特許第5982634号(P5982634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジシールの特許一覧

<>
  • 特許5982634-シュリンクラベル及びラベル付き容器 図000002
  • 特許5982634-シュリンクラベル及びラベル付き容器 図000003
  • 特許5982634-シュリンクラベル及びラベル付き容器 図000004
  • 特許5982634-シュリンクラベル及びラベル付き容器 図000005
  • 特許5982634-シュリンクラベル及びラベル付き容器 図000006
  • 特許5982634-シュリンクラベル及びラベル付き容器 図000007
  • 特許5982634-シュリンクラベル及びラベル付き容器 図000008
  • 特許5982634-シュリンクラベル及びラベル付き容器 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982634
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】シュリンクラベル及びラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/08 20060101AFI20160818BHJP
   B65D 25/36 20060101ALI20160818BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20160818BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B65D23/08 A
   B65D25/36
   B65D65/40 D
   G09F3/04 C
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-82741(P2012-82741)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-212844(P2013-212844A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(72)【発明者】
【氏名】藤田 弘幸
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−280789(JP,A)
【文献】 特開2006−335409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/08
B65D 25/36
B65D 65/40
G09F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に一方向に熱収縮性を有するラベル基材と、
非熱収縮性の緩衝基材、熱可塑性樹脂フィルム、紙、合成紙、又はこれらの積層体から構成され、前記ラベル基材の少なくとも片面側に設けられた非熱収縮性の基材と、
を備え、
前記非熱収縮性の基材には、複数の切り欠きと、複数の切り欠き残部とが、前記ラベル基材の主収縮方向に交互に並んで形成されており、
前記ラベル基材は、前記切り欠きを覆う切り欠き被覆部と、前記切り欠き残部を覆う残部被覆部とを含むことを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項2】
請求項1記載のシュリンクラベルにおいて、
前記非熱収縮性の基材は、緩衝基材から構成されることを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシュリンクラベルと、
容器と、
を備え、前記ラベル基材の前記主収縮方向が周方向となるように前記シュリンクラベルを筒状にして前記容器に装着したラベル付き容器であって、
前記容器は、前記シュリンクラベルが装着される部分に縮径部を有し、
前記シュリンクラベルは、前記縮径部に前記非熱収縮性の基材の前記切り欠き及び前記切り欠き残部が位置するように装着されていることを特徴とするラベル付き容器。
【請求項4】
請求項1又は2記載のシュリンクラベルと、
容器と、
を備え、前記ラベル基材の前記主収縮方向が周方向となるように前記シュリンクラベルを筒状にして前記容器に装着したラベル付き容器であって、
前記容器は、第1の面、第2の面、及び前記各面の間に形成された角部を有し、
前記シュリンクラベルは、前記非熱収縮性の基材が前記第1の面及び前記角部を覆い、前記切り欠き及び切り欠き残部が前記第2の面の周縁に位置するように装着されていることを特徴とするラベル付き容器。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のラベル付き容器において、
前記シュリンクラベルは、前記非熱収縮性の基材が前記容器側を向き、且つ前記ラベル基材の前記切り欠き被覆部と前記容器とが接触しないように装着されていることを特徴とするラベル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンクラベル及びラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製や陶器製の容器にシュリンクラベルが装着されたラベル付き容器が知られている。一般的に、ガラス製や陶器製の容器は、破損し易く、例えば異物との接触により、ヒビが入ったり、欠けたり、或いは割れることがある。ラベル付き容器では、容器がシュリンクラベルで覆われているものの、かかるラベルは薄膜であるため、緩衝性が乏しく容器の破損を抑制することができない。
【0003】
このような状況に鑑みて、シュリンクラベルの片面に、緩衝性を有する発泡樹脂層を形成してなる厚肉シュリンクラベルが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59‐131827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ラベルが装着される容器には、部分的に直径が小さくなった縮径部が存在する場合がある。かかる縮径部も他の部分と同様に保護する必要があるが、特許文献1に開示されたラベルでは、縮径部を発泡樹脂層で覆い、且つ容器の形状に合わせて見栄え良く装着することは困難である。即ち、熱収縮しない発泡樹脂層で縮径部を覆うと、縮径部を覆う部分にシワや撓みが発生して見栄えの悪いラベル装着形態となる。
