特許第5982661号(P5982661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982661
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】知育玩具セット
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/16 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   A63H33/16 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-127740(P2014-127740)
(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公開番号】特開2016-7239(P2016-7239A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2015年9月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516203977
【氏名又は名称】安田 智子
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】小 田 藤 喜 子
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−302880(JP,A)
【文献】 特開2007−135798(JP,A)
【文献】 特開平11−267371(JP,A)
【文献】 実開昭62−194392(JP,U)
【文献】 NEWS tj,月刊トイジャーナル NO.1178,2008年12月 1日,第107頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 3/00−3/52,9/00,33/00−33/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面文字形でその文字の形を確りと視認可能で、手・指操作による変形がし易く且つ着脱機構用の接合壁部形成に支障のないだけの大きさと巾とを有するようにしたAないしZからなる平面アルファベット太文字形の合計26文字を一群とした軟質シート製の玩具本体であり、各1文字が頭文字となる動物名に対応する26種の立体歪化動物形とした場合、該立体歪化動物形の状態維持のために重ね合わせて当接状になる、少なくとも2箇所の接合壁部同士間に、適宜構造の着脱機構を設けると共に、該立体歪化動物形状態とした場合の該玩具本体の表裏壁面の中の少なくとも一方適所に、各1文字が頭文字となる動物名に対応する動物の外観を模した顔や胴体、手足、尾の中の少なくとも1つ表現された形態表示部を設けてなるものとし、平面文字形から弾性的に変形させた所定の立体歪化物形へと、また弾性的に変形させた所定の立体歪化物形から元の所定平面文字形へとの変形を繰り返し可能となるものとしたことを特徴とする知育玩具セット。
【請求項2】
玩具本体が、無着色または適宜染色した、厚さ1ないし5mmのフェルトおよび不織布の中、少なくとも何れか一方からなるものとした、請求項1記載の知育玩具セット。
【請求項3】
玩具本体が、無着色または適宜染色したフェルトおよび不織布の中、少なくとも何れか一方の2枚以上を、相互間に両面接着軟質フィルムを挟み積層状に接着一体化され、全厚さを1ないし5mmに規制されてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の知育玩具セット。
【請求項4】
着脱機構が、ボタン、面ファスナー、ホック、カギホック、磁石の中の何れか1つからなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の知育玩具セット。
【請求項5】
請求項1ないし4何れか一項記載の知育玩具セットに、全26種の玩具本体を配置可能な面積を確保した動物園や草原、その他の自然界などを表現したフィールドシートを組み合わされてなるものとした、知育玩具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、幼児や児童などの知能的発達を促す学習用品や玩具類に関連するものであり、特に、玩具で遊ぶことを通じて語学教育に役立てることが可能な知育玩具を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
従前より、幼児や児童用の絵本には、その頁から大きなアルファベット文字を切り抜き、そのアルファベット文字に表記されている折り目線に沿って折り紙のように折り曲げると、その文字を頭文字とする動物模型などを造ることができ、児童が自らの手・指で紙を折り、動物などの形を作るという過程を経ることにより、視覚、触覚、聴覚など様々な刺激を通じ、作る喜びと動物の名前を覚える楽しさとを与えるという情操教育を可能とするものが広く普及している。
