる所定の垂直配向を有することができる。さらに、一態様では、群301の成形研磨粒子はすべて、群303の成形研磨粒子すべての所定の垂直配向とは異なる所定の垂直配向を有することができる。
【0131】
さらに、一実施形態では、群301の成形研磨粒子の少なくとも一部は、群303の成形研磨粒子の少なくとも一部の所定の先端高さとは異なる所定の先端高さを有することができる。さらに別の特定の実施形態では、群301の成形研磨粒子はすべて、群303の成形研磨粒子すべての所定の先端高さとは異なる所定の先端高さを有することができる。
【0132】
任意の数の群が、所定の配向特性を有する研磨物品上に種々の領域を形成する研磨物品に含まれてよいと理解されよう。さらに、群のそれぞれは、群301および303について上記で記述されたように互いに異なり得る。
【0133】
本明細書における1つ以上の実施形態で記載されているように、成形研磨粒子は裏材の所定の位置により規定される所定の分布にて配置され得る。さらにとりわけ、所定の分布は2つ以上の成形研磨粒子間の非シャドウイング配置を規定できる。例えば、特定の一実施形態において、研磨物品は、第1および第2の成形研磨粒子が互いに非シャドウイング配置を規定するように、第1の所定の位置における第1の成形研磨粒子と、第2の所定の位置における第2の成形研磨粒子とを含むことができる。成形研磨粒子が加工品の別々の位置で加工品と最初に接触し、加工品における最初の材料除去位置で最初に重なり合うのを制限するかまたは回避するように構成されるように、非シャドウイング配置は成形研磨粒子の配置によって規定され得る。非シャドウイング配置は改善された研削性能を促すことができる。特定の一実施形態において、第1の成形研磨粒子は複数の成形研磨粒子により規定される群の一部であることができ、第2の成形研磨粒子は複数の成形研磨粒子により規定される第2の群の一部であることができる。第1の群は裏材の第1の列を規定でき、第2の群は裏材の第2の列を規定でき、第2の群の各成形研磨粒子は第1の群の各成形研磨粒子に対して互い違いにできるため、特定の非シャドウイング配置を規定する。
【0134】
図3Bは、一実施形態による、研削方向に対して所定の配向特性を有する成形研磨粒子を含む研磨物品の一部の斜視図である。一実施形態において、研磨物品は、別の成形研磨粒子103に対してかつ/または研削方向385に対して所定の配向を有する成形研磨粒子102を含むことができる。研削方向385に対する所定の配向特性の1つまたは組み合わせの制御により改善された研磨物品の研削性能を促すことができる。研削方向385は材料除去操作における、加工品に対して目的とする研磨物品の移動方向であってよい。特定の例では、研削方向385は裏材101の寸法と関係し得る。例えば、一実施形態において、研削方向385は裏材の横軸181に実質的に垂直であり、かつ裏材101の縦軸180と実質的に平行であることができる。成形研磨粒子102の所定の配向特性は、加工品との成形研磨粒子102の最初の接触面を規定し得る。例えば、成形研磨粒子102は、主表面363および364ならびに主表面363と364の間に延びる側面365および366を有することができる。成形研磨粒子102の所定の配向特性によって、主表面363が加工品と最初に接触してから成形研磨粒子102の他の表面と接触するように構成されるように粒子を配置できる。このような配向は研削方向385に対する正面配向とみなしてよい。より詳細には、成形研磨粒子102は、研削方向に対して特定の配向を有する二等分軸231を有することができる。例えば、図示されているように、研削方向385および二等分軸231のベクトルは互いに略垂直である。いかなる範囲の所定の回転配向も成形研磨粒子について考えられるため、研削方向385に対していかなる範囲の成形研磨粒子の配向も考えられ、利用できることが理解されよう。
【0135】
成形研磨粒子103は、成形研磨粒子102および研削方向385に対して異なる所定の配向特性を有することができる。図示されているように、成形研磨粒子103は、側面371および372により接合され得る主表面391および392を含むことができる。さらに、図示されているように、成形研磨粒子103は、研削方向385ベクトルに対して特定の角度を成す二等分軸373を有することができる。図示されているように、成形研磨粒子103の二等分軸373は、二等分軸373と研削方向385との間の角度が本質的に0°であるように、研削方向385に対して略平行配向を有することができる。したがって、成形研磨粒子の所定の配向特性により、成形研磨粒子の他のいずれかの表面と接触する前に側面372と加工品とが最初の接触することを容易にする。このような成形研磨粒子103の配向は、研削方向385に対して横向き配向とみなすことができる。
【0136】
研磨物品は、互いに対して所定の分布にて配置され得る、より詳細には成形研磨粒子の群を規定する異なる所定の配向特性を有することができる1つ以上の成形研磨粒子の群を含むことができることが理解されよう。本明細書に記載されるような成形研磨粒子の群は、研削方向に対して所定の配向を有することができる。さらに、本明細書における研磨物品は、成形研磨粒子の1つ以上の群を有することができ、各群は研削方向に対して異なる所定の配向を有する。研削方向に対して異なる所定の配向を有する成形研磨粒子の群の利用により研磨物品の改善された性能を促すことができる。
【0137】
図4は、一実施形態による研磨物品の一部の平面図である。特に、研磨物品400は、複数の成形研磨粒子を含む第1の群401を含むことができる。図示されているように、成形研磨粒子は互いに対して所定の分布を規定するように配置され得る。より詳細には、所定の分布は下向きに見て、より詳細には三角形状の二次元アレイを規定するパターン423の形態であることができる。さらに図示されるように、群401は、裏材101の上を覆う所定のマイクロ単位431を規定する研磨物品400上に配置され得る。一実施形態によると、マイクロ単位431は、下向きに見て特定の二次元形状を有することができる。いくつかの例示的な二次元形状としては、多角形、楕円形、数字、ギリシャ文字、アルファベット文字、ロシア文字、アラビア文字、漢字、複雑な形状、デザインおよびこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。特定の例では、特定のマイクロ単位を有する群の形成によって研磨物品の改善された性能を促すことができる。
【0138】
さらに図示されるように、研磨物品400は、所定の分布を規定するように裏材101の表面上に配置され得る複数の成形研磨粒子を含む群404を含むことができる。とりわけ、所定の分布は、パターン、より詳細には略四辺形パターン424を規定する複数の成形研磨粒子の配置を含むことができる。図示されているように、群404は研磨物品400表面上のマイクロ単位434を規定できる。一実施形態において、群404のマイクロ単位434は、例えば、多角形形状、より詳細には、下向きに見て研磨物品400表面において略四辺形(菱型)形状を含む、下向きに見て二次元の形状を有することができる。
図4の図示される実施形態において、群401は、群404のマイクロ単位434と実質的に同じマイクロ単位431を有することができる。しかし、その他の実施形態では、種々の異なる群が研磨物品表面にて使用でき、より詳細には異なる群はそれぞれ異なるマイクロ単位を有すると理解されよう。
【0139】
さらに図示されるように、研磨物品は、群401〜404の間に延びるチャネル領域422および421によって分離され得る群401、402、403および404を含むことができる。特定の例では、チャネル領域は成形研磨粒子を実質的に含まないことができる。さらに、チャネル領域421および422は群401〜404間の液体を移動させるように構成されてよいため、研磨物品の削り屑除去および研削性能をさらに改善することができる。さらに、特定の実施形態では、研磨物品400は群401〜404間に延びるチャネル領域421および422を含むことができ、チャネル領域421および422は研磨物品400表面にてパターン化され得る。特定の例では、チャネル領域421および422は研磨物品の表面に沿って延びる規則的な繰り返しアレイの特徴を表すことができる。
【0140】
図5は、一実施形態による研磨物品の一部の平面図である。とりわけ、研磨物品500は、裏材101の上を覆い、より詳細には、裏材101に結合される成形研磨粒子501を含むことができる。少なくとも1つの実施形態については、本明細書における実施形態の研磨物品は成形研磨粒子の列511を含むことができる。列511は成形研磨粒子501の群を含むことができ、列511内の成形研磨粒子501はそれぞれ、互いに対して同じ所定の横方向配向を有することができる。特に、図示されているように、列511の成形研磨粒子501はそれぞれ、横軸551に対して同じ所定の横方向配向を有することができる。また、第1の列511の成形研磨粒子501はそれぞれ、群の一部であってよく、したがって互いに対して同じ少なくとも1つの他の所定の配向特性を有する。例えば、列511の成形研磨粒子501はそれぞれ、同じ所定の垂直配向を有する群の一部であることができ、垂直集団を規定することができる。少なくとも別の実施形態については、列511の成形研磨粒子501はそれぞれ、同じ所定の回転配向を有する群の一部であることができ、回転集団を規定することができる。さらに、列511の成形研磨粒子501はそれぞれ、互いに対して同じ所定の先端高さを有する群の一部であることができ、先端高さ集団を規定することができる。さらに、図示されているように、研磨物品500は列511の配向に複数の群を含むことができ、これらの群は縦軸180に沿って互いに離間され得、より詳細には例えば列521、531および541を含む他の介在する列により互いに離間され得る。
【0141】
さらに
図5に図示されるように、研磨物品500は、互いに対して列521を規定するように配置され得る成形研磨粒子502を含むことができる。成形研磨粒子502の列521は、列511に関して記載される特徴のいずれかを含むことができる。とりわけ、列521の成形研磨粒子502は、互いに対して同じ所定の横方向配向を有することができる。さらに、列521の成形研磨粒子502は、列511のいずれか1つの成形研磨粒子501の所定の配向特性とは異なる少なくとも1つの所定の配向特性を有し得る。例えば、図示されているように、列521の成形研磨粒子502はそれぞれ、列511の成形研磨粒子501それぞれの所定の回転配向とは異なる同じ所定の回転配向を有することができる。
【0142】
別の実施形態によると、研磨物品500は、互いに対して配置され列531を規定する成形研磨粒子503を含むことができる。列531は、他の実施形態、特に列511または列521に関して記載されるような特徴のいずれかを有することができる。また、図示されているように、列531内の成形研磨粒子503はそれぞれ、互いに対して同じである少なくとも1つの所定の配向特性を有することができる。また、列531内の成形研磨粒子503はそれぞれ、列511の成形研磨粒子501または列521の成形研磨粒子502のいずれか一方に関する所定の配向特性とは異なる少なくとも1つの所定の配向特性を有することができる。とりわけ、図示されるように、列531の成形研磨粒子503はそれぞれ、成形研磨粒子501および列511の所定の回転配向ならびに成形研磨粒子502および列521の所定の回転配向とは異なる、同じ所定の回転配向を有することができる。
【0143】
さらに図示されるように、研磨物品500は、研磨物品500表面に、互いに対して配置され列541を規定する成形研磨粒子504を含むことができる。図示されているように、成形研磨粒子504および列541はそれぞれ、同じ所定の配向特性を少なくとも1つ有することができる。さらに、一実施形態によると、成形研磨粒子504はそれぞれ、同じ所定の配向特性、例えば、列511の成形研磨粒子501、列521の成形研磨粒子502および列531の成形研磨粒子503のうちいずれかの所定の回転方向とは異なる所定の回転配向のうち少なくとも1つを有することができる。
【0144】