また、容器の角部は破損し易い部分であるが、縮径部の場合と同様に、角部を発泡樹脂層で覆うと見栄えの良いラベル装着形態を得ることは困難である。
【0006】
本発明の目的は、容器の縮径部や角部を発泡樹脂層等の非熱収縮層で覆い、且つ容器の形状に合わせて見栄え良く装着できるシュリンクラベル、及び該ラベルを備えたラベル付き容器を提供することである。特に、非熱収縮層に緩衝基材を用いて、縮径部や角部の破損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシュリンクラベルは、主に一方向に熱収縮性を有するラベル基材と、前記ラベル基材の少なくとも片面側に設けられた非熱収縮層とを備え、前記非熱収縮層には、複数の切り欠きと、複数の切り欠き残部とが、前記ラベル基材の主収縮方向に交互に並んで形成されており、前記ラベル基材は、前記切り欠きを覆う切り欠き被覆部と、前記切り欠き残部を覆う残部被覆部とを含むことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ラベル基材の主収縮方向が周方向となるように筒状にして容器に装着した場合に、シワや撓みが発生することなく容器の縮径部や角部を非熱収縮層で覆うことができる。そして、ラベル基材が切り欠き及び切り欠き残部を覆って設けられることにより、容器の形状に合わせて、ラベル全体を見栄え良く装着することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係るシュリンクラベルにおいて、非熱収縮性層は、緩衝基材から構成されることが好適である。
当該構成によれば、緩衝基材によって容器に伝わる衝撃を吸収することができ、容器の破損を抑制することができる。例えば、縮径部や角部を含む容器の所望の部分を保護することができる。
【0010】
本発明に係るラベル付き容器は、上記シュリンクラベルと、容器とを備え、前記ラベル基材の前記主収縮方向が周方向となるように前記シュリンクラベルを筒状にして前記容器に装着したラベル付き容器であって、前記容器は、前記シュリンクラベルが装着される部分に縮径部を有し、前記シュリンクラベルは、前記縮径部に前記非熱収縮層の前記切り欠き及び前記切り欠き残部が位置するように装着されていることを特徴とする。
【0011】
或いは、本発明に係るラベル付き容器は、上記シュリンクラベルと、容器とを備え、前記ラベル基材の前記主収縮方向が周方向となるように前記シュリンクラベルを筒状にして前記容器に装着したラベル付き容器であって、前記容器は、第1の面、第2の面、及び前記各面の間に形成された角部を有し、前記シュリンクラベルは、前記非熱収縮層が前記第1の面及び前記角部を覆い、前記切り欠き及び前記切り欠き残部が前記第2の面の周縁に位置するように装着されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るラベル付き容器において、前記シュリンクラベルは、前記非熱収縮層が前記容器側を向き、且つ前記ラベル基材の前記切り欠き被覆部と前記容器とが接触しないように装着されていることが好適である。
当該構成によれば、ラベル基材の切り欠き被覆部と容器とが接触せず、ラベル基材と容器との間に隙間が形成されるため、ラベル表面が凸凹にならず、見栄え良くラベルを装着することができる。さらに、該隙間によって容器に伝わる衝撃を吸収することができ、容器の破損をより高度に抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器の縮径部や角部を非熱収縮層で覆い、且つ容器の形状に合わせて見栄え良く装着できるシュリンクラベル、及び該ラベルを備えたラベル付き容器を提供することができる。特に、非熱収縮層に緩衝基材を用いることによって、縮径部や角部の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態であるシュリンクラベルを示す平面図である。
図2図1のA‐A線断面を模式的に示す図である。
図3図1に示すシュリンクラベルが装着されたラベル付き容器の正面図である。
図4図3のB‐B線断面を模式的に示す図である。
図5図3に示すラベル付き容器の底面図である。
図6】本発明の第2の実施形態であるシュリンクラベルを示す平面図である。
図7図6に示すシュリンクラベルが装着されたラベル付き容器の正面図である。
図8】本発明の第3の実施形態であるシュリンクラベルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、本発明の実施形態の一例であるシュリンクラベル10、及びラベル付き容器30,40,50について以下詳細に説明する。
【0016】
なお、本明細書において、「非熱収縮(熱収縮しない)」とは、熱収縮率が5%以下であることを意味する(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。また、「ラベル基材の主収縮方向」とは、ラベル基材の熱収縮が最も大きな方向を意味する。
【0017】
実施形態の説明では、説明の便宜上、シュリンクラベル10において、主収縮方向を「左右方向」、主収縮方向に垂直な方向を「上下方向」という場合がある。また、下面32B,42B,52Bによって、ラベル付き容器30,40,50を水平方向に沿った平坦な面上に自立させたときに、鉛直方向に沿う方向をラベル付き容器30,40,50の上下方向とする。
【0018】
また、実施形態では、非熱収縮層がラベル基材11よりも厚肉の緩衝基材12から構成されるものとするが、非熱収縮層は、例えば、ラベル基材11と同厚又は薄肉の緩衝基材、熱可塑性樹脂フィルム、紙、合成紙、又はこれらの積層体からなる基材で構成されてもよい。
また、非熱収縮層として、金属蒸着フィルムやホログラム層を有するフィルムを用いてもよい。例えば、透明なラベル基材11を用いて、これらの層の全体又は一部(特に熱収縮する部分)が見えるようにすると、装飾性の高いシュリンクラベルとなる。
【0019】
