(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
そのようなツールは、特に、プラズマアーク溶融コールドハース精錬のための転用アークプラズマトーチにおいて使用し得るよう構成されている、あるいは、電子ビームコールドハース精錬のための電子銃加熱炉において使用し得るよう構成されている。
【0003】
スクラップ金属材料を原料として高品質の金属合金を得るためには、スクラップ金属を上記のタイプの加熱炉内において溶融させた後に、コールドハース内において精錬することが必要である。次に、連続的なキャスティングによって、加熱炉内において金属電極が製造される。電極は、再溶融を意図した円柱形インゴットである。
【0004】
金属スクラップは、有利には、チタン合金から形成される。より一般的には、金属スクラップは、例えば貴金属といったような他の金属材料から形成することができる。
【0005】
電極は、真空アーク再溶融加熱炉内において再溶融される。この加熱炉内においては、電極は、真空下に配置され、インゴットモールドと称されるハース内において、溶融電流が供給される。電気アークが、電極の自由端とインゴットモールドの底部との間において、生成される。これにより、電極が次第に溶融される。
【0006】
溶融時には、溶融した金属表面と電極との間の距離が、制御される。
【0007】
電極の移動を可能とし得るよう、また、電極の電気的接続を可能とし得るよう、電極を溶融精錬加熱炉から取り出した後に、「スタブ」と称される金属製連結ヘッドを、電極の端部に対して溶接することが公知である。
【0008】
しかしながら、電極は、溶融精錬加熱炉のモールドリング内において連続的にキャスティングされつつ、引っ張りシステムを使用してモールドから徐々に取り出される。この目的のために、鳩尾形状を有したモールドが使用される。
【0009】
連結ヘッドを固定するために、一般に、電極の端部を切り取って鳩尾形状を除去し、その後、連結ヘッドを注意深く溶接する必要がある。溶接は、電極の重量に対抗するように機能するとともに、再溶融電流を伝達するためにも機能する。
【0010】
そのような方法は、十分に満足のいくものではない。そのような方法における様々な操作は、面倒で時間を要するものである。
【0011】
この問題点を部分的に解消し得るよう、特許文献1には、連結ヘッドを取り付けるための取付部材を、電極の形成時に、溶融精錬加熱炉のモールドリング内において直接的に電極の端部に対して溶接する、という方法が開示されている。この取付部材は、初期的には、モールドベースのキャビティ内に収容されている。
【0012】
次に、連結ヘッドが取付部材上に機械的に組み付けられてアセンブリが形成され、このアセンブリが、再溶融加熱炉内へと挿入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1の方法は、実施が容易ではあるものの、それでもなお、多数の操作手順を必要とするものであるとともに、キャスティング後に行われなければならない取付操作が、時間を要するものである。
【0015】
さらに、キャスティングモールドの形状が付与された後には、取付部材の寸法は、モールド内の相補形状に対して、高精度で対応したものでなければならない。このことは、取付部材のリサイクルの妨げとなる。したがって、特許文献1の方法は、コスト高である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの目的は、金属電極を再溶融させる方法を、容易に実施し得るものとするとともに、コスト的に安価なものとすることであり、さらに、操作時間を短縮させることである。
【0017】
この目的のために、本発明は、上記のタイプのツールに関するものであって、長手方向不動化機構が、支持体に対して長手方向に調節可能とされ、これにより、連結ヘッドを、支持体に対して、長手方向軸線に沿った互いに異なる少なくとも2つの長手方向位置において不動化することを特徴としている。
【0018】
本発明によるツールは、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を、単独であるいは適宜に組み合わせて備えることができる。すなわち、
−長手方向不動化機構が、連結ヘッドのための少なくとも1つの横方向不動化部材と、複数の長手方向位置の各々において支持体上に横方向不動化部材をロックするためのロックアセンブリと、を備えているという特徴点;
−支持体が、少なくとも1つの横方向開口を規定し、横方向不動化部材が、横方向開口を挿通し、ロックアセンブリが、横方向開口の外部において、支持体の外表面上に配置されるという特徴点;