さらに図示されるように、研磨物品500は、各列511、521、531および541から少なくとも1つの成形研磨粒子を含む成形研磨粒子の縦列561を含むことができる。とりわけ、縦列561内の成形研磨粒子はそれぞれ、互いに対して少なくとも1つの所定の配向特性、より詳細には少なくとも所定の縦方向配向を共有することができる。そのため、縦列561内の成形研磨粒子はそれぞれ、互いに対して所定の縦方向配向および縦方向平面562を有することができる。特定の例では、成形研磨粒子の列、縦列、垂直集団、回転集団および先端高さ集団での配置を含み得る成形研磨粒子の群での配置によって研磨物品の改善された性能を促すことができる。
【0145】
図6は、一実施形態による研磨物品の一部の平面図である。とりわけ、研磨物品600は互いに対して、縦方向平面651に沿って延び、互いに対して少なくとも1つの同じ所定の配向特性を有する縦列621を規定するように配置され得る成形研磨粒子601を含むことができる。例えば、集団621の成形研磨粒子601はそれぞれ、互いに対して同じ所定の縦方向配向および縦軸651を有することができる。縦列621の成形研磨粒子601は、例えば互いに対して同じ所定の回転配向を含む、少なくとも1つの他の所定の配向特性を共有できることが理解されよう。
【0146】
さらに図示されるように、研磨物品600は、裏材101にて互いに対して配置され、互いに対して縦方向平面652に沿って縦列622を規定する成形研磨粒子602を含むことができる。縦列622の成形研磨粒子602は、例えば互いに対する同じ所定の回転配向を含む少なくとも1つの他の所定の配向特性を共有できることが理解されよう。さらに、縦列622の成形研磨粒子602はそれぞれ、縦列621の少なくとも1つの成形研磨粒子621の少なくとも1つの所定の配向特性とは異なる少なくとも1つの所定の配向特性を有する群を規定できる。より詳細には、縦列622の成形研磨粒子602はそれぞれ、縦列621の成形研磨粒子601の所定の配向特性の組み合わせとは異なる所定の配向特性の組み合わせを有する群を規定できる。
【0147】
また、図示されているように、研磨物品600は、裏材101の縦方向平面653に沿って互いに対して同じ所定の縦方向配向を有し、縦列623を規定する成形研磨粒子603を含むことができる。さらに、縦列623の成形研磨粒子603はそれぞれ、縦列621の成形研磨粒子621および縦列622の成形研磨粒子602のうち少なくとも1つの、少なくとも1つの所定の配向特性とは異なる少なくとも1つの所定の配向特性を有する群を規定できる。より詳細には、縦列623の成形研磨粒子603はそれぞれ、縦列621の成形研磨粒子601および縦列622の成形研磨粒子602の所定の配向特性の組み合わせとは異なる所定の配向特性の組み合わせを有する群を規定できる。
【0148】
図7Aは、一実施形態による研磨物品の一部の上面図である。特定の例では、本明細書における研磨物品はさらに、所定の配向における成形研磨粒子の配置を容易にする配向領域を含んでよい。配向領域は研磨物品の裏材101に結合され得る。あるいは、配向領域は接着剤層の一部、例えばメイクコートまたはサイズコート等であることができる。さらに別の実施形態では、配向領域は裏材101の上を覆うことができ、またはより詳細には裏材101と一体化され得る。
【0149】
図7Aに図示したように、研磨物品700は成形研磨粒子701、702、703(701〜703)を含むことができ、成形研磨粒子701〜703はそれぞれ、対応する配向領域721、722および723(721〜723)と結合できる。一実施形態によると、配向領域721は成形研磨粒子701の少なくとも1つの(または組み合わせた)配向特性を規定するように構成され得る。例えば、配向領域721は成形研磨粒子701に関して所定の回転配向、所定の横方向配向、所定の縦方向配向、所定の垂直配向、所定の先端高さおよびこれらの組み合わせを規定するように構成され得る。さらに、特定の実施形態では、配向領域721、722および723は複数の成形研磨粒子701〜703と関係することができ、群791を規定できる。
【0150】
一実施形態によると、配向領域721〜723は整列構造、より詳細には、本明細書でさらに詳細に記載されるような整列構造の一部(例えば、別個の接触領域)と関係し得る。配向領域721〜723は研磨物品の構成要素のいずれか、例えば裏材101または接着剤層等と一体化され得、したがって、本明細書でさらに詳細に記載されるような接触領域とみなすことができる。あるいは、配向領域721〜723は研磨物品を形成する際に整列構造の使用を伴うことができるが、これは裏材とは別個の構成要素であり、研磨物品内に一体化されてよく、必ずしも研磨物品と関連する接触領域を形成しなくてもよい。
【0151】
さらに図示されるように、研磨物品700は成形研磨粒子704、705、706(704〜706)をさらに含むことができ、成形研磨粒子704〜706はそれぞれ、配向領域724、725、726と関係することができる。配向領域724〜726は成形研磨粒子704〜706の少なくとも1つの所定の配向特性を制御するように構成され得る。また、配向領域724〜726は成形研磨粒子704〜706の群792を規定するように構成され得る。一実施形態によると、配向領域724〜726は配向領域721〜723から離間され得る。より詳細には、配向領域724〜726は、成形研磨粒子701〜703の群791の所定の配向特性とは異なる少なくとも1つの所定の配向特性を有する群792を規定するように構成され得る。
【0152】
図7Bは、一実施形態による研磨物品の一部の図である。特に、
図7Bは、整列構造および接触領域と関連する1つ以上の成形研磨粒子の少なくとも1つの所定の配向特性を促すように利用されかつ構成され得る整列構造および接触領域の特定の実施形態の図である。
【0153】
図7Bは、裏材101、裏材101の上を覆う第1の群791の成形研磨粒子701および702、裏材101の上を覆う第2の群792の成形研磨粒子704および705、裏材101の上を覆う第3の群793の成形研磨粒子744および745、ならびに裏材101の上を覆う第4の群794の成形研磨粒子746および747を含む研磨物品の一部を含む。種々の複数の異なる群791、792、793および794が図示されているが、この図示は限定的なものではなく、本明細書における実施形態の研磨物品は任意の数および配置の群を含むことができることが理解されよう。
【0154】
図7Bの研磨物品は、第1の接触領域721および第2の接触領域722を有する整列構造761をさらに含む。整列構造761を使用して、裏材において互いに対して所望の配向での成形研磨粒子701および702の配置を容易にすることができる。本明細書における実施形態の整列構造761は研磨物品の永久的な部分であることができる。例えば、整列構造761は接触領域721および722を含むことができ、これらは裏材101を覆うことができ、場合によっては、直接裏材101に接触できる。特定の例では、整列構造761は研磨物品と一体であってもよく、裏材を覆うか、裏材の上を覆う接着剤層の下にあるか、または裏材の上を覆う1つ以上の接着剤層の一体部分であることができる。
【0155】
一実施形態によると、整列構造761は成形研磨粒子701を供給するように構成され得、特定の例では、一時的にまたは永久的に第1の位置771で成形研磨粒子701を保持するように構成され得る。特定の例では、
図7Bで図示されているように、整列構造761は接触領域721を含むことができ、接触領域721は、接触領域の幅(w
cr)および接触領域の長さ(l
cr)により規定される下向きに見て特定の二次元形状を有することができる。ここで長さとは接触領域721の最長寸法である。少なくとも1つの実施形態によると、接触領域は形状(例えば、二次元形状)を有するように形成することができ、これにより成形研磨粒子701の制御された配向を容易にすることができる。より詳細には、接触領域721は、1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)特定の所定配向特性、例えば所定の回転配向、所定の横方向配向および所定の縦方向配向等を制御するように構成される二次元形状を有することができる。
【0156】
特定の例では、接触領域721および722は、対応する成形研磨粒子701および702の所定の回転配向を容易にすることができる制御された二次元形状を有するように形成され得る。例えば、接触領域721は、成形研磨粒子701の所定の回転配向を決定するように構成される制御された所定の二次元形状を有することができる。また、接触領域722は、成形研磨粒子702の所定の回転配向を決定するように構成される制御された所定の二次元形状を有することができる。
【0157】
図示されているように、整列構造は複数の別個の接触領域721および722を含むことができ、接触領域721および722はそれぞれ、1つ以上の成形研磨粒子を供給し、一時的にまたは永久的に保持するように構成され得る。場合によっては、整列構造としては、織物、繊維材料、メッシュ、開口部を有する固体構造、ベルト、ローラー、パターン化材料、不連続層材料、パターン化接着材料およびこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0158】
複数の接触領域721および722は、成形研磨粒子の所定の回転配向、少なくとも2つの成形研磨粒子間の所定の回転配向の差、成形研磨粒子の所定の縦方向配向、2つの成形研磨粒子間の縦方向空間、所定の横方向配向、2つの成形研磨粒子間の横方向空間、所定の垂直配向、2つの成形研磨粒子間の所定の垂直配向の差、所定の先端高さ、2つの成形研磨粒子間の所定の先端高さの差のうち少なくとも1つを規定できる。特定の例では、
図7Bで図示されているように、複数の別個の接触領域は、第1の接触領域721および第1の接触領域721とは別個の第2の接触領域722を含むことができる。接触領域721および722は互いに対して略同一形状を有するものとして図示されているが、本明細書に記載されるさらなる実施形態に基づいて明らかになるように、第1の接触領域721および第2の接触領域722は異なる二次元形状を有するように形成することができる。さらに図示されてはないが、本明細書における実施形態の整列構造は成形研磨粒子を供給し、互いに対して異なる所定の回転配向にて成形研磨粒子を含むように構成される第1および第2の接触領域を含むことができることが理解されよう。
【0159】
特定の一実施形態において、接触領域721および722は、多角形、楕円形、数字、十字形、複数の腕を持つ多角形、ギリシャ文字、アルファベット文字、ロシア文字、アラビア文字、長方形、四辺形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二次元形状を有することができる。さらに、接触領域721および722は実質的に同一の二次元形状を有するものとして図示されているが、別の実施形態では、接触領域721および722は異なる二次元形状を有することができることが理解されよう。二次元形状は接触領域721および722の接触領域の長さおよび幅の平面から見た形状であり、これは裏材の上面により規定される同一平面であってもよい。
【0160】
さらに、整列構造761は研磨物品の一時的な部分であってよいことが理解されよう。例えば、整列構造761は成形研磨粒子を一時的に接触領域で固定するテンプレートまたはその他の物体を表すことができ、1つ以上の所定の配向特性を有する所望の位置における成形研磨粒子の配置を容易にする。成形研磨粒子を配置した後、整列構造は、所定位置に裏材上の成形研磨粒子を残して除去されてもよい。
【0161】
一実施形態によると、整列構造761は接着材料から作成されてもよい複数の接触領域721および722を含む不連続層の材料であることができる。より特殊な例では、接触領域721は少なくとも1つの成形研磨粒子に接着するように構成され得る。他の実施形態では、接触領域721は2つ以上の成形研磨粒子に接着するように形成され得る。少なくとも1つの実施形態では、接着材料としては、有機材料、より詳細には、少なくとも1種の樹脂材料を挙げられることが理解されよう。
【0162】
また、複数の接触領域721および722は、接触領域の所定の分布を規定するように裏材101の表面上に配置され得る。接触領域の所定の分布は、本明細書に記載される所定の分布の任意の特性を有することができる。特に、接触領域の所定の分布は制御された非シャドウイング配置を規定できる。接触領域の所定の分布は成形研磨粒子の裏材においておなじ所定の分布を規定でき、実質的にこれに対応し、各接触領域は成形研磨粒子の位置を規定できる。
【0163】