また、実施形態では、シュリンクラベル10が緩衝基材12上に設けられた接着層14を介して容器に巻き付けられ貼着されるものとするが、シュリンクラベル10は接着層14を有さない形態であってもよい。この場合、例えば、筒状にしたシュリンクラベル10のラベル基材11の熱収縮応力により容器を締め付けてラベルの装着形態を維持することができる。
【0020】
また、実施形態では、非熱収縮層である緩衝基材12の端部(上端及び下端の少なくとも一方)が波型にカットされて、切り欠きと、切り欠き残部とが形成された形態を例示するが、非熱収縮層の上下方向中間部に主収縮方向Xに並んだ切り欠き及び切り欠き残部を形成した形態としてもよい。この形態においても、ラベル基材には、切り欠きを覆う切り欠き被覆部と、切り欠き残部を覆う残部被覆部とが含まれる。この形態は、例えば、胴部側面の上下方向中間部が窪んで縮径した容器に好適である。この形態によれば、かかる縮径部に対して、切り欠きと切り欠き残部とが位置するように装着することで、当該縮径部を非熱収縮層で覆い、且つ容器の形状に合わせて見栄え良く装着できる。
【0021】
<第1の実施形態>
図1図5を参照して、第1の実施形態であるシュリンクラベル10、及びこれを備えたラベル付き容器30を詳細に説明する。
【0022】
図1及び図2は、主に一方向に熱収縮性を有するラベル基材11と、ラベル基材11の少なくとも片面側に設けられた非熱収縮層を構成する緩衝基材12とを備え、非熱収縮層には、複数の切り欠き20と、複数の切り欠き残部である凸状部21とが、ラベル基材11の主収縮方向Xに交互に並んで形成されており、ラベル基材11は、切り欠き20を覆う切り欠き被覆部17と、凸状部21を覆う残部被覆部とを含むシュリンクラベル10を示す。また、シュリンクラベル10の非熱収縮層には、複数の切り欠き22と、複数の切り欠き残部である凸状部23とが、ラベル基材11の主収縮方向Xに交互に並んで形成されており、ラベル基材11は、切り欠き22を覆う切り欠き被覆部18と、凸状部23を覆う残部被覆部とを含む。
図1は、シュリンクラベル10の平面図、図2は、図1のA‐A線断面図である。
【0023】
図3図5は、シュリンクラベル10と、容器31とを備え、ラベル基材11の主収縮方向Xが周方向となるようにシュリンクラベル10を筒状にして容器31に装着したラベル付き容器30であって、容器31は、シュリンクラベル10が装着される部分に縮径部34、及び胴部32の側面32Aと下面32Bとの間に形成された角部32Cを有し、シュリンクラベル10は、縮径部34に非熱収縮層の切り欠き20及び切り欠き残部である凸状部21が位置するように、且つ非熱収縮層が側面32A(第1の面)及び角部32Cを覆い、切り欠き20及び切り欠き残部である凸状部23が下面32B(第2の面)の周縁に位置するように装着されたラベル付き容器30を示す。
図3は、ラベル付き容器30の正面図、図4は、図3のB‐B断面図、図5は、ラベル付き容器30の底面図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、シュリンクラベル10は、熱収縮性を有するラベル基材11と、非熱収縮層を構成する緩衝基材12とを備える。シュリンクラベル10は、緩衝基材12によって衝撃を吸収し、容器31を保護する機能を有する。ラベル基材11は、主収縮方向X(左右方向)に長くなった直線状の四辺を有する平面視矩形形状を呈する。緩衝基材12は、直線状の両辺と、波状を呈する両辺と有する平面視略矩形形状を呈し、直線状の両辺を左右端としてラベル基材11に積層されている。また、緩衝基材12は、ラベル基材11からはみ出すことなく設けられ、例えば、ラベル基材11の片面の50〜95%程度を覆って設けられることが好適である。換言すると、ラベル基材11には、緩衝基材12が積層されていない非積層部(緩衝基材12からはみ出した部分である延出部16及び切り欠き被覆部17,18)と、緩衝基材12が積層された積層部とが存在する。
【0025】
具体的には、ラベル基材11と緩衝基材12とは、ラベル基材11の右端11bと、緩衝基材12の右端12bとが左右方向で一致しており、ラベル基材11の左端11aと、緩衝基材12の左端12aとが一致せず、ラベル基材11が左端12aから左方向に向かって張り出している。この張り出した部分が上記延出部16であり、ラベルを筒状にして容器31に装着したときに、左端11aに対向する他方の端部である右端11bに重ね合わされる部分となる。
ここで、「左端」とは、左右方向の端部のうち、図1の紙面左側の端部であり、図1の紙面右側の端部を「右端」とする。
【0026】
ラベル基材11及び緩衝基材12は、ラベル基材11の上端11cと緩衝基材12の上端12c、及びラベル基材11の下端11dと緩衝基材12の下端12dが部分的に一致している。具体的には、左右方向に延び且つ上下に凹凸となる波状に設けられた緩衝基材12の上端12cは、複数の最上点において、左右方向に平行に延びるラベル基材11の上端11cと一致し、左右方向に延び且つ上下に凹凸となる波状に設けられた緩衝基材12の下端12dは、複数の最下点において、左右方向に平行に延びるラベル基材11の下端11dと一致している。このため、ラベル基材11には、緩衝基材12の上端12cの一の最上点から最下点を経て次の最上点に至るまでに、上端11cと上端12cとで囲まれる領域が、緩衝基材が積層されていない切り欠き被覆部17として主収縮方向に並んで複数形成されている。また、同様に、ラベル基材11には、緩衝基材12の下端11dの一の最下点から最上点を経て次の最下点に至るまでに、下端11dと下端12dとで囲まれる領域が、緩衝基材が積層されていない切り欠き被覆部18として主収縮方向に並んで複数形成されている。
【0027】
シュリンクラベル10では、ラベル基材11の片面側に接着層13を介して緩衝基材12が設けられている。なお、接着層13は、ラベル基材11と緩衝基材12との間だけでなく、延出部16等にも設けられている。また、緩衝基材12のラベル基材11と反対側の面には別の接着層14が設けられている。シュリンクラベル10は、主に接着層14を介して容器31に貼り付けることが可能な所謂シュリンクタックラベルであり、容器31に貼り付けられるまでの間、例えば図示しない離型紙に仮貼着されて接着層13,14が保護される。
