【実施例1】
【0012】
<構成>以下、構成について説明する。
図1、
図2に示すように、自動車などの車両には、車室内に、各種の飲料容器1(
図3参照)を保持するためのカップホルダー2が設けられている。
【0013】
そして、
図4の分解斜視図に示すように、このカップホルダー2を、少なくとも、飲料容器1を上方から挿入して収容保持可能なカップホルダー本体3と、このカップホルダー本体3に収容保持された飲料容器1の側面を保持可能な容器側面保持部4と、を有するものとする。
【0014】
そして、
図5の分解斜視図に示すように、この容器側面保持部4を、カップホルダー本体3の側面3cに形成された側面連通部5の周囲を覆うようにカップホルダー本体3の外側面に取付けられるハウジング12と、このハウジング12に、上記側面連通部5を介してカップホルダー本体3内へ出入自在となるように取付けられた可動フラップ7と、この可動フラップ7と上記ハウジング12との間に介装されて、可動フラップ7を側面連通部5からカップホルダー本体3内へ突出する方向へ向けて付勢可能な付勢部材8とを有するものとする。
【0015】
ここで、上記についての補足説明を行うと、上記した「飲料容器1」は、文字通り、飲料を収納する容器のことである。この飲料容器1には、
図3に示すような、大型カップ1aや、くびれ付容器1bや、中型円筒状容器1cや、小型円筒状容器1dなどが存在している。これらについては、後述する。
【0016】
上記した「カップホルダー2」は、文字通り、飲料容器1を保持するためのものであり、カップホルダー2には様々な種類のものが存在しているが、この場合には、据置型のものとされている。このカップホルダー2は、例えば、図示しないセンターコンソール(車体パネル)などに対して取付けられる。カップホルダー2は、ほぼ全体が樹脂製の部品によって構成される。
【0017】
上記した「カップホルダー本体3」は、
図4に示すように、その上端部に飲料容器1を挿入可能な開口部3aを有し、その下端部に飲料容器1の底部を保持可能な底面3bを有すると共に、その側面3cが飲料容器1の側面を取囲む有底容器状のものとされている。この場合、カップホルダー本体3は、飲料容器1を2個並べて同時に収容できるようにした2連形状のものとされている。このカップホルダー本体3は、樹脂製の部品とされている。なお、カップホルダー本体3の開口部3aには、必要に応じ、その縁部に沿って延びる加飾リング11などが取付けられる。この場合、加飾リング11は、開口部3aの形状に沿った平面視ほぼ瓢箪型のものなどとされている。この加飾リング11は、爪嵌合などによって、カップホルダー本体3の開口部3aに取付けられる。
【0018】
上記した「容器側面保持部4」は、文字通り、カップホルダー本体3の側面3cの部分に設けられて、飲料容器1の側面を押圧保持するための可動部品である。
【0019】
この容器側面保持部4は、カップホルダー本体3に対して直接取付けるようなものとしても良いが、この場合、
図5に示すように、容器側面保持部4は、カップホルダー本体3とは別体の組立部品として構成され、
図6、
図7に示すように、カップホルダー本体3の外側に後付けされるものとなっている。
【0020】
上記した「側面連通部5」は、文字通り、カップホルダー本体3の側面3cに形成された、カップホルダー本体3の内外間を連通する部分のことである。側面連通部5は、例えば、開口部や切欠部などとすることができる。この場合には、開口部とされている。
【0021】
上記した「ハウジング12」は、可動フラップ7を保持すると共に、可動フラップ7をカップホルダー本体3の側面3cに取付けるためのものである。このハウジング12は、ほぼ上下方向へ延びるほぼ箱枠状をしたものなどとされている。このハウジング12は、カップホルダー本体3の側面3cと対向する部分に開口部12aを有しており、この開口部12aの部分をカップホルダー本体3の側面3cに当接させた状態で設置されるようになっている。また、ハウジング12の開口部12aと反対側の面(背面)には、必要に応じて、可動フラップ7との干渉を防止するための開口部などが形成される。容器側面保持部4の上記以外の構成については、後述する。
【0022】
上記した「可動フラップ7」は、容器側面保持部4を構成する主要部品であり、飲料容器1の側面を直接押圧保持する可動部品のことである。可動フラップ7は、ハウジング12に対し、回転軸9を中心に揺動可能に軸支される。この可動フラップ7は、上記した側面連通部5とほぼ等しい幅寸法を有することにより、側面連通部5の側部との間にほとんど隙間が生じない状態で可動するようなものとされている。この可動フラップ7は、カップホルダー本体3の側面3cに対し、1箇所、または、周方向に所要の間隔を有して複数箇所設けられている。この場合には、周方向にほぼ均等な間隔を有して3箇所(またはそれ以上)設けられている。なお、可動フラップ7は、余り多くすると構造が複雑になると共に、飲料容器1を周方向に均等に押さえることがかえって難しくなるので、3箇所または4箇所程度までとするのが最適である。
