【実施例1】
【0018】
本実施例1は、前述のオーストラリア硬貨1ドル硬貨(直径25.00ミリメートル)、又は、20セント硬貨(直径28.52ミリメートル)の画像を取得し、取得した画像と基準画像を比較することによって、正貨と偽貨とに選別する硬貨画像選別装置のための硬貨送出装置として採用した例である。換言すれば、直径25ミリメートルの最小径硬貨CSと直径28.52ミリメートルの最大径硬貨CLを、同一仕様であるが、金種毎の個別の硬貨送出装置106における回転ディスク122が回転不能になることなく送り出すようにした硬貨送出装置に関する。
しかしながら、本発明の対象硬貨は、日本円硬貨又は米国ドル硬貨等、世界中の硬貨に適用できると共に、硬貨以外の直径が異なるメダルやトークンを同一仕様の硬貨送出装置で送り出す場合にも採用することができる。
なお、最小径硬貨のみを示す場合、符号としてCSを付記し、また、最大径硬貨のみを示す場合符号としてCLを付記し、最小径硬貨CS及び最大径硬貨CLの何れをも示す場合、硬貨Cとして説明する。
【0019】
硬貨画像選別装置100の概要を
図1及び
図2を参照して説明する。
硬貨画像選別装置100は、バラ積み状態の硬貨Cを1つずつ区分けして送り出した後、その送り出された硬貨Cの表面又は裏面の画像を取得し、当該取得画像を基準画像と比較することにより真偽判別し、その判別結果に基づいて正貨と偽貨に選別する機能を有し、扁平立方体型の偽貨保留箱102、側面視台形状の基台104、硬貨送出装置106、撮像装置108、並びに、振分装置110を含んでいる。
【0020】
まず偽貨保留箱102を
図1を参照して説明する。
偽貨保留箱102は、振分装置110によって選別された偽貨を受入れ、保留する機能を有する。
具体的には、偽貨保留箱102は、六面の内の前側端面が矩形に開放された箱開口114を有する縦長立方体形状の筐体112、当該箱開口114を介して筐体112内に進退自在に挿入され、六面の内、上面が開口された受箱115を含んでいる。
これにより、振分装置110によって偽貨に判別された硬貨Cは、受箱115に案内されてバラ
積み状態で保留され、所定のタイミングで受箱115を筐体112から引出して、受箱115内に保留された偽貨を処理する。再稼働に際しては、受箱115を筐体112内に差し込んだ後、始動する。
【0021】
次ぎに、基台104を
図1を参照して説明する。
基台104は、硬貨送出装置106及び撮像装置108が取り付けられると共に、それらの駆動装置や制御装置を内蔵する機能を有し、前面(箱開口114)側が低く、後面(反箱開口114)側が高い、側面視台形状をした箱形であり、筐体112の上面に固定されている。
【0022】
次ぎに本発明に係る硬貨送出装置106を
図1〜
図5を参照して説明する。
硬貨送出装置106は、バラ
積み状態で保留した硬貨Cを1つずつ区分けして次工程へ送り出す機能を有し、少なくとも、ベース116、ガイド体118、硬貨保留容器120、回転ディスク122、規正ピン124、及び、案内体126により構成されている。
【0023】
まず、ベース116を説明する。
ベース116は、少なくとも回転ディスク122によって連れ回りされる硬貨Cの下面を案内する機能を有し、本実施例1においては、さらに、ガイド体118、硬貨保留容器120及び撮像装置108が取り付けられる機能を有し、基台104の前下がりに傾斜する上面上に固定された、所定の厚みを有する矩形の平板である。本実施例1においては、回転ディスク122及び撮像装置108において押動される硬貨Cを案内するため、縦長矩形に形成されている。しかし、ベース116は同様の機能を有すれば、水平に配置することができ、また、その形状等の如何を問わない。
【0024】
次ぎにガイド体118を
図2を参照して説明する。
ガイド体118は、回転ディスク122によって、ベース116上を移動する硬貨Cの周面を案内する機能を有し、ベース116と同様に縦長矩形板状体の中央に回転ディスク122とほぼ同一直径の送出円形孔128と撮像円形孔130が形成され、それら送出円形孔128及び撮像円形孔130はガイド体118の中央において接続され、所定の長さを有する開口132によって連通し、送出円形孔128と撮像円形孔130によって、外形が略8字形の穴を形成している。