【0028】
また、シュリンクラベル10は、ラベル基材11上にデザイン印刷層15を有し、容器31の保護機能に加えて、例えば、容器31に充填された商品の名称や説明等を表示する機能を有する。デザイン印刷層15は、ラベル基材11の接着層13と反対側の面に任意のパターンで設けられている。なお、デザイン印刷層15は、接着層13と同じ面に設けられてもよく、或いは、デザイン印刷層15を有さない形態であってもよい。
【0029】
また、シュリンクラベル10には、ミシン目線26を形成することができる。ミシン目線26は、ラベルの切断補助線であって、上下方向中間部に左右方向に対して平行に形成されている。なお、切断補助線として、ミシン目線26の代わりにハーフカット線を形成することもできる。
【0030】
ラベル基材11は、主に一方向に熱収縮性を有するシュリンクフィルムから構成される層である。ラベル基材11の厚みは、特に限定されないが、好ましくは10〜100μm、より好ましくは15〜80μm、特に好ましくは20〜60μmである。
【0031】
ラベル基材11には、従来公知の樹脂フィルムを適用できる。該樹脂フィルムとしては、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン系樹脂(スチレン-ブタジエン共重合体など)、ポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選択される1種単独又は2種以上の混合物からなるフィルムが例示できる。
【0032】
ラベル基材11は、一方向に延伸(一軸延伸)され、主に一方向に熱収縮性を有する。延伸倍率は、例えば、一方向である主延伸方向(即ち、主収縮方向X、左右方向)に2〜6倍程度であることが好ましい。ラベル基材11は、主延伸方向と直交する方向(即ち、上下方向)にも1.01〜2倍程度の倍率で延伸(二軸延伸)することができる。
【0033】
ラベル基材11の熱収縮率は、主収縮方向Xに対して、20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることが特に好ましい(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。上下方向に対しては、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは5%未満である(加熱処理条件:同上)。但し、緩衝基材12は熱収縮しないため、ラベル基材11の緩衝基材12が接合されている部分は、緩衝基材12に拘束されて殆ど熱収縮しない。
【0034】
ラベル基材11に設けられた延出部16は、緩衝基材12が積層されていない非積層部であって、例えば、主収縮方向Xに対するラベル基材11の長さを緩衝基材12よりも長くすることで形成できる。なお、緩衝基材12にラベル基材11から延出した部分を設けてもよい。例えば、右端12bを右端11bから延出させ、当該緩衝延出部にラベルを筒状にしたときに延出部16と重なるようにしてもよい。
【0035】
ラベル基材11の一方の面上に設けられた接着層13は、緩衝基材12(凸状部を含む)が積層される積層部の略全域(実質的に全域とみなせる領域であり、例えば、対象領域の90乃至95%以上の領域を意味する)に設けられ、ラベル基材11と緩衝基材12とを接着している。接着層13は、延出部16上の略全域に設けられてもよいが、左端11aの近傍(端縁)のみに設けられることが好適である。これにより、後述する隙間37を覆う部分が非接着となり、容器31に接着することを防止でき、隙間37を確保し易くなる。また、切り欠き被覆部17,18上にも、接着層13を設けないことが好適であり、切り欠き被覆部17,18に加えて、残部被覆部である凸状部21,23が積層される部分にも接着層13を設けないことが特に好適である。これにより、後述する縮径部34、下面32Bにおけるラベル基材11の熱収縮が阻害されることがなく、切り欠き被覆部17,18が容器31と非接着となり、容器31に接着することを防止でき、隙間35,36を確保し易くなる。
なお、接着層13を設けないこと以外に、かかる接着を防止するための別の手法としては、接着層13をラベル基材11上の略全域に形成した後、接着層13上にその接着力を隠蔽するマスキング層を設ける手法が例示できる。マスキング層は、例えば、接着層13上に紫外線硬化型インキを塗工することで形成できる。
【0036】
接着層13は、特に限定されることなく種々の接着剤を用いて、周知慣用のコーティング法や印刷法によって形成できる。例えば、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体やスチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体などの合成ゴム系、アクリル樹脂系、オレフィン樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン‐酢酸ビニル共重合体などの常温で粘着性を有する感圧型接着剤を使用できる。或いは、感熱型接着剤を使用してもよい。
【0037】
ラベル基材11の他方の面上、即ち接着層13と反対側の面上には、上記のように、デザイン印刷層15が形成されている。デザイン印刷層15は、例えば、商品名やイラスト、使用上の注意等を表示するための層であって、デザイン等に応じて任意のパターンで形成することができる。
【0038】
デザイン印刷層15は、ラベル基材11の他方の面上に印刷インキを塗布し、乾燥やUV照射によって固化することで形成される。デザイン印刷層15の形成には、所望の顔料や染料等の色材、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂等のバインダ樹脂、有機溶剤、及び各種添加剤(例えば、可塑剤、滑剤、ワックス、帯電防止剤)等を含む溶剤型インキ、或いは所望の色材、アクリル系樹脂など光重合性樹脂、光重合開始剤、及び上記各種添加剤等を含む紫外線硬化型インキなどが印刷インキとして用いられる。そして、この印刷インキを用いて、グラビア印刷、フレキソ印刷、又は凸版輪転印刷等を行なうことでデザイン印刷層15を形成することができる。