図示されているように、特定の場合には、接触領域721および722は互いに離間され得る。少なくとも1つの実施形態では、接触領域721および722は距離731により互いに離間され得る。接触領域721と722間の距離731は通常、横軸181または縦軸180に平行な方向における隣接する接触領域721と722間の最小距離である。
【0164】
一実施形態によると、複数の別個の接触領域のうちの別個の接触領域は、隣接する別個の接触領域間の任意の方向に延びる非接触領域上の間隙距離により互いに離間され得、本質的に接着材料は裏材101に提供されない。例えば、間隙距離は、横軸181に平行な方向における別個の接触領域721および722間の距離731であってよい。あるいは、別の実施形態では、間隙距離は、縦軸180に平行な方向に延びる距離732であることができる。前述の例は非限定的なものであり、間隙距離は第1の別個の接触領域と第2の接触領域間の最小距離に応じて任意の種々の方向に延びてよく、その一方で非接触領域上に延びる。一実施形態において、間隙距離は少なくとも約0.5(w)であることができ、ここで(w)は成形研磨粒子の本体の幅に相当する。他の例では、間隙距離は、少なくとも約0.7(w)、少なくとも約0.9(w)、少なくとも約1(w)、少なくとも約1.1(w)、少なくとも約1.3(w)であることができる。さらに、非限定的実施形態では、間隙距離は約100(w)以下、約50(w)以下であることができる。特定の寸法の別個の接触領域の形成により材料の連続的コーティングを使用した他の方法に比べ処理を改善できる。例えば、特定の場合には、別個の接触領域を含む不連続コーティングの使用により、処理時間を低減でき、材料の連続コーティングを使用する研磨粒子に関連するブリスターを低減できる。さらに、意外にも、成形研磨材は、連続コーティングとは対照的に不連続コーティングを使用するとアンカーが改善され得る。
【0165】
別の実施形態では、間隙距離は少なくとも約0.1mm、例えば少なくとも約0.5mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mmまたはさらには少なくとも約2.5mmであることができる。さらに、別の非限定的な実施形態において、間隙距離は、約50mm以下、例えば、約40mm以下または約20mm以下であることができる。
【0166】
特定の例では、別個の接触領域721および722は、成形研磨粒子の本体の寸法に対して特定の幅(w
cr)を有することができ、これにより本明細書における実施形態の特徴を促すことができる。例えば、別個の収容領域721は、少なくとも約0.5(h)であることができる別個の収容領域の最小寸法を規定する幅(w
cr)を有することができ、ここで(h)は本明細書における実施形態に記載されるような成形研磨粒子の本体の高さである。他の例では、別個の接触領域721の幅は、少なくとも約0.7(h)、例えば少なくとも約0.9(h)、少なくとも約1(h)、少なくとも約1.1(h)、少なくとも約1.3(h)であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、別個の接触領域721の幅は約100(h)以下、例えば約50(h)以下であることができる。別個の接触領域721の幅は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、別個の接触領域721の幅は、本明細書における実施形態の任意の他の別個の接触領域も有することができると理解され、さらに幅は円形形状を有する別個の接触領域(例えば、別個の接触領域763)との関係においては直径と関連し得ることが理解されよう。
【0167】
別の実施形態では、別個の接触領域721の幅は、約5mm以下、例えば約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下またはさらには約0.8mm以下であることができる。さらに、別の非限定的な実施形態において、別個の接触領域721の幅は、少なくとも約0.01mm、例えば少なくとも約0.05mm、またはさらには少なくとも約0.1mmであることができる。別個の接触領域721の幅は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。さらに、別個の接触領域721の幅は、本明細書における実施形態の任意の他の別個の接触領域も有することができると理解され、さらに幅は円形形状を有する別個の接触領域(例えば、別個の接触領域763)との関係においては直径と関連し得ることが理解されよう。
【0168】
別個の接触領域のサイズおよび形状の制御は、複数の別個の接触領域の別個の接触領域それぞれを形成するために使用される接着材料のレオロジーを制御することによって行うことができる。しかし、その他のかかるプロセス制御を利用してもよいことが理解されよう。
【0169】
別の実施形態では、複数の別個の接触領域721および722は基材等の構造における開口部であることができる。例えば、接触領域721および722はそれぞれ、一時的に成形研磨粒子を裏材101の特定の位置に配置するために使用されるテンプレートにおける開口部であることができる。複数の開口部は部分的または全体的に整列構造の厚さを通って延び得る。あるいは、接触領域7821および722は、永久的に裏材および最終研磨物品の部分である基材または層等の構造における開口部であることができる。開口部は、成形研磨粒子の断面形状に対して相補的な特定の断面形状を有することができ、所定の位置にて1つ以上の所定の配向特性を有した成形研磨粒子の配置を容易にする。
【0170】
さらに、一実施形態によれば、整列構造は非接触領域によって分離される複数の別個の接触領域を含むことができ、非接触領域は、別個の接触領域とは異なる領域であり、成形研磨粒子を実質的に含まなくてもよい。一実施形態において、非接触領域は接着材料を本質的に含まず、収縮領域721および722を分離するように構成される領域を規定できる。特定の一実施形態において、非接触領域は成形研磨粒子を本質的に含まないように構成される領域を規定できる。
【0171】
コーティング、噴霧、堆積、印刷、エッチング、マスキング、除去、成形、鋳造、鍛造、加熱、硬化、タッキング、ピンニング、固定、加圧成形、ロール、縫合、接着、照射およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない各種方法が整列構造および別個の接触領域を形成するために利用されてよい。整列構造が接着材料の不連続層の形態であり、これが非接触領域によって互いに離間された接着材料を含む複数の別個の接触領域を含むことができる特定の例では、形成プロセスは、接着材料の選択的堆積を含むことができる。
【0172】
図示されているように、上記の通り、
図7Bは、裏材101の上を覆う第2の成形研磨粒子704および705の群792をさらに含む。第2の群792は整列構造762と関連することができ、これは第1の接触領域724および第2の接触領域725を含むことができる。整列構造762を使用して、裏材101において互いに対して所望の配向での成形研磨粒子704および705の配置を容易にすることができる。本明細書で記載されるように、整列構造762は、本明細書に記載されている整列構造の特徴のいずれかを有することができる。さらに、整列構造762は最終研磨物品の永久的または一時的な部分であり得ることが理解されよう。整列構造762は研磨物品と一体であってもよく、裏材101の上を覆ってもよく、裏材101の上を覆う接着剤層の下にあってもよく、または裏材101の上を覆う1つ以上の接着剤層の一体部分であってもよい。
【0173】
一実施形態によると、整列構造762は成形研磨粒子704を供給するように、特定の例では、一時的にまたは永久的に第1の位置773で成形研磨粒子704を保持するように構成され得る。特定の例では、
図7Bで図示されているように、整列構造762は接触領域724を含むことができ、接触領域724は、接触領域の幅(w
cr)および接触領域の長さ(l
cr)により規定される下向きに見て特定の二次元形状を有することができる。ここで長さとは接触領域724の最長寸法である。
【0174】
少なくとも1つの実施形態によると、接触領域724は形状(例えば、二次元形状)を有するように形成することができ、これにより成形研磨粒子704の制御された配向を容易にすることができる。より詳細には、接触領域724は、1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)特定の所定配向特性、例えば所定の回転配向、所定の横方向配向および所定の縦方向配向等を制御するように構成される二次元形状を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、接触領域724は二次元形状を有するように形成され得、接触領域724の寸法(例えば、長さおよび/または幅)は実質的に成形研磨粒子704の寸法に相当し、実質的に成形研磨粒子704の寸法と同じであるため、位置772における成形研磨粒子の配置を容易にし、成形研磨粒子704の所定の配向特性のうち1つまたは組み合わせを促す。さらに、一実施形態によると、整列構造762は、関連する成形研磨粒子の1つ以上の所定の配向特性を促し制御するように構成される、制御された二次元形状を有する複数の接触領域を含むことができる。
【0175】
さらに図示されるように、一実施形態によると、整列構造762は成形研磨粒子705を供給するように構成され得、特定の例では、一時的にまたは永久的に第2の位置774で成形研磨粒子705を保持するように構成され得る。特定の例では、
図7Bで図示されているように、整列構造762は接触領域725を含むことができ、接触領域725は、接触領域の幅(w
cr)および接触領域の長さ(l
cr)により規定される下向きに見て特定の二次元形状を有することができる。ここで長さとは接触領域725の最長寸法である。とりわけ、整列構造の接触領域724および725は、整列構造761の接触領域721および722に対して異なる配向を有することができ、群791の成形研磨粒子701および702と、群792の成形研磨粒子704および705との間の異なる所定の配向特性を促す。
【0176】
図示されているように、上記の通り、
図7Bは、裏材101の上を覆う成形研磨粒子744および745の第2の群793をさらに含む。第3の群793は整列構造763と関連することができ、これは第1の接触領域754および第2の接触領域755を含むことができる。整列構造763を使用して、裏材101において互いに対して所望の配向での成形研磨粒子744および745の配置を容易にすることができる。本明細書で記載されるように、整列構造763は、本明細書に記載されている整列構造の特徴のいずれかを有することができる。さらに、整列構造763は最終研磨物品の永久的または一時的な部分であり得ることが理解されよう。整列構造763は研磨物品と一体であってもよく、裏材101の上を覆ってもよく、裏材101の上を覆う接着剤層の下にあってもよく、または裏材101の上を覆う1つ以上の接着剤層の一体部分であってもよい。
【0177】
一実施形態によると、整列構造763は成形研磨粒子744を供給するように構成され得、特定の例では、一時的にまたは永久的に第1の位置775で成形研磨粒子744を保持するように構成され得る。同様に、図示されているように、整列構造763は成形研磨粒子745を供給するように構成され得、特定の例では、一時的にまたは永久的に第2の位置776で成形研磨粒子745を保持するように構成され得る。
【0178】
特定の例では、
図7Bで図示されているように、整列構造763は接触領域754を含むことができ、接触領域754は下向きに見て特定の二次元形状を有することができる。図示されているように、接触領域754は、直径(d
cr)により部分的に規定され得る円形の二次元形状を有することができる。
【0179】