【0025】
次ぎに硬貨保留容器120を
図1を参照して説明する。
硬貨保留容器120は、受け入れた硬貨Cをバラ
積み状態で保留する機能を有し、実施例1においては、縦向きの大凡円筒形をし、前側側壁が横長矩形に開放された受入開口134が形成され、下端部は少なくとも透孔144の外側に内周縁が位置する円形の底孔136が形成されている。底孔136の軸線と送出円形孔128、及び、回転ディスク122の軸心とが同一になるよう、配置されている。
硬貨保留容器120の略円形の上端開口137は、硬貨保留容器120の側壁から突出するブラケット138に一端を回動可能に支持された蓋体140によって、開閉可能である。
【0026】
次ぎに回転ディスク122を
図2〜
図5を参照して説明する。
回転ディスク122は、硬貨Cを1つずつ区分けした後、連れ回り移動させ、次いで当該回転ディスク122の周方向へ押し出す機能を有し、本実施例1においては、少なくとも、円盤状の円盤本体142、当該円盤本体142の偏心部、すなわち周縁部に形成した透孔144、及び、裏面に形成した押動部146を含んでいる。
【0027】
まず円盤本体142を説明する。
円盤本体142は、金属又は耐摩耗性樹脂等の一体成形によって形成され、ベース116に対して垂立する回転軸148の先端部に固定されることによって、少なくともその厚み方向の上部は、硬貨保留容器120の底孔136に配置され、下端部の押動部146は、送出円形孔128内において所定の速度で回転される。
回転軸148がベース116に対し垂立するので、回転ディスク122も前下がりに傾斜し、ベース116と平行をなす平面内において回転される。換言すれば、ベース116と回転ディスク122とは所定の間隔で平行に配置されている。
円盤本体142の上面側の回転軸148の周囲は、多角錘形の攪拌部150が形成され、回転ディスク122の回転時に硬貨保留容器120内にバラ積みされた硬貨Cを攪拌する。
円盤本体142の下面側の回転軸148の周囲に円柱形に下向きに突出された隙間規制部152が形成され、押動部146の下端がベース116に対し最薄硬貨の厚みの2分の1以下の間隔を保って回転するように規制する。なお、隙間規制部152の下端面とベース116との間には、摩擦抵抗を軽減するため低摩擦体からなるシート154(
図3)を介在させることができる。
【0028】
次ぎに透孔144を説明する。
透孔144は、硬貨保留容器120内にバラ積みされた硬貨Cを攪拌して1つずつ落下させ、もって、硬貨Cを一つずつ区分けする機能を有し、本実施例1においては、円盤本体142の偏心位置に等間隔で形成された円形の4つの透孔144A〜144Dである。透孔144A〜144Dの直径は、2以上の複数金種に対応可能なように、対象金種の最大径硬貨CLが円滑に落下できる直径に設定されている。例えば、最大直径に大凡1.5〜2ミリメートルを加えた直径に形成されている。本実施例1においては、直径25ミリメートル〜31.65ミリメートルの硬貨に対応させるため、その直径は大凡33ミリメートルに設定されている。
本実施例1においては、透孔144A〜144Dの下端部が円形に形成され、上端部156が大径部と小径部とよりなる卵形に形成された複合形状に形成されている。換言すれば、卵形の大径部が透孔144A〜144Dに重なり、小径部がその横方向に配置されている。硬貨Cの透孔144A〜144Dへの落下をスムーズに行うためである。
透孔144A〜144Dをこのように形成した場合、透孔144A〜144Dの回転軸148側の縁は、隙間規制部152に食い込むことから、隙間規制部152は平面視花びら型になる。
隣接する透孔144A〜144Dの間には、周縁に向かって拡開する扇形のリブ158(158A〜158D)が形成されている。
【0029】
次ぎに押動部146を
図5を参照して説明する。