【0039】
なお、ラベル基材11には、熱収縮性等に影響を与えない範囲で、接着層13、デザイン印刷層15以外の層を設けてもよい。例えば、デザイン印刷層15を保護するオーバーコート層を設けてもよい。オーバーコート層は、周知慣用のインキを用いて印刷によって形成でき、例えば、デザイン印刷層15の構成材料から色材を除いたインキ、又は透明性を損なわない色材を含有するインキを用いて形成できる。
【0040】
緩衝基材12は、容器31への衝撃を吸収する機能を有する。また、緩衝基材12は、衝撃を吸収する緩衝機能に加えて断熱機能も有する。緩衝基材12の厚みは、特に限定されないが、ラベル基材11よりも厚肉であることが好ましい。具体的には、緩衝性、装着性等の観点から、100μm〜1000μmが好ましく、120μm〜500μmがより好ましく、150μm〜300μmが特に好ましい。
【0041】
緩衝基材12には、緩衝性、加工性等の観点から、発泡樹脂シート、不織布、フェルト、ポリオレフィン系の緩衝シート、又はこれらから選ばれる少なくとも1種を含む積層体を用いることが好ましい。より好ましくは、発泡樹脂シート、不織布、又はいずれか一方を含む積層体であり、特に好ましくは発泡樹脂シート又はこれを含む積層体である。
【0042】
発泡樹脂シートには、物理的又は化学的発泡など従来公知の発泡手法により作製されたシートを用いることができる。該シートを構成する樹脂としては、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物が例示できる。これらの樹脂には、必要に応じて、各種フィラー、着色剤、可塑剤、安定剤、帯電防止剤などの添加剤を添加することができる。
【0043】
緩衝基材12には、上端12c側に、主収縮方向Xに並んだ複数の切り欠き20が形成されている。切り欠き20は下方向に向かうに従い幅が狭くなるように形成されている。また、緩衝基材12には、下端12d側にも、主収縮方向Xに並んだ複数の切り欠き22が形成されている。切り欠き22は上方向に向かうに従い幅が狭くなるように形成されている。切り欠き20,22は、それぞれ、後述の縮径部34、角部32Cに対するラベルの装着性を改善する機能を有する。
具体的には、緩衝基材12は、左右方向に延び且つ上下に凹凸となる波状に設けられた緩衝基材12の上端12cと、左右方向に延び且つ上下に凹凸となる波状に設けられた緩衝基材12の下端12dとを有し、上端12cの一の最上点と次の最上点とを結ぶ仮線と、一の最上点から最下点を経て次の最上点に至るまでの上端12cと、で囲まれる領域が切り欠き20となり、下端12dの一の最下点と次の最下点とを結ぶ仮線と、一の最下点から最上点を経て次の最下点に至るまでの下端12dと、で囲まれる領域が切り欠き22となる。
【0044】
切り欠き20,22が上述のとおり形成されているので、緩衝基材12には、上端12c側に、主収縮方向Xに並び且つ上方向に凸となる複数の凸状部21が、下端12d側に、主収縮方向Xに並び且つ下方向に凸となる複数の凸状部23がそれぞれ切り欠き残部として形成されている。凸状部21,23の先端は、ラベル基材11の上端11c、下端11dとそれぞれ一致している。
具体的に凸状部21は、上端12cの一の最下点と次の最下点とを結ぶ仮線と、一の最下点から最上点を経て次の最下点に至るまでの上端12cと、で囲まれる領域であり、凸状部23は、下端12dの一の最上点と次の最上点とを結ぶ仮線と、一の最上点から最下点を経て次の最上点に至るまでの下端12dと、で囲まれる領域である。
【0045】
切り欠き20と凸状部21とは、緩衝基材12の上端12c側において、主収縮方向Xに交互に並んで形成されており、切り欠き22と凸状部23とは、緩衝基材12の下端12d側において、主収縮方向Xに交互に並んで形成されている。
【0046】
切り欠き20,22は、それぞれ縮径部34、角部32Cの形状等に基づき、適切な形状に形成されることが好適である。図1に例示する切り欠き20,22は、いずれも平面視略V字状を呈しており、上下方向中央部側に向かって次第に幅(主収縮方向長さ)が小さくなっている。凸状部21は、上方向に向かって次第に幅が小さくなり、上端11cと一致する部分に先端を有する平面視略三角形状を呈する。凸状部23は、下方向に向かって次第に幅が小さくなり、下端11dと一致する部分に先端を有する平面視略三角形状を呈する。
【0047】
切り欠き20,22は、それぞれ縮径部34、角部32Cの形状や寸法等に基づき、切り込みの深さや幅を調整して形成されることが好適である。具体的には、シュリンクラベル10の収縮量が大きな部分ほど、切り欠き20の幅(即ち、凸状部21同士の隙間)を大きくし、シュリンクラベル10の収縮量が小さな部分ほど、切り欠き20の幅(凸状部21同士の隙間)を小さくする。つまり、縮径部34の直径が小さければ(径差大)、切り欠き20の幅を大きくし、縮径部34の直径が大きければ(径差小)、切り欠き20の幅を小さくする。
また、切り込みの深さは、縮径部34や角部32Cの上下方向の長さに応じて設計することができる。
【0048】
図1に例示する各切り欠き20は、意匠性等の観点から、互いに同じ寸法を有し、互いに同じ間隔で形成されている。同様に、各切り欠き22は、互いに同じ寸法を有し、互いに同じ間隔で形成されている。一方、切り欠き20と22とは、互いに寸法が異なり、切り欠き22よりも切り欠き20の方が深く且つ幅広に切り込まれて、上下方向長さ及び幅ともに大きくなっている。具体的に、切り欠き20は、ラベル基材11の上端11cから上下方向長さの1/4〜2/4(1/2)程度のところに切り込みの先端(V字の頂点)を有し、切り欠き22は、ラベル基材11の下端11dから上下方向長さの1/7〜2/7程度のところに切り込みの先端を有する。また、切り欠き20,22の個数は、特に限定されず、互いに同数であっても異なる数であってもよい。図1に示す例では、切り欠き20の数が切り欠き22の数よりも少なくなっている。
【0049】