少なくとも1つの実施形態によると、接触領域754は形状(例えば、二次元形状)を有するように形成することができ、これにより成形研磨粒子744の制御された配向を容易にすることができる。より詳細には、接触領域754は、1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)特定の所定配向特性、例えば所定の回転配向、所定の横方向配向および所定の縦方向配向等を制御するように構成される二次元形状を有することができる。図示されているような少なくとも1つの別の実施形態では、接触領域754は円形形状を有することができ、所定の回転配向のいくらかの自由度を促すことができる。例えば、それぞれが接触領域754および755と関係し、さらに接触領域754および755がそれぞれ円形の二次元形状を有する場合の成形研磨粒子744と745とを比較すると、成形研磨粒子744および745は、互いに対して異なる所定の回転配向を有する。接触領域754および755の円形の二次元形状により成形研磨粒子744および745の選択的な側面配向を容易にすることができる一方で、互いに対する少なくとも1つの所定の配向特性(すなわち、所定の回転特性)における自由度が認められる。
【0180】
少なくとも1つの実施形態では、接触領域754の寸法(例えば、直径)は実質的に成形研磨粒子744の寸法(例えば、側面の幅)に相当し、実質的に成形研磨粒子744の寸法と同じであるため、位置775における成形研磨粒子744の配置を容易にし、成形研磨粒子744の所定の配向特性のうち1つまたは組み合わせを容易にすることが理解されよう。さらに、一実施形態によると、整列構造763は、関連する成形研磨粒子の1つ以上の所定の配向特性を促し制御するように構成される、制御された二次元形状を有する複数の接触領域を含むことができる。前述の整列構造763は実質的に類似の形状を有する接触領域754および755を含むが、整列構造763は複数の異なる二次元形状を有する複数の接触領域を含むことができることが理解されよう。
【0181】
図示されているように、上記の通り、
図7Bは、裏材101の上を覆う成形研磨粒子746および747の第4の群794をさらに含む。第4の群794は整列構造764と関連することができ、これは第1の接触領域756および第2の接触領域757を含むことができる。整列構造764を使用して、裏材101において互いに対して所望の配向での成形研磨粒子746および747の配置を容易にすることができる。本明細書で記載されるように、整列構造764は、本明細書に記載されている整列構造の特徴のいずれかを有することができる。さらに、整列構造764は最終研磨物品の永久的または一時的な部分であり得ることが理解されよう。整列構造764は研磨物品と一体であってもよく、裏材101の上を覆ってもよく、裏材101の上を覆う接着剤層の下にあってもよく、または裏材101の上を覆う1つ以上の接着剤層の一体部分であってもよい。
【0182】
一実施形態によると、整列構造764は成形研磨粒子746を供給するように構成され得、特定の例では、一時的にまたは永久的に第1の位置777で成形研磨粒子746を保持するように構成され得る。同様に、図示されているように、整列構造764は成形研磨粒子747を供給するように構成され得、特定の例では、一時的にまたは永久的に第2の位置778で成形研磨粒子747を保持するように構成され得る。
【0183】
特定の例では、
図7Bで図示されているように、整列構造763は接触領域756を含むことができ、接触領域756は下向きに見て特定の二次元形状を有することができる。図示されているように、接触領域756は、長さ(l
cr)により部分的に規定され得る十字形の二次元形状を有することができる。
少なくとも1つの実施形態によると、接触領域756は形状(例えば、二次元形状)を有するように形成することができ、これにより成形研磨粒子746の制御された配向を容易にすることができる。より詳細には、接触領域756は、1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)特定の所定配向特性、例えば所定の回転配向、所定の横方向配向および所定の縦方向配向等を制御するように構成される二次元形状を有することができる。図示されているような少なくとも1つの別の実施形態では、接触領域756は十字形の二次元形状を有することができ、これにより成形研磨粒子746所定の回転配向のいくらかの自由度を促すことができる。
【0184】
例えば、それぞれが接触領域756および757と関係し、さらに接触領域756および757がそれぞれ十字形の二次元形状を有する場合の成形研磨粒子746と747とを比較すると、成形研磨粒子746および747は、互いに対して異なる所定の回転配向を有することができる。接触領域756および757の十字形の二次元形状により成形研磨粒子746および747の選択的な側面配向を容易にすることができる一方で、互いに対する少なくとも1つの所定の配向特性(すなわち、所定の回転特性)における自由度が認められる。図示されているように、成形研磨粒子746および747は互いに実質的に垂直に配向される。接触領域756および757の十字形の二次元形状により通常、成形研磨粒子の2つの好ましい所定の回転配向を容易にし、それらはそれぞれ十字形の接触領域756および757の腕の方向と関係し、2つの配向はそれぞれ成形研磨粒子746および747によって図示されている。
【0185】
少なくとも1つの実施形態では、接触領域756の寸法(例えば、長さ)は実質的に成形研磨粒子746の寸法(例えば、側面の長さ)に相当し、実質的に成形研磨粒子746の寸法と同じであるため、位置777における成形研磨粒子746の配置を容易にし、成形研磨粒子746の所定の配向特性のうち1つまたは組み合わせを容易にすることが理解されよう。さらに、一実施形態によると、整列構造764は、関連する成形研磨粒子の1つ以上の所定の配向特性を促し制御するように構成される、制御された二次元形状を有する複数の接触領域を含むことができる。前述の整列構造764は実質的に類似の形状を有する接触領域756および757を含むが、整列構造764は複数の異なる二次元形状を有する複数の接触領域を含むことができることが理解されよう。
【0186】
少し
図7Cを見てみると、一実施形態に従った研磨物品の一部上に形成される非シャドウイング配置の平面図が提供される。図示されているように、研磨物品の一部は裏材101と、裏材101上に延びる別個の接触領域の第1の群781と、裏材101上に延びる別個の接触領域の第2の群782と、裏材101上に延びる別個の接触領域の第3の群783とを含むことができる。別個の接触領域の各群781、782および783は、裏材表面で直線的に延びる複数の別個の接触領域を有することができる。また、群内の別個の接触領域はそれぞれ実質的に同じ方向に延びることができるため、群内の別個の接触領域はそれぞれは互いに実質的に平行であり得る。しかしながら、他の群の別個の接触領域とは互いに交差してもよい。例えば、第1の群の別個の接触領域781の別個の接触領域はそれぞれ、第2の群の別個の接触領域782および第3の群の別個の接触領域783のうち少なくとも1つの他の別個の接触領域と交差することができる。
【0187】
一実施形態によれば、別個の接触領域はそれぞれ、特に、別個の接触領域の群781、782および783内の別個の接触領域はそれぞれ裏材101の幅の少なくとも一部に延びることができる。特定の例では、別個の接触領域の群781、782および783はそれぞれ、裏材101の幅の少なくとも大部分に延びることができ、この幅は横軸181方向における裏材101に沿った距離として定義できる。
【0188】
別の実施形態では、別個の接触領域はそれぞれ、特に、別個の接触領域の群781、782および783はそれぞれ裏材101の長さの少なくとも一部に延びることができる。特定の例では、別個の接触領域の群781、782および783はそれぞれ、裏材101の長さの少なくとも大部分に延びることができ、この長さは縦軸180方向における裏材101に沿った距離として定義できる。さらに、別の非限定的な実施形態において、別個の接触領域の群の1つのみ、例えば、別個の接触領域の群783は裏材101の長さの大部分に延びることができるが、別個の接触領域の群781および782の別個の接触領域はそれぞれ裏材101の全長未満の距離だけ延びる。
【0189】
図7Cは、別個の接触領域の群781、782および783のそれぞれに配置される成形研磨粒子の図をさらに含む。すなわち、研磨物品は、別個の接触領域の第1の群781と関連する成形研磨粒子の第1の群784を有することができ、成形研磨粒子の第2の群785は別個の収容領域の第2の群782と関連することができ、成形研磨粒子の第3の群792は別個の収容領域の第3の群789と関連することができる。
【0190】
図7Dは、別個の接触領域と関連する成形研磨粒子の群の一部の画像である。とりわけ、成形研磨粒子の第1の群787は、第1の位置795にて裏材101に結合される第1の成形研磨粒子788および第2の位置796にて裏材101に結合される第1の成形研磨粒子789を含むことができる。特定の実施形態によれば、第1の成形研磨粒子788および第2の成形研磨粒子789は制御された非シャドウイング配置にて配置され得る。制御された非シャドウイング配置では、第1の成形研磨粒子788および第2の成形研磨粒子789は所定の回転配向、所定の横方向配向および所定の縦方向配向およびこれらの組み合わせのうち少なくとも2つを有することができる。より詳細には、第1の成形研磨粒子788の少なくとも一部は第2の成形研磨粒子789の一部に接触できる。いくつかのその他の本明細書の実施形態とは異なり、特定の場合には、群内の成形研磨粒子は互いに当接できる。例えば、少なくとも1つの実施形態において、第1の成形研磨粒子788の角は第2の成形研磨粒子789の角に当接できる。とりわけ、隣接粒子同士の重なり度合いは、粒子の幅未満、より詳細には、粒子の幅の半分未満であることができる。
【0191】
図7Dの図示される実施形態において、第1の成形研磨粒子788および第2の成形研磨粒子789を含む成形研磨粒子の第1の群787のうちの各成形研磨粒子の少なくとも一部、例えば一部分または大部分は、互いに対して一列に配置され得る。また、成形研磨粒子の群787内の成形研磨粒子の少なくとも一部は少なくとも1つの他の、すぐ隣の成形研磨粒子に接触できる。特定の理論に束縛されるものではないが、研磨粒子間の若干の接触は成形研磨粒子の群を補強するために好適であり得、グレイン保持および研削性能を改善できる。さらに、成形研磨粒子の群内の1つ以上の成形研磨粒子はすぐ隣のグレインと直接接触してもよく、特定の用途においてはより大きいグレイン重量をおよび改善された研削性能を促す。
【0192】
研磨物品を形成する方法およびシステム
【0193】
上記は所定の分布の成形研磨粒子を有する実施形態の研磨物品について記載した。以下では本明細書における実施形態のかかる研磨物品を形成するために使用される各種方法について記載する。本明細書で記載される任意の方法およびシステムが組み合わされて使用され、一実施形態に従って研磨物品の形成を容易にできることが理解されよう。
【0194】
一実施形態によると、研磨物品を形成する方法は、1つ以上の所定の配向特性により規定される第1の位置にて裏材に成形研磨粒子を配置することを含む。特に、成形研磨粒子を配置する方法はテンプレート化プロセスを含むことができる。テンプレート化プロセスは整列構造を利用してよく、この整列構造は、所定の配向にて1つ以上の成形研磨粒子を(一時的または永久的に)保持し、この1つ以上の成形研磨粒子を、研磨物品の1つ以上の所定の配向特性を有して規定される所定の位置に供給するように構成されてよい。
【0195】
一実施形態によると、整列構造は、織物、繊維材料、メッシュ、開口部を有する固体構造、ベルト、ローラー、パターン化材料、不連続層材料、パターン化接着材料およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない各種構造であることができる。特定の一実施形態において、整列構造は成形研磨粒子を保持するように構成される別個の接触領域を含むことができる。他の特定の例では、整列構造は、互いに離間され、複数の成形研磨粒子を保持するように構成される複数の別個の接触領域を含むことができる。本明細書における特定の実施形態では、別個の接触領域は一時的に成形研磨粒子を保持し、第1の成形研磨粒子を研磨物品の所定の位置に配置するように構成され得る。あるいは、別の実施形態では、別個の接触領域は第1の成形研磨粒子を永久的に保持し、第1の成形研磨粒子を第1の位置に配置するように構成され得る。とりわけ、別個の接触領域と成形研磨粒子との永久的保持を利用した実施形態では、整列構造は最終研磨物品に一体化されてもよい。
【0196】
本明細書における実施形態によるいくつかの例示的整列構造が
図9〜11に図示されている。