−ロックアセンブリが、横方向不動化部材上に係合した少なくとも1つのラグを備え、ラグが、支持体から取り外されることができ、ロックアセンブリが、支持体に対してラグをロックするためのロック突起を備え、ロック突起が、支持体上に固定されているという特徴点;
−ラグが、長手方向固定ロッドを備え、ロック突起が、長手方向固定ロッドを保持するための保持ヨークを有しているという特徴点;
−横方向開口が、長手方向に延在するスロットとされているという特徴点;
−ツールが、さらに、長手方向軸線に関する径方向において連結ヘッドを径方向に不動化するための径方向不動化機構を具備しているという特徴点;
−モールドベースが、
・軸線方向オリフィスの形状の第1部分を規定するための第1部分と、
・軸線方向オリフィスの形状の第2部分を規定するための第2部分であるとともに、第1部分および/または第2部分が、連結ヘッドのための挿入構成と使用構成との間にわたって支持体に対して横方向に移動可能に取り付けられた、第2部分と、
・支持体に対しての、第1部分および/または第2部分の移動を案内するためのガイド機構と、
を備えているという特徴点;
−モールドベースが、冷却アセンブリを備えているという特徴点;
−支持体が、チューブ状スリーブを備え、このチューブ状スリーブが、連結ヘッドの挿入のための中央開口を規定し、モールドベースが、チューブ状スリーブの長手方向の一端部のところに取り付けられ、取付端部ピースが、チューブ状スリーブの長手方向の反対側の端部のところに配置されているという特徴点;
−電極上に、長手方向不動化機構によって支持体に対して長手方向に不動化された態様で連結ヘッドを付帯しており、連結ヘッドが、モールドベースの軸線方向オリフィスを通してモールドベースを超えて突出しているという特徴点。
【0019】
また、本発明は、金属部材を製造するための設備に関するものであって、
−キャスティングによって電極を形成するための少なくとも1つのモールドを備えた精錬ハースアセンブリと、
−上述したようなツールであるとともに、モールド内において移動可能に取り付けられ、さらに、連結ヘッドを付帯している、ツールと、
を具備し、
精錬ハースアセンブリが、モールド内においてツールを駆動するための駆動部材を備え、
ツールの支持体の取付端部ピースが、駆動部材上に取り付けられている。
【0020】
本発明による設備は、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を、単独であるいは適宜に組み合わせて備えることができる。すなわち、
−精錬ハースアセンブリ内において形成された電極を再溶融させるための再溶融炉を具備し、この再溶融炉が、再溶融炉内において連結ヘッドを移動可能とするとともに電気的に接続するための追加的な可動の電気接続部材であるとともに、連結ヘッドを受領し得る追加的な可動の電気接続部材、を備えているという特徴点。
【0021】
さらに、本発明は、金属部材を製造するための方法であって、
−上述したようなツール内に連結ヘッドを導入し;
−支持体に対しての連結ヘッドの長手方向位置を、選択された長手方向位置となるように調節し;
−長手方向不動化機構を使用して、その選択された長手方向位置において連結ヘッドを不動化し;
−連結ヘッドの少なくとも一部がモールドベースから突出しているようにしてあるいはモールドベースと面一であるようにしてあるいはモールドベースからセットバックしているようにして、キャスティングによって電極を形成するためのモールド内にモールドベースを挿入し;
−連結ヘッドの少なくとも一部上へと、モールド内へと、溶融金属を注入し;
−モールドの駆動部材を使用してツールを移動させ、これにより、電極を形成する。
【0022】
本発明による方法は、以下の様々な特徴点のうちの1つまたは複数の特徴点を、単独であるいは適宜に組み合わせて備えることができる。すなわち、
−電極に、連結ヘッドを付帯させ;
−再溶融炉の追加的な可動の電気接続部材上に連結ヘッドを取り付け;
−再溶融炉内において電極を再溶融させる。
【0023】
本発明は、添付図面を参照しつつ、単なる例示としての以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による第1設備10は、精錬および溶融によって金属部材を製造し得るよう構成されたものであって、
図1,2に示されている。
【0026】
本発明による第1設備10によって形成される金属部材は、例えば、とりわけ金属合金から形成されるインゴットまたはフォーム(form)である。
【0027】