なお、ラベル基材11には、延出部16以外にも、緩衝基材12が積層されない非積層部である切り欠き被覆部17,18が設けられる。ラベル基材11は、上記のように、平面視矩形形状を呈し、緩衝基材12の一方の面の全体を覆っている。即ち、ラベル基材11は、切り欠き残部である凸状部21,23に対応する部分(残部被覆部)にも設けられる。さらに、ラベル基材11は、切り欠き20,22に対応する部分にも設けられ、切り欠き被覆部17が切り欠き20を、切り欠き被覆部18が切り欠き22をそれぞれ覆っている。つまり、ラベル基材11には、上端11c側において、切り欠き被覆部17と凸状部21に対応する残部被覆部とが主収縮方向Xに交互に並んで形成されており、下端11d側において、切り欠き被覆部18と凸状部23に対応する残部被覆部とが主収縮方向Xに交互に並んで形成されている。このように、ラベル基材11が切り欠き20,22を含む緩衝基材12の一方の面の全体を覆って設けられているため、緩衝基材12に切り欠き20,22を形成しても、シュリンクラベル10の装着形態を安定に維持できる。
【0050】
また、緩衝基材12の他方の面(ラベル基材11と反対側の面)には、上記のように、容器31にラベルを貼り付け可能とする接着層14が設けられている。接着層14は、緩衝基材12上の略全域に設けることができる。或いは、ミシン目線26よりも下端11d側のみに設ける、凸状部21,23以外の部分に設ける等、接着層14を部分的に設けることができる。また、接着層13の場合と同様に、接着層14を部分的に設ける代わりに、接着層14上にその接着力を隠蔽するマスキング層上記マスキング層を設けてもよい。接着層14は、接着層13と同様に、感圧型接着剤又は感熱型接着剤を用いて形成できる。
【0051】
上記構成を備えたシュリンクラベル10は、例えば、以下のようにして製造できる。
まず初めに、第1の離型紙(長尺体)に仮貼着された第1の長尺体(緩衝基材12となる長尺体)を準備する。第1の長尺体の片面には接着層14が設けられており、第1の長尺体は、接着層14を介して第1の離型紙に仮貼着されている。かかる第1の長尺体をダイカットロール等によりカットして直線状の左端部と上下端に切り欠き20,22(長手方向に延びる波状の上端及び下端)を有する所定形状の緩衝基材12を形成すると共に、所定領域以外の余分な部分を除去する。こうして、第1の離型紙の長手方向に所定形状にカットされた緩衝基材12が並んだもの(以下、「中間体A」という)が得られる。
【0052】
続いて、長手方向に対して2〜6倍程度の延伸倍率で延伸処理され、当該方向に熱収縮性を有する第2の長尺体(ラベル基材11となる長尺体)を準備する。第2の長尺体は、長手方向が主延伸方向、即ち主収縮方向Xとなる。第2の長尺体の一方の面には接着層13が設けられており、第2の長尺体は、例えば、接着層13を介して第2の離型紙(長尺体)に仮貼着されている。なお、接着層13上には、延出部16及び切り欠き被覆部17,18に対応する部分に上記マスキング層が形成される。また、第2の長尺体の他方の面には、グラビア印刷法等によりデザイン印刷層15を形成することができる。こうして、ラベル基材11の長尺体(以下、「中間体B」という)が得られる。
【0053】
次に、中間体A上に中間体Bを積層する。このとき、中間体Bを第2の離型紙から剥離し、接着層13が設けられた面を中間体A側に向けて積層する。また、接着層13上に形成されたマスキング層が、切り欠き20,22(凸状部21,23)が形成された部分に重なるように位置合わせして積層する。最後に、各中間体の積層体をダイカットロール等により個々のラベルサイズにカットして余分な部分を除去すると共に、ミシン目線26を形成して、第1の離型紙上に並んだ複数のシュリンクラベル10が製造される。なお、最後のカット工程では、ラベル基材11の四つの端と、緩衝基材12の右端部とがカットされ、形成される。
【0054】
図3図5に示すように、ラベル付き容器30は、シュリンクラベル10と、該ラベルが装着された容器31とを備える。容器31は、胴部32と、ドーム状の蓋部33とで構成されている。胴部32は、例えば、蓋部33が嵌合する首部(蓋部33が嵌合した状態では見えない)と、第1の面である側面32A、第2の面である下面32B、及び側面と下面との間に形成された角部32Cを有する円柱状の本体部とで構成される。なお、側面32Aは、円柱状の本体部の周方向に沿って形成された面であって、上下方向に平行な面である。下面32Bは、胴部32の底を形成し、側面32Aに垂直な面である。
【0055】
シュリンクラベル10は、主収縮方向Xが周方向となるように容器31に巻き付けられて筒状に形成される。シュリンクラベル10は、胴部32の側面32Aの全体を覆い、蓋部33の胴部の直径よりも小径である上端部近傍に亘って装着されており、蓋部33の開封を防止する機能も有する。ミシン目線26は、胴部32の上部に位置しているため、例えば、ねじ込み式の蓋部33であれば蓋部33を取り外すときにミシン目線26に沿ってラベルが破断し容器31を開封することができる。
【0056】
容器31は、金属製やプラスチック製の容器であってもよいが、ガラスや陶器から構成される破損し易い容器であることが好ましい。胴部32は、例えば、収容物を充填可能な内部空間を有し、円柱状の外観を呈する。蓋部33は、胴部32の首部に嵌合して、胴部32の内部空間を密閉する。なお、蓋部33は、下端部の直径が胴部32(本体部)の直径と略同等で、上端部に近づくほど縮径して周長が次第に短くなっており、かかる部分にもシュリンクラベル10が装着されている。つまり、容器31は、シュリンクラベル10が装着される部分に、ラベルの筒状体の軸方向(上下方向)に沿って縮径した縮径部34を有する。なお、容器31では、蓋部33の全体が縮径部34である。
【0057】
シュリンクラベル10は、緩衝基材12が容器31側を向いた状態で巻き付けられている。即ち、シュリンクラベル10は、筒状に丸められて形成された筒状体の内面に緩衝基材12が、該筒状体の外面にラベル基材11が位置するように容器31に巻き付けられる。緩衝基材12の内面には接着層14が設けられているため、シュリンクラベル10は接着層14により容器31の側面32Aに貼着される。
【0058】