図9は、一実施形態による整列構造の一部の図である。特に、整列構造900は、互いに重なり合った繊維901および902を含む織物またはメッシュの形態であることができる。特に、整列構造900は、整列構造の物体の複数の交点によって規定されてよい別個の接触領域904、905および906を含むことができる。特に図示される実施形態では、別個の接触領域904〜906は、成形研磨粒子911、912および913を保持するように構成される、繊維901と902との交点、より詳細には2本の繊維901と902との接合部により規定され得る。特定の実施形態によれば、整列構造は、成形研磨粒子911〜913の配置および保持を容易にするために接着材料を含むことができる別個の接触領域904〜906をさらに含むことができる。
【0197】
理解されるように、繊維901および902の構造および配置により別個の接触領域904〜906の制御を容易にでき、さらに研磨物品における成形研磨粒子の1つ以上の所定の配向特性の制御を容易にできる。例えば、別個の接触領域904〜906は、成形研磨粒子の所定の回転配向、少なくとも2つの成形研磨粒子間の所定の回転配向の差、成形研磨粒子の所定の縦方向配向、2つの成形研磨粒子間の縦方向空間、所定の横方向配向、2つの成形研磨粒子間の横方向空間、成形研磨粒子の所定の垂直配向、2つの成形研磨粒子間の所定の垂直配向の差、成形研磨粒子の所定の先端高さ配向、2つの成形研磨粒子間の所定の先端高さの差のうち少なくとも1つを規定できるように構成され得る。
【0198】
図10は、一実施形態による整列構造の一部の図である。特に、整列構造1000は、成形研磨粒子1011および1012に係合し保持するように構成される別個の接触領域1002および1003を有するベルト1001の形態であることができる。一実施形態によれば、整列構造1000としては、整列構造において開口部の形態の別個の接触領域1002および1003を挙げることができる。開口部はそれぞれ1つ以上の成形研磨粒子を保持するように構成される形状であることができる。とりわけ、開口部はそれぞれ1つ以上の成形研磨粒子を保持するように構成される形状を有することができ、1つ以上の所定の配向特性を有する所定の位置での裏材への1つ以上の成形研磨粒子の配置を容易にする。少なくとも1つの実施形態では、別個の接触領域1002および1003を規定する開口部は、成形研磨粒子の断面形状に対して相補的な断面形状を有することができる。さらに、特定の例では、別個の接触領域を規定する開口部は、整列構造(すなわち、ベルト1001)の厚さ全体を通って延びる。
【0199】
さらに別の実施形態においては、整列構造は開口部により規定される別個の接触領域を含むことができ、開口部は整列構造の厚さ全体を部分的に通って延びる。例えば、
図11は、一実施形態による整列構造の一部の図である。とりわけ、整列構造1100はより厚い構造の形態であることができ、成形研磨粒子1111および1112を保持するように構成される別個の接触領域1102および1103を規定する開口部は基材1101の厚さ全体を通って延びない。
【0200】
図12は、一実施形態による整列構造の一部の図である。とりわけ、整列構造1200は、外面に開口部1203を有し別個の接触領域を規定するローラー1201の形態であることができる。別個の接触領域1203は、成形研磨粒子の一部が研磨物品1201に接触するまでローラー1201における成形研磨粒子1204の保持を容易にするように構成される特定の寸法を有することができる。研磨物品1201と接触すると、成形研磨粒子1204はローラー1201から解放され、1つ以上の所定の配向特性によって規定される特定の位置にて研磨物品1201に供給され得る。したがって、ローラー1201の開口部1203の形状および配向、研磨物品1201に対するローラー1201の位置および研磨物品1201に対するローラー1201の移動速度は成形研磨粒子1204の所定の分布での配置を容易にするために制御することができる。
【0201】
整列構造への成形研磨粒子の配置を容易にするために種々の処理ステップを用いてよい。好適なプロセスとしては、振動、接着、電磁吸引、パターニング、印刷、差圧、ロール塗布、自然落下およびこれらの組み合わせが挙げることができるが、これらに限定されない。さらに、例えば、カム、音響効果およびこれらの組み合わせを含む特定の装置を、整列構造における成形研磨粒子の配向を促すために使用してよい。
【0202】
さらに別の実施例では、整列構造は接着材料の層の形態であることができる。とりわけ、整列構造は接着剤部分の不連続層の形態であることができ、接着剤部分は1つ以上の成形研磨粒子を(一時的または永久的に)保持するように構成される別個の接触領域を規定する。一実施形態によると、別個の接触領域は接着剤を含むことができ、より詳細には、別個の接触領域は接着剤の層により規定され、さらにより詳細には、別個の接触領域はそれぞれ別個の接着剤領域により規定される。特定の場合には、接着剤としては、樹脂を挙げることができ、より詳細には、本明細書の実施形態に記載されるようなメイクコートとして使用する材料を挙げることができる。さらに、別個の接触領域は互いに対して所定の分布を規定でき、さらに、研磨物品上の成形研磨粒子の位置を規定できる。さらに、接着剤を含む別個の接触領域は所定の分布で配置され得、この所定の分布は裏材の上を覆う成形研磨粒子の所定の分布と実質的に同じである。特定の例において、接着剤を含む別個の接触領域は所定の分布で配置され得、成形研磨粒子を保持するように構成され得、さらに成形研磨粒子各々についての所定の配向特性のうち少なくとも1つを規定できる。
【0203】
図13は、一実施形態による、接着剤を含む別個の接触領域を含む整列構造の一部の図である。図示されているように、整列構造1300は、接着剤の別個の領域を含みかつ成形研磨粒子と結合するように構成される第1の別個の接触領域1301を含むことができる。整列構造1300はさらに、第2の別個の接触領域1302および第3の別個の接触領域1303を含むことができる。一実施形態によると、少なくとも第1の別個の接触領域1301は、成形研磨粒子の少なくとも1つの寸法に関係する幅(w)1304を有することができ、これにより裏材に対して特定の配向での成形研磨粒子の配置を容易にすることができる。例えば、裏材に対する好適な特定の配向としては、側面配向、平坦配向および反転配向を挙げることができる。特定の実施形態によれば、第1の別個の接触領域1301は、成形研磨粒子の高さ(h)に関係する幅(w)1304を有することができ、成形研磨粒子の側面配向を促す。本明細書における高さへの言及は、成形研磨粒子のバッチの好適なサンプルサイズの平均高さまたは中央高さ値への言及であることができることが理解されよう。例えば、第1の別個の接触領域1301の幅1304は成形研磨粒子の高さ以下であることができる。他の例では、第1の別個の接触領域1301の幅1304は、約0.99(h)以下、例えば約0.95(h)以下、約0.9(h)以下、約0.85(h)以下、約0.8(h)以下、約0.75(h)以下、またはさらには約0.5(h)であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、第1の別個の接触領域1301の幅1304は、少なくとも約0.1(h)、少なくとも約0.3(h)またはさらには少なくとも約0.5(h)であることができる。第1の別個の接触領域1301の幅1304は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0204】
特定の実施形態では、第1の別個の接触領域1301は縦方向間隙1305により第2の別個の接触領域1302から離間され得、縦方向間隙1305は、裏材101の縦軸180に平行な方向で直接隣り合った別個の接触領域1301と1302との間の最小距離を測ったものである。特に、縦方向間隙1305の制御により、成形研磨粒子の研磨物品表面における所定の分布の制御を容易にすることができ、これにより改善された性能を促すことができる。一実施形態によると、縦方向間隙1305は成形研磨粒子のうちの1つまたはサンプリングの寸法に関連し得る。例えば、縦方向間隙1305は少なくとも成形研磨粒子の幅(w)と同じであることができ、ここで幅は本明細書に記載される粒子の最長辺を測ったものである。本明細書における成形研磨粒子の幅(w)への言及は、成形研磨粒子のバッチの好適なサンプルサイズの平均幅または中央幅値への言及であることができることが理解されよう。特定の例では、縦方向間隙1305は、幅より大きくなり得、例えば少なくとも約1.1(w)、少なくとも約1.2(w)、少なくとも約1.5(w)、少なくとも約2(w)、少なくとも約2.5(w)、少なくとも約3(w)またはさらには少なくとも約4(w)であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、縦方向間隙1305は、約10(w)以下、約9(w)以下、約8(w)以下、またはさらには約5(w)以下であることができる。縦方向間隙1305は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0205】
特定の実施形態では、第2の別個の接触領域1302は横方向間隙1306により第3の別個の接触領域1303から離間され得、横方向間隙1306は裏材101の横軸181に平行な方向で、直接隣り合った別個の接触領域1302と1303との間の最小距離を測ったものである。特に、横方向間隙1306の制御により、成形研磨粒子の研磨物品表面における所定の分布の制御を容易にすることができ、これにより改善された性能を促すことができる。一実施形態によると、横方向間隙1306は成形研磨粒子のうちの1つまたはサンプリングの寸法に関連し得る。例えば、横方向間隙1306は少なくとも成形研磨粒子の幅(w)と同じであることができ、ここで幅は本明細書に記載される粒子の最長辺を測ったものである。本明細書における幅(w)への言及は、成形研磨粒子のバッチの好適なサンプルサイズの平均幅または中央幅値への言及であることができることが理解されよう。特定の例では、横方向間隙1306は成形研磨粒子の幅未満であることができる。さらに、他の例では、横方向間隙1306は成形研磨粒子の幅より大きくなり得る。一態様によると、横方向間隙1306は0であることができる。さらに別の態様では、横方向間隙1306は、少なくとも約0.1(w)、少なくとも約0.5(w)、少なくとも約0.8(w)、少なくとも約1(w)、少なくとも約2(w)、少なくとも約3(w)またはさらには少なくとも約4(w)であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、横方向間隙1306は、約100(w)以下、約50(w)以下、約20(w)以下、またはさらには約10(w)以下であることができる。横方向間隙1306は、上述した任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0206】
第1の別個の接触領域1301は、例えば、印刷、パターニング、グラビアロール、エッチング、除去、コーティング、堆積およびこれらの組み合わせ等の各種方法を使用して裏材の主上面に形成され得る。
図14A〜Hは、本発明の実施形態による、接着材料から形成される別個の接触領域を含む、種々のパターンの整列構造を有する研磨物品を形成する工具の一部の上面図である。特定の例では、工具は、裏材に接触してパターン化整列構造を裏材に転写できるテンプレート化構造を含むことができる。特定の一実施形態において、工具は、裏材上で転がされてパターン化整列構造を裏材に転写できる、接着材料から形成される別個の接触領域を含むパターン化整列構造を有するグラビアローラーであることができる。その後、成形研磨粒子は裏材の別個の接触領域に対応する領域に配置され得る。
【0207】