【0003】
しかしながら、こうした厚紙製の折り紙は、一度折り曲げてしまうと、平面に戻しても折り跡が残ってしまい、初めて作るときの新鮮な刺激や、楽しさを二度と味わうことができない上、折り跡が脆く、折り曲げを繰り返していると簡単に破損してしまうという欠点があり、知育玩具に望ましい反復的学習への利用には不向きであるという難点を有するものであった。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、一つの簡単な押圧操作で第1形状であるアルファベット文字を含む単語に対応する物品の外形が瞬間的に現れる構成になっており、第1形状のアルファベット文字と物品名とを関連付けて幼児等に強い印象を与えることができるため、長期に亘って興味を持たせることのできるようにしたアルファベット玩具およびアルファベット教育玩具や、同特許文献1(2)に見られるような、アルファベットA〜Zの頭文字の動物を模して、その表面には動物の絵柄を描いた26種類の積み木から構成し、色鮮やかで興味を持って幼児が遊ぶことができ、積み木収納箱の底面に、組み合わせた積み木と同じ絵柄を描き、その絵柄を見てジグソーパズルのように積み木を組み合わせながら収めることができ、個々の絵柄、または積み木収納箱に収めた個々の積み木を押圧すると、夫々の動物の名前を音声にて発し、その発声は、複数国の言語に切り換え可能であり、さらに、自然木の香りが癒しの空間を醸し出し、情緒を安定させるとともに誤って幼児が口にしても無害なものとし、安心して遊ばせることができるようにした積み木玩具などが散見される。
【0005】
しかし、前者、特許文献1(1)に示されているようなアルファベット玩具類は、抑制したバネの弾性力をスイッチ操作することによって解放し、瞬時にその外観形態をアルファベット文字から動物に変化させることができるものとしてはあるものの、手・指の微妙な感触や、折り畳みの向きや角度を考慮しながら、ゆっくりと動物の形に造形して行くといった過程を持たず、アルファベット文字の形に戻す際に、レバーを捻ったり、ヒンジを閉じたりするような操作をし、機器類の操作に類似した動作を理解する機会を与えるものとなり得るものではあったが、折り紙を楽しむような学習効果を得ることはできないものであり、また、後者、特許文献1(2)の積み木玩具などは、パズル遊びを楽しむ中で動物の形と、動物の名前の発音および文字とを関連づけて学習する機会を与えるものではあったものの、やはり折り紙を作る楽しさや感触などを楽しむことはできないという課題を残していた。
【特許文献1】(1)特開2012−236号公報 (2)実用新案登録第3151993号公報 (3)実用新案登録第3002666号公報 (2)実開平7−5537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のあるこれら各種アルファベット玩具類は、何れもアルファベット文字から動物の形に瞬時に変化するのを楽しんだり、パズル遊びを楽しんだりすることが可能なものとしてあるが、折り紙のように、児童が自らの手・指による操作を直接的に加え、その力加減を変化させながら折り曲げたり、平面に展開させたりする操作を繰り返して、視覚、触覚、聴覚など、新鮮な刺激を繰り返し五感に与えることにより、文字や動物、それ以外の物などの形や名前を関連づけて覚えて行くことができるものとはなっておらず、こうした情操教育を可能とする新たな玩具を提供するための構成につき、更なる改善の可能性を痛感するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、アルファベットなどの文字から、その文字に関連する名前などの動物や人、それ以外の物などの形に、折り紙のように折り畳み変形し、その形を維持可能とする上、再び元の文字形状に復帰可能とし、しかも、その変形および復元操作を、繰り返しても容易に破損しない耐久性を有する新たな玩具技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の知育玩具、およびそれを利用した新規な構造の知育玩具セットを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の知育玩具セットは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、AないしZの平面アルファベット太文字形とした合計26文字で軟質シート製の玩具本体群とした玩具本体であり、各1文字が頭文字となる動物名に対応する26種の立体歪化動物形とした場合、該立体歪化動物形状態にて重ね合わせとなる、少なくとも2箇所の接合壁部同士間に、適宜着脱機構を設けると共に、該立体歪化動物形状態とした場合の該玩具本体の表裏壁面少なくとも一方適所に、各1文字が頭文字となる動物名に対応する動物の外観を模した顔や胴体、手足、尾の中の少なくとも1つを表現した形態表示部を設けてなるものとし、平面文字形から弾性的に変形させた所定の立体歪化物形へと、また弾性的に変形させた所定の立体歪化物形から元の所定平面文字形へとの変形を繰り返し可能となるものとした構成を要旨とする知育玩具セットである。