押動部146は、回転ディスク122の回転によって、透孔144A〜144Dに落下した硬貨Cを隙間規制部152と送出円形孔128の内向周面162との間に形成されるリング形の硬貨通路160を押動する機能を有し、本実施例1においては、各リブ158A〜158Dの下面に形成された複数の押動部146A〜146Dを含んでいる。押動部146A〜146Dは下向きに突出する突起であり、各押動部146A〜146Dの構成は全て同一であるので押動部146Aを代表して説明する。
【0030】
押動部146Aは、少なくとも外側押動部146Eと内側押動部146iの2つの押動部によって構成されている。
まず、外側押動部146Eを説明する。
外側押動部146Eは、硬貨Cが送出円形孔128の内向周面162に案内される際、外側規正ピン180Eに案内される際、及び、案内体126によって案内される際、硬貨Cを押動する機能を有する。
外側押動部146Eは、円盤本体142の周縁に近い位置のリブ158Aの下面に配置され、回転軸148の軸心164を中心とする円弧166(
図5)に沿って円弧状に形成されている。換言すれば、外側押動部146Eは、対応する透孔144の回転方向前位側の端面から、更に回転方向前方に円弧状に、当該部分のリブ158Aの幅の大凡半分まで延在する突条168である。
この突条168の回転ディスク122の回転方向の後面たる外側後面168Eは、透孔144Aの周縁と面一に形成することが好ましい。透孔144Aに落下した硬貨Cの移動量を可及的に抑制することにより、硬貨Cの暴れを防止し、結果として不測のトラブルを防止するためである。さらに、突条168の外側前面168Fは、軸心164から遠ざかるにしたがって回転ディスク122の正回転方向(
図2及び
図5において反時計方向)の後位側に位置するよう形成されている。換言すれば、外側押動部146Eの外側前面168Fは、突条168の幅(回転ディスク122の周方向の長さ)よりも大きく形成され、回転ディスク122の周面側に面する外向き面に案内体126に衝突しないギリギリの位置まで連続して形成され、軸心164を通ると共に、外側押動部146Eの先端に接する直線L1に対し、
外側前面168Fの延長線ELのなす角度Aが約30度をなすように形成されている。外側前面168Fが弧状に形成される場合、その中点に対する接線ELとのなす角度Aが、大凡30度をなすように設定することが好ましい。突条168が樹脂により形成される場合、硬貨Cと外側前面168Fとの摺動面積を増加することにより、摩耗を減少させ、もって、耐久性を向上するためである。したがって、突条168を金属(含む焼結金属)で製造する場合、外側前面168Fは突条168の中間部と同一の幅であってもよい。また、突条168は、実施例1のように弧状ではなく、
図6に示すように外側前面168Fと外側後面168Eとを分離して構成し、それらを連結する中間部168Mは設けずともよい。しかしながら、突条168を樹脂にて成形する場合、実施例1のように円盤本体142と一体に中間部168Mを含めて一体成形することにより、強度を向上することが好ましい。
【0031】
次ぎに内側押動部146iを説明する。
内側押動部146iは、硬貨Cが送出円形孔128の内向周面162に案内されない場合に硬貨Cを押動する機能を有し、外側押動部146Eに対し所定距離離れた内側の軸心164に近い位置であって、リブ158Aの下面に下向きに突設された突起172である。この内側押動部146iは、外側押動部146Eと同様に、突起172の内側後面172Eが透孔144Aの周縁と面一に形成されているが、回転方向に対し前側に位置する内側前面172Fは、軸心164を通る直線L1よりも回転ディスク122の正回転方向(
図5において反時計方向)の後方に位置し、さらに直線L1に対して前記角度Aとは逆向きに角度Bによって交差する直線L2上に位置するように形成されている。したがって、外側押動部146Eと内側押動部146iとの間には、所定の幅を有する外側逃溝170が形成される。
【0032】