少なくとも1つの特定の態様では、一実施形態の研磨物品は、裏材の少なくとも一部分上に接着剤を含むパターン化構造を形成することを含む。とりわけ、一例では、パターン化構造はパターン化メイクコートの形態であることができる。パターン化メイクコートは、裏材の上を覆う少なくとも1つの接着剤領域、第1の接着剤領域とは別個の裏材の上を覆う第2の接着剤領域、および第1接着剤領域と第2接着剤領域との間の少なくとも1つの露出領域を含む不連続層であることができる。少なくとも1つの露出領域は接着材料を本質的に含まず、メイクコートにおける間隙を表すことができる。一実施形態において、パターン化メイクコートは、所定の分布にて互いに対して整理された接着剤領域のアレイの形態であることができる。裏材上の接着剤領域の所定の分布を有してのパターン化メイクコートの形成により所定の分布での成形砥粒の配置を容易にすることができ、特に、パターン化メイクコートの接着剤領域の所定の分布は成形研磨粒子の位置に対応でき、成形研磨粒子はそれぞれ裏材の接着剤領域にて接着可能であるため、裏材の成形研磨粒子の所定の分布に対応する。さらに、少なくとも1つの実施形態では、本質的に複数の成形研磨粒子のうちの成形研磨粒子はいずれも露出領域を覆わない。さらに、単一の接着剤領域は単一の成形研磨粒子を含むように成形されサイズ決めされ得ることが理解されよう。しかし、別の実施形態では、接着剤領域は複数の成形研磨粒子を含むように成形されサイズ決めされ得る。
【0208】
種々のプロセスが、例えばパターン化メイクコート等のパターン化構造の形成に利用されてよい。一実施形態では、このプロセスとしては、メイクコートの選択的堆積を挙げることができる。さらに別の実施形態においては、このプロセスとしては、メイクコートの少なくとも一部の選択的除去を挙げることができる。いくつかの例示的プロセスとしては、コーティング、噴霧、ロール、印刷、マスキング、照射、エッチングおよびこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の実施形態によれば、パターン化メイクコートの形成は、パターン化メイクコートを第1の構造に提供し、このパターン化メイクコートを裏材の少なくとも一部に転写することを含む。例えば、グラビアローラーはパターン化メイクコート層を備えていてもよく、ローラーは裏材の少なくとも一部上を移動し、パターン化メイクコートをローラー表面から裏材表面に転写できる。
【0209】
上記では特定の研磨物品およびこの研磨物品を形成する際に使用するのに好適な構造(例えば、整列構造)について記載した。以下の実施形態は特定の方法について記述しており、これは本明細書の実施形態と併せてまたは別個に使用されてよく、実施形態による研磨物品の形成を容易にする。
【0210】
一実施形態によると、成形研磨粒子を研磨物品に供給するプロセスとしては、整列構造内の開口部から第1の成形研磨粒子を排出することを挙げることができる。排出するのに好適ないくつかの例示的方法としては、成形研磨粒子に力を加え、整列構造から除去することを挙げることができる。例えば、特定の場合には、成形研磨粒子は整列構造内に収容され、重力、静電引力、表面張力、差圧、機械的な力、磁力、揺動、振動およびこれらの組み合わせを使用して整列構造から排出され得る。少なくとも1つの実施形態では、成形研磨粒子は整列構造内に収容され得、成形研磨粒子の表面が、接着材料を含むことができる裏材表面に接触すると、成形研磨粒子は整列構造から除去され、裏材の所定の位置へと供給される。
【0211】
別の実施形態によれば、成形研磨粒子を経路に沿って摺動させることにより、制御された方法で成形研磨粒子を研磨物品表面に供給することができる。例えば、一実施形態において、成形研磨粒子を摺動させ、経路を通って重力により開口部を通すことにより、成形研磨粒子を裏材の所定の位置に供給することができる。
図15は一実施形態によるシステムの図である。とりわけ、システム1500は、ある含有量の成形研磨粒子1503を収容し、ホッパー1502の下で移動され得る裏材1501の表面に成形研磨粒子1503を供給するように構成されるホッパー1502を含むことができる。図示されているように、成形研磨粒子1503は、ホッパー1502に取り付けられた経路1504を通って、制御された方法で裏材1501表面に供給され得、互いに対して所定の分布にて配置された成形研磨粒子を含む被覆研磨物品を形成する。特定の例では、成形研磨粒子の所定の分布の形成を容易にするために、経路1504は特定の数の成形研磨粒子を特定の速度で供給するようにサイズ決めおよび成形され得る。さらに、成形研磨粒子の選択所定の分布の形成を容易にするために、 ホッパー1502および経路1504は裏材1501に対して移動可能であってよい。
【0212】
また、成形研磨粒子の改善された配向を促すために、裏材1501は、裏材1501および裏材1501に含まれる成形研磨粒子を揺動または振動させられる振動テーブル1506上で移動されてもよい。
【0213】
さらに別の実施形態においては、成形研磨粒子は、投入プロセスにより裏材に個々の成形研磨粒子を排出することによって、所定の位置に供給され得る。投入プロセスでは、裏材の所定の位置にて研磨粒子を保持するのに十分な速度で、成形研磨粒子が加速され容器から排出されてよい。例えば、
図16は投入プロセスを使用したシステムの図であり、成形研磨粒子1602は投入ユニット1603から供給されるが、この投入ユニット1603は力(例えば、差圧)により成形研磨粒子を加速させ、投入ユニット1603から投入ユニット1603に取り付けられてよい経路1605を通り、裏材1601の所定の位置へと成形研磨粒子1602を供給する。裏材1601は投入ユニット1603の下で移動され得るため、最初の配置後、成形研磨粒子1602は、裏材1601表面上の接着材料を硬化させて、成形研磨粒子1602をそれらの所定の位置にて保持することができる硬化プロセスを受けることができる。
【0214】
図17Aは、一実施形態による別の投入プロセスの図である。とりわけ、裏材の所定の位置における成形研磨粒子1702の配置を容易にするために、投入プロセスは、投入ユニット1703から間隙1708上に成形研磨粒子1702を排出することを含むことができる。排出力、排出されるときの成形研磨粒子1702の配向、裏材1701に対する成形研磨粒子1703の配向および間隙1708は、成形研磨粒子1702の所定の位置および互いに対する裏材1701における成形研磨粒子1702の所定の分布を調整するために制御および調整されてよいことが理解されよう。成形研磨粒子1702と研磨物品1701間の接着を容易にするために、研磨物品1701は表面の一部に接着材料1712を含んでもよいことが理解されよう。
【0215】
特定の例では、成形研磨粒子1702はコーティングを有するように形成することができる。コーティングは成形研磨粒子1702の外面の少なくとも一部の上を覆うことができる。特定の一実施形態において、コーティングとしては、有機材料、より詳細にはポリマー、さらに詳細には接着材料を挙げることができる。接着材料を含むコーティングにより成形研磨粒子1702の裏材1701への付着を促すことができる。
【0216】
図17Bは、一実施形態による別の投入プロセスの図である。特に、
図17Bの実施形態は、成形研磨粒子1702を研磨物品1701に導くように構成される特定の投入ユニット1721を詳細に示す。一実施形態によれば、投入ユニット1721は複数の成形研磨粒子1702を収容するように構成されるホッパー1723を含むことができる。さらに、ホッパー1723は、制御された方法で1つ以上の成形研磨粒子1702を加速領域1725に供給するように構成され得、成形研磨粒子1702は加速され研磨物品1701へと導かれる。特定の一実施形態において、投入ユニット1721は、加圧流体、例えば制御されたガス流またはエアナイフユニットを利用したシステム1722を含むことができるので、加速領域1725における成形研磨粒子1702の加速を容易にする。さらに図示されるように、投入ユニット1721は概して成形研磨粒子1702を研磨物品1701の方に導くように構成されるスライド1726を利用してよい。一実施形態において、投入ユニット1731および/またはスライド1726は複数の位置間で可動であり、研磨物品の特定の位置への個々の成形研磨粒子の供給を容易にするように構成され得るため、成形研磨粒子の所定の分布の形成を容易にする。
【0217】
図17Aは、一実施形態による別の投入プロセスの図である。
図17Cの実施形態は、成形研磨粒子1702を研磨物品1701に導くように構成される別の投入ユニット1731を詳細に示す。一実施形態によれば、投入ユニット1731は複数の成形研磨粒子1702を収容し、制御された方法で加速領域1735へ1つ以上の成形研磨粒子1702を供給するように構成されるホッパー1734を含むことができ、成形研磨粒子1702は加速され研磨物品1701へと導かれる。特定の一実施形態において、投入ユニット1731は、軸周りに回転でき、特定の回転速度でステージ1733を回転させるように構成されるスピンドル1732を含むことができる。成形研磨粒子1702はホッパー1734からステージ1733に供給され得、ステージ1733から研磨物品1701の方へ特定で加速され得る。理解されるように、スピンドル1732の回転速度は、研磨物品1701への成形研磨粒子1702の所定の分布を制御するように制御されてよい。さらに、投入ユニット1731は複数の位置間で可動であり、研磨物品の特定の位置への個々の成形研磨粒子の供給を容易にするように構成され得るため、成形研磨粒子の所定の分布の形成を容易にする。
【0218】
別の実施形態によれば、研磨物品の所定の位置に成形研磨粒子を供給し、互いに対して所定の分布にて複数の成形研磨粒子を有する研磨物品を形成するプロセスは磁力の印加を含む。
図18は一実施形態によるシステムの図である。システム1800は、複数の成形研磨粒子1802を収容し、第1の移動ベルト1803に成形研磨粒子1802を供給するように構成されるホッパー1801を含むことができる。
【0219】
図示されているように、成形研磨粒子1802はベルト1803に沿って、成形研磨粒子のそれぞれを別個の接触領域にて収容するように構成される整列構造1805まで移動され得る。一実施形態によると、成形研磨粒子1802は移送ローラー1804を介してベルト1803から整列構造1805に移動させることができる。特定の例では、移送ローラー1804はベルト1803から整列構造1805への成形研磨粒子1802の制御された除去を容易にするために磁石を利用してよい。磁気材料を含むコーティングの提供により、磁力によって移送ローラー1804の使用を促すことができる。
【0220】
成形研磨粒子1802およびは整列構造1805から裏材1807の所定の位置へと供給され得る。図示されているように、成形研磨粒子1802の整列構造1805から裏材1807への移送を容易にするために、裏材1807は整列構造1805とは別のベルト上で移動され、整列構造に接触することができる。
【0221】
さらに別の実施形態では、研磨物品の所定の位置に成形研磨粒子を供給し、互いに対して所定の分布にて複数の成形研磨粒子を有する研磨物品を形成するプロセスは磁石のアレイの使用を含むことができる。
図19は、一実施形態による研磨物品を形成するシステムの図である。特に、システム1900は整列構造1901に含まれる成形研磨粒子1902を含むことができる。図示されているように、システム1900は磁石のアレイ1905を含むことができ、磁石のアレイ1905は裏材1906に対して所定の分布で配置される複数の磁石を含むことができる。一実施形態によれば、磁石のアレイ1905は、成形研磨粒子の裏材における所定の分布と実質的に同じであり得る所定の分布で配置され得る。
【0222】
また、磁石のアレイ1905の磁石はそれぞれ第1の位置と第2の位置間で可動であることができ、これにより磁石のアレイ1905の形状の制御を容易にでき、さらに磁石の所定の分布および裏材における成形研磨粒子1902の所定の分布の制御を容易にできる。一実施形態によると、研磨物品における成形研磨粒子1902の1つ以上の所定の配向特性の制御を容易にするために磁石のアレイ1905を変えることができる。
【0223】
さらに、磁石のアレイ1905の磁石はそれぞれ第1の状態と第2の状態間で動作可能であってよく、ここで第1の状態は第1の磁気強度(例えば、オン状態)と関連し得、第2の状態は第2の磁気強度(例えば、オフ状態)と関連し得る。各磁石の状態の制御により、裏材1906の特定の領域への成形研磨粒子の選択的供給を容易にでき、さらに所定の分布の制御を容易にできる。一実施形態によると、成形研磨粒子1902の研磨物品における1つ以上の所定の配向特性の制御を容易にするために、磁石のアレイ1905の磁石の状態を変えることができる。
【0224】