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、この発明の知育玩具セットによれば、従前までのこの種のものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、平面文字形の軟質シートが、文字の形を確りと視認でき、しかも柔軟に変形させることによって、発達中の幼児や児童の脳を視覚的、触覚的に刺激し、その色、形、表示の認識力を高めることができる上、手・指による操作によって平面文字形から、弾性的に変形させ、接合壁部同士を着脱機構によって結合し、所定の立体歪化物形へと変形する過程を体験し、また、着脱機構を離脱させて平面文字形に復帰させ、再び、所定の立体歪化物形へと変形させることを繰り返すことができるから、軟質シートを変形させる新鮮な楽しさを反復して味わうことができ、例えば、玩具本体の平面文字形が表す文字と、同玩具本体の立体歪化物形との間に一定の関連性を与えたものとすることにより、平面文字形の文字と、立体歪化物形の対象物とを互いに結び付けて記憶するのを促進する効果が得られるものとなり、情操教育の効果を格段に高めることができるという秀でた特徴が得られるものである。
【0010】
加えて、この玩具本体が、平面アルファベット太文字形の軟質シート製であって、その表裏壁面少なくとも一方適所に、動物の外観を模した顔や胴体、手足、尾の中の少なくとも1つを表現した形態表示部を設けてなるようにしたものは、立体歪化動物形に変形させた場合に、対象物をより明確に理解することができるものとし、幼児や児童が、一段と興味をもち易く、好み易いものとなり、しかもアルファベットの文字毎に、全く異なる立体歪化動物形に変換可能なものとすることができるから、1文字1文字毎に、より大きく印象の異なる形態を与えて、一段と強い記憶に結び付けることができるという利点が得られる。
【0011】
そして、玩具本体が、無着色または適宜染色した、厚さ1ないし5mmのフェルトおよび不織布の中、少なくとも何れか一方からなるものとすることにより、手触りが良く、度重なる変形や折り畳みにも高い耐久性を発揮し、幼児や児童が誤って口にした場合においても無害なものとすることができる。
【0012】
また、この玩具本体が、無着色または適宜染色したフェルトおよび不織布の中、少なくとも何れか一方の2枚以上を、相互間に両面接着軟質フィルムを挟み積層状に接着一体化し、全厚さを1ないし5mmに規制してなるものは、両面接着軟質フィルムが、補強用の芯材をなし、さらに耐久性を高めたものとすることができ、しかも貼り合わせた複数枚のフェルトは、互いに色を変えることができ、例えば、表裏の色が異なるものとすることが容易にできるという利点も得られる。
【0013】
さらにまた、着脱機構が、ボタン、面ファスナー、ホック、カギホック、磁石の中の何れか1つからなるものとすることにより、既成部品を組み合わせて経済的に生産し、格段に低廉にて提供することが可能となり、しかも、より信頼性と耐久性とを高め、安全性にも秀でたものとすることができる。
【0014】
この発明の知育玩具セットによれば、AないしZの合計26文字と、26種の動物の形態および名前を関連づけて学習することができ、より巾広い知識を吸収し、色や形の識別能力をより高めることができ、一層有効な教材として提供することが可能となり、さらに、全26種の知育玩具を配置可能な面積を確保した動物園や草原、その他の自然界などを表現したフィールドシートと組み合わせたものとすることにより、より臨場感のある遊びを実現化する環境を提供し、一段と創造性を高め、社会性のある遊びに発展させることができるという効果が期待できるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
玩具本体は、平面形の状態には文字形を成し、適宜操作を加えることによって所定の立体歪化物形へと容易に変形することが可能であり、再び平面文字形に復元するという操作を簡単に繰り返し可能とする機能を担い、度重なる変形によって容易に破損しない程度に、充分な耐久性と柔軟性とを有する軟質シート製のものとしなければならず、例えば、後述する実施例に示すように、無着色または適宜染色した、厚さ1ないし5mmのフェルトを、平面アルファベット太文字形に裁断したものとすることができ、それに置き換え可能な不織布やゴム、軟質合成樹脂、皮革などからなるシート素材製のものとすることが可能であり、また、板状の硬質部品同士を軟質なフェルト、不織布、ゴム、軟質合成樹脂、皮革などの軟質帯状連結部品で可撓性を与えるよう連結し、立体歪化物形へと容易に変形可能なものとすることが可能であり、当該フェルトは、厚さ1mm未満にすると、立体歪化物形とした場合に形状維持が難しく、また、厚さ5mmを超えると平面形を維持しようとする力が大きくなり、幼児の手では容易に湾曲出来なくなったり、着脱機構が外れ易くなったりする虞があるから、厚さ1ないし5mmの厚さに規制するのが望ましい。