また、シュリンクラベル10は、ラベル基材11の左端11a側に設けられた延出部16の一部が、右端11b側のラベル基材11の外面に重なるように巻き付けられている。また、緩衝基材12の左端12aと右端12bとが重ならないように、巻き付けられている。左端12aと右端12bとの間隔は、ゼロであってもよいが、両端の重なりを確実に防止するため、所定の間隔(ラベルの周方向に沿った間隔)をあけて巻き付けられることが好適である。所定の間隔としては、左端12aと右端12bとが重ならない範囲で小さいことが好適であり、例えば、1〜10mmが好ましく、3〜5mmがより好ましい。なお、延出部16は、容器31に接触しないようにして右端11b側の外面に接着層13を介して接着される。これにより、接合部27が形成されると共に、延出部16と容器31との間に隙間37が形成される。但し、延出部16と容器31とが接触して隙間37が形成されない形態であってもよい。
【0059】
シュリンクラベル10は、縮径部34に切り欠き20と凸状部21とが位置するように巻き付けられている。具体的には、ラベル基材11の上端11cが縮径部34の上端部近傍に位置し、切り欠き20の切り込みの先端(上端の最下点)が胴部32と蓋部33との境界部付近に位置している。換言すると、凸状部21の先端が縮径部34の上端部近傍に位置し、凸状部21の付け根が胴部32と蓋部33との境界部付近に位置している。つまり、縮径部34の直径が小さくなり周長が短くなるほど、縮径部34を覆う凸状部21の幅(主収縮方向長さ)が小さく(切り欠き20の幅が大きく)なるように収縮前のシュリンクラベル10は設計されている。
【0060】
縮径部34において、シュリンクラベル10は隣り合う凸状部21同士が重ならないように巻き付け、収縮されている。凸状部21同士の間隔は、ゼロであってもよいが、凸状部21の重なりを確実に防止するため、所定の間隔(ラベルの周方向に沿った間隔)をあけて巻き付けられることが好適である。所定の間隔としては、隣り合う凸状部21同士が重ならない範囲で小さいことが好適であり、例えば、凸状部21の先端同士の間隔が0.1〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。つまり、シュリンクラベル10を縮径部34に装着することで、切り欠き20の幅(主収縮方向長さ)が小さくなっており、このため、縮径部34の大部分を緩衝基材12で覆うことができる。切り欠き20に対応する、ラベル基材11の切り欠き被覆部17は、例えば、装着後においても上端11c側に向かって幅が広がった細長い凹状を呈する。
【0061】
縮径部34において、シュリンクラベル10は縮径部34の形状に追従して装着されている。ラベル基材11の縮径部34を覆う部分は、緩衝基材12と積層されていない非積層部(切り欠き被覆部17)を有するため周方向に熱収縮可能であり、また凸状部21同士が重なり合うことなく縮径部34を覆うことにより、縮径部34の形状に追従したラベル装着が可能となる。なお、切り欠き被覆部17と、容器31とが接触しないことが好ましく、これにより、切り欠き被覆部17と容器31との間に隙間35が形成される。但し、切り欠き被覆部17と容器31とが接触して隙間35が形成されない形態であってもよい。
【0062】
シュリンクラベル10は、緩衝基材12が側面32A及び角部32Cを覆い、切り欠き22と凸状部23とが下面32Bの周縁部に位置するように巻き付けられている。即ち、凸状部23が下面32Bの周縁部を覆うと共に、凸状部23の付け根又はその近傍に位置する部分が角部32Cを覆っている。そして、ラベル基材11の下端11dは、下面32Bに引っ掛かるように折れ曲がり、角部32Cを超えて下面32Bの周縁部に位置している。ラベル基材11の下端11d近傍には、切り欠き22が形成されているため緩衝基材12の抵抗が小さく、ラベル基材11の熱収縮応力により当該折れ曲がりが可能となる。また、当該折れ曲がりによりシュリンクラベル10の下面32Bを覆う部分では縮径部34の場合と同様にラベルの周長が短くなるが、下面32Bの周縁に位置する切り欠き22の機能より、凸状部23同士が重ならないように角部32C及び下面32Bを覆うことができ、緩衝基材12にシワや撓みが発生することを防止しながら角部32Cを保護することができ、例えば、ラベル付き容器30の自立安定性を維持できる。
【0063】
下面32Bにおいて、凸状部23同士の間隔は、ゼロであってもよいが、凸状部23の重なりを確実に防止するため、所定の間隔(ラベルの周方向に沿った間隔)をあけて巻き付けられることが好適である。所定の間隔としては、隣り合う凸状部23同士が重ならない範囲で小さいことが好適であり、例えば、凸状部23の先端同士の間隔が0.1〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。つまり、シュリンクラベル10を角部32C及び下面32Bに熱収縮して装着することで、切り欠き22の幅(主収縮方向長さ)が小さくなっており、このため、角部32Cの全域及び下面32Bの大部分を緩衝基材12で覆うことができる。切り欠き22に対応する切り欠き被覆部18は、例えば、装着後においても下端11d側に向かって幅が広がった細長い凹状を呈する。
【0064】
下面32Bにおいて、シュリンクラベル10は下面32Bの周縁部の形状に追従して装着されている。ラベル基材11の下端11d近傍は、緩衝基材12と接合されていないため周方向に熱収縮可能であり、また凸状部23同士が重なり合うことなく下面32Bを覆うことにより、下面32Bの形状に追従したラベル装着が可能となる。上記のように、切り欠き22の幅が小さくなることで、切り欠き被覆部18の幅も小さくなる。なお、切り欠き被覆部18と、容器31とが接触しないことが好ましく、これにより、切り欠き被覆部18と容器31との間に隙間36が形成される。但し、切り欠き被覆部18と容器31とが接触して隙間36が形成されない形態であってもよい。
【0065】
なお、ラベル付き容器30は、シュリンクラベル10を容器31に巻き付けて貼着した後、ラベルを加熱処理してラベル基材11を熱収縮させることにより得られる。具体的には、まず、シュリンクラベル10を胴部32の側面32Aに巻き付ける。このとき、上記のように、ラベル基材11の主収縮方向Xが巻き付け方向、即ち筒状体の周方向となり、緩衝基材12が筒状体の内側に向くように巻き付ける。シュリンクラベル10の容器31の上下方向に対する位置は、例えば、ラベル基材11の上端11c(凸状部21の先端)を縮径部34である蓋部33の上端部近傍に合わせて、ラベル基材11の下端11d(緩衝基材12の凸状部23)が角部32Cを超えて下方に延出した状態とする。これにより、縮径部34の周囲に切り欠き20が、角部32Cよりも下方に延出した部分に切り欠き22がそれぞれ位置し、シュリンクラベル10は側面32Aのみに貼着された状態となる。