さらに、本実施例1においては、リブ158Aの下面側において、隙間規制部152の弧状周面152Pから回転ディスク122の周面側へ弧状に所定位置まで延在する中心側突起176が形成されている。中心側突起176の中心側後面176Eは、透孔144Aの周縁と面一に形成されているが、正回転方向の前側である
内側前面172Fは、リブ158Aの根本部を横断し、かつ、進行方向の後位側へ凹形状になるように弧状に形成されている。したがって、中心側突起176と内側押動部146iとの間には、内側逃溝173が形成され、内側押動部146iは外側押動部146Eに対し、回転ディスク214の正回転方向において後位側に位置している。換言すれば、中心側前面176F、内側前面172F、及び、外側前面168Fによって使用が想定される最大径硬貨CLの周面が、内向周面162に接触しない保持位置IP(
図8)に保持される保持押動部178を構成している。すなわち、保持押動部178は、中心側前面176F、内側前面172F、及び、外側前面168Fによって、最大径硬貨CLの周面が全て接触する弧状の凹部と、ベース116と回転ディスク122のリブ158A〜158Dの裏面によって囲われた扁平三日月型の空間である。したがって、
図8に示すように、最大径硬貨CLが保持位置IPに位置する場合、軸心164を中心とし、外側押動部146Eと最大径硬貨CLとの接点P1までの距離を半径とする仮想円VCは、最大径硬貨CLの硬貨中心CCLよりも外側に位置し。また、
図9に示すように、最小径硬貨CSの周面が内向周面162に接する場合において、最小径硬貨CSの硬貨中心CCSは仮想円VCの内側又は当該仮想円VC上に位置するため、硬貨Cは軸心164側へ向う力又は接線方向に向かう力を受け、最大径硬貨CL及び最小径硬貨CSとも内向周面162側へ押し出される力を受けることはない。
なお、中心側突起176を設けることなく硬貨Cを保持位置IPに保持できる場合、中心側突起176を配置する必要はない。
【0033】
次に規正ピン124を
図5を参照して説明する。
規正ピン124は、押動部146によって硬貨通路160を押動される硬貨Cを、回転ディスク122(送出円形孔128)の周方向へ案内する機能を有し、本実施例1においては、撮像円形孔130に近い硬貨通路160において、ベース116に対して垂立して上向きに突出する一対の規正ピン、本実施例1においては内側規正ピン180iと、外側規正ピン180Eとにより構成されている。内側規正ピン180i、外側規正ピン180Eとは、隙間規制部152と案内体126との間において、ほぼ等間隔であって、隙間規制部152と案内体126との外周面との接線L2に沿って配置された、円柱状の棒体である。内側規正ピン180iと外側規正ピン180Eとは、一端をベース116の裏面に固定された板バネ(図示せず)の他端上に立設され、硬貨Cがこれら内側規正ピン180iと外側規正ピン180Eの側面に衝突した場合、当該板バネの弾性により衝撃を緩和するようになっている。換言すれば、内側規正ピン180iと外側規正ピン180Eとは、硬貨Cが衝突した際、その衝撃によって板バネが弾性変形し、ベース116に対し僅かに傾くことで衝突の衝撃を緩和する機能を有する。
【0034】
まず、内側規正ピン180iを説明する。
内側規正ピン180iは、隙間規制部152から所定の第1距離D1において離れて配置され、内側逃溝173を通過するように配置された円柱状の棒体であり、その先端は、回転ディスク122の回転方向の前方側が斜めに切除され、内側乗上斜面182iに形成されている。第1距離D1は、最小径硬貨CSの直径の2分の1以下に設定される。
最小径硬貨
CSが隙間規制部152と内側規正ピン180iとの間に落ち込んで移動抵抗が大きくならないようにするためである。
【0035】
次ぎに外側規正ピン180Eを説明する。