【0016】
また、玩具本体は、無着色または適宜染色したフェルトおよび不織布の中、少なくとも何れか一方の2枚以上を、相互間に両面接着軟質フィルムを挟み積層状に接着一体化して、全厚さを1ないし5mmに規制してなるものとすることができ、両面接着軟質フィルムは、度重なる折り曲げにも充分に耐える膜状素材製のものとすべきであり、表裏面に粘着剤層、接着剤層、熔着剤層などの接着層を有し、軟質合成樹脂フィルム製、または軟質繊維シート製などとするのが望ましい。
【0017】
接合壁部は、平面文字形の軟質シート製玩具本体を、立体歪化物形に変形させた場合に、互いに重ね合わせとなる箇所であって、着脱機構を配設可能とし、互いに脱着自在に連結可能となる機能を担い、着脱機構を設けるに充分な面積を確保したものとしなければならず、度重なる着脱機構の着脱操作に耐えるよう、補強シートを重ね設けるなど充分に補強したものとすることができ、該着脱機構は、その連結状態にあっては、玩具本体の弾性的復帰力に抗して立体歪化物形を維持可能とする結合力を発揮し、幼児の手・指力による着脱操作が容易に行えるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、例えば、ボタン、面ファスナー、ホック、カギホック、磁石などの市販の部品類中から何れか選択して採用することができる。
【0018】
形態表示部は、玩具本体を立体歪化物形に変形させた場合、該玩具本体の表裏壁面少なくとも一方適所に、該立体歪化物の外観上の特徴部分を表現する機能を分担し、少なくとも立体歪化物形に変形させた場合に表面がわとなる玩具本体の壁面に、視認可能とするよう明確に表示したものとすべきであり、例えば、線や絵のプリントによって表示したものとすることができ、後述する実施例にも取り上げているように、玩具本体の表裏壁面少なくとも一方適所に、動物の外観を模した顔や胴体、手足、尾の中の少なくとも1つを表現したものとするのが望ましく、さらにまた、車や飛行機、電車、船などといった乗り物類、ビルや橋、タワーなどの建築物類のような様々な物・品、あるいはまた、星、地球、山、海、川、などの宇宙や自然を表現したものなど、あらゆる物を表示したものとすることが可能であり、目、手、足、尾、羽、鰭、タイヤ、翼、プロペラなどの部分を立体化した部品を貼着したり、成形したりして凹凸状に設けたものや、各部品を曲げたり、回転させたりして動かせるよう連結したり、着脱できるよう連結したりしたものなどと、自在に選択、採用することが可能である。
【0019】
知育玩具セットは、個々の玩具本体が、AないしZの平面アルファベット太文字形を呈し、個々が1種ずつ合計26種の互いに異なる立体歪化動物形へと変形可能となる機能を有し、26種の知育玩具全てを揃えたものとすべきであり、同一セット中の個々の知育玩具は、夫々異なる色に着色したものとするのが望ましく、個々の立体歪化物に相応しい色を選択するのが良く、全26種の知育玩具を配置可能な面積を確保した動物園や草原、その他の自然界などを表現したフィールドシートと組合せてなるものとすることができ、該フィールドシートは、シート状、板状、または、凹凸を有する盤状のものなどすることができ、山や川、海、空、太陽、雲、植物、建築物などの表示や凹凸を設けたものとするのが良く、収納の際に筒状に巻き取ったり、折り畳んだり、複数に分解したりしてコンパクト化でき、利用するときに平面状に展開したり、組み合わせたりできる構造のものとするのが望ましく、一部にホワイトボード部や交換用画用紙装着部などを配し、幼児や児童が自由に描画可能なスペースを設けたものとすることなどが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面は、この発明の知育玩具の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
図1】「A」太文字形の知育玩具表面を示す平面図である。
図2】「A」太文字形の知育玩具裏面を示す下面図である。
図3】「A」文字形の知育玩具の立体歪化物形状態を示す斜視図である。
図4】「B」太文字形の知育玩具表面を示す平面図である。
図5】「B」太文字形の知育玩具裏面を示す下面図である。
図6】「B」文字形の知育玩具の立体歪化物形状態を示す斜視図である。
図7】「C」太文字形の知育玩具表面を示す平面図である。
図8】「C」太文字形の知育玩具裏面を示す下面図である。
図9】「C」文字形の知育玩具の立体歪化物形状態を示す斜視図である。
【実施例1】
【0021】
図1ないし図3に示す事例は、平面文字形の軟質シート製玩具本体10を立体歪化物形に弾性変形させた場合、該立体歪化物形状態にて重ね合わせとなる接合壁部2,2,……同士間に着脱機構3,3,……を設けると共に、該立体歪化物形状態とした場合の該玩具本体10の表裏壁面少なくとも一方適所に、該立体歪化物の外観上の特徴部分を表現した形態表示部4を設けてなるものとした、この発明の知育玩具における代表的な一実施例を示すものである。