この状態でラベル基材11の熱収縮温度で加熱処理することにより、ラベル基材11を熱収縮させて、側面32Aだけでなく、縮径部34、角部32C、及び下面32Bの形状にラベルを追従させる。このとき、側面32Aに巻き付けられている部分は殆ど収縮しない。一方、側面32Aの上下に位置する部分では、ラベル基材11が熱収縮し、その熱収縮応力により、複数の凸状部21が互いに重なり合うことなく縮径部34を覆い、複数の凸状部23が下面32Bに回り込み、互いに重なり合うことなく下面32Bの周縁部を覆う。角部32Cは、凸状部23の付け根又はその近傍に位置する部分により覆われる。
こうして、縮径部34や角部32Cにおいてもラベル基材11及び緩衝基材12にシワや撓みがなく見栄えの良いラベル装着形態を有するラベル付き容器30が得られる。
【0066】
以上のように、ラベル付き容器30によれば、シュリンクラベル10の緩衝基材12に切り欠き20,22を設けたことにより、縮径部34、角部32Cを含む容器31の形状に追従して見栄え良くラベルを装着することができ、且つ縮径部34、角部32Cを含む容器31の破損を抑制することが可能となる。
【0067】
また、ラベル付き容器30には、例えば、切り欠き20,22、及び延出部16に起因して緩衝基材12が積層されない部分が僅かに発生するが、かかる部分にはラベル基材11と容器31との間に形成される隙間35,36,37を形成することができる。この隙間によっても、容器31に伝わる衝撃を吸収することができ、容器31を保護することができる。
【0068】
なお、ラベル基材11の延出部16が緩衝基材12の左端12a、右端12bを覆っているので、左端12a、右端12bから緩衝基材12が捲れて剥がれることを防止できる。
【0069】
<第2の実施形態>
図6及び図7を参照しながら、第2の実施形態について説明する。
ここでは、第1の実施形態との相違点を説明し、第1の実施形態と同様の構成については、重複する説明を省略して用語及び図番を援用する。
【0070】
図6に示すシュリンクラベル10において、緩衝基材12には、下端12d側のみに、主収縮方向Xに並んだ複数の切り欠き22及び切り欠き残部である凸状部23が形成されている。即ち、下端12dに対向する上端12cは、ラベル基材11の上端11cと同様に直線状に形成されている。上端12cは、その全長に亘って上端11cと一致している。なお、シュリンクラベル10を装着する容器によっては、下端12d側に切り欠き22及び凸状部23を設ける代わりに、上端21c側のみに切り欠き20及び凸状部21を設けてもよい。
【0071】
図7に示すラベル付き容器40は、図6に示すシュリンクラベル10と、該ラベルが巻き付けられた容器41とを備える。容器41は、胴部42と、円柱状の蓋部43とで構成されている。容器41は、例えば、胴部42がガラス製であり、蓋部43がプラスチック製である。胴部42は、例えば、蓋部43が嵌合する首部44と、第1の面である側面42A、第2の面である下面42B、及び側面42Aと下面42Bとの間に形成された角部42Cを有する円柱状の本体部45とで構成される。なお、本体部45には縮径部が存在しない。
ラベル付き容器40では、シュリンクラベル10は蓋部42に装着されておらず、胴部42の一部に装着されている。
【0072】
ラベル付き容器40では、ラベル付き容器30と同様に、シュリンクラベル10が側面42Aの全体を覆い、且つ角部42Cを超えて下面42Bに回り込んだ状態で装着されている。なお、下面42Bにおけるシュリンクラベル10の装着形態は、図5に示す形態と同様であり、緩衝基材12によって角部42Cを含む本体部45の略全体が保護されている。
【0073】
上記では、側面(第1の面)と下面(第2の面)との間に形成された角部が非熱収縮層である緩衝基材12に覆われるものとして説明したが、緩衝基材12により覆われる角部はこれに限定されない。例えば、第1の面が容器の胴部側面、第2の面が容器の胴部上面であり、当該側面と上面との間に形成される角部が緩衝基材12により覆われてもよい。
【0074】
<第3の実施形態>
図8を参照し、第3の実施形態について説明する。
ここでは、第1,2の実施形態との相違点を説明し、第1,2の実施形態と同様の構成については、重複する説明を省略して用語及び図番を援用する。
【0075】
図8に示すシュリンクラベル10において、緩衝基材12は、上端側及び下端側に主収縮方向Xに並んで形成された複数の切り欠き20,22、及び切り欠き残部である凸状部21,23を有する点で図1に示す形態と共通するが、その平面視形状は図1に示す形態と異なる。具体的には、図8に示す切り欠き20,22は、いずれも切り込みの先端が主収縮方向Xに平行な直線状を呈し且つ上下方向中央部に向かうに連れて幅が狭くなる平面視台形をしており、凸状部21,23は、上方向又は下方向に向かうに連れて幅が狭くなる平面視台形状を呈し、その直線状の先端はそれぞれラベル基材11の上端11c又は下端11dと一致している。また、緩衝基材12の左端12a、右端12bは直線状に形成されている。さらに、ラベル基材11には、主収縮方向Xの両側(左端11a近傍,右端11b近傍)に延出部16a,16bが設けられている。なお、切り欠き20,22及び凸状部21,23の平面視形状は半円状や三角形状などとしてもよく、容器の縮径程度に応じて、それぞれの左右方向の幅を設計できる。
【符号の説明】
【0076】
10 シュリンクラベル、11 ラベル基材、12 緩衝基材、13,14 接着層、15 デザイン印刷層、16 延出部、17,18 切り欠き被覆部、20,22 切り欠き、21,23 凸状部、25 接合部、26 ミシン目線、30 ラベル付き容器、31 容器、32 胴部、32A 側面、32B 下面、32C 角部、33 蓋部、34 縮径部、35,36,37 隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8