金属部材は、特に金属スクラップといったような、とりわけコンパクト化された金属シェービングの態様のものといったような、原料金属から形成される。
【0028】
金属スクラップは、有利には、チタン合金とされる。より一般的には、金属スクラップは、例えば貴金属といったような他の金属材料から形成することができる。
【0029】
設備10は、連続的なキャスティングによって電極16を形成し得るよう構成された
図1に示すようなハースアセンブリ14と、電極16のための再溶融炉18と、を備えている。再溶融炉18の関連部分は、
図2に示されている。
【0030】
本発明においては、設備10は、
図3〜5に示すようなツール20を備えている。ツール20は、ハースアセンブリ14のモールドリングに取り付けることができ、電極16上に連結ヘッド22を受領するためのものである。設備10は、有利には、
図3に示すように、ツール20を組み付けるためのステーション24を備えている。
【0031】
電極16は、ハースアセンブリ14内において、連続的なキャスティングによって得られる。
【0032】
電極16は、有利には、円柱形状とされる。例えば、円柱形状の直径は、100〜1300mmとされ、有利には、700〜900mmとされ、特に有利には、730〜840mmとされる。例えば、円柱形状の高さは、500〜5000mmとされ、特には、2000〜4000mmとされる。
【0033】
連結ヘッド22は、金属ブロックから形成される。この金属ブロックは、電極16を構成する金属と一緒に溶融し得る金属から形成されている。ハースアセンブリ14内における電極16の形成時には、このような連結ヘッド22が、電極16の一端部に対して固定される。
【0034】
連結ヘッド22は、「スタブ」と称される。連結ヘッド22は、一体部材として一体的に形成されている。
【0035】
この例においては、連結ヘッド22は、円柱形状であり、この円柱形状の直径および高さは、電極16の直径および高さと比較して、より小さなものとされている。
【0036】
本発明によるツール20のおかげで、連結ヘッド22は、電極16からの突出高さとして、可変的な高さを有することができる。この突出高さは、例えば、600〜1300mmとされる。
【0037】
図6に示す例においては、連結ヘッド22は、自由端のところに、詳細に後述するように再溶融加熱炉18内に適合した可動の電気的接続部材28に対しての連結のためのフォーム26を有している。
【0038】
よって、連結ヘッド22は、再溶融炉18内における再溶融操作時に、電極16に対して可動の電気的接続部材28を機械的に連結して電気的に接続することができる。この場合、連結ヘッド22と電極16との間において一切の溶接操作や機械的連結操作を不要とすることができる。
【0039】
図1に示すように、ハースアセンブリ14は、原料金属の供給手段30と、原料供給手段30から金属を受領する溶融レセプタクル32と、この溶融レセプタクル32内の溶融金属を精錬するための少なくとも1つのハース34と、を備えている。
【0040】
ハースアセンブリ14は、さらに、各ハース34内において精錬された溶融金属を連続的にキャスティングするためのモールドリング36と、金属を溶融させるための複数の溶融装置38と、を備えている。溶融装置38は、溶融レセプタクル32と各精錬ハース34とモールドリング36との各々に対してアクセス可能に配置されている。
【0041】
原料供給手段30は、溶融レセプタクル32に対してアクセス可能とされている。供給手段30は、溶融レセプタクル32内へと、シェービングあるいは固体スクラップの態様とされた原料金属12を投入することができ、溶融レセプタクル32内においては、溶融装置38が、原料金属を溶融させることができる。
【0042】
少なくとも1つの精錬ハース34が、溶融レセプタクル32の下流側に連結されており、溶融レセプタクル32から来る溶融金属を受領することができる。精錬ハース34は、溶融装置38を使用することにより、溶融金属からなるバス40という態様でもって溶融金属を維持することができる。少なくとも1つの精錬ハース34は、モールドリング36の上流側に連結されており、精錬された溶融金属を、モールドリング36に対して供給することができる。
【0043】
モールドリング36は、ツール20を受領し得るよう構成されたモールド42と、ツール20を駆動して電極16の連続的なキャスティングを可能とし得るよう構成された駆動部材44と、を有している。
【0044】
モールド42は、軸線A−A’を有したモールドキャビティ46を規定している。モールド42は、例えば、金属から形成されており、特に、銅から形成されている。モールド42は、例えば水の循環を使用した冷却システムといったような冷却システム(図示せず)に対して連結されている。