【0022】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の知育玩具1は、緑色に染色した、厚さ2.5mm、縦横125mm×125mmの矩形シート状フェルトから、20ないし30mmの線幅で、アルファベット太文字の「A」の輪郭をもつ形状に切り抜いたものであり、図1に示すように、玩具本体10表面11の「A」形状の接合壁部2となる横棒部13の左右に、互いに結合可能な着脱機構3雄・雌面ファスナー30,31を貼着し、さらに、同玩具本体10の雄・雌面ファスナー30,31を除く表面11には、ワニの目、鼻、口、手、皮膚の凹凸模様などを同緑色以外の例えば黒色インクや深緑色インクなどによるプリントによって形態表示部4を表示し、また、図2に示すように、該形態表示部4を表示した表面11とは反対がわとなる、該玩具本体10裏面12の、接合壁部2となる末広がりとなる末端付近には、着脱機構3雄・雌面ファスナー32,33を貼着したものとしてある。
【0023】
玩具本体10は、図示していないが、厚さ1mmのフェルトの2枚間に、厚さ0.5mmの両面粘着軟質フィルムを積層(サンドイッチ)状に挟み込み、合計厚さを2.5mmとするよう一体化したものに置き換えたものとすることが可能であり、この場合、該両面粘着軟質フィルムは、軟質合成樹脂フィルムの表裏面双方に粘着剤を塗布したものとし、両面にフェルトを貼着・一体化したものとすることができる。
【0024】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の知育玩具1は、図1および図2に示してあるように、その玩具本体10が平面シート状の状態としてあるときには、その外郭形状がアルファベット「A」の形状をなしており、図3に示すように、「A」形状横棒部13の左右間中心を境に谷折りし、着脱機構3雄・雌面ファスナー30,31を結合し、形態表示部4が表示してある玩具本体10表面11を表となるようにし、さらに、同玩具本体10裏面12の末広がりとなる末端付近にある着脱機構3雄・雌面ファスナー32,33を互いに結合し、該横棒部13の両端がわ付け根部分を夫々山折りし、ワニの外観を得る立体歪化動物形へと変換することが可能であり、各着脱機構3の雄・雌面ファスナー30,31,……を外して、ワニの立体歪化動物形から、図1および図2に示すよう、平面シート状のアルファベット「A」の形状に簡便に復帰可能であり、図3のように、度重なる折り畳みを受けても高い耐久性を維持可能なものとしてある。
【0025】
幼児や児童が、前述のような操作を繰り返しながら、家族や友達などとの会話を通じてワニの外観イメージと英語の「Alligator」とを結び付け、フェルト素材10や面ファスナー3の触感および操作感覚などと共に深く記憶できるようになる。
加えて、2枚のフェルト間に両面粘着軟質フィルムを挟み込んで一体化した玩具本体10としたものは、該両面粘着軟質フィルムが芯材となって補強する機能が高まり、より耐久性に秀れ、平面形状に復帰・維持しようとする弾発力を適度に高めたものとすることができる。
【0026】
さらに、後述する各実施例の「B」「C」の知育玩具1,1を含め、AないしZの平面アルファベット太文字形とした合計26文字の軟質シート製玩具本体群10,10,……を有し、各1文字が頭文字となる動物名に対応する26種の立体歪化動物形へと変形可能とするよう設定した26枚の知育玩具1,1,……に、それら全26種の知育玩具1,1,……を配置可能な面積を確保した動物園や草原、その他の自然界などを表現するようプリント表示してなる、厚紙製、布製または合成樹脂シート製のフィールドシート(図示せず)と組合せてなる知育玩具セットとすることができる。
【実施例2】
【0027】
図4ないし図6に示すように、この発明の知育玩具1は、その玩具本体10が、黄色に染色した厚さ2.5mm、縦120mm×横125mmの矩形シート状フェルトから、20ないし30mmの線幅で、アルファベット太文字の「B」の輪郭をもち、さらに、図4および図5に示すように、「B」形状の縦棒部14上下間中央より、外がわに向けてデフォルメした熊の顔を模り、目、鼻、口、耳などをプリントした、形態表示部4としての頭部40を一体した形状に切り抜き、または、別部品として製造した頭部40を貼着して一体化したものとし、図4に示すように、同玩具本体10表面11の接合壁部2となる上下2箇所の円弧状部分15,15の中央に、夫々着脱機構3雄・雌面ファスナー30,31を結合し、また、図5に示すように、同玩具本体10裏面12の頭部40、およびそれに隣接する「B」形状の縦棒部14上下間中央部分の接合壁部2となる2箇所に、夫々着脱機構3雄・雌面ファスナー32,33を結合したものとしてある。
【0028】