外側規正ピン180Eは、内側規正ピン180iよりも軸心164から遠く、かつ、案内体126よりも軸心164に近い位置、換言すれば、内側規正ピン180iに対し第2距離D2において離れた外側位置に配置されている。第2距離D2も、第1距離D1と同様に最小径硬貨CSの直径2分の1以下に設定される。外側規正ピン180Eは、円柱状の棒体であり、その先端は回転ディスク122の回転方向の前方側が斜めに切除され、外側乗上斜面182Eに形成されて、外側逃溝170を通過することができる。内側乗上斜面182i及び外側乗上斜面182Eは回転ディスク122が逆転される場合、硬貨Cが内側規正ピン180i及び外側規正ピン180Eを乗り越えることができるように上側へ案内する機能を有する。
【0036】
次ぎに案内体126を
図2及び
図3を参照して説明する。
案内体126は、規正ピン124によって案内された後、押動部146によって押動される硬貨Cを撮像円形孔130へ案内する機能を有し、送出円形孔128と撮像円形孔130とを連通する開口132の回転ディスク122の正回転方向の前位側に配置され、ベース116に対し実質的に固定状態に固定されている。換言すれば、硬貨Cが押動部146によって通常状態において押動される力では移動しないが、さらに大きな力で押された場合、退避動するよう弾性的に支持されている。本実施例1において、案内体126は、回転ディスク122の下方に大凡隠れる位置に配置されているが、回転ディスク122の外周縁外側近傍に配置することもできる。
【0037】
次ぎに送出円形孔128を説明する。
送出円形孔128は、回転ディスク122の押動部146によって、詳しくは外側押動部146Eによって押動される硬貨Cを案内する機能を有し、ガイド体118を上から下へ貫通するように形成された円形の孔であり、その深さは使用が想定される最厚硬貨の厚みよりも僅かに深く形成されている。送出円形孔128の直径は、回転ディスク122の直径とほぼ同一に形成される。なお、硬貨Cが保持位置IPに位置する場合、硬貨Cの周面が送出円形孔128の内向周面162に案内されることはない。
開口132を構成し、回転ディスク122の正回転方向において上流側に位置する他方の規制体182は、送出円形孔128の接線方向に直線的に延在する出口案内184の端部に形成されている。
【0038】
案内体126の反対側の開口132に相対して硬貨Cの通過センサ163が配置されている。通過センサ163は、硬貨Cの通過を検出する機能を有し。公知の光電センサや磁気センサ等を採用することができる。
【0039】
次ぎに撮像円形孔130を
図2を参照しつつ説明する。
撮像円形孔130は、硬貨送出装置106によって送り出された後、撮像移動体186によって押動される硬貨Cを案内する機能を有し、本実施例1においては、ガイド体118に形成され、送出円形孔128とほぼ同一直径の円形孔に形成され、送出円形孔128とは開口132を介して連通している。
【0040】
次ぎに撮像移動体186を説明する。
撮像移動体186は、硬貨送出装置106から1つずつ送り出された硬貨Cを受け取って後、当該硬貨Cを押動して撮像装置108へ移動させた後、受入開口134へ移動させる機能を有し、本実施例1においては、回転ディスク122と同期回転する回転軸190から周方向に等間隔で突出する4本の撮像押動体192A〜192Dによって構成されている。
これにより、硬貨Cは各撮像押動体192A〜192Dによって1つずつ押動され、撮像円形孔130の内周面194によって案内されつつ撮像通路196及び受入通路198を移動される。
【0041】
次ぎに撮像装置108を説明する。
撮像装置108は、撮像移動体18
6によって押動される硬貨Cの面を撮像する機能を有し、公知の撮像装置を採用することができ、本実施例1においては、撮像通路196の底面に配置されたCMOSカメラ等が使用される。したがって、本実施例1においては硬貨Cの下面を撮像している。しかし、撮像装置108は、硬貨Cの上面を撮像するようにしてもよい。
【0042】
次ぎに、受入開口134を説明する。
受入開口134は、撮像移動体186によって押動される硬貨Cが落下する機能を有し、本実施例1においては、受入通路198の底面に形成された矩形の開口である。受入開口134に続いて下方に延在する振分通路199が形成されている。
なお、撮像円形孔130及び撮像移動体186は、椀状のカバー197によって覆われている。