【0045】
この例においては、モールド42は、円筒形とされており、リング形状とされている。
【0046】
モールド42の上部は、溶融装置38に対してアクセス可能に配置された上側開口48を有しており、モールド42の下部は、電極16を引っ張るための下側引き抜き開口50を有している。モールド42は、ハース34に対して連結されていて溶融金属を受領するための上側横方向通路52を有している。
【0047】
駆動部材44は、好ましくは、シリンダとシリンダロッド(図示せず)とを有したジャックを備えている、あるいは、同様の電気的機械的システムを備えている。
【0048】
ツール20は、駆動部材44上に着脱可能に取り付けることができる。これにより、駆動部材44によって軸線A−A’に沿って並進移動することができる。
【0049】
図1の例においては、ハースアセンブリ14は、プラズマアークコールドハース精錬のための転用アークプラズマトーチ加熱炉とされる。
【0050】
その場合、各溶融装置38は、プラズマトーチとされる。プラズマトーチは、下向きのプラズマビーム54を生成することができる。プラズマビーム54は、それぞれの上部開口48を通して、溶融レセプタクル32へと、各精錬ハース34へと、また、モールドリング36へと、向けられる。
【0051】
これに代えて、ハースアセンブリ14は、電子ビームコールド精錬のための電子銃加熱炉において使用される。
【0052】
その場合には、各溶融装置38は、下向きの電子ビーム54を生成することができる。電子ビーム54は、それぞれの上部開口48を通して、溶融レセプタクル32へと、各精錬ハース34へと、また、モールドリング36へと、向けられる。
【0053】
再溶融加熱炉18は、一般に、真空アーク再溶融加熱炉とされる。
【0054】
上述した可動の電気接続部材28は別として、再溶融加熱炉18は、内部が減圧とされる金属ハース60(「インゴットモールド」とも称される)と、可動の電気接続部材28に対して電気的に接続された電源62と、可動の電気接続部材28を駆動するための駆動アセンブリ64と、を備えている。
【0055】
電源62は、可動の電気接続部材28と連結ヘッド22とを介して電極16に対して電気的に接続されている。これにより、電圧を印加することができて、ハース60の底部において、電極16の自由端とこれに対向した金属表面との間に電気アークを生成することができる。
【0056】
電気アークは、電極16の自由端を次第に溶融させる。駆動アセンブリ64は、可動の電気接続部材28を使用することによりおよび連結ヘッド22を使用することにより、金属表面に対して電極16を移動させることができる。これにより、そのような電極16の次第の溶融時に、電極16の自由端と金属表面との間の離間距離を、常に制御することができる。
【0057】
図3〜
図6に示すように、ツール20は、連結ヘッド22を受領するための支持体70を備えている。支持体70は、
図3に示すように、長手方向軸線B−B’を有している。
【0058】
ツール20は、支持体70の上端のところにおいて支持体70によって付帯されたモールドベース72と、駆動部材44上に支持体70を取り付けるための取付端部ピース74と、を備えている。取付端部ピース74は、支持体70に下端のところに位置している。
【0059】
本発明においては、ツール20は、さらに、支持体70に対しての連結ヘッド22の長手方向位置を不動化するための機構76を備えている。この機構76は、連結ヘッド22の長手方向位置を調節することができ、長手方向軸線B−B’に沿った様々な長手方向位置において連結ヘッド22を不動化することができる。
【0060】
ツール20は、さらに、長手方向軸線B−B’まわりにおける連結ヘッド22の径方向位置を不動化するための機構78を備えている。
【0061】
この例においては、支持体70は、軸線B−B’を有したチューブ状スリーブ80を有している。チューブ状スリーブ80の底部は、底壁82によって部分的に閉塞されている。
【0062】
チューブ状スリーブ80は、連結ヘッド22を受領するための中央開口84と、長手方向不動化機構76のための横方向に貫通した取付開口86と、を規定している。
【0063】
この例においては、スリーブ80は、各横方向開口86の周囲に、不動化機構76のための長手方向ベアリングリブ88を有している。スリーブ80を通して、横方向開口86が延在している。
【0064】
中央開口84は、軸線B−B’に沿って延在している。中央開口84の上部は、支持体70の上端のところにおいて、モールドベース72を向いている。