(実施例2の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の知育玩具1は、図4および図5に示すように、その玩具本体10が平面シート状の状態にあっては、その外郭形状が略アルファベット「B」の形状をなしており、図6に示すように、「B」形状の縦棒部14と頭部40との境を山折りし、図5中に示す、着脱機構3雄・雌面ファスナー32,33を結合し、頭部40の顔を上(裏面12がわ)向きとするよう固定し、さらに、図4に示す、同玩具本体10表面11の両円弧状部分15,15同士を重ねるよう、頭部40とは反対がわを谷折し、各円弧状部分15,15中央の着脱機構3雄・雌面ファスナー31,32同士を結合した上、表面11がわを腹這い(下向き)の姿勢に前足を開いて立つ熊の形状を模した立体歪化動物形へと変換することが容易に可能であり、各着脱機構3である雄・雌面ファスナー30,31,32,33を外して、熊の立体歪化動物形から平面シート状の略アルファベット「B」の形状に簡便に復帰可能であり、度重なる折り畳みを受けても高い耐久性を維持可能なものとしてある。
【0029】
幼児や児童が、前述のような操作を繰り返し実施しながら、熊の外観イメージと英語の「Bear」とを結び付け、その触感や操作感覚などと共に深く記憶できるようになるという効果を奏することとなる。
【実施例3】
【0030】
図7ないし図9に示してある事例において、この発明の知育玩具1は、その玩具本体10が、レモン色に染色した厚さ2.5mm、縦120mm×横125mmの矩形シート状フェルトから、20ないし30mmの線幅で、アルファベット太文字の「C」の輪郭を有しており、さらに、図7および図8に示してあるとおり、形態表示部4が、該玩具本体10「C」形状の表面11上端に右耳、目、鼻、口、髭などの顔をプリント表示した頭部40、および、それよりも中央寄りとなる箇所に左前足41をプリント表示し、同「C」形状の表面11上下端間中央に別部品のフェルト製の尾42を貼着し、同「C」形状の表面11下端に左耳、および、それよりも中央寄りとなる箇所に右前足41をプリント表示した上、同「C」形状の表面11下端の該左耳と右前足41との間の接合壁部2となる位置に着脱機構3雄面ファスナー30を貼着し、また、該玩具本体10表面11上端頭部40の裏面がわとなる裏面12上端の接合壁部2となる位置に着脱機構3雌面ファスナー31を貼着したものとしてある。
【0031】
(実施例3の作用・効果)
ここで取り上げてあるこの発明の知育玩具1は、図7および図8に示すように、その玩具本体10が平面シート状の状態にあっては、その外郭形状がアルファベット「C」の形状をなしており、図9に示すように、玩具本体10「C」形状の両端を互いに重ね合わせるよう、全体を湾曲させた上、形態表示部4頭部40を表示してある上端の裏面12雌面ファスナー31を、下端の表面11雄面ファスナー30に重ね合わせ結合し、左耳および右前足41を正しい位置に配するよう組合せ、尾42を丸めて座る猫の形状を模した立体歪化動物形へと変換することが可能であり、図7および図8に示すように、各雄・雌面ファスナー30,31,……を外して、猫の立体歪化動物形から平面シート状のアルファベット「C」の形状に簡便に復帰可能であり、度重なる折り曲げを受けても高い耐久性を維持可能なものとしてある。
【0032】
この事例では、幼児や児童が、前述のような操作を繰り返している中に、猫の外観イメージと英語の「Cat」とを結び付け、その触感や操作感覚などと共に深く記憶できるようになるという効果が得られることとなる。
【0033】
(結 び)
叙述の如く、この発明の知育玩具セットは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からのアルファベット玩具技術に比較して大幅に耐久強度を高め、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、変形操作性や安全性を大幅に改善し得るものとなることから、従前までは、折り紙のように変形させる楽しみを繰り返し味わうことができ、度重なる変形にも、折り目が残らず、毎回、視覚的、触覚的に初めて折り曲げる感覚を得ることができる玩具は存在しておらず、こうした機能を実現化した玩具を利用したいと希望する一般家庭や各種保育・教育施設はもとより、こうしたニーズに応えようとする玩具業界や教材業界において高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0034】
1 知育玩具
10 同 玩具本体
11 同 表面
12 同 裏面
13 同 横棒部
14 同 縦棒部
15 同 円弧状部分
2 接合壁部
3 着脱機構
30 同 雄面ファスナー
31 同 雌面ファスナー
32 同 雄面ファスナー
33 同 雌面ファスナー
4 形態表示部
40 同 頭部
41 同 足
42 同 尾
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9