【0023】
上記した「付勢部材8」は、文字通り、可動フラップ7を突出方向へ向けて付勢する部材であり、この付勢部材8の付勢力によって、可動フラップ7は、飲料容器1の側面に弾接されて、飲料容器1の側面を押圧保持することができるようになっている。この場合には、付勢部材8には、金属製のトーションスプリングなどが使用されている。このトーションスプリングは、コイル部と、このコイル部の両端部から接線方向に延設された二本の腕部とを有するものなどとされる。この場合、付勢部材8は、一対の回転軸9の間に設けられた付勢部材支持軸部7aによってそのコイル部の両端部が軸支された状態で、その両腕部がハウジング12の背面と可動フラップ7の後部との間にそれぞれ介装されるようにして設置されている。但し、付勢部材8は、トーションスプリングに限るものではなく、板バネやコイルスプリングや樹脂バネなどの他の弾性部材を使用しても良いことは勿論である。
【0024】
そして、上記のより詳細な構造について説明すると、
図5に示すように、上記した回転軸9は、可動フラップ7の上部からほぼ上方へ向けて一体に突設された上方延長部22の上端外側面から外側方向へ向けて一体に突設された短軸となっている。この場合、上方延長部22および回転軸9は、左右一対設けられている。なお、上記した付勢部材支持軸部7aは、この上方延長部22の上端内側部から内方へ向けて一体に突設された一対の短軸となっている。
【0025】
そして、上記したハウジング12の上端部分の両側部内面に対し、回転軸9を軸支するための軸穴部23が設けられている。
【0026】
また、可動フラップ7の上方延長部22の下端外側部から外側方へ向けてガイド突起24が一体に突設されている。この場合、ガイド突起24も、上方延長部22および回転軸9と共に、左右一対設けられる。このガイド突起24もまた、回転軸9と同じ短軸とされている。そして、上記したハウジング12の上半部分の両側部には、ガイド突起24を案内するためのガイド部25が設けられている。このガイド部25は、回転軸9を中心とする円弧状の長穴部または溝部などとされる。
【0027】
更に、
図4に示すように、カップホルダー本体3の外側面(側面3cの外面側)における、側面連通部5(開口部)の周縁部には、この周縁部を全周に亘って取囲むように、高さ調整用および液掛かり防止用の周壁部26が外方へ向けて立設されている。そして、上記したハウジング12の開口部12aは、この周壁部26よりも一回り大きいものとされて、周壁部26の外側を取り囲むようにカップホルダー本体3の外側面に取付けられるようになっており、これによって、周壁部26が、ガイド突起24などへの液掛かりを防止する機能を有するようになっている。
【0028】
加えて、カップホルダー本体3の外側面における、側面連通部5(開口部)の周縁部には、上記したハウジング12の開口部12aが当接される高さ調整用の当接部27が立設されている。この当接部27は、周壁部26と一体に設けられた当てリブなどとされている。この場合、当接部27は、周壁部26の上下方向のほぼ中間部分などに対し、片側または両側に上下二段となるように設けられている。但し、当接部27の設置位置や設置個数については、これ限るものではない。
【0029】
そして、以上のような基本的な構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0030】
(構成1)
図8、
図9に示すように、上記カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4のハウジング12との間に、このハウジング12のガタ付きを防止可能なガタ付防止部を設ける。
このガタ付防止部が、
・上記カップホルダー本体3に設けられて、上記ハウジング12の側面を押圧保持可能な押圧保持部28と、
・上記ハウジング12に設けられて、上記押圧保持部28によって押圧保持される受部29と、を有するものとされる。
そして、上記した受部29が、上記押圧保持部28の押圧力により弾性変形してガタ付きを吸収可能な弾性受部とされる。
【0031】
(補足説明1)
ここで、上記した「ガタ付防止部」は、文字通り、カップホルダー本体3に対してハウジング12が横方向などへガタ付くのを防止するためのものである。
【0032】
上記した「押圧保持部28」は、文字通り、容器側面保持部4のハウジング12の、左右の側面を外側から横方向に押圧保持するものである。この押圧保持部28は、上記した周壁部26の側面に対して、一体に設けられる。この押圧保持部28は、この場合、ハウジング12の上下方向の中間部で、上記した上下二段の当接部27の間の位置などに設けられている。この押圧保持部28は、上記した当接部27よりも高く外方へ突出するものとされて、その内面(内方縁部)がハウジング12の側面に圧接されるようにする。そのために、この押圧保持部28は、その内面が寸法公差分だけ長くなるように形成して(即ち、マイナス公差に設定して)、意図的に受部29と干渉させるように設定しておく。