【0065】
この例においては、中央開口84の下部は、底壁82によって部分的に閉塞されている。中央開口84は、軸線方向下向きに、取付端部ピース74のところにまで延在している。
【0066】
この場合、チューブ状スリーブ80は、軸線B−B’の両側に位置した2つの横方向開口86を規定している。
【0067】
横方向開口86の各々は、軸線B−B’に向けては中央開口84まで延在し、軸線B−B’から離間する向きにおいては、チューブ状スリーブ80の外にまで延在している。
【0068】
この例においては、横方向開口86の各々は、軸線B−B’を有した長手方向スロットとされ、チューブ状スリーブ80の長さ全体の一部にわたって延在している。
【0069】
横方向開口86の長さは、例えば、軸線B−B’に沿って測った場合、チューブ状スリーブ80の長さ全体に対して、50%〜75%とされる。
【0070】
長手方向リブ88の各々は、軸線B−B’に関する径方向において、チューブ状スリーブ80の外表面上へと延在している。
【0071】
リブ88は、機構76に対抗し得るよう構成されたフラット部分90と、機構76を固定するための長手方向エッジ92と、を有している。
【0072】
図3〜
図6に示すように、モールドベース72は、第1半体94と第2半体96とを有している。これら第1半体94および第2半体96は、互いに対してまた支持体70に対して移動可能に取り付けられる。これら第1半体94および第2半体96は、連結ヘッド22を挿入するための開放構成と、連結ヘッド22をモールドリング36内へと導入するための閉塞構成と、を規定する。
【0073】
モールドベース72は、さらに、各半体94,96の移動を案内するための機構98と、各半体94,96を冷却するためのアセンブリ100と、を有している。
【0074】
各半体94,96は、モールドリング36のモールド42を形成している金属材料と同様の金属材料から形成されており、例えば、銅から形成されている。
【0075】
この例においては、各半体94,96は、ハーフディスクによって形成されており、中央ノッチを規定している。各半体94,96は、言わば、C字形状とされている。
【0076】
各半体94,96は、実質的に平面状の上面102を形成している。上面102は、モールド42の底部のところに溶融金属を受領し得るよう構成されているとともに、その溶融金属を冷却し得るよう構成されている。上面102は、有利には、軸線B−B’に対して実質的に垂直な平面内に位置している。
【0077】
各半体94,96は、開放構成と閉塞構成との間にわたって、軸線B−B’に対して横方向に移動可能とされている。有利には、
図4に示すように、軸線B−B’に対して垂直な軸線C−C’に沿って並進移動可能とされている。
【0078】
各半体94,96は、これらの間に、連結ヘッド22を支持体70の中央開口84内へと導入するための軸線方向オリフィス104を規定している。
【0079】
開放構成においては、
図4に示すように、導入オリフィス104は、閉塞構成の場合における広がりと比較して、より大きな広がりを有している。
【0080】
閉塞構成においては、各半体94,96は、互いに実質的に当接している。閉塞構成においては、導入オリフィス104は、実質的に閉塞されているとともに、連結ヘッド22の外形と実質的に連接する外形を有している。
【0081】
さらに、各半体94,96は、モールド42の内部形状と実質的に連接する外形を有している。
【0082】
案内機構98は、ブラケット108によってチューブ状スリーブ80の外表面上に固定された案内路106を有している。各半体94,96は、軸線B−B’の両側に配置された2つの案内路106によって支持されている。
【0083】
冷却アセンブリ100は、冷却材流通チャネルを規定する中空プレート110と、冷却材供給コネクタ(図示せず)と、を有している。中空プレート110は、各半体94,96の直下に取り付けられる。
【0084】
例えば水といったような冷却材は、中空プレート110と各半体94,96との間に規定されたチャネルの中を流れることができる。これにより、上面102を冷却することができる。
【0085】
本発明においては、長手方向位置不動化機構76は、連結ヘッド22を不動化するための横方向部材120と、軸線B−B’に沿って調節可能とされた長手方向位置において支持体70上に横方向不動化部材120をロックするためのロックアセンブリ122と、を有している。
【0086】
この例においては、横方向部材120は、ピンによって形成されている。
【0087】