【0043】
次に振分通路199を説明する。
振分通路199は、硬貨Cを案内する機能を有し、中間に振分装置110が配置されている。
【0044】
次ぎに振分装置110を説明する。
振分装置110は、振分通路199を落下する硬貨Cを撮像装置108によって取得した画像を基準画像と比較して真偽判別した結果に基づいて、正貨又は偽貨に振り分ける機能を有し、例えば、平板状の振分板200を正貨又は偽貨の判別結果に基づいて位置決めすることにより、正貨通路202又は偽貨通路204に振り分ける。偽貨通路204は受箱115に連通されている。
【0045】
したがって、硬貨送出装置106に撮像装置108を組み合わせることにより、硬貨送出装置を用いる硬貨画像取得装置が構成され、硬貨送出装置106に撮像装置108及び振分装置110を組み合わせることにより当該硬貨送出装置106を用いる硬貨画像による硬貨選別装置が構成される。
【0046】
次に本実施例1の作用を
図7〜
図13をも参照して説明する。
受入開口134を介して硬貨保留容器120内に受入れた硬貨Cは、底孔136に位置する回転ディスク122の回転によって攪拌されることから、様々な姿勢をとることで、透孔144A〜144Dに落下する。透孔144A〜144Dに落下した硬貨Cはベース116に面接触すると共に、押動部146A〜146Dによって押動されて硬貨通路160を連れ回りされる。詳述すれば、移動中の硬貨Cは、硬貨通路160の内周側を画定する隙間規制部152と、外周側を規制する送出円形孔128の内向周面162によって案内されつつ内側押動部146i又は外側押動部146Eによって押動される。硬貨Cが押動部146によって押動される際、
最大径硬貨CLはその大凡3分の1が回転ディスク122の下面とベース116との間に位置することで硬貨Cのベース116に対する上下方向の位置が規制され、姿勢が安定する。
図9に示すように、硬貨Cが外側押動部146Eの外側前面168Fによって押動され、かつ、送出円形孔128の内向周面162によって案内される場合であっても、硬貨Cの周面と外側前面168Fとの接点P1は最大径硬貨CLの硬貨中心CCLは勿論のこと、最小径硬貨CSの硬貨中心CCSよりも外側、換言すれば、接点P1は硬貨中心CCLよりも軸心164から遠くに位置するため、硬貨Cには軸心164側へ向かうベクトルが作用し、回転ディスク122の軸心164側へ移動され、最終的に保持位置IPに保持された状態でつれ回りされる。また、希にではあるが、連れ回りされる硬貨Cが送出円形孔128の内向周面162に案内されつつ連れ回りされることもある。
保持位置IPにおいて連れ回りされる硬貨Cは、出口案内184に相対した場合であっても保持位置IPに保持され、開口132へ向かって移動しない。しかし、硬貨Cの内側規正ピン180iの側面に接触した場合、硬貨Cは当該内側規正ピン180iに案内されて回転ディスク122の周方向へ案内され、開口132へ向かって移動され、次いで外側規正ピン180Eによって同方向へ案内され、ついには案内体126に案内されて開口132を通って撮像円形孔130へ送り出される。
【0047】
この、硬貨Cが撮像円形孔130へ送り出される過程を、最も送り出されにくい状況である、最小径硬貨CSが保持位置IPにおいて内側前面172Fと中心側前面176Fとに跨って保持されつつ移動される場合を例に説明する。
図7に示すように、内側前面172Fと最小径硬貨CSとの接点P2から硬貨中心CCSに向かって力F1が作用する。内側規正ピン180iと最小径硬貨CSとの接点P22から硬貨中心CCSに向かう力F2が作用する。
力F1とF2の合力F3は、開口132側に指向することから、最小径硬貨CSは内側規正ピン180iに案内されて開口132側へ移動される。
なお、
図8に示すように、最大径硬貨CLの保持位置IPに保持された状態において、内側規正ピン180iに当接した場合、外側前面168Fと最大径硬貨CLとの接点P3から硬貨中心CCLに向かって力F5が作用し、内側規正ピン180iと最大径硬貨CLとの接点P4から硬貨中心CCLに向かう力F6が作用し、それらの合力F7は開口132側を指向することから、開口132側へ案内される。