【0033】
上記した「受部29」は、ハウジング12の両側部における、押圧保持部28の内面と接触する位置に設けられる。
【0034】
上記した「弾性受部」は、文字通り、弾性を有して受ける部分のことである。この弾性受部は、ハウジング12の両側部に一対の切込部12bを形成することによって、切込部12bの間に設けられる。この場合には、両方の受部29が弾性受部とされている。
【0035】
(構成2)
上記カップホルダー本体3の上記押圧保持部28が、容器側面保持部4のハウジング12の両側面を挟着保持可能に一対設けられ、
上記ハウジング12の受部29が、上記一対の押圧保持部28によって挟着保持されるように一対設けられる。
そして、少なくとも一方の受部29が、上記一対の押圧保持部28の挟着力により弾性変形してガタ付きを吸収可能な弾性受部とされる。
【0036】
(構成3)
上記カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4(のハウジング12)との上端間に、回動支持部が設けられる。
また、上記カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4(のハウジング12)との下端間に、爪固定部が設けられる。
そして、上記ガタ付防止部が、前記回動支持部と爪固定部との間に設けられる。
【0037】
(補足説明3)
ここで、上記した「回動支持部」は、文字通り、カップホルダー本体3に対して、回動支持部のハウジング12を回動自在に支持する部分である。回動支持部は、ハウジング12の側面連通部5よりも上側となる位置に、外側方へ向けて一体に突設された一対の取付用軸部14と、カップホルダー本体3の側面3cにおける側面連通部5の上部に、上記取付用軸部14を係止保持可能および回動自在に支持可能となるように一体に突設された、上向きフック状をした一対の軸保持部15と、を有するものとされる。この回動支持部は、カップホルダー本体3に対する容器側面保持部4の上部取付部となるものである。
【0038】
この場合、上記した回転軸9は、取付用軸部14の近傍で、取付用軸部14よりも若干低い位置(例えば、ハウジング12の肉厚分程度低い位置)などに設けられている。
【0039】
上記した「爪固定部」は、文字通り、カップホルダー本体3の側面3cにおける側面連通部5の下部に、面外方向へ向けて一体に突設された係止用爪部17と、ハウジング12における側面連通部5よりも下側となる位置に形成された、係止用爪部17が係止される爪穴部18と、を有するものとされる。この回動支持部は、カップホルダー本体3に対する容器側面保持部4の下部取付部となるものである。なお、係止用爪部17と爪穴部18とは、ハウジング12とカップホルダー本体3とに対し逆に設けても良い。また、係止用爪部17と爪穴部18とは、多重に設けても良い。
【0040】
上記した「回動支持部と爪固定部との間」は、この場合、カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4との上下方向の中間部とされている。このガタ付防止部は、カップホルダー本体3に対する容器側面保持部4の中間支持部となるものである。
【0041】
(構成4)
図1に示すように、上記カップホルダー本体3における、上記容器側面保持部4の取付部分の上側に、カップホルダー本体3の内倒れを防止可能な内倒防止部51を設けるようにする。
【0042】
(補足説明4)
ここで、上記した「内倒防止部51」は、文字通り、カップホルダー本体3の側面3cが内側へ倒れないように、外部の図示しない車体パネル(センターコンソールなど)に対して保持させるための保持部である。この内倒防止部51は、2連形状のカップホルダー本体3の開口部3aにおける、くびれた部分の外側の位置に、開口部3aが細長く潰れないように設けられている。この内倒防止部51は、車体パネルに対するカップホルダー本体3の取付点とは別に、或いは、取付点を補助するものとして追加的に設けられる。
【0043】
これに対し、図示しない車体パネルには、この内倒防止部51に嵌合可能なカップホルダー2上部固定部が設けられる。
【0044】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
カップホルダー本体3に飲料容器1を挿入すると、飲料容器1の側面に押されて、可動フラップ7が付勢部材8の付勢力に抗して引っ込められると共に、付勢部材8は撓められて付勢力を蓄積し、同時に、引っ込められた可動フラップ7が、付勢力を蓄積された付勢部材8によって押出されることにより、飲料容器1の側面を押圧保持することができる。