横方向部材120は、連結ヘッド22に横方向に形成された貫通穴124を通して、および、各横方向開口86を通して、取り付けられる。横方向部材120の両端部は、支持体70の両側において横方向に突出するとともに、ロックアセンブリ122によって把持される。
【0088】
ロックアセンブリ122は、横方向部材120上に係合するための着脱可能なラグ130と、各ラグ130に関し、支持体70上にロックラグ130を保持するための保持ヨーク132と、を有している。
【0089】
ロックアセンブリ122は、さらに、有利には、支持体70上に各ラグ130を固定するための追加的な固定部材134を有している。
【0090】
各ラグ130は、横方向部材120の一端部と係合するためのクレビス136と、ヨーク132上の固定ロッド138と、を有している。
【0091】
クレビス136は、軸線B−B’に沿った横方向部材120の並進移動をロックし得るよう、横方向部材120の一端部を受領するための通路140を規定している。
【0092】
固定ロッド138は、クレビス136に対して突出している。固定ロッド138は、ヨーク132内に係合することができる。これにより、軸線B−B’に沿ってのクレビス136の軸線方向位置を維持することができる。
【0093】
ヨーク132は、支持体70上に固定される。有利には、貫通穴86の上方において固定される。
【0094】
相補的固定部材134は、支持体70内においてクレビス136を介して取り付けられるネジシステムによって形成されている。有利には、リブ88の横方向エッジ92内に設けられた穴のところにおいて支持体70内においてクレビス136を介して取り付けられるネジシステムによって形成されている。
【0095】
各ラグ130は、支持体70から離間した分解構成と、支持体70上に取り付けられた複数の構成と、の間にわたって、支持体70に対して可逆的に組み立てることができる。それら複数の構成は、軸線B−B’に沿って互いに離間されている。
【0096】
支持体70上に組み立てられた構成においては、クレビス136の通路140は、横方向部材120の端部を受領する。ロッド138は、ヨーク132内に受領されるべきクレビス136に対して突出する。ロッド138は、ナットタイプの着脱可能な固定部材によって、ヨーク132内に維持される。
【0097】
クレビス136は、支持体70に対して押圧される。有利には、フラット部分90に対して押圧される。クレビス136は、相補的な固定部材134によって、押圧位置に維持される。
【0098】
図3の例においては、各ラグ130は、軸線B−B’に沿った方向において長手方向に互いに離間した離散的な複数の取付構成において、支持体70上に固定することができる。
【0099】
それら取付構成は、リブ88の横方向エッジ92内に配置された穴の位置によって、規定される。
【0100】
これに代えて、取付構成の位置は、軸線B−B’に沿った横方向開口86内において連続的に調節することができる。
【0101】
ラグ130の長手方向調節は、支持体70に対してのおよびモールドベース72に対しての連結ヘッド22の相対位置を修正する。これにより、連結ヘッド22のうちの、モールドベース72よりも上方に突出したセグメントの長さは、連結ヘッド22の長さにかかわらず、一定とすることができる。
【0102】
このことは、様々なサイズを有した連結ヘッド22の使用を可能とする。特に、既に使用された連結ヘッド22のリサイクルを可能とする。
【0103】
径方向不動化機構78は、中央開口84内において支持体70を通して径方向に挿入された調節可能な圧力ネジ150を有している。
【0104】
各圧力ネジ150は、連結ヘッド22上において径方向に係合することができる。これにより、少なくとも1つの方向において軸線B−B’に関する径方向において連結ヘッド22をロックすることができる。
【0105】
図3に示すように、アセンブリステーション24は、連結ヘッド22と支持体70とを組み付けるためのアセンブリベース160と、取扱いアセンブリ(図示せず)と、を有している。
【0106】
以下においては、本発明による設備10において金属部材を製造するための方法について説明する。
【0107】
この方法においては、ツール20を組み立てるステップと、このツール20を使用してハースアセンブリ14内で電極16を形成するステップと、その後に、再溶融炉18内で電極16を再溶融させるステップと、を行う。
【0108】
組立ステップは、銅製のハースアセンブリ14を受領した主容器の外部において、製造とは別の時間で、行うことができる。
【0109】
まず最初に、アセンブリベース160上に支持体70を配置する。有利には、アセンブリベース160の自由端は、取付端部ピース74を通して中央開口84内に突出している。