【0048】
さらに、回転ディスク122が正回転すると、
図10に示すように、最小径硬貨CSは外側規正ピン180Eと接触する。この際、最小径硬貨CSは外側押動部146Eとの接点P1から力F8にて押動されるようになり、外側規正ピン180Eからは最小径硬貨CSの
硬貨中心CCSに対しては接点P4から反力F9が作用し、それらの合力F10は開口132側へ指向することから、硬貨Cは開口132側へ移動される。
【0049】
さらに、回転ディスク122が正回転すると、
図11に示すように、最小径硬貨CSは案内体126と接触する。この際、最小径硬貨CSは外側押動部146Eとの接点P1から押動されるようになり、最小径硬貨CSの
硬貨中心CCSに対しては力F11が作用し、案内体126と最小径硬貨CSとの接点P5からは反力F12が作用し、それらの合力F13は開口132側へ指向することから、最小径硬貨CSは開口132へ移動される。
【0050】
さらに回転ディスク122が正回転すると、
図12に示すように、最小径硬貨CSは外側押動部146Eの外側前面168Fとの接点P1から、力F14によって押動され、案内体126との接点P6からは反力F15を受けるので、それらの合力F16によって最小径硬貨CSはついには撮像円形孔130へ送り込まれ、撮像移動体186の移動経路に押し出される。
これにより、最小径硬貨CSは撮像押動体192A〜192Dの何れかによって押動されるようになり、撮像通路196を押動される。この最小径硬貨CSの開口132の通過は。通過センサ163によって検知される。
【0051】
撮像通路196を押動される最小径硬貨CSは撮像装置1
08によって撮像され、当該撮像に基づいて真偽判別された後、受入開口134に落下し、振分装置110によって正貨又は偽貨に振り分けられ、偽貨は偽貨通路204を介して受箱115に保留され、正貨は正貨通路202を介して正貨金庫に案内される。
【0052】
次ぎに、最小径硬貨CSが送出円形孔128の内向周面162に案内される場合を説明する。内向周面162に案内される場合、最小径硬貨CSは出口案内184に沿って移動するため。内側規正ピン180i及び外側規正ピン180Eによって案内されることなく開口132を通過し、撮像押動体192A〜192Dの何れかによって押動されるようになる。
【0053】
次ぎに、最小径硬貨CSが跳ねて。内側規正ピン180i及び外側規正ピン180E上に載った異常の場合を
図13を参照して説明する。この場合、最小径硬貨CSは送出円形孔128の内向周面162には接触できず、内側押動部146i又は外側押動部146Eによって押動される(
図12においては外側押動部146E)。なぜなら、ベース116と回転ディスク122(押動部146)の下端との間隙を考慮すると、最小径硬貨CSが内向周面162に接触した状態では発生し得ず、内側押動部146i又は外側押動部146Eに接触可能な位置に最小径硬貨CSが位置する場合において発生するからである。詳述すれば、最小径硬貨CSは保持位置IPに位置する状態で押動される。この際、
図13に示す外側押動部146Eと最小径硬貨CSとの接点P1と案内体126と最小
径硬貨CSとの接点P7とを結んだ直線LSは、最小径硬貨CSの硬貨中心CCSよりも外側に位置することから、硬貨中心CCSに対しては力F16が作用し、案内体126からは反力F17が作用し、それらの合力F18は回転ディスク122の軸心164側へ向かう。この力F17の回転ディスク122の軸心164側へ向かうベクトルによって、最小径硬貨CSは開口132側へ押動されることなく、軸心164側に向かう力を受けつつ連れ回りされる。したがって、外側押動部146Eは内側規正ピン180i及び外側規正ピン180Eを乗り越えることができ、回転ディスク122は回転を継続する。換言すれば、
最小径硬貨CSが外側押動部146Eと案内体126との間に挟まれて回転ディスク122が回転不能になることはなく、硬貨Cの送出を継続することができる。