【0045】
そして、このカップホルダー2の場合、カップホルダー本体3に対し、別部品として構成された容器側面保持部4が後付けによって取付けられている。
【0046】
この容器側面保持部4の取付けは、上記カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4との上端間に設けられた回動支持部を中心に容器側面保持部4を回動させて、上記カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4との下端間に設けられた爪固定部を係止させることによって行われる。
【0047】
この際、カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4との上下方向の中間部に設けられたガタ付防止部は、カップホルダー本体3に対してハウジング12が横方向にガタ付くのを防止するように機能する。
【0048】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)
カップホルダー本体3と容器側面保持部4のハウジング12との間に、ハウジング12のガタ付きを防止可能なガタ付防止部を設け、ガタ付防止部が、カップホルダー本体3に設けられて、ハウジング12の側面を押圧保持可能な押圧保持部28と、ハウジング12に設けられて、押圧保持部28によって押圧保持される受部29と、を有し、受部29が、押圧保持部28の押圧力により弾性変形してガタ付きを吸収可能な弾性受部とされたことにより、カップホルダー本体3の押圧保持部28が、ハウジング12の側面の受部29を押圧保持することで、容器側面保持部4のハウジング12のガタ付きを防止することができる。
【0049】
この際、受部29が、押圧保持部28の押圧力により弾性変形してガタ付きを吸収可能な弾性受部とされたことにより、寸法公差の影響を受けることなく、確実に容器側面保持部4のハウジング12のガタ付きを防止することができるようになるので、カップホルダー本体3やハウジング12に対する寸法管理を容易化することができる。
【0050】
そして、カップホルダー本体3が、ネジ固定によって容器側面保持部4のハウジング12をガタ付きなく確実に取付けることができないような形状や構造などとなっているような場合であっても、カップホルダー本体3に容器側面保持部4のハウジング12を取付けるだけで、上記したガタ付防止部によるガタ付き防止効果を得ることができる。よって、ネジ固定以外の取付手段の使途を広げることができるようになる。
【0051】
(効果2)
カップホルダー本体3の押圧保持部28が、容器側面保持部4のハウジング12の両側面を挟着保持可能に一対設けられ、ハウジング12の受部29が、一対の押圧保持部28によって挟着保持されるように一対設けられ、そして、少なくとも一方の受部29が、一対の押圧保持部28の挟着力により弾性変形してガタ付きを吸収可能な弾性受部とされたことにより、ハウジング12の両側面を一対の押圧保持部28で挟着保持することができるようになるので、より確実に容器側面保持部4のハウジング12のガタ付きを防止することができる。
【0052】
(効果3)
上記カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4(のハウジング12)との上端間に、回動支持部が設けられ、上記カップホルダー本体3と上記容器側面保持部4(のハウジング12)との下端間に、爪固定部が設けられ、上記ガタ付防止部が、上記回動支持部と爪固定部との間に設けられたことにより、上端側の回動支持部と、下端側の爪固定部と、中間のガタ付防止部との3箇所で容器側面保持部4を保持することができるので、より効果的に容器側面保持部4のガタ付きを防止することが可能となる。
【0053】
(効果4)
カップホルダー本体3における、上記容器側面保持部4の取付部分の上側に、カップホルダー本体3の内倒れを防止可能な内倒防止部51を設けたことにより、カップホルダー本体3の内倒れが防止され、ホルダー本体の内倒れによって、容器側面保持部4がガタ付き易くなるのを防止することができる。
【0054】
また、カップホルダー本体3の上部を、内倒防止部51を介して、図示しない車体パネルに取付けることにより、車体パネルを利用してカップホルダー本体3の水平方向の剛性を上げると共に、カップホルダー本体3を利用して車体パネルの上下方向の剛性を上げることができるようになり、即ち、両者の剛性を相互補完によって確保することができるようになり、その分、カップホルダー本体3および車体パネルの構造簡略化や軽量化などを図ることが可能となる。
【0055】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。