【0110】
次に、モールドベース72の各半体94,96が、開放構成において配置される。
【0111】
次に、連結ヘッド22が、各半体94,96の間に規定された軸線方向オリフィス104を通して、中央開口84内へと上方から導入される。
【0112】
連結ヘッド22は、中央開口84内において、アセンブリベース160の自由端上に、可逆的に固定される。
【0113】
次に、軸線B−B’に沿った連結ヘッド22の軸線方向位置が、連結ヘッド22のセグメントの所望高さがモールドベース72を超えて突出したものであるかあるいはモールドベース72と面一であるかあるいはモールドベース72からセットバックしたものであるかに応じて、支持体70に対してアセンブリベース160を移動させることによって調節される。
【0114】
次に、横方向部材120が、第1横方向開口86内へと、そして貫通穴124内へと、さらには第2横方向開口86内へと、順次的に導入される。
【0115】
次に、横方向部材120の自由端を、それぞれ対応する横方向開口86を通して支持体70よりも外へと横方向に突出させる。
【0116】
次に、ラグ130を、横方向部材120の各自由端の周縁に係合させ、支持体70に対して固定する。
【0117】
この目的のために、横方向部材120の自由端は、クレビス136内に規定された通路140内へと導入される。これと同時に、固定ロッド138が、保持ヨーク132内へと挿入される。
【0118】
クレビス136が、フラット部分90に対して押圧される。ヨーク132上にロッド138を固定するための固定部材が、配置される。さらに、追加的な固定部材134が、クレビス136とリブ88との間に組み立てられる。
【0119】
各ラグ130を、所定の軸線方向位置において、支持体70に対して取り付けられた取付構成とする。
【0120】
次に、連結ヘッド22を、横方向部材120とラグ130とを有してなるロックアセンブリ122によって、選択された位置において、軸線B−B’に沿って軸線方向において不動化する。
【0121】
次に、各半体94,96を、連結ヘッド22の端部を囲んだ閉塞構成とする。
【0122】
次に、連結ヘッド22を有したツール20を、ハースアセンブリ14のモールドリング36へと移送する。
【0123】
取付端部ピース74を、駆動部材44上に取り付ける。冷却アセンブリ100に対して、冷却材供給コンジット(図示せず)を接続する。
【0124】
駆動部材44の駆動により、モールドベース72を、モールド42内に規定されたモールドキャビティ46内に配置する。
【0125】
次に、連結ヘッド22の端部を、部分的に溶融させる。例えば、モールドリング36の上方に配置された溶融装置38からのビーム54によって、部分的に溶融させる。
【0126】
次に、精錬ハース34からの溶融金属を、モールドキャビティ46内へと導入し、モールドキャビティ46を次第に充填する。そのキャスティング時には、外部からの何らの操作を必要とすることなく、連結ヘッド22が電極16に対して溶接されることとなる。
【0127】
次に、駆動部材44を駆動することにより、連結ヘッド22と、支持体70と、モールドベース72と、このモールドベース72上に形成された電極16と、を一緒に下向きに引っ張る。電極16の連続的なキャスティングを、徐々に行う。
【0128】
電極16が形成された後に、その一端部上に連結ヘッド22が既に溶接されている電極16を、ハースアセンブリ14から取り外す。
【0129】
本発明によるツール20の分解後に、連結ヘッド22が付設された電極16を、再溶融炉18内へと導入し、再溶融炉18の可動の電気接続部材28上へと直接的に取り付ける。
【0130】
溶融操作や機械的組立操作が不要である。このことは、方法の実施をかなり単純化するとともに、サイクル時間を短縮する。
【0131】
連結ヘッド22は、さらに、電源62に対して電気的に接続される。これにより、ハース60内において電極16の再溶融が引き起こされ、これにより、所望の金属部材が形成される。
【0132】
したがって、本発明によるツール20は、特に容易に使用することができ、多種多様な連結ヘッド22に対して適合することができる。これにより、連結ヘッド22をリサイクルすることができる。
【0133】
ツール20は、製造とは別の時間で取り付けることができる。このことは、方法の生産性を向上させる。
【0134】
さらに、連結ヘッド22は、外部からの何らの操作を必要とすることなく、その製造時に電極16上へと直接的に固定される。連結ヘッド22は、追加的な機械的組立を必要とすることなく、再溶融炉内に直接的に取り付けることができる。