図20Aは、一実施形態による研磨物品を形成するために使用される工具の画像である。とりわけ、工具2051は基材を含むことができ、基材は、成形研磨粒子を含み、最終的に形成される研磨物品への成形研磨粒子の移送および配置を補助するように構成される別個の接触領域を規定する開口部2052を有する整列構造であってよい。図示されているように、開口部2052は整列構造において互いに対して所定の分布にて配置され得る。特に、開口部2052は、互いに対して所定の分布を有する1つ以上の群2053に配置され得、これにより1つ以上の所定の配向特性により規定される所定の分布での研磨物品への成形研磨粒子の配置を容易にできる。特に、工具2051は開口部2052の列により規定される群2053を含むことができる。あるいは、工具2051は図示される開口部2052すべてにより規定される群2055を有してもよいが、これは各開口部が基材に対して実質的に同じ所定の回転配向を有するからである。
【0225】
図20Bは、一実施形態による研磨物品を形成するために使用される工具の画像である。とりわけ、
図20Bに図示したように、成形研磨粒子2001は
図20Aの工具2051に収容され得、より詳細には、工具2051は整列構造であることができ、各開口部2052は単一の成形研磨粒子2001を収容する。特に、成形研磨粒子2001は、下向きに見て三角形の二次元形状を有することができる。さらに、成形研磨粒子2001は、成形研磨粒子の先端が開口部2052内に延び、開口部2052を通って工具2051の反対側へ延びるように、開口部2052に配置され得る。開口部2052は、開口部2052が成形研磨粒子2001の少なくとも一部(全体でない場合)の輪郭を実質的に補完し、成形研磨粒子2001を、工具2051における1つ以上の所定の配向により規定される所定位置に保持するようにサイズ決めおよび成形され得、これにより成形研磨粒子2001の工具2051から裏材への移動を容易にしながらも、所定の配向特性を維持する。図示されているように、成形研磨粒子2001は、成形研磨粒子2001の表面の少なくとも一部が工具2051の表面の上に延びるように開口部2052内に収容され得、これにより成形研磨粒子2001の開口部2052から裏材への移動を容易にできる。
【0226】
図示されているように、成形研磨粒子2001は群2002を規定できる。群2002は所定の分布の成形研磨粒子2001を含むことができ、各成形研磨粒子は実質的に同じ所定の回転配向を有する。さらに各成形研磨粒子2001は実質的に同じ所定の垂直配向および所定の先端高さ配向を有する。さらに、群2002は、工具2051の横軸2081に平行な平面に配向される複数の列(例えば、2005、2006および2007)を含む。また、群2002内には、成形研磨粒子2001のより小さな群(例えば、2012、2013および2014)が存在してもよく、成形研磨粒子2001は、互いに対する所定の横方向配向および所定の縦方向配向の組み合わせにおいて同じ差を有する。とりわけ、群2012、2013および2014の成形研磨粒子2001は傾斜した縦列に配向され得、群は工具2051の縦軸2080に対してある角度で延びるが、成形研磨粒子2001は、互いに対する所定の縦方向配向および所定の横方向配向において実質的に同じ差を有することができる。さらに図示されるように、成形研磨粒子2001の所定の分布はパターンを規定でき、これは三角形パターン2011とみなしてよい。さらに、群2002は、群の境界が四辺形の二次元マイクロ単位(点線参照)を規定するように配置され得る。
【0227】
図20Cは、一実施形態による研磨物品の一部の画像である。特に、研磨物品2060は、裏材2061および複数の成形研磨粒子2001を含み、複数の成形研磨粒子2001は工具2051の開口部2052から裏材2051へと移動された。図示されているように、工具の開口部2052の所定の分布は、裏材2051に収容される群2062の成形研磨粒子2001の所定の分布に対応できる。成形研磨粒子2001の所定の分布は1つ以上の所定の配向特性により規定され得る。また、
図20Cから明らかなように、成形研磨粒子2001が工具2051に含まれる場合、成形研磨粒子2001は、
図20Bの成形研磨粒子の群に実質的に対応する群で配置され得る。
【0228】
本明細書における特定の研磨物品では、研磨物品における複数の成形研磨粒子のうち少なくとも約75%は、裏材に対して、例えば本明細書における実施形態に記載されるような側面配向等の所定の配向を有することができる。さらに、この割合はこれより大きくてもよく、例えば、少なくとも約77%、少なくとも約80%、少なくとも約81%またはさらには少なくとも約82%であってよい。非限定的な一実施形態では、研磨物品は、本明細書における成形研磨粒子を用いて形成され得、成形研磨粒子の全含有量のうち約99%以下が所定の側面配向を有する。本明細書での所定の配向にある成形研磨粒子の割合への言及は、統計学的に関連する数の成形研磨粒子および成形研磨粒子の全含有量のランダムサンプリングに基づくことが理解されよう。
【0229】
所定の配向にある粒子の割合を求めるために、下表1の条件にて動作されるCTスキャンマシンを用いて研磨物品の2D微小焦点X線画像を得る。X線2Dイメージングは品質保証ソフトウェアを使用して行われた。試験体取付器具は4インチ×4インチのウィンドウおよび直径0.5インチの固体金属ロッドを備えたプラスチックフレームを利用し、固体金属ロッドの上部は、フレームを固定するための2本のねじを有して半平坦化されている。イメージングの前に 試験体をフレームの片側で留めたが、ここでねじ頭はX線の入射方向に向いていた。次いで、4インチ×4インチのウィンドウの領域内の5つの領域を120kV/80μAにてイメージングするために選択した。各2D投影はX線オフセット/ゲイン補正を行った上で、ある倍率にて記録された。
【0231】
その後、画像をImageJプログラムを使用して読み込み分析し、異なる配向は下表2に従って値を割り当てる。
図32は一実施形態によるコーティングされた研磨材の部分を表し、裏材における成形研磨粒子の配向を分析するために使用される画像である。
【0233】
次に、下表3にて提供されるような3つの計算を行う。計算を行うと、平方センチメートル当たりの側面配向にある成形研磨粒子の割合を導くことができる。とりわけ、側面配向を有する粒子は、成形研磨粒子の主表面と裏材表面との間の角度により規定される垂直配向を有する粒子であり、この角度は45°以上である。したがって、45°以上の角度を有する成形研磨粒子は立っているかまたは側面配向を有するとみなされ、45°の角度を有する成形研磨粒子は傾斜して立っているとみなされ、45°未満の角度を有する成形研磨粒子は下方配向を有するとみなされる。
【0235】
さらに、成形研磨粒子で作成される研磨物品はさまざまな含有量の成形研磨粒子を利用できる。例えば、研磨物品は、開放コーティング構成または閉鎖コーティング構成の成形研磨粒子の単一層を含む被覆研磨物品であることができる。しかし、かなり意外なことに、成形研磨粒子は開放コーティング構成にて優れた結果を示すことが発見された。例えば、複数の成形研磨粒子は、約70粒子/cm
2以下の成形研磨粒子のコーティング密度を有する開放コーティング研磨材製品を規定できる。他の例では、研磨物品1平方センチメートル当たりの成形研磨粒子の密度は、約65粒子/cm
2以下、例えば約60粒子/cm
2以下、約55粒子/cm
2以下、またはさらには約50粒子/cm
2以下であってよい。さらに、非限定的な一実施形態において、本明細書における成形研磨粒子を使用した開放コーティング被覆研磨材の密度は、少なくとも約5粒子/cm
2またはさらには少なくとも約10粒子/cm
2であることができる。研磨物品1平方センチメートル当たりの成形研磨粒子の密度は、任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0236】
特定の例では、研磨物品は、物品の研磨材外表面を覆う研磨粒子が約50%以下のコーティングの開放コーティング密度を有することができる。他の実施形態において、研磨材表面の全面積に対する研磨粒子のコーティング割合は、約40%以下、約30%以下、約25%以下またはさらには約20%以下であることができる。さらに、非限定的な一実施形態において、研磨材表面の全面積に対する研磨粒子のコーティング割合は、少なくとも約5%、例えば少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%またはさらには少なくとも約40%であることができる。研磨材表面の全面積に対する成形研磨粒子の被覆割合は、任意の最小値から最大値の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【0237】
研磨物品によっては裏材の長さ(例えば、リーム)に対して特定の含有量の研磨粒子を有し得る。例えば、一実施形態において、研磨物品は、少なくとも約10lbs/リーム(148グラム/m
2)、少なくとも約15lbs/リーム、少なくとも約20lbs/リーム、例えば少なくとも約25lbs/リーム、またはさらには少なくとも約30lbs/リームの正規化重量の成形研磨粒子を使用してよい。さらに、非限定的な一実施形態において、研磨物品は、約60lbs/リーム(890グラム/m
2)以下、例えば約50lbs/リーム以下またはさらには約45lbs/リーム以下の正規化重量の成形研磨粒子を含むことができる。本明細書における実施形態の研磨物品は、任意の最小値から最大値の範囲内の成形研磨粒子の正規化重量を利用できることが理解されよう。
【0238】
特定の場合には、研磨物品は特定の加工品で使用可能である。好適な例示的加工品としては、無機材料、有機材料、天然材料およびこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の実施形態によれば、加工品としては金属または合金、例えば鉄ベース材料、ニッケルベース材料等を挙げることができる。一実施形態では、加工品は鋼であることができ、より詳細には本質的にステンレス鋼(例えば、304ステンレス鋼)からなることができる。
【実施例】
【0239】
実施例1
【0240】
研削試験を行って、研削方向に対する成形砥粒の配向の効果を評価する。本試験では、第1の組の成形研磨粒子(サンプルA)は研削方向に対して正面配向で配向される。少し
図3Bを見てみると、成形研磨粒子102は、正面配向研削方向385を有するため、主表面363は研削方向に略垂直な平面を規定し、より詳細には、成形研磨粒子102の二等分軸231は研削方向385に略平行である。サンプルAは、オーステナイトステンレス鋼の加工品に対して正面配向でホルダに取り付けられた。ホイール速度は22m/s、加工速度は16m/sで維持された。切削深さは0〜30ミクロンの間で選択できる。各試験は、8インチ長の加工品上を15回通過することからなる。各試験にて、10の反復サンプルが行われ、結果を分析し平均した。引っかき傷の長さの始まりから終わりまでの溝の断面積の変化を測定して、グリットの摩耗を求めた。
【0241】
第2の組のサンプル(サンプルB)もサンプルAについて記載された研削試験に従って試験された。しかし、特に、サンプルBの成形研磨粒子は研削方向に対して裏材にて横向き配向を有する。少し
図3Bを見てみると、成形研磨粒子103は研削方向385に対して横向き配向を有するものとして図示される。図示されているように、成形研磨粒子103は、側面371および372により接合され得る主表面391および392を含むことができ、成形研磨粒子103は、研削方向385のベクトルに対して特定の角度を成す二等分軸373を有することができる。図示されているように、成形研磨粒子103の二等分軸373は、二等分軸373と研削方向385との間の角度が本質的に0°であるように、研削方向385に対して略平行配向を有することができる。したがって、成形研磨粒子103の横向き配向により、成形研磨粒子103の他の表面のいずれかと接触する前に側面372と加工品とが最初に接触することを容易にする。
【0242】
図21は、実施例1の切削試験による、サンプルAおよびサンプルBについての垂直力(N)対切削回数のプロットを含む。
図21は、複数回の通過または切削に対する代表的サンプルAおよびBの成形研磨粒子によって加工品の研削を行うのに必要な垂直力を示す。図示されているように、サンプルAの垂直力は最初はサンプルBの垂直力よりも小さい。だが、試験を続けるにつれ、サンプルAの垂直力はサンプルBの垂直力を超える。したがって、場合によっては、研磨物品は、目的の研削方向に対して成形研磨粒子の異なる配向の組み合わせ(例えば、正面配向および横向き配向)を利用し、改善された研削性能を促すことができる。特に、
図21で図示されているように、研削方向に対する成形研磨粒子の配向の組み合わせにより、研磨物品の寿命を通じたより低い垂直力、改善された研削効率および研磨物品のより長い耐用期間を促すことができる。このため、実施例1ではとりわけ、互いに対してかつ研削方向に対して異なる所定の配向特性を有する成形研磨粒子の異なる群の利用により、従来のパターン化グレインを有するパターンよりも改善された性能を促すことができることを示す。
【0243】
実施例2
【0244】
5つのサンプルを分析して、成形研磨粒子の配向を比較する。3つのサンプル(サンプルS1、S2およびS3)は一実施形態に従って作成される。
図22は、本明細書に記載される条件に従ったCTスキャンマシンを介して2D微小焦点X線を使用したサンプルS1の一部の画像である。他の2つのサンプル(サンプルCS1およびCS2)は成形研磨粒子を含む従来の研磨材製品を代表する。サンプルCS1およびCS2はCubitron IIとして3M社から市販されている。サンプルCS2はCubitron IIとして3M社から市販されている。
図23は、本明細書に記載される条件に従ったCTスキャンマシンを介して2D微小焦点X線を使用したサンプルCS1の一部の画像である。各サンプルは、X線分析により成形研磨粒子の配向を評価するための本明細書に記載される条件に従って評価される。
【0245】
図24は、各サンプル(サンプル1およびサンプルC1)についてのcm
2当たりの立っているグレインおよびcm
2当たりのグレイン合計数のプロットである。図示されているように、サンプルCS1およびCS2は、サンプルS1、S2およびS3と比べて側面配向(すなわち、直立配向)で配向される成形研磨粒子の数が顕著に少ないことを示す。特に、サンプルS1は、測定したすべての成形研磨粒子(すなわち、100%)が側面配向で配向されていると示されたが、CS2の成形研磨粒子の合計数の72%しか側面配向を有していなかった。明らかなように、成形研磨粒子を使用した現況技術の従来型の研磨物品(C1)は本明細書で記載される研磨物品の配向の精度には達していない。
【0246】
実施例3
【0247】
2つのサンプルが、研削効率に対する種々の配向の効果を分析するために作成され試験された。第1のサンプル(サンプルS4)は、
図28に図示されるパターンによって示されるような非シャドウイング分布を有する一実施形態に従って作成された。成形研磨粒子の配置は、実質的に図のY軸と平行かつ実質的に裏材の縦軸と平行に延びる研削方向に対して非シャドウイング配置を有していた。サンプルS4は三角形の形状を有する成形研磨粒子を約20lbs/リーム使用し、成形研磨粒子の少なくとも70%は側面配向で配向された。
【0248】
従来の第2のサンプル(サンプルCS3)は成形研磨粒子の従来のパターンを有して作成されたが、これは
図29に示されるようなシャドウイング分布の1つの種類の例であり、
図29は、正方形パターンを示すサンプルCS3の一部の画像であり、ここで正方形の繰り返し単位の各辺は裏材の縦軸および横軸と位置合わせされる。サンプルS4に使用される同じサイズ、形状および量の成形研磨粒子がサンプルCS3に使用され、実質的な差異は裏材における成形研磨粒子の配置のみであった。図示されているように、成形研磨粒子の配置は裏材の横軸および縦軸に対してシャドウイング配置である。研削方向は裏材の縦軸に略平行であった。
【0249】
サンプルは下表4にて与えられる条件下で試験された。
【0250】
【表4】
【0251】
試験に使用された加工品は、ナノビア社製3D光学表面計(白色光色収差技術)を使用して分析し、研磨操作後に加工品の表面特性を決定した。試験した各加工品について、5.0mm×5.0mmの面スキャンを使用して各サンプルから1つの領域を切り抜いた。すべてのサンプルに、X軸およびY軸両方について10μmのステップサイズを使用した。フルスキャンデータのために非フィルタリング領域のパラメータ(Sx)を算出した。20本の輪郭が面スキャンから抽出され、平均パラメータ(Px)が算出された。サンプルデータで報告される輪郭パラメータはすべて、参考のために追加スライドにて具体的詳細が説明される。分析により、下表4で与えられる6つの表面特性の計算が可能になった。SaはEUR15178 ENレポート(すなわち、「The Development of Methods for the Characterisation of Roughness in Three Dimensions」、Stout, K.J.ら、EC委員会を代表して出版)による表面の相加平均偏差であることに留意されたい。SqはEUR15178 ENレポートによる表面の2乗平均平方根偏差である。Stは表面の全高であり、最高ピークと最深谷部の間の高さ差を測ったものである。Spは頂点の最大高さであり、最高ピークと平均平面の高さ差を測ったものである。Svは谷部の最大深さであり、平均平面と最深谷部との距離を測ったものである。Szは表面の10点の高さであり、EUR15178 ENレポートによる5つの最高ピークと5つの最深谷部の間の平均距離である。
【0252】
【表5】
【0253】
図29は、サンプルS4の研磨材により研磨操作を行った後の加工品表面の一部の画像である。
図30は、サンプルCS3の研磨材により研磨操作を行った後の加工品表面の一部の画像である。画像と表5のデータとの比較により明らかに示されるように、サンプルS4に関連する成形研磨粒子の非シャドウイング配置は、成形研磨粒子のシャドウイングパターンを使用したサンプルCS3を用いた研削操作にて得られた結果と比べて、顕著に優れた加工品の研削性能および表面全体の加工が得られた。
【0254】
サンプル(すなわち、S4およびCS3)のそれぞれに対して、3回の試験ランを行い、各試験ランにて除去された材料の量を求め平均した。サンプルS4での除去材料平均はサンプルCS3に比べて16%高かったため、これはサンプルCS3よりも改善された材料除去能を示す。
【0255】
本出願は現況技術からの発展を表す。当産業は、成形研磨粒子が成形およびスクリーン印刷等のプロセスによって形成できることを認識しているが、本明細書における実施形態のプロセスはこのようなプロセスとは異なる。とりわけ、本明細書における実施形態は、特定の特徴を有する成形研磨粒子の形成を容易にするプロセス特徴の組み合わせを包含する。さらに、本明細書における実施形態の研磨物品は、成形研磨粒子の所定の分布、特定の配向特性の組み合わせの利用、群、列、縦列、集団、マイクロ単位、チャネル領域、アスペクト比を含むがこれに限定されない成形研磨粒子のアスペクト、組成、添加物、二次元形状、三次元形状、高さ差、高さ輪郭の差、フラッシング割合、高さ、ディッシングおよびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、他の研磨物品とは異なる特定の特徴の組み合わせを有することができる。実際、本明細書における実施形態の研磨物品は改善された研削性能を促すことができる。当産業は一般に、特定の研磨物品は特定の研磨材単位に対する秩序を有して形成され得ることを理解しているが、このような研磨材単位は従来は、結合剤系によりまたは従来の研磨材もしくは超砥粒グリットを使用して容易に成形され得る研磨複合材料に限られていた。当産業は、本明細書に記載されるような所定の配向特性を有する成形研磨粒子から研磨物品を形成するためのシステムを検討または開発してこなかった。所定の配向特性を効果的に制御するための成形研磨粒子の操作は重要事項であり、当分野において開示または示唆されていない3つの空間における粒子の制御を指数関数的に改善した。本明細書における用語「同じ」への言及は、「実質的に同じ」を意味するものと理解される。また、本明細書における実施形態は、略長方形形状を有する裏材について言及してきたが、非シャドウイング配置における成形研磨粒子の配置は他の形状の裏材(例えば、円形または楕円形の裏材)にも同様に適用可能であることが理解されよう。
【0256】
上記で開示された主題は例示的かつ非限定的なものであるとみなされなければならず、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内である、かかる変形、改良および他の実施形態をすべて包含するものであることが意図される。したがって、法律によって認められる最大限の範囲まで、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらに相当するものの許容されるもっとも広い解釈によって定義されるべきであり、また、前述の詳細な説明によって制限または限定されるものではない。
【0257】
用語「含む(comprises、comprising)」、「含む、包含する(including)」、「有する(has、having)」またはこれらの任意の他の変形形態は、非排他的包含を網羅するように意図される。例えば、特徴のリストを含む方法、物品または装置は必ずしもそれらの特徴に限定されておらず、明示的に列挙されていないか、またはかかる方法、物品もしくは装置に固有ではない他の特徴を含んでもよい。さらに、明示的に相反する記載がない限り、「または」は包含的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味するものではない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか1つにより満たされる:Aは真であり(または存在し)Bは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)Bは真である(または存在する)、ならびに、AおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0258】
また、「1つの(aまたはan)」の使用は、本明細書に記載される要素および構成要素を記述するために利用される。これは単に便宜上なされており、本発明の範囲の一般的な意味を示すためになされている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを包含するとして読まれるべきであり、単数はまた、明らかにそうではないことを意味していない限り、複数を包含し、また逆も同じである。例えば、単一の項目が本明細書に記載される場合、2つ以上の項目が単一の項目の代わりに使用されてもよい。同様に、2つ以上の項目が本明細書に記載される場合、単一の項目で該2つ以上の項目を置き換えてもよい。
【0259】
利益、他の利点、および問題に対する解決法を、特定の実施形態に関して上記に説明した。しかし、利益、利点、問題に対する解決法、ならびに、いずれの利益、利点もしくは解決法を生じさせ得るかまたはそれらをより明白にし得るいずれの特徴も、特許請求の範囲の請求項のいずれかまたはすべての重要、必要、または不可欠な特徴として解釈すべきではない。
【0260】
明細書を読んだ上で、当業者であれば、特定の特徴が明確さのために本明細書中で別個の実施形態に関連して記述されているものの、単一の実施形態に組合せた形で提供されてもよいことを認識するであろう。逆に、簡潔さのために単一の実施形態に関連して記述されているさまざまな特徴は、別個にまたは任意の下位組合せの形で提供されてもよいものである。さらに、範囲の形で記載された値に対する言及は、その範囲内のあらゆる値を含む。
【0261】
本開示の要約書は特許法に準拠するよう提供され、かつ特許請求の範囲の範囲または意味を解釈するかまたは限定するために使用されるものではないという理解の上で提出される。加えて、前述の図面の詳細な説明において、本開示を合理化する目的のため種々の特徴が単一の実施形態にまとめられているかまたは記載されている場合がある。この開示は、請求した実施形態が各請求項に明示的に列挙したものよりもより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されるように、発明の主題は開示される任意の実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴を対象としうる。したがって、以下の特許請求の範囲は図面の詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別々に請求される主題を定義するものとして単